JP3378159B2 - 水質浄化装置 - Google Patents

水質浄化装置

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JP3378159B2
JP3378159B2 JP35374396A JP35374396A JP3378159B2 JP 3378159 B2 JP3378159 B2 JP 3378159B2 JP 35374396 A JP35374396 A JP 35374396A JP 35374396 A JP35374396 A JP 35374396A JP 3378159 B2 JP3378159 B2 JP 3378159B2
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俊樹 長谷川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川、湖沼等の環
境水の浄化に限らず排水処理等、水質浄化装置全般に適
用可能な低コストでかつ効率的な水質浄化を可能とし
た、新規な水質浄化装置に関するものである。
【0002】さらに詳細には、浄化対象水に混入するビ
ニール袋、空缶、植物遺骸等の粗大な流下物や土砂を分
離して、水質浄化装置内に浄化対象水のみを取水するよ
うにした、新規な水質浄化装置に関する。また、水質浄
化に欠かせない要素である有機物及び浮遊粒子状物質の
除去はもとより高度処理に相当する窒素及びリンを効率
的に除去するために、該装置内で藻類の光合成を利用し
て水質浄化を行うようにした、電力やアルカリ分供給不
要の、新規な水質浄化装置に関する。
【0003】
【従来の技術】河川、湖沼、海域等の環境水の水質は、
近年、下水道や浄化槽等の普及と共にに改善されつつあ
るが、良好な水環境は未だ実現していないのが実状であ
る。一方、良好な水環境への社会的な要求は強く、低コ
ストでかつ高度処理できる水域の直接浄化技術の確立が
重要な課題となっている。
【0004】従来、これらの環境水を浄化する技術とし
て、礫間接触酸化方式、紐状接触材による浄化方式、波
板による浄化方式等、いわゆる接触酸化法といわれる微
生物による有機物の分解作用や物理的な沈殿・濾過作用
を利用して汚濁物を除去する浄化方式等が主に採用され
てきた。しかし、これらの接触酸化法は、有機物や浮遊
物質は除去するが、高度処理といわれる窒素、リンを効
率的に除去することができなかった。
【0005】また、水質浄化装置を設置する場所によ
り、直接浄化方式とバイパス浄化方式に区分される。直
接浄化方式は水域内に直接、浄化装置を設置し、バイパ
ス浄化方式は浄化対象水を水域外に導水し、水域外に設
けた浄化装置で浄化するものである。ところが、直接浄
化方式は浄化装置が粗大な流下物や土砂で頻繁に閉塞し
安定的な浄化性能が得にくいという欠点を有し、バイパ
ス浄化方式は浄化装置を設置するための新たな用地や機
械設備が必要なため建設費が大きくなるという欠点があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】河川、湖沼等の環境水
の浄化に限らず排水処理等において、水質浄化を行うべ
き浄化対象水に含まれる有機物を効率的に除去するため
には、活性汚泥法で強制曝気を行うように充分な酸素の
供給が必要であり、一方、高度処理を行う場合は浄化対
象水に溶解している酸素濃度を適切に管理し、酸素が不
足している嫌気状態を浄化装置内部につくる必要があ
る。ところが、このような有機物の除去と高度処理は異
なる酸素条件を要求するため、同一の浄化装置で実施す
ることが困難であった。
【0007】従来、有機物の除去は、曝気装置を使って
酸素を浄化対象水に供給し効率的な除去を行っていた。
また、高度処理のためには嫌気槽と好気槽の組合せや浄
化対象水の循環等を行い、窒素、リンを除去していた。
従って、浄化対象水に含まれる有機物の効率的に除去す
る場合や窒素、リンを除去する場合は建設費、維持管理
費共に大きくならざるを得ないという問題を有してい
た。
【0008】また、技術的には、水質浄化装置が土砂に
より閉塞しやすいという問題や、窒素、リンの除去効果
が低いという問題があった。水域内に水質浄化装置を設
置する直接浄化方式の場合、従来、浄化対象水を取水部
に設けたスクリーンや礫層等を通して粗大な流下物や土
砂を除去した後、水質浄化装置内に取水していた。しか
し、これらの取水方式では、粗大な流下物による取水部
の閉塞がしばしば起こり、これらの除去を頻繁に行わな
ければ水質浄化装置の機能が低下もしくは停止するとい
う問題があった。また、降雨時、河川を流下する大量の
土砂が水質浄化装置内に容赦なく流入するため、短期間
で沈砂槽が満杯となり、時には接触材を充填した水質浄
化装置内にも土砂が流入、該装置内を閉塞し、浄化機能
が低下もしくは停止する事態がかなり頻繁に起こるとい
う問題があった。
【0009】さらに、接触酸化法の代表的な方式である
礫間接触酸化法では、窒素の除去率が10%前後で、リ
ンの除去は殆どできなかった。しかるに、窒素、リンは
閉鎖性水域の富栄養化をもたらし、アオコ、カビ臭等の
富栄養化現象を引き起こす原因となるため、従来の接触
酸化法による水質浄化装置で有機物や浮遊物質を除去す
る機能だけでは、効果的な水域浄化が達成できなかっ
た。
【0010】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、その目的は粗大な流下物や土砂によ
って水質浄化装置を閉塞することを抑制し、浄化機能を
安定的に維持する新規な水質浄化装置を提供することに
ある。さらには人工的なエネルギーを利用せず、低コス
トで環境水を浄化し、窒素、リンを効率的に除去すると
いう高度処理性能を有する新規な水質浄化装置を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の課題
は、次のような構成を有する新規な水質浄化装置によっ
て達成される。 (1)ほぼ一定方向に流れる水路下に埋設しかつ水路の
底部に取水部(開口部)を設けた水質浄化装置におい
て、該取水部を覆うように、流水方向に沿う縦断面にお
いて水路底面とのなす角度が0度を超え45度を越えな
い角度となるよう下流側に向けて上昇した傾斜板を設置
し、該傾斜板と水路底面との間隙から浄化対象水を水質
浄化槽本体内に取水し、取水部が流水に混入したもので
閉塞しないようにしたことを特徴とする水質浄化装置。 (2)上記(1)の装置において、水質浄化装置本体
を、水路の底部に、浄化装置本体の上面が水路の床面
(底面)をなすように埋設し、該浄化装置本体の上面に
上記取水部を直接設けたことを特徴とする水質浄化装
置。 (3)上記(1)〜(2)の装置において、傾斜板の先
端部と水路床面との間隙を0.5〜15cmとし、か
つ、傾斜板の両側に傾斜板の上流端から下流端間での長
さの2分の1以上の区間にわたり側板を設け、横からの
浄化対象水の流入を防止するようにしたことを特徴とす
る水質浄化装置。 (4)上記(1)〜(3)の装置において、水質浄化装
置本体の上面の少なくとも一部を透明プラスチック又は
ガラスからなる透明板で構成し、該透明板を通して自然
光を水質浄化装置本体内部に採光して該透明板の内側及
び/又はその付近に藻類を発生させるように構成すると
共に、水質浄化装置本体内に流下方向に垂直に迂流板を
設置し、流下する浄化対象水が上向流により藻類と接触
し、藻類の光合成により生産した酸素が浄化対象水に溶
解するようにしたことを特徴とする水質浄化装置。
【0012】上記のごとき構造を有する本発明の水質浄
化装置は、水路の底部(床部)に水質浄化装置の上面が
水路底面(床面)をなすように埋設して使用される。こ
こでいう水路とは、河川、用水路、排水路、湖沼からの
導水路等の自然又は人工的な水流のある水路を総称す
る。
【0013】本発明の水質浄化装置の特徴の−つは、該
装置上面に設けた取水部(開口部)の上に取水部を覆う
ように下流側に向かって特定角度で上向きに傾斜した板
(傾斜板)を設置し、該傾斜板と水路底部を形成する水
質浄化装置本体上面との間にできる間隙から、浄化対象
水を土砂等の流入を抑制しつつ取水できる構造にしたこ
とにある。すなわち、ほぼ一定方向に流れる水路の底に
水質浄化装置上面が水路床部をなすように埋設し、該水
質浄化装置上面の取水部(開口部)を覆うごとく取水部
の上流側を起点として、下流側に向け床面に対して0度
を越え45度を越えない角度、好ましくは10度〜30
度の角度で、上方に傾斜した板を設置する。このように
構成すると、浄化対象水はいったん該傾斜板の上を滑ら
かに通過した後、該傾斜板と水質浄化装置上面との間隙
から水質浄化装置本体内に取り込まれるようになるの
で、浄化対象水中に混入した土砂、泥、その他の物が該
装置内に入るのが抑制される。
【0014】本発明の好ましい態様の特徴は、水質浄化
装置の内部にその上面から自然光を取り入れ、該装置内
部で、有機物の分解、アンモニアの硝化等に必要な酸素
を藻類の光合成によって得るようになし、従って、曝気
設備を不要としたものである。すなわち、水質浄化装置
内部に藻類が繁殖するよう、装置の天蓋等外面の一部を
プラスチック製又はガラス製の透明板とし、この透明板
を通して自然光が該装置内部に採光されるようにして透
明板の内面やその付近等に藻類を繁茂させるように構成
すると共に、該装置内部には水流方向に垂直に少なくと
も1個、好ましくは複数個の、迂流板を設置し、迂流板
の上部及び下部に交互に水質浄化装置躯体との間隙を設
け、浄化対象水が迂流板の上部、下部の間隙を上向、下
向を繰り返しながら流れるようにし、浄化対象水が浄化
装置の上部に来たときに上記藻類と接触して、光合成に
よって生じた酸素を浄化対象水に溶解する構造としたこ
とにある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明による水質浄化装置は、実
質的に箱型の装置であり、ほぼ一定方向に流れる水路
に、水質浄化装置の上面が水路の底部(床面)を形成す
るように埋設される。そして、該装置上面の取水部(開
口部)上には、これを覆うごとく下流に向って上方へ特
定角度で傾斜している傾斜板を設置し、この傾斜板と水
質浄化装置本体の間に形成された間隙から該装置内に浄
化対象水が取水される構造となっている。この傾斜板
は、その流路方向の長さを水質浄化装置上面の取水部の
長さより若干大きくし、真上から見て、傾斜板が取水部
(開口)を完全に覆った状態とするのが適当である。
【0016】そして、この傾斜板の両側に、傾斜板両側
と水質浄化装置上面との間に形成される三角形の隙間を
塞ぐように側板を設け、横(両サイド)から浄化対象水
が水質浄化装置内に流入するのを防ぐようにするのが好
ましい。この側板は、上流側の傾斜板基部から傾斜板の
長さの1/2以上にわたって設けるのが好ましい。
【0017】かくして、河川等を流下する粗大な流下物
は、突起物がない取水部の傾斜板上を滑らかに通過する
ため取水部を閉塞せず、また、土砂等が傾斜板と浄化施
設の天蓋に設けた間隙から流入し難い構造となっている
ため、粒径の大きい土砂が除かれた浄化対象水が水質浄
化装置内に取水できる。
【0018】図1は、本発明の水質浄化装置における取
水部付近の構造を示す簡略化した平面図、図2は、同装
置の簡略化した縦断面図である。
【0019】本発明の装置では、図1及び図2に示すよ
うに、水質浄化装置の上面(天蓋)に矩形又はその他の
形状の開口部を有する取水部を設け、その上に該取水部
を覆うごとく、流水方向に沿う断面において下流側に向
かって一定角度で上昇した傾斜板(1)を設置し、か
つ、傾斜板(1)と水質浄化装置天蓋(2)とのなす角
度(θ)が0度を超え45度を越えない角度、好ましく
は10〜30度程度、の範囲となるように設置すること
によって、該傾斜板(1)の先端と水質浄化装置天蓋
(2)との間隙から浄化対象水を取水するようにしてい
る。
【0020】さらに好適な実施態様では、傾斜板(1)
の先端と浄化装置天蓋(2)との間隙(w)が0.5〜
15cm程度となるよう傾斜板(1)を設置し、その両
側に傾斜板(1)の約2分の1まで側板(3)を設け、
傾斜板(1)の横方向から水質浄化装置内に土砂が流入
することを防ぐようにする。そして、浄化対象水は、図
2において矢印Aで示すように、側板(3)を設けた傾
斜板(1)と浄化装置天蓋(2)で構成される間隙から
水質浄化装置内部に取水される。
【0021】本発明による水質浄化装置は、BOD3〜
30mg/l、SS3〜50mg/l、窒素1〜30m
g/l、リン0.3〜10mg/lの汚濁水の浄化に適
したものである。その浄化機構は礫間接触酸化法に代表
されるいわゆる接触酸化法を主とするもので、自然の浄
化機能を活用したものである。すなわち、水質浄化装置
本体内に礫、木炭、プラスチック成型品等種々の接触材
を充填し、その濾過効果や沈殿・吸着効果等の物理的な
作用や、さらには、接触材に発生・付着する微生物によ
る摂取・分解、同化等の生物学的な作用により浄化対象
水に含まれる汚濁物が除去される。
【0022】本発明による水質浄化装置は、藻類の光合
成により得られる酸素を有機物の分解やアンモニアの硝
化等に活用する。従って、曝気設備が不要となる。
【0023】図3及び図4は、このための具体的構造を
例示するもので、これらの図に示すごとく、水質浄化装
置内部に藻類が繁殖するよう、該装置の天蓋等上面の一
部をプラスチック製又はガラス製の透明板(4)で構成
し、自然光が水路下の水質浄化装置内部に採光可能とし
ている。これにより、透明板(4)の内面や水質浄化装
置の内壁等に藻類が自然発生して光合成を行う結果、生
産される酸素が水質浄化に有効に利用される。
【0024】なお、この水質浄化装置内部には、図4の
ごとく、水流方向に対して垂直方向(上下方向)に複数
個の迂流板(5)を設置し、各迂流板(5)により水流
方向に交互に上部及び下部に浄化装置躯体上面内壁との
間隙(流路)を形成する。浄化対象水は、各迂流板
(5)の上部及び下部の間隙を上向、下向を繰り返しな
がら流れ、上向流となって浄化対象水が浄化装置上部に
達するとき、透明板(4)の内側あるいはその付近に多
く繁茂した藻類と接触し、ここで酸素を溶解する。藻類
が光合成により生産する酸素は分子状態の酸素であり、
かつ、光合成により生産される酸素は純酸素であるた
め、空気による曝気よりも浄化対象水への溶解速度が大
きく、浄化対象水に対して効率的な酸素供給が可能であ
る。
【0025】なお、この水質浄化装置の内部には、必要
に応じて、種々の接触材(6)や沈砂槽(7)を設置し
ても良い。
【0026】
【作用】本発明による水質浄化装置の取水部は、突起箇
所がないため、河川を流下する粗大な流下物は取水部を
構成する傾斜板上を滑らかに通過させる。このため取水
部をビニール袋や空き瓶等が覆うことがない。また、取
水部の傾斜板上を流下する概ね1mmより大きい粒径の
土砂は、傾斜板の先端が取水間隙より下流側に出ている
ため、浄化対象水から分離除去され、浄化装置内部には
入らず、土砂が除去された浄化対象水が浄化装置内に取
水できる。
【0027】しかも、水質浄化装置の上面(天蓋)の少
なくとも一部を透明板とすることによって、装置内に自
然光が取り込まれ、透明板又はその付近に発生した藻類
が光合成によって酸素を生産し、その酸素は分子状態の
酸素であるため、機械曝気の場合の散気気泡による空気
供給と比べ、浄化対象水への溶解効率が高くなる。ま
た、光合成により生産される酸素は純酸素であるため、
酸素含有率が21%に過ぎない空気を曝気する機械曝気
よりも浄化対象水への溶解速度が大きく、効率的な酸素
供給ができる。供給された酸素は、浄化装置内の接触材
に付着した好気性従属栄養細菌に利用され、浄化対象水
中の生物化学的酸素要求量(BOD)に代表される有機
物を酸化分解する。また、亜硝酸菌、硝酸菌に利用され
アンモニア性窒素を亜硝酸、硝酸に酸化する。溶解しき
らずに余った酸素は透明板の内面に貯留され酸素溜まり
を形成し、夜間や雨天時の浄化に利用される。
【0028】そして、浄化装置内部に上下方向に並設し
た複数の迂流板により、該装置内を上向、下向を繰り返
して流れる浄化対象水は、藻類の多い上部で酸素が供給
される。
【0029】微生物の作用により窒素、リンを効率的に
除去するためには嫌気、好気の相反する環境を浄化装置
内部に作る必要がある。本発明による水質浄化装置が窒
素、リンの除去効果が従来の接触酸化法と比べ高い除去
性能を有する機構は未だ完全には解明されていないが、
浄化装置内部に充填された接触材の表層は酸素が供給さ
れ好気状態となり、微生物相の内部は酸素濃度が低下も
しくは無酸素状態となること、もしくは藻類と十分に接
触する浄化対象水の一部の水塊が好気となり、その他の
部分の浄化対象水は藻類と接触しないため酸素濃度が低
くなること、等により浄化装置内部で好気、嫌気の相反
する環境が作られ、窒素、リンの除去性能が高くなると
推定される。
【0030】さらに、藻類が光合成を行い水中の遊離炭
酸を消費する結果、増加する重炭酸に起因するアルカリ
分は、アンモニアが硝化する結果生じる酸を中和し窒素
除去に必要な硝化過程を促進する作用を持つと考えられ
る。
【0031】
【発明の効果】以上のごとき本発明による新規な取水方
式を採用した水質浄化装置は、粗大な流下物を除去する
ためのスクリーンを設置する必要がなく、従って、流下
物を除去する作業が不要となる。
【0032】従来の水質浄化装置は、降雨による濁水発
生時、装置内に大量の土砂が流入し短期間で装置の閉塞
を起こし、その除去を頻繁に行う必要があった。除去を
怠ると、通水量が低下もしくは通水不能となり、浄化装
置本来の機能が発揮されなかった。また、スクリーンを
設置する場合、ビニール袋、空き缶等の粗大な流下物が
これを覆い取水の障害となった。これらの課題を克服す
るために掻き取り機等の機械設備が設置され、維持管理
費や建設費が大きくなった。
【0033】これに対し、本発明による取水構造をもつ
水質浄化装置は、土砂の流入を抑制し、かつ、装置内に
設けた沈砂槽に堆積する土砂量が河川に堆積した土砂の
粒径分布を測定する等の簡易な予備調査により予測でき
るため、土砂の除去が計画的に実施できる。
【0034】このように、本発明による取水構造を持つ
水質浄化装置は、清掃、土砂除去等の維持管理が軽減で
き、かつ、計画的に実施できるため、従来の浄化装置に
比べ維持管理費が大幅に軽減できる。また、取水部の構
造は単純な構造のため、従来の水質浄化装置に比べ建設
費が低く抑制できる。
【0035】また、透明板により自然光を取り入れて藻
類による光合成を利用するようにした本発明の水質浄化
装置は、効果的な窒素、リンの除去が可能となる。本発
明による水質浄化装置の場合、処理時間が1時間程度で
窒素が約40%、リンで約30%の安定的な除去が可能
となる。しかるに、透明板を設置しない場合は、従来の
浄化装置と同程度の浄化性能で窒素の除去率が10%程
度、リンはほとんど除去できない。
【0036】また、電力が不要でかつ浄化装置の構造が
単純なため、建設費、維持管理費が削減できる。窒素、
リンの除去は、閉鎖性水域のアオコ、カビ臭等の富栄養
化現象を改善し、ひいては、水域の景観の向上、アオコ
腐敗による悪臭の改善、カビ臭のない、安全で、かつ、
おいしい水が得られる等、健全な水環境の創造をもたら
す。
【0037】従って、本発明による取水部構造、藻類の
光合成を有効に利用する水質浄化装置は河川水の浄化に
限らず、その他の環境水の浄化、各種用水浄化や排水処
理等広く水処理全般に適用可能である。
【0038】
【実施例】以下に本発明の水質浄化装置を使用して、実
験を行った結果を「実施例」として詳述する。なお、こ
の実験において、水質浄化対象の河川は、流域面積2.
0ha、平水流量200m3 /時の典型的な都市河川で
あり、この河川水の水質浄化を行う装置は、処理水量1
4m3 /時のものを使用し、都市河川水を導入した実験
水路の床面に埋設した。
【0039】[実施例1]汚濁した都市河川の水質浄化
を行うべく、本発明による図1、図2の取水部及び図
3、図4の透明板を併せもつ水質浄化装置(長さ150
0cm×幅170cm×高さ50cm)を、水路の床に
埋設して浄化試験を行った。
【0040】この水質浄化装置は、処理時間1時間、処
理水量が99m3 /日で、上面の取水部が20cm×8
cmの矩形の開口部となっており、その上に開口部を覆
うように角度(θ)=11度で上向きに傾斜した長さ1
00cm×幅90cmの矩形のステンレス・スチール製
の傾斜板が取り付けられており、さらに、該傾斜板の両
側には該傾斜板の上流側1/2の位置までステンレス・
スチール製の側板が設置されている。
【0041】さらに、この装置は、天蓋面積17.2m
2 の内、4個の採光部(透明アクリル樹脂板、合計面積
7.5m2 )をもち、装置内部に設けた迂流板により上
向流が採光部に当たるように構成されている。
【0042】この装置により都市河川水の浄化試験を行
った結果、浄化性能は除去率でBOD54%(11検体
平均)、浮遊粒子状物質60%(9検体平均)、全窒素
42%(10検体平均)、全リン37%(10検体平
均)を得た。河川の平均水質はBOD11mg/l、浮
遊粒子状物質5.7mg/l、全窒素4.6mg/l、
全リン0.5mg/lであった。
【0043】この試験を平成8年梅雨期に実施したとこ
ろ、該地域の積算降雨量が413mm(45日間累積)
となる間に水質浄化装置内の沈砂槽に堆積した土砂量は
0.44m3 で未だ通水可能な状態であった。
【0044】[実施例2]実施例1とほぼ同様の水質浄
化装置において、天蓋面積25.8m2 、その内の採光
部(透明ポリカーボネート樹脂)面積10.2m2 、処
理時間0.5時間、浄化水量178m3 /日の条件で、
都市河川水の浄化実験を行った。
【0045】浄化性能は除去率(8検体平均)でBOD
46.3%、CODで32.6%、浮遊粒子状物質2
5.8%、全窒素32.9%、全リン29.5%を得
た。河川の平均水質はBOD12mg/l、COD14
mg/l、浮遊粒子状物質6.3mg/l、全窒素7.
8mg/l、全リン0.85mg/lであった。
【0046】この試験を60日間継続して行ったが、水
質浄化装置内の土砂の堆積は僅かであり、内部清掃等は
不要の状態であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水質浄化装置の取水部の平面図
【図2】本発明の水質浄化装置の取水部の縦断面
【図3】本発明の水質浄化装置の天蓋の平面図
【図4】本発明の水質浄化装置の縦断面図
【符号の説明】
1: 傾斜板 2: 水質浄化装置の上面(天蓋) 3: 側板 4: 透明板 5: 迂流板 6: 接触材 7: 沈砂槽 A: 浄化対象水の取水方向 θ: 傾斜板1の角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−41060(JP,A) 特開 平7−116692(JP,A) 特開 平7−290085(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/00 C02F 3/32 C02F 3/34 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼ一定方向に流れる水路下に埋設しか
    つ水路の底部に取水部を設けた水質浄化装置において、
    該取水部を覆うように、流水方向に沿う縦断面において
    水路底面とのなす角度が0度を超え45度を越えない角
    度で下流側に向けて上昇した傾斜板を設置し、該傾斜板
    と水路底面との間隙から浄化対象水を水質浄化装置本体
    内に取水し、取水部が流水に混入した物で閉塞しないよ
    うにしたことを特徴とする水質浄化装置。
  2. 【請求項2】 水質浄化装置本体を、水路の底部に、該
    水質浄化装置本体の上面が水路の床面をなすように埋設
    し、かつ該水質浄化装置本体の上面に取水部を開口した
    ことを特徴とする請求項1記載の水質浄化装置。
  3. 【請求項3】 傾斜板の先端部と水質浄化装置本体の上
    面との間隙を0.5〜15cmとし、かつ、傾斜板の両
    側に、傾斜板の上流端から下流端までの長さの2分の1
    以上の区間にわたり側板を設け、横からの浄化対象水の
    流入を防止するようにしたことを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の水質浄化装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    水質浄化装置において、水質浄化装置本体の上面の少な
    くとも一部を透明プラスチック又はガラスからなる透明
    板で構成し、該透明板を通して自然光を水質浄化装置本
    体内部に採光して該透明板の内側及び/又はその付近に
    藻類を発生させるようにすると共に、水質浄化装置本体
    内に流下方向に垂直に少なくとも1個の迂流板を設置
    し、流下する浄化対象水が上向流により藻類と接触し、
    藻類の光合成により生産された酸素が浄化対象水に溶解
    するようにしたことを特徴とする水質浄化装置。
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