JP3779621B2 - 焼酎粕を用いた健康食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼酎粕を用いた健康食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、焼酎を作る工程で副産物として発生する焼酎粕は、まだ有用な有機成分が残留している食品副産物でありながら、含水量が多く腐敗しやすいために再利用するのが難しく、そのほとんどが海洋投棄されていた。
【0003】
しかし、焼酎粕中の有機成分は海洋投棄後には水質汚染物質として作用するので、近年では焼酎粕を飼料や肥料として再利用したり、焼却処分や微生物処理する動きが高まっている。これは、焼酎粕に残留する有機成分を有効成分として活用したり、焼酎粕を処理プラントで固液に分離して処分したりすることにより、焼酎粕の海洋投棄量を減らすものであり、これにより海洋投棄に伴う水質汚染を防止するものである。
【0004】
このように、焼酎粕は海洋投棄に代わる別の方法によって処理していく傾向にあるが、焼酎粕は含水率が95重量%前後と非常に高く液状を呈しているので、乾燥したり固液に分離したりするが難しく、処理にはコストがかかっていた。
【0005】
また、焼酎粕中には人体に有益な有効成分が数多く残留していながら、嗜好性や処理コストの問題から食材への利用がほとんどなされていなかった。
【0006】
従って、液状の焼酎粕を低コストで処理可能な方法の開発が望まれており、さらには、焼酎粕の有効成分を無駄なく活用可能な焼酎粕の食材としての再利用方法が望まれていた。
【0007】
ところで、焼酎を作る工程で副産物として焼酎粕が発生するのと同様に、清酒を作る工程でも副産物として酒粕が発生する。同酒粕は焼酎粕とは異なり従来より様々な方法で利用されてきており、特に、粕汁や甘酒や粕漬の床のように食材としての利用も多いので、焼酎粕の再利用方法を考えるに際しては、酒粕の利用方法を応用することも考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、酒粕は含水率55重量%前後のペースト状を呈しており、含水率が非常に高く液状を呈している焼酎粕とは形状が全く異なるので、酒粕の利用方法をそのまま焼酎粕に採用するのは困難である。
【0009】
しかも、酒粕と焼酎粕とはどちらも醸造工程において発生する副産物ではあるが、清酒と焼酎との原料や製造方法の違いから、酒粕と焼酎粕とは含有成分が異なり、酒粕の利用方法をそのまま焼酎粕に採用した場合は、酒粕を用いた場合とは全く別の食品ができるだけでなく、同食品は、焼酎粕特有の食味や有効成分が生かされていない。
【0010】
例えば、特開平5−184319号公報には、おからと酒粕とを所望の割合で混練した複合材についての記載があるが、上記したように酒粕と焼酎粕とは、形状も含有成分も全く異なるので、特開平5−184319号公報における酒粕の利用方法を焼酎粕にそのまま採用しても、焼酎粕特有の食味や有効成分を生かした食品を製造することはできない。
【0011】
従って、焼酎粕の食味や有効成分を生かすことのでき、しかも、焼酎粕の性状に合った再利用方法を開発する必要があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を粒子状に破砕して、 90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒内に供給して加熱乾燥させるとともに、乾燥が不十分な前記混合物は、再度粒子状に破砕して前記乾燥筒に送り込みながら乾燥させることを特徴とする焼酎粕を用いた健康食品の製造方法を提供せんとするものである。
【0013】
また、本発明は、90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒と、前記乾燥筒の上部壁面から、前記乾燥筒の底部近傍へ向けて送気する循環配管と、前記循環配管の中途部に設けた破砕ファンと、前記循環配管の中途部であって、前記破砕ファンの上流側に接続した上流側搬送配管と、を有する熱風乾燥装置に、豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を供給し、この混合物を乾燥して得られる最終処理物を含有させるようにした焼酎粕を用いた健康食品の製造方法であって、前記上流側搬送配管で搬送された前記混合物を、前記循環配管に供給し、同循環配管中の前記混合物を、前記破砕ファンにて破砕して、前記乾燥筒内に送出し、前記混合物を旋回上昇気流に接触させて乾燥させるとともに、乾燥が不十分な前記混合物を前記循環配管に排出し、前記破砕ファンにて再度粒子状に破砕して前記乾燥筒に送り込みながら乾燥させることを特徴とする焼酎粕を用いた健康食品の製造方法を提供せんとするものである。
【0014】
さらに、本発明は、以下の点にも特徴を有する。
(1)前記混合物は、含水率 20 〜 50 %の粉末状の豆腐粕と、含水率 90 〜 99 %の焼酎粕とを混合した後に、活性炭を添加して調製していること。
(2)前記乾燥筒では、 90 〜 350 ℃の範囲内で2〜3時間に亘って徐々に昇温しながら乾燥を行うこと。
(3)前記乾燥筒では、前記混合物の含水率が 4.5 〜 10 重量%に至るまで乾燥すること。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る健康食品は、焼酎粕と豆腐粕(いわゆるおから)とを混合した後に乾燥させたものである。焼酎粕には焼酎の醸造過程において発生するクエン酸やアミノ酸やビタミン類が豊富に残留しており、豆腐粕には蛋白質や食物繊維やビタミン類やカルシウム等の成分が豊富に残留している。従って、両粕を混合した本健康食品であれば、これらの有効成分を無駄なく摂取することができる。
【0016】
しかも、本発明では、焼酎粕と豆腐粕との混合物を最終的に乾燥させているので、両粕に残留している有効成分を濃縮することができ、効率よく有効成分を摂取することができる。
【0017】
特に、上記有効成分のうち、焼酎粕に含まれるクエン酸は焼酎の醸造工程の製麹時に発生するものであり、焼酎粕に特有の成分である。すなわち、焼酎の醸造には麹菌として白麹菌や黒麹菌が使用されており、両麹菌は清酒を醸造する際に使用する黄麹菌とは異なり、製麹時にクエン酸を生成するので、焼酎粕にはクエン酸が豊富に含まれている。
【0018】
このクエン酸には、体内に取り込まれた食品をエネルギーに変換するクエン酸回路を活性化させる働きがあり、クエン酸回路が活性化されると体内に蓄積されていた疲労物質(乳酸)が分解される。従って、本健康食品を摂取すれば、体内のクエン酸回路を活性化させて身体の疲労を快復させることができる。
【0019】
なお、豆腐粕にも、上記クエン酸と同じくクエン酸回路を活性化させるビタミンB2群が含まれているので、焼酎粕と豆腐粕とを混合した本健康食品を摂取すれば、より効率よくクエン酸回路を活性化することができ、疲労を快復することができる。
【0020】
また、クエン酸には、抗酸化物質であるビタミンEの抗酸化作用を高める働きがあり、同ビタミンEは、焼酎粕と豆腐粕の両方に含まれている。従って、豆腐粕と焼酎粕とを混合した本健康食品を摂取すれば、ビタミンEとクエン酸との相乗効果により、効率よく抗酸化作用を向上させることができ、人体を活性酸素から守ることができる。
【0021】
また、クエン酸には、体内での吸収が難しいカルシウムの吸収を促進する働きがあり、同カルシウムは、豆腐粕に豊富に含まれている。従って、豆腐粕と焼酎粕とを混合した本健康食品を摂取すれば、丈夫な骨を維持する上で重要なカルシウムを効率よく吸収することができる。
【0022】
さらに、クエン酸には殺菌作用があるため、本健康食品を腐敗させることなく長期間保管することができる。
【0023】
このように、本発明に係る健康食品は、焼酎粕と豆腐粕とに含まれる有効成分を無駄なく摂取できるばかりでなく、両粕中の有効成分をお互いに作用させて、その相乗効果によって健康に有益な効用を引き出すことができる。
【0024】
なお、本健康食品は食材として利用するものであるが、飼料として利用することも可能である。
【0025】
ここで、本健康食品の製造方法を説明すると、まず、含水率6〜10重量%に乾燥させて粉末状にした豆腐粕に含水率90〜99重量%の液状の焼酎粕を浸透させて焼酎粕と豆腐粕とを混合し、含水率50〜80重量%の混合物を製造する。このように予め粉末状にした豆腐粕に液状の焼酎粕を浸透させることにより、豆腐粕に焼酎粕を吸わせて効率よく豆腐粕に焼酎粕を分散させることができ、健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じるのを防止することができる。
【0026】
しかも、液状であるが故に乾燥処理が困難であった焼酎粕を、豆腐粕の加入によって一旦ペースト状の混合物にした後に乾燥させるので、焼酎粕を単独で乾燥処理した場合よりも少ないエネルギーで乾燥処理を行うことができ、乾燥処理を低コストで行うことができる。
【0027】
なお、焼酎粕50〜80重量%に対し、豆腐粕(乾燥させて粉末状としたもの)20〜50重量%を混合するのが望ましく、かかる配合比とすることにより、本健康食品の食味を良好なものとすることができるとともに、取り扱いやすく乾燥処理がし易い軟度の混合物とすることができる。
【0028】
また、遠心分離等によって焼酎粕の水分を一定量除去し、その後に焼酎粕と豆腐粕とを混合することもでき、さらには、両粕を混合する際の作業性や効率性が落ちるものの、乾燥させていない生の豆腐粕に焼酎粕を加えて両者を混合させることもできる。
【0029】
次に、焼酎粕と豆腐粕との混合物を粒子状に破砕し、その後乾燥させる。
【0030】
このように、混合物を一旦粒子状に粉砕した後に乾燥させるようにすれば、混合物が乾燥し易くなり、乾燥効率を上げることができる。従って、低コストで乾燥処理を行うことができる。
【0031】
しかも、完成した本健康食品の形状も粒子状又は粉末状とすることができるので、本健康食品を消費者の好みに応じて別の飲料に溶かしたり、トッピングとして別の食品に振りかけたりすることができ、本健康食品を様々な方法で摂取することが可能となる。一方、粒子状(粉末状)であれば、本健康食品を他の食品に添加したり、原料として加工したりするのも容易となるので、本健康食品を様々な用途に使用することができる。
【0032】
なお、先に混合物を乾燥させて、その後、固形状となった混合物を粉砕器等を用いて粒子状又は粉末状に粉砕することも可能である。
【0033】
また、混合物は、加熱によって乾燥させる。混合物を加熱によって乾燥させれば、本健康食品の殺菌処理も同時に行うことができ、しかも、既存の加熱乾燥機器等を用いてイニシャルコストをかけることなく両粕を乾燥させることができる。
【0034】
加熱温度は、90〜350℃とするのが好ましく、かかる温度範囲とすれば、両粕中の有効成分を変質させることなく水分の蒸発を促して、乾燥処理を円滑に行うことができる。なお、加熱温度が90℃未満だと水分の蒸発が不十分となり、乾燥処理が円滑に進まない可能性があり、逆に、加熱温度が350℃を越えると両粕中の成分に変質が生じるおそれがある。
【0035】
また、最終処理物の含水率は、4.5〜10重量%とするのが好ましく、かかる含水率とすれば、水分活性を抑えて健康食品を腐敗させることなく長期間保管することができる。なお、含水率が4.5重量%未満となってもかまわないが、4.5〜10重量%の含水率で本健康食品の水分活性を十分に抑えることができる。逆に、含水率が10重量%を越えると、本健康食品の水分活性が高まって腐敗しやすくなる。
【0036】
さらに、前記90〜350℃の加熱温度で最終処理物の含水率が4.5〜10重量%となるように乾燥処理する場合は、通常、乾燥処理に2〜3時間がかかる。処理時間(加熱時間)が2時間未満だと乾燥が不十分となり、逆に、3時間を越えて乾燥処理しても不必要にエネルギーを消費するだけである。
【0037】
上記乾燥処理には、例えば、原料を粒子状に破砕する破砕ファンと、同破砕ファンにより粒子状となった原料を取り込んで熱風を吹き付けて乾燥させる乾燥筒とを具備する熱風乾燥装置を使用することができる。なお、かかる熱風乾燥装置に限らず、豆腐粕と焼酎粕とを混合し、同混合物を最終的に乾燥して粒子状(粉末状)にすることができるものであれば、どのような機器であっても使用することができる。
【0038】
また、本健康食品には、上記焼酎粕と豆腐粕に加えて10〜25重量%の活性炭を混合することもでき、かかる活性炭入りの健康食品とした場合は、活性炭を消臭材として作用させて、排泄物(人糞)の消臭を行うことができる。
【0039】
すなわち、摂取された健康食品が排泄物として人体外に排出される際には、同排泄物中に体内で消化吸収されなかった活性炭が残存しているので、同活性炭によって排泄物の臭気を吸着し、消臭を行うことができる。
【0040】
従って、例えば、排泄の介護を必要とする被介護人に本健康食品を摂取してもらえば、被介護人の排泄物の臭いを抑えて介護人が快適に介護を行えるようにすることができる。
【0041】
また、活性炭には、上記消臭作用だけでなく吸湿作用もあるので、焼酎粕と豆腐粕との混合物に活性炭を添加すれば、活性炭によっても焼酎粕の水分を吸着することができ、混合物の乾燥処理を円滑に行うことができる。
【0042】
しかも、活性炭に吸着した水分の中には焼酎粕の有効成分が溶け込んでいるので、活性炭を介して焼酎粕の有効成分を混合物全体に分散させることができ、本健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じないようにすることができる。
【0043】
以上説明してきたように、本健康食品は、焼酎粕と豆腐粕とを主原料とし、同主原料に活性炭も添加可能とした健康食品である。しかし、これに限らず、豆腐粕の代わりに大豆粉を用いて焼酎粕と大豆粉とを主原料とし、同主原料に活性炭も添加可能とした健康食品や、豆腐粕を除いて焼酎粕のみを主原料とし、同主原料に活性炭も添加可能とした健康食品を製造することもできる。
【0044】
焼酎粕と大豆粉を主原料とする健康食品は、上記焼酎粕と豆腐粕とを主原料とする健康食品の製造方法において、豆腐粕を大豆粉に置き換えることにより製造することができる。
【0045】
すなわち、含水率6〜10重量%に乾燥させて粉末状にした大豆粉20〜50重量%に含水率90〜99重量%の液状の焼酎粕50〜80重量%を浸透させて焼酎粕と豆腐粕とを混合し、含水率50〜80重量%のペースト状の混合物を製造するとともに、同混合物を粒子状に破砕した後に90〜350℃の加熱温度で2〜3時間乾燥処理して、最終処理物の含水率を4.5〜10重量%にする。また、焼酎粕と大豆粉に加えて10〜25重量%の活性炭を混合することもできる。
【0046】
なお、上記混合物の乾燥処理にも、原料を粒子状に破砕する破砕ファンと、同破砕ファンにより粒子状となった原料を取り込んで熱風を吹き付けて乾燥させる乾燥筒とを具備する熱風乾燥装置を使用することができる。
【0047】
本健康食品中にも、焼酎粕に由来するクエン酸やアミノ酸やビタミン類等の成分や、大豆粉に由来する蛋白質や食物繊維やビタミン類やカルシウム等の成分が豊富に含まれているので、本健康食品を摂取すれば、これらの有効成分を無駄なく摂取することができる。
【0048】
しかも、焼酎粕に由来する成分と大豆粉に由来する成分との相互作用により、クエン酸回路を活性化させて身体の疲労を快復させたり、抗酸化作用を向上させて人体を活性酸素から守ったり、効率よくカルシウムを体内に取り込んだりすることができる。
【0049】
また、焼酎粕と大豆粉との混合物を最終的に乾燥させているので、混合物に含まれている有効成分を濃縮して同有効成分を効率よく摂取できる。しかも、水分活性を抑えて本健康食品の腐敗を防止することができる。
【0050】
さらに、焼酎粕と大豆粉とを混合するに際しては、乾燥した大豆粉に液状の焼酎粕を浸透させることにより両者を混合しているので、含水率が非常に高く乾燥処理が困難であった焼酎粕を、含水率の下がった混合物にした後に乾燥処理することができ、焼酎粕を少ないエネルギーでコストをかけることなく乾燥させることができる。
【0051】
なお、焼酎粕と大豆粉に加えて活性炭も混合すれば、摂取された健康食品が排泄物として人体外に排出される際に、同排泄物中に体内で消化吸収されなかった活性炭を残存させて、同活性炭によって排泄物の臭気を吸着し、消臭を行うことができる。
【0052】
しかも、焼酎粕と大豆粉と活性炭とを混合した際に、活性炭によっても焼酎粕の水分を吸着することができ、吸着した水分中に溶け込んでいる焼酎粕の有効成分を活性炭を介して混合物全体に分散させて、本健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じないようにすることができる。
【0053】
焼酎粕のみを主原料とする健康食品は、焼酎粕を粒子状に破砕した後に加熱によって乾燥させたものであり、前記焼酎粕と豆腐粕とを主原料とする健康食品の製造方法において、原料から豆腐粕を省くことにより製造することができる。
【0054】
すなわち、含水率90〜99重量%の液状の焼酎粕を加熱や遠心分離等によって一旦含水率50〜80重量%のペースト状となるまで脱水し、同焼酎粕を粒子状に破砕した後に90〜350℃の加熱温度で2〜3時間乾燥処理し、最終処理物の含水率を4.5〜10重量%にする。また、焼酎粕に加えて10〜25重量%の活性炭を混合することもできる。
【0055】
なお、上記焼酎粕の乾燥処理にも、原料を粒子状に破砕する破砕ファンと、同破砕ファンにより粒子状となった原料を取り込んで熱風を吹き付けて乾燥させる乾燥筒とを具備する熱風乾燥装置を使用することができる。
【0056】
本健康食品中にも、焼酎粕に由来するクエン酸やアミノ酸やビタミン類等の成分が豊富に含まれているので、本健康食品を摂取すれば、これらの有効成分を無駄なく摂取することができる。
【0057】
特に、クエン酸の作用により、クエン酸回路を活性化させて身体の疲労を快復させたり、抗酸化作用を向上させて人体を活性酸素から守ったりすることができる。
【0058】
また、焼酎粕を乾燥させているので、有効成分を濃縮して同有効成分を効率よく摂取できる。しかも、水分活性を抑えて本健康食品の腐敗を防止することができる。
【0059】
さらに、焼酎粕を乾燥する際しては、一旦焼酎粕を含水率50〜80重量%のペースト状に脱水した後に、同焼酎粕を粒子状に破砕して最終的に含水率が4.5〜10重量%となるまで加熱乾燥するようにしているので、含水率が非常に高く乾燥処理が困難であった焼酎粕を2段階に分けて脱水して効率よく乾燥処理することができ、焼酎粕を少ないエネルギーでコストをかけることなく乾燥させることができる。
【0060】
なお、焼酎粕に加えて活性炭も混合すれば、摂取された健康食品が排泄物として人体外に排出される際に、同排泄物中に体内で消化吸収されなかった活性炭を残存させて、同活性炭によって排泄物の臭気を吸着し、消臭を行うことができる。
【0061】
しかも、焼酎粕と活性炭とを混合した際に、活性炭によって焼酎粕の水分を吸着することができ、吸着した水分中に溶け込んでいる焼酎粕の有効成分を活性炭を介して混合物全体に分散させて、本健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じないようにすることができる。
【0062】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0063】
(第1実施例)
本実施例では、原料の乾燥処理を行うべく、図1に示す熱風乾燥装置Aを使用している。熱風乾燥装置Aは、原料を乾燥させる乾燥筒1と、同乾燥筒1で乾燥処理した原料を回収するサイクロン2と、同サイクロン2で回収した原料を貯蔵する貯蔵タンク3とを具備しており、原料投入部4aを具備する上流側搬送配管4によって原料を乾燥筒1へと搬送し、同乾燥筒1で乾燥処理した混合物を、乾燥筒1とサイクロン2とを連絡する連絡配管5を通してサイクロン2へと搬送し、同サイクロン2で回収した混合物を、サイクロン2と貯蔵タンク3とを連絡する下流側搬送配管6によって貯蔵タンク3へと搬送すべく構成している。
【0064】
上流側搬送配管4は、同配管4の内部に外気を送風するための送風ファン4bを上流端に設けるとともに、同送風ファン4bよりも下流側に前記原料投入部4aを設けて、原料投入部4aより投入された原料を送風ファン4bからの気流によって搬送すべく構成している。また、上流側搬送配管4の下流端部には、搬送されてきた原料を粒子状に破砕して乾燥筒1へと送り込むための破砕ファン4cを設けている。
【0065】
乾燥筒1は、略テーパ状に形成して、その内底部に乾燥筒1の内部の原料を旋回上昇させるための旋回ファン1aを設けており、同旋回ファン1aよりも上方の周壁に、前記上流側搬送配管4の下流端を連通連結している。しかも、乾燥筒1の内部に熱風を送風するための熱風送風機構7を設けて、同熱風送風機構7の送風配管7aも前記旋回ファン1aよりも上方の周壁に連通連結している。
【0066】
さらに、上記乾燥筒1の上部周壁と前記上流側搬送配管4の中途部とは、第1循環配管8を介して連通連結しており、乾燥が不十分な混合物に関しては、前記第1循環配管8を通して乾燥筒1から上流側搬送配管4へと排出し、その後、破砕ファン4cを介して再び乾燥筒1の内部へと送り込んで、繰り返し乾燥筒1での乾燥処理を行うようにしている。図中、9は前記第1循環配管8と同様に乾燥が不十分な混合物を繰り返し乾燥筒1の内部に戻すための第2循環配管、9aは第2循環配管9の下流端部に設けた破砕ファンである。
【0067】
連絡配管5は、一端を乾燥筒1の周壁上端に連通連結するとともに、他端をサイクロン2の周壁上端に連通連結しており、前記乾燥筒1の内部を上昇した混合物がサイクロン2側へ移動できるようにしている。
【0068】
サイクロン2は、略テーパ状に形成しており、前記連絡配管5よりサイクロン2の内部に流入した混合物を旋回させながら徐々に下方へ移動させて、混合物を回収するようにしている。図中、10は排風ファン、11はサイレンサーである。
【0069】
下流側搬送配管6は、同配管6の内部に外気を送風するための送風ファン6aを上流端に設けるとともに、同送風ファン6aよりも下流側に前記サイクロン2の下端を連通連結しており、サイクロン2で回収した混合物を送風ファン6aからの気流によって貯蔵タンク3へと搬送すべく構成している。図中、12は乾燥筒1の内部の滞留粒子密度を上昇させるために、乾燥処理済みの混合物を再び乾燥筒1へと戻すためのダイバード機構である。
【0070】
貯蔵タンク3は、前記下流側搬送配管6の下流端と連通連結しており、下部に設けた処理物排出部3aより、貯蔵タンク3内の処理物(乾燥処理済みの混合物)を排出可能としている。
【0071】
上記構成の熱風乾燥装置Aを用いて原料の乾燥処理を行う場合には、まず、含水率8.2重量%の粉末状の豆腐粕1kgに、含水率92.5重量%の液状の焼酎粕1.5kgを浸透させて両粕を混合する。そして、ペースト状となった両粕の混合物(含水率60重量%)を熱風乾燥装置Aの原料投入部4aより投入し、同混合物を上流側搬送配管4を通して乾燥筒1側へと搬送し、上流側搬送配管4の下流端に設けた破砕ファン4cによって粒子状に破砕した後に乾燥筒1へと送り込む。
【0072】
乾燥筒1においては、旋回ファン1aによって粒子状の混合物を乾燥筒1の下端から上端へと上昇させるとともに、上端まで上昇した混合物、すなわち、十分に乾燥されて軽くなり乾燥筒1の上端まで上昇した混合物については連絡配管5を通してサイクロン2へと移動させて、サイクロン2によって乾燥処理済みの混合物を回収する。乾燥筒1での乾燥処理は、加熱温度を最終的に350℃まで上げながら約2時間かけて行う。
【0073】
そして、回収した混合物は、下流側搬送配管6を通して貯蔵タンク3へと搬送し、同貯蔵タンク3から適宜所定量を排出して袋詰めする。
【0074】
なお、前記乾燥筒1において、乾燥が不十分で乾燥筒1の上端まで到達しなかった混合物については、第1・2循環配管8,9を通して一旦乾燥筒1の外部に排出した後にもう一度破砕ファン4c,9aを介して乾燥筒1の内部へと送り込み、混合物が十分に乾燥するまで乾燥処理を繰り返す。乾燥処理済みの混合物は、含水率が約5重量%となって粒子状を呈している。図中、実線矢印は未乾燥の混合物の流れを示し、点線矢印は乾燥済みの混合物の流れを示し、一点鎖線矢印は外気の流れを示す。
【0075】
以下に、上記製造方法によって製造した健康食品を成分分析した結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1からも分かる通り、本実施例における健康食品には焼酎粕に由来するクエン酸が含まれているので、本健康食品を摂取すれば、クエン酸回路を活性化させて身体の疲労を快復させることができる。しかも、クエン酸の殺菌作用によって本健康食品の腐敗を防止することもできる。
【0078】
また、本健康食品には、豆腐粕に由来する蛋白質や食物繊維も含まれているので、本健康食品を摂取すれば、良質の植物性蛋白質や整腸作用のある食物繊維を身体に取り込むこともできる。
【0079】
さらに、本健康食品には、豆腐粕に由来するカルシウムが含まれており、同カルシウムの体内での吸収を前記クエン酸により促進することができるので、本健康食品を摂取すれば、効率よくカルシウムを体内に取り込むことができる。
【0080】
このように、本健康食品によれば、焼酎粕と豆腐粕とに含まれる有効成分を無駄なく摂取可能であり、しかも、含水率4.8重量%に乾燥させているので、前記両粕中の有効成分を効率よく摂取することができる。また、含水率が低いので、水分活性が低く長期保存も可能である。
【0081】
さらに、焼酎粕と豆腐粕とを混合するに際しては、乾燥した豆腐粕に液状の焼酎粕を浸透させることにより両粕を混合しているので、含水率が非常に高く乾燥処理が困難であった焼酎粕を、含水率の下がった混合物にした後に乾燥処理することができ、焼酎粕を少ないエネルギーでコストをかけることなく乾燥させることができる。
【0082】
(第2実施例)
本実施例は、第1実施例と同様に、含水率8.2重量%の粉末状の豆腐粕1kgに、含水率98.5重量%の液状の焼酎粕1.5kgを浸透させて両粕を混合し、ペースト状となった両粕の混合物(含水率60重量%)を、熱風乾燥装置Aによって粒子状に破砕した後に乾燥処理し、含水率約5重量%の粒子状を呈する健康食品を製造するものであるが、前記したように焼酎粕と豆腐粕とを混合する際に、さらに200gの粉末状の活性炭も一緒に混合する点が第1実施例とは異なる。
【0083】
従って、上記方法によって製造した本実施例における健康食品は、豆腐粕と焼酎粕との混合物中に活性炭が分散した状態となっており、摂取された健康食品が排泄物として人体外に排出される際に、同排泄物中に体内で消化吸収されなかった活性炭を残存させて、同活性炭によって排泄物の臭気を吸着し、消臭を行うことができる。
【0084】
しかも、焼酎粕と豆腐粕と活性炭とを混合した際に、活性炭によって焼酎粕の水分を吸着することもでき、吸着した水分中に溶け込んでいる焼酎粕の有効成分を活性炭を介して混合物全体に分散させて、本健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じないようにすることができる。
【0085】
なお、本実施例においても、健康食品中には焼酎粕に由来するクエン酸が含まれており、本健康食品を摂取すれば、クエン酸回路を活性化させて身体の疲労を快復させることができる。しかも、クエン酸の殺菌作用によって本健康食品の腐敗を防止することもできる。
【0086】
また、本健康食品には、豆腐粕に由来する蛋白質や食物繊維も含まれているので、本健康食品を摂取すれば、良質の植物性蛋白質や整腸作用のある食物繊維を身体に取り込むこともできる。
【0087】
また、本健康食品には、豆腐粕に由来するカルシウムが含まれており、同カルシウムの体内での吸収を促進するクエン酸も、前記したように本健康食品には含まれているので、本健康食品を摂取すれば、効率よくカルシウムを体内に取り込むことができる。
【0088】
そして、本健康食品によれば、焼酎粕と豆腐粕とに含まれる有効成分を無駄なく摂取可能であるとともに、含水率4.8重量%に乾燥させているので、前記両粕中の有効成分を効率よく摂取することができる。また、含水率が低いので、水分活性が低く長期保存も可能である。
【0089】
さらに、焼酎粕と豆腐粕とを混合するに際しては、乾燥した豆腐粕に液状の焼酎粕を浸透させることにより両粕を混合しているので、含水率が非常に高く乾燥処理が困難であった焼酎粕を、含水率の下がった混合物にした後に乾燥処理することができ、焼酎粕を少ないエネルギーでコストをかけることなく乾燥させることができる。
【0090】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を粒子状に破砕して、 90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒内に供給して加熱乾燥させるとともに、乾燥が不十分な混合物は、再度粒子状に破砕して乾燥筒に送り込みながら乾燥させるので、両粕中の有効成分を変質させることなく水分の蒸発を促して、混合物の乾燥処理を円滑に行うことができ、また、焼酎粕と豆腐粕とに含まれる有効成分を無駄なく摂取できるばかりでなく、両粕中の有効成分をお互いに作用させて、その相乗効果によって健康に有益な効用を引き出すことができる。しかも、本発明では、焼酎粕と豆腐粕との混合物を最終的に乾燥させているので、両粕に残留している有効成分を濃縮することができ、効率よく有効成分を摂取することができる。
【0091】
請求項2記載の本発明によれば、90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒と、前記乾燥筒の上部壁面から、前記乾燥筒の底部近傍へ向けて送気する循環配管と、前記循環配管の中途部に設けた破砕ファンと、前記循環配管の中途部であって、前記破砕ファンの上流側に接続した上流側搬送配管と、を有する熱風乾燥装置に、豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を供給し、この混合物を乾燥して得られる最終処理物を含有させるようにした焼酎粕を用いた健康食品の製造方法であって、前記上流側搬送配管で搬送された前記混合物を、前記循環配管に供給し、同循環配管中の前記混合物を、前記破砕ファンにて破砕して、前記乾燥筒内に送出し、前記混合物を旋回上昇気流に接触させて乾燥させるとともに、乾燥が不十分な前記混合物を前記循環配管に排出し、前記破砕ファンにて再度粒子状に破砕して前記乾燥筒に送り込みながら乾燥させるので、両粕中の有効成分を変質させることなく水分の蒸発を促して、混合物の乾燥処理を円滑に行うことができる。
【0092】
請求項3記載の本発明によれば、混合物は、含水率 20 〜 50 %の粉末状の豆腐粕と、含水率 90 〜 99 %の焼酎粕とを混合した後に、活性炭を添加して調製しているので、粉末状にした豆腐粕に液状の焼酎粕を浸透させることにより、豆腐粕に焼酎粕を吸わせて効率よく豆腐粕に焼酎粕を分散させることができ、混合物を簡単に乾燥させることができ、乾燥効率を上げて処理コストを抑えることができる。また、健康食品中に局所的な成分のばらつきが生じるのを防止することができる。
【0093】
請求項4記載の本発明によれば、乾燥筒では、 90 〜 350 ℃の範囲内で2〜3時間に亘って徐々に昇温しながら乾燥を行うこととしているので、両粕中の有効成分を変質させることなく水分の蒸発を促して、混合物の乾燥処理を円滑に行うことができる。
【0094】
請求項5記載の本発明によれば、乾燥筒では、混合物の含水率が 4.5 〜 10 重量%に至るまで乾燥することとしているので、水分活性を抑えて健康食品を腐敗させることなく長期間保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る健康食品の製造に用いる熱風乾燥装置の模式図。
【符号の説明】
A 熱風乾燥装置
1 乾燥筒
2 サイクロン
3 貯蔵タンク
4 上流側搬送配管
5 連絡配管
6 下流側搬送配管
7 熱風送風機構
Claims (5)
- 豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を粒子状に破砕して、 90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒 (1) 内に供給して加熱乾燥させるとともに、
乾燥が不十分な前記混合物は、再度粒子状に破砕して前記乾燥筒 (1) に送り込みながら乾燥させることを特徴とする焼酎粕を用いた健康食品の製造方法。 - 90 〜 350 ℃に加熱した旋回上昇気流が壁面に沿って流れる乾燥筒 (1) と、
前記乾燥筒 (1) の上部壁面から、前記乾燥筒 (1) の底部近傍へ向けて送気する循環配管 (8)(9) と、
前記循環配管 (8)(9) の中途部に設けた破砕ファン (4c)(9a) と、
前記循環配管 (8) の中途部であって、前記破砕ファン (4c) の上流側に接続した上流側搬送配管 (4) と、を有する熱風乾燥装置 (A) に、
豆腐粕と、焼酎粕とを混合し、活性炭を添加して調製した含水率 50 〜 80 %の混合物を供給し、この混合物を乾燥して得られる最終処理物を含有させるようにした焼酎粕を用いた健康食品の製造方法であって、
前記上流側搬送配管 (4) で搬送された前記混合物を、前記循環配管 (8) に供給し、
同循環配管 (8) 中の前記混合物を、前記破砕ファン (4c) にて破砕して、前記乾燥筒 (1) 内に送出し、
前記混合物を旋回上昇気流に接触させて乾燥させるとともに、
乾燥が不十分な前記混合物を前記循環配管 (8)(9) に排出し、前記破砕ファン (4c)(9a) にて再度粒子状に破砕して前記乾燥筒 (1) に送り込みながら乾燥させることを特徴とする焼酎粕を用いた健康食品の製造方法。 - 前記混合物は、含水率 20 〜 50 %の粉末状の豆腐粕と、含水率 90 〜 99 %の焼酎粕とを混合した後に、活性炭を添加して調製していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼酎粕を用いた健康食品の製造方法。
- 前記乾燥筒 (1) では、 90 〜 350 ℃の範囲内で2〜3時間に亘って徐々に昇温しながら乾燥を行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の焼酎粕を用いた健康食品の製造方法。
- 前記乾燥筒 (1) では、前記混合物の含水率が 4.5 〜 10 重量%に至るまで乾燥することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の焼酎粕を用いた健康食品の製造方法。
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