JP3779040B2 - 光半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、AlGaInAs/InP系の光半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信は、ケーブル1本当たりの伝送情報量が多く、電波障害の影響を受けにくいう特徴がある。現在、日米の国際電話回線や国内の主要基幹回線は光ファイバ回線に置き換えられつつある。近年、個々の加入者に対しても光ファイバ回線を利用しようとする動きが高まっている。
【0003】
個々の加入者に対する光ファイバ通信を実現するためには、光源である半導体レーザが低価格であることが要求される。このため、温度制御装置や光アイソレータ等の高価な光部品を用いることができず、環境温度変動に対する安定性や、耐戻り光特性等が半導体レーザに対して要求される。
これまで、通信用の長波長の光半導体レーザとしては、InP半導体基板上に格子整合したGaInAsP系材料を堆積したGaInAsP/InP系半導体レーザが用いられてきた。例えば、M.Aoki等により、次のような報告がなされている。
(1)M.Aoki, T.Tsuchiya, K.Nakahara, M.Komori, and K.Uomi, "High-power and wide-temperature-range operations of InGaAsP-InP strained MQW lasers with reverse-mesa ridge-waveguide structure", IEEE Photonics. Techno. Lett., vol.7, No.1, pp.13-15, Jan. 1995
(2)M.Aoki, M.Komori, T.Tsuchiya, H.Sato, K.Uomi, and T.Ohtoshi, "High performance InGaAsP/InP strained layer MQW lasers with reverse-mesa ridge-waveguide structures", IEE Electron. Lett., vol.31, No.12, pp.973-974, June 1995
(3)M.Aoki, T.Tsuchiya, K.Nakahara, M.Komori, K.Uomi, and T.Ohtoshi, "High-power, wide-temperature-range operation of InGaAsP/InP strained-layer MQW lasers with a reverse-mesa ridge-waveguide structure", OFC '95 Technical Digest, pp.255-256, Feb. 1995
これら報告におけるGaInAsP/InP系半導体レーザの構造の一例を図10に示す。図10は半導体レーザの断面図である。
【0004】
図10に示すように、n−InP半導体基板100上に、GaInAsP系のSCH−MQW層104が形成されている。SCH−MQW層104は、多重量子井戸(MQW(Multiple Quantum Well))層がSCH(Separated Confinement Heterostructure)層で挟まれた構造をしている。SCH−MQW層104上にはリッジ構造のp−InPクラッド層108が形成されている。p−InPクラッド層108は、コンタクト抵抗を下げるために、SCH−MQW層104側が細い逆メサ形状をしている。p−InPクラッド層108側面及びSCH−MQW層104上面はシリコン酸化膜110により覆われ、さらに、p−InPクラッド層108はポリイミド層112により埋め込まれている。
【0005】
p−InPクラッド層108上面には、p+−InGaAsコンタクト層114を介してp側電極116が形成されている。n−InP半導体基板100下面にはn側電極118が形成されている。
このGaInAsP/InP系半導体レーザは、リッジ構造のp−InPクラッド層108を逆メサ形状にすることにより、コンタクト抵抗を下げて高出力の半導体レーザを実現することができる。
【0006】
しかしながら、このGaInAsP/InP系半導体レーザは、発振しきい値電流値の特性温度Toが70K程度までしか得ることができず、環境温度が変動するとレーザ発振に必要とする電流値が急激に上昇してしまい使用困難な状態になってしまう。
これに対し、温度特性の改善が期待できる長波長の半導体レーザの材料として、InP半導体基板上にAlGaInAs系材料を形成したAlGaInAs/InP系半導体レーザが注目されている。例えば、C.E.Zah、Z.Wang、M.C.Wang等により、次のような報告がなされている。
(4)C.E.Zah et al, "High-performance uncooled 1.3μm AlxGayIn1-x-yAs/InP strained-layer quantum-well lasers for subscriber loop applications", IEEE J. Quantum Electron, vol.30, No.2, pp.511-523, Feb. 1994
(5)C.E.Zah et al, "Low Threshold 1.3μm Strained-Layer AlxGayIn1-x-yAs/InP Quantum Well Lasers", IEE Electron. Lett., vol.28, No.25, pp.2323-2325, Dec. 1992
(6)C.E.Zah et al, "High-performance uncooled 1.3μm AlxGayIn1-x-yAs/InP strained-layer quantum-well lasers for fiber-in-the-loop applications", 94 OFC, pp.204-205, 1994
(7)Z.Wang et al, "High-reliability, high-performance, low-cost coaxial laser module at 1.3μm for local-loop applications", 94 OFC, pp.145-146, 1994
(8)Z.Wang et al, "High speed, ultralow noise, tensile strained InGaAlAs MQW lasers emitting at 1300 nm for optical communication and microwave applications", IEE Electron. Lett., vol.30, No.17, pp.1413-1414, Aug. 1994
(9)C.E.Zah et al, "Low Threshold 1.3μm Strained-Layer AlxGayIn1-x-yAs/InP Quantum Well Lasers", 13th International Semiconductor Laser Conference, K-5, pp.202-203, 1992
(10)C.E.Zah et al, "High-temperature modulation dynamics of 1.3μm AlxGayIn1-x-yAs/InP compressive-strained multiple-quantum well lasers", 14th International Semiconductor Laser Conference, Th1.3, pp.215-216, 1994
(11)Z.Wang et al, "High speed, ultra low noise operation from -40℃ to100℃ tensile strained InGaAlAs MQW lasers emitting at 1300 nm", 14th International Semiconductor Laser Conference, PD10, pp.23-24, Sept. 1994
(12)M.C.Wang et al, "Ultrahigh temperature and ultrahigh speed operation of 1.3 μm strain-compensated AlGaInAs/InP uncooled laser diodes", IEE Electron. Lett., vol.31, No.18, pp.1584-1585, Aug. 1995
(13)M.C.Wang et al, "Ultra-high temperature and ultra-high speed operation of 1.3μm AlGaInAs/InP Uncooled Laser Diodes", IEEE/LEOS Annual Meeting '95 SCL6.2, pp.280-281, 1995
(14)H.Lu et al, "High performance AlGaInAs/InP strained MQW lasers for optical communication", IEEE/LEOS Annual Meeting '96 ThB2, pp.281-282, 1996
(15)R.Ranganathan et al, "Influence of blue-shifted energy in the spectrum for 1.5μm AlInGaAs/InP MQW DFB lasers on dispersion penalty in 2.5 Gbit/s systems", IEEE/LEOS Annual Meeting '96 ThI2, pp.337-338, 1996
(16)M.C.Wang et al, "Highly-reliable, high-perfomance 1.3μm low-cost laser diodes for fiber-to-the-home applications", IEEE/LEOS Annual Meeting '96 ThU2, pp.415-416, 1996
(17)A.Balida et al, "Correlation of light-to heavy-hole valence band splitting with performance of 1.3μm uncooled tensile-strained AlInGaAs/InP MQW FP lasers", IEEE/LEOS Annual Meeting '96 ThU3, pp.417-418, 1996
これら報告におけるAlGaInAs/InP系半導体レーザの素子構造の一例を図11に示す。図11は半導体レーザのバンド構造を示している。
【0007】
図11に示すように、n−InP半導体基板120上に、AlInAsクラッド層122が形成されている。AlInAsクラッド層122上には、AlGaInAs系のSCH−MQW層124が形成されている。SCH−MQW層124は、MQW層がSCH層で挟まれた構造をしている。SCH−MQW層124上には、AlInAsクラッド層126が形成されている。AlInAsクラッド層126上にはp−InPクラッド層128が形成されている。
【0008】
これまでの報告では、特性温度にして100K程度の温度特性を温度特性を有するAlGaInAs/InP系半導体レーザが得られている。
また、このAlGaInAs/InP系半導体レーザでは、活性層であるSCH−MQW層124にAlが含まれているため、メサを形成して埋め込み成長を行う構造で製造することは困難である。そこで、Alを含む材料系の半導体レーザではリッジ構造を採用している。
【0009】
リッジ構造の半導体レーザの場合、図10において説明したように、コンタクト抵抗を下げるために、逆メサ形状にすることが望ましい。しかしながら、図11の半導体レーザの場合、p−InPクラッド層128を逆メサ形状にするエッチャントを用いてエッチングすると、AlInAsクラッド層126までエッチングされてしまうため、制御性よく逆メサ形状のAlGaInAs/InP半導体レーザを実現することができない。
【0010】
一方、AlGaInAs/InP半導体レーザであって、p−InPクラッド層とp−AlInAsクラッド層の間にエッチングストッパ層を挿入する構造について次のような報告がある。
(18)B.Stegmuller, B.Bonchert, and R.Gessner, "1.57μm strained-layer quantum-well GaInAlAs ridge-waveguide laser diodes with high temperature (130℃) and ultrahigh-speed (176Hz) performance", IEEE Photon. Technol. Lett., vol.5, No.6, pp.597-599, June 1993
この報告におけるAlGaInAs/InP系半導体レーザの素子構造を図12に示す。図12は半導体レーザの構造とバンド構造を示している。
【0011】
図11に示すように、n−InP半導体基板130上に、GaInAs/AlGaInAs系のSCH−MQW層132が形成されている。SCH−MQW層132上にはp−AlInAsクラッド層134が形成されている。p−AlInAsクラッド層134上には、p−AlGaInAsエッチングストッパ層136を介してメサ形状のp−InPクラッド層138が形成されている。
【0012】
p−InPクラッド層138上面には、p+−GaInAsコンタクト層140を介してp側電極142が形成されている。n−InP半導体基板130下面にはn側電極144が形成されている。p−AlGaInAsエッチングストッパ層136上面及びp−InPクラッド層138側面及び上面は、酸化アルミニウム層146により覆われている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、p−AlInAsクラッド層134とp−InPクラッド層138の間にp−AlGaInAsエッチングストッパ層136を挿入すれば、この層でエッチングが停止してp−InPクラッド層138をメサ形状にすることができる。しかしながら、このp−AlGaInAsエッチングストッパ層136を挿入したために、価電子帯側に大きな井戸が形成され、直列抵抗が大きくなってしまい、十分な特性が得られない。
【0014】
本発明の目的は、良好な温度特性を実現し、直列抵抗が低いAlGaInAs/InP系の光半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、InP半導体基板と、前記InP半導体基板上に形成された活性層と、前記活性層上に形成され、前記InP半導体基板に格子整合(−0.2%〜+0.2%)したp型AlInAsからなる第1クラッド層と、前記第1クラッド層上に形成され、PL波長が0.95μm〜1.1μmの範囲内にあり、前記InP半導体基板に格子整合したp型GaInAsPからなる半導体層と、前記半導体層上に形成され、p型InPからなる第2クラッド層とを有することを特徴とする光半導体装置によって達成される。
【0016】
上述した光半導体装置において、前記第1クラッド層、前記半導体層、及び前記第2クラッド層のドーパント濃度は1×1017cm-3以上であることが望ましい。
上述した光半導体装置において、前記第2クラッド層は、逆メサ形状をしていることが望ましい。
【0017】
上述した光半導体装置において、前記活性層は、AlGaInAs系材料の多重量子井戸構造を含むことが望ましい。
上述した光半導体装置において、前記多重量子井戸構造は、圧縮歪が加わったAlGaInAs活性層と、歪がほとんど加わらないAlGaInAs障壁層とを交互に積層して構成されていることが望ましい。
【0018】
上記目的は、InP半導体基板上に、活性層と、前記InP半導体基板に格子整合したp型AlInAsからなる第1クラッド層と、PL波長が0.95μm〜1.1μmの範囲内にあり、前記InP半導体基板に格子整合したp型GaInAsPからなる半導体層と、p型InPからなる第2クラッド層とを形成する第1の工程と、前記第2クラッド層上にマスク層を形成する第2の工程と、前記マスク層をマスクとして前記第2クラッド層をエッチングする第3の工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法によって達成される。
【0019】
上述した光半導体装置の製造方法において、前記第3の工程では、前記第2クラッド層を逆メサ形状にすることが望ましい。
上述した光半導体装置の製造方法において、前記第3の工程では、Br系のエッチャントにより前記第2クラッド層をエッチングすることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態による半導体レーザを図1を用いて説明する。図1は本実施形態の半導体レーザの構造を示す図である。
約270μm厚で不純物濃度が約2.0E+18cm-3のn−InP半導体基板10上に、約50〜400nm厚で不純物濃度が約5.0E+17cmー3のn−Al0.47In0.53Asクラッド層12が形成されている。
【0021】
n−AlInAsクラッド層12上には、約100±10nm厚で、PL波長が約1.0μmのi−Al0.32Ga0.15In0.53As SCH(Separate Confinement Heterostructure)層14を介して、多重量子井戸層16が形成されている。多重量子井戸層16は、約4±1nm厚で、n−InP半導体基板10に対して1.5%程度の圧縮歪が加わるi−Al0.12Ga0.12In0.76As活性層と、約10±5nm厚で、n−InP半導体基板10に対して無歪で、PL波長が約1.0μmのi−Al0.32Ga0.15In0.53As障壁層とが交互に積層して形成されている。多重量子井戸層16の活性層数は、例えば、8層である。多重量子井戸層16上には、約100±10nm厚で、PL波長が約1.0μmのi−Al0.32Ga0.15In0.53As SCH層18が形成されている。
【0022】
SCH層18上には、約50〜400nm厚で不純物濃度が5.0E+17cmー3のp−Al0.47In0.53Asクラッド層20が形成されている。p−AlInAsクラッド層20上には、数10nm厚で、PL波長が約1.05μmで、不純物濃度が約5.0E+17cmー3のp−Ga0.115In0.885As0.246P0.7 54エッチングストッパ層22を介して、約2000±100nm厚で不純物濃度が1.0E+18cm-3のp−InPクラッド層24が形成されている。p−InPクラッド層24上には、約500±100nm厚で、不純物濃度が2.0E+19cm-3で、不純物濃度が約1.0E+19cmー3のp+−In0.523Ga0.467Asコンタクト層26が形成されている。
【0023】
p−GaInAsPエッチングストッパ層22、p−InPクラッド層24及びp+−InGaAsコンタクト層26は、図1に示すように、p−AlInAsクラッド層20側が狭い逆メサ形状のリッジ構造となるように加工されている。このリッジ構造は、中央の突出部分以外の領域はシリコン酸化膜28により覆われている。p+−InGaAsコンタクト層26の露出部分、及びシリコン酸化膜28上には、Ti/Pt/Au層からなるp側電極30が形成されている。n−InP半導体基板10の下面には、AuGe/Au層からなるn側電極32が形成されている。
【0024】
本実施形態によれば、p−GaInAsPエッチングストッパ層22の組成比を調整することにより、エッチングストッパ層22とp−AlInAsクラッド層20との間のヘテロ障壁をなくすことができる。このことについて図2及び図3を用いて説明する。
図2に、p−GaInAsPエッチングストッパ層22の組成比を変化した場合の価電子帯側でのエネルギー不連続量の変化を示す。横軸にエッチングストッパ層22のPL波長をとり、縦軸に価電子帯側でのエネルギー不連続ΔEvをとる。ΔEv1は、p−AlInAsクラッド層20とのエネルギー不連続量であり、ΔEv2は、p−GaInAsPエッチングストッパ層22とp−InPクラッド層24とのエネルギー不連続であり、ΔEv3は、p−AlInAsクラッド層20とp−InPクラッド層24とのエネルギー不連続量である。これらエネルギー不連続量ΔEv1、ΔEv2、ΔEv3の間には、ΔEv3=ΔEv1+ΔEv2なる関係がある。
【0025】
図2に示すように、p−GaInAsPエッチングストッパ層22の組成比を変化させると、PL波長の増加に応じて、p−GaInAsPエッチングストッパ層22とp−InPクラッド層のエネルギー不連続ΔEv2が増加する。p−AlInAsクラッド層20とp−InPクラッド層24とのエネルギー不連続量ΔEv3は一定であり変化しない。
【0026】
このため、エネルギー不連続量ΔEv2がエネルギー不連続量ΔEv3より小さい場合には、図3(a)に示すように、価電子帯側において、p−InPクラッド層24と、p−GaInAsPエッチングストッパ層22と、p−AlInAsクラッド層20とのヘテロ接合において段差が生ずる。一方、エネルギー不連続量ΔEv2がエネルギー不連続量ΔEv3より大きい場合には、図3(b)に示すように、価電子帯側において、p−GaInAsPエッチングストッパ層22が井戸となるエネルギーバンドとなる。
【0027】
したがって、エネルギー不連続量ΔEv2がエネルギー不連続量ΔEv3とほぼ等しい場合には、図3(c)に示すように、価電子帯側において、p−InPクラッド層24とp−GaInAsPエッチングストッパ層22とでの段差がなくなる。
p−GaInAsPエッチングストッパ層22のPL波長を約1.05μmとし、エネルギー不連続量ΔEv2がエネルギー不連続量ΔEv3とほぼ等しくなることが最も望ましいが、p−GaInAsPエッチングストッパ層22のPL波長が0.95〜1.1μm程度であっても、p−GaInAsPエッチングストッパ層22のヘテロ接合における直列抵抗が十分に小さくなり効果的である。エッチングストッパ層22の組成比は、PL波長が約1.05μmでは、p−Ga0.115In0.885As0.246P0.754となり、PL波長が0.95〜1.1μmの範囲では、p−Ga0.029In0.971As0.063P0.937〜p−Ga0.153In0.847As0.328P0.672の範囲となる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、p−GaInAsPエッチングストッパ層22の組成比を適切な範囲内の値とすることにより、図4に示すエネルギーバンド図となり、エッチングストッパ層22とp−AlInAsクラッド層20との間の価電子帯側でのヘテロ障壁をなくして直列抵抗を低下させることができる。比較のため、図5に、図11の半導体レーザのエネルギーバンド図を示し、図6に、図12の半導体レーザのエネルギーバンド図を示す。本実施形態の半導体レーザは、エッチングストッパ層を設けていながら、図5に示す図11の半導体レーザのようにヘテロ障壁がない低い直列抵抗を実現できる。図6に示す図12の半導体レーザのエネルギーバンド図と比較すれば、直列抵抗が低下していることがよくわかる。
【0029】
次に、本実施形態による半導体レーザの製造方法を図7及び図8を用いて説明する。
まず、n−InP半導体基板10上に、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、約50〜400nm厚のn−AlInAsクラッド層12と、約100±10nm厚のi−AlGaInAs SCH層14と、i−AlGaInAs活性層とi−AlGaInAs障壁層を交互に積層した多重量子井戸層16と、約100±10nm厚のi−AlGaInAsSCH層18と、約50〜400nm厚のp−AlInAsクラッド層20と、数10nm厚のp−GaInAsPエッチングストッパ層22と、約1000±100nm厚のp−InPクラッド層24と、約500±100nm厚のp+−InGaAsコンタクト層26とを、この順番で積層する(図7(a))。
【0030】
次に、リッジ構造を形成するために、p+−InGaAsコンタクト層26上全面にシリコン酸化膜からなるマスク層40を形成し、続いて、後述するエッチングによるメサが逆メサ形状になるような方向のストライプとなるように、マスク層40をパターニングする(図7(b))。
次に、このマスク層40をマスクとして、例えば、エタン及び水素ガスを含むエッチングガスを用いてp+−InGaAsコンタクト層26及びp−InPクラッド層24の一部を反応性イオンエッチング(RIE)によりエッチングする。続いて、Br系のエッチャント、例えば、臭化水素酸を用いてp−InPクラッド層24をエッチングする。p−InPクラッド層24は、図7(b)に示すように、逆メサ形状となる。Br系のエッチャントを用いたエッチングは、p−GaInAsPエッチングストッパ層22で停止する。
【0031】
次に、硫酸系のエッチャント、例えば、硫酸を用いて、残存したp−GaInAsPエッチングストッパ層22を除去する(図7(c))。
次に、フッ酸を含むエッチャントを用いたウエットエッチングによりマスク層40を除去し、その後、パッシベーション用のシリコン酸化膜28を形成する(図8(a))。
【0032】
次に、シリコン酸化膜28に電極取り出し用の窓を開口し(図8(b))、全面にTi/Pt/Au層からなるp側電極30を形成する(図8(c))。続いて、n−InP半導体基板10下面を研磨した後に、全面にAuGe/Au層からなるn側電極32を形成する(図8(c))。
このように本実施形態によれば、エッチングストッパ層の材料としてBr系のエッチャントによりエッチングされないp−GaInAsPを用いたので、p−InPクラッド層をエッチングして逆メサ形状に形成することができる。
【0033】
本発明の他の実施形態による半導体レーザを図9を用いて説明する。図9は本実施形態の半導体レーザの構造を示す図である。図1乃至図8に示す実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の半導体レーザでは、p−InPクラッド層24が、図9に示すようにメサ形状の側壁がほぼ垂直である点を除いては、図1乃至図8に示す実施形態の半導体レーザと同じである。本実施形態ではp−InPクラッド層24をエッチングする際に、Br系のエッチャントの代わりに、例えば、塩素を含む塩素系のエッチャントを用いる。これにより、p−InPクラッド層24は側壁がほぼ垂直であるメサ形状となり、p−GaInAsPエッチングストッパ層22により停止する。
【0034】
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、活性層として多重量子井戸構造を用いたが、他の構造、例えば、単層の活性層でもよい。
また、上記実施形態における素子構造はあくまで本発明を適用した一例であって、本発明が上記実施形態の素子構造に限定されるものではない。
【0035】
さらに、上記実施形態では、半導体レーザに本発明を適用したが、半導体レーザ以外の他の光半導体装置に本発明を適用してもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、p型AlInAsクラッド層とp型InPクラッド層との間にp型GaInAsP半導体層を挿入したので、このp型GaInAsP半導体層によりp型InPクラッド層のエッチングを停止することができる。しかも、p型GaInAsP半導体層のPL波長を0.95μm〜1.1μmの範囲内としたので、ヘテロ接合における障壁を低くして直列抵抗を十分に小さくすることができる。また、InP半導体基板上にAlGaInAs系材料を形成したAlGaInAs/InP系光半導体装置であるので、温度特性の改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による半導体レーザの断面図である。
【図2】p−GaInAsPエッチングストッパ層の組成比と、価電子帯側でのp−InPクラッド層に対するエネルギー不連続量との関係を示すグラフである。
【図3】p−GaInAsPエッチングストッパ層の組成比を変化した場合の半導体レーザのエネルギーバンド図である。
【図4】本発明の一実施形態によれる半導体レーザのエネルギーバンド図である。
【図5】従来のAlGaInAs/InP系半導体レーザの一例のエネルギーバンド図である。
【図6】従来のAlGaInAs/InP系半導体レーザの他の例のエネルギーバンド図である。
【図7】本発明の一実施形態による半導体レーザの製造方法の工程断面図(その1)である。
【図8】本発明の一実施形態による半導体レーザの製造方法の工程断面図(その2)である。
【図9】本発明の他の実施形態による半導体レーザの断面図である。
【図10】従来のGaInAsP/InP系半導体レーザの断面図である。
【図11】従来のAlGaInAs/InP系半導体レーザの一例のエネルギーバンド図である。
【図12】従来のAlGaInAs/InP系半導体レーザの他の例の断面図及びエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
10…n−InP半導体基板
12…n−AlInAsクラッド層
14…SCH層
16…多重量子井戸層
18…SCH層
20…p−AlInAsクラッド層
22…p−GaInAsPエッチングストッパ層
24…p−InPクラッド層
26…p+−InGaAsコンタクト層
28…シリコン酸化膜
30…p側電極
32…n側電極
40…マスク層
100…n−InP半導体基板
104…SCH−MQW層
108…p−InPクラッド層
110…シリコン酸化膜
112…ポリイミド層
114…p+−InGaAsコンタクト層
116…p側電極
118…n側電極
120…n−InP半導体基板
122…AlInAsクラッド層
124…SCH−MQW層
126…AlInAsクラッド層
128…p−InPクラッド層
130…n−InP半導体基板
132…SCH−MQW層
134…p−AlInAsクラッド層
136…p−AlGaInAsエッチングストッパ層
138…p−InPクラッド層
140…p+−GaInAsコンタクト層
142…p側電極
144…n側電極
146…酸化アルミニウム層
Claims (8)
- InP半導体基板と、
前記InP半導体基板上に形成された活性層と、
前記活性層上に形成され、前記InP半導体基板に格子整合したp型AlInAsからなる第1クラッド層と、
前記第1クラッド層上に形成され、PL波長が0.95μm〜1.1μmの範囲内にあり、前記InP半導体基板に格子整合したp型GaInAsPからなる半導体層と、
前記半導体層上に形成され、p型InPからなる第2クラッド層とを有し、
前記半導体層は、前記第2クラッド層をエッチングする際のエッチングストッパ層である
ことを特徴とする光半導体装置。 - 請求項1記載の光半導体装置において、
前記第1クラッド層、前記半導体層、及び前記第2クラッド層のドーパント濃度は1×1017cm-3以上である
ことを特徴とする光半導体装置。 - 請求項1又は2記載の光半導体装置において、
前記第2クラッド層は、逆メサ形状をしている
ことを特徴とする光半導体装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
前記活性層は、AlGaInAs系材料の多重量子井戸構造を含む
ことを特徴とする光半導体装置。 - 請求項4記載の光半導体装置において、
前記多重量子井戸構造は、圧縮歪が加わったAlGaInAs井戸層と、歪がほとんど加わらないAlGaInAs障壁層とを交互に積層して構成されている
ことを特徴とする光半導体装置。 - InP半導体基板上に、活性層と、前記InP半導体基板に格子整合したp型AlInAsからなる第1クラッド層と、PL波長が0.95μm〜1.1μmの範囲内にあり、前記InP半導体基板に格子整合したp型GaInAsPからなる半導体層と、p型InPからなる第2クラッド層とを形成する第1の工程と、
前記第2クラッド層上にマスク層を形成する第2の工程と、
前記マスク層をマスクとし、前記半導体層をエッチングストッパ層として、前記第2クラッド層をエッチングする第3の工程と
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。 - 請求項6記載の光半導体装置の製造方法において、
前記第3の工程では、前記第2クラッド層を逆メサ形状にする
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。 - 請求項7記載の光半導体装置の製造方法において、
前記第3の工程では、Br系のエッチャントにより前記第2クラッド層をエッチングする
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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