JP3778004B2 - 電波が伝播できる検査対象の検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波を用いて電波を通す検査対象、例えばコンクリート構造物、を検査する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル壁,橋脚,橋桁,ビルなどのコンクリート構造物では、割れ,空洞,強度低下部等の欠陥の有無を非破壊で検査し、剥落や破壊事故に至る前に補修を行う必要がある。また、コンクリート構造物の内部の鉄筋、漏水などを検査対象にする場合もある。
【0003】
非破壊検査法には、打音,超音波,温度変化,電波などを使う方法がある。このうち、打音,超音波を用いる方法は、検査対象にセンサーを接触させる必要があり、広範囲を迅速に検査するのには適さない。
【0004】
非接触で広範囲を検査する方法に、温度変化を観測するものがある。温度変化を観測する方法では、欠陥の有無により表面からの熱伝達特性が深さ方向で変化し、表面の温度分布の時間変化が変わることを利用する。そのため、温度変化を観測する方法では、検査対象表面を加温して検査対象の表面温度分布を観測することとなる。この温度変化を観測する方法では、一度に広範囲の検査が出来る反面、熱伝導に時間がかかり、検査に要する時間が長い欠点がある。
【0005】
非接触で広範囲を検査する方法に、電波を用いる方法が知られている。電波を用いる方法は、例えば、(社)日本非破壊検査協会 平成12年度秋季大会 内容梗概集の「非破壊検査によるコンクリート品質,厚さ,鉄筋の計測に関する研究 その12 電磁波を使用したコンクリート供試体の速度分布と厚さ測定について」に述べられている。
【0006】
この電波を用いる方法は、時間の短いパルス状電波(帯域は、数百MHz〜数GHz)を検査対象に放射し、欠陥からの反射波を検出・処理して欠陥を検知するレーダ方式によるものである。この方法は、非接触検出であること、アンテナを表面で走査して迅速な検査ができることなどのメリットがあるが、パルス電波がコンクリート内を伝搬するのに伴って減衰し、欠陥が深くなるほど検出感度が激減する上、送信と受信のふたつのアンテナが必要で装置が大型・複雑になるなどの欠点がある。
【0007】
上記の電波伝搬減衰は高周波になるほど大きく、深い場所の欠陥では使用周波数を下げる必要があり、この結果分解能が低下する問題もある。さらに、観測深さに応じて、発振器やアンテナなど構成装置を変更する必要があり、実用時に障害となる場合もある。
【0008】
レーダ方式によるコンクリート構造物内の検査装置は、特開平9−88351号公報に掲載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
電波によるパルスレーダ方式のコンクリート検査装置では、広帯域のパルス電波がコンクリート内を伝搬するのに伴って減衰し欠陥が深くなるほど検出感度が激減する、送信と受信のふたつのアンテナが必要で装置が大型・複雑になるなどの欠点がある。上記の電波伝搬減衰は高周波になるほど大きく、深い場所の欠陥を検出するには使用周波数を下げる必要があり、この結果分解能が低下する問題もある。
【0010】
本発明の目的は、検査対象の欠陥又は検査対象内の電波反射源を確実に検出できる検査装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の検査装置では、アンテナからの放射電波の周波数を連続的に変えて検査対象内部の定在波の状態を調べる。欠陥などの反射源が内部に存在すると、その反射源と検査対象表面との間で定在波が構成される。この定在波は、検査対象内での電波の速度と表面・反射源間の距離で周波数が変わる。本発明では、周波数を連続的に変えるため、反射源があれば必ず定在波が発生する。さらにこの定在波は、半波長,1波長,1.5 波長、のように、周波数が2倍,3倍の位置でも発生するから、これらの周波数情報を用いて正確な基本定在波周波数を算出できる。この周波数より、電波の伝搬速度が求まっていれば、反射源の深さが算出できる。
【0012】
定在波の検出には、一例として電波機器の特性を調べるネットワークアナライザを使用できる。これは、周波数を変えながらアンテナに送信した信号のレベル(電波の送信振幅)と、反射してきた信号レベル(反射波の受信振幅)の比から定在波比(VSWR、Voltage Standing Wave Ratio )を求めるものである。
VSWRが低下するとその周波数で定在波が存在することがわかる。さらに周波数を変え、最初の定在波を形成する周波数の整数倍の周波数でVSWRが変化すれば、より確実に定在波の存在と周波数が明らかになる。これにより、検査対象が例えばコンクリート構造物である場合には、鉄筋や欠陥をコンクリート内部の反射源として検出するとともに、電波のコンクリート構造物内の伝搬速度が既知であれば、反射源までの距離も算出できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を以下に詳細に説明する。図1は、本発明によるコンクリート検査装置の基本構成を示す図である。図1において、コンクリート構造物1である検査対象の内部に割れなどの欠陥2が存在する場合がある。また、その検査対象の表面にも割れ3のような欠陥があるケースもある。それらの検出と位置を求めるのがコンクリート検査装置である。
【0014】
図2に示すようにコンクリート検査装置は、台車や車両300に搭載されて検査対象に沿って移動できる。コンクリート検査装置自体は、アンテナ102を内蔵してコンクリート構造物1の表面に沿って移動走査されるセンサー部分100と、そのセンサー部分100を移動走査可能に支持する移動走査機構101、および、車両側装置200に分かれている。
【0015】
図1を用いて構成をさらに詳しく説明する。移動走査するセンサー部分100は、移動走査機構101により検査範囲を走査される。また、後述の光学的検出手法で検出した検査面とアンテナ面の距離・平行性の測定結果をもとに、検査面とアンテナ面を並行にし距離を設定値にするように制御する。これらの制御法は、ロボットなどの分野で公知である。
【0016】
センサー部分100では、ホーンアンテナなど指向性のあるアンテナ102から、コンクリート構造物1内部に周波数変調した電波を放出し、反射波があればそれを検出する。電波の放出・受信信号の処理については後述する。103,104は各々スリット光発生装置,撮像装置としてのカメラである。スリット光発生装置103からシート状の光をコンクリート構造物1の表面に放射し、その反射光をカメラ104で受けて撮像する。
【0017】
スリット光発生装置103とカメラ104は、アンテナ102のアンテナ開口面とコンクリート構造物1の表面は平行で設定距離にあるとき、カメラ104で撮像したスリット光の反射光画像(受光画像ともいう。)が撮像視野内の設定範囲になるようあらかじめ設定しておく。スリット光発生装置103とカメラ104の組合せを複数設けることにより、アンテナ102のアンテナ開口面とコンクリート構造物1との間の平行性と距離を算出でき、この結果をもとに、移動走査するセンサー部分100を移動走査機構101で位置と傾きを設定された平行性と距離の状態に制御する。同時に、このスリット光の受光画像を処理することにより、割れなどの表面欠陥3も検出する。この位置・傾き検出と表面検査は、カメラ104の出力を画像処理装置203で公知の処理を行うことにより実施する。
【0018】
以下、各構成についてさらに詳しく説明する。まず、センサー部分100をコンクリート構造物1の検査表面で移動走査を行う機構101について述べる。移動走査機構101としては、例えば公知の多関節のアーム型産業用ロボットを使う。このロボットは、アームを関節で複数個連結し、各アームを回転や角度制御できる機構である。各関節には、通常、回転や角度制御に応じて回転量や角度を検出するセンサーと、検出結果からアーム先端の位置,方向,角度などを実時間で計算して認識でき、これは後述の駆動装置201で実行する。この結果、センサー部分100の位置と角度を検出出来るとともに、外部からの制御信号で位置,角度を変える制御が行える。
【0019】
次に、車両側装置200について述べる。201は、移動走査機構101の動作を制御・駆動する駆動装置である。202は、公知のネットワークアナライザであり、203は画像処理装置である。204は、駆動装置201,ネットワークアナライザ202,画像処理装置203のデータ処理・制御用計算機、205は結果の表示装置である。また、206は車両の位置を検出する装置である。
202のネットワークアナライザは、周波数を変調して送信し反射波を検出して先に述べたVSWRを算出出来る。この動作については、あとで詳しく説明する。
【0020】
画像処理装置203とスリット光発生装置103とカメラ104の動作について説明する。図3,図4は、距離,傾きの検出法を説明する図である。図3,図4において、b−1),b−2),c−1),c−2)の図は、異なる角度からカメラ104−1,104−2で捕らえたスリット光(線状ともいう。)の反射光を模式的に表したもので、4角形の領域が視野、その中にある線が反射光を示す。図3は、検査表面11と光源,カメラを結ぶ直線が平行で設定距離にある場合である。
【0021】
センサー部分100に装着されたスリット光発生装置103からは、図3のa)に示すように線状で波線で示す既知角度で放射されるスリット光をコンクリート構造物1の検査表面に投射する。適当な間隔でセンサー部分100に設置されたカメラ104−1は図3のb−1)に示すように、カメラ104−2は図3のb−2)に示すようにその一定の視野内の中央に線状の反射光を検出するように、ある角度でセンサー部分100に設置される。
【0022】
図3のb−1)とb−2)の状態に線状反射光画像が位置するようにセンサー部分100を移動走査機構101を駆動装置201で駆動制御すれば、光源,カメラを結ぶ直線と検査面との距離は設定値であり、平行となる。この状態ではアンテナ102の開口面もコンクリート構造物1の検査面に平行で設定された距離に位置する。その駆動制御を手動で行う場合には、表示装置205にカメラ104−1,104−2で撮像した反射光の画像を映し出して、それを見ながら図3のb−1)とb−2)の状態に線状の反射光画像が位置するように駆動装置201を手動操作すればよい。
【0023】
もし、センサー部分100とコンクリート構造物1の検査表面との距離が離れると図3のc−1),c−2)に示すように、カメラ104−1が撮像した反射光の画像はc−1)のように視野内で左へ、カメラ104−2が撮像した反射光の画像はc−2)のように右へ同じ量だけ移動する。近づくとその逆となる。これらの反射光の位置は画像処理装置203で視野内での位置(座標ともいう。)データとしてとらえる処理が成される。
【0024】
また、センサー部分100が図4のように時計方向に傾いた場合図4に示すように、カメラ104−1で撮像したスリット光の反射光画像は図4のb−1)のように変化は少ないが、カメラ104−2で撮像したスリット光の反射光画像は図4のb−2)のように視野内に占める線状の反射光画像の割合が減少すると共に右に移動する。これらは、スリット光発生装置103からのスリット光の照射角度とカメラ104−1,104−2の視野角が異なる結果であり、図3のb−1),b−2)のようにあらかじめ設定した視野内の位置に線状の反射光の画像位置が来るようにセンサー部分100の角度とコンクリート構造物1の検査表面からの相対距離を制御すれば、あらかじめ設定した距離と平行性が保たれる。
【0025】
上記の例は、一方向の傾きと平行の問題である。センサー部分100はアンテナ開口面も含めて2次元方向に広がりを持つ形状であるから、上記の例とは90度異なる向きにしてセンサー部分100にもう一組の同じスリット光発生装置と各カメラの組み合わせが必要なことは言うまでもない。両方の検出結果から、センサー部分100すなわちアンテナ102のアンテナ開口面とコンクリート構造物1の検査表面との距離が一定値で平行に保つことが可能となる。
【0026】
さらには、本実施例では、スリット光の反射光の撮像結果を処理してコンクリート構造物1の検査表面の欠陥も検出する。例えば、コンクリート構造物1の検査表面に割れがあればその部分でスリット光の反射光の反射強度が減少するし、割れによる段差の発生ではその反射光に不連続性が発生する。このように、その反射光には割れによる表面欠陥の情報が含まれる。センサー部分100の移動走査に従い線状の反射光も移動し、検査表面の2次元領域を照射することになる。反射光の濃淡分布,不連続な強度変化などから割れや窪みなどの表面異常を検出するが、その反射光の情報のデータ化を画像処理装置203で実施し、データ処理・制御計算機204が割れや窪みなどの表面異常を判定して検出する。その判定時の処理内容は、濃淡処理,不連続性検出など公知の処理法を使う。その判定を画像処理装置203で実施するようにしてもかまわない。
【0027】
次に、コンクリート構造物1の内部欠陥2の検出について説明する。コンクリート構造物1の内部の検査には、周波数変調した電波を用いる。ネットワークアナライザ202は、あらかじめ設定した開始周波数と終了周波数の間を、これもあらかじめ設定した変化速度で周波数を変えてアンテナ102に電気信号を送信する。そのアンテナ102はその電気信号を受けて周波数変調した電波を送信波として順次コンクリート構造物1内に放射する。このことと並行して、電波を放射した際に用いた同じアンテナ102で送信波の反射波を受けて受信レベル(反射波の受信振幅)を検出し、既知である送信レベル(送信した電波の送信振幅)と検出した受信レベルの比を算出する。送信波と受信波は、伝搬方向が逆であるから方向性結合器などで送信波と受信波の分離を行って受信波を検出できる。
【0028】
既知である送信レベルと検出した受信レベルの比である(受信波レベル)/
(送信波レベル)は、反射率であり、これをΓとする。定在波の形成について次に述べる。周波数変調した電波をアンテナ102から図5の(a)の点線矢印のようにコンクリート構造物1に放射すると、ある周波数で図5の(b)に示すように、コンクリート構造物1の検査表面位置とコンクリート構造物1内部の欠陥2の欠陥位置で節になる定在波を形成する。
【0029】
その定在波は、表面位置と欠陥位置で節になる条件を満たすため、その周波数は図6に示すように半波長定在波周波数の整数倍の周波数になる関係が見られる。電波(送信波)の反射源が、定在波の腹になる場合でも状況は同じである。定在波比ρと反射率Γの間には、ρ=(1+Γ)/(1−Γ)の関係がある。この結果、送信波の周波数を変化させて定在波比ρを算定すると上記の関係から半波長定在波となる周波数fhが求まる。送信波である電波のコンクリート構造物1内での伝搬速度Vから深さDは、D=2V/fhで算出できる。また、表面位置は移動走査機構101の位置制御情報から求まるため、これにより表面の欠陥,内部欠陥ともその存在と正確な位置を検出できる。
【0030】
次に、データ処理・制御用計算機204の処理内容について述べる。データ処理・制御用計算機204の処理内容は、次の項目である。
【0031】
1.ネットワークアナライザ202の測定制御,検出定在波比とその周波数データの採取。
【0032】
2.画像処理結果から、スリット光が設定範囲にあるか否かの判定。
【0033】
設定範囲にない場合、移動走査機構の駆動装置201でセンサー部分100の位置,傾きを制御。
【0034】
3.画像処理結果から、スリット光反射に表面欠陥が含まれているか否かの判定。
【0035】
これらの処理の流れを図7にフローチャートで示す。
【0036】
処理を開始すると、最初にアンテナ102のアンテナ開口面とコンクリート構造物1の検査表面との間の平行性と距離をチェックする(f−1)。その平行性と距離が設定範囲になければ、画像上の検出スリット光の位置がずれたり斜めになるため、その位置のデータを画像処理装置203の処理結果として得て傾きや距離を補正するよう駆動装置201を介して移動走査機構101の制御を行う(f−2)。アンテナ102のアンテナ開口面とコンクリート構造物1の検査表面との間の平行性や距離が設定範囲にあれば、画像処理装置203の処理結果として撮像した反射光の光学的情報をデータとして画像処理装置203から受けてスリット光の照射位置にあるコンクリート構造物1の検査表面の割れやその他の表面欠陥検出を行う(f−3)。画像処理データを用いて行われるその表面欠陥検出は、スリット光反射映像で周囲と輝度が異なる部分や色彩が異なる部分など公知の手法を使用できる。さらに、アンテナ102から周波数を変化させながら電波を送受信して記述のようにコンクリート構造物1の内部の欠陥2の存否を確認する検査を行う(f−4)。f−3とf−4の処理は並行して実施できる。すべての検査予定範囲を終了するまで(f−5)センサー部分を検査表面に沿って走査し(f−6)、検査を終える。
【0037】
以上のような本発明の第一の実施例では、電波を使ったこれまでのパルスレーダ方式と異なり、連続的に周波数を変えてコンクリート構造物1の内部を検査する。ある瞬間を考えると、単一の周波数の電波がコンクリート構造物1の内部に入射しており、異なる周波数の外乱ノイズの影響はほとんどない。このため、感度高く内部欠陥を検出できる。また、コンクリート構造物1の検査表面から深い部分にある欠陥検出の場合、これまでは電波の伝搬減衰が問題になったが、本例では、その深い部分の定在波周波数は距離が大きいため浅い部分に比べて低くなり、減衰の問題がより軽減され検出感度が上がる有利な点もある。
【0038】
本実施例では、コンクリート構造物1の内部の検査だけではなく、表面検査も可能である。アンテナ102を送受信兼用出来る上、アンテナ開口面と検査面の距離・平行性の検出に使うカメラなどの光検出器を、表面検査に併用して装置全体の大型化を抑制している。この結果、表面,内部とも感度良く欠陥などの反射源を検出できる検査装置を提供できる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図8に示すように本実施例と第一の実施例の違いは、センサー部分100に複数のアンテナ102−1,102−2,102−3を設け、それらのアンテナ102−1,102−2,102−3を順次切り替えてネットワークアナライザ202に接続するスイッチング装置207を設けたことにある。
【0040】
複数のアンテナ102−1,102−2,102−3を切り替えて使用することであたかもアンテナが装備されたセンサー部分100が切り替え方向に移動したかのような効果を得る。そのため、センサー部分100の移動量を低減し、短い時間で広範囲の検査を実施できる。センサー部分100に複数のアンテナは1列に並べる必要はなく、2次元状に配置しても問題はない。この第2実施例では図7に示した処理のフローチャートも若干変更になる。
【0041】
即ち、図7中f−4の処理内容で内部欠陥検出の部分が、スイッチング装置207で複数のアンテナ102−1,102−2,102−3を切り替えて使用しながら複数のアンテナについて第1実施例と同じ欠陥検出のための処理が成される。その他の構成と作用は第1実施例と同じである。
【0042】
本実施例によると、センサー部分100を大きく移動することなしに、複数のアンテナ102−1,102−2,102−3がカバーする部分のコンクリート構造物1の検査が可能となり、検査効率の向上の観点から効果が大きい。
【0043】
第3の実施例は、コンクリート構造物1の内部の鉄筋や欠陥などによる電波の反射源を可視化可能とするものである。図9に示すように、コンクリート構造物1の検査対象表面をX軸、深さ方向をY軸に取り、座標位置(Xt,Yt)に電波の反射源Tがある。アンテナ102は、X軸上の(Xa,0)をX軸に沿って移動する。アンテナは指向性があるものの、完全に電波を絞ることが出来ずある程度電波ビームに広がりを有する。このような状況で、コンクリート構造物1内の反射源Tを検出する深さTdを考える。ATの長さ<AT>は、下記の式1で示される。
【0044】
【式1】
【0045】
アンテナ102から放射された電波のビーム幅はある程度の広がりを持ってコンクリート構造物1内を伝播していくから、アンテナ102のAの座標位置(Xa,0)でもアンテナ102の真下から外れた位置に存在する反射源Tに電波が照射され、反射源Tからの反射波がアンテナ102で検出されると考えられる。
【0046】
しかし、図9のアンテナ102の座標位置Aから見て反射源Tの存在する方向は未知である。このため、アンテナ102の座標位置Aの真下の座標位置(Xa,L)の深さに見掛の反射源Tdの検出位置があるとする。このようにして、アンテナ102の座標位置Aを移動させながら検出位置を図9のX−Y座標にプロットすると、図9に示すような上に山形の双曲線となる。この時、<AT>=<ATd>=Lである。
【0047】
よって、見掛の反射源Tdはアンテナ102の位置Aの座標位置(Xa,0)と実際の反射源Tとの直線距離ATを半径とする円弧の上に存在する。アンテナ102の位置A、つまり、座標のX軸方向に座標成分Xaが変わると先述の直線距離ATの長さも変わるが、すでに述べた実施例でもわかるように、これは先述の直線距離ATに対応する定在波周波数が変わることに対応する。あるアンテナの位置Aで定在波の周波数fhaを求め、2V/fhaとして円弧を描くことができる。
【0048】
アンテナ102の位置Aを動かしてfhaが変わり、これらの円弧を重ね合わせる演算を繰り返すと、その円弧が多数重ね合わせられた部分が相対的に強度が高くなる。実際の反射源Tの位置は、どの円弧もかならず通過するため最も強度が大きい。このようにして、点状の反射源を強度の高い部分としてアンテナが移動した断面上に映像化して表示装置205に表示する。
【0049】
この方法では、電波のコンクリート構造物1内での伝搬速度Vが既知である必要がある。その伝搬速度は、これまでにいくつかの報告があり、既知と考えて良い。また、逆にその伝搬速度Vの値を種々変化させて上記の重ね合わせの処理を行い、最も反射源の先鋭性が高い伝搬速度Vをアンテナ102の座標位置から反射源Tの距離などの演算に用いるようにしても良い。反射源がある程度の広がりを持っているとしても、それらは点状反射源の集まりと考えられるため、本処理方法の適用に支障はない。
【0050】
本実施例における先述の円弧の重ね合わせ処理や,その重ねあわせによる強度の高い座標の判定や最も反射源の先鋭性が高い伝搬速度Vを求める処理は、反射源の定在波周波数を検知したあとの計算機処理となる。この方法により、通常、広がって観測される反射源形状がより高精度で検出できることになり、検出分解能の向上に大きな効果がある。
【0051】
いずれの実施例でも、電波を使った従来のパルスレーダ方式と異なり、連続的に使用電波の周波数を変えてコンクリート構造物1の内部を検査する。ある瞬間では、単一周波数の電波がコンクリート構造物1の内部に入射しており、異なる周波数の電波に起因する外乱ノイズの影響はほとんどない。このため、感度高くコンクリート構造物1の内部の欠陥を検出できる。また、コンクリート構造物1の表面から深い部分の定在波周波数は、その表面と欠陥との間の距離が大きいため浅い部分に欠陥が存在する場合に比べて低くなり、減衰の問題がより軽減され従来法に比べ検出感度が向上する。さらに、光学的検査法を併用することにより、コンクリート構造物1の表面の欠陥についても検査可能である。この結果、表面,内部とも感度良く欠陥を検出できる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、電波を用いた本発明の検査装置によれば、電波を伝播させることのできる検査対象内の電波反射源を感度良く検出できる。また、表面の欠陥を検出する本発明の表面検査装置によれば、検査表面からの反射光を用いて光学的情報の変化から表面の欠陥を検出するので、電波を用いるなどの他の検査方式を混在させて検査装置をシステム化しても双方の検出方式による干渉等を考慮することが少なく、確実に表面欠陥を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるコンクリート検査装置の基本的構成を示す図である。
【図2】本発明によるコンクリート検査装置の使用時の外観を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例によるスリット光の反射光の情報から検査面に対する距離を検出する方法を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施例によるスリット光の反射光の情報から検査面に対する傾き角度を検出する方法を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施例によるコンクリート検査装置の欠陥位置と定在波の形成との状況を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例によるコンクリート検査装置の定在波の形成周波数を示すグラフ図である。
【図7】本発明の第1実施例におけるデータ処理・制御用計算機の処理内容を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例によるコンクリート検査装置の基本的構成を示す図である。
【図9】本発明の第3実施例における反射源の映像化を説明する図である。
【符号の説明】
1…コンクリート構造物、2…欠陥、3…割れ、100…センサー部分、101…移動走査機構、102…アンテナ、103…スリット光発生装置、104,104−1,104−2…カメラ、200…車両側装置、201…駆動装置、202…ネットワークアナライザ、203…画像処理装置、204…データ処理・制御用計算機、205…表示装置、206…位置検出装置、207…スイッチング装置、300…台車又は車両。
Claims (4)
- 電気信号を電波として放射するアンテナと、前記アンテナに周波数変調した電気信号を送信する手段と、前記放射した電波の反射源からの反射波を検出するアンテナと、前記電波の送信振幅と前記反射波の受信振幅から反射率を求める手段と、求めた前記反射率から算出した定在波比と周波数との関係から定在波の周波数を求める手段と、求めた前記定在波の周波数と検査対象中の前記電波の伝搬速度から前記検査対象の表面と反射源との距離を求める手段を備えた電波が伝播できる検査対象の検査装置。
- 請求項1に記載の前記電波が伝播できる検査装置において、前記アンテナを備えたセンサー部分に装備した検査対象へのスリット光の照射手段と、前記アンテナを備えたセンサー部分に装備した前記スリット光の前記検査対象からの反射光を互いに相違する視野角度から撮像する各撮像手段と、前記各撮像手段で撮像した前記反射光のある一定の視野内の位置情報を検出する処理を行う画像処理装置と、前記画像処理装置の処理結果を受けて前記センサー部分と前記検査対象との間の相対的位置および姿勢の関係を求める計算機とを備えた電波が伝播できる検査対象の検査装置。
- 請求項2において、前記センサー部分を回転および角度制御自在な移動走査機構で支持し、前記移動走査機構の動作を制御・駆動する駆動装置と、前記センサー部分の位置と姿勢が設定範囲内になるように前記駆動装置を制御する計算機を備えた電波が伝播できる検査対象の検査装置。
- 請求項3において、前記反射光の前記撮像手段による撮像内容を輝度又は色彩の情報にデータ化する画像処理装置と、前記画像処理装置から受けたデータから前記撮像内容に表面欠陥が含まれているか判定する計算機を備えた電波が伝播できる検査対象の検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001153320A JP3778004B2 (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | 電波が伝播できる検査対象の検査装置 |
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