JP3186539B2 - アーク溶接の溶滴移行形態設定管理装置 - Google Patents

アーク溶接の溶滴移行形態設定管理装置

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JP3186539B2 JP24140695A JP24140695A JP3186539B2 JP 3186539 B2 JP3186539 B2 JP 3186539B2 JP 24140695 A JP24140695 A JP 24140695A JP 24140695 A JP24140695 A JP 24140695A JP 3186539 B2 JP3186539 B2 JP 3186539B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールドガスを使
用した消耗電極式のアーク溶接において、溶滴移行形態
を一つの工作物の溶接継手毎に指定できるようにしたア
ーク溶接の溶滴移行形態設定管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一つの溶接工作物を溶接する場合、ビー
ド外観が要求される継手、強度が要求される継手及びこ
れらの両方が要求される継手が混在しており、実際の溶
接に際して、作業者は、仕様書や経験等により、これら
の継手に応じて溶滴移行形態、即ち、主に電磁力による
溶滴離脱現象の形態を選択している。
【0003】とりわけ、大きな径の溶滴が母材に移行す
る短絡移行型、溶滴がスプレー化して母材に移行するス
プレー移行型、1滴1滴の溶滴離脱動作に同期して制御
できる1パルス1溶滴移行型のパルス溶接等は、電気、
機械製造工場の比較的小規模工作物の溶接現場で使用さ
れている。因みに、短絡移行型は薄板の溶接に適し、ス
プレー移行型は厚板の溶接、パルス溶接は外観(スパッ
タの低減)を重視した溶接継手に適するとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記溶滴移行形態の選
択動作を自動溶接プログラムに組込む場合、本溶接前の
継手毎に溶滴移行形態を仕様入力により指定し、本溶接
中に電流及び電圧の溶接条件を切替え設定することが考
えられるが、継手毎のチップ母材間距離(トーチ先端の
チップと母材との距離)に応じて上記溶接条件が異なる
ので、同じ溶滴移行形態だからといってチップ母材間距
離が異なる二つの継手に対し同じ溶接条件を設定するこ
とはできない。とりわけ、消耗電極式のアーク溶接の場
合、チップ母材間距離が異なれば溶接電流も変わるの
、その電流に対して溶滴移行形態を維持する最適電圧
も変わってくる。
【0005】そこで、自動溶接プログラムに溶滴移行形
態の選択動作を組込むためには、同じ溶滴移行形態でも
継手毎に異なるチップ母材間距離と最適電圧の変化に対
して適正な電流と電圧の溶接条件を設定する必要がある
が、従来はこのような継手毎に異なる溶接条件を設定す
る考えがない。また、溶滴移行形態の変化は、電流が大
きいほどスプレー移行型となるが、消耗電極式のアーク
溶接の場合、ワイヤ送給速度を一定としてもチップ母材
間距離が溶接中変動するとエネルギーのバランスが崩れ
電流も変動するので、スプレー移行型の最適条件から外
れてしまう。これは短絡移行型の場合も同様である。
【0006】従って、自動溶接プログラムに溶滴移行形
態の選択動作を組込むためには、目的とする溶滴移行形
態の溶接条件の適正な設定と、溶接中の溶滴移行形態の
維持のための溶接条件の制御が必要になる。本発明は、
上記従来の問題点に鑑みなされたもので、溶接電流項と
チップ母材間距離項と電圧定数項とからなる多項式にて
溶接電圧を定義し、該多項式によって継手に応じた電流
と電圧の関係を自在に設定し得るようにするとともに、
溶接中のチップ母材間距離の変動に対して溶滴移行形態
の最適状況を管理し得るようにすることを解決すべき課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した請求
項1の発明の要旨は、(a)溶接トーチ先端のチップを
介してワイヤに与える溶接電流をパルス化するパルスモ
ードと直流化若しくは交流化する通常モードに切替え可
能な溶接電源と、(b)継手毎に要求される溶接品質項
目を満足すべく仕様入力時にオペレータが指定する溶滴
移行形態に応じて上記溶接電源に溶接中、上記パルスモ
ードと通常モードとに切替えるモード切替信号を送出す
る溶接コントローラとを具備し、上記溶接コントローラ
が、(c)上記溶接電源から上記ワイヤに与える溶接電
圧を溶接電流項とチップ母材間距離項と電圧定数項とか
らなる多項式で定義し、初期設定時、仕様入力に基づい
て上記多項式を決定することによりパルス溶接、マグ溶
接のスプレー移行型及び短絡移行型の各溶滴移行形態の
溶接条件を設定したことにある。
【0008】請求項2の発明の要旨は、上記溶接コント
ローラが、上記溶接コントローラは、パルス溶接設定の
溶接中、上記ワイヤの先端が母材に接触する短絡現象の
回数が予め設定した回数となるように該短絡現象の回数
を検出して溶接電圧を制御することにある。請求項3の
発明の要旨は、上記溶接コントローラが、スプレー移行
型又は短絡移行型設定の溶接中、検出ワイヤ送給速度と
検出溶接電流より求めたチップ母材間距離を上記多項式
に代入して溶接電圧を制御することにある。
【0009】請求項4の発明の要旨は、上記溶接コント
ローラが、(a)スプレー移行型設定の場合も、上記ワ
イヤの先端が母材に接触する短絡現象の回数が予め設定
した回数となるように該短絡現象の回数を検出して溶接
電圧を制御することにある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアーク溶接の溶滴
移行形態設定管理装置を図面を参照して詳細に説明す
る。図1に示すように、本発明のアーク溶接の溶滴移行
形態設定管理装置を適用した設備は、溶接トーチ(以
下、トーチと略す)1を保持した多関節ロボット2と、
出力端子3a,3bの溶接電力出力に基づいて上記トー
チ先端のチップ16へ給電する溶接電源3と、上記溶接
電力出力の電流Iと電圧Vを上記溶接電源3から出力さ
せるべく該溶接電源3へ指令する各指令パラメータ
I ,PV を自動設定してその各指令信号i,vを送出
する溶接コントローラ4と、上記多関節ロボット2を溶
接速度の指令信号を含むティーチングデータTDに基づ
いて制御するロボットコントローラ5と、ドラム6に充
填された消耗電極としてのワイヤ7を上記トーチ1へ送
給するワイヤ送給装置8と、溶接品が載置される治具9
とから構成されている。ここで、溶接電源3は、上記チ
ップ16を介してワイヤ7に与える溶接電流をパルス化
するパルスモードと直流化若しくは交流化する通常モー
ドに切替えることができる。
【0011】なお、多関節ロボット2には、ティーチン
グデータTDを溶接速度に基づいて実際のロボット軸部
を作動させる駆動信号の形式に変換する波形操作回路が
付加されているものとする。上記多関節ロボット2に組
付けられた上記ワイヤ送給装置8は、曲げ矯正器11、
エンコーダ12、ワイヤ7を挟持した一対の送給ローラ
13a,13b、該ローラ13a,13bを駆動する回
転アクチュエータ14及びワイヤ7をトーチ1にガイド
するトーチケーブ1aを有し、ワイヤ7をトーチ1にお
けるノズル部15内のチップ16より突出させるように
している。そして、回転アクチュエータ14は、ロボッ
トコントローラ4から溶接電流iの大きさ(平均値)に
比例した送り速度の駆動信号で制御されてワイヤ7を繰
出すようになっており、そのときの検出ワイヤ送給速度
MRa はエンコーダ12より溶接コントローラ4に送出
される。
【0012】しかして、溶接コントローラ4は、溶接条
件(電流、電圧及び速度)の自動設定と外乱に対する溶
接条件の自動修正とを行うもので、そのハードウエアを
概念的に表した図2に示すように、継手形状、姿勢、溶
接法(パルス溶接、マグ溶接の場合のスプレー移行型及
び短絡移行型)、脚長、チップ母材間距離及び板厚又は
必要な場合に溶接速度若しくはすみ肉溶接以外の溶着断
面積等の基本仕様が、例えば一つの製品におけるN個の
継手毎に入力される仕様入力手段41と、該仕様入力手
段41に入力された基本仕様より溶接条件を演算にて設
定する初期条件設定手段42と、該初期条件設定手段4
2の演算に用いる各演算式が格納された演算式メモリ4
3と、上記初期条件設定手段42によって設定された溶
接条件を格納する条件ファイル45と、上記初期条件設
定手段42で設定した溶接条件のうち初期電流指令パラ
メータPI 及び初期電圧指令パラメータPV を外乱に応
じた修正電流指令パラメータPI ′及び修正電圧指令パ
ラメータPV ′とする条件自動管理補正手段44とを主
体に構成される。
【0013】デジタル信号形式の上記修正電流指令パラ
メータPI ′及び修正電圧指令パラメータPV ′は、D
/A変換器によってアナログ形式の電流指令信号i及び
電圧指令信号vに変換されて溶接電源3に入力され、出
力端子3a,3bより導出すべき電流及び電圧を指令す
るようになっている。また、溶接コントローラ4は、溶
接電源3に溶接電流をパルス化するパルスモードと直流
化若しくは交流化する通常モードに切替えるためのモー
ド切替信号4aを送出するようになっている。
【0014】更に、溶接コントローラ4には、溶接電源
3から出力している電流及び電圧の検出溶接電流I
a (パルス溶接時はパルス電流の平均電流)及び検出溶
接電圧Va がサンプリングされるようになっている。こ
こで、上記初期電流指令パラメータPI 及び修正電流指
令パラメータPI ′と溶接電流Iとの関係並びに初期電
圧指令パラメータPV 及び修正電圧指令パラメータ
V ′と溶接電圧Vとの関係は、溶接電源3の特性を補
正した関係に設定される。即ち、溶接コントローラ4内
で演算した溶接電流と溶接電圧が溶接電源が変わっても
出力するように、各電流指令パラメータPI ,PI ′及
び各電圧指令パラメータPV ,PV ′は溶接電源毎に補
正される。
【0015】一方、ロボットコントローラ5は、継手毎
のティーチングデータメモリをもつ電子制御装置であ
り、実際の溶接にあたって、該ロボットコントローラ5
は各メモリのデータを順次に読出して多関節ロボット2
の各軸を駆動するとともに、一つのメモリを読出す毎に
条件呼出し信号5aを溶接コントローラ4に送出して条
件ファイル45をアクセスする。これにより、ティーチ
ングデータTDに同期して継手毎の溶接条件(PI ,P
V 、I,V及び溶接速度WS)が読出される。
【0016】なお、演算式メモリ43に格納する各演算
式の組は、継手毎の実験によって予め求めている。ま
た、本溶接開始と停止を意味するアークON/OFF信
号は、ロボットコントローラ5より溶接コントローラ4
に送出される。次に上記構成により本発明の溶滴移行形
態の設定及び溶接中の溶滴移行形態の維持管理がいかに
行われるかを図3〜図6を参照して説明する。
【0017】全体のプログラムの流れは、図3及び図4
に示すように、ステップS1 〔基本仕様入力〕及びステ
ップS2 〔最適溶接条件の自動設定〕からなる準備処理
と、ステップS4 〔本溶接開始〕、ステップS18〔条件
自動管理〕及び溶接終了判断(ステップS14)とを含む
本溶接処理とからなり、準備処理は仕様入力手段41及
び初期条件設定手段42が行う処理、本溶接は条件自動
管理補正手段44が行う処理である。ただし、上記準備
処理と本溶接処理との間には、溶接継手にギャップ(ス
キ間)があるか否かの判断ステップS3 が挿入されてお
り、ギャップが有る場合はステップS17〔ギャップ部の
自動管理〕に進む。なお、このギャップが有る場合の自
動管理と、本溶接における処理とは本発明と直接関係が
ないため説明を省略する。
【0018】本発明の溶滴移行形態の設定は、上記ステ
ップS2 で行われ、基本仕様入力時に指定される継手毎
の溶滴移行形態に応じた条件設定がなされ、溶接中の溶
滴移行形態の維持管理はステップS18でなされている。
即ち、図3のステップS2 では、ステップS21〔脚長設
定〕(一層盛りか多層盛りかの決定等)で脚長を決定し
た後、溶接速度を自動設定するのか、溶接速度を手動設
定するのかを判断(ステップS22)し、溶接速度自動設
定及び溶接速度手動設定のそれぞれについて、パルス溶
接が指定された場合の条件設定(ステップS23,ステッ
プS24)と、マグ溶接におけるスプレー移行型溶接が指
定された場合の条件設定(ステップS25,ステップ
27)及びマグ溶接における短絡移行型の溶接が指定さ
れた場合の条件設定(ステップS26,ステップS28)と
が実行される。
【0019】上記各ステップS23〜S28では、先ず、ス
テップS21で決定した脚長若しくは脚長と手動入力の溶
接速度に基づき上記溶接電源3からワイヤ7に与える溶
接電流Iを決定する。パルス溶接の場合は、パルス電流
の平均値を決定している。実際のパルス電流は、ベース
電流と臨界電流を超えたピーク電流とからなる。この
後、溶接電圧Vを次の多項式で定義している。
【0020】
【数式1】 V=Ka ・I+Kb ・EXT+Kc Iは溶接電流、EXTはチップ母材間距離、Ka
b ,Kc は使用ガス、ワイヤ、電源等によって決まる
定数であり、特にKcはスプレー移行型と短絡移行型を
決める定数である。本発明では、各定数Ka ,Kb ,K
c をチップ母材間距離を変えた各溶滴移行形態毎の実験
により予め決定し、これら決定した各定数の各多項式が
演算式メモリ43中に用意されている。そして基本仕様
入力時に継手毎にチップ母材間距離と溶滴移行形態が指
定されると、それに応じた多項式を選出し、溶接電圧V
を決定する。
【0021】ここで、スプレー移行型の場合と短絡移行
型の場合の上記多項式における各定数は、Ka 及びKb
をほぼ等しく、Kc を短絡移行型よりスプレー移行型を
大きくする。短絡移行型はアーク電圧VA (アーク長)
をほぼ決める溶接電圧Vがスプレー移行型より小さい溶
接だからである。このように溶接電圧Vを溶接電流項と
チップ母材間距離項と電圧定数項とからなる多項式で定
義することにより、継手毎の任意のチップ母材間距離に
応じた溶接条件での各溶滴移行形態を設定することがで
きる。なお、設定された電流と電圧を出力させる溶接電
源3への指令は、これらの各指令パラメータPI ,PV
を求めて各指令信号v,iを溶接電源3に指令する。
【0022】こうして目的とする溶滴移行形態の適正な
溶接条件を継手に応じて設定した後本溶接では、指定さ
れた溶滴移行形態の維持のための溶接条件の制御が行わ
れる。本溶接における溶滴移行形態の維持のための溶接
条件の制御は、ロボットコントローラ5からアークON
信号が出力されると、これを受けて溶接コントローラ4
がステップS5 〔溶接パラメータ(Ia ,Va ,Sa
a )のサンプリング〕〜ステップS14〔アークOFF
信号入力?〕の制御ループを実行することである。
【0023】上記溶接パラメータのサンプリングでは、
検出ワイヤ送給速度 MRa 、検出溶接電流Ia 、検出
溶接電圧Va 及び検出短絡回数Sa (制御インターバル
当たりの短絡回数で1未満の小数も含む)をサンプリン
グしている。ここで、検出短絡回数Sa は、検出溶接電
圧Va (短絡時の電圧)が所定のしきい値より低下する
制御インターバル当たりの回数とする。
【0024】上記制御ループは、基本仕様入力時に決定
するステップS6 〔電流一定制御か〕の判断でステップ
7 〔電流一定制御〕の溶接を行うか、ステップS
8 〔脚長一定制御〕及びステップS9 〔溶込み深さ確保
制御〕を相補的に行う溶接かに分岐する。電流一定制御
の溶接とは、電流を一定とすることを優先させ、溶込み
深さを一定に維持するもので、薄板の溶接に適し、溶接
強度の確保は勿論、溶接電流の増大による抜けの発生を
防止する。
【0025】脚長一定制御と規定溶込み深さ確保制御と
を相補的に行う溶接とは、ワイヤ送給速度一定を優先し
て脚長一定制御を行う間に、電流の変動、特に低下して
もある値以下になると溶接電流を増大させて規定溶込み
深さを確保するものであり、厚板の溶接に適する。規定
溶込み深さの値は基本仕様入力時に設定する。更に、溶
接コントローラ4は、上記電流の制御を行いつつ、パル
ス溶接の場合はステップS10〔短絡回数・アーク長一定
制御〕を実行し、マグ溶接の場合はステップS11〔スプ
レー有〕の判断の後、ステップS12〔スプレー移行型制
御〕かステップS13〔短絡移行型制御〕を実行する。
【0026】上記パルス溶接の場合の短絡回数・アーク
長一定制御とは、基本仕様入力時に設定した短絡回数に
検出短絡回数Sa がほぼ等しく(具体的には下限値S1
と上限値S2 の範囲内にあり)、安定するように電圧を
制御するもので、スパッタ発生量を抑制するとともに、
アーク長を最小(一定)に保って、アンダーカット及び
ブローホール等の発生を未然に防止するものである。
【0027】上記マグ溶接の場合のスプレー移行型制御
とは、初期条件設定手段42で演算により設定したスプ
レー移行型溶接の最適電圧(スプレー化電圧という)を
常に維持する機能で、もし、外乱によりチッブ母材間距
離EXTが変化した場合にも、それに応じてスプレー化
電圧を演算補正し、検出溶接電圧Va がスプレー化電圧
とほぼ等しくなるように電圧を制御し、最適ビード外観
を保つものである。
【0028】上記マグ溶接の場合の短絡移行型制御と
は、初期条件設定手段42で演算により設定した短絡移
行型溶接の最適電圧を常に維持する機能で、もし、外乱
によりチップ母材間距離EXTが変化した場合にもこれ
に応じて短絡移行型電圧を演算補正し、検出溶接電圧V
a が短絡移行型の最適電圧とほぼ等しくなるように電圧
を制御し、最適ビード外観を保つものである。
【0029】また、上記制御ループと並列に処理される
ステップS15〔EXT演算〕及びステップS16〔表示
(警告)〕は、チップ母材間距離を演算して、この距離
が短か過ぎる場合と長過ぎる場合に警告するものである
が、この処理で求めたチップ母材間距離はマグ溶接の場
合の制御に用いている。具体的にパルス溶接の制御で
は、1パルス1溶滴移行型を維持するため、図5におけ
るステップS42〔パルス有〕の判断がパルス有(Y)と
なり(この時、溶接コントローラ4からパルスモードと
するモード切替信号4aが溶接電源3に指令される)、
ステップS43〔アーク長aの演算〕以降の処理(図4の
ステップS10〔短絡回数・アーク長一定制御〕に相当)
に進む。このアーク長aは、チップ母材間距離EXT,
溶接電圧V,パルス溶接電流のピーク電流Ia ,ベース
電流Ib 及び平均電流Iavをパラメータとする演算式で
求めることができる。
【0030】得られた演算アーク長aは、続くステップ
44〔aO ≦a〕で最大許容アーク長a0 と比較し、演
算アーク長aが最大許容アーク長ao より大きい場合、
ステップS47〔PV ′=PV −K146 〕の演算を行って
(K146 は単位変化量)、ステップS50〔PV ′→D/
A変換〕に進み、続くステップS51〔PV ′アナロク信
号出力〕により、修正電圧指令パラメータPV ′に基づ
く電圧指令信号vで溶接電源3を指令する。
【0031】次に、ステップS44で演算アーク長aが最
大許容アーク長ao より小さい場合、ステップS45〔S
a ≦S1 〕に進んで、サンプリング時に得られた検出短
絡回数Sa を短絡回数の下限値S1 と比較する。そして
検出短絡回数Sa が短絡回数の下限値S1 以下の場合、
ステップS48〔PV ′=PV −ΔPV 〕の演算を行っ
て、ステップS50〔PV ′→D/A変換〕に進む。これ
により、短絡回数が下限値S1 より減少したときに修正
電圧指令パラメータPV ′を減少させて(短絡回数とア
ーク長(アーク電圧)の関係は反比例の関係にある)短
絡回数を増加させる。
【0032】また、演算アーク長aが最大許容アーク長
0 より小さい場合において、ステップS45の判断が
「検出短絡回数Sa が短絡回数の下限値S1 より大き
い」の場合、ステップS46〔Sa ≦S2 〕に進んで、検
出短絡回数Sa を短絡回数の上限値S2 と比較する。そ
して、検出短絡回数Sa が短絡回数の上限値S2 より大
きい場合、ステップS49〔PV ′=PV +ΔPV 〕の演
算を行って、ステップS50〔PV ′→D/A変換〕に進
む。これにより、短絡回数が上限値S2 より大きいとき
に修正電圧指令パラメータPV ′を増大させて短絡回数
を減少させる。
【0033】更に、ステップS46の判断が「検出短絡回
数Sa が短絡回数の上限値S1 以下」の場合、初期電圧
指令パラメータの修正を行うことなくステップS14に進
む。こうしてパルス溶接におけるスパッタ発生量を抑制
し、アーク長を最小に保って、アンダーカット及びブロ
ーホール等の発生を未然に防止した1パルス1溶滴移行
型の溶接条件が維持されることになる。
【0034】次に基本仕様入力時にマグ溶接を設定した
場合は、図5におけるステップS42〔パルス有〕の判断
がマグ溶接(N)となり(この時、溶接コントローラ4
から通常モードとするモード切替信号4aが溶接電源3
に指令される)、図6のフローチャートに進む。図6で
は更に、ステップS11によってスプレー移行型溶接を行
うか短絡移行型溶接を行うか否かを判断する。スプレー
移行型溶接を行う場合は、ステップS52〔EXT=f
(MRa ,Ia )〕以降のPI制御に進み、短絡移行型
溶接を行う場合は、ステップS57以降のPI制御に進
む。
【0035】スプレー移行型溶接及び短絡移行型溶接の
各PI制御の演算には、初期設定時に使用した数式1の
多項式が再び用いられ、先ず、ステップS5 で検出した
検出溶接電流Ia 及び検出ワイヤ送給速度MRa よりチ
ップ母材間距離EXTを演算し(ステップS52,ステッ
プS57)、ステップS53,ステップS58で数式1の多項
式に上記Ia 及びEXTを代入してスプレー化電圧Vsc
及び短絡移行型用の電圧VC を演算している。
【0036】次に、例えばスプレー移行型のPI制御
は、上記演算により求めたスプレー化電圧Vscと検出溶
接電圧Va との差分ΔVを求め(ステップS54)、続い
て上記差分ΔVがほぼ零となるまでの溶接電流の変化に
要する時間Ti+(積分項)をΔVを時間で積分して求め
(ステップS55)、更に初期電圧指令パラメータPV
ΔV及びTi+による修正量を加減して修正電圧パラメー
タPV ′を算出(ステップS56)ものである。
【0037】短絡移行型のPI制御も同様であり、ステ
ップS59は比例項VC −Va の、ステップS60は積分項
Ti+の、ステップS61は修正電圧指令パラメータPV ′
の算出である。このように本発明では溶接中、外乱でチ
ップ母材間距離が変動しても、ワイヤ送給速度と検出溶
接電流よりチップ母材間距離を演算し、これら演算チッ
プ母材間距離と検出溶接電流を初期設定時の多項式に代
入して溶接電圧を求め、検出溶接電圧との差分がほぼ零
になるように溶接電圧を制御しているので、溶接中のチ
ップ母材間距離の変動にかかわらず、指定された溶滴移
行形態を維持する最適電圧に修正することができる。
【0038】他の実施の形態として、スプレー移行型の
場合、パルス溶接の場合と同様に、図5のプログラムに
より、アーク長と短絡回数を演算して検出溶接電圧より
溶接電圧の指令パラメータを修正してもよい。これによ
れば、スプレー移行型の場合も、パルス溶接と同様に、
アーク長を一定に保った溶滴移行形態の維持を図ること
ができる。
【0039】なお、本発明の請求項ではパルス溶接とス
プレー移行型溶接の場合、アーク長を一定に保つことは
要件となっていないが、ステップS43、ステップS44
びステップS47の要件を付加することも可能である。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、目的
とする溶滴移行形態の適正な溶接条件を継手に応じて設
定し、溶接中に継手毎に指定された溶滴移行形態を選択
動作して切替える機能を自動溶接プログラムに組込むこ
とができる。とりわけ、請求項2、請求項3及び請求項
4の態様では、溶接品質項目を満足しつつ指定された溶
滴移行形態を溶接中も維持する管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した設備の全体を示す説明図
である。
【図2】 溶接コントローラをハードウエアで表した場
合の図1の概念図である。
【図3】 本発明の一実施の形態に係るアーク溶接の溶
滴移行形態設定管理装置の初期設定を中心とした全体の
動作を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の一実施の形態に係るアーク溶接の溶
滴移行形態設定管理装置の溶接中の制御を中心とした全
体の動作を示すフローチャートである。
【図5】 パルス溶接の場合の本発明による電圧制御の
プログラムを示すフローチャートである。
【図6】 マグ溶接の場合の本発明による電圧制御のプ
ログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1は溶接トーチ、2はロボット、3は溶接電源、4は溶
接コントローラ、12はエンコーダ、14は回転アクチ
ュエータ、44は条件自動管理補正手段、EXTはチッ
プ母材間距離、Iは溶接電流、Vは溶接電圧、Iaは検
出溶接電流、Va は検出溶接電圧、MRa は検出ワイヤ
送給速度、iは電流指令信号、vは電圧指令信号であ
り、各図において同一の要素には共通の符号を付す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/095 B23K 9/173

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチ先端のチップを介してワイヤ
    に与える溶接電流をパルス化するパルスモードと直流化
    若しくは交流化する通常モードに切替え可能な溶接電源
    と、継手毎に要求される溶接品質項目を満足すべく仕様
    入力時にオペレータが指定する溶滴移行形態に応じて上
    記溶接電源に溶接中、上記パルスモードと通常モードと
    に切替えるモード切替信号を送出する溶接コントローラ
    とを具備し、 上記溶接コントローラは、上記溶接電源から上記ワイヤ
    に与える溶接電圧を溶接電流項とチップ母材間距離項と
    各溶滴移行形態によって定まる電圧定数項とからなる多
    項式で定義し、初期設定時、仕様入力に基づいて上記多
    項式を選定することによりパルス溶接、マグ熔接のスプ
    レー移行型及び短絡移行型の各溶滴移行形態の溶接電圧
    を設定することを特徴とするアーク溶接の溶滴移行形態
    設定管理装置。
  2. 【請求項2】 上記溶接コントローラは、パルス溶接設
    定の溶接中、上記ワイヤの先端が母材に接触する短絡現
    象の回数が予め設定した回数となるように該短絡現象の
    回数を検出して溶接電圧を制御することにより、パルス
    溶接の溶滴移行形態を維持するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載のアーク溶接の溶滴移行形態設定管理
    装置。
  3. 【請求項3】 上記溶接コントローラは、スプレー移行
    型又は短絡移行型設定の溶接中、検出ワイヤ送給速度と
    検出溶接電流より求めたチップ母材間距離を上記多項式
    に代入して溶接電圧を制御することにより、各溶滴移行
    形態を維持するようにしたことを特徴とする請求項1又
    は2項記載のアーク溶接の溶滴移行形態設定管理装置。
  4. 【請求項4】 上記溶接コントローラは、スプレー移行
    型設定の場合も、上記ワイヤの先端が母材に接触する短
    絡現象の毎秒回数が予め設定した回数となるように該短
    絡現象の回数を検出して溶接電圧を制御することを特徴
    とする請求項2記載のアーク溶接の溶滴移行形態設定管
    理装置。
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