JP3780802B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、支持部材により支持され押鍵操作により回動するハンマ体等の回動部材を備え、その回動中心近傍に潤滑剤を塗布して回動を円滑にした鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、適当な押鍵感触を得るための質量体(ハンマ体)等の回動部材を支持部材で支持して押鍵操作により回動するようにした鍵盤装置が知られている。この装置では、例えば回動部材を支持部材の軸部で回動自在に軸支すると共に、回動部材の回動中心近傍を側壁で両側から挟むようにして、回動時における回動部材の鍵並び方向への動きやローリングを規制するようにしている。回動時には、回動部材の回動中心(軸受け部等)及び回動中心近傍の両側面が支持部材の軸部及び側壁等と摺接する。そのため、回動部材の回動中心乃至その近傍にグリス等の潤滑剤を塗布することにより、該回動部材の回動に伴う該回動部材と支持部材との摺動を円滑にするようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の鍵盤装置では、押鍵操作に伴う回動部材の回動が繰り返されることにより、回動中心に塗布された潤滑剤が徐々に飛散、流出し、潤滑剤が不足して軸部や側壁等の回動部材と支持部材との摺動部が摩耗したり、回動部材や支持部材に歪みが発生したりして、回動が円滑でなくなり、押鍵操作が適切に行えなくなる場合があるという問題があった。
【0004】
また、合成樹脂製の支持部材は一般に金型による成形されるため、成形時に金型の抜け用のスペースを確保するための開口部が、回動中心近傍において支持部材に形成されることがある。この場合は、回動動作により上記塗布された潤滑剤が開口部から流出しやすいという問題があった。特に、潤滑剤の行き先がスイッチや回路を搭載したプリント基板等の電装部品である場合は、それらのスイッチ動作、回路の通電に関してトラブルが発生し得る。しかも、開口部の存在が支持部材自体の強度を低下させる場合もあった。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、潤滑剤の基板への飛散、流出を抑制して基板の機能を維持すると共に、長期に亘り安定した押鍵操作を維持することができる鍵盤装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の鍵盤装置は、鍵支持部により押離鍵方向に回動自在に支持された鍵と、前記鍵の後端部近傍に配設された支持部材と、回動中心で前記支持部材により支持され、前記鍵の押鍵操作により、前記鍵の後端部上面によって駆動されて前記回動中心を中心に回動する質量体と、前記支持部材に固定された基板と、前記支持部材において前記質量体の回動中心に対して前記基板が設けられた方向に設けられ、前記回動中心近傍に塗布されている潤滑剤が前記質量体の回動に伴って前記基板側へ飛散、流出することを抑制する壁部とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成により、回動中心近傍に塗布されている潤滑剤が質量体の回動に伴って基板側へ飛散、流出することが抑制される。これにより、質量体と支持部材との摺動部の摩耗を抑制すると共に質量体や支持部材の歪みを防止して、円滑な回動を長期間確保することができる。また、基板に搭載されたスイッチや回路の潤滑剤による動作や通電の不良を回避して、基板の機能を維持することができる。なお、壁部の態様によっては、支持部材の強度を向上することもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係る鍵盤装置の部分縦断面図である。同図では、上ケースや蓋体等は省略されている。なお、以下、本鍵盤装置の演奏者側(同図左方)を前方、演奏者からみて鍵後端方向(同図右方)を後方とそれぞれ称する。
【0012】
本装置は、例えば電子鍵盤楽器として構成され、押鍵操作されるシーソー型の鍵1(白鍵1W及び黒鍵1B)と、質量体支持部材20と、該支持部材20によって回動自在に支持され鍵1によって駆動されて回動する質量体40(回動部材)とを有する。質量体40は、白鍵1W及び黒鍵1Bの各々に対応して設けられ、質量配分等を除きいずれも同様に構成される。支持部材20は、例えば1オクターブ毎に構成される(図3)。
【0013】
棚板2上には鍵フレーム10が設けられている。鍵フレーム10上には鍵支持部3が設けられ、鍵支持部3には支点ピン6(白鍵用支点ピン6W、黒鍵用支点ピン6B)が各鍵1に対応して突設されている。各鍵1W、1Bにはそれぞれ支点穴1Wa、1Baが設けられている。支点穴1Wa、1Baはいずれも、下方に向かって縮径している。各鍵1の鍵盤装置本体への組み付け(鍵フレーム10を介した棚板2への取り付け)時には、支点ピン6が支点穴1Wa、1Baを貫通し、これにより、各鍵1の鍵並び方向及び鍵長手方向の位置が規制されると共に、各鍵1が鍵支持部3によって押離鍵方向に回動自在に支持される。各鍵1の後端部上面には、ラバーが貼着され、このラバーが貼着された部分は後述する質量体40の発音位置調整ネジ41と当接して質量体40を駆動する駆動部9として機能する。上記ラバーにより当接がチャタリングなく円滑にされている。
【0014】
鍵フレーム10の前部には、押鍵ストッパ4(白鍵用押鍵ストッパ4W、黒鍵用押鍵ストッパ4B)及びキーガイド5(白鍵用キーガイド5W、黒鍵用キーガイド5B)が各鍵1毎に設けられている。押鍵ストッパ4は鍵1と当接して鍵1の押鍵の回動終了位置を規制する。キーガイド5は、鍵1の回動時における鍵並び方向への揺動を抑制する。
【0015】
鍵フレーム10上における押鍵ストッパ4、キーガイド5の後方であって鍵支持部3の前方には、スイッチ基板7が設けられ、該スイッチ基板7には各鍵1毎に第1の押鍵スイッチ8が設けられている。第1の押鍵スイッチ8は押鍵操作を検出する。
【0016】
図2は、質量体40の構成を示す側面図である。同図(a)は全体側面図、同図(b)は軸受け部45の部分拡大図である。
【0017】
質量体40(ハンマ体)は、適当な押鍵感触を得るために設けられる。質量体40は、後述する支持部材20の回動軸部32によって軸受け部45(回動中心)で回動自在に支持され、押離鍵時には軸受け部45を回動支点として回動する。
【0018】
質量体40は、軸受け部45から前方に延びる前方延設部40Aと、軸受け部45から後方に延びる後方延設部40Bとから構成される。質量体40には、押鍵時に適当な慣性力を得るための質量として、前方延設部40Aの頭部46及び後方延設部40Bの尾部47に鉄等の金属が埋設されている。
【0019】
質量体40は、前方延設部40Aの方が後方延設部40Bよりも重く設定されている。従って、鍵1が組み付けられた後は、非押鍵状態及び押鍵初期には鍵1の駆動部9と常に当接し、鍵1と質量体40とが連動状態となる。なお、押鍵態様によっては押鍵行程途中から質量体40が鍵1の駆動部9から離間する場合がある。
【0020】
後方延設部40Bの下面には、アクチュエータ42が設けられ、アクチュエータ42は、質量体40の回動に伴い支持部材20の押鍵スイッチ25を押下する。後方延設部40Bの後部上面には、係止部43が突設されている。後方延設部40Bの後端部下面には、当接部44が形成されている。当接部44は、質量体40の回動によって支持部材20の質量体用ストッパ22に当接する。
【0021】
発音位置調整ネジ41は、延設部40Aに設けられている。発音位置調整ネジ41は、頭部41a、調整部41b及び軸部41cが一体となって構成され、例えば質量体40の金型による成形時にインサート成形により質量体40に取り付けられる。発音位置調整ネジ41は、頭部41aが鍵1の駆動部9と当接して押鍵による駆動力を質量体40に伝達し、これによって質量体40が回動する。
【0022】
発音位置調整ネジ41の頭部41aは曲面状に形成されており、鍵1の駆動部9との当接点が回動行程において滑らかに移動して、押鍵感触への悪影響が防止されている。調整部41bには例えばプラスまたはマイナス状の溝が切られ(図示せず)、頭部41aの下方への突出量をドライバで調整可能になっており、これによって、質量体40の回動量と押鍵スイッチ25の検出による発音タイミングとの関係を調整することができる。
【0023】
同図(b)に示すように、軸受け部45は、質量体40と一体に形成され、左右両側面に同様の構成で左右対称に設けられる。軸受け部45は、内周面45a及び開口部Raからなる欠円Rを形成している。欠円Rの内周面45aは、支持部材20の回動軸部32(左側突起部32L、32R)の円弧部(後述)の外周が嵌合する大きさに形成される。質量体40は、回動軸部32によって軸受け部45で回動自在に支持されることで、押離鍵時に軸受け部45を回動中心として回動する。
【0024】
軸受け部45の両側面には摺接面45b及び潤滑剤用溝45cが複数形成される。複数の摺接面45bはいずれも面一に形成され、質量体40を支持部材20に組み付けたとき、後述する支持部材20の軸支部Eの両側壁部34に摺接する。複数の摺接面45bは、回動行程において側壁部34に摺接する範囲をカバーできるように形成される。
【0025】
支持部材20の軸支部Eと軸受け部45との摺動を円滑にするため、質量体40が支持部材20に組み付けられる際に、グリス等の潤滑剤が内周面45a等に塗布される。潤滑剤用溝45cは摺接面45bよりやや窪んでおり、塗布された潤滑剤の通り道となって潤滑剤が複数の摺接面45bに供給されやすくしている。
【0026】
図3は、支持部材20を上方からみた平面図である。図4は、図3のA−A線に沿う断面図及び部分拡大図である。図5は、支持部材20の下面図である。図3〜図5では、質量体40が取り付けられていない状態が示され、図3、図5ではスイッチ基板23が省略されている。
【0027】
図1に示すように、質量体支持部材20は、棚板2上における鍵1の後端部近傍に設けられている。支持部材20は、上述したように1オクターブ単位で構成される。支持部材20の前部には、非押鍵時用ストッパ21が各鍵1毎に設けられており、非押鍵時用ストッパ21は、鍵1と当接して鍵1の押鍵の開始位置(図1)、すなわち非押鍵時の位置を規制する。支持部材20の後部には、質量体用ストッパ22が各質量体40毎に設けられている。質量体用ストッパ22は、質量体40の当接部44と当接して、押鍵に伴う質量体40の回動の終了位置を規制すると共に、緩衝機能を果たす。
【0028】
支持部材20にはさらに、スイッチ基板23が設けられる。スイッチ基板23は、複数の支持部材20に対応、例えば全鍵に対応して設けられ、ネジ24によって支持部材20に固定されている。スイッチ基板23上には第2の押鍵スイッチ25が各質量体40毎に設けられている。第2の押鍵スイッチ25は、質量体40によって押下され、鍵1の押鍵動作を間接的に検出する。なお、本実施の形態では、押鍵スイッチ8及び第2の押鍵スイッチ25の双方による検出結果に基づいて、所定のアルゴリズムによる多彩な楽音制御が可能なように構成されているが、押鍵スイッチ8及び第2の押鍵スイッチ25のいずれか一方による検出結果に基づいて楽音制御を行うようにしてもよい。
【0029】
支持部材20にはまた、図3に示すように、スイッチ基板23の取り付け時にスイッチ基板23を位置決めするためのピン29、及びスイッチ基板23をネジ24で固定するためのネジ穴28が適当数設けられている。また、支持部材20の前部には補強用のリブ31が複数設けられている。
【0030】
支持部材20にはさらに、後部の互いに離間した2箇所に係止部26が突設され、質量体40の係止部43と共に鍵1乃至質量体40の組み付け時に利用される場合があるが、その説明は割愛する。
【0031】
支持部材20は、図4に示すように、嵌合部K及び固定部Mで棚板2に取り付け固定される。被嵌合部Hは、棚板2上に座金付き肩付きネジ60が螺合されてなる。一方、嵌合部Kは、被嵌合部Hに対応して支持部材20の前部における例えば2箇所に設けられ(図3、図5)、前壁部33の下部から前方に延設された鍔部27で構成される。この鍔部27は支持部材20の金型による成形時に支持部材20と一体に形成される。鍔部27は、上方からみるとコ字状に開口した切り欠きのような形状をしている。
【0032】
支持部材20を鍵盤装置本体に組み付ける、すなわち棚板2に取り付ける際には、支持部材20を前方方向に水平にスライドさせて嵌合部Kを被嵌合部Hに差し込んで嵌合させる。通常は、鍔部27が座金付き肩付きネジ60の座金と頭部とに挟まれることで、嵌合部Kが被嵌合部Hに嵌合する。嵌合部Kと被嵌合部Hとが嵌合すると、支持部材20の前後方向及び鍵並び方向の位置が規制されると共に、鍵並び方向への動きが抑制される。
【0033】
固定部Mは、支持部材20の後部2箇所に設けられた楕円状の長穴30で構成される(図3、図5)。支持部材20を棚板2に取り付ける際には、嵌合部Kを被嵌合部Hに嵌合させた後、固定部Mを棚板2に固定する。固定部Mに対応する棚板2の位置にはネジ穴が設けられており、このネジ穴に固定部Mがネジ61で長穴30を介して上方からネジ止めされることで支持部材20の後部が棚板2に固定される。
【0034】
図3〜図5に示すように、支持部材20には、各質量体40を軸支するための軸支部Eが各質量体40に対応して設けられる。軸支部Eは、前壁部33の後方で両側壁部34、仕切壁部35(壁部)及び床部36で囲まれた空間に構成され、回動軸部32を有する。これら前壁部33、側壁部34、仕切壁部35、床部36及び回動軸部32は、金型による成形で支持部材20と一体に形成される。
【0035】
回動軸部32は、図3、図5に示すように、左側突起部32L及び右側突起部32Rが、両側壁部34から互いに対向して突設されて構成される。突起部32L、32Rは、図4(a)に示すように上下方向に長い略楕円状をしている。突起部32L、32Rの上部及び下部には、質量体40の軸受け部45の欠円Rに嵌合する円弧部が形成され、この円弧部の直径は欠円Rのそれより僅かに大きく設定されている。また、軸受け部45の欠円Rの開口部Raは、突起部32L、32Rの前後方向(同図左右方向)の幅はより小さく形成され、かつ突起部32L、32Rの円弧部の直径より小さく形成されている。
【0036】
軸受け部45を突起部32L、32Rに嵌合させるときは、欠円Rの開口部Raが下方を向くようにして軸支部Eに向かって質量体40を上方から降ろし、突起部32L、32Rが両側の開口部Raをそれぞれ通過するようにする。その後、質量体40を非押鍵時の位置まで回動させれば、突起部32L、32Rの円弧部が軸受け部45の内周面45aと摺接しつつ質量体40が回動自在に支持される。しかも、開口部Raの幅は突起部32L、32Rの円弧部の直径より小さいので、突起部32L、32Rは押離鍵による回動行程において欠円Rから抜けることがない。なお、上述したように、軸受け部45を突起部32L、32Rに嵌合させる際、軸受け部45の内周面45a乃至その周辺にグリス等の潤滑剤を事前に塗布する。
【0037】
仕切壁部35は、図4(b)に示すように基底部39の前部から上方に延設されている。仕切壁部35は、支持部材20の全幅に亘って形成されている。仕切壁部35はやや後方に傾いて略垂直に延び、回動軸部32が存在する軸支部E側(回動中心側)とスイッチ基板23等が存在する後方の領域側(反回動中心側)とを仕切るような位置に形成されている。仕切壁部35によって、軸支部Eから後方への潤滑剤の飛散、流出が遮断される。
【0038】
床部36は、仕切壁部35の中部から前方に延び、各軸支部Eについて両側壁部34の幅に亘って形成されている。床部36の前端から前壁部33に至る領域には、成形時の金型の抜け用のスペースとして開口部Q1が形成される(図3、図5)。床部36の上面36aは前方にいくほどやや上方に傾斜し、仕切壁部35の前面35aと床部36の上面36aでくの字を呈している。上面36aの傾斜により、仕切壁部前面35aと床部上面36aが成す上記くの字状の部分は、軸支部Eから飛散、流出する潤滑剤の溜まり部としても機能し、飛散、流出が一層抑制されている。
【0039】
なお、仕切壁部35、床部36により上下方向、水平方向の剛性もそれぞれ高まっている。
【0040】
図4(b)に示すように、基底部39及び仕切壁部35には、側方からみて略四角形のリブ37が設けられる。リブ37は、基底部39前部と仕切壁部35下部とから延び、支持部材20と一体に形成される。リブ37は、図3に示すように、各軸支部Eの鍵並び方向における略中央に各軸支部Eに対応して突設されている。
【0041】
また、図4(b)に示すように、仕切壁部35の上部からは舌片38が後方に突設されている。舌片38は側方からみて舌状をしており、支持部材20と一体に形成される。舌片38は、図3に示すように、軸支部E2つに対して1つの割合で等間隔に設けられる。舌片38の下方には成形時の金型の抜け用のスペースとして開口部Q2が形成される。
【0042】
リブ37及び舌片38は、支持部材20の補強としての機能を果たすほか、スイッチ基板23を保持する役割を果たす。すなわち、スイッチ基板23を支持部材20に取り付ける際、図4(b)に示すように、スイッチ基板23の前端部23aを舌片38とリブ37との間に差し込むようにする。すると、スイッチ基板23の前端部23aが舌片38の下縁38aとリブ37の上縁37aとに挟持される。その後、上述したようにネジ24で固定される。スイッチ基板23の前端部23aを舌片38とリブ37との間に差し込む動作だけで前端部23aが安定的に保持されるので、前部及び後部の双方でネジ止め固定する場合に比し組み付け性が向上する。
【0043】
ところで、鍵1の鍵フレーム10を介した棚板2への取り付けは、基本的には、支持部材20に質量体40が取り付けられ、しかも支持部材20が棚板2に組み付けられた後に行われる。支点ピン6上に鍵1を載せ、鍵1を支点ピン6上をスライドさせて後方に移動し、支点ピン6を支点穴1Wa(1Ba)を貫通させつつ鍵1の後端部を質量体40の頭部46の下方に潜り込ませる。
【0044】
本実施の形態によれば、仕切壁部35を、軸支部Eの近傍において、軸支部Eと他の領域(スイッチ基板23等が存在する後方の領域)とを仕切るように形成したので、質量体40の回動中心側と反回動中心側とが仕切られる。これにより、質量体40の回動に伴う潤滑剤の軸支部Eから外部への飛散や流出を抑制して、潤滑剤の不足を防止することにより、軸受け部45との摺動による摩耗を抑制すると共に質量体40や支持部材20の歪みを防止して、円滑な回動を長期間確保することができる。従って、円滑な押鍵操作長期に亘って確保することができる。
【0045】
また、各種部品に潤滑剤が飛散、流出することが防止されるので、潤滑剤による動作不良を回避して機能を維持する等、各種部品の機能に支障を与えることを回避することができる。特に、軸支部Eとスイッチ基板23が存在する領域とを仕切るようにしたので、スイッチ基板23に潤滑剤が飛散、流出することが防止され、スイッチ基板23に搭載されたスイッチや回路の潤滑剤による動作や通電の不良を回避してその機能に支障を与えることを回避することができる。
【0046】
よって、潤滑剤の流出を抑制して部品を保護すると共に、長期に亘り安定した押鍵操作を維持することができる。
【0047】
また、床部36の上面36aを前方にいくほど上方に傾斜させたので、仕切壁部前面35aと床部上面36aが成すくの字状の部分で、軸支部Eから飛散、流出する潤滑剤を留めることができ、外部への飛散、流出が一層抑制される。しかも、仕切壁部35、床部36をそれぞれ垂直方向及び水平方向に延設したことで、上下方向、水平方向の剛性向上にも寄与し、金型の抜け用の開口部等による強度低下を可能な限り抑制することができる。
【0048】
なお、舌片38、リブ37の数は上記例示に限るものでなく、支持部材20の補強に十分で、かつスイッチ基板23を適切に挟持することができれば、適当に変更してもよい。
【0049】
なお、本実施の形態では質量体40について説明したが、これに限るものでなく、支持部材によって回動自在に支持され、押鍵操作に伴って回動する回動部材であれば広く適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る鍵盤装置によれば、潤滑剤の基板への飛散、流出を抑制して基板の機能を維持すると共に、長期に亘り安定した押鍵操作を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る鍵盤装置の部分縦断面図である。
【図2】 質量体の構成を示す全体側面図(同図(a))及び軸受け部の部分拡大図(同図(b))である。
【図3】 支持部材を上方からみた平面図である。
【図4】 図3のA−A線に沿う断面図及び部分拡大図である。
【図5】 支持部材の下面図である。
【符号の説明】
1 鍵、 2 棚板、 3 鍵支持部、 10 鍵フレーム、 20 質量体支持部材、 23 スイッチ基板、 32 回動軸部(左側突起部32L、32R)、 33 前壁部、 34 両側壁部、 35 仕切壁部(壁部)、 36床部、 37 リブ、 38 舌片、 39 基底部、 40 質量体(回動部材)、 41 発音位置調整ネジ、 45 軸受け部(回動中心)、 45a
内周面、 45b 摺接面、 E 軸支部
Claims (4)
- 鍵支持部により押離鍵方向に回動自在に支持された鍵と、
前記鍵の後端部近傍に配設された支持部材と、
回動中心で前記支持部材により支持され、前記鍵の押鍵操作により、前記鍵の後端部上面によって駆動されて前記回動中心を中心に回動する質量体と、
前記支持部材に固定された基板と、
前記支持部材において前記質量体の回動中心に対して前記基板が設けられた方向に設けられ、前記回動中心近傍に塗布されている潤滑剤が前記質量体の回動に伴って前記基板側へ飛散、流出することを抑制する壁部とを有することを特徴とする鍵盤装置。 - 前記支持部材には、前記質量体が複数、並列的に配設され、前記壁部は、略垂直に延び、且つ、前記複数の質量体に対応して前記支持部材の全幅に亘って一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
- 前記壁部からは、床部が、前後方向における前記基板の反対側に向かって略水平に一体に延設され、且つ、前記床部は、前後方向における前記基板の反対側にいくほど上方に傾斜し、前記壁部と前記床部とで断面く字状を呈することを特徴とする請求項2記載の鍵盤装置。
- 前記壁部からは、協働して前記基板を挟持する第1、第2の突設部が、前後方向における前記基板側に向かってそれぞれ一体に延設されていることを特徴とする請求項2または3記載の鍵盤装置。
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