JP3781328B2 - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ付きフイルムユニットに関し、更に詳しくは、フイルムカートリッジの取り出し時に遮光蓋が閉鎖されるレンズ付きフイルムユニットの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予め写真フイルムが装填され、簡単な撮影機構を備えたレンズ付きフイルムユニットが各種販売されている。このようなレンズ付きフイルムユニットのなかには、フイルム出入り口に遮光蓋を組み込んだフイルムカートリッジが装填されているものがある。フイルムカートリッジをレンズ付きフイルムユニットから取り出す際には、写真フイルムの曝光を防止するために遮光蓋が閉鎖されていなければならない。そのため、レンズ付きフイルムユニットからフイルムカートリッジを取り出す際、あるいは写真フイルムがフイルムカートリッジに全て巻き込まれた際に、遮光蓋を自動的に閉鎖する遮光蓋閉鎖機構が各種提案されている。
【0003】
前記遮光蓋閉鎖機構は、遮光蓋の端部に係合して回動自在とされた蓋閉じ部材と、この蓋閉じ部材を遮光蓋の閉じ位置に向けて付勢するバネと、このバネの付勢に抗して一端を蓋閉じ部材に係合させ遮光蓋の開き位置で保持する保持位置と、蓋閉じ部材の保持を解除する保持解除位置との間で揺動自在とされた保持レバーと、写真フイルムの全てがフイルムカートリッジ内に巻き込まれたことを検出して保持レバーによる蓋閉じ部材の保持を解除させる巻込み終了検出手段とからなる。
【0004】
前記巻込み終了検出手段としては、フイルムカートリッジのフイルム出入り口の近傍の写真フイルムの有無を検出するものや、全ての写真フイルムがフイルムカートリッジ内に巻き込まれるために必要な巻上げノブの回転数をカウントするものなどがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
レンズ付きフイルムユニットが製造されてから遮光蓋が閉鎖されるまでの期間は、レンズ付きフイルムユニット個々で大きく差があり、保持レバーが長期間にわたって蓋閉じ部材を遮光蓋の開き位置で保持する場合がある。保持レバーや蓋閉じ部材は、コストや重量,強度,リサイクル性等との兼ね合いからポリスチレン等の安価なプラスチックによって製造されるが、蓋閉じ部材を遮光蓋の閉じ位置に向けて付勢するバネの付勢力や熱,振動等の影響によって、保持レバーと蓋閉じ部材とが固着してしまうことがあった。これによれば、巻込み終了検出手段が保持レバーに蓋閉じ部材の保持を解除させても、保持レバーと蓋閉じ部材とがくっついているため遮光蓋が閉鎖されず、これに気付かずにフイルムカートリッジをレンズ付きフイルムユニットから取り出して撮影済みの写真フイルムを曝光してしまうという問題がある。
【0006】
また、保持レバーと蓋閉じ部材との固着は、材料に高価なプラスチックを使用すれば発生しないが、低価格で販売されるレンズ付きフイルムユニットには使用することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、フイルムカートリッジの取り出し時に確実に遮光蓋が閉鎖されているようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、フイルムカートリッジ内に写真フイルムの全てが巻き込まれたことを検出する巻込み終了検出手段に、保持レバーに蓋閉じ部材の保持を解除させる前に、蓋閉じ部材の保持が解除されない程度に保持レバーを揺動させて、保持レバーと蓋閉じ部材との固着を解消する機能を持たせたものである。
【0009】
また、蓋閉じ部材と保持レバーとを異なる材料で成形し、固着しにくくしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明のレンズ付きフイルムユニット2の外観を示すものである。レンズ付きフイルムユニット2の前面には、撮影レンズ3,対物側ファインダ窓4,ストロボ発光を行うストロボ発光部5,ストロボユニットのオン,オフの切り換えを行う充電操作部材6,ファインダの視野範囲を切り換えるファインダ切換え操作つまみ7が設けられている。また、上面にはシャッタボタン8,残り撮影可能枚数を表示するカウンタ窓9,ストロボ充電の完了を表示する表示用ライトガイド10が突出される開口11や、全ての写真フイルムの巻き上げとフイルムカートリッジの遮光蓋の閉鎖との完了を示唆する表示開口12とが設けられている。また、レンズ付きフイルムユニット2の背面側からは、1コマの撮影ごとに回転操作される巻上げノブ13が露呈され、対物側ファインダ窓4に対面する位置に接眼側ファインダ窓14(図3参照)が設けられている。
【0011】
図3に示すように、レンズ付きフイルムユニット2は、写真フイルム16と略円柱形状のカートリッジ本体17とからなるフイルムカートリッジ18が装填される本体部19と、この本体部19の前面に組み付けられる露光ユニット20及びストロボユニット21と、本体部19の前面側及び背面側を覆うように組み付けられる前カバー22及び後カバー23とから構成されており、これらは爪係合によって組み立てられる。
【0012】
本体部19の前面側中央部には、前面側に組み付けられた露光ユニット20から写真フイルム16までの間の撮影光路を遮光する遮光筒25が設けられている。この遮光筒25の前面側には露光開口25aが形成されており、背面側には写真フイルム16への露光範囲を規定するアパーチャーが形成されている。遮光筒25を挟む左右には、カートリッジ本体17とロール状に巻かれた写真フイルム16とが製造段階で収納されるカートリッジ室26とフイルムロール室27とが一体に形成されている。カートリッジ室26の上部には、カートリッジ本体17のスプール28に係合する巻上げノブ13と、写真フイルム16が全てカートリッジ本体17に巻き込まれたことを検知して、カートリッジ本体17の遮光蓋29を閉鎖するとともに巻上げノブ13をロックする遮光蓋閉鎖機構とが組み込まれている。
【0013】
露光ユニット20は、写真フイルム16の移動によってチャージされるとともに、シャッタボタン8の押圧によってレリーズされるシャッタ機構と、写真フイルム16の残り撮影可能枚数をカウントして表示するカウンタ機構と、写真フイルム16の1コマ分の巻き上げを検知して巻上げノブ13の回転をロックするフイルム巻止め機構の他、撮影レンズ3やファインダ光学系32等が一体に組み込まれてユニット化されている。フイルム巻止め機構は、写真フイルム16の全てのコマへの撮影が終了すると、巻上げノブ13のロックを行わなくなる。
【0014】
また、この露光ユニット20には、ストロボユニット21の充電完了を表示する表示用ライトガイド10が上下方向でスライド自在に取り付けられている。この表示用ライトガイド10は、充電操作部材6の上方へのスライド操作に連動してレンズ付きフイルムユニット2の上面から外部に突出する。
【0015】
ストロボユニット21は、各種電気部品が取り付けられてストロボ回路が形成されたプリント基板34と、このストロボ基板34に取り付けられ、放電管やリフレクタ,拡散板等からなるストロボ発光部5とからなる。プリント基板34の下部には、ストロボユニット21の電源として用いられる乾電池35を保持するとともに、ストロボ回路に電気的に接続する金属接片36a,36bが取り付けられている。また、プリント基板34の前面側には複数の導電部37が設けられており、これらの導電部37の前面側には、充電操作部材6が上方のオン位置に向けてスライドされると、充電操作部材6の背面に形成された突起(図示せず)に押圧されてプリント基板34の導電部37に接触し、ストロボ回路にストロボ充電を行わせる金属製の充電スイッチ接片38が配置される。
【0016】
前カバー22は、シャッタボタン8や表示開口12等が一体に形成された前カバー本体40と、この前カバー本体40の前面中央部に取り付けられる前面パネル41と、これら前カバー本体40と前面パネル41との間に組み込まれる視野切換板(図示せず)及び充電操作部材6とからなる。視野切換板は、前カバー本体40と前面パネル41との間で撮影光軸の周りに回動自在に取り付けられており、前面パネル41に形成された円弧形状のスリット42内でスライド操作される操作つまみ7によって回動される。視野切換板には、対物側ファインダ窓4と露光ユニット20のファインダ光学系32との間に挿脱される複数のファインダ枠が一体に形成されている。これらのファインダ枠は、ファインダ視野をパノラマ,ハイビジョン,標準視野等に制限する。
【0017】
また、視野切換板はファインダ視野の切り換え以外に、プリントサイズを示すドットマークを写真フイルム16に写し込むマーク写し込み機構をも切り換える。マーク写し込み機構44は、本体部19の遮光筒25の下部に組み込まれており、詳しくは図示しないが、写真フイルム16の撮影範囲外に対面するように設けられた2個の写し込み開口と、これらの写し込み開口を選択的に開放,閉鎖するマーク切り換え板と、このマーク切り換え板を介して写し込み開口にマーク写し込み用の光をガイドする写し込み用ライトガイドと、これらを外光から遮光する遮光カバーと、視野切換板の回動をマーク切り換え板に伝達する回動レバー,スライドレバー等からなる。なお、写し込み用の光は、ストロボユニット21のプリント基板34の背面側に取り付けられた発光素子が用いられる。
【0018】
後カバー23には、写真フイルム16の背面側を支持するフイルム支持面23aが形成されている。また、本体部19のカートリッジ室26とフイルムロール室27との底面側を覆う底蓋46と底蓋47とが一体に設けられている。これらの底蓋46,47は、後カバー23に対して屈曲自在な薄肉部を介して連結されており、底蓋46は、使用後のレンズ付きフイルムユニット2からフイルムカートリッジ18を取り出す際に開放される。
【0019】
図4に示すように、カートリッジ本体17は、プラスチックで成形された略半円柱形状の第1ケース48,第2ケース49と、これら第1ケース48,第2ケース49の外側に巻き付けられるラベル50と、組み合わされた第1ケース48,第2ケース49の内部に組み込まれる各種部品とから構成されている。
【0020】
カートリッジ本体17内にはスプール28が回転自在に収納され、このスプール28に写真フイルム16の一端が係止される。また、スプール28の両端には、巻上げノブ13が係合される係合穴28aが形成されており、第1,第2ケース48,49の端面から外部に露呈される。この係合穴28a内には、キー溝28bが形成されている(図5参照)。
【0021】
第1,第2ケース48,49の合わせ目には、カートリッジ本体17から写真フイルム16を出入りさせるためのフイルム出入り口52が形成されており、このフイルム出入り口52の奥には、外部から駆動されて回動することによりフイルム出入り口52を開閉する遮光蓋29が組み込まれている。この遮光蓋29の両端には、遮光蓋29を回動させる駆動軸が係合する係合部29aが形成されており、スプール28と同様に第1,第2ケース48,49の両端部から外部に露呈される。
【0022】
第2ケース49のフイルム出入り口52の奥には、突起54が形成されている。この突起54は、スプール28に巻かれた写真フイルム16の先端部をすくい上げてフイルム出入り口52に導く。
【0023】
スプール28の両端部には、ディスク56,57が回転自在に嵌め込まれる。これらのディスク56,57の外周には、リップ56a,57aがそれぞれ向き合うように突出し、スプール28に巻かれた写真フイルム16の最外周を両端側から部分的に包み込み、カートリッジ本体17内での巻き緩みを防止する。これにより、スプール28が図中時計方向であるフイルム送出し方向に回転すると、写真フイルム16はスプール28と一緒に回転し、この回転途中で写真フイルム16の先端が突起54に導かれてフイルム出入り口52から外部に送り出される。
【0024】
スプール28の端部でディスク56の外側には、ロック部材59が取り付けられる。このロック部材59には、表示板60とロックギヤ59aとが一体に形成されており、スプール28と一体に回転する。符号62は、スプール28をロックするロックレバーである。ロックレバー62は、遮光蓋29が閉じ位置に回動したときに遮光蓋29に一体に形成されたカムによって押圧され、ロック部材59のロックギヤ59aに噛合してスプール28の回転をロックする。このロックレバー62によるスプール28のロックは、遮光蓋29が開き位置に回動したときに解除される。
【0025】
スプール28の他方の端部には、扇形に切り欠かれたデータ板64が一体に形成されており、その表面には放射状のバーコードが印刷されている。このバーコードは、収納した写真フイルム16の感度,撮影枚数等を示すもので、カメラ等の機器に装填された時に、機器内の装置で読み取られる。
【0026】
図5に示すように、表示板60が配置される側のカートリッジ本体17の端面には、形状の異なる4個の表示開口67a,67b,67c,67dが形成されている。各表示開口67a〜67dには、それぞれ写真フイルム16の使用状態を表す「未使用」,「撮影途中」,「撮影済み」,「現像済み」という意味が与えられている。前述の表示板60は、カートリッジ本体17内で表示開口67a〜67dの背後をスプール28と一体に回転し、いずれかの表示開口の背後で停止される。そして、表示板60が見えている表示開口に与えられている意味が、カートリッジ本体17内に収納されている写真フイルム16の状態を示すものとなる。なお、表示板60が表示開口67cの背後にあるときの係合穴28aのキー溝28bの向きは、カートリッジ本体17の基準線Lに対してθの角度となる。
【0027】
図1及び図6に示すように、カートリッジ室26の上面中央には軸受け部70が形成されており、この軸受け部70には巻上げノブ13が回転自在に取り付けられる。巻上げノブ13の外周面にはギヤ13aが形成されており、回転操作(図中反時計方向)する際の指掛りがしやすくなっている。このギヤ13aには、露光ユニット20に組み込まれたフイルム巻止め機構を構成する係止レバーがフイルム巻止め時に噛合するとともに、巻上げノブ13の逆方向(図中時計方向)への回転を阻止する逆止爪71が噛合する。この逆止爪71は、カートリッジ室26の上面に形成されている。なお、図面の煩雑化を避けるために、逆止爪71を途中までしか描いていないが、本来の逆止爪71は、図3に示すように、巻上げノブ13のギヤ13aに係合する形態となっている。
【0028】
巻上げノブ13の下面には、軸受け部70を介してカートリッジ本体17のスプール28の係合穴28aに挿入される駆動軸73と、巻込み終了検出手段を構成する間欠ギヤ74と、カム突条75とが一体に設けられている。駆動軸73には、スプール28の係合穴28aのキー溝28bに係合するように、その外周面にキー73aが形成されている。間欠ギヤ74は、軸受け部70の外側に配置され、外周面に歯74aが1つ設けられている。カム突条75は、円環状の突条の内壁面75aがカムとして用いられるもので、内壁面75aには、写真フイルム16が全てカートリッジ本体17内に巻き込まれた際に巻上げノブ13をロックするために使用されるロック用切欠75bが形成されている。
【0029】
また、カートリッジ室26の上面には多数のピンが立設されており、これらのうちの2本には、巻込み終了検出手段を構成する減速ギヤ77とカウンタギヤ78とが回転自在に取り付けられる。減速ギヤ77は、大径の上ギヤ77aと小径の下ギヤ77bとからなり、上ギヤ77aは間欠ギヤ74の歯74aに間欠に噛合されて所定角度(一歯分)ずつ歩進される。下ギヤ77bは、巻上げノブ13の回転数をカウントするカウンタギヤ78に噛合する。
【0030】
カウンタギヤ78は、全ての写真フイルム16が巻き上げられた後に誤って回転しないように、カウント終了後に減速ギヤ77に対面する部分には歯が形成されていない。カウンタギヤ78の上部には、カウンタギヤ78と一緒に回転するカム円板82が一体に設けられている。このカム円板82の外周面には、巻上げノブ13の回転数を検出するための切欠83が形成されており、この切欠83の回転方向の上流側には固着解消用の突起84が形成されている。
【0031】
カートリッジ室26の上面から側方に向けて突出される突出部26aの上面には、減速ギヤ77の上ギヤ77aに係合して震動や衝撃等により減速ギヤ77及びカウンタギヤ78が誤回転するのを防止する弾性片80aが設けられた板バネ80が取り付けられる。なお、この板バネ80には、カウンタギヤ78に係合する弾性片腕部80bがもう1本設けられているが、この弾性片80bは、カートリッジ室26の上面にカウンタギヤ78を組み付ける際の位置決めに用いられるれる。なお、自動組み立て等で位置決めが必要ない場合や、他の位置決め方法を用いる場合には、板バネ80には弾性80aだけを設ければよい。
【0032】
なお、巻上げノブ13の回転数を直接カウンタギヤ78でカウントしてもよいが、最多のコマ数の写真フイルム16(例えば40枚撮り)を全てカートリッジ本体17内に巻き上げる場合には、スプール28をおよそ45回転させなければならず、カウンタギヤ78が1回転以上してしまうという問題がある。また、これだけの回転数をカウンタギヤ78の1回転以内でカウントするには、インボリュート歯形を用いる場合にピッチ円直径が12〜15mmも必要となり、カートリッジ室26の上部に組み込むことができなくなる。そのため、本発明では、間欠ギヤ74とカウンタギヤ78との間に減速ギヤ77を組み込んでいる。
【0033】
カートリッジ室26の上面で、カートリッジ本体17の遮光蓋29に対面する位置には軸受け穴86が形成されており、この軸受け穴86には、遮光蓋29を閉鎖する蓋閉じ部材87が回動自在に取り付けられる。この蓋閉じ部材87は、遮光蓋29の係合穴29aに挿入されて係合する係合軸87aと、この係合軸87aの上部に一体に形成された係止レバー部88とからなる。この蓋閉じ部材87は、係止レバー部88に取り付けられるバネ89によって、図中反時計方向の遮光蓋29の閉じ位置に向けて付勢されている。
【0034】
また、カートリッジ室26の上面の別のピンには、一端に蓋閉じ部材87の係止レバー88に係合する係合爪91aが形成され、他端にカム円板82の外周面82aに対面する検知用突起91bが形成された保持レバー91が揺動自在に取り付けられる。この保持レバー91の係合爪91aは、蓋閉じ部材87の係止レバー部88に形成された被係合爪88aに、蓋閉じ部材87が遮光蓋29の開き位置にある状態で係合する。これにより、保持レバー91は、蓋閉じ部材87を介してバネ89によって図中時計方向に付勢されることになり、他端部に設けられた検知用突起91bがカム円板82の外周面82aに圧接する。なお、軸受け穴86の近傍には、遮光蓋29の閉じ位置に回動した蓋閉じ部材87の回転量を規制する規制ピン90が立設されている。
【0035】
保持レバー91は、カウンタギヤ78の上方でカム円板82に当接するため、カウンタギヤ78に干渉しないように部分的に薄肉化されている。また、保持レバー91の上部には、カム突条75の内側に配置され、全ての写真フイルム16の巻込み終了後にカム突条75の切欠75bに係合するロック用突起93と、同じく全ての写真フイルム16の巻込み終了後に表示開口12から外部に表示される表示部94aを有する表示用アーム部94とが一体に形成されている。この表示部94aは、前カバー22及び後カバー23とは異なる色で着色されて視認しやすくなっている。なお、保持レバー94を前カバー22及び後カバー23と異なる色のプラスチックで成形する場合には、表示部94aに着色を施す必要はない。
【0036】
次に上記実施形態の作用について説明する。図2及び図3に示すレンズ付きフイルムユニット2の組立て工程では、暗室でフイルムカートリッジ18を装填する作業がある。この作業は、カートリッジ本体17から未露光の写真フイルム16を引き出してフイルムロールを作成し、カートリッジ本体17をカートリッジ室26に軸方向から装填した後に、フイルムロールをフイルムロール室27に背面側から装填している。このときのカートリッジ本体17からの引出し量は管理されており、この引出し量はフイルム後端部の最初のコマを露光開口25aにセットする分だけ引き出した後に、さらに1コマ分の長さだけ引き出す。このように工場で未露光の写真フイルム16の引出し量を管理することで、フイルムロール室27に収納された写真フイルム16をカートリッジ本体17の内部に全部巻き込むための巻上げノブ13の所定回転数を一定にすることができる。
【0037】
各部品が組み込まれ、フイルムカートリッジ18が装填されたレンズ付きフイルムユニット2は、各種検査を経て包装され出荷される。このレンズ付きフイルムユニット2では、全てのコマへの撮影終了後にロックが掛かるまで巻上げノブ13の回転を続けてもらうための説明が、例えば包装袋や外装面に記されている。
【0038】
使用前のレンズ付きフイルムユニット2の遮光蓋閉鎖機構は、図6に示すように、カム円板82の外周面82aに保持レバー91の検知用突起91bが当接している。また、蓋閉じ部材87は、保持レバー91の係合爪91aに被係合爪88aが係合されているため、バネ89の付勢に抗して遮光蓋29の開き位置に保持されている。保持レバー91の表示用アーム部94の表示部94aは、表示開口12から外れた位置にあるため表示開口12からは視認されない。
【0039】
未使用時のレンズ付きフイルムユニット2は、シャッタチャージが行われておらず、また巻上げノブ13がロックされていないため、最初に撮影を行う際には、巻上げノブ13を回転操作してシャッタチャージを行う。巻上げノブ13が回転操作されると、駆動軸73に係合されたカートリッジ本体17のスプール28が回転し、写真フイルム16がスプール28に巻き付けられてカートリッジ本体17内に巻き上げられる。この写真フイルム16の移動により、露光ユニット20に組み込まれたシャッタ機構がチャージされ、更にフイルム巻止め機構により巻上げノブ13がロックされる。
【0040】
また、巻上げノブ13の回転により、一体に回転する間欠ギヤ74が歯74aで減速ギヤ77の上ギヤ77aを所定角度回転させ、これと一体に回転する下ギヤ77bがカウンタギヤ78を回転させる。カム円板82は、外周面82aに保持レバー91の検知用突起91bが圧接した状態でカウンタギヤ78と一体に回転する。
【0041】
シャッタチャージ後は、接眼側ファインダ窓14を覗いて撮影範囲を確認する。また、ストロボ撮影を行う場合には、充電操作部材6を上方にスライドさせてストロボ充電を行う。更に、撮影サイズを切り換える場合には操作つまみ7を操作してファインダの視野範囲を切り換えるとともに、マーク写し込み機構を切り換える。撮影準備の完了後にシャッタボタン8を押下すると、露光ユニット20のシャッタ機構がレリーズ動作する。これにより、撮影レンズ3と露光開口25aと介して写真フイルム16が露光される。また、同時にマーク写し込み機構により、写真フイルム16の撮影範囲外にプリント範囲を示すマークが写し込まれる。
【0042】
以上のように写真フイルム16の全てのコマに撮影が終了すると、露光ユニット20のフイルム巻止め機構が動作しなくなる。ユーザーは、包装袋等の説明に従って、巻上げノブ13にロックがかかるまで巻上げノブ13を回転操作する。カム円板82の外周面82aに形成された切欠83は、写真フイルム16の全てがカートリッジ本体17内に巻き込まれる所定回転数だけ巻上げノブ13が回転操作されると、保持レバー91の検知用突起91bに対面する。
【0043】
切欠83が検知用突起91bに対面すると、保持レバー91はバネ89に付勢された蓋閉じ部材87に押圧され、検知用突起91bを切欠83内に挿入するようにして図中時計方向に揺動される。これにより、保持レバー91のロック用突起93がカム突条75の内壁面75aに当接する。この状態から更に巻上げノブ13が回転されると、巻上げノブ13の1回転以内でカム突条75のロック用切欠75bがロック用突起93に対面し、保持レバー91はロック用突起93をロック用切欠75bに、検知用突起91bをカム円板82の切欠83に挿入するようにバネ89の付勢によって揺動する。
【0044】
更に巻上げノブ13が回転されると、図7に示すように、ロック用突起93とロック用切欠75bとが係合するので、巻上げノブ13の回転がロックされる。また、巻上げノブ13が保持レバー91によってロックされた状態では、巻上げノブ13の駆動軸73のキー73aが、基準線Lに対してθの角度となるため、カートリッジ本体17の表示板60は、図5に示すように、撮影済みを表す表示開口67cの背後で停止されることになる。これにより、ユーザーがレンズ付きフイルムユニット2からフイルムカートリッジ18を取り出した場合でも、未使用品と誤ってカメラに装填してしまうという問題が発生しない。
【0045】
なお、保持レバー91のロック用突起93がカム突条75の内壁面75aに当接してから巻上げノブ13が回転されるが、巻上げノブ13が所定回転数だけ回転されると、変速ギヤ77の下ギヤ77bにはカウンタギヤ78の歯の無い部分が対面するため、巻上げノブ13の回転によってカウンタギヤ78が回転してしまうことはない。
【0046】
また、保持レバー91が揺動すると蓋閉じ部材87は遮光蓋29の開き位置での保持が解除されるため、バネ89の付勢によって図中反時計方向の遮光蓋29の閉じ位置に向けて回動され、同時に蓋閉じ部材87の係合軸87aに係合された遮光蓋29も閉じ位置に回動される。閉じ位置に向けて回動した蓋閉じ部材87は、係止レバー88が規制ピン90に当接することにより回転を規制されるので、バネ89の付勢によって遮光蓋29が破損するようなことはない。遮光蓋29が閉鎖された後には、係止レバー部88の外周が保持レバー91の係合爪91aに当接して保持レバー91の不要な揺動を阻止する。
【0047】
保持レバー91が揺動すると、表示用アーム部94の表示部94aは表示開口12の下に移動するので、レンズ付きフイルムユニット2の外から表示開口12内を見ることにより、フイルム巻き上げと遮光蓋29の閉鎖とが終了しているか否かを簡単に確認することができる。
【0048】
使用後のレンズ付きフイルムユニット2は、そのまま現像所に提出される。現像所では、表示開口12を確認することにより、写真フイルム16が全て巻き上げ済みであるか否かがすぐに判断することができ、巻き上げが完了している場合には、そのレンズ付きフイルムユニット2をフイルムカートリッジ18の取出し工程に送り、巻き上げが完了していない場合には、巻上げノブ13にロックがかかるまで回転操作してからフイルムカートリッジ18の取出し工程に送る。
【0049】
取出し工程では、レンズ付きフイルムユニット2の底蓋46を開放してフイルムカートリッジ18が取り出される。遮光蓋29が閉じられているフイルムカートリッジ18は、明室内でレンズ付きフイルムユニット2から取り出すことができるので、取出し工程は明室に設けることができる。取り出されたフイルムカートリッジ18は、閉じ位置に回転されている遮光蓋29に押圧されたロックレバー62によりスプール28がロックされているので、使用状態の表示は確実に撮影済みとなっている。
【0050】
取り出したフイルムカートリッジ18からは写真フイルム16が引き出され、現像処理される。現像処理された写真フイルム16は、マーク写し込み機構によって写し込まれたマークにしたがって、指定のサイズでプリントされる。現像済みの写真フイルム16は、元のカートリッジ本体17に巻き戻され、このカートリッジ本体17は表示板60が「現像済み」を表す表示開口67dの背後に停止された状態でプリント写真とともにユーザーに返却される。
【0051】
また、レンズ付きフイルムユニット2が製造されてから全ての写真フイルム16への撮影が終了するまで、製品によっては長い期間がかかるため、その期間中のバネ89の強い付勢力や熱,振動等の環境によって、保持レバー91の係合爪91aと蓋閉じ部材78の被係合爪88aとが固着してしまうことがある。しかしながら、カム円板82には、切欠83の回転方向の上流側に突起84が設けられているので、図8に示すように、切欠83が保持レバー91の検知用突起91bに対面する前に、突起84が検知用突起91bに当接して保持レバー91を揺動させる。これにより、保持レバー91の係合爪91aと蓋閉じ部材78の被係合爪88aとが固着していても確実に固着が解消され、切欠83が検知用突起91bに対面した際には、遮光蓋29が適正に閉鎖される。
【0052】
なお、上記実施形態では、写真フイルムの巻き込みの終了直前に保持レバーを揺動させるようにしたが、巻上げノブや間欠ギヤに保持レバーを僅かに揺動させる突起を設け、巻上げノブの回転操作のたびに保持レバーを揺動させて固着を防止するようにすることもできる。
【0053】
また、遮光蓋の閉鎖時に巻き上げノブをロックするようにしたが、必ずしも巻き上げノブをロックする機構が設けなくてもよい。更に、蓋閉じ部材を付勢するバネの付勢力によって保持レバーを揺動させたが、保持レバーをバネにより付勢し、その際の揺動によって蓋閉じ部材を遮光蓋の閉じ位置に向けて回動させることもできる。
【0054】
更に、保持レバーに設けた表示部と表示開口とによって、写真フイルムの巻き込みと遮光蓋の閉鎖との完了表示を行うようにしたが、蓋閉じ部材の閉じ位置への回動に連動して表示部材をレンズ付きフイルムユニットから突出させたり、あるいは引っ込ませたりしてもよい。また、カウンタギヤの上面に表示用のマークを設け、このマークを表示開口から視認できるようにしてもよい。更に、視覚的な表示を省いて、巻上げノブのロックだけで巻き込み完了表示を行ってもよい。
【0055】
また、間欠ギヤとカウンタギヤとの間に減速ギヤを設けたが、カウンタギヤの歯数内で全て巻き上げられる枚数の写真フイルムならば、減速ギヤを省くことができる。同様に、必要な歯数を備えたカウンタギヤを組み込むスペースがレンズ付きフイルムユニット内に得られるならば、減速ギヤを省くことができる。
【0056】
更に、巻込み終了検出手段としては、写真フイルムが全てカートリッジ本体内に巻き上げられるだけの巻き上げノブの回転数をカウントする方法を用いたが、特開平8−211565号公報記載の発明で提案されているように、フイルムカートリッジのフイルム出入り口の近傍で写真フイルムの有無を直接的に検出する方法を用いてもよい。
【0057】
また、上記写真フイルムのカートリッジ本地外の存在を直接検出するタイプの巻込み終了検出手段において、保持レバーを予備的に揺動させることができない場合には、保持レバーの揺動は行わなくてもよい。この場合には、保持レバーと蓋閉じ部材とを、ポリアセタール(POM)とポリスチレン(PS)等の異なるプラスチックでそれぞれ成形する。異なる種類のプラスチック間では固着が起こりにくいため、保持レバーの予備的な揺動を行わなくても、遮光蓋を確実に閉鎖することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレンズ付きフイルムユニットよれば、保持レバーに蓋閉じ部材の保持を解除させる前に、蓋閉じ部材の保持が解除されないように保持レバーを揺動させ、保持レバーと蓋閉じ部材との固着を解消するようにしたので、写真フイルムの巻き込み終了後に確実にフイルムカートリッジの遮光蓋を閉鎖することができる。また、カム円板の外周面に突起を設けるだけでなので、低コストに採用することができる。
【0059】
また、蓋閉じ部材と保持レバーとを異なる材質で成形して固着しにくくしたので、特別な機構や手段等を設けずに写真フイルムの巻き込み終了後に確実にフイルムカートリッジの遮光蓋を閉鎖することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遮光蓋閉鎖機構の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のレンズ付きフイルムユニットの外観を示す斜視図である。
【図3】レンズ付きフイルムユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図4】カートリッジ本体の構成を示す分解斜視図である。
【図5】カートリッジ本体の表示開口が設けられた側の端面を示す側面図である。
【図6】未使用時の際の遮光蓋閉鎖機構の状態を示す平面図である。
【図7】フイルム巻込み完了時の際の遮光蓋閉鎖機構の状態を示す平面図である。
【図8】保持レバーと蓋閉じ部材との固着解消時の遮光蓋閉鎖機構の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
2 レンズ付きフイルムユニット
13 巻上げノブ
16 写真フイルム
17 カートリッジ本体
18 フイルムカートリッジ
74 間欠ギヤ
75 カム突条
77 減速ギヤ
78 カウンタギヤ
82 カム円板
84 突起
87 蓋閉じ部材

Claims (1)

  1. フイルム巻取り用のスプールを収納するとともに、写真フイルムが出入りするフイルム出入り口を開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置との間で回動自在な遮光蓋が組み込まれたフイルムカートリッジが予め装填され、
    該遮光蓋の端部に係合して回動自在とされた蓋閉じ部材と、
    この蓋閉じ部材を遮光蓋の閉じ位置に向けて付勢するバネと、
    このバネの付勢に抗して一端を蓋閉じ部材に係合させ、該蓋閉じ部材を遮光蓋の開き位置で保持する保持位置と蓋閉じ部材の保持を解除する保持解除位置との間で揺動自在とされた保持レバーと、
    前記写真フイルムの全てがフイルムカートリッジ内に巻き込まれた際に、保持レバーを保持解除位置に揺動させる巻込み終了検出手段とからなる遮光蓋閉鎖機構を備えたレンズ付きフイルムユニットにおいて、
    前記巻込み終了検出手段は、巻上げノブと同軸で一体に回転する間欠ギヤと、
    この間欠ギヤに間欠に噛合されて所定角度ずつ歩進されるカウンタギヤと、
    このカウンタギヤと同軸で一体に回転し外周面に保持レバーの他端が当接するカム円板と、
    このカム円板の外周面に設けられ、写真フイルムが全てフイルムカートリッジ内に巻き込まれるだけ巻上げノブが回転された際に、保持レバーの他端に対面して蓋閉じ部材の保持を解除させる切欠と、
    この切欠よりもカム円板の回転方向の上流側でカム円板の外周面に設けられ、保持レバーの他端に当接して保持レバーを揺動させる突起を備え、
    前記突起は、保持レバーを保持解除位置に揺動させる前に、蓋閉じ部材の保持が解除されないように該保持レバーを揺動させ、保持レバーと蓋閉じ部材との固着を解消することを特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
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