JP3777932B2 - 交流電動機の駆動システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台のインバータにより多相交流電動機を駆動するための交流電動機駆動システムに関するもので、特にインバータを制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動機駆動装置は電力変換器とこれを制御する制御装置により構成される。ここで、大容量の電動機駆動装置を実現するには、電力変換器を大容量化する必要があり、その方法の一つとして、複数の電力変換器セットを並列運転させて各変換器の出力電力の和を交流電動機に供給する方法がある。
【0003】
変換器のセット並列運転には、各変換器をリアクトルまたは相間リアクトルを介して電動機に接続する形態と、多巻線電動機を用いて、その巻線一組に対して1つの変換器を接続する形態とがある。前者の場合、各変換器は電気的に結合しており、後者の場合は磁気的に結合している。このような結合が存在するため、各変換器を構成しているスイッチング素子のスイッチング特性(例えばターンオフ特性)のばらつきにより電圧差が生じると、この結合を介して変換器間に不要な循環電流が流れる。この循環電流は‘インバータ間横流’もしくは‘横流’とも呼ばれており、以下では、‘横流’の呼び方に統一する。
【0004】
この横流を効果的に抑制する制御方法として、特開平3−253293号公報に記載された方法が挙げられる。これは、電力変換器の出力電流を制御する電流調整器において、出力電流加算値の制御ゲインと各変換器の不平衡電流、即ち横流に対する制御ゲインとを異ならせて制御する方法である。これにより、横流に対する制御応答を各変換器の出力電流加算値に対する制御応答とは独立に設定できる。その結果、適切な制御ゲインで横流を抑制でき、かつリアクトルを小形化できる効果が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
先に説明した従来技術は、変換器のセット並列運転に適した制御方法の原理を示すものであり、実際にこの方法を制御装置上に実装するには、装置故障に対する頑強性を保つように実装を工夫する必要がある。
【0006】
一般に、大容量の電動機駆動装置では、装置故障が発生した場合に、運転を完全に停止させてしまうことは望ましくない。例えば、その例として高速エレベータの電動機駆動装置が挙げられる。高速エレベータの電動機駆動装置が故障により完全に停止してしまうと、かごを階床まで移動できず、中にいる乗客を昇降路内に長時間閉じ込めることになる。従って、故障が生じても、残りの健全な部分を用いて運転を再開することが望まれる。即ち、装置の故障に対してより頑強となるように制御方法の装置実装を工夫しなければならない。
【0007】
本発明の目的は、上記課題の解決を図るものであり、具体的には、従来の技術に示したセット並列インバータの制御方法を実装した制御装置で、装置の故障に対してより頑強となるような実装形態をもつ制御装置を備えた電動機駆動装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、複数台の電力変換器の各々を個別に制御する複数台の制御装置を備えるようにして、かつその制御装置の各々は、それぞれの装置で個別に、自装置が制御する電力変換器の出力電流検出値と自装置が制御する電力変換器以外の電力変換器の出力電流検出値とを入力して、これらの電流検出値を用いて出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とに対する制御ゲインを異ならせて自電力変換器の出力電流がその指令値に一致または比例するように自電力変換器に対する制御指令を出力するような制御の実装形態とした。
【0009】
この実装形態により、通常時は、それぞれの制御装置が個別に、出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とを分離させて制御するように、自電力変換器の出力電流を制御する。このため、複数台の電力変換器全体の出力に対しても、出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とを分離させて制御できるようになる。そして、制御装置と電力変換器の組の一部に故障が発生した場合には、この組を停止させて、残りの健全な制御装置と電力変換器の組を、自電力変換器の出力電流のみを用いて制御する制御方法に切り換えることで、単独で動作させることができ、電動機を再駆動することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の構成図である。電動機駆動装置は、インバータ1Aから電力線2A,リアクトル3Aを介して交流電動機6に電力を供給する系と、インバータ1Bから電力線2B,リアクトル3Bを介して交流電動機6に電力を供給する系とによるインバータのセット並列接続で構成されている。以下では、インバータ1Aとこれを制御する制御装置5A,電力線2A,リアクトル3Aよりなる系をA系,インバータ1Bとこれを制御する制御装置5B,電力線2B,リアクトル3Bよりなる系をB系と呼ぶことにする。尚、図1に示した電動機駆動装置は3相交流系であるが、図の上では単相結線図で表している。
【0012】
A系インバータ1A,B系インバータ1Bは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはGTO(Gate Turn Off thyristor)のような半導体スイッチ素子を用いて構成されており、それぞれA系制御装置5A,B系制御装置5Bからの制御信号に基づいて、3相の交流電圧を出力する。
【0013】
インバータの制御装置は、A系とB系のそれぞれの系に分散させて個別に設けているのが特徴である。ここで、インバータの制御装置とは、インバータの出力電流検出値を入力して、インバータに制御指令を出力する装置のことを指し、ハードウェア上の形態としては、マイコン、またはゲートアレイ、またはマイコンやゲートアレイを含んだ制御基板、または制御基板を含んだ制御盤のような形態を取る。
【0014】
まずA系制御装置5Aでは、A系インバータ1Aの出力電流iAを電流センサ4Aで検出し、またB系インバータ1Bの出力電流iBを電流センサ4Bで検出して、それぞれの検出信号をアナログ−ディジタル 変換器(以下、A/D変換器)51A,52Aでディジタル化(サンプリングと量子化)の処理をした後、これらの信号をモータ電流指令iM *と共に、A系電流制御ブロック部53Aにて処理する。A系電流制御ブロック部53Aはこれらの入力を基に電動機電流とインバータ間横流とをそれぞれ独立に制御するように処理するが、その処理は後ほど詳しく説明する。PWMパルス発生器54AはA系電流制御ブロック部53Aより出力されたA系電圧指令vAA *を基にPWM(Pulse Width Modulation)によりA系インバータ1Aのゲートパルス信号を作成する。
【0015】
B系制御装置5Bも同様の流れで処理を行う。即ち、B系インバータ1Bの出力電流iBを電流センサ4Bで検出し、またA系インバータ1Aの出力電流iAを電流センサ4Bで検出して、それぞれの検出信号をA/D変換器51B,52Bでディジタル化の処理をした後、これらの信号をモータ電流指令iM *と共に、B系電流制御ブロック部53Bにて処理する。B系電流制御ブロック部53Bはこれらの入力を基に電動機電流とインバータ間横流とをそれぞれ独立に制御するようにB系電圧指令vBB *を演算する。PWMパルス発生器54BはvBB *を基にPWMによりB系インバータ1Bのゲートパルス信号を作成する。
【0016】
次に電流制御ブロック部の処理の流れを説明する。電流制御ブロック部は、自分の系と相手の系の電流検出値を用いて、電動機電流と横流とをそれぞれ独立に制御するようにして、自分の系の電圧指令を求める。
【0017】
まずA系の電流制御ブロック部53Aより説明する。A系電流制御ブロック部53Aは、A系側にて電動機電流制御と横流制御とを独立して実施する。電動機電流制御側では、ディジタル変換後のA系電流検出値iAAとB系電流検出値 iBAとを加算器531Aにより加算して、減算器532Aにより電動機電流指令iM *との偏差を取り、電動機電流調整器にて、この偏差を零にするような和の電圧指令vAA *+vBA *が求められる。横流制御側では、ディジタル変換後のA系電流検出値iAAとB系電流検出値iBAとを減算器534Aにより減算して、減算器535Aにより横流指令値0との偏差を取り、横流調整器536Aにて、この偏差を零にするような差の電圧指令vAA *−vBA *が求められる。電動機電流調整器の出力と横流調整器の出力とを加算器537Aで加算し、係数器538Aにて1/2倍することで、A系電圧指令vAA *が得られる。
【0018】
B系の電流制御ブロック部53Bも、同様にB系側にて電動機電流制御と横流制御とを独立して実施する。電動機電流制御側は、ディジタル変換後のA系電流検出値iABとB系電流検出値iBBとを加算器531Bにより加算して、減算器532Bにより電動機電流指令iM *との偏差を取り、電動機電流調整器にて、この偏差を零にするような和の電圧指令vAB *+vBB *が求められる。横流制御側では、ディジタル変換後のA系電流検出値iABとB系電流検出値iBBとを減算器534Bにより減算して、減算器535Bにより横流指令値0との偏差を取り、横流調整器536Bにて、この偏差を零にするような差の電圧指令vAB *−vBB *が求められる。電動機電流調整器の出力から横流調整器の出力を減算器537Bで減算し、係数器538Bにて1/2倍することで、B系電圧指令vBB *が得られる。
【0019】
以上のように、系ごとに分散させたA系制御装置5AとB系制御装置5Bの各々において、自分の系と相手の系の電流検出値を用いて、電動機電流調整器と横流調整器とにより制御することにより、1)電動機電流と横流とを独立に制御することが可能であり、また2)A系インバータまたはB系インバータをそれぞれ単独で動作させることも可能である。以下にその理由を説明する。
【0020】
始めに、図1の制御構成により、電動機電流と横流とをそれぞれ独立に制御できることを説明する。図15は、図1に示したセット並列インバータシステムの等価回路を示したものである。セット並列インバータシステム上の現象は、図15の互いに独立した2つの回路によって記述できる。図15(a)の電動機電流回路は、電動機に流れる電流を発生させる回路、即ち、電動機のトルクを発生させる回路を表している。この回路の電圧源は2台のインバータ出力電圧の和であり、回路電流は2台のインバータ出力電流の和になっている。回路定数は、リアクトルと電動機回路(R−L直列回路で表現)の直列回路で表される。図15(b)の横流回路は、インバータ間横流を発生させる回路を表している。この回路の電圧源は2台のインバータ出力電圧の差であり、回路電流は2台のインバータ出力電流の差、即ちインバータ間横流になっている。回路定数はリアクトルの抵抗分とインダクタンス分のみから成る。この等価回路から、2台のインバータ出力電流の和を用いて2台のインバータ出力電圧和を調整することにより電動機電流を制御でき、また、2台のインバータ出力電流の差を用いて2台のインバータ出力電圧差を調整することにより横流を制御できることが分かる。また、これらの2つの制御は互いに独立している。従って、図1に示した制御構成がこの等価回路上での制御原理を満たすことを示せば良い。
【0021】
図1に示した制御構成のうち、A系制御装置5Aの制御動作を検討する。A系制御装置5Aに入力するA系検出電流をIAA(s),B系検出電流をIBA(s),電動機電流指令をIm *(s),電動機電流調整器533Aの制御ゲインをGm(s),横流調整器536Aの制御ゲインをGc(s), A系制御装置で求めたA系電圧指令をVAA *(s),B系電圧指令をVBA *(s)とする。尚、上記の各変数は時間変数をラプラス変換した変数で表している。これらの変数を用いると電動機電流調整器533Aでの制御を表す式は次のようになる。
【0022】
【数1】
VAA *(s)+VBA *(s)=Gm(s)・[Im *(s)−(IAA(s)+IBA(s))]…(1)
また、横流調整器536Aでの制御を表す式は次のようになる。
【0023】
【数2】
VAA *(s)−VBA *(s)=Gc(s)・[0−(IAA(s)−IBA(s))] …(2)
従って、係数器538Aが出力するA系電圧指令VAA *(s)は次のようになる。
【0024】
【数3】
VAA *(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−(IAA(s)+IBA(s))}+Gc(s)・{0−(IAA(s)−IBA(s))}] …(3)
ここで、PWM制御が理想的に働くとすると、A系インバータの出力電圧
VA(s)は次のようになる。
【0025】
【数4】
VA(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−(IAA(s)+IBA(s))}+Gc(s)・{0−(IAA(s)−IBA(s))}] …(4)
同様に、B系制御装置5Bの制御動作を求める。B系制御装置5Bに入力するA系検出電流をIAB(s),B系検出電流をIBB(s),電動機電流指令をIm *(s),電動機電流調整器533Bの制御ゲインをGm(s),横流調整器536Bの制御ゲインをGc(s),B系制御装置で求めたA系電圧指令をVAB *(s),B系電圧指令をVBB *(s) とする。A系の場合と同様の手順により、B系電圧指令
VBB *(s)とB系インバータの出力電圧VB(s)は、それぞれ次のようになる。
【0026】
【数5】
VBB *(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−(IAB(s)+IBB(s))}−Gc(s)・{0−(IAB(s)−IBB(s))}] …(5)
【0027】
【数6】
VB(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−(IAB(s)+IBB(s))}−Gc(s)・{0−(IAB(s)−IBB(s))}] …(6)
ここで、次の条件が成り立つと仮定する。
【0028】
【数7】
IAA(s)=IAB(s)=IA(s) …(7)
【0029】
【数8】
IBA(s)=IBB(s)=IB(s) …(8)
即ち、A系制御装置とB系制御装置に入力するA系電流検出値が等しく、かつA系制御装置とB系制御装置に入力するB系電流検出値が等しい場合を考える。
この時、式(4)と式(6)から、A系とB系の2台のインバータの出力電圧和と電圧差に関して、それぞれ次式が成り立つ。
【0030】
【数9】
VA(s)+VB(s)=Gm(s)・[Im *(s)−(IA(s)+IB(s))] …(9)
【0031】
【数10】
VA(s)−VB(s)=Gc(s)・[0−(IA(s)−IB(s))] …(10)
式(9)は、図15(a)の電動機電流回路上で考えると、電動機電流を検出して、これが電動機電流指令値に追従するように、電圧源電圧を制御する処理を表している。また、式(10)は、図15(b)の横流回路上で考えると、横流を検出して、これが0に抑制されるように、電圧源電圧を制御する処理を表している。従って、A系制御装置の制御式とB系制御装置の制御式を合成した式(9)と式(10)によって、電動機電流と横流とをそれぞれ独立に制御ゲインを異ならせて制御できること、言い換えると、図1の制御構成によって、電動機電流と横流とをそれぞれ独立に制御ゲインを異ならせて制御できることが示された。
【0032】
次に、図1の制御構成により、A系,B系のインバータをそれぞれ単独に運転制御できることを説明する。まず、A系インバータの単独運転制御から説明する。図2にA系インバータの単独運転制御時の処理フローチャートを示す。B系のインバータまたは制御装置の異常を検出し、A系とB系のインバータの運転を一旦停止させた後、A系インバータのみを単独運転させる。この単独運転において、A系制御装置5Aでは次のように制御処理を変更する。1)B系の電流検出値IBAを0とする。2)横流調整器536Aの制御ゲインを0とする。3)電動機電流調整器533Aの制御ゲインをGmからGm1に変更する。この変更により、A系制御装置5Aの制御式は次のようになり、A系インバータを単独で運転制御できるようになる。
【0033】
【数11】
VAA *(s)=1/2・Gm1(s)・{Im *(s)−IAA(s)} …(11)
A系インバータの単独運転制御の場合、セット並列運転制御の場合と比べて、インバータ側から見たリアクトル−モータ系の回路定数が変わる。従って、電動機電流調整器533Aの変更後の制御ゲインGm1を適切に設定することにより、安定でかつ指令応答特性,外乱抑制特性の良い制御が可能となる。また、B系インバータの単独運転制御も、対称性を考慮してA系の場合と同様の制御処理の変更により実施できる。この時の制御式は次のようになる。
【0034】
【数12】
VBB *(s)=1/2・Gm1(s)・{Im *(s)−IBB(s)} …(12)
以上のように、図1に示した構成によって、図15に示した電動機電流回路と横流回路とを独立に制御でき、言い換えると、電動機電流と横流とをそれぞれ独立に制御でき、かつ、A系,B系のインバータまたは制御装置のいずれかが故障した場合でも健全な制御装置とインバータの組に対して単独運転させることができる。
【0035】
従って、通常運転時は、電動機電流と横流とを独立に制御できるため、リアクトルを小さくして2台のインバータをセット並列運転できる。その結果、電動機駆動装置の最大出力と力率を改善することができる。また、どちらか一方の系のインバータまたは制御装置が異常を起こした場合には、異常を起こした系を停止させて、もう一方の健全な系のインバータと制御装置を単独で運転させることができる。従って、故障に対してより頑強な電動機駆動装置を構築できる。例えば、本実施例をエレベータの電動機駆動装置に適用した場合、一方の系のインバータまたは制御装置が故障しても、もう一方の正常な系で電動機を運転させることにより、かごの昇降を制御できるため、長時間立ち往生することなく、乗客を目的階まで運ぶことができる。
【0036】
図3は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第2の実施例を示したものである。図3において、図1と同じ符号のものは同じものを表している。図3において、図1の構成と異なる部分は、A/D変換器51A,52A,51B,52Bのサンプリング処理タイミングを同期させる同期タイミング信号発生器55Aを設けた点にある。
【0037】
同期タイミング信号発生器55Aは、A/D変換器51A,52A,51B,52Bのサンプリング周期に一致する所定のサンプリング周期でパルス信号を発生している。同期タイミング信号発生器55Aの出力信号は、A系制御装置内のA/D変換器51A,52AとB系制御装置内のA/D変換器51B,52Bへと伝送される。A/D変換器51A,52Aおよび51B,52Bは、同期タイミング信号発生器55Aからのパルス信号を受けて、一斉にサンプリング処理を実施する。
【0038】
以下、図3の構成の制御原理を説明する。はじめに、検出値偏差が制御に及ぼす影響について説明する。A系制御装置5Aで用いるA系電流検出値iAAとB系制御装置5Bで用いるA系電流検出値iABとの間に式(13)で表される偏差 εA が重畳し、A系制御装置5Aで用いるB系電流検出値iABとB系制御装置5Bで用いるB系電流検出値IBBとの間に式(14)で表される偏差εBが重畳している場合を仮定する。
【0039】
【数13】
IAB(s)=IAA(s)+εA(s) …(13)
【0040】
【数14】
IBA(s)=IBB(s)+εB(s) …(14)
式(13)を式(3)へ代入し、式(14)を式(5)へ代入して、それぞれの式の和および差を求めると次のようになる。
【0041】
【数15】
VAA *(s)+VBB *(s)=Gm(s)・{Im *(s)−(IAA(s)+IBB(s))}+1/2・Gm(s)・(εA(s)+εB(s))−1/2・Gc(s)・(εA(s)−εB(s)) …(15)
【0042】
【数16】
VAA *(s)−VBB *(s)=Gc(s)・{0−(IAA(s)−IBB(s))}+1/2・Gc(s)・(εB(s)−εA(s))+1/2・Gm(s)・(εA(s)−εB(s)) …(16)
式(15)および式(16)において、右辺の第2項および第3項は、理想的な制御に対する誤差成分であり、検出値の偏差εAとεBが原因で発生する。この誤差分は電流波形歪みの原因となり、電動機のトルクリップルを引き起こす。
【0043】
検出値偏差εAとεBは、主に各A/D変換器のサンプリング処理のタイミングずれが原因で生じる。従って、例えばA系電流検出値について、サンプリング処理のタイミングずれを△tAとすると、検出値偏差εAは次式のように表される。
【0044】
【数17】
【0045】
ここで、fはインバータの出力周波数を表す。式(17)より、検出値偏差 εA を小さくするには、△tAを小さくすればよい。A/D変換器のサンプリング周波数が高い場合には、相対的に△tAは小さくなり、図1の構成でも検出値偏差による影響は問題のない範囲に抑えることができる。しかし、サンプリング周波数を高くするには、制御を実行するマイクロプロセッサの演算量を削減するか、演算速度を上げねばならず、実際には実施が難しいケースが多い。そこで、サンプリング周波数が低い場合でもサンプリングタイミングを同期させることにより、△tAの低減を図るのが図3の制御構成である。
【0046】
図3の構成では、各A/D変換器は、同期タイミング信号発生器55Aの信号を受けてから一斉にサンプリング処理を始める。ここで、同期タイミング信号発生器55Aから各A/D変換器へ信号が伝わるまでの伝送時間は無視できるほど小さい時間であり、各A/D変換器はほぼ同時刻にサンプリング処理を行うことができる。その結果、サンプリング周波数に関わらず、△tAを小さくでき、電流制御における誤差分、即ち、式(15)および式(16)の右辺第2項以降の成分を問題のない範囲に抑えこむことができる。つまり、電流波形歪みの発生を抑え、電動機のトルクリップルの発生を抑えることができる。
【0047】
図4は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第3の実施例を示したものである。図4において、図1と同じ符号のものは同じものを表している。図4において、図1の構成と異なる点は、A系,B系の各制御装置において、自系の電流検出値に対するA/D変換器のみを設けている点と、他系の電流検出値はディジタル量に変換したディジタル信号として制御装置間を伝送させている点にある。
【0048】
従って、例えばA系制御装置5Aにおいて、電流制御ブロック部53Aに入力するB系電流iABは、B系制御装置5B内のA/D変換器51Bでディジタル変換して送信器56B、受信器57Aを介してA系制御装置5A内に伝送したディジタル信号を用いており、またB系制御装置5Bにおいては、電流制御ブロック部53Bに入力するA系電流iBAは、A系制御装置5A内のA/D変換器51Aでディジタル変換して送信器56A,受信器57Bを介してB系制御装置5B内に伝送したディジタル信号を用いている。
【0049】
一般に、インバータ、例えばエレベータで使用するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)インバータは数kHz以上の高周波でスイッチング動作しているため、その周辺を通過する信号線はノイズが混入しやすい条件にある。図1の構成に示すように、A系電流検出値iAのB系制御装置5Bへの信号伝送,B系電流検出値iBのA系制御装置5Aへの信号伝送は、他の系への伝送となるため、伝送距離が長くなり、ノイズが混入しやすくなる。特に、アナログ信号で伝送した場合、混入したノイズがそのまま信号の誤差分として表れるため、誤動作を招く可能性がある。
【0050】
図4の構成では、例えば、A系電流検出値iA(アナログ信号)のB系制御装置5Bへの信号伝送は、A系制御装置5AのA/D変換器51AによるA/D変換後、ディジタル信号となって、B系の制御装置へ伝送される。ディジタル信号の場合、信号レベルと同程度の大きなノイズの混入を受けない限り、信号はノイズの影響を受けないため、図1の構成の場合と比べて、誤動作の可能性は小さくなる。B系電流検出値iB のA系制御装置5Aへの信号伝送についても上記と同様である。従って、電動機駆動装置としての動作信頼性,安全性が向上するという効果が得られる。また、図4の構成では、図1の構成に比べて、他の系の電流検出値に対するA/D変換器が必要ないため、装置構成が簡単になり、制御装置がコンパクトになるという効果も得られる。
【0051】
図5は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第4の実施例を示したものである。図5において、図4と同じ符号のものは同じものを表している。図5において、図4の構成と異なる点は、各A/D変換器51A,51Bの処理タイミングを同期させる同期タイミング信号発生器55Aを設けた点にある。同期タイミング信号発生器55Aは、既に、図3に示した第2の実施例で説明したものと同じもので、A/D変換器51Aおよび51Bは、同期タイミング信号発生器55Aからのパルス信号を受けて、一斉にA/D変換処理を実施する。
【0052】
図4に示した構成のように、他系の電流検出値をディジタル信号で伝送する場合、電流補償器の処理中に他系の電流検出信号を読み込むための割り込み処理が必要となる。また、ディジタル信号伝送の場合、1桁のビット誤りによって、信号値が大きく変わる危険性があるため、伝送されたディジタル信号データに誤りがないかをチェックするチェック処理が必要となる。従って、アナログ信号伝送時と比べて、制御装置にかかる処理負荷が大きくなり、処理時間が増大するため、処理周期を短くできず、高速なサンプリング周波数による処理実行が難しくなる。この結果、既に第2の実施例の記述で説明したようなサンプリング処理のタイミングずれによる検出値偏差が生じて、電流制御に誤差が発生する。
【0053】
これに対して、図5の構成では、同期タイミング信号発生器55Aからの同期信号により、A系のA/D変換器51AとB系のA/D変換器51Bとが同時にサンプリング処理を行うため、サンプリング処理のタイミングずれを抑制することができる。つまり、ディジタル信号伝送の実施により制御装置の処理時間が増えて、サンプリング周波数が遅くなっても、そのために電流制御に発生する誤差を抑制することができる。
【0054】
図6は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第5の実施例を示したものである。図6において、図5と同じ符号のものは同じものを表している。図6において、図5の構成と異なる点は、入力処理装置7を設けた点にある。入力処理装置7では、A系インバータ1Aの電流検出値iAは、A/D変換器71でディジタル信号に変換した後、送信器74から受信器58Aを介してA系制御装置5Aへ、また送信器74から受信器59Bを介してB系制御装置5Bへそれぞれ伝送する。また、B系インバータ1Bの電流検出値iBは、A/D変換器72でディジタル信号に変換した後、送信器75から受信器59Aを介してA系制御装置5Aへ、また送信器75から受信器58Bを介してB系制御装置5Bへそれぞれ伝送する。A/D変換器71と72は、同期タイミング信号発生器73が出力する信号を受けてサンプリング処理を実行する。
【0055】
図6の構成は、図5の構成に対して、A/D変換の処理機能を入力処理装置7に集約させている。これにより、自系と他系インバータの検出電流をA/D変換し、かつその時のサンプリング処理を同期させるという機能を入力処理装置7の追加によって実施できる。従って、A系とB系の制御装置5Aと5Bは、インバータ1台を制御する時に用いていた制御装置をそのまま適用することができ、制御装置全体の製作が容易になり、また製作コストを下げることが可能となる。さらに、A系とB系の電流検出値に対するA/D変換器が同じ制御装置上に設けられているため、A/D変換の同期処理が容易に実施でき、動作信頼性が向上するという効果も得られる。
【0056】
図7は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第6の実施例を示したものである。図7において、図1と同じ符号のものは同じものを表している。図7の構成は、図1の構成と比べて、A系制御装置5A内の電流制御ブロック部53AとB系制御装置5B内の電流制御ブロック部53Bの内部構成が異なる。
【0057】
まずA系制御装置5Aの電流制御ブロック部53Aの処理の流れを説明する。A/D変換器51Aより出力されたA系の検出電流iAAはA系電流ゲイン位相補償器540Aによって(Gm(s)+Gc(s))を満たす制御ゲインをかけ合わせる処理を受ける。また、A/D変換器52Aより出力されたB系の検出電流iBAはB系電流ゲイン位相補償器541Aによって(Gm(s)−Gc(s))を満たす制御ゲインをかけ合わせる処理を受ける。電動機電流指令値は、電動機電流指令に対するゲイン位相補償器539AによってGm(s) を満たす制御ゲインをかけ合わせる処理を受ける。そして、電動機電流指令に対するゲイン位相補償器539A,A系電流ゲイン位相補償器540A,B系電流ゲイン位相補償器541Aの出力は、加算器542Aにおいて、それぞれ正,負,負の値を乗算した上で加算される。加算器542Aの出力は係数器543Aにより1/2を乗算され、その結果、A系電圧指令VAA *が出力される。
【0058】
B系制御装置5Bの電流制御ブロック部53Bについても、電流制御ブロック部53Aに対してA系電流検出値とB系電流検出値を対称に入れ替えた処理を行っている。
【0059】
上記の処理の結果、A系制御装置5Aの電流制御ブロック部53Aの制御式は次のようになる。
【0060】
【数18】
VAA *(s)=1/2・[Gm(s)・Im *(s)−{Gm(s)+Gc(s)}・IAA(s)−{Gm(s)−Gc(s)}・IBA(s)] …(18)
また、B系制御装置5Bの電流制御ブロック部53Bの制御式は次のようになる。
【0061】
【数19】
VBB *(s)=1/2・[Gm(s)・Im *(s)−{Gm(s)+Gc(s)}・IBB(s)−{Gm(s)−Gc(s)}・IAB(s)] …(19)
ここで、式(18)は式(3)をIm *(s),IAA(s),IBA(s)の各変数でまとめて整理した式に等しく、式(19)も式(5)をIm *(s),IAA(s),IBA(s)の各変数でまとめて整理した式に等しい。従って、図7の電流制御ブロック部53Aは図1の電流制御ブロック部53Aと制御上は等価であり、また図7の電流制御ブロック部53Bは図1の電流制御ブロック部53Bと制御上は等価である。
【0062】
図8は、図7の構成に対してA系インバータを単独運転制御する場合の処理フローチャート示したものであり、A系の電流制御ブロック部53Aにおいて、
1)B系電流検出値iBAを常に0に設定し、2)A系電流ゲイン位相補償器540Aの制御ゲインを(Gm(s)+Gc(s))からGm2(s)に変更し、3)電動機電流指令に対するゲイン位相補償器539Aの制御ゲインをGm(s)からGm2(s) に変更すれば、制御式は次のようになり、Gm2(s)を適切に設計することにより、A系インバータを単独で運転制御できるようになる。
【0063】
【数20】
VAA *(s)=Gm2(s)・{Im *(s)−IAA(s)} …(20)
またB系インバータについてもA系とB系の対称性を考慮した同様の処理により、単独運転制御が可能である。
【0064】
以上のことから、図7の構成でも、図1の場合と同じく、電動機電流と横流とを独立に制御でき、かつ、A系,B系のインバータまたは制御装置のいずれかが故障した場合でも健全な制御装置とインバータの組に対して単独運転させることができる。さらに加えて、図7の構成では、図1の構成に比べて、電流制御器内の処理が簡素化されている。このため、電流制御器の処理負荷が減少しており、処理周期をより短くでき、制御のむだ時間遅れを低減することができる。その結果、各電流補償要素の制御ゲインを増加させることができ、制御の指令応答性能,外乱抑制性能を向上させることが可能となる。
【0065】
図9は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第7の実施例を示したものである。図9において、図1と同じ符号のものは同じものを表している。図9の構成は、図1の構成に対して、A系制御装置5A内の電流制御ブロック部53AとB系制御装置5B内の電流制御器53Bの構成部分が異なる。まずA系制御装置5Aの電流制御器53Aの処理の流れを説明する。電流制御器53Aでは、A系の電流検出値のみを用いて電動機電流を制御する流れとA系の電流検出値とB系の電流検出値との差を制御する流れの2つの流れがある。前者の方は、A/D変換器51Aより出力されたA系の検出電流iAAを係数器544Aにより2倍し、減算器545Aにより電動機電流指令im *との偏差をとり、この偏差が0に近づくようにA系電流調整器546Aで補償する。後者の方は、A/D変換器51Aより出力されたA系の検出電流iAAとA/D変換器52Aより出力されたB系の検出電流iBAとの差を減算器547Aで求め、この結果と0との偏差を減算器548Aで求めて、この偏差が0に近づくように横流調整器549Aで補償する。A系電流調整器546Aの出力と横流調整器549Aの出力の差が減算器550Aで求められ、その結果がA系電圧指令VAA *として出力される。
【0066】
B系制御装置5Bの電流制御ブロック部53Bにおいても、電流制御ブロック部53Aに対してA系電流検出値とB系電流検出値を対称に入れ替えた処理を行っている。即ち、B系の電流検出値のみを用いて電動機電流を制御する流れとA系の電流検出値とB系の電流検出値との差を制御する流れの2つの流れがある。前者の方は、A/D変換器51Bより出力されたB系の検出電流iBBを係数器544Bにより2倍し、減算器545Bにより電動機電流指令im *との偏差をとり、この偏差が0に近づくようにB系電流調整器546Bで補償する。後者の方は、A/D変換器51Bより出力されたB系の検出電流iBBとA/D変換器52Bより出力されたA系の検出電流iABとの差を減算器547Bで求め、この結果と0との偏差を減算器548Bで求めて、この偏差が0に近づくように横流調整器549jBで補償する。B系電流調整器546Bの出力と横流調整器549Bの出力の差が減算器550Bで求められ、その結果がB系電圧指令VBB *として出力される。
【0067】
図9の電流制御ブロック部53Aと電流制御ブロック部53Bは、図1の電流制御ブロック部53Aと電流制御ブロック部53Bとそれぞれ制御上は等価になる。図1の電流制御ブロック部53Aを表す制御式である式(3)は次のように変形できる。
【0068】
【数21】
VAA *(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−2・IAA(s)}−{Gm(s)−Gc(s)}・{0−IAA(s)−IBA(s)}]…(21)
従って、係数器544Aのゲインを2、A系電流調整器546Aの制御ゲインをGm(s)、横流調整器549Aの制御ゲインを(Gm(s)−Gc(s))と設定することにより、図9の電流制御ブロック部53Aは図1の電流制御器53Aと制御上は等価になる。また、図1の電流制御ブロック部53Bを表す制御式である式(5)も次のように変形できる。
【0069】
【数22】
VBB *(s)=1/2・[Gm(s)・{Im *(s)−2・IBB(s)}−{Gm(s)−Gc(s)}・{0−IBB(s)−IAB(s)}]…(22)
従って、係数器544Bのゲインを2、B系電流調整器546Bの制御ゲインをGm(s)、横流調整器549Bの制御ゲインを(Gm(s)−Gc(s))と設定することにより、図9の電流制御ブロック部53Bは図1の電流制御ブロック部53Bと制御上は等価になる。つまり、図1の構成と同様に図9の構成でも電動機電流と横流とを独立に制御できる。
【0070】
図10は、図9の構成に対してA系インバータを単独運転制御する場合の処理フローチャート示したものであり、A系の電流制御ブロック部53Aにおいて、1)係数器544Aのゲインを2から1に変更し、2)A系電流調整器546Aの制御ゲインをGm(s)からGm3(s)に変更し、3)横流調整器549Aの制御ゲインを0に変更すれば、制御式は次のようになり、Gm3(s)を適切に設計することにより、A系インバータを単独で運転制御できるようになる。
【0071】
【数23】
VAA *(s)=1/2・Gm3(s)・{Im *(s)−IAA(s)} …(23)
またB系インバータについてもA系とB系の対称性を考慮した同様の処理により、単独運転制御が可能である。
【0072】
以上のことから、図9の構成でも、図1と同じく、電動機電流と横流とを独立に制御でき、かつ、A系インバータとB系インバータとをそれぞれ単独で運転制御できる。さらに加えて、図9の構成では、図1の構成に比べて、電流制御器内の処理が簡素化されている。このため、電流制御器の処理負荷が減少しており、処理周期をより短くでき、制御のむだ時間遅れを低減することができる。その結果、各電流補償要素の制御ゲインを増加させることができ、制御の指令応答性能,外乱抑制性能を向上させることが可能となる。
【0073】
また、図9の構成では、各系の電流制御器における電流補償器は、自系の電流検出値のみで制御するものと、自系と他系の電流検出値の差を用いるものとの2つのタイプから成る。このうち、自系の電流検出値のみを用いる電流補償器の方は、既に述べたように電動機電流の制御に関わる。従って、例えば、一時的に非常に大きなノイズが混入した等の原因で、他系の電流検出値が一時的に異常な値を示した時には、他系の電流検出値を用いる方の電流補償器を一時的に止めて、自系の電流検出値のみを用いる電流補償器のみで制御するように処理を切り替えることが容易にできる。この結果、電動機駆動装置を常に安定した状態で継続運転させることができる。
【0074】
図11は、図1に示した第1の実施例の構成に対する起動時の運転方法を示したものである。この運転方法は、起動時の過渡状態におけるA系とB系に分散させた各系制御装置の制御間の干渉防止を図るものである。
【0075】
一般に電流調整器の制御ゲインは、高速な指令応答特性と外乱抑制効果を狙って、できるだけ高く設定する。しかし、図1の実施例において、制御ゲインを高く設定した場合、システム起動時の過渡において、A系制御装置5AとB系制御装置5Bとがお互いに相手の急な立ち上がり動作に過剰に反応して、互いの制御動作が干渉する可能性がある。特に、相手の電流との差分によって制御する横流制御においてその可能性が高い。
【0076】
そこで、図11では、起動時と定常時で制御ゲインを変更するような運転方法を図る。以下、図11に示した電動機駆動装置の動作方法を説明する。まず、起動前においては、A系制御装置5A、B系制御装置5Bとも横流調整器の制御ゲインを定常時よりも低い値とした起動時設定値に設定する。ここで、起動の過渡においては、横流を制御する必要性も小さいため、制御ゲインの設定値は0にしても構わない。次に、電動機電流調整器の制御ゲインも定常時よりも低い値とした起動時設定値に設定する。ここで、電動機電流は指令値へ追従するように制御する必要があり、設定値はある程度の大きさが必要である。そして、電動機駆動装置を起動させて、A系インバータ1A、B系インバータ1Bを共に起動させた後、それぞれの電流検出値から定常状態に達したかどうかを判断し、定常状態に達した場合は、それぞれの系の制御装置において、電動機電流調整器の制御ゲインおよび横流調整器の制御ゲインを定常時設定値に変更して、定常状態の制御動作へ移行する。ここで、定常時設定値は起動時設定値に比べて大きく、定常状態に対して設計した値である。このような運転方法により、起動時の過渡においては、横流調整器,電動機電流調整器とも制御ゲインが小さく、各制御装置の制御が干渉することを防止できる。また、定常時では、所望の制御効果を狙った大きな制御ゲインで制御動作させるため、外乱抑制,指令応答性に関して、所望の制御効果を得ることができる。
【0077】
図12は図1に示した第1の実施例の構成を制御盤上で実装した場合の盤配置の外観を示したものである。A系インバータ1AがA系インバータ盤8Aに収まり、B系インバータ1BがB系インバータ盤8Bに収まっている。また、A系制御装置5AがA系制御盤9Aに収まり、B系制御装置5BがB系制御盤9Bに収まっている。また、A系インバータ1Aの電流検出値iAは信号線10Aを通って、A系制御盤9AとB系制御盤9Bへ伝送される。B系インバータ1Bの電流検出値iBは信号線10Bを通って、B系制御盤9BとA系制御盤9Aへと伝送される。ここで、各盤の位置関係は、A系制御盤9AとB系制御盤9Bは隣り合わせに配置されており、A系制御盤9Aの外側にA系インバータ盤8Aが配置され、B系制御盤9Bの外側にB系インバータ盤8Bが配置されている。即ち、インバータ盤と制御盤の配置の特徴として、1)制御盤同士は互いに接する位置に配置されており、インバータ盤とこれを制御する制御盤も互いに接する位置に配置している。2)各制御盤同士の距離は各インバータ盤同士の距離よりも短くなるように配置している。3)各制御盤間によって挟まれた空間にはインバータ盤が配置されないようになっている。
【0078】
A系およびB系インバータ盤からは、インバータのスイッチングによる電磁ノイズが放射円状に発生している。従って、これらのインバータ盤の直近に線路長の長い信号線を通過させると、スイッチングによる電磁ノイズが信号線に誘導して、信号線内を通る信号にノイズが重畳する恐れが生じる。
【0079】
しかし、図12に示す盤配置ならば、信号線へのノイズ混入を低減できる。例えば、A系インバータ盤8Aから伝送されるA系インバータ1Aの電流検出信号iAはA系制御盤9AとB系制御盤9Bへ入力する。このうち、A系インバータ盤8AからB系制御装置9Bへの信号伝送は距離が長くなりノイズ混入の恐れがあるが、A系インバータ盤8Aから離れる方向に向かって信号線10Aが通るため、その周辺のノイズ量は低減している。その結果、信号線10Aに混入するノイズ量を低減できる。B系インバータ盤8Bから伝送されるB系インバータ1Bの電流検出信号iBについても同様のことが言える。
【0080】
このように、図12に示す盤配置によって、電流検出信号に混入するノイズ量を低減することができ、システムの動作信頼性,動作安定性を向上できるという効果が得られる。また、図12の配置は、第3の実施例である図4に示した他系の電流検出量をディジタル信号で伝送する場合にも有効である。この場合、他の配置比べて、ディジタル信号線を短くできるため、伝送による信号の劣化を防ぐことができ、システムの動作信頼性を向上できるという効果が得られる。
【0081】
図13も図1に示した第1の実施例の構成を制御盤上で実装した場合の盤配置の外観を示したものである。図13において、図12と同じ符号のものは同じものを表している。図13に示す盤配置でも、A系制御盤9AとB系制御盤9Bは隣り合わせに配置されており、A系制御盤9AとB系制御盤9Bと挟んだ外側に、A系インバータ盤8AとB系インバータ盤8Bが配置されている。図13の配置も図12に示した配置と同様の特徴をもつ。即ち、1)制御盤同士は互いに接する位置に配置されており、インバータ盤とこれを制御する制御盤も互いに接する位置に配置している。2)各制御盤同士の距離は各インバータ盤同士の距離よりも短くなるように配置している。3)各制御盤間によって挟まれた空間にはインバータ盤が配置されないようになっている。
【0082】
この結果、図13に示すインバータ盤と制御盤の配置では、図12の場合と同様に、電流検出信号に混入するノイズ量を低減することができ、システムの動作信頼性,動作安定性を向上できるという効果が得られる。また、他系の電流検出量をディジタル信号で伝送する場合にも有効である。この場合、他の配置に比べて、ディジタル信号線を短くできるため、伝送による信号の劣化を防ぐことができ、システムの動作信頼性を向上できるという効果が得られる。
【0083】
図14は図1に示した第1の実施例の制御構成を3相2巻線電動機に適用した例を示している。図14において、図1と同じ符号のものは同じものを表している。図1とは、電動機に3相2巻線電動機11を用いている点が異なっている。
【0084】
3相2巻線電動機11は、電動機の固定子巻線が2組の3相巻線構成となっている電動機であり、図14では、一方の3相巻線1組をA系インバータ1Aより給電し、もう一方の3相巻線の組をB系インバータ1Bより給電するようにしている。2組の3相巻線は電気的には絶縁されているが、固定子の鉄心を介して磁気的に結合している。この巻線間の磁気的結合は等価的にリアクトルを介した結合として表すことができる。つまり、図14の構成と図1の構成とは回路的に等価と考えて良い。従って、図14のように3相2巻線電動機を駆動する場合も、図1と同じ制御構成を適用することにより、図1において記述した効果と同じ効果を得ることができる。即ち、電動機電流と磁気的結合を介してインバータ間を流れる横流とを、それぞれ独立に制御できる。その結果、電動機電流,横流ともそれぞれに適切な制御ゲインで制御できるため、電動機電流の電流歪みが原因で生じる電動機のトルクリップルを抑制でき、かつ横流を抑制できるという効果が得られる。そしてさらに、どちらか一方のインバータまたは制御装置が異常を起こした場合には、異常を起こした系を停止させて、もう一方の系を単独で運転でき、故障に対してより強いシステムを構築できるという効果が得られる。
【0085】
図1の構成では、3相の電流検出量の各相に対して電流制御する構成を示しているが、3相の電流検出値を3相2相変換により、互いに直交した2相量に変換し、直交した2相のそれぞれの相において電流補償を実施しても良い。ここで、3相2相変換の変換式は次式で表される。
【0086】
【数24】
【0087】
3相2相変換した2相の各相に対して電流補償を実施する場合、3相の各相で電流補償を実施する場合と比べると、横流を制御する上で、以下に述べる利点がある。インバータ間を流れる横流の電流経路を詳しく見ると、3相の相間を通過する経路で横流が流れていることが分かる。例えば、A系インバータのu相からv相を通って、リアクトルを介して、B系インバータのv相に入り込み、B系インバータのv相からu相を通って、リアクトルを介して、A系インバータのu相へ戻るという経路が形成される。このように、3相の相間を経路とする電流に対して、3相をそれぞれ独立に電流制御しようとすると、相間で干渉が生じて、制御の応答が遅れる可能性がある。これに対して、3相2相変換後の2相量は、互いに直交しているため、それぞれの相が干渉することはなく、この2相量をそれぞれの相において電流制御すれば、より速い制御応答を得ることができる。つまり、電流検出値に対して、3相2相変換を行い、互いに直交した2相のそれぞれの相において電流制御を行えば、3相の相間を経路とする横流をより高速に抑制できるという効果が得られる。
【0088】
また、上記では3相2相変換による2相への変換の場合を説明したが、dq変換を用いても同様の効果を得ることができる。dq変換の変換式は次のようになる。
【0089】
【数25】
【0090】
前述した実施例では、各相にリアクトルを挿入する構成の場合を説明したが、相間リアクトルを用いた場合でも同様に適用することが可能である。
【0091】
また、本発明は、電動機を駆動するインバータに限らず、交流系統に接続して交流電力を直流電力変換するセット並列のコンバータ,アクティブフィルタや無効電力補償装置のような電力系統に連系したセット並列のインバータ等にも適用できる。要するに、電流指令信号に従い、出力電流を制御する電力変換装置であれば適用可能である。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一方の系のインバータまたは制御装置が異常を起こした場合には、異常を起こした系を停止させて、もう一方の健全な系を単独に動作させることで電動機を運転制御させることができる。従って、故障に対してより強く安定した電動機駆動システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施形態の電動機駆動装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態(図1)に対する単独運転処理を示すフローチャート。
【図3】本発明による第2の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図4】本発明による第3の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図5】本発明による第4の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図6】本発明による第5の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図7】本発明による第6の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図8】本発明の第6の実施形態(図7)に対する単独運転処理を示すフローチャート。
【図9】本発明による第7の実施形態における電動機駆動装置の構成図。
【図10】本発明の第7の実施形態(図9)に対する単独運転処理を示すフローチャート。
【図11】本発明の第1の実施形態(図1)に対する起動時から定常時までの運転処理を示すフローチャート。
【図12】本発明の第1の実施形態(図1)に対する盤実装の外観図。
【図13】本発明の第1の実施形態(図1)に対する盤実装の外観図。
【図14】本発明による第1の実施形態を3相2巻線電動機駆動装置に適用した場合の構成図。
【図15】セット並列インバータシステムの等価回路。
【符号の説明】
1A…A系インバータ、1B…B系インバータ、2A…A系電力線、2B…B系電力線、3A…A系リアクトル、3B…B系リアクトル、4A…A系電流センサ、4B…B系電流センサ、5A…A系制御装置、5B…B系制御装置、51A…A系制御装置のA系電流検出値用サンプリング処理器、51B…B系制御装置のB系電流検出値用サンプリング処理器、52A…A系制御装置のB系電流検出値用サンプリング処理器、52B…B系制御装置のA系電流検出値用サンプリング処理器、53A…A系制御装置の電流制御ブロック部、53B…B系制御装置の電流制御ブロック部、533A…A系制御装置の電動機電流調整器、536A…A系制御装置の横流調整器、533B…B系制御装置の電動機電流調整器、
536B…B系制御装置の横流調整器、538A…係数器、538B…係数器、539A…A系制御装置の電流指令値に対するゲイン位相補償器、540A…A系制御装置のA系電流検出値に対するゲイン位相補償器、541A…A系制御装置のB系電流検出値に対するゲイン位相補償器、539B…B系制御装置の電流指令値に対するゲイン位相補償器、540B…B系制御装置のA系電流検出値に対するゲイン位相補償器、541B…B系制御装置のB系電流検出値に対するゲイン位相補償器、543A…係数器、543B…係数器、544A…係数器、
544B…係数器、546A…A系制御装置のA系電流調整器、549A…A系制御装置の横流調整器、546B…B系制御装置のB系電流調整器、549B…B系制御装置の横流調整器、54A…A系制御装置のPWMパルス発生器、54B…B系制御装置のPWMパルス発生器、55A…同期タイミング信号発生器、
56A…A系制御装置のサンプリング信号送信器、57A…A系制御装置のサンプリング信号受信器、56B…B系制御装置のサンプリング信号送信器、57B…B系制御装置のサンプリング信号受信器、58A…A系制御装置のサンプリング信号受信器、59A…A系制御装置のサンプリング信号受信器、58B…B系制御装置のサンプリング信号受信器、59B…B系制御装置のサンプリング信号受信器、6…3相交流電動機、7…入力処理装置、71…入力処理装置のA系電流検出値用サンプリング処理器、72…入力処理装置のB系電流検出値用サンプリング処理器、73…同期タイミング信号発生器、74…A系電流検出値用サンプリング信号送信器、75…B系電流検出値用サンプリング信号送信器、8A…A系インバータ盤、8B…B系インバータ盤、9A…A系制御盤、9B…B系制御盤、10A…A系検出電流伝送用信号線、10B…B系検出電流伝送用信号線、11…3相2巻線電動機。
Claims (4)
- 複数台の電力変換器を備えて各電力変換器からの交流出力電力の和を交流電動機に供給する交流電動機の駆動システムにおいて、前記複数台の電力変換器の各々を個別に制御する複数台の制御装置を備え、各制御装置は、自装置が制御する電力変換器の出力電流検出値と他の電力変換器の出力電流検出値とを入力して、これらの電流検出値を用いて出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とに対する制御ゲインを異ならせて自電力変換器の出力電流がその指令値に一致または比例するように自電力変換器に対する制御指令を出力し、前記駆動システムの起動時に、前記制御ゲインを定常時よりも低い値に設定することを特徴とする交流電動機の駆動システム。
- 複数台の電力変換器を備えて各電力変換器からの交流出力電力の和を交流電動機に供給する交流電動機の駆動システムにおいて、前記複数台の電力変換器の各々を個別に制御する複数台の制御装置を備え、各制御装置は、自装置が制御する電力変換器の出力電流検出値と他の電力変換器の出力電流検出値とを入力して、これらの電流検出値を用いて出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とに対する制御ゲインを異ならせて自電力変換器の出力電流がその指令値に一致または比例するように自電力変換器に対する制御指令を出力し、
前記他の電力変換器が故障した場合、前記他の電力変換器の出力電流値を0とし、前記自装置において、前記不平衡成分に対する制御ゲインを0としかつ前記出力電流加算値に対する制御ゲインを変更することを特徴とする交流電動機の駆動システム。 - 複数台の電力変換器を備えて各電力変換器からの交流出力電力の和を交流電動機に供給する交流電動機の駆動システムにおいて、前記複数台の電力変換器の各々を個別に制御する複数台の制御装置を備え、各制御装置は、自装置が制御する電力変換器の出力電流検出値をアナログ−ディジタル変換する手段と、前記ディジタル変換した出力電流検出値を他の制御装置へ信号線によって送信する手段と、他の制御装置より送信された出力電流検出値のディジタル信号を受信する手段とを有し、これらディジタル量に変換された電流検出値を用いて出力電流加算値と各電力変換器の出力電流の不平衡成分とに対する制御ゲインを異ならせて自電力変換器の出力電流がその指令値に一致または比例するように自電力変換器に対する制御指令を出力することを特徴とする交流電動機の駆動システム。
- 請求項3において、前記アナログ−ディジタル変換する手段の各々のサンプリング処理タイミングを同期させる手段を設けたことを特徴とする交流電動機の駆動システム。
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