JP3779333B2 - 高固形分ポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高固形分ポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法に関する。更に詳しくは、固形分が50重量%を越えて、かつ貯蔵安定性に優れるポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法としては、例えばN−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン等の親水性の有機溶剤に溶解した親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーを必要に応じて中和剤で中和した後に水と混合するか、または必要に応じて中和剤を含有する水と混合して一旦水性媒体中に分散させてから鎖伸長剤と反応させるか、あるいは鎖伸長剤及び必要に応じて中和剤を含有する水と混合せしめて水性媒体中への分散と同時に鎖伸長反応を同時に行う方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した方法では水への分散を補助する目的で親水性有機溶剤を使用するため、ポリウレタン樹脂の水性媒体中への分散は極めて良好であり、得られるポリウレタン水性分散液の粒子径は極めて小さく、通常約0.5μm以下である。従って、従来の製造方法では、せいぜい50重量%程度の固形分のポリウレタン水性分散液しか得られないという欠点があった。
【0004】
ポリウレタン水性分散液は、有害で火災の危険性のある有機溶剤を含有しないことから、従来の有機溶剤系ポリウレタン樹脂に替わって多くの用途で使用されているが、水性分散液に共通の課題として乾燥性が遅いという問題があり、特に従来の低固形分の水性分散液を接着剤として用いた場合、乾燥性が遅く、初期接着性が著しく劣るという欠点があった。
【0005】
そこで本発明者らは、高固形分で経時安定性に優れるポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの疎水性有機溶剤溶液に、アニオン系乳化剤あるいはノニオンアニオン系乳化剤を含有する水、必要に応じてさらに中和剤を含有する水を機械的せん断力で混合せしめて水性媒体中に分散させた後、鎖伸長剤と反応せしめ、ついで減圧下で脱溶剤を行うことを特徴とする固形分が50〜65重量%の高固形分ポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法を提供するものである。
(構成)
本発明において、「せん断力」とは、物体の内部にとった任意の単位面積を通過して、その両側の物体部分が互いに及ぼす力であり、物体の中に2本の直交する基準線を引いた時、変形によってそれらの線のなす角度が直角よりずれる様な変形(ずり)が生じた時に発生する応力(SHEAR STRENGTH)で具体的に表されるものである。「機械的」とは、動力によって動く機械的装置によりある仕事が営まれることを意味する(本発明の場合、ある仕事とは「混合」である。)。
【0007】
「機械的せん断力下で混合する」とは、混合された流体の中に2本の直交する基準線を引いた時、変形によってそれらの線のなす角度が直角よりずれる様な応力変形(ずり)が生じる様に、動力によって動く機械装置により混合を行うことをいう。
【0008】
「必要に応じてさらに中和剤を含有する水」とは、水のみの形態と、中和剤と水との混合物の形態との2つの形態が包含され、水は本発明の必須構成成分である。
【0009】
本発明において、「親水性基」とは、それ自体で親水性の官能基と、後述する中和により親水性基となりうる官能基との両方を包含するものとする。
本発明に係る親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの製造において用いられるポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0010】
本発明の親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの親水性基を導入するために用いられる原料としては、例えば、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつカルボン酸の塩、スルホン酸の塩、第4級アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、第3級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含有する基本的にイオン性を有する化合物が好ましいが、これ以外にも分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、エチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基を含有するノニオン性の化合物を併用しても構わない。
【0011】
かかる親水基含有化合物としては、例えば2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、N,N−ジオキシエチルアニリン、N,N−ジオキシエチルトルイジン、アルキルジイソプロパノールアミン、アリルジイソプロパノールアミン、ジオキシエチルピペラジン等の3級アミノ基含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール;前記3級アミノ基含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールと、塩化メチル、臭化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル、p−ニトロベンジルクロライド、臭化ベンジル、エチレンクロルヒドリン、エチレンブロムヒドリン、エピクロルヒドリン、ブロムブタン等の4級化剤の反応物;エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30重量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素を含有する分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールが挙げられ、これら単独で、もしくは組み合わせて使用される。
【0012】
本発明で用いられる親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーを製造するに際しての、分子内に結合した親水性基の含有量は、親水性基がカルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基、第3級アミノ基、あるいは第4級アミノ基等のイオン性基の場合は、最終的に得られるポリウレタン樹脂固形分100重量部当り少なくとも0.001〜0.1当量好ましくは0.002〜0.05当量必要である。特に親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及びスルホネート基のアニオン性の親水基が好ましい。
【0013】
又ノニオン性の化合物を使用する場合は、その使用量が多すぎると最終的に得られる水分散液の粘度が高くなるため、最終的に得られるポリウレタン樹脂固形分100重量部当り少なくとも10重量部以下、好ましくは5重量部以下にすることが必要である。
【0014】
本発明の親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの製造において用いられるイソシアネート基と反応し得るその他の活性水素含有化合物は、便宜上平均分子量300〜10,000好ましくは500〜5,000の高分子量化合物と、分子量300以下の低分子量化合物に分けられる。
【0015】
上記高分子量化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール等が挙げられる。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量300〜6,000)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキシド付加体等のグリコール成分とコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒジロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステルの他にε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル及びこれらの共重合ポリエステルが挙げられる。
【0017】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオール、等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物の1種または2種以上を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン、等のモノマーの1種または2種以上を常法により付加重合したものが挙げられる。
【0018】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジフェニルカーボネート、ホスゲンとの反応によって得られる化合物が挙げられる。
【0019】
上記低分子量化合物としては、分子量300以下の分子内に少なくとも2個以上の活性水素を含有する化合物で例えば、ポリエステルポリオールの原料として用いたグリコール成分;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物;エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物が挙げられる。
【0020】
本発明の親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーとしては、例えば前記親水性基を含有する化合物、その他の活性水素含有化合物及びポリイソシアネートとから製造され、従来公知の方法で製造されたものであればいずれも使用出来るが、例えば、前記ポリイソシアネート、親水性基を含有する化合物、その他の活性水素含有化合物を、イソシアネート基と活性水素基の当量比を1.1:1〜3:1、好ましくは1.2:1〜2:1の比率で、20〜120℃、好ましくは30〜100℃にて反応したものが挙げられる。
【0021】
これらの反応は無溶剤下あるいは有機溶剤の存在下のいずれでも行うことができるが、高固形分化を達成するためには、本発明の親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーを最終的に疎水性の有機溶剤の溶液として水に分散させることが必要である。疎水性の有機溶剤を使用することにより、従来の親水性有機溶剤を使用した場合には難しかった水性分散液の経時安定性を維持しながら、水性分散液の粒子径を均質でかつ大きくすることができ、これにより初めて高固形分化が可能になった。かかる疎水性の有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族あるいは脂環族炭化水素等の水100部に対する溶解度が1部以下の基本的に疎水性の有機溶剤が挙げられる。かかる疎水性の有機溶剤の使用量は、親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの固形分100部に対して、少なくとも1部以上、好ましくは2〜100部の範囲であることが必要である。
【0022】
また本発明の高固形分化を阻害しない範囲内において、従来の親水性の有機溶剤を一部併用しても構わない。かかる親水性の有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
【0023】
かかる有機溶剤は、最終的に得られるポリウレタン樹脂水性分散液から蒸留除去されるため、蒸留除去が容易な比較的沸点が低いものを用いることが好ましい。やむをえず沸点100℃以上の有機溶剤を使用しなければならない場合においてもその使用量は必要最小限に止めることが好ましい。
【0024】
本発明においては、上記した如き親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの疎水性有機溶剤溶液を、必要に応じて中和剤を含有する水、あるいは鎖伸長剤及び必要に応じて中和剤を含有する水と機械的せん断力下で混合せしめて水性媒体への分散、あるいは鎖伸長反応と水性媒体への分散を同時に行わせしめる。
【0025】
機械的せん断力の大きさは、一時間当たり1立方メートル当たりの動力数で表わすことができ、通常0.05〜100kw/m3・hr-1の範囲で任意に選択すればよいが、後述する混合器の種類によって異なるので、実際の混合器を用いて適宜条件を決定するのが好ましい。
【0026】
かかるプレポリマー疎水性有機溶剤溶液と水とを機械的せん断下で混合する際において用いられる混合器としては、例えばラインミル、ローターステイター式ミキサー、ハレルホモジナイザー、マイクロフルイダイザーやそのほか「化学工学便覧、第779−782頁(1989)」に記載の高速回転パイプインミキサー、内部循環式連続攪拌機インラインミキサー、加圧ノズル式乳化機、超音波乳化機等のせん断力を発生する混合器が好ましい。また強力な攪拌混合器を有するバッチでの混合でも構わない。
【0027】
具体的な混合器としては、例えば国産精工(株)製ハレルホモジナイザー、特殊機化工業(株)製パイプラインホモミキサー、(株)荏原製作所製マイルダー、月島機械(株)製スープラトン、マイクロフルイダイザー、同栄商事(株)製マントンゴーリン等が挙げられる。
【0028】
具体的な機械的せん断力の大きさは、例えば国産精工(株)製ハレルホモジナイザーの場合は15〜50kw/m3・hr-1、特殊機化工業(株)製パイプラインホモミキサーの場合は0.2〜30kw/m3・hr-1、(株)荏原製作所製マイルダーの場合は2.5〜40kw/m3・hr-1、月島機械(株)製スープラトンの場合は1.25〜40kw/m3・hr-1、月島機械(株)製マイクロフルイダイザーの場合は10〜100kw/m3・hr-1、同栄商事(株)製ゴーリン及びホモジナイザーの場合は3〜50kw/m3・hr-1であることが好ましい。
【0029】
上記した通り、親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーが、中和により親水性基となりうる官能基を含有するイソシアネート末端プレポリマーである場合には、その官能基を中和するための中和剤が用いられるのである。
【0030】
本発明で用いることのできる中和剤としては、前記親水基含有化合物を中和あるいはイオン化できるものであれば特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン類、アンモニア等の揮発性塩基が挙げられ、特に揮発性の塩基が好ましい。これら中和剤による中和あるいはイオン化の時期としては、親水基含有イソシアネート末端プレポリマーの製造前、中、後のいずれでも構わず、また分散のために使用する水の中に共存させても構わない。またかかる中和剤の使用量は、酸基の当量に対して中和剤/酸基=0.5/1〜1/1の範囲が好ましい。
【0031】
また本発明において水中にアニオン系乳化剤あるいはノニオンアニオン系乳化剤を含むことが必須である。アニオン系乳化剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等が挙げられる。ノニオンアニオン系乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアレキルフェニル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等が挙げられる。これらの乳化剤は、高固形分化した時の粘度低下効果に優れており、好ましい。乳化剤の添加量としては、最終的に得られるポリウレタン樹脂の各種基材に対する接着性、耐水性等に悪影響を及ぼさない範囲内にとどめる必要があり、ポリウレタン樹脂の固形分100部に対して10部、好ましくは5部以下の範囲で用いられる。
【0032】
本発明で用いることのできる鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン類;酸ヒドラジド類が挙げられ、これら単独あるいは組み合わせて使用される。かかる鎖伸長剤の使用量は、特に制限はないが、当量比でアミノ基/プレポリマー中のイソシアネート基=0/1〜1/1、好ましくは0.6/1〜0.98/1であることが必要である。
【0033】
かくして得られたポリウレタン樹脂水性分散液は、更に有機溶剤及び/または水を蒸留除去して濃縮される。
有機溶剤及び/または水の蒸留除去を行うに際しては各種の蒸留装置が使用できるが、蒸留効率や蒸留除去した有機溶剤が大気中に放出されない蒸留装置が好ましく、中でも薄膜蒸発装置が特に好ましい。
【0034】
本発明で用いられる特に好ましい連続式の薄膜蒸発装置としては、例えば、「化学装置便覧、第404〜407頁(1989)」に記載のタイプの攪拌膜型の蒸発装置であり、例えば日立製作所(株)のセブコン蒸発器、横形コントロ装置あるいは立形コントロ装置、神鋼ファウドラー(株)のWFE薄膜蒸留装置等が挙げられるが、これらの中でも回転軸が垂直方向に設置された立形の装置が液溜りが無くてよい。
【0035】
蒸留は一般に、装置のジャケット温度が約20〜100℃、好ましくは30〜90℃で、減圧度が約5〜300mmHg、好ましくは10〜200mmHgの条件下で行なわれる。
【0036】
また、本発明の製造方法において、必要に応じて、水に加えてその他の水性分散液、例えば酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル系、アクリルスチレン系等のエマルジョン;スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリル・ブタジエン系等のラテックス;ポリエチレン系、ポリオレフィン系等のアイオノマー;ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ系樹脂等の各種エマルジョン、水性分散液を併用してもよい。
【0037】
かくして本発明の方法により固形分が50〜65重量%の高固形分で低粘度のポリウレタン樹脂水性分散液が得られる。
本発明の方法により得られるポリウレタン樹脂水性分散液は、他の水分散液、例えば酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル系、アクリルスチレン系等のエマルジョン;スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリル・ブタジエン系等のラテックス;ポリエチレン系、ポリオレフィン系等のアイオノマー型水性分散液;ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ系の水分散液と任意の割合で配合して使用することができる。更に、カーボンブラック、クレー、タルク、水酸化アルミニウム等の充填剤;シリカゲル、アルミナゾル、可塑剤、顔料等の添加剤;アルキレングリコール誘導体等の造膜助剤;エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ポリカルボジイミド化合物等の架橋剤;レベリング剤等を配合して使用することもできる。
【0038】
本発明の方法により得られるポリウレタン樹脂水性分散液は、塩ビ、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、等の各種プラスチック、繊維製品、合皮製品、あるいはアルミニウム、銅、鉄等の金属、紙、木材、ガラス等との接着性に優れ、例えば繊維、合皮製品の含浸処理剤あるいはコーティング剤、各種基材に対する接着剤、被覆剤、水性塗料、水性インキあるいは有機、無機繊維の集束剤用ベース樹脂として幅広く用いることができる。
【0039】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。ただし実施例中の部及び%はすべて重量基準である。
【0043】
実施例1
温度計、撹拌装置、還流冷却管を備えた4ツ口フラスコに、先ず1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/アジピン酸のポリエステル(OH価 56)を1931部加え、減圧下120−130℃で脱水を行い、次いで50℃まで冷却して74.5部の1,4−ブタンジオール、94.7部のジメチロールプロピオン酸、0.3部のオクチル酸第一スズ及び795を部のトルエンを加え、充分撹拌混合した後、1081部の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを加え、70℃に加温し、この温度で6時間反応させて末端イソシアネート基を有するプレポリマー溶液を得た。ついでこのプレポリマー中に71部のトリエチルアミン及び159部のラテムルPS[花王石鹸製 アニオン系乳化剤;固形分40%]を溶解した水溶液2139部を加え、これを月島機械(株)製スープラトン(混合器)により機械的せん断力(10kw/m3・hr-1)下、高速撹拌しながら混合し、プレポリマーの水性分散液を調整し、更に137部の無水ピペラジンを溶解した水溶液648部を約1分間を要し滴下した。この様にして得られた乳白色の水性分散液を減圧下60℃で蒸留を行い、固形分60%、粘度260cpsのポリウレタン水性分散液が得られた。分散液中のポリウレタン樹脂粒子の粒子径は、1.0μmであった。
【0044】
この水性分散液をポリ塩化ビニルフィルムと布との接着剤として用いたところ、乾燥時間は短く、初期接着性も良好であった。
比較例1
ホモジナイザーの代わりに機械的せん断力が生じないプロペラ攪拌機を使用する以外は実施例1と同様な方法でポリウレタン水性分散液を調製したが、乳化が不十分で無水ピペラジンを投入と同時に増粘し安定な水性分散液は得られなかった。
比較例2
トルエンの代わりにアセトンを使用する以外は実施例と同様な方法でポリウレタン水性分散液を調製したが、固形分50%で粘度1800cpsであった。
【0045】
この水性分散液をポリ塩化ビニルフィルムと布との接着剤として用いたところ、実施例1に比べて乾燥時間は長く、初期接着剤も悪かった。
【0046】
【本発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来の親水性有機溶剤を使用したポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法では難しかった、水性分散液の経時安定性を維持しながら、水性分散液の粒子径を均質でかつ大きくすることができ、これにより長期安定性あるいは機械的安定性に極めて優れた高固形分ポリウレタン樹脂水性分散液を容易に製造することが可能になった。
【0047】
本発明で得られるポリウレタン樹脂水性分散液は、従来のポリウレタン樹脂水性分散液に対して高固形分であるために、乾燥エネルギーが少なくてすみ、低温乾燥性、乾燥時間の短縮化が可能であり、また接着剤として使用した場合には、初期接着性が著しく向上し、各種接着加工での作業性の向上が期待される。
【0048】
また本発明で得られるポリウレタン樹脂水性分散液は、粗大粒子を含まない均質な粒子径のため、コーティング剤として使用した場合においても、乾燥後の皮膜について透明性、平滑性、光沢、耐水性、機械的強度に優れると同時に、各種基材に対する密着性に優れるという特徴をも有する。
Claims (1)
- 親水性基含有イソシアネート末端プレポリマーの疎水性有機溶剤溶液に、アニオン系乳化剤あるいはノニオンアニオン系乳化剤を含有する水、必要に応じてさらに中和剤を含有する水を機械的せん断力で混合せしめて水性媒体中に分散させた後、鎖伸長剤と反応せしめ、ついで減圧下で脱溶剤を行うことを特徴とする固形分が50〜65重量%の高固形分ポリウレタン樹脂水性分散液の製造方法。
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