JP3778548B2 - 道路排水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速道路等における降雨により排出される道路排水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路排水は、合流式下水道の敷設地域では下水道に、分流下水道の敷設地域及び下水道未整備地域では河川あるいは湖沼といった公共用水域に排除しているのが現状である。しかし、最近では道路排水の有害性が指摘されるようになってきているにも拘わらず、対策としては合流下水道の雨水吐におけるスクリーンろ過等の性能の低い処理を実施している程度であることから、降雨量の多いとき雨水吐を経由して雨水と混在する下水が未処理のまま、公共用水域に放流されて都市近郊の海域で発生するオイルボールの原因となっている。また、表面化はしていないものの、公共用水域における下水由来の病原菌の存在も懸念される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来、合流式下水道に排除していた道路排水を別途処理することにより、合流下水道の負荷を軽減し雨水吐から越流する未処理の下水を低減させることと、毒性の問題が顕在化しつつある道路排水を、直接処理して公共用水域の保全を確保しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明の道路排水の処理方法は、道路の側面に側溝を設けて道路排水を排除し処理する方法において、側溝より導いた道路排水を簡易処理するとともに、簡易処理水は河川等の公共用水域に放流し、発生汚泥は下水管に流出させるか、脱水処理の後に処分する道路排水の処理方法であって、前記簡易処理方法が、2mm目のスクリーンを通過させた後、浮上ろ材を充填した処理槽をろ過速度250m/日以下、上向流方式で通水するとともに、ろ材のSS抑留量が5kg/m に達した時点で、ろ材を下向洗浄速度1〜5m/分で水洗浄する処理である、または、この処理方法に、浮上ろ材充填処理槽からの流出水は更に、ろ過砂を充填した処理槽をろ過速度50〜200m/日、下向流方式または上向流方式で通水するとともにろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理を追加した処理である道路排水の処理方法を基準として、対象道路全体における降雨強度が平均0.5mm/Hr以上で、かつ、降り始めから積算して平均5mmまでの道路排水は簡易処理を行い、さらに、積算降雨量が平均5mmを超えた部分の道路排水は無処理のまま放流することを特徴とするものである。
また請求項2の発明の道路排水の処理方法は、道路の側面に側溝を設けて道路排水を排除し処理する方法において、側溝より導いた道路排水を簡易処理し、簡易処理水を予め道路下部に配設した滞水池に滞水させるとともに、簡易処理水は高度処理した後に河川等の公共用水域に放流し、簡易処理と高度処理の発生汚泥は下水管に流出させるか、脱水処理の後に処分する道路排水の処理方法であって、前記簡易処理方法が、2mm目のスクリーンを通過させた後、浮上ろ材を充填した処理槽をろ過速度250m/日以下、上向流方式で通水するとともに、ろ材のSS抑留量が5kg/m に達した時点で、ろ材を下向洗浄速度1〜5m/分で水洗浄する処理である、または、この処理方法に、浮上ろ材充填処理槽からの流出水は更に、ろ過砂を充填した処理槽をろ過速度50〜200m/日、下向流方式または上向流方式で通水するとともにろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理を追加した処理であり、さらに、前記高度処理方法が、前記簡易処理水に予め凝集剤と水素供与体を添加した後、粒状ゼオライトを充填し上部が曝気できる処理槽を、ろ過速度50〜100m/日、SV2〜3/Hr、上向流方式で通水するとともに、ろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理である、または、この処理において、前記粒状ゼオライト充填処理槽の代わりに、上部に二酸化マンガン、下部に粒状ゼオライトを充填し、上部がオゾンによる曝気できる処理槽を用いる処理であり、さらに、前記滞水池の容積が、対象道路全体における降雨強度で平均0.5mm/Hr以上で、且つ、積算降雨量で平均2mmに対応するものである道路排水の処理方法を基準にして、対象道路全体における降雨強度が平均0.5 mm /Hr以上で、かつ、降り始めから積算して平均2mmまでの道路排水は、前記簡易処理および高度処理を行い、積算降雨量が平均2mmを超えた部分の道路排水は前記簡易処理のみで放流し、さらに、積算降雨量が平均5mmを超えた部分の道路排水は無処理のまま放流することを特徴とするものである。
以下に本発明を実施形態とともに詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1と図2は請求項1の発明の実施形態を示すフローシートであり、図3は請求項2の発明の実施形態を示すフローシートである。先ずこれらのフローシートにより、全体の概略を説明し、その後に詳細を説明する。
【0006】
図1のフローシートにおいては、道路の側面に設けられた側溝1よりスクリーン2を経由して導かれた道路排水は、浮上ろ過装置3により簡易処理される。浮上ろ過装置3内の浮上ろ材4により簡易処理された処理水(簡易処理水)は河川等の公共用水域に放流される。一方、浮上ろ材4に捕捉された発生汚泥は水洗浄排水とともに下水管に流出させるか、脱水設備に送り脱水処理の後に処分する。
【0007】
図2のフローシートは、図1のフローシートにおける浮上ろ過装置3の後段に砂ろ過装置5と簡易処理水槽6とを設けたもので、これらによって道路排水の簡易処理を行うものである。このフローシートでは、浮上ろ過装置3により簡易処理された処理水は砂ろ過装置5により更にろ過されたうえで、簡易処理水槽6を経て河川等の公共用水域に放流される。一方、浮上ろ過装置3及び砂ろ過装置5からの発生汚泥は水洗浄排水とともに下水管に流出させるか、脱水設備に送り脱水処理の後に処分する。
【0008】
図3に示す請求項2の発明では、簡易処理水を道路下部に設けた滞水池7に滞水させたうえ、高度処理装置8で高度処理した後に高度処理水槽9を経由して河川等の公共用水域に放流する。一方、簡易処理と高度処理からの発生汚泥は下水管に流出させるか、脱水処理の後に処分する。図3では図1のフローシートに滞水池7と高度処理装置8とを組み合わせてあるが、図2のフローシートに滞水池7と高度処理装置8を組み合わせてもよい。この高度処理は、難分解性有機物の多い道路排水には二酸化マンガン(オゾン併用)と粒状ゼオライトを充填した処理槽を使用し、難分解性有機物の少ない道路排水には粒状ゼオライトを充填した処理槽を使用する。図3のフローシートには図1、図2の全ての構成要素が含まれているので、以下に図3のフローシートに沿って詳細に説明する。
【0009】
本発明の最大の特徴は浮上ろ過装置3または浮上ろ過装置3+砂ろ過装置5を使用する簡易処理装置にある。高速道路の多くは高架で設置されており、この高速道路の下に簡易処理装置を設置すれば落差を利用して無動力の処理が可能になる。また、一般道路でも橋下に設置すれば同様の効果をもたらすこととなる。
【0010】
先ず、道路面に降雨が開始されると道路表面を流れた雨は側溝1に落ち、集水されて道路排水となる。図4は地方の高速道路における降雨強度と道路排水量の関係を調査した結果を示したものであるが、降雨強度が小さい場合には道路表面で蒸発したり、一部、地下浸透するために道路排水として集水されない。しかし、降雨強度が0.5mm/Hr以上になると、対象道路面積と降雨量から求めた理論値の50%程度を越えるようになり、排水量自体も増加するため処理が必要になる。
【0011】
図3に示すように、側溝1で集められた道路排水は2mm目のスクリーン2で木の葉などの夾雑物を除去した後に浮上ろ材4を0.6〜1m高さで充填した浮上ろ過装置3の下部より入る。浮上ろ材4の比重は水洗浄速度との関係で0.1〜0.4(図5)のものが好ましく、材質としてはポリエチレン,ポリスチレンなど比重調整が可能な材質なら何れも使用できる。浮上ろ材の粒径は5〜15mm程度の異型寸法のものがよく、5mmより小さいと目詰まりが激しく高降雨強度時に対応できない。また、15mmを越えるとSS抑留量が低下して、やはり、高降雨強度時に対応できない(図6)。
【0012】
浮上ろ過装置3の下部より入った道路排水は、砂など比重の大きい物質を沈殿させながら上昇し、浮上ろ材4により20〜30μ程度以上の粒子が除去されて簡易処理水となる。ろ過速度は250m/日以下、望ましくは200m/日以下がよい。図7は、降雨開始30分後の道路排水を用いてろ過速度とSS除去率の関係を調査した結果を示したものであるが、ろ過速度が250m/Hrを境としてSS除去率が急激に低下することが判る。これはろ過速度が250m/Hr以下のときには砂など比重の大きい物質が沈殿により除去されていたものが250m/Hrを越えることにより、この沈殿効果がなくなったと理解することができる。浮上ろ過を継続すると、除々に抑留SS量が増加し、浮上ろ材がSSを捕捉しきれなくなり簡易処理水のSSが増加するようになる。
【0013】
図8は降雨開始30分後の道路排水を用いてこの関係を求めたものであるが、SS抑留量が5kg/m3付近を越えると簡易処理水のSS除去率が低下する傾向を示すことから、SS抑留量が5kg/m3に達した時点で浮上ろ材を水洗浄するのがよい。勿論、道路排水の流入が停止した時点あるいは処理の必要がなくなった時点でも同様に浮上ろ材を洗浄する。
【0014】
水洗浄は、浮上ろ過装置3の上部に溜まっている簡易ろ過水を洗浄水として、下向洗浄速度1〜5m/分で0.2〜2分間行う。洗浄速度と洗浄時間は浮上ろ材4の比重との関係で設定されるが、洗浄により浮上ろ材4が流出することなく洗浄できる条件が原則であり、比重が0.4の浮上ろ材では1m/分×1.5分,0.1の浮上ろ材では5m/分×0.2分を基本とする。
【0015】
このようにして得られた簡易処理水は、降雨開始後の積算降雨量が対象道路面の平均で2mmまでは滞水池7に滞水後高度処理し、2mmを越えて5mmまでは簡易処理水として放流、さらに、積算降雨量が5mmを越えたときは無処理で放流する。積算降雨量が5mmを越えたときは無処理で放流するのは、図9に示すようにこの時点での道路排水はSSで数mg/L程度と、処理を必要としないまでに水質が改善されているためである。勿論、この簡易処理水は図2のように砂ろ過装置5により、もう一段の簡易処理し、同様に高度処理または放流してもよい。
【0016】
図10は、図9の水質調査時に道路排水を採水して簡易処理実験を実施した結果を示したものである。実験時のろ過速度は、浮上ろ過(上向流方式)が200m/日,砂ろ過(下向流方式)が100m/日である。図10にみられるように、積算降雨量が2mm程度以降であれば浮上ろ過だけでも簡易処理水のSSは一般下水のSS放流基準である20mg/L程度以下にまで低下しており、このまま、河川等の公共用水域は放流することができる。また、図2のように砂ろ過装置5を併用した簡易処理であれば簡易処理水のSSはより改善されるので、安心して放流することが可能である。なお、道路が山間僻地などのように、車輌の交通量が少なく降り始めにおいても道路排水のSSが50mg/L程度しかないような条件であれば、図10から浮上ろ過と砂ろ過のみで簡易処理水のSSを20mg/L程度以下に処理できると判断され、降雨時を通して簡易処理または無処理で放流できるので経済的である。
【0017】
前記した簡易処理法は、図11のように高架下,橋下などに設置すれば、砂ろ過装置5の空気洗浄ブロワ−と水洗浄ポンプの動力を除いて落差により処理できることから運転動力は格段に低減される。殊に、浮上ろ過装置3では動力は全く要しない。
【0018】
このようにして得られた簡易処理水のうち、積算降雨量が2mm以下の部分の簡易処理水は水質基準に達しないため高度処理される。高度処理に当たっては、簡易処理水質に均一化及び処理の安定化のために滞水池7を設け、簡易処理水を一旦、滞水させてから処理を行う。滞水池7に流入させる簡易処理水の量は、対象道路面に対する積算降雨量が平均2mmまでとし、従って、滞水池の容積はこれに対応していればよい。例えば、仮に道路幅と同じ幅で有効水深Hm(1000Hmm)の滞水池を設けるとすると、その奥行きは対象道路距離L(m)×2/(1000H)mとなる。
【0019】
滞水池7に滞水した簡易処理水は、基本的にはSSとして20mg/L以上を含む汚染水であるが、その性状は降雨強度,降雨間隔,交通量などにより異なる。表1は、降り始めから積算降雨量が2mmに到達するまでの間、浮上ろ過装置3で連続簡易処理し、貯留して均一化した簡易処理水の水質を示したものである。
【0020】
【表1】
Figure 0003778548
【0021】
表1から明かなように、浮上ろ過装置3による簡易処理水中には、SS以外にもBOD,COD等の有機物、また、窒素等の栄養塩類も含まれている。図3の高度処理装置8は、簡易処理水の性状により処理方法を使いわける。処理槽内に粒状ゼオライトのみを充填し、充填層下部に空気洗浄用の散気装置10、充填層中段付近に曝気用散気装置11を備えた高度処理装置8は、SS,窒素,りん及びBODを主に除去する。一方、処理槽内の下部に粒状ゼオライト,上部に二酸化マンガンを充填し、粒状ゼオライト層下部に空気洗浄用の散気装置、二酸化マンガン層下部にオゾン供給装置を備えた高度処理装置は、SS,窒素,りんとBODの他、COD及び難分解性有機物も除去する。
【0022】
粒状ゼオライトのみを充填した処理槽で処理する場合は次の手順で行う。先ず、均一化した簡易処理水に無機凝集剤及び含有するNOx―Nに対するBODの比が3程度未満の場合は水素供与体を配管内供給する。無機凝集剤は鉄系またはアルミニウム系で添加濃度は30〜50mg/L程度とする。この添加濃度は、含有するSS濃度に左右されるが、図12に示すように、通常の浮上ろ過装置による簡易処理水のSS濃度(100mg/L程度まで)であればこの凝集剤添加濃度でSSは凝集できる。また、水素供与体は含有するNOx―Nに対するBODが不足するときに添加するが、添加濃度は含有するBODを含めてNOx―Nに対して3程度になるようにする。凝集剤と水素供与体を添加された簡易処理水は、配管内でSS及びりんを採り込んで凝集しながら反応槽下部に入る。反応槽には直径20〜70mm程度の粒状ゼオライトが2〜4m程度充填されており、中段付近より上部は曝気されている。
【0023】
凝集後の簡易処理水は反応槽に入り、ろ過速度:50〜100m/日,SV:2〜3/Hrの条件で上向流ろ過されるが、先のSS,りんを含んだ凝集汚泥の大半は粒状ゼオライト層に達する前に沈殿により除去され、残りも殆どが粒状ゼオライト層で捕捉除去される。簡易処理水が粒状ゼオライト層に達すると、曝気がなされていない下部の非曝気ゾーンでは、沈殿により除去しきれなかった凝集汚泥の殆どとNOx―N及びNH4―Nが除去される。非曝気ゾーンは嫌気性が保たれているために、粒状ゼオライトの表面に固定化された脱窒菌が含有するBODあるいは予め添加したメタノール,酢酸等を水素供与体としてNOx―Nを窒素に変換して脱窒し、また、NH4―Nは粒状ゼオライトに吸着されるのである。これらの処理が成立するためには、SS及びりんを含んだ凝集汚泥を除去するのにろ過速度が関係し、また、NOx―N及びNH4―Nを除去するにはSVが関係する。
【0024】
図13及び図14は適正条件を把握するために行った実験について、夫々、ろ過速度とSS除去率の関係、SVとNOx―N除去率の関係を示したものである。これらの図から、ろ過速度は100m/日以下,SVは3/Hr以下であれば処理が可能であることが判る。なお、ろ過速度,SVとも下限値未満でも処理は可能であるが、装置が過大になることから数値を限定してある。
【0025】
簡易処理水が上記の反応を完結して上部の曝気ゾーンに入ると、非曝気ゾーンでの脱窒において余ったBOD成分を粒状ゼオライトに固定化した好気性微生物が曝気で供給された溶存酸素を利用して分解する。曝気ゾーンにおけるBOD分解の条件としては特別なものはなく、非曝気ゾーン出口の溶存酸素が1mg/L以上,前記したろ過速度が100m/日以下,SVが3/Hr以下であれば処理は正常に進行する。このようにして、粒状ゼオライト層を通過した簡易処理水は、図3に示すように高度処理水として高度処理装置8の上部から流出し、一旦、高度処理水貯槽9に貯留された後、必要に応じて滅菌し、河川等に放流する。
【0026】
このようにして処理を継続すると粒状ゼオライト層の通水抵抗が増加する。通水抵抗が一定値に達したら、粒状ゼオライト層の空気洗浄と水洗浄を実施するが、手順は水抜き→水張り→空気逆洗→水・空気同時逆洗→水逆洗とする。殊に、水抜きの操作は重要で、粒状ゼオライト層内の水抜き速度として2m/分以上が必要である。この水抜きは、高度処理装置低部の空間部に溜まった凝集汚泥の排出と非曝気ゾーン入り口付近に高濃度で付着した凝集汚泥の剥離と排出を行うが、水抜き速度が小さいとこの目的が達成できないためである。
【0027】
図15は、水抜き速度と凝集汚泥排出率の関係を示したものであるが、凝集汚泥を80%以上排出させるためには2m/分以上の水抜き速度が必要である。空気洗浄及び水洗浄における他の条件は、一般の砂ろ過装置と同様であるが、降雨間隔等の関係で前記の本洗浄の時間が取り難いときは水抜き→水張りを行う簡易洗浄を本洗浄と本洗浄の間に入れれば、本洗浄による通水抵抗回復率の70〜85%の回復率が得られる。図16はこの様子を示したものである。
【0028】
以上のような過程を経て滞水池7に滞水された簡易処理水は高度処理されるが、本高度処理装置8における曝気ゾーンについては、アンスラサイト,燒結骨材などを粒状ゼオライトに替えて使用することができる。これは、曝気ゾーンではNH4―Nの吸着を要しないためで、粒状ゼオライトより安価な担体が使用できるからである。
【0029】
一方、処理槽内の下部に粒状ゼオライト,上部に二酸化マンガンを充填して、粒状ゼオライト充填層下部に空気洗浄用散気装置,二酸化マンガン層下部にオゾン供給装置を備えた高度処理装置についても、二酸化マンガン層の部分を除けば前記の処理法と同様である。全充填層高さは2〜4mで、粒状ゼオライトと二酸化マンガンの高さの割合は凡そ1:1である。使用する二酸化マンガンは20〜70mmの粒状か櫛歯状で、粒状ゼオライトとの境にはパンチングメタル等の仕切りが必要である。これは、二酸化マンガンの比重が粒状ゼオライトより大きいため、逆洗により二酸化マンガンが粒状ゼオライトに混入してしまうからである。
【0030】
処理の原理については、粒状ゼオライトによる処理までは前記方法における非曝気ゾーンの粒状ゼオライト処理までと同様であり、二酸化マンガン処理のみ前記と異なる。二酸化マンガン層へ入った簡易処理水は、二酸化マンガン及びオゾンの作用により、先の脱窒の際に余剰となった道路排水由来のBOD及び添加した水素供与体が分解され、さらに道路排水由来の難分解性CODも分解される。有機物を分解した後の二酸化マンガンは酸化マンガンに変化するが、共存するオゾンの作用により、再び二酸化マンガンに戻る。二酸化マンガン層に供給するオゾンは簡易処理水CODの1.5〜2倍になるようにする。
【0031】
図17は、オゾン添加率とCOD除去率の関係を示したものであるが、CODの1.5〜2倍は必要である。また、2倍を越えても処理は可能であるが、添加率の割にはCODの除去率が向上しないことから不経済となる。なお、オゾンの代わりに塩素系酸化剤及び過マンガン酸塩も使用できるが、使用に当たっては、塩素化合物の生成,酸化マンガンの生成等に対する配慮が必要である

【0032】
このようにして処理された簡易処理水は高度処理装置8の上部から流出し、前記した高度処理法と同様に河川等に放流される。また、粒状ゼオライト層及び二酸化マンガン層の通水抵抗が増加したときの空気洗浄及び水洗浄の方法も前期した高度処理と同様である。
【0033】
以上、本発明の簡易処理方法及び高度処理方法について概要を説明したが、各プロセスから排出される洗浄水は、そのまま下水道に放流するか、濃縮・脱水して処分する。
【0034】
【実施例】
地方の高速道路において、降り始めから積算降雨量が2mmに達するまでの間、側溝近傍で浮上ろ過装置による簡易処理を行い、その簡易処理水を均一化した後、粒状ゼオライトを充填したカラムにより高度処理した結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003778548
【0036】
表2から明かなように、汚染の度合いの大きい降り始めから積算降雨量2mmまでの道路排水も、浮上ろ過装置による簡易処理により水質が大幅に改善でき、さらに、高度処理をすることで河川等の公共用水域に放流しても全く問題のない水質にまで処理されている。
【0037】
【発明の効果】
1. 浮上ろ過装置による簡易処理を道路下部で行えば,道路との落差が利用できるので、動力を要しないで処理が可能である。
2. 合流式下水道の敷設地域では、下水道に流入する雨水量を削減できるので雨水吐からの未処理下水の越流頻度を低減でき、公共用水域の汚濁を防止することができる。
3. 道路排水を河川等に放流していた分流式下水道敷設地域,下水道未整備地域では簡易処理及び高度処理の処理に見合う公共用水域の汚濁負荷を低減化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の実施形態を示すフローシートである。
【図2】請求項1の発明の他の実施形態を示すフローシートである。
【図3】請求項2の発明の実施形態を示すフローシートである。
【図4】平均降雨強度と排水量との関係を示すグラフである。
【図5】浮上ろ材の圧損回復率のグラフである。
【図6】浮上ろ材の粒径と単位SS抑留量当たりの圧損との関係を示すグラフである。
【図7】ろ過速度とSS除去率との関係を示すグラフである。
【図8】ろ材のSS抑留量とSS除去率との関係を示すグラフである。
【図9】積算降雨量と道路排水SSとの関係を示すグラフである。
【図10】積算降雨量とSS処理性との関係を示すグラフである。
【図11】高架道路への適用例を示す配置図である。
【図12】上澄水SSのグラフである。
【図13】ろ過速度とSS除去率との関係を示すグラフである。
【図14】SVとNOx―N除去率の関係を示すグラフである。
【図15】水抜き速度と凝集汚泥排出率の関係を示すグラフである。
【図16】通水抵抗の回復性を示すグラフである。
【図17】オゾン添加率とCOD除去率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 側溝、2 スクリーン、3 浮上ろ過装置、4 浮上ろ材、5 砂ろ過装置、6 簡易処理水槽、7 滞水池、8 高度処理装置、9 高度処理水槽、10 空気洗浄用の散気装置、11 曝気用散気装置

Claims (2)

  1. 道路の側面に側溝を設けて道路排水を排除し処理する方法において、側溝より導いた道路排水を簡易処理するとともに、簡易処理水は河川等の公共用水域に放流し、発生汚泥は下水管に流出させるか、脱水処理の後に処分する道路排水の処理方法であって、前記簡易処理方法が、2mm目のスクリーンを通過させた後、浮上ろ材を充填した処理槽をろ過速度250m/日以下、上向流方式で通水するとともに、ろ材のSS抑留量が5kg/m に達した時点で、ろ材を下向洗浄速度1〜5m/分で水洗浄する処理である、または、この処理方法に、浮上ろ材充填処理槽からの流出水は更に、ろ過砂を充填した処理槽をろ過速度50〜200m/日、下向流方式または上向流方式で通水するとともにろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理を追加した処理である道路排水の処理方法を基準として、対象道路全体における降雨強度が平均0.5mm/Hr以上で、かつ、降り始めから積算して平均5mmまでの道路排水は簡易処理を行い、さらに、積算降雨量が平均5mmを超えた部分の道路排水は無処理のまま放流することを特徴とする道路排水の処理方法。
  2. 道路の側面に側溝を設けて道路排水を排除し処理する方法において、側溝より導いた道路排水を簡易処理し、簡易処理水を予め道路下部に配設した滞水池に滞水させるとともに、簡易処理水は高度処理した後に河川等の公共用水域に放流し、簡易処理と高度処理の発生汚泥は下水管に流出させるか、脱水処理の後に処分する道路排水の処理方法であって、前記簡易処理方法が、2mm目のスクリーンを通過させた後、浮上ろ材を充填した処理槽をろ過速度250m/日以下、上向流方式で通水するとともに、ろ材のSS抑留量が5kg/m に達した時点で、ろ材を下向洗浄速度1〜5m/分で水洗浄する処理である、または、この処理方法に、浮上ろ材充填処理槽からの流出水は更に、ろ過砂を充填した処理槽をろ過速度50〜200m/日、下向流方式または上向流方式で通水するとともにろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理を追加した処理であり、さらに、前記高度処理方法が、前記簡易処理水に予め凝集剤と水素供与体を添加した後、粒状ゼオライトを充填し上部が曝気できる処理槽を、ろ過速度50〜100m/日、SV2〜3/Hr、上向流方式で通水するとともに、ろ層の通水抵抗が一定値に達した時点で空気洗浄及び水洗浄を行う処理である、または、この処理において、前記粒状ゼオライト充填処理槽の代わりに、上部に二酸化マンガン、下部に粒状ゼオライトを充填し、上部がオゾンによる曝気できる処理槽を用いる処理であり、さらに、前記滞水池の容積が、対象道路全体における降雨強度で平均0.5mm/Hr以上で、且つ、積算降雨量で平均2mmに対応するものである道路排水の処理方法を基準にして、対象道路全体における降雨強度が平均0.5 mm /Hr以上で、かつ、降り始めから積算して平均2mmまでの道路排水は、前記簡易処理および高度処理を行い、積算降雨量が平均2mmを超えた部分の道路排水は前記簡易処理のみで放流し、さらに、積算降雨量が平均5mmを超えた部分の道路排水は無処理のまま放流することを特徴とする道路排水の処理方法。
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