JP3777989B2 - 立体形状データ変換装置及び立体形状データ変換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は立体形状データ変換装置に関し、特に3次元のビットマップデータや点群データを、操作性・利用性の高いCADデータに変換することのできる立体形状データ変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
実際物の立体形状を計測し、データとして記述するには、X線CT装置,表面計測プローブ,レーザ計測機などの3次元ディジタイザが利用される。これらの装置は、局所的なセルや点の集合であるビットマップデータや点群データを出力する。これに対して一般の3次元CADは、大域的な位相幾何学的な情報を持つ「B−reps」(Boundary representations:境界表現)と呼ばれるデータを利用している。そのため計測された立体形状を3次元CADで利用するには、適切なデータ変換技術が不可欠である。
【0003】
局所的な情報しか持たず、大域的な情報を持たないビットマップデータや点群データを変換し、大域的な情報を持つB−repsデータを得るには、これまで主に二つの方法が利用されていた。一つは、ビットマップデータや点群データが表す立体形状を、多面体(ポリゴン)を使用して近似的に記述する方法である。場合によっては、得られた多面体をさらにNURBS(NON-UNIFORM RATIONAL B-SPLINE:非一様有理B−spline面)などの自由曲面に変換することもある。この方法は、特開平11−339071号公報に記載されている。上記の公報には、位相構造を持った物体の表面に分布する整列していない点群から、詳細なポリゴンメッシュを生成する方法が示されている。
【0004】
もう一つは、立体形状を平行な多数の平面でスライスし、得られた断面形状をB−splineなどの自由曲線で記述してから、これらを結合してNURBSなどの自由曲面とする方法である。この方法は、たとえば次の文献に詳しく記載されている。
【0005】
「Layered manufacturing of surfaces
with open contours using localized
wall thickening」
(P. Alexander・D. Dutta)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、立体形状の全体を多面体や自由曲面で近似することにより、ほぼ自動的にビットマップデータや点群データをB−repsデータに変換することができる。
【0007】
しかし工業分野においては、ビットマップデータが膨大なデータ量になり、多面体を自由曲面として近似すると、変換後のB−repsデータが大きくなり過ぎ、そのデータを更に3次元CADで使用する際や、工作機械での加工に用いる際に、作業効率の悪化を招くことを発明者らは見出した。
【0008】
多面体や自由曲面は、NC工作機械を使用して切削加工を行う際の工具経路の計算が複雑で、大きい径の工具を使って高速に加工することが困難である。そのため前記従来技術では、B−repsデータから自動的にNCプログラムを作り、計測された立体形状を持つ部品を短時間で製作することが難しいのである。
【0009】
本発明の目的は、3次元ビットマップデータを、より小さい3次元CADデータに変換する立体形状データ変換装置及び立体形状データ変換方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、立体形状データ変換装置が、点群データを表示し、点群データの中から選択されたシード点の情報が送信されるシード点選択手段と、シード点を含むグループにおける点の集合の幾何学的な形態の分類を表す種別が送信されるグループ種別定義手段と、送信されたシード点及び種別に基づいてシード点を含むグループデータが送信されるグループ記憶手段と、グループに含まれる点と種別に基づいて点の集合の形態であるグループの特徴量を計算し、特徴量に基づきグループに属する点座標の境界をグループ拡張手段に送信するグループ境界決定手段と、グループに属する点座標の境界に基づいて境界の内側に位置する点をグループ記憶手段に送信し、グループデータに境界の内側に位置する点を追加するグループ拡張手段と、グループに追加された点群データによって変化するグループの特徴量と境界をグループ境界決定手段で求め直す手段と、点群データに含まれる点がいずれかのグループに属した時点で、グループの位相関係を求めるグループ位相抽出手段と、グループの種別と特徴量及び位相関係に基づき位相幾何データを作成するソリッドモデル構成手段を備えることにより、解決することができる。
【0011】
これによれば、必要な部位が幾何学的に厳密に定義され、3次元CADで快適に操作することができ、NCプログラムの自動作成にも適したB−repsデータを得ることのできる立体形状データ変換装置を提供することができる。
【0012】
また、幾何学的に厳密に定義する必要のある面要素を、対話的なCAD操作によって利用者が自由に指定することができる。
【0013】
また、幾何学的に厳密に定義する必要のある面要素を指定する際、必要な部位だけを利用者に選択的に表示することによって、CAD操作を容易・確実にすることができる。
【0014】
また、入力された立体形状データに多くのノイズが含まれている場合でも、ノイズの影響を避けて的確なデータ変換を行うことができる
また、幾何学的に厳密に定義する必要のある面要素を指定する際、高い精度の求められない部位を利用者が指定する必要がなくなり、CAD操作を省くことができる。
【0015】
また、複数のグループの間にある幾何学的な拘束関係が明らかな場合、より高精度なデータ変換を行うことができる。
【0016】
また、必要な部位が幾何学的に厳密に定義され、3次元CADで快適に操作することができ、NCプログラムの自動作成にも適したB−repsデータを得ることのできる立体形状データ変換方法を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
発明者らは、3次元ビットマップデータを、より小さい3次元CADデータに変換するにあたって、機械の部品を対象とする場合など、多面体や自由曲面として変換されているB−repsデータの一部を、幾何学的に厳密な平面や円柱面として記述することを考案した。
【0018】
多面体や自由曲面は自由度が大きく、定義するには平面や円柱面に比べてはるかに多くのパラメータを持たせる必要がある。そのため、それら多面体や自由曲面を持ったB−repsデータは巨大なものとなり、それらを3次元CADとして使って工作機械を操作しようとしても、コンピュータの応答はきわめて遅くなるのである。
【0019】
そこで発明者らは、このような場合に、多面体や自由曲面としてB−repsに変換されていたデータの内、その一部を平面や円柱面に置き換えることを見出した。以下、それらの実施態様を説明する。
【0020】
(第1の実施例)
立体形状データ変換装置Cの構成を図1に示す。立体形状データ変換装置Cは、入力された点群データD1をB−repsデータD2に変換して出力する機能を持ち、点群記憶手段C1と、グループ記憶手段C2と、表示手段C3と、入力手段C4と、シード点選択手段C5と、グループ拡張手段C6と、グループ境界決定手段C7と、グループ種別定義手段C8と、グループ位相抽出手段C9と、ソリッドモデル構成手段C10によって構成されている。
【0021】
点群記憶手段C1・グループ記憶手段C2は、メモリやハードディスクで構成されており、入力されたデータを記憶して、必要な時に出力する機能を持つ。
【0022】
点群記憶手段C1が記憶する点群データD1は、実際物の表面に位置する点の座標を記述するデータであり、3次元ディジタイザから立体形状データ変換装置Cに入力される。たとえば次のようなデータ構成となっている。
【0023】
点1=(X1,Y1,Z1)
点2=(X2,Y2,Z2)
点3=(X3,Y3,Z3)
:
点n=(Xn,Yn,Zn)
点群記憶手段C1にビットマップデータを入力することもできる。その場合に点群記憶手段C1は、ビットマップデータを自動的に点群データD1に変換して記憶する。
【0024】
グループ記憶手段C2が記憶するグループデータD3は、「グループ」を記述するデータである。ここでの「グループ」とは、点群データD1に含まれている点の一部を要素とする集合に対し、それらの点の集合の幾何学的な形態の分類を表す「種別」と、点の集合の形態を詳細に規定する「特徴量」を付加したものである。グループデータD3は、たとえば次のようなデータ構成となっている。
【0025】
グループaの記述(点の集合,種別,特徴量)
グループbの記述(点の集合,種別,特徴量)
:
グループmの記述(点の集合、種別、特徴量)
表示手段C3は、点群記憶手段C1とグループ記憶手段C2から、点群データD1とグループデータD3を取り出し、利用者に視覚的に表示する機能を持っている。表示手段C3に表示グループ指定コマンドD4を入力すると、いくつかのグループを選択的に指定することができる。これによって表示手段C3は、点群データD1に含まれるすべての点を表示するだけでなく、指定されたグループのすべて、あるいはいずれかに属する点だけを表示したり、指定されたグループのいずれにも属さない点だけを表示したりすることができる。
【0026】
入力手段C4は、利用者から入力されるコマンドを受け取り、これを処理する機能を持つ。利用者は、表示グループ指定コマンドD4,シード点選択コマンドD5,グループ種別定義コマンドD6などのコマンドを、キーボードやマウスを使って入力することができる。
【0027】
シード点選択手段C5は、シード点選択コマンドD5を受け、シード点データD7をグループ記憶手段C2に送り、利用者によって選択された「シード点」を含む新しいグループを作成して、グループ記憶手段C2に記憶させる機能を持つ。「シード点」とは、グループが最初に含んでいる点のことである。シード点選択コマンドD5は、点群データD1に含まれている点のうちの一つを利用者が選択するためのコマンドであり、シード点データD7は、利用者が選択した点を記述するデータである。
【0028】
グループ拡張手段C6は、グループ境界データD8を受け、点群データD1の中から、既存のグループに追加することのできる点を探す。そのような点が存在した場合、追加点データD9をグループ記憶手段C2に送って、グループにその点を追加する機能を持っている。グループ境界データD8は、グループの境界を定義するデータである。追加点データD9は、グループを指定し、追加する点を記述するデータである。
【0029】
グループ境界決定手段C7は、グループデータD3に含まれているグループに属するすべての点の座標と、グループの種別に基づき、そのグループの特徴量と境界を決める機能を持つ。グループの特徴量と境界は幾何学的に計算され、そのうちの境界は、グループ境界データD8としてグループ拡張手段C6に送られる。
【0030】
グループ種別定義手段C8は、グループ種別定義コマンドD6を受け、既存のグループの種別を定義する機能を持つ。グループの種別の定義は、グループ種別データD10を、グループ記憶手段C2に送ることによって行う。グループ種別データD10は、グループを指定し、その種別を記述するデータである。
【0031】
グループ位相抽出手段C9は、既存のすべてのグループの空間的な位相関係を求め、グループ位相データD11を作ってソリッドモデル構成手段C10に送る機能を持つ。グループ位相データD11は、すべてのグループの位相関係を記述するデータである。
【0032】
ソリッドモデル構成手段C10は、既存のすべてのグループの種別・特徴量と、グループ位相データD11に基づき、B−repsデータD2を作って出力する機能を持っている。
【0033】
以上が立体形状データ変換装置Cの構成である。
【0034】
次に具体的な例を使い、立体形状データ変換装置Cによる処理の内容を詳細に説明する。実際の処理は3次元で行われるが、ここでは理解を容易にするため、図では2次元のビットマップデータを示して説明する。ただし本文では、すべて3次元の処理に使われる用語を使って説明する。
【0035】
図2の(a)に、立体形状データ変換装置Cに入力されるビットマップデータD12の全体を示す。また図2の(b)に、ビットマップデータD12の一部を拡大して示す。ビットマップデータD12は、直交格子に沿って配列した細かい立方体の領域によって構成されており、これらを「セル」と呼ぶ。個々のセルは、その中心点が立体形状の内部・外部のどちらであるかを表す情報を持っている。ここではセルの着色の有無により、立体形状の内部・外部を区別して示す。
【0036】
立体形状データ変換装置Cが行う処理、すなわち立体形状データ変換処理Pの流れを図3に示す。この流れに沿って、個々の処理を説明していくことにする。
【0037】
ビットマップデータ−点群データ変換過程P1では、入力されたビットマップデータD12を点群データD1に変換する。この変換は、図4に示す次の二つの方法で行うことができる。
【0038】
a.立体形状の表面のすぐ内側に位置するセルの中心点を求める方法
b.立体形状の表面を挟んで隣接する二つのセルの中心点を求める方法
変換によって得られる点群データD1は、点群記憶手段C1に記憶される。bの方法で得られた点群データD1の例を図5に示す。
【0039】
シード点・種別入力要求過程P2では、点群データD1を利用者に表示するとともに、新しいグループを定義するかどうかを利用者に問い合わせる。利用者はグループの種別を指定し、シード点を選択することによって、新しいグループを定義することができる。グループの種別は、たとえば次の中から選択する。
【0040】
法線が既知の平面
法線が未知の平面
半径が既知の円柱面
半径が未知の円柱面
半径が既知の球面
半径が未知の球面
2次曲面
シード点・種別入力要求過程P2で、表示手段C3がディスプレイに表示する画面の例を図6に示す。この画面の左側には、コマンドを列記したメニューSが配置されている。マウスカーソルで「シード点」をクリックすると、点群データD1が右側に表示される。点をクリックすることで、シード点を選択することができる。この操作により、シード点選択コマンドD5がシード点選択手段C5に送られる。この画面には、表示グループ指定コマンドD4で指定したグループに属する点が淡色で表示される。これらをシード点として選択することはできない。
【0041】
マウスカーソルで「種別」をクリックすると、既存のグループの一覧と、指定することのできる種別の一覧が、画面の右側に表示される。利用者はグループと、その種別をクリックして選択することができる。この操作により、グループ種別定義コマンドD6がグループ種別定義手段C8に送られる。
【0042】
マウスカーソルで「グループ」をクリックすると、既存のグループの一覧が、画面の右側に表示される。グループをクリックすることにより、そのグループを淡色で表示するかどうか、個別に指定することができる。この操作により、表示グループ指定コマンドD4が表示手段C3に送られる。
【0043】
グループ追加過程P3では、利用者によって選択されたシード点を含む新しいグループを定義し、グループデータD3に追加する。またこのグループの種別も定義する。この処理は、シード点選択手段C5によって行われる。
【0044】
グループデータD3のデータ構造の例を図7に示す。グループデータD3は、個々のグループを記述するグループレコードRの集合である。グループレコードRは、点群レコードR1と、種別レコードR2と、特徴量レコードR3を持っている。点群レコードR1には、グループに属する点が列記される。種別レコードR2には、グループの種別が記述される。特徴量レコードR3には、グループに属する点の集合の、幾何学的な形態を一意に規定するための特徴量が記述される。たとえば種別を「法線が既知の平面」とすると、基準点を一つ定義すれば、点の集合の形態を一意に規定することができる。したがって特徴量レコードR3は、基準点レコードR31を一つ持っていればよい。
【0045】
特徴量レコードR3の内容は、グループの種類によって次のように変わる。
【0046】
法線が既知の平面 基準点
法線が未知の平面 基準点・法線
半径が既知の円柱面 基準点・中心軸
半径が未知の円柱面 基準点・中心軸・半径
半径が既知の球面 中心点
半径が未知の球面 中心点・半径
2次曲面 X・Y・Zを元とする2次方程式の係数
グループ境界決定過程P4では、グループに含まれる点の座標と、グループの種別に基づいてグループの特徴量を計算し、これからグループの境界を決定してグループ境界データD8を作成する。この処理は、グループ境界決定手段C7によって行われる。
【0047】
グループ拡張過程P5では、グループ境界データD8に基づいて、点群データD1に含まれている点の中から、既存のグループに属することのできる点を選び、グループに追加する。この処理は、グループ拡張手段C6によって行われる。
【0048】
グループの種別が「法線が未知の平面」である場合を例に、グループ境界決定手段C7と、グループ拡張手段C6の動作を詳しく説明する。図8の(a)に、利用者がシード点を選択し、新しいグループを定義したところを示す。ここではグループに属する点を○で、グループに属さない点を●で示した。
【0049】
グループ境界決定過程P4では、まずグループに含まれる点の集合を最もよく近似する面を求める。このような面のことを、ここでは「代表面」と呼ぶ。この例では「法線が未知の平面」をグループの種別としているので、代表面も同じく「法線が未知の平面」となる。
【0050】
グループ境界決定手段C7は、最小2乗法を利用して代表面を求める。しかしグループが一つのシード点しか含んでいない場合、平面を求めることができない。そこで隣接するいくつかの点を要素としてグループに追加する。図8の(b)に、グループに隣接する点を追加し、グループを拡張したところを示す。
【0051】
グループに含まれる点が3個以上になると、代表面として一つの平面を求めることができる。得られた代表面の基準点・法線が、このグループの特徴量である。また代表面を表裏にオフセットさせれば、グループの境界を求めることができる。オフセット量は、セルの寸法の0.5倍〜0.75倍とする。図8の(c)に、このグループの代表面と境界を求めたところを示す。ここでは代表面を太い線で、境界を細い線で示した。
【0052】
グループ拡張過程P5では、求められたグループの境界に基づき、グループに新しい点を追加する。グループ拡張手段C6は、グループに属さない点の中からグループに隣接するものを選び、その座標を調べてグループの境界と照合する。境界の内側に位置する点があれば、それをグループに追加する。図8の(d)に、グループの境界に基づいて新しい点を追加し、グループを拡張したところを示す。
【0053】
グループ拡張過程P5でグループに新しい点を追加した場合、処理をグループ境界決定過程P4に戻し、点の追加によって変化したグループの特徴量と境界を求め直す。図8の(e)に、グループの代表面と境界を求め直したところを示す。また図8の(f)に、グループの境界に基づいて新しい点を追加し、グループを再び拡張したところを示す。
【0054】
グループ境界決定過程P4とグループ拡張過程P5は、グループに新しい点が追加されなくなるまで繰り返される。グループに属する点が変化しなくなったら、代表面から境界を求める際に使われるオフセット量を増やすかどうか、利用者に問い合わせる。もとのビットマップデータD12に多くのノイズが含まれている場合などでは、オフセット量を増やすことにより、ノイズの影響を避けて的確なデータ変換を行うことができる。
【0055】
点群データD1に含まれるすべての点が、いずれかのグループに属した時点で、処理はソリッドモデル構成過程P6に移る。ソリッドモデル構成過程P6では、グループデータD3をもとにB−repsデータD2を作成する。まずグループ位相抽出手段C9が、グループの位相関係を抽出する。これは二つのグループに同時に含まれる点があるかどうかを調べることによって行う。二つのグループに同時に含まれる点が存在した場合には、これらのグループを接していると見なすことができる。抽出されたグループの位相関係は、グループ位相データD11として、ソリッドモデル構成手段C10に送られる。
【0056】
次にソリッドモデル構成手段C10が、グループの特徴量によって規定された代表面の幾何学的な定義と、グループ位相データD11に基づき、B−repsデータD2を作成する。B−repsデータD2は、面要素(輪郭を持つ面)の幾何学的な定義と、面要素の位相関係によって構成されている。代表面の定義とグループの位相関係が与えられれば、これらをもとにB−repsデータD2を構成することは難しくない。
【0057】
以上が立体形状データ変換処理Pの流れである。
【0058】
立体形状データ変換処理Pによって得られた、B−repsデータD2の例を図9に示す。ここでは面要素の接続点を○で示した。B−repsデータD2は10個の面要素で記述されており、非常に操作性・利用性の高いCADデータが得られたことがわかる。
【0059】
(第2の実施例)
他の実施態様を説明する。立体形状データ変換装置Cでは、グループの特徴量・境界を求めるため、そのグループの種別と、そのグループに属する点の座標だけを利用していた。しかし複数のグループの間にある幾何学的な拘束関係が明らかな場合、他のグループの種別や、他のグループに属する点の座標を併せて利用した方が、高精度なデータ変換ができることもある。たとえば次のような場合がこれに該当する。
【0060】
二つの平面の基準点と法線が同じであることが明らかな場合
二つの平面が垂直、または平行であることが明らかな場合
二つの円柱面の中心軸が同じであることが明らかな場合
二つの面が滑らかに接続されていることが明らかな場合
複数のグループの間にある幾何学的な拘束関係を考えた、立体形状データ変換装置Caの構成を図10に示す。
【0061】
グループデータD3aは、個々のグループを記述するグループレコードRaの集合である。グループデータD3aのデータ構造の例を図11に示す。グループレコードRaは、点群レコードR1と種別レコードR2と特徴量レコードR3に加え、拘束関係レコードR4を持っている。
【0062】
表示手段C3aは、表示手段C3の持つ機能に加え、グループデータD3aに含まれている拘束関係の一覧をディスプレイに表示する機能を持つ。画面の例を図12に示す。マウスカーソルで「拘束関係」をクリックすると、画面の右側に、既存のグループの一覧と、グループの組み合わせに対して定義することのできる拘束関係の一覧が表示される。グループをクリックし、グループの組み合わせを定義することができる。続いて拘束関係をクリックし、グループの間にある拘束関係を指定することができる。この操作により、グループ拘束関係定義コマンドD13がグループ拘束関係定義手段C11に送られる。
【0063】
グループ境界決定手段C7aは、グループデータD3aに含まれるグループの特徴量・境界を決める機能を持っている。その際グループデータD3aから拘束関係レコードR4を読み出し、そのグループに属する点の座標だけでなく、拘束関係のある他のグループに属する点の座標も利用する。
【0064】
グループ拘束関係定義手段C11は、グループ拘束関係定義コマンドD13を受け、既存のグループの拘束関係を定義する機能を持つ。グループの拘束関係の定義は、グループ記憶手段C2に、グループ拘束関係データD14を送ることによって行う。グループ拘束関係データD14は、グループの組み合わせを指定し、その拘束関係を記述するデータである。
【0065】
(第3の実施例)
立体形状データ変換装置Cでは、点群データD1に含まれているすべての点を、いずれかのグループに属させる必要があった。そのため利用者は、フィレットや面取りなどきわめて小さい面についてもグループを定義し、シード点を選択して種別を指定しなければならなかった。しかしこれらの小さい面には、たいていの場合、それほど高い精度が求められない。それにもかかわらず、小さい面は数が多く、シード点の選択もしにくい。そのため利用者には煩雑な作業が強いられることになった。
【0066】
この課題は、「間隙グループ」を使用する立体形状データ変換装置Cbにより、解決することができる。「間隙グループ」とは、点群データD1に含まれる点のうち、利用者が定義したいずれのグループにも属さないものを集めたグループであり、立体形状データ変換装置Cbが自動的に作成する。複雑な形状を持つ間隙グループは、自由度の大きい多面体や自由曲面を代表面としている。点の集合を多面体や自由曲面で近似する場合、アルゴリズムの相違による誤差が問題となることがあるが、間隙グループは多くの場合に細長い形状を持ち、アルゴリズムの影響を受けにくい。
【0067】
間隙グループを使用する、立体形状データ変換装置Cbの構成を図13に示す。グループ位相抽出手段C9bは、グループ定義完了通知コマンドD15を受け、シード点・種別入力要求過程P2を中止して、間隙グループを新たに作成する。そして既存のすべてのグループと、作成した間隙グループの空間的な位相関係を求め、グループ位相データD11を作ってソリッドモデル構成手段C10に送る機能を持っている。グループ定義完了通知コマンドD15は、グループの定義を完了した利用者が、そのことを通知するコマンドである。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、3次元ビットマップデータを、より小さい3次元CADデータに変換する立体形状データ変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体形状データ変換装置Cの構成を示す図。
【図2】2次元のビットマップデータ全体・一部を示す図。
【図3】立体形状データ変換処理Pの流れを示す図。
【図4】ビットマップデータから点群データへの変換方法を示す図。
【図5】点群データD1の例を示す図。
【図6−1】表示手段C3によってディスプレイに表示される画面の例を示す図(1)。
【図6−2】表示手段C3によってディスプレイに表示される画面の例を示す図(2)。
【図7】グループデータD3の例を示す図。
【図8−1】グループ境界決定手段C7とグループ拡張手段C6の動作を示す図(1)。
【図8−2】グループ境界決定手段C7とグループ拡張手段C6の動作を示す図(2)。
【図9】得られたB−repsデータD2の例を示す図。
【図10】立体形状データ変換装置Caの構成を示す図。
【図11】グループデータD3aのデータ構造の例を示す図。
【図12】表示手段C3aによってディスプレイに表示される画面の例を示す図。
【図13】立体形状データ変換装置Cbの構成を示す図。
【符号の説明】
C・Ca・Cb…立体形状データ変換装置、C1…点群記憶手段、C2…グループ記憶手段、C3・C3a…表示手段、C4…入力手段、C5…シード点選択手段、C6…グループ拡張手段、C7・C7a…グループ境界決定手段、C8…グループ種別定義手段、C9・C9b…グループ位相抽出手段、C10…ソリッドモデル構成手段、D1…点群データ、D2…B−repsデータ、D3・D3a…グループデータ、D4…表示グループ指定コマンド、D5…シード点選択コマンド、D6…グループ種別定義コマンド、D7…シード点データ、D8…グループ境界データ、D9…追加点データ、D10…グループ種別データ、D11…グループ位相データ、D12…ビットマップデータ、D13…グループ拘束関係定義コマンド、D14…グループ拘束関係データ、D15…グループ定義完了通知コマンド、P1…ビットマップデータ−点群データ変換過程、P2…シード点・種別入力要求過程、P3…グループ追加過程、P4…グループ境界決定過程、P5…グループ拡張過程、P6…ソリッドモデル構成過程、R・Ra…グループレコード、R1…点群レコード、R2…種別レコード、R3…特徴量レコード、R31・R32…基準点レコード、R33…中心軸レコード、R4…拘束関係レコード、S…メニュー。
Claims (5)
- 点群データを位相幾何データに変換する立体形状データ変換装置であり、
該点群データを表示し、前記点群データの中から選択されたシード点の情報が送信されるシード点選択手段と、
該シード点を含むグループにおける点の集合の幾何学的な形態の分類を表す種別が送信されるグループ種別定義手段と、
送信された前記シード点及び前記種別に基づいて前記シード点を含むグループデータが送信されるグループ記憶手段と、
前記グループに含まれる点と前記種別に基づいて点の集合の形態である前記グループの特徴量を計算し、該特徴量に基づきグループに属する点座標の境界をグループ拡張手段に送信するグループ境界決定手段と、
該グループに属する点座標の境界に基づいて前記境界の内側に位置する点を前記グループ記憶手段に送信し、前記グループデータに前記境界の内側に位置する点を追加するグループ拡張手段と、
前記グループに追加された点群データによって変化するグループの特徴量と境界を前記グループ境界決定手段で求め直す手段と、
前記点群データに含まれる点がいずれかのグループに属した時点で、該グループの位相関係を求めるグループ位相抽出手段と、
前記グループの種別と特徴量及び該位相関係に基づき前記位相幾何データを作成するソリッドモデル構成手段を
備えることを特徴とする立体形状データ変換装置。 - 請求項1の立体形状データ変換装置であって、
前記点群データの中からグループに属する点とグループに属さない点に分けて表示し、該グループに属さない点の中から選択されたシード点が送信されるシード点選択手段を有することを特徴とする立体形状データ変換装置。 - 請求項1の立体形状データ変換装置であって、
複数のグループの間にある幾何学的な拘束関係の指定が送信されるグループ拘束関係定義手段と、
該拘束関係を用いてグループの特徴量を求めるグループ境界決定手段を有することを特徴とする立体形状データ変換装置。 - 請求項1の立体形状データ変換装置であって、
グループの定義をすべて完了していない場合、選択されたシード点を含む新しいグループをグループデータに追加するシード点選択手段を有することを特徴とする立体形状データ変換装置。 - 点群データを位相幾何データに変換する立体形状データ変換装置による立体形状データ変換方法であり、
該点群データを表示手段に表示し、前記点群データの中から選択されたシード点の情報をシード点選択手段に送信する過程と、
該シード点を含むグループにおける点の集合の幾何学的な形態の分類を表す種別をグループ種別定義手段に送信する過程と、
送信された前記シード点及び前記種別に基づいて前記選択されたシード点を含むグループデータをグループ記憶手段に送信する過程と、
グループ境界決定手段によって、該グループデータに含まれる点と種別に基づいて点の集合の形態であるグループの特徴量を計算し、該特徴量に基づきグループに属する点座標の境界をグループ拡張手段に送信する過程と、
該グループに属する点座標の境界に基づいて前記境界の内側に位置する点を前記グループ記憶手段に送信し、前記グループ拡張手段によって前記グループデータに前記境界の内側に位置する点を追加する過程と、
前記グループに追加された点によって変化するグループの特徴量と境界を前記グループ境界決定手段で求め直す過程と、
前記点群データに含まれる点がいずれかのグループに属した時点で、グループ位相抽出手段によって該グループの位相関係を求める過程と、
ソリッドモデル構成手段によって、前記グループの種別と特徴量及び該位相関係に基づき前記位相幾何データを作成する過程を備えることを特徴とする立体形状データ変換方法。
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