JP3781139B2 - 溶接線倣い制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開先幅方向に溶接トーチを揺動させ、揺動両端の電流差により溶接線に追従させる溶接線倣い制御方法において、特に溶接線逸脱時に逸脱を迅速に把握し溶接を中断あるいは終了させるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶接トーチを揺動させ、揺動両端の電流を比較し溶接線を倣わせる方法において、溶接トーチが溶接線を逸脱した場合の制御方法には、特公平2−15082がある。この制御方法は、教示された軌跡を基準線とし倣い装置から出力された位置ずれ情報により修正された位置と前記基準線との距離を常時監視し、ロボットが設定時間以上教示された軌跡近傍の軌跡修正可能領域を逸脱したことを検出した際、ロボットを倣い装置からの位置ずれ情報とは無関係にあらかじめ教示された軌跡に強制的に戻し、その後再び修正位置情報に基づいてロボットに動作指令を与えるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した制御手段では、教示された軌跡を基準線とした場合、基準線近傍の軌跡修正可能領域を設定しなければならない。この時、軌跡修正可能領域を小さくすると、溶接トーチは逸脱していないのにもかかわらず、前記制御手段によりロボットが強制的に基準線に戻されてしまう。図3にそのときの状況を示す。教示線に対して実際の溶接ワークが大きくずれていて、実際溶接しなければいけない溶接線(以下実溶接線と記す)が軌跡修正可能領域より大きい場合、図3に示すように軌跡修正可能領域境界線にてロボットは強制的に教示線に戻されてしまい正常に溶接を行えない。逆に、軌跡修正可能領域を大きくすると、ロボットが溶接線を逸脱しても前記制御手段が動作せず逸脱状態で溶接を行ってしまう。図4にその時の状況を示す。教示線に対して実溶接線が大きくずれていて、実溶接線は図4に示すように軌跡修正可能領域内にあるとすると、ロボットは常に軌跡修正可能領域内にあるのでロボットは逸脱状態にて溶接を行うことがある。
上述したように、従来方法では、教示線に対して実溶接線がどの程度ずれるかを考慮する必要があり、それに基づいて軌跡修正可能領域を設定するため、条件設定が難しく、場合によっては逸脱した状態で溶接を行う可能性がある。
そこで、本発明は実溶接線がどの程度ずれるかにかかわらず、溶接逸脱時に逸脱状態を瞬時に把握し、溶接を中断あるいは終了させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、揺動両端において電流を検出し、揺動両端の電流差の許容値を設定し、前記揺動両端の電流差が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了させるようにすることを特徴とする溶接線倣い制御方法である。
【0005】
また、本発明は、溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、検出電流の上限値・下限値を設定し、検出電流値が設定された上限値と下限値で囲まれた範囲内にあるかを監視し、検出電流値が前記設定範囲外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了させるようにしたことを特徴とする溶接線倣い制御方法である。
【0006】
また、本発明は、溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、揺動両端において電流を検出し、揺動両端の電流差の単位時間当たりの変化量を求め、揺動両端の電流差の単位時間当たりの変化量の許容値を設定する手段と、前記揺動両端の電流差の単位時間当たりの変化量が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了させるようにしたことを特徴とする溶接線倣い制御方法である。
【0007】
また、本発明は、溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、電流を検出し、検出電流の単位時間当たりの変化量を求め、検出電流の単位時間当たりの変化量の許容値を設定し、前記検出電流の単位時間当たりの変化量が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了させるようにしたことを特徴とする溶接線倣い制御方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
ロボットは溶接トーチを図2に示すように揺動させながら溶接を行っている。図2の如く、揺動両端の電流をIL及びIR、揺動中央の電流をICとする。図1の上部は、溶接ロボットが実際に溶接する場合の一例であり、1は溶接開始点、2は教示時の溶接終了点、3は実際に溶接を行うときの溶接終了点、4は溶接ロボットが実溶接線に対し、逸脱を開始する点(以降逸脱開始点と記す)である。図1の下部は、溶接トーチが溶接線を逸脱する時の揺動両端の電流差IL−IRの波形を示している。溶接ロボットは、溶接開始点1より検出された位置ずれ情報に基づいて、実際に溶接を行うときの終了点3に向かい進行しているとする。この時、正しい溶接位置ずれ情報が得られず逸脱開始点4にて逸脱開始する。この時、図示するように逸脱開始点4において揺動両端の電流差IL−IRは急激に変化し、定常状態と比較して明らかに電流波形が異なる。図中の電流設定値5、6を設定することにより、電流変化の異常を検出して直ちに溶接を中断または終了させてロボットを停止することができる。又、揺動両端の電流差IL−IRの代わりに検出電流、あるいは揺動両端の電流差IL−IR又は検出電流値の単位時間の変化量を用いても同様な効果が得られる。
【0009】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば軌跡修正可能領域を設定する必要がなく、揺動両端の電流差の許容値を設定し、揺動両端の電流差が設定された許容値以内にあるかを監視するだけでよく、瞬時に溶接トーチの逸脱を把握でき、溶接を中断あるいは終了させることができる。又、教示線に対して、実際の溶接線が大きくずれた場合でも、溶接トーチの逸脱が把握できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する図
【図2】溶接トーチの動きを表す模式図
【図3】従来方法の問題点(軌道修正可能領域が小さい場合)
【図4】従来方法の問題点(軌道修正可能領域が大きい場合)
【符号の説明】
1…溶接開始点
2…教示時の溶接終了点
3…実際に溶接を行うときの溶接終了点
4…逸脱開始点
Claims (4)
- 溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、揺動両端において電流を検出し、前記揺動両端の電流差が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了させるようにすることを特徴とする溶接線倣い制御方法。
- 溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、検出電流の上限値・下限値を設定し、検出電流値が設定された上限値と下限値で囲まれた範囲内にあるかを監視し、検出電流値が前記設定範囲外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了するようにすることを特徴とする溶接線倣い制御方法。
- 溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、揺動両端において電流を検出し、揺動両端の電流差の単位時間当たりの変化量を求め、前記揺動両端の電流差の単位時間当たりの変化量が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了するようにすることを特徴とする溶接線倣い制御方法。
- 溶接トーチを開先幅方向に揺動させてアーク長およびワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法において、電流を検出し、検出電流の単位時間当たりの変化量を求め、前記検出電流の単位時間当たりの変化量が設定された許容値以内にあるかを監視し、許容値以外の状態が予め設定された時間以上連続した場合、または予め設定された回数を越えた場合、前記溶接トーチが前記溶接線を逸脱したと判断し、溶接を中断あるいは終了するようにすることを特徴とする溶接線倣い制御方法。
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- 1996-06-10 JP JP17177396A patent/JP3781139B2/ja not_active Expired - Fee Related
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