JP3778745B2 - ボックス体の開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のパッセンジャーパネルに回動可能に軸支されるグラブボックスの如く、その開閉動がダンパー手段によってコントロールされるボックス体の開閉装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種開閉装置として、登録実用新案第2557064号公報に示すものが存する。
該従来の開閉装置は、具体的には図示しないが、自動車のパッセンジャーパネルにグラブボックスをヒンジピンと軸受部を介して回動可能に軸支する一方、グラブボックスの背面又は側面にエアダンパーのシリンダーを固定すると共に、該エアダンパーのピストンに接続された紐の先端部をパッセンジャーパネル側に固定する構成となっている。
【0003】
この為、従来の開閉装置の下では、グラブボックスを開方向へ移動させると、エアダンパーの制動作用で、グラブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障され、逆に、グラブボックスを閉方向へ移動すると、エアダンパーの復帰作用で、グラブボックスの閉動作が助長されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の開閉装置にあっては、エアダンパーの存在によって、グラブボックスの開閉動を円滑にコントロールすることが可能となる訳であるが、反面、当該エアダンパーをグラブボックスの背面又は側面に固定する関係で、その存在分だけ、グラブボックスの内容積が犠牲になっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる従来の開閉装置が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、支持構造体側にボックス体を回動可能に軸支して、当該ボックス体の開閉動をダンパー手段でコントロールするボックス体の開閉装置において、支持構造体とボックス体の夫々に軸受部を設けて、当該各軸受部にヒンジ筒を嵌合する一方、該ヒンジ筒の内部にピストンを移動可能に配して、ヒンジ筒にダンパー機能を付与すると共に、上記ピストンに直接又は間接に接続される紐の先端部を支持構造体上の回動中心から離れた経由部を経てボックス体側に固定し、且つ、上記ヒンジ筒は、開口部をボックス体の側面側に位置させて、紐の先端部をヒンジ筒の開口部から直交方向に反転させて上記経由部に導く構成を採用した。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、支持構造体のヒンジ筒の開口部側にストッパー壁を設ける構成を採用した。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求項2を前提として、ヒンジ筒は、支持構造体側の軸受部に対してはタイトに嵌合し、ボックス体側の軸受部に対してはルーズに嵌合する構成を採用した。
【0009】
依って、請求項1記載の発明にあっては、支持構造体とボックス体の各軸受部に嵌合するヒンジ筒にダンパー機能を積極的に付与した関係で、従来の如く、独立したダンパー手段をボックス体の背面や側面に固定する必要がなくなるので、ダンパー手段の存在によって、ボックス体の内容積が犠牲になる心配がなくなって、ボックス体の有効利用が可能となると共に、これに伴い、各軸受部に嵌合する専用のヒンジピンやダンパー手段をボックス体側に固定するためのビス等を廃止若しくは少なくできる。又、紐の先端部をヒンジ筒の開口部から直交方向に反転させて経由部に導いた関係で、紐の長さを可及的に短くすることが可能となると共に、紐を支持構造体とボックス体の間を通せるので、紐の存在が邪魔となることはない。
【0010】
請求項2記載の発明にあっては、ストッパー壁を設けた関係で、ヒンジ筒から紐が引き出されたとしても、ヒンジ筒が不用意に軸受部から抜け外れる心配がない。請求項3記載の発明にあっては、ヒンジ筒を支持構造体の軸受部に対してタイトに嵌合させている関係で、ヒンジ筒は回転することがないので、ピストンに接続される紐が捻じれたり擦れたりする心配がない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る開閉装置も、自動車のパッセンジャーパネルに回動可能に軸支されるグラブボックスを対象として開発されたものであるが、特徴とするところは、以下の構成を採用した点にある。
【0012】
即ち、本実施の形態にあっては、支持構造体たるパッセンジャーパネルP側にボックス体たるグラブボックスBを回動可能に軸支するに際して、図1・図2に示す如く、パッセンジャーパネルPの左右両側に軸受部1を設け、グラブボックスBの左右両側に対応する軸受部2を設けて、左右の各軸受部1・2同士に従来のヒンジピンに代えて2本のヒンジ筒3A・3Bを嵌合することにより、グラブボックスBをパッセンジャーパネルPに対して回動可能に支持せんとするものである。
【0013】
尚、パッセンジャーパネルPに対しては、その一側面側にガイド溝4と後述する紐の経由部となる経由ピン5とを回動中心となるヒンジ筒3Aから離れた位置に設けると共に、一側面側の軸受部1近傍にストッパー壁6を設け、グラブボックスBに対しては、その一側面側にグラブボックスBの回動に応じて上記ガイド溝4内を往復動する移動ピン7を突設するものとする。
【0014】
そして、本実施の形態は、上記した2本のヒンジ筒3A・3Bの内、少なくとも、一方のヒンジ筒3Aに対しては、図3に示す如く、その内部に、紐9の基端部が接続されたピストン8と、該ピストン8を弾性付勢する圧縮コイルばね10を配すると共に、開口部側に紐9の移動を案内するガイドキャップ11を装着し、開口部と反対の底部に連通孔12を開設して、該底部に連通孔12を開閉するバルブ13付のエンドキャップ14を装着することにより、当該1本のヒンジ筒3Aにシリンダー型のエアダンパー機能を積極的に付与して、このエアダンパー機能で、グラブボックスBの開閉動をコントロールする構成を採用している。従って、これにより、一方のヒンジ筒3Aはエアダンパーのシリンダーを兼用する結果、従来の如く、グラブボックスBの背面や側面に独立したダンパー手段を固定する必要がなくなるので、グラブボックスの内容積が犠牲になることはなくなる訳である。このことは、各軸受部1・2に嵌合する専用のヒンジピンや独立したダンパー手段をグラブボックスB側に固定するためのビス等を廃止若しくは少なくできる。
【0015】
又、このエアダンパー機能を有する一方のヒンジ筒3Aを対応する右側の軸受部1・2に嵌合する場合には、図4に示す如く、開口部に装着されるガイドキャップ11を上記ストッパー壁6に当接させる状態を得て、紐9が出入りするヒンジ筒3Aの開口部をグラブボックスBの一側面側に位置させて嵌合すると共に、パッセンジャーパネルP側の軸受部1とグラブボックスB側の軸受部2との間に径差を設けて、パッセンジャーパネルPの軸受部1に対してはヒンジ筒3Aをタイトに嵌合し、グラブボックスBの軸受部2に対してはヒンジ筒3Aをルーズに嵌合する構成となっている。
【0016】
尚、上記ピストン8に接続される紐9の先端部9aは、一方のヒンジ筒3Aの開口部に装着されたガイドキャップ11のガイド面を介して直交方向に反転させて、パッセンジャーパネルPとグラブボックスBの間を通過させながら、パッセンジャーパネルPの経由ピン5方向に導かれて、最後に、グラブボックスBの移動ピン7に固定されるものであるから、紐9自体の長さを可及的に短くすることが可能となると共に、紐9をパッセンジャーパネルPとグラブボックスBの間を通せるので、紐9の存在が邪魔となることは決してない。
【0017】
依って、斯かる構成の開閉装置の下では、グラブボックスBをそのロック手段(図示せず)のロック状態を解除して開方向へ移動させると、紐9が一方のヒンジ筒3Aから徐々に引き出されて、ピストン8が圧縮コイルばね10のばね圧に抗して同方向に移動するので、これにより、ピストン8側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、エアダンパー効果を得て、図5に示す如く、グラブボックスBがゆっくりと開放状態に移動することが保障される。
【0018】
又、逆に、グラブボックスBを閉方向へ移動させると、今度は、ピストン8が紐9を伴って圧縮コイルばね10のばね圧でヒンジ筒3A内に強制的に押し戻されて、ヒンジ筒3A内に蓄積された空気をバルブ13で開放された連通孔12を経てエンドキャップ14側から外部に逃がすので、ピストン8が一方のヒンジ筒3A内を速やかに移動して、図6に示す如く、グラブボックスBの閉動作を助長することとなる。
【0019】
その上、本実施の形態の下では、一方のヒンジ筒3Aの開口部側をパッセンジャーパネルPのストッパー壁6に当接させている関係で、例え、紐9がヒンジ筒3A内から引き出された場合でも、ヒンジ筒3Aが不用意に軸受部1・2から抜け外れる心配がなくなると共に、このヒンジ筒3AはパッセンジャーパネルPの軸受部1に対してはタイトに嵌合している関係で、グラブボックスBが開閉動しても、ヒンジ筒3Aは回転することがないので、ピストン8と移動ピン7に接続されている紐9が捻じれたり擦れたりする心配もない。
【0020】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、支持構造体とボックス体の各軸受部に嵌合するヒンジ筒にダンパー機能を積極的に付与した関係で、従来の如く、独立したダンパー手段をボックス体の背面や側面に固定する必要がなくなるので、ダンパー手段の存在によって、ボックス体の内容積が犠牲になる心配がなくなって、ボックス体の有効利用が可能となると共に、これに伴い、各軸受部に嵌合する専用のヒンジピンやダンパー手段をボックス体側に固定するためのビス等を廃止若しくは少なくできる。又、紐の先端部をヒンジ筒の開口部から直交方向に反転させて経由部に導いた関係で、紐の長さを可及的に短くすることが可能となると共に、紐を支持構造体とボックス体の間を通せるので、紐の存在が邪魔となることはない。
【0021】
請求項2の下では、ストッパー壁を設けた関係で、ヒンジ筒から紐が引き出されたとしても、ヒンジ筒が不用意に軸受部から抜け外れる心配がない。請求項3の下では、ヒンジ筒を支持構造体の軸受部に対してタイトに嵌合させている関係で、ヒンジ筒は回転することがないので、ピストンに接続される紐が捻じれたり擦れたりする心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る開閉装置を分解して示す斜視図である。
【図2】同組付状態を示す斜視図である。
【図3】エアダンパー機能が付与された一方のヒンジ筒の構造を示す断面図である。
【図4】同ヒンジ筒の軸受部に対する嵌合状態を示す要部断面図である。
【図5】グラブボックスの開放した状態を示す要部説明図である。
【図6】グラブボックスの閉塞した状態を示す要部説明図である。
【符号の説明】
P パッセンジャーパネル(支持構造体)
B グラブボックス(ボックス体)
1 パッセンジャーパネル側の軸受部
2 グラブボックス側の軸受部
3A ヒンジ筒
3B ヒンジ筒
4 ガイド溝
5 経由ピン
6 ストッパー壁
7 移動ピン
8 ピストン
9 紐
9a 紐の先端部
10 圧縮コイルばね
11 ガイドキャップ
12 連通孔
13 バルブ
14 エンドキャップ
Claims (3)
- 支持構造体側にボックス体を回動可能に軸支して、当該ボックス体の開閉動をダンパー手段でコントロールするボックス体の開閉装置において、支持構造体とボックス体の夫々に軸受部を設けて、当該各軸受部にヒンジ筒を嵌合する一方、該ヒンジ筒の内部にピストンを移動可能に配して、ヒンジ筒にダンパー機能を付与すると共に、上記ピストンに直接又は間接に接続される紐の先端部を支持構造体上の回動中心から離れた経由部を経てボックス体側に固定し、且つ、上記ヒンジ筒は、開口部をボックス体の側面側に位置させて、紐の先端部をヒンジ筒の開口部から直交方向に反転させて上記経由部に導いたことを特徴とするボックス体の開閉装置。
- 支持構造体のヒンジ筒の開口部側にストッパー壁を設けたことを特徴とする請求項1記載のボックス体の開閉装置。
- ヒンジ筒は、支持構造体側の軸受部に対してはタイトに嵌合し、ボックス体側の軸受部に対してはルーズに嵌合していることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のボックス体の開閉装置。
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