JP3781995B2 - 階段状立体花壇 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、階段状立体花壇に関する。
【0002】
【従来の技術】
階段状立体花壇としては、階段状に造成した地盤に植栽したものや、階段状に形成されたコンクリート等の人工地盤に植栽ボックスを設置したものが知られている。これらの従来例では、階段状立体花壇の下方に空間を形成しても、空間の上部が階段状の地盤や人工地盤で覆われることになるので、自然光を取り入れた明るい良好な環境の空間とはなり得ない。そのため、従来の階段状立体花壇は、設置場所や規模が自ずと制約されることになり、建物の周囲(例えばエントランス広場)や建物の内部(例えばエントランスホール等)に、観葉植物等を広い面積にわたり植栽して、緑豊かな自然との共生型建造物とする場合には不向きであった。
【0003】
尚、建物内外に植栽して、自然との共生型の建造物とする手法として、壁面緑化が、例えば特開平8−228616号公報等によって提案されているが、壁面緑化の場合、植栽ボックスの高さが高い(上下幅が広い)と、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスに危険が伴うところから、大規模な植栽計画は困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に留意してなされたものであって、その目的とするところは、階段状立体花壇の下方に、外部からの光(自然光等)を取り入れた明るい良好な環境の空間を形成でき、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行え、建物内外の広い面積に植栽して、自然との共生型の建造物とする大規模な植栽計画が可能となる階段状立体花壇を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明による階段状立体花壇は、下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、不透明な材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置し、段板と段板と間に、植栽ボックス群及び階段の下方空間への採光及び通気を可能とする開口を形成してあることを特徴としている。
【0006】
尚、段板と段板と間に形成する開口としては、平面視における開口(上下方向に開放した開口)、立面視における開口(水平方向に開放した開口)の何れでもよく、両者を組み合わせてもよい。即ち、段板と段板と間に開口を形成するにあたっては、上段の段板の前端と下段の段板の後端との間や、同一レベルにある段板の一部に、歩行者が落下しない程度の隙間を開けてもよく、上下の段板の段差部分(蹴込み板に相当する部分)の全部又は一部を開口させてもよく、それらの両方を採用してもよい。
【0007】
請求項2に記載の発明による階段状立体花壇は、下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、透明材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置してあることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明による階段状立体花壇は、下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、段板が透明材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置し、段板と段板との間に、植栽ボックス群及び階段の下方空間への採光及び通気を可能とする開口を形成してあることを特徴としている。
【0009】
段板と段板と間に形成する開口としては、請求項1の場合と同様に、平面視における開口(上下方向に開放した開口)、立面視における開口(水平方向に開放した開口)の何れでもよく、両者を組み合わせてもよい。即ち、段板と段板と間に開口を形成するにあたっては、上段の段板の前端と下段の段板の後端との間や、同一レベルにある段板の一部に、歩行者が落下しない程度の隙間を開けてもよく、上下の段板の段差部分(蹴込み板に相当する部分)の全部又は一部を開口させてもよく、それらの両方を採用してもよい。
【0010】
請求項1〜3に記載の発明の構成によれば、階段状に配置された植栽ボックス群や植栽ボックス群に沿ったメンテナンス用の階段を構造体としての支持フレームに設置するので、それらの下方に空間が形成されることになる。そして、請求項1に記載の発明の構成によれば、段板と段板と間に形成した開口によって、上記空間の採光及び通気が行われ、請求項2に記載の発明の構成によれば、透明な階段を通して上記空間の採光が行われることになり、階段状立体花壇の下方に自然光等を取り入れた明るい良好な環境の空間を形成することができる。
【0011】
殊に、請求項3に記載の発明の構成によれば、段板と段板と間に形成した開口によって、上記空間の採光及び通気が行われるだけでなく、透明な段板を通しても採光が行われるので、階段状立体花壇の下方に、より多くの自然光等を取り入れた明るくて空気が滞留することのない良好な環境の空間を形成することができることになる。
【0012】
また、請求項1〜3に記載の発明の構成によれば、水平方向に間隙を隔てて配置された植栽ボックス群列の間隙に、メンテナンス用の階段が植栽ボックス群に沿って設けられているので、この階段を使用することによって、植栽ボックス群の列が長くても、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行うことができる。
【0013】
以上のように、階段状立体花壇の下方に、自然光等を取り入れた明るい良好な環境の空間を形成することができることと、植栽ボックス群に沿って設けられた階段を使用して、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行えることとにより、建物内外の広い面積に多量の緑化植物等を植栽して、自然との共生型の建造物とする大規模な植栽計画が可能となる利点がある。
【0014】
尚、請求項4に記載の発明のように、各々の植栽ボックスを、支持フレームに対して着脱交換自在に構成することにより、季節に応じた植生への入れ替え等を一層容易に、短時間で行え、請求項5に記載の発明のように、支持フレームに各列の植栽ボックス群に対する潅水設備と排水設備とを設けることにより植生の日々の管理、育成を容易に行えることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1は、外壁を透明ガラス製カーテンウォールWとした建物の内外に、本発明に係る階段状立体花壇Aを、屋内、屋外の何れから眺めても、透明なカーテンウォールWを挟んで視覚的に連続する状態に設置した例を示す。図1において、1aは、屋内(例えばエントランスホール)の吹抜け周囲の安全柵を構成する腰壁、1bは、屋外(例えばエントランス広場)の吹抜け周囲の安全柵を構成する腰壁である。
【0016】
前記階段状立体花壇Aは、構造体としての支持フレーム2を備えており、図1に示すように、支持フレーム2の上端側と下端側を建物や建物周囲の床面等に固定することにより自立し、下方に空間Sを形成している。
【0017】
支持フレーム2には、階段状に配置された植栽ボックス3群が、図2に示すように、水平方向に間隙を隔てて複数列(図示の例では2列に)設置され、植栽ボックス群列4の間隙には、メンテナンス用の階段5が植栽ボックス群列4に沿わせて設置されている。階段5の段板6は、透明材料で作製されており、段板6と段板6との間には、植栽ボックス3群及び階段5の下方空間Sへの採光及び通気を可能とする開口7が形成されている。尚、階段状立体花壇Aは、図2に仮想線で示すように、水平方向に複数組並べて設置され、後述する給水設備や排水設備系を共通した給水ポンプや排水ポンプに接続して、一つの大規模な階段状立体花壇を構成している。
【0018】
段板6と段板6と間に形成する開口7としては、平面視における開口(上下方向に開放した開口)7aと立面視における開口(水平方向に開放した開口)7bを組み合わせてある。具体的には、上段の段板6の前端と下段の段板6の後端との間に歩行者が落下する虞のない程度の幅(例えば200mm程度)の隙間を開けて、上下方向に開放した開口7aとし、上下の段板6,6の段差部分(蹴込み板に相当する部分)を水平方向に開放した開口7bとしてある。
【0019】
支持フレーム2の具体的な構造や材質は任意に設定できるが、図示の例では、支持フレーム2がステンレス鋼製である。この支持フレーム2は、図3〜図6に示すように、植栽ボックス3の横幅に対応する適当な間隔(例えば300mm程度)を隔てて対向置した一対のささら桁状の側板部8aと、両側板部8a,8aの底辺間に架設された階段状を呈する底板部8bと、ささら桁の段差部に相当する位置で両側板部8a,8a間に架設された前面板部8cと、当該前面板部8cから植栽ボックス3の前後幅に相当する距離を隔てた位置で両側板部8a,8a間に架設された仕切り板部8dと、底板部8bの後端から上段の底板部8bの前端部と平面視において重なる位置まで延設された樋部8eとを備えた階段状フレーム8と、当該階段状フレーム8,8同士を各側板部8aの水平上辺部より若干低い位置で連結する複数本の水平なクロスバー9とで構成されており、樋部8eの両側にも、上下方向に開放した開口が形成されている。
【0020】
そして、各階段状フレーム8の所定位置(左右の側板部8a,8aと前面板部8cと仕切り板部8dとで四周を囲まれた空間)に、植栽ボックス3を1個ずつ嵌め込むことによって、植栽ボックス群が階段状を呈するように構成されており、クロスバー9の上に透明材料からなる段板6を敷設することによって、前記階段5が構成されている。段板6を作製する透明材料としては、アクリル樹脂であってもよいが、図示の例では、上面にノンスリップ加工(凹凸部)を施した合わせガラスで段板6を作製してある。
【0021】
植栽ボックス3は、合成樹脂等の腐食し難い材料で作製されたもので、図5に示すように、側面に散水用のスリットaが形成され、底部に水抜き孔bが形成されている。各植栽ボックス3は、例えば、階段状フレーム8の内面に突設された支持部10に植栽ボックス3上縁に形成されたフランジ部3aを載置する等の支持構造を採用することにより、支持フレーム2に対して着脱交換自在に構成されており、季節に応じた植生への入れ替えに際しては、植栽ボックス3ごと入れ替えることができるようになっている。
【0022】
また、支持フレーム2には、各列の植栽ボックス3群に対する潅水設備と排水設備とが設けられている。図示の潅水設備は、各階段状フレーム8の上縁に沿わせて配管した2本のドリップホース11と、ドリップホース11に対して定期的に給水する図外の給水ポンプとから構成され、定期的にドリップホース11に給水することにより、ドリップホース11に形成された多数の小孔から前記スリットaを経て植栽ボックス3内へと散水するように構成されている。図示の排水設備は、階段状の底板部8b及び樋部8eに排水勾配を付け、傾斜下端部には、下段の底板部8bに連なる樋部8eへと水を伝い落とす伝い棒12を設けたもので、植栽ボックス3の底面から排水された余分な水を支持フレーム2の下端側へと流下させ、図外の排水ポンプにより階段状立体花壇Aの外部へ建物の内外何れであっても、広い面積にわたって排水するようになっている。
【0023】
上記の構成によれば、階段状に配置された植栽ボックス3群や植栽ボックス3群に沿ったメンテナンス用の階段5を構造体としての支持フレーム2に設置するので、それらの下方に空間Sが形成されることになり、この空間Sには、段板6と段板6と間に形成した開口7(7a,7b)によって、採光及び通気が行われ、更に、透明な段板6を通しても採光が行われるので、階段状立体花壇Aの下方に、より多くの自然光を取り入れた明るくて空気が滞留することのない良好な環境の空間Sを形成することができる。
【0024】
また、水平方向に間隙を隔てて配置された植栽ボックス群列4の間隙に、メンテナンス用の階段5が植栽ボックス3群に沿って設けられているので、この階段5を使用することによって、植栽ボックス群の列が長くても、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行うことばでき、図2、図4に示すように、植栽ボックス3に植えた蔓性植物の蔓を段板6上に這わせることもできる。しかも、各々の植栽ボックス3を、支持フレーム2に対して着脱交換自在に構成したので、季節に応じた植生への入れ替え等を一層容易に、短時間で行え、支持フレーム2に各列の植栽ボックス群に対する潅水設備と排水設備とを設けてあるので、植生の日々の管理、育成も容易である。
【0025】
従って、階段状立体花壇Aの下方に、自然光を取り入れた明るい良好な環境の空間Sを形成することができることと、植栽ボックス3群に沿って設けられた階段5を使用して、植生の日々の管理、剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行えることとにより、階段状立体花壇Aの大規模化が可能であり、建物内外の広い面積に多量の緑化植物等を植栽して、自然との共生型の建造物とする大規模な植栽計画が可能になるのである。
【0026】
図示しないが、本発明は、階段5を不透明な材料で作製して、段板6と段板6との間に、植栽ボックス3群及び階段5の下方空間Sへの採光及び通気を可能とする開口7(7a,7b)を形成して実施することも可能あり、下方空間Sへの通気が不要な場合には、メンテナンス用の階段5の全体(段板6と蹴込み板の双方)を透明材料で作製し、透明な段板6と蹴込み板を通して下方空間Sへの採光がなされるように構成して実施することも可能である。
【0027】
また、図1〜図6に示した実施の形態では、階段状フレーム8,8同士をクロスバー9で連結して、支持フレーム2を構成し、クロスバー9上に、左右の階段状フレーム8,8間にわたって連続する段板6を設けて、階段状立体花壇Aを構成したが、前記クロスバー9を省略して、図7に示すように、段板6が階段状フレーム8で片持ち支持されたユニットA1,A2を対にして設置することにより、左右の段板6,6間にも開口がある一つの階段状立体花壇Aを構成してもよく、図8に示すように、クロスバー9上に、左右の階段状フレーム8,8間にわたって連続する段板6を設けて構成した階段状立体花壇Aと、段板6が階段状フレーム8に片持ち支持されたユニットA1又はA2とを組み合わせて、大規模な階段状立体花壇を構成してもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、上述した構成よりなるから、階段状立体花壇の下方に、外部からの光を取り入れた明るい良好な環境の空間を形成することができ、植生の剪定、季節に応じた植生への入れ替え等のメンテナンスを容易かつ安全に行え、建物内外の広い面積に多量の緑化植物等を植栽して、自然との共生型の建造物とする大規模な植栽計画が可能になる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る階段状立体花壇の概略側面図である。
【図2】階段状立体花壇の斜視図である。
【図3】要部の縦断側面図である。
【図4】要部の縦断正面図である。
【図5】階段状立体花壇の構成を説明する要部の分解斜視図である。
【図6】階段状立体花壇の構成を説明する要部の平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す階段状立体花壇の概略平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す階段状立体花壇の概略平面図である。
【符号の説明】
A…階段状立体花壇、2…支持フレーム、3…植栽ボックス、4…植栽ボックス群列、5…メンテナンス用の階段、6…段板、7(7a,7b)…開口。
Claims (5)
- 下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、不透明な材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置し、段板と段板と間に、植栽ボックス群及び階段の下方空間への採光及び通気を可能とする開口を形成してあることを特徴とする階段状立体花壇。
- 下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、透明材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置してあることを特徴とする階段状立体花壇。
- 下方に空間を形成する構造体としての支持フレームに、階段状に配置された植栽ボックス群を水平方向に間隙を隔てて複数列設置し、植栽ボックス群列の間隙に、段板が透明材料で作製されたメンテナンス用の階段を植栽ボックス群列に沿わせて設置し、段板と段板との間に、植栽ボックス群及び階段の下方空間への採光及び通気を可能とする開口を形成してあることを特徴とする階段状立体花壇。
- 各々の植栽ボックスが支持フレームに対して着脱交換自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の階段状立体花壇。
- 支持フレームに各列の植栽ボックス群に対する潅水設備と排水設備とが設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の階段状立体花壇。
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