JP3776465B2 - 油ないしロウの分離精製方法およびそれに用いる装置 - Google Patents

油ないしロウの分離精製方法およびそれに用いる装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、油ないしロウの分離精製方法およびそれに用いる装置に関する。さらに詳しくは、油ないしロウに含まれる非極性な油ないしロウと、着色成分、有臭成分、過酸化物価の高い成分などの極性化合物とを、吸着塔により工業的に大量に分離精製する方法および該方法に用いる分離精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品、医薬品、食品の分野においては各種の油ないしロウが使用されているが、それらには不純物として着色成分、有臭成分、過酸化物価(POVともいう)の高い成分などが含まれている。したがって、それらを除去しないで用いると、色、臭い、味および経日酸化安定性などの面で不満足な品質のものしかえられず、化粧品に用いたばあいには、皮膚刺激やアレルギーなどの原因となり(たとえばPOVが20以上のものは皮膚に障害を起こすこともあるため好ましくないばあいがある)、外用の医薬品に用いたばあいにも同様な欠点を持ち、内用の医薬品に用いたばあいには経日安定性が劣るなどの原因となり、また、食品に用いたばあいには、においもどりがあったり経日安定性がわるくなるなどの原因となる。
【0003】
したがって、油ないしロウ(以下、油等ともいう)を前記のごとき用途に使用するばあい、油等を精製して使用する必要があり、油等を精製する方法として、たとえば硫酸などの酸またはカ性ソーダなどのアルカリ水溶液で洗浄する方法、バッチ法により酸化漂白する方法、活性白土および(または)活性炭を添加して加熱撹拌したのち濾別する方法、あるいは水素添加(水添ともいう)する方法などが採用されている。
【0004】
また、油等(各種の合成エステル油、動物油脂、たとえばウールグリース、ラノリン、それらの誘導体、馬油、オレンジラフィー油、植物油、たとえばオリーブ油、大豆油、ババス油、メドウフォーム油、ルリデサ油など)を非極性有機溶剤に溶解したものを、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油等中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油類をうる方法も提案されている(特公昭54−21207号公報、特公昭56−5799号公報、特公平4−20037号公報、特開昭62−192308号公報、特開昭62−205005号公報、特開昭63−39991号公報、特開平1−216909号公報、特開平1−272510号公報および特開平2−53706号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸化漂白する方法や活性白土および(または)活性炭を添加して処理する方法などの従来の方法では、油等によっては精製後も原油特有の臭気を有することがあり、また、経時的に再び酸化劣化して、いわゆる“臭いもどり”現象が起こったり、POVが短時間に再上昇するなどの問題が起こったりし、不満足な品質のものしかえられないという問題がある。
【0006】
具体例をあげて説明すると、南太平洋産の魚であるオレンジラフィーから抽出される油で高級アルコールと高級脂肪酸とのエステルであるオレンジラフィー油は、ワックス型エステルを主体とする油で不飽和性が高く(ヨウ素価約90)、POVも高い(一例では60)オレンジ色の油であるが、これを微水添すると淡黄色になり、臭いも少なくなり、POVもたとえば60が2程度まで減少するというように改良されることが知られている。
【0007】
しかし、この微水添油は経日酸化安定性がわるく、たとえば50℃で5日間保存するとPOVが40程度まで再上昇し、臭いもどりもおこる。したがって、この微水添油を用いて化粧品などを製造したばあい、その化粧品などは経日により変臭、変色しやすく、また、皮膚刺激の原因となる可能性もある。
【0008】
また、米国オレゴン州から輸入される比較的炭素数の多い不飽和脂肪酸(エイコセン酸、ドコセン酸およびドコサジエン酸)のグリセリントリエステルを主要成分とする植物油である粗製のメドウフォーム油は、緑褐色を帯び、ややあおくさい臭いを有しており、POVも高く、経日安定性もよくない油であるが、これを脱色、脱臭、あるいは蒸留したり、または水素添加して用いられている。
【0009】
しかし、従来の処理方法では、色、臭いを完全に除去することはできず、また、経日酸化安定性にも問題があり、たとえ水素添加してPOVを低くしたとしてもPOVが再上昇し、化粧品の原料とし使用したとき、皮膚刺激の原因になるという問題を有する。
【0010】
さらに、ミツロウは一般に産地、ミツバチが採集した花の種類などによって品質、とくに色、臭いに種々の差がある。たとえば南米ブラジル国産のものは、精製したものでも淡褐色で特有のにおいを有し、POVも20程度で経日酸化安定性もあまりよくない。
【0011】
一方、吸着剤を充填した吸着塔をとおして精製する方法のばあい、臭い、色調、POVなどは改良されるが、実験室的な方法が多く、精製される量も100g以下と非常に少ない。
【0012】
また、この方法を工業的に行なおうとするばあい、油等の分離精製に用いた吸着剤を充填した吸着塔は再生して再使用されるが、再生するためには、吸着剤に吸着させた前記極性化合物を、極性有機溶剤を通液することによって溶離させたのち、吸着剤への吸着性の高い極性有機溶剤をほぼ完全に吸着剤から除去することが必要である。このために工業的に一般に行なわれている方法は、吸着剤を吸着塔から取り出して乾燥させる方法である。
【0013】
しかしながら、前記工業的な製造のばあい、吸着剤の再生のために必要な吸着剤の取り出し、充填などに手数がかかり、生産性がよくない(たとえば吸着剤100kgのばあいでも2人で約1.5日かかる)などの問題がある。
【0014】
また、カラムを加熱してチッ素ガスを流して乾燥させる方法についても本発明者らは検討を重ねてきたが、実験室的な小スケールのばあい、たとえば直径2.5cm、長さ1mというようなカラムのばあい、吸着剤をカラムに充填したままカラム全体をリボンヒーターや熱風、水蒸気、熱媒体などで加熱しながら不活性ガス(チッ素、炭酸ガスなど)などを流して、吸着剤に吸着している極性溶剤を蒸発させて吸着剤を乾燥させて再生させる方法によって、約2〜3時間程度で乾燥させることができるが、吸着分離量を増大させようとして直径10cm、長さ2mのカラムにしたばあいには(直径2.5cm、長さ1mの32倍の容量、吸着剤量として約11kg)、乾燥に約8〜9時間程度を必要とし、また、直径20cm、長さ2mのカラムにしたばあいには(128倍の容量)、乾燥に約24〜30時間程度を必要とするというように、吸着剤の乾燥に必要とする時間が極めて長くなってしまい、吸着分離量を増大させようとすればするほど、生産性が低下し、前記吸着剤を取り出し、乾燥させ、充填する方法よりも不利になる。
【0015】
本発明の目的は、油等中の着色成分、有臭成分、POVなどの高い成分を除去し、色調、臭い、経日酸化安定性にすぐれた吸着精製した油ないしロウを工業的に大量に取得するのに有効な分離精製方法および装置をうることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の酸化漂白する方法、活性炭などを添加して処理する方法および水添する方法では高品質で経日酸化安定性にすぐれた精製油等をうることができないという問題を解決するために、また、前記のごときカラムを加熱して不活性ガスを流して乾燥させる方法における問題を解決するために、油等をカラムをとおして油等中の極性化合物を吸着させたのち、極性有機溶剤を通液することによって溶離させる吸着塔の横断面形状・寸法を、極性有機溶剤を蒸発させて吸着剤を乾燥させる際に行なう加熱を行ないやすい形状・寸法にし、吸着塔の内部まですみやかに加熱されるようにし、そのかわりに吸着塔の使用本数を増加させれば、カラムを加熱して乾燥させる方法でも処理量を増加させることができ、しかも乾燥時間も短かくすることができ、前記のごとき問題を解決しうるのではないかと考え、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、
ないしロウを非極性有機溶剤に溶解させたものまたは油を、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油ないしロウ中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油ないし吸着精製ロウをうるとともに、吸着剤に吸着させた油ないしロウ中の極性化合物を、極性有機溶剤を通液することによって溶離させて回収し、ついで、吸着剤を充填した吸着塔を加熱することにより吸着剤を乾燥させたのち油ないしロウの分離精製を繰り返し行なう工業的な方法であって、前記吸着剤を充填した吸着塔として吸着塔の横断面の内側に内接する最大円の直径が10cm以上でその横断面の内側に外接する最小円の直径が60cm以下であり、かつ、該吸着塔の少なくとも内部に加熱用手段が設けられており、充填されたすべての吸着剤までの最も近い加熱用手段からの距離が最大6cmであり、吸着塔の横断面積のうちの吸着剤が充填される部分の面積が60〜2800cm2であり、吸着塔の長さが0.5〜6mである吸着塔を用いるが、該油ないしロウとしては、ウールグリースおよびラノリンを除くことを特徴とする油ないしロウの分離精製方法、および
油ないしロウを非極性有機溶剤に溶解させたものまたは油を、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油ないしロウ中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油ないし吸着精製ロウをうるとともに、吸着剤に吸着させた油ないしロウ中の極性化合物を、極性有機溶剤を通液することによって溶離させて回収し、ついで、吸着剤を充填した吸着塔を加熱することにより吸着剤を乾燥させたのち油ないしロウの分離精製を繰り返し行なう工業的な装置であって、油ないしロウの分離精製を行なう吸着剤を充填した吸着塔の横断面の内側に内接する最大円の直径が10cm以上でその横断面の内側に外接する最小円の直径が60cm以下であり、かつ、該吸着塔の少なくとも内部に加熱用手段が設けられており、充填されたすべての吸着剤までの最も近い加熱用手段からの距離が最大6cmであり、吸着塔の横断面積のうちの吸着剤が充填される部分の面積が60〜2800cm2であり、吸着塔の長さが0.5〜6mであるが、該油ないしロウとしては、ウールグリースおよびラノリンを除くことを特徴とする油ないしロウ分離精製装置
に関する。
【0018】
【実施例】
本発明の分離精製方法においては、油ないしロウを非極性有機溶剤に溶解させたものまたは油を、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油ないしロウ中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油ないし吸着精製ロウがえられる。
【0019】
前記油は、常温において液体で水にほとんど溶解せず、一般に水より軽く、燃焼性を有するものであり、化学構造的には大部分がエステルおよび炭化水素(スクワレン、スクワレンの水素添加物であるスクワランが具体例としてあげられる)に属し、前記エステルには、植物油や動物油に多いグリセリンの脂肪酸エステルや、高級アルコールの脂肪酸エステル(たとえばオレンジラフィー油(動物油)やホホバ油(植物油))、ラノリン脂肪酸エステル(たとえばオクチルドデシルラノレート)、ラノリンアルコールやその主要成分であるコレステロールの脂肪酸エステル(たとえばミリスチン酸コレステリル)のようなワックスタイプの油が含まれる。
【0020】
また、前記ロウは、常温において固体で、その他の特性は油と同様のものであるが、カルナバロウの一部のように水より重いものもある。化学構造的にも、油のばあいと同様に、大部分がエステル(牛脂のようなグリセリンエステルや、高級アルコールの脂肪酸エステルを主とするもの、さらにはウールグリースまたはラノリンのような混合エステルを主とするものが具体例としてあげられる)および炭化水素(パラフィンワックスなどが具体例としてあげられる)に属する。
【0021】
前記油等は、植物、動物、、鉱物から抽出された天然物であってもよいが、特定の化学構造・組成を持つ脂肪酸と特定の化学構造・組成を持つアルコールとから合成されたエステル(ミリスチン酸ミリスチルなど)であってもよい。また、天然物の加水分解物からの脂肪酸(特有の混合物)と特定のアルコールとのエステル(ヤシ油脂肪酸ミリスチルなど)または逆に天然物の加水分解物からのアルコール(特有の混合物)と特定の脂肪酸とのエステル(ラウリン酸のホホバ油アルコールエステルなど)のような半合成品であってもよい。さらに、天然の油等を変成したもの(ラノリンの遊離水酸基をアセチル化した酢酸ラノリンなど)でもよい。また、常温でペースト状のもので、油かロウの区別が明確でないものがあるが、そのようなものも本発明における油等の範疇に含まれる。
【0022】
つぎに、油等の具体例とその用途を以下に示す。
【0023】
なお、食品には健康食品や食品添加剤なども含まれ、その他には潤滑油、防錆剤、保護剤、つや出し、防水剤なども含まれる。また、医薬品の欄に記載の(局)は、局方品を含むことを示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003776465
【0025】
【表2】
Figure 0003776465
【0026】
【表3】
Figure 0003776465
【0027】
【表4】
Figure 0003776465
【0028】
【表5】
Figure 0003776465
【0029】
【表6】
Figure 0003776465
【0030】
前記油等の中でも、ウールグリースまたはラノリン(硬質ラノリン、精製ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン)、それらの誘導体(酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、脂肪酸のコレステロールエステル、脂肪酸ラノリンアルコールエステル)、ミツロウ、ミンク油、ミンク油脂肪酸エチル、オレンジラフィー油、スクワランのような動物由来のもの、オリーブ油、大豆油、シエアバター、ヤシ油、ババス油などのような植物由来のもの、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジオクチル、イソノナン酸イソトリデシル、オレイン酸オレイル、オクタン酸ミリスチルのような合成油が、従来の精製法では大量にかつ所望の高品質に精製することができないという理由から本発明に好ましく用いられる。また、しいていえば、一般に除去したい特有の臭気を有する動物由来の油等からの脱臭効果が大きいという理由から動物由来のものが本発明に好ましく用いられる。
【0031】
なお、前記ウールグリースは、羊毛に付着した茶褐色の獣臭のある油脂状物質を原毛洗浄廃液より分離回収したものであり、ウールグリースの他に、通常、タンパク質、毛片、塵埃、土砂などの夾雑物、およびウールグリース成分としての遊離ラノリンアルコール、遊離ラノリン脂肪酸などが含まれている。前記成分のうちの遊離のラノリン脂肪酸、ラノリンアルコールなどの極性化合物が、ウールグリース独特のベタツキ感や、におい、化粧品原料として使用したばあいの皮膚刺激の原因などになることが知られている。
【0032】
また、前記ラノリンは、ウールグリースを濾過、酸処理、アルカリ処理、水洗、脱色、水蒸気脱臭などの処理のうちのどれかあるいは適当な組み合わせを行なうことによってえられた黄色〜黄褐色の強粘性の軟膏様の物質であり、医薬品、化粧品原料として市販されているものも含まれる。
【0033】
吸着剤を充填した吸着塔に油等を供給して通液するばあい、通常は油等を非極性有機溶剤に溶解させたものを吸着塔に供給して通液するが、油のばあいには、非極性有機溶剤に溶解させず、油をそのまま吸着塔に供給して通液し、そののち非極性有機溶剤を流すことも可能である。
【0034】
油をそのまま吸着塔に供給しうる油としては、吸着塔に供給されたときその通液する温度で流動性のあるものであることが必要である。そのような油の具体例としては、たとえばオレンジラフィー油、オリーブ油、スクワランなどがあげられる。
【0035】
前記油等を溶解させるのに使用する非極性有機溶剤としては、油等に含まれる夾雑物(タンパク質、毛片、塵埃、土砂など)以外の成分を溶解し、好ましくは沸点40〜120℃程度の非極性有機溶剤があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
このような非極性有機溶剤(以下、非極性溶剤ともいう)の具体例としては、たとえば石油ベンジン、石油エーテル、n−ヘキサン、3−メチルペンタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンのような脂肪族または芳香族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、それらの混合物などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは、n−ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサンなどが人体に対する安全性、留去のしやすさなどの点から好ましい。
【0037】
前記油等と共に使用する非極性溶媒は、吸着塔に油等を先にそれだけで通液し、その後非極性溶媒を通液することもできる(ただし、流動性のある油等のばあい)。また、非極性溶媒の一部に油等を溶解して通液し、その後残部の非極性溶媒を通液してもよい。油等が吸着塔の温度で固型であるばあいには、一部の非極性溶媒で溶解し流動性をもたせてから通液しなければならない。
【0038】
そして、油等1部(重量部、以下同様)(kg)に対して必要な非極性溶媒の容量部(リットル)は約1〜10で油等の融点、溶解性、溶解時の粘度等によって増減する。
【0039】
なお、前記溶液中に夾雑物が不溶物として含まれているばあいには、不溶物を濾過(フィルタープレスなど)、デカンテーションなどの方法で除去したのち吸着剤を充填した吸着塔に供給するのが好ましい。
【0040】
前記吸着剤としては、極性物質と非極性物質とに対する吸着性に差のあるものであれば使用しうるが、具体例としては、たとえば活性白土、酸性白土、ベントナイト、活性アルミナ、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、それらの混合物などがあげられる。これらの吸着剤の粒度は16〜200メッシュであるのが、吸着塔内で所望の強度を有し、均一に充填させやすいなどの点から好ましく、さらには30〜200メッシュであるのが好ましい。
【0041】
前記のごとき吸着剤の見かけの比重は一般に0.4〜1.2程度であり、同じ吸着剤でも粒度およびその分布により異なる。
【0042】
吸着塔に充填する吸着剤の使用量としては、通常、室温で、油等1部に対して吸着剤の量が0.2〜10部である。
【0043】
なお、吸着剤の量は、対象とする油等の着色度、臭いの強さ、POVの大きさおよび吸着精製後に要求される精製度および吸着塔の形によっても異なるが、一般的に魚油などの動物油、たとえばラノリンや、水酸基の含有量の多いもの、たとえばオキシステアリン酸オクチルなどから精製度の高い吸着精製油を製造するばあい、油等1部に対して吸着剤の量が2〜10部程度になることが多く、また合成油(ただし、オキシステアリン酸オクチルのように、水酸基などの極性基を有するものを除く)のばあいには使用する吸着剤の量が一般に少なくてすみ、油等1部に対して0.2〜5部になるばあいが多い。
【0044】
油等を溶解した非極性溶剤の溶液は、液が5〜30分間程度吸着剤と接触するように通液するのが好ましい。
【0045】
前記溶液を通液後、吸着剤1部に対して1〜15容量部程度の非極性溶剤で洗浄し、前記通液と洗液とをあわせて非極性溶剤を留去させることにより、非極性の吸着精製油等がえられる。なお、油等を溶剤に溶解させずにそのまま吸着塔に流したばあいにも、流したのち吸着剤1部に対して1〜3容量部程度の非極性溶剤を通液し、非極性溶剤を留去させることにより、非極性の吸着精製油等がえられる。
【0046】
一方、吸着剤に吸着した油等中の極性化合物は、洗液を通液後、極性有機溶剤を通液して溶離せしめられる。えられた溶離液から溶剤を留去することによって油等中の極性化合物が回収される。
【0047】
なお、前記油等中の極性化合物は、不純物である着色成分、有臭成分、POVの高い成分などであり、これらは別途使用または廃棄される。
【0048】
前記極性有機溶剤(以下、極性溶剤ともいう)としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールのごときアルカノール類、酢酸エチルのようなそれらのエステル類、それらの混合物など沸点60〜120℃程度の極性溶剤があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
前記極性溶剤の使用量は、吸着剤1部に対し1〜15容量部程度である。極性溶剤の使用量がすくなすぎると充分極性化合物を溶離させることができず、次回の吸着精製油等の精製度が低下したり、精製処理量が少なくなったりする。
【0050】
なお、油等がウールグリース等のばあい、前記極性溶剤の使用量は、ウールグリース等1部に対し2.5〜15容量部程度、好ましくは5〜10容量部が適当であることが多い。
【0051】
本発明の工程の原料として使用する油等に極性物質が多量に含まれているものは、吸着剤1部によって精製できる量が少なくなり、油等に極性物質が少ししか含まれていないばあいには、吸着剤1部によって精製できる量が多くなる。したがって、吸着剤に吸着されている極性物質の量は、油等の極性物質の含有量だけできまるのではなく、極性物質の種類と吸着剤の種類との組合わせできまる。たとえばオリブ油をケイ酸マグネシウムを吸着剤として吸着精製するばあい、吸着剤1部に対し非極性溶媒の量は3〜6倍位が適当である。
【0052】
極性溶剤を通液するときの温度を高くすると(たとえば40℃、さらには50℃以上)、極性化合物を溶離させやすくなる。
【0053】
吸着剤に吸着した油等中の極性化合物の溶離、さらには吸着剤を再生させるために流す極性溶剤の極性が高くなるほど前記極性化合物の残留率は低下するが、そののち行なわれる乾燥に時間がかかる。極性溶剤の極性をあげる1つの方法は、極性溶剤の含水率をあげることであるが、乾燥に時間がかかることを考慮すると5%程度以下の含水率にすることが好ましい。
【0054】
吸着剤に吸着した油等中の極性化合物を溶離、回収したのちの吸着剤には極性溶剤が吸着しているが、要すれば吸着塔に不活性気体などの気体を通気しながらまたは吸着塔内を減圧にしながら、さらには気体の通気と塔内の減圧とを併用しながら、たとえば吸着塔に付設してあるスチームジャケットなどの加熱用手段により100〜150℃に加熱し、乾燥させることによって油等の分離精製に使用しうる吸着塔に再生することができる。この乾燥時間が短いほど精製の効率がよくなるが、工業的生産のばあい、10時間以下程度であることが望ましい。
【0055】
吸着塔を再生する際、必要なばあいに行なわれるチッ素ガスあるいは二酸化炭素などの不活性気体を通しながらまたは吸着塔内を減圧にしながら、加熱して乾燥させるときに目詰まり、乾燥むらなどがないようにするためには、できるだけ均一に吸着剤を充填するのが好ましい。
【0056】
本発明において前記吸着剤を充填する吸着塔は、たとえば図1に示されているように、複数の吸着塔1a〜1bが並列に設けられている吸着塔である。
【0057】
なお、図1における2、3は吸着塔固定部材兼シール部材、4は吸着剤、5は加熱用ジャケット、6は油等を溶解させた溶液用タンク、7は非極性溶剤用タンク、8は極性溶剤用タンク、9、10は加熱用水蒸気または媒体導入ラインまたは排出ライン、11は装置蓋部材、12は装置底部材、13は供給液用ライン、14は回収液用ライン、15は要すれば使用される乾燥用気体供給または減圧用ラインである。また、図2は図1におけるA−A断面説明図であり、3本の横断面が円形の吸着塔が加熱用ジャケット5内に配置されている状態を説明するためのものである。さらに、図1の装置蓋部材11から装置底部材12にかけての断面説明図は、およそ図2中のB−B断面説明図にあたるものである。
【0058】
図1に示すように吸着塔を複数本並列に設けるのは、つぎの理由による。
【0059】
すなわち、油等の分離精製を工業的に行ない、吸着剤をカラムの加熱により乾燥させる方法によるばあいの主要工程
(1)吸着剤を充填した吸着塔に原料の油等と非極性溶剤との溶液または原料の油等を流し、ついで非極性溶剤を流し、流出液を集める
(2)極性溶剤を流して極性化合物を洗い出す
(3)吸着剤を加熱乾燥させる
のうち、(3)の吸着剤の加熱乾燥工程が最も長い時間を要し、それが全工程の所要時間に大きく影響する。そして、この乾燥時間は吸着塔の横断面積が大きく、形状が円に近いほど長くなる。したがって、吸着塔が細くて乾燥時の加熱が中心部まですみやかに行なわれるばあいを除き、たとえば図3(b)〜(e)に示すような吸着塔の中心部が加熱されやすい横断面形状、太さのものが有利である。
【0060】
前記吸着塔の中心部まで加熱されやすい横断面形状としては、外部から加熱されるため、充填されたすべての吸着剤から吸着塔の内表面までの最も近い距離の最大が短いほど(吸着塔を構成する材料として熱伝導率の大きい鉄、ステンレスなどが使用されるため塔壁の厚さは考慮しなくてよい)、たとえば図3に示すように、充填されたすべての吸着剤から吸着塔の内表面までの最も近い距離の最大r(以下、最大距離rともいう)が6cm以下であるのが好ましい。また、最大距離rは、吸着塔1本あたりに充填される吸着剤の量が多くなり、精製処理量が多くなるという点から1.2cm以上であるのが好ましい。
【0061】
前記最大距離rは、吸着塔の断面形状が円形のばあい、すべての吸着塔の内表面から最大距離rの点までの距離は同一であり、すべての吸着塔の内表面からの熱がつたわるため6cm付近まで加熱されやすいが、たとえば正三角形のばあいに最大距離rとして6cm付近の値をえらぶと、辺の中点の3点からの熱がつたわりやすいため、主としてこの3点付近からの熱によって最大距離rの点が加熱されることになる。しかし、同じrのばあいでも正三角形の方が円より横断面積が大きく吸着剤の充填量が多くなるかわりに、やや乾燥時間は長く設定する必要がある。
【0062】
また、乾燥させやすくするために吸着塔の断面形状にあまり細い部分が含まれるようにすると、原料の油等を非極性油等と極性化合物に分離するときの分離効率(わかれやすさ)が低下する。一方、最大距離rをある程度の寸法にし、かつ断面積を大きくしようとして短冊のようにしようとしても、実用性、吸着塔を製造するための材料費、加工費が高くなり、管の耐圧性も低下するなどの点から自ずから限界がある。通常、短冊状のばあい、長辺/短辺の値が2〜10程度が好ましい。横断面が円のときは既製の管が販売されているが、それ以外のばあいには管も注文生産になるので製造費が高く、また、管の耐圧性にも問題が出るばあいがある。
【0063】
分離効率がよいかわるいかは、たとえば一定量の原料の油等から所定の非極性油等をうるのに必要な非極性溶剤の量の差になってあらわれ、分離効率がよいばあいほど非極性溶剤の使用量が減少する。これは、吸着塔の横断面の部分部分における液の流速の差が小さいばあい、比較的均一に流れるので流出時間の差が少なく、分離効率がよくなるが、横断面にせまい部分があるばあいには、この部分の流速が小さくなり、流速の差が大きくなるためと考えられる。
【0064】
原料の油等を非極性油等と極性化合物とに分離するときの効率と吸着塔の横断面の形状との関係は、横断面の面積が同じばあい、円形のものの分離効率がよく、円形から楕円形に変形するにしたがって、また、正方形から長方形に変形するにしたがって、また、正三角形からその他の三角形に変形するにしたがって分離効率は低下する。そのかわり同じ横断面積なら乾燥時間が低下する。また、乾燥時間と吸着塔の横断面の形状との関係は、横断面の面積が同じばあい、円形のものの乾燥時間が短く、円形から楕円形に変形するにしたがって、また正方形から長方形に変形するにしたがって、また正三角形からその他の三角形に変形するにしたがって乾燥時間は長くなる。
【0065】
以上のことを総合すると、吸着塔の最大距離rはある程度以下におさえ、乾燥工程における加熱を行ないやすくしながら、一方、処理量を多くするために吸着塔の横断面積を大きくし、かつ、分離効率をよくし、実用性のある寸法にするという要件を満足させることが必要になる。
【0066】
図1に記載の装置においては、これらの要件を満足させるために、特定の横断面を有する吸着塔を複数本設け、乾燥時間の短縮と処理量の増大などを、実用性のある寸法の装置の範囲で実現しているのである。
【0067】
図1に記載の吸着塔の横断面は、図2にも示すように円形であるが、円形でないばあいも含めて詳細に説明すると、各吸着塔の横断面形状に細くしてとがった部分、具体的にはとがった部分の角度として20°以上、さらには30°以上であることが、非極性油等と極性化合物との分離性をよくし、溶剤の使用量を少なくし、また、極性化合物の溶出工程をできるだけ短時間におわらせるとともに、乾燥工程を短時間におわらせるなどの点から好ましい。
【0068】
前記吸着塔の横断面形状の具体例としては、図3に示すごとき横断面形状、たとえば図2に記載のごとき円形を基調とするもの(たとえば図3(a)のごとき形状)、正方形や長方形などの四角形の相対する辺が円形のような形状になっているもの(たとえば図3(b)のごとき形状)、楕円形を基調とするもの(たとえば図3(c)のごとき形状)、三角形を基調とするもの(たとえば図3(d)のごとき形状)、星形を基調とするもの(たとえば図3(e)のごとき形状)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
さらに、乾燥工程を短時間にし(すなわち、外側から加熱するばあいに、最大距離rが6cm以下になり、加熱がされやすい形状で)、分離効率をよくし(すなわち、横断面に狭い部分がなく)、吸着塔1本あたりの処理量を多くし(すなわち、横断面積が大きく)、かつ、吸着塔を容易に製造することができるなどの点から好ましいのは、rが1.2〜6cmで吸着塔の横断面形状に存在する細くてとがった部分の角度が20°以上、さらには30°以上で、1本当りの横断面積が4.7〜720cm2 のものである。
【0070】
吸着塔の長さ(有効長さ)(吸着剤が充填される長さ)は0.3〜6mであるのが実用的な長さであり、1〜5mであるのがその吸着塔の架台や収能する建屋を作りやすい、吸着剤の充填抜取作業が行ないやすいなどの点から好ましい。また、横断面積の合計は200〜5000cm2 であることが、したがって、複数の吸着塔の本数としては2〜500本さらには5〜200本程度であることが、1回の油等の処理量が10〜500kgになるという点から好ましい。また、吸着塔の長さが吸着塔の横断面積と同面積の円の直径の5〜50倍である吸着塔を用いることが、分離効果を上げるのに必要な長さ以上で運転し難い程長くしないという点から好ましい。
【0071】
具体例に基づいて説明すると、たとえばウールグリース等10kgを処理する吸着剤の使用量としては約30〜60kg程度になるが、見かけ比重が0.7のばあい吸着塔所望容積は約43〜86リットル程度になる。
【0072】
なお、水酸基の含有量の多いもの、たとえばオキシステアリン酸オクチルなどを処理するばあいもほぼ同じになる。また一般の合成油(ただし、オキシステアリン酸オクチルのように水酸基などの極性基を有するものを除く)を処理するばあいは、吸着剤の使用量が油等10kgあたり2〜30kg程度に減少する。
【0073】
以下の説明はウールグリース等を対象として行なう。他の油等については、それぞれの油等10kgに対する吸着剤をあてはめて換算すればよい。
【0074】
この割合にしたがうと、ウールグリース等100kgを1度に処理するには吸着剤充填容積として約430〜860リットルが必要となり、たとえば後述する実施例8の横断面が楕円で、その面積が75.8cm2 で、長さが4mであるとすれば1本の容積は約30.3リットルになるから、約500リットルの容積にするには17本の吸着塔を並列に設けることが必要になる。
【0075】
なお、本発明における工業的とは1回に一連の吸着塔系で少なくとも10kg以上の油等を処理できるものである。その量が100kg以上、さらには1000kg以上であってもよいが、あまり大きくなり、たとえば10,000kgになると装置が大きくなり過ぎ、かえって運転が困難になる。
【0076】
図1において、装置蓋部材11および装置底部材12は開閉または取りはずし可能であり、吸着剤を取りかえるばあいなどには開くまたは取りはずすことにより作業性が向上する。吸着剤を交換するときには、吸着剤は流出しないようにとめるが流体は通過するように設けられた部材を外し、吸着剤を拭き取り、そののちその部材を取り付けてから吸着剤を充填すればよい。
【0077】
となりあう吸着塔1a〜1bの間隔は、加熱に使用する水蒸気や熱媒体などが通過しほぼ均一に各吸着塔を加熱しうるかぎりとくに限定はないが、少なくとも通常1〜3cmの間隙を有するようにするのが好ましい。
【0078】
図1に示す装置の一例として、たとえば内径9cm、管厚約2.5mm、長さ4mの吸着塔を3本(合計内容積約76.3リットル)、吸着塔の中心の間隔がすべて11.5cm、吸着塔ととなりの吸着塔との間隔が約2cm、加熱ジャケットとこれととなりあう吸着塔との間隔が約3cmになるように、内径28.3cm、管厚約5mmの加熱用ジャケット内に図2に示すように配置したもの(吸着塔の底部には、吸着剤は流出しないようにとめるが流体は通過するように設けられた部材が取り付けられている)に、装置底部材を取り付け、ケイ酸マグネシウムからなる粒径16〜100メッシュの吸着剤(見かけ比重0.7)を約53.4kg/3本充填したのち、装置蓋部材を取り付けた装置があげられる。この装置のばあい、1回の処理で約12kgのウールグリース等を処理することができ、再生工程も含めて1サイクルを約12時間で行なうことができる。
【0079】
吸着塔を複数本並列に連結させた吸着精製油等の製造装置の別の例として、図4、図5に示すごとき装置をあげることができる。
【0080】
図4は、装置蓋部材11から装置底部材12にかけての縦断面説明図を含む図面であり、図5は図4のC−C断面説明図にあたるものである。なお、図4の断面説明図における加熱用水蒸気または熱媒体導入ライン9、10(図4、図5に示すごとき装置のばあい、実際に加熱に用いられるのは熱媒体であり、水蒸気を用いることは困難である)をともに図中に記載しているのは、理解しやすくするためである。
【0081】
図5における1c〜1fは、内側寸法が一辺10.35cm、となりあう角度が30°と150°(横断面の内側に内接する最大円の直径dが5.18cm、外接する最小円の直径Dが20cmになる、なお、図5中の角度、寸法は説明図であるため正確には30°と150°の菱形にはなっていない)で管厚が2mmで、長さ2.3mの吸着塔を4本、図5のように配置したもの(底部には吸着塔に対応するように菱形の、吸着剤は流出しないようにとめるが流体は通過するようにした部材が4個取り付けられている)の外周に図5に示したような菱形(一辺26.7cm、となりあう角度が30°、150°)の断面をもつ管厚3mmの加熱用ジャケット5を設け、装置底部材12を取り付けたものにケイ酸アルミニウムからなる粒径30〜100メッシュの吸着剤(見かけ比重0.7)4を約35kg/4本充填したのち、装置蓋部材11を取り付けた装置があげられる。この装置のばあい、1回の処理で約10kg/4本のウールグリース等を処理することができ、再生工程も含めて1サイクルを約12時間で行なうことができる。
【0082】
本発明において吸着剤を充填する他の形式の吸着塔としては、たとえば図6に示されているように、外周の加熱用ジャケットをかねる太い吸着塔16の内部に加熱用水蒸気または媒体導入管17a〜17eを設けた吸着塔があげられる。なお、図6における18、19は内部からの加熱用水蒸気または媒体導入ラインまたは排出ラインである。
【0083】
図6に示す装置の内部に設置する加熱用水蒸気または媒体導入管17a〜17eは、たとえば図7に示すごとき形状のものである。該加熱用水蒸気または媒体導入管を設置する位置は、吸着剤の乾燥時の加熱がなるべく均一に行なわれるように、また、吸着剤の入れかえ時に妨げにならないように、さらに、溶液や溶剤の流れをみださないようにする限り、とくに限定はないが、図6に示すように設置することが多い。
【0084】
図6に示すごとき吸着塔は1本で用いてもよく、複数本を並列に設置して用いてもよい。
【0085】
図6に示すように、太い吸着塔兼加熱用ジャケット16の内部にも加熱用水蒸気または媒体導入管17a〜17eを設け、吸着塔の外側からのみならず内部からも加熱できるようにすることにより、乾燥時間を短くすることができる。
【0086】
図6に示す吸着塔のばあい、吸着塔の太さを太くしても乾燥時間を短くしうるため、処理量を多くすることができ、また分離効率も高くすることができ、本発明の目的が達成される。
【0087】
吸着塔の太さは横断面の内側に内接する最大円の直径が10cm以上であることが、吸着塔の外部のみならず内部にも加熱用手段を設けることによる充分な効果をうるという点から必要であり、内接する最大円の直径が60cm以下であることが、流す液の分離状態をよくするために好ましい。内接する最大円の直径が太すぎると内部で乱流がおこったり、流速が不均一になるからである。
【0088】
また、吸着塔の有効長さとしては0.5〜6mが一般的であり、1〜4mであるのが吸着塔の架台、建屋の大きさおよび運転のしやすさなどからみて好ましい。また、吸着塔の横断面積のうちの吸着剤が充填される部分の面積が60〜2800cm2 であることが油等を工業的規模で吸着精製できる大きさであり、液の偏流がおこって精製効率がおちる程大きくないという点から好ましい。
【0089】
図6に示す吸着塔は、横断面がたとえば図8(a)、(b)に示すような形式のものであってもよいが、図7における加熱用水蒸気または媒体導入管のかわりに、たとえば図10に示すように、加熱用水蒸気または媒体導入管をコイル状にしたものを使用してもよい。
【0090】
図6に示すごとき吸着塔における吸着剤と加熱用ジャケットおよび加熱用水蒸気または媒体導入管との関係は、充填されたすべての吸着剤までの最も近い加熱手段からの距離が最大6cm以下であるのが吸着剤全体を短時間に加熱し、乾燥時間を短かくするという点から好ましい。一方、加熱手段からの距離の最大値が2cm以上であることが、吸着剤量を多くするという点から好ましい。
【0091】
図6に示す装置の一例として、たとえば内径46cmで長さ(有効長さ)3mの横断面形状が図8(a)に示すごとき円形の吸着塔であって、底部に吸着剤は通過させないが溶剤などは通過させる部材を設けた吸着塔16内に、外径2cm、管厚2mmの加熱用水蒸気または媒体導入管を7本設置し(図8参照、7本の管は46cmの横断面の中心、横断面の中心を中心とする直径24cmの円を6等分する6点の位置に設置する)、吸着剤として活性白土からなる粒径16〜100メッシュの吸着剤を300kg充填した装置があげられる。なお、吸着塔の外壁は加熱用ジャケットをかねており、この加熱用ジャケットは内側の管壁、外側の管壁がともに4mmの厚さを有し、2つの管壁の間隔は3cmである。この装置のばあい、1回の処理で約60kgのウールグリース等を処理することができ、再生工程も含めて1サイクルを約13時間で行なうことができる。
【0092】
なお、図6〜9に基づく説明では、太い吸着塔として加熱用ジャケット兼用のものを用いているが、単なる太い吸着塔のみのものであってもよい。
【0093】
また、図1〜2、4〜5における説明と重複する説明は、図6〜7における説明では省略している。
【0094】
本発明に使用する吸着塔はとくに鉛直方向に長い塔状のものだけを意味しているのではなく、水平方向、斜方向に設置されていても、また、直線状でなく曲がっていてもよい。
【0095】
前記のごとき装置を用いることにより、カラムを加熱して要すれば気体を流しながらまたは吸着塔内を減圧にしながら、さらにはこれらを併用しながら乾燥させる方法でも短時間でカラムを乾燥させることができ、したがって容易に分離精製を繰り返し行なうことができる。また、一度の処理による処理量も多くすることができる。さらに、本発明の装置を用いた本発明の方法によりえられる非極性の吸着精製油等は、従来法による吸着精製油等と、色相、臭い、経日酸化安定性および皮膚刺激性、アレルギー性などの点において同等以上のものであり、化粧品用、医薬品用、食品用などに好適に使用される。また、溶離によりえられる極性化合物も、従来品と同等のものであり、工業用原料として好適に使用しうる。
【0096】
なお、繰り返しとは、通常2〜50回程度のことをいうが、本発明においては、その回数を限定するものではない。
【0097】
以下、本発明の精製方法および製造装置を実施例および比較例に基づきさらに具体的に説明する。
【0098】
はじめに経日酸化安定性および色調(APHA法)の試験法を下に示す。
【0099】
(経日酸化安定性の試験法)
試料50gを100mlのガラスビーカーにとり50±2℃の恒温器内に放置し、所定日数経過後POVを測定した。POVの測定は日本油化学協会基準油脂分析試験法2・4・12−86の規格にもとづいて行なった。
【0100】
(色調(APHA法)の試験法)
日本油化学協会基準油脂分析試験法2・3・1・5−71の規格にもとづいて行なった。
【0101】
製造例1
原材料として橙色透明で強い魚油臭をもつオレンジラフィー油を用いた。このオレンジラフィー油を微水添して微水添オレンジラフィー油をえた。
【0102】
えられた微水添オレンジラフィー油は、色調が淡黄色透明、POVが2.1、経日酸化安定性が50℃、5日経過後のPOVが40であった。
【0103】
実施例1
図1および図2に示すごとき装置であって、図1に示す装置の一例としてあげた装置(内径9cm、管厚約2.5mm、長さ4mの横断面形状が円形の吸着塔を3本(合計内容積約76.3リットル)を吸着塔の中心の間隔がすべて11.5cm、吸着塔ととなりの吸着塔との間隙が約2cm、加熱ジャケットとこれととなりあう吸着塔との間隙が約3cmになるように、内径28.3cm、管厚約4mmの加熱用ジャケット内に図2に示すように配置したもので、吸着剤として粒径16〜100メッシュ、見かけ比重0.7のケイ酸マグネシウム50kg/3本充填した装置)に、粗精製ラノリン(クローダジャパン(株)製、水酸基価35)12kgをシクロヘキサン30リットルに溶解させたものを流し、さらにシクロヘキサン70リットルを流した。
【0104】
流出液から溶剤を蒸発させ、水酸基価0.5の吸着精製ラノリン6.4kgをえた。
【0105】
シクロヘキサンを流したカラムにエタノール85リットルを流し、吸着している極性ラノリンを洗い出した。
【0106】
洗液から溶剤を除去し、極性ラノリン5.3kgをえた。
【0107】
エタノールを流したのち、吸着塔内に約110℃に予熱したチッ素ガスを流しながら、加熱用ジャケットに4kg/cm2 ・Gの水蒸気を通し、吸着剤を乾燥させた。流出ガスのエタノール臭がなくなるまで乾燥させるのに約8時間要した。
【0108】
乾燥後冷却させたのち、前記操作を繰り返した。極性ラノリンの収量が約5.5kgにふえた以外はほぼ同じ結果がえられた。
【0109】
さらに、20回同じ操作を繰り返したが、ほぼ同様の結果であった。
【0110】
実施例2〜10および比較例1〜3
図1に示すタイプの装置であって、吸着塔の横断面形状、最大距離r、吸着塔の内側の1本あたり横断面積、吸着塔の長さ、吸着塔1本に充填される吸着剤(30〜100メッシュの活性アルミナ)の容積、吸着塔の本数、吸着塔合計横断面積が表7に記載(なお、数値はおおよその値である)のごとき装置(合計吸着剤容積がすべて約50リットルになるようにした装置)を用い、粗精製ラノリン(クローダジャパン(株)製)10kg(吸着塔1本あたり表8に記載の量)を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解したもの(粗精製ラノリン1kgあたり2.5リットル使用)を常温で流した。そののち、シクロヘキサンのみを吸着塔1本あたり表8に記載の量流したのち、極性溶剤である25℃のエタノールを粗精製ラノリン1kgあたり12リットル(必要量より過剰量)流した。
【0111】
吸着塔に付設してある加熱用ジャケットに120℃の熱媒体油を流し、加熱しながら少量のチッ素ガスを吸着塔の上部から表8に記載の時間流し、揮発分がほとんどなくなる(流出ガスのにおいで確認)まで乾燥させたのち、室温に冷却後同一条件で再使用し、問題なく再使用しうることを確認した。
【0112】
比較例1は、吸着管1本での基礎テストで吸着管を鉛直にし、吸着剤を上から落し込むとき均一に充填できず空間を生じた。そのため設計上108本になるがこれを製造しなかった。
【0113】
なお、表7中の菱形は30°と150°との角度を有する菱形であり、楕円は長径21cm、短径4.6cmの楕円である。また、使用した活性アルミナは見かけ比重が0.7で吸着剤1リットルあたり粗精製ラノリン200gを処理できるものである。
【0114】
さらに、表8に記載のシクロヘキサンの使用量は、粗精製ラノリン1kgから非極性ラノリン540gが流出するのに必要とする容量(リットル)であり、流出液を定期的に濃度分析して求めた値である。なお、この条件でえられる非極性ラノリンの水酸基価は1.0以下になる。
【0115】
【表7】
Figure 0003776465
【0116】
【表8】
Figure 0003776465
【0117】
実施例11
図6に記載のごとき装置であって、図6に示す装置の一例としてあげた装置(横断面が円形で内側直径が46cm、長さが3mの吸着塔で、その横断面の中心とそれを中心とする直径24cmの円を6等分する点の合計7点に外径2cm、管厚2mmの円形の横断面を有する図7に示すような内部加熱用水蒸気導入管が7本設けられており(したがって、吸着剤充填部分の面積は約1640cm2 であり、吸着剤充填量は約492リットルである)、また、吸着塔の外周にも吸着塔の外壁をかねる加熱用ジャケットが設けられている装置(したがって、この吸着塔に充填されている吸着剤の加熱手段からの距離は最大5cmになる)に、吸着剤として粒径16〜100メッシュの活性白土300kgを充填した装置)に、粗精製ラノリン(クローダジャパン(株)製、水酸基価35)60kgをn−ヘキサン140リットルに溶解したものを通液し、さらにn−ヘキサン300リットルを流し、流出した液から溶剤を蒸発させ、32kgのほぼ無色無臭で水酸基価が0.60の吸着精製ラノリンをえた。
【0118】
そののちメタノール400リットルを流し、極性ラノリンを洗い出し、洗液からメタノールを蒸発させて27kgの極性ラノリンをえた。
【0119】
極性ラノリンを洗い出したのち、吸着塔内に少量のチッ素ガスを流しつつ150mmHg程度の減圧にしながら吸着塔をかねる加熱用ジャケットおよび7本の内部加熱用水蒸気導入管に120℃の水蒸気を別々に流して約8時間加熱して吸着剤の乾燥を行なった。
【0120】
冷却後、流出ガスのにおいをかいでにおいがほとんどしなくなり、吸着剤が乾燥していることを確認したのち、2回目の吸着分離処理を1回目と同様に行なったところ、ほぼ1回目と同じ結果がえられた。ただし、極性ラノリンの量は約28kgであった。
【0121】
比較例4
実施例11で使用したのと同じ装置を使用して実施例11と同様にして粗精製ラノリンの吸着分離処理を行ない、実施例11と同様に吸着精製ラノリンおよび極性ラノリンをえた。
【0122】
吸着剤を乾燥させるとき、中心の内部加熱用水蒸気導入管でない内部加熱用水蒸気導入管の1本に水蒸気を通さなかった他は、実施例11と同様にして吸着剤を乾燥させたところ、16時間乾燥させてもメタノールのにおいがし、充分乾燥しなかった。
【0123】
内部加熱用水蒸気導入管の1本に水蒸気を通さなかったため、吸着塔をかねる加熱用ジャケットおよび内部加熱用水蒸気導入管からの距離が10cmをこえる吸着剤があったためである。
【0124】
実施例11および比較例4の結果から、吸着塔に充填された吸着剤と加熱手段との距離が最大5cmのばあい、約8時間で吸着剤を再使用しうる段階まで乾燥させうるが、10cmをこえるばあいには約16時間乾燥させても再使用しうるまで乾燥させることはできず、実用的でないことがわかる。
【0125】
実施例12
図1および図2に示すごとき装置であって、図1に示す装置の一例としてあげた装置(内径9cm、管厚約2.5mm、長さ4mの横断面形状が円形の吸着塔を3本(合計内容積約76.3リットル)を吸着塔の中心の間隔がすべて11.5cm、吸着塔ととなりの吸着塔との間隙が約2cm、加熱ジャケットとこれととなりあう吸着塔との間隙が約3cmになるように、内径28.3cm、管厚約4mmの加熱用ジャケット内に図2に示すように配置したもので、吸着剤として粒径16〜100メッシュ、見かけ比重0.7のケイ酸マグネシウム50kg/3本充填した装置)に、製造例1でえられた微水添オレンジラフィー油30kgをシクロヘキサン50リットルに溶解させたものを流し、さらにシクロヘキサン100リットルを流した。
【0126】
流出液から溶剤を蒸発させ、吸着精製オレンジラフィー油28kgをえた。この精製油は実質的には無色透明(APHA 10)、無臭でPOVもほぼ0であった。また酸化安定性は50℃、30日経過後でPOVが約15(室温であれば数年間安定と考えられる値)であった。この経日酸化安定性は吸着精製油を化粧品などに用いたときの安全性(皮膚刺激性、アレルギー性)につながる。このように後述する比較例1の水添法にくらべて本発明の精製方法が高度に精製できることがわかる。
【0127】
さらにシクロヘキサンを流したカラムにエタノール90リットルを流し、吸着している極性化合物を洗い出した。
【0128】
洗液から溶剤を除去し、極性化合物1.6kgをえた。
【0129】
エタノールを流したのち、吸着塔内に約110℃に予熱したチッ素ガスを流しながら、加熱用ジャケットに4kg/cm2 ・Gの水蒸気を通し、吸着剤を乾燥させた。流出ガスのエタノール臭がなくなるまで乾燥させるのに約8時間要した。
【0130】
乾燥後冷却させたのち、微水添オレンジラフィー油を用いて前記精製操作を繰り返し、吸着精製オレンジラフィー油28.1kgをえた。この精製油は実質的に無色透明、無臭でPOVもほぼ0であった。また酸化安定性は50℃、30日経過後でPOVが約13(室温であれば数年間安定と考えられる値)であった。なお極性化合物の収量は約2kgであった。
【0131】
さらに、20回同じ操作を繰り返したが、ほぼ同様の結果であった。
【0132】
このように吸着精製油が大量に、繰り返し取得することが可能となった。
【0133】
比較例5
製造例1でえられた微水添オレンジラフィー油30kgをシクロヘキサン150kgに溶解させたものに、吸着剤として粒径16〜100メッシュ、見かけ比重0.7のケイ酸マグネシウム50kgを加え、20℃で1時間撹拌したのち、濾過した。
【0134】
えられたオレンジラフィー油は色調がAPHA 30、POVが2.5、経日酸化安定性が50℃、5日経過後のPOVが35であった。
【0135】
実施例13〜21および比較例6〜8
図1に示すタイプの装置であって、吸着塔の横断面形状、最大距離r、吸着塔の内側の1本あたり横断面積、吸着塔の長さ、吸着塔1本に充填される吸着剤(30〜100メッシュの活性アルミナ)の容積、吸着塔の本数、吸着塔合計横断面積が表9に記載のごとき装置(合計吸着剤容積がすべて約50リットルになるようにした装置)を用い、粗精製メドウフォーム油40kg(吸着塔1本あたり表10に記載の量)を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解したもの(粗精製メドウフォーム油1kgあたり2.5リットル使用)を常温で流した。そののち、シクロヘキサンのみを吸着塔1本あたり表10に記載の量流し、流出液から溶剤を蒸発させ精製油をえた。精製油の取得量および性状はいずれも36.8kg、無色、無臭で酸化安定性は50℃、30日経過後でPOVが約10であった。ついで極性溶剤である25℃のメタノールをメドウフォーム油1kgあたり12リットル(必要量より過剰量)流した。洗液から溶剤を除去し、極性化合物をえた。
【0136】
吸着塔に付設してある加熱用ジャケットに120℃の熱媒体油を流し、加熱しながら少量のチッ素ガスを吸着塔の上部から表10に記載の時間流し、揮発分がほとんどなくなる(流出ガスのにおいで確認)まで乾燥させたのち、室温に冷却後同一条件で再使用した。えられた精製油の取得量および性状は前記とほぼ同じ結果で、問題なく再使用しうることを確認した。
【0137】
以上のごとく本発明の精製方法は、後述する比較例9でえられたメドウフォーム油の性状に比べて高度に精製できることがわかる。さらに本発明の方法は大量にしかも繰り返し行なうことが可能であることがわかる。
【0138】
比較例6は、吸着管1本での基礎テストで吸着管を鉛直にし、吸着剤を上から落し込むとき均一に充填できず空間を生じた。そのため設計上108本になるがこれを製造しなかった。
【0139】
なお、表9中の菱形は30°と150°との角度を有する菱形であり、楕円は長径21cm、短径4.6cmの楕円である。また、使用した活性アルミナは見かけ比重が0.7で吸着剤1リットルあたりメドウフォーム油200gを処理できるものである。
【0140】
さらに、表10に記載のシクロヘキサンの使用量は、メドウフォーム油1kgから吸着精製メドウフォーム油940gが流出するのに必要とする容量(リットル)であり、流出液を定期的に濃度分析して求めた値である。
【0141】
【表9】
Figure 0003776465
【0142】
【表10】
Figure 0003776465
【0143】
比較例9
実施例13に使用した粗精製メドウフォーム油100gに活性白土5gを投入し撹拌し、吸着処理し、濾過後水蒸気を吹き込んで脱臭処理をした精製油はややあおくさい臭いを持ち、わずかに褐色(APHA300)でPOVが5.0であった。経日酸化安定性は50℃、30日経過後でPOVが50であった。
【0144】
実施例22
図6に記載のごとき装置であって、図6に示す装置の一例としてあげた装置(横断面が円形で内側直径が46cm、長さが3mの吸着塔で、その横断面の中心とそれを中心とする直径24cmの円を6等分する点の合計7点に外径2cm、管厚2mmの円形の横断面を有する図8に示すような内部加熱用水蒸気導入管が7本設けられており(したがって、吸着剤充填部分の面積は約1640cm2 であり、吸着剤充填量は約492リットルである)、また、吸着塔の外周にも吸着塔の外壁をかねる加熱用ジャケットが設けられている装置(したがって、この吸着塔に充填されている吸着剤の加熱手段からの距離は最大5cmになる)に、吸着剤として粒径16〜100メッシュの活性白土300kgを充填した装置)に、市販のミツロウ320kgをn−ヘキサン320リットルに溶解したものを供給して通液し、さらにn−ヘキサン300リットルを流し、流出した液から溶剤を蒸発させ、275kgのほぼ無色無臭でPOVが1以下の吸着精製ミツロウをえた。常温、1年経過後のPOVは約2で経日酸化安定性にもすぐれ、化粧品とくにクリームと乳液の原料としてすぐれていた。
【0145】
なお本実施例に用いた市販のミツロウはブラジル国産のもので淡褐色で特有の臭いを有し、POVも20で経日酸化安定性は常温、1年経過後でPOVが38であった。
【0146】
さらにメタノール400リットルを流し、極性化合物を洗い出し、洗液からメタノールを蒸発させて43kgの極性化合物をえた。
【0147】
極性化合物を洗い出したのち、吸着塔内に少量のチッ素ガスを流しつつ150mmHg程度の減圧にしながら吸着塔をかねる加熱用ジャケットおよび7本の内部加熱用水蒸気導入管に120℃の水蒸気を別々に流して約8時間加熱して吸着剤の乾燥を行なった。
【0148】
冷却後、流出ガスのにおいをかいでにおいがほとんどしなくなり、吸着剤が乾燥していることを確認したのち、2回目の吸着分離処理を1回目と同様に行なったところ、ほぼ1回目と同じ結果がえられた。ただし、極性化合物の量は約45kgであった。
【0149】
比較例10
実施例22で使用したのと同じ装置を使用して実施例22と同様にしてミツロウの吸着分離処理を行ない、実施例22と同様に吸着精製ミツロウをえた。
【0150】
吸着剤を乾燥させるとき、中心の内部加熱用水蒸気導入管でない内部加熱用水蒸気導入管の1本に水蒸気を通さなかった他は、実施例22と同様にして吸着剤を乾燥させたところ、16時間乾燥させてもメタノールのにおいがし、充分乾燥しなかった。
【0151】
内部加熱用水蒸気導入管の1本に水蒸気を通さなかったため、吸着塔をかねる加熱用ジャケットおよび内部加熱用水蒸気導入管からの距離が10cmをこえる吸着剤があったためである。
【0152】
実施例22および比較例10の結果から、吸着塔に充填された吸着剤と加熱手段との距離が最大5cmのばあい、約8時間で吸着剤を再使用しうる段階まで乾燥させうるが、10cmをこえるばあいには約16時間乾燥させても再使用しうるまで乾燥させることはできず、実用的でないことがわかる。
【0153】
【発明の効果】
本発明の精製方法によれば、油ないしロウを医薬品、化粧品、食品に用いても問題が生じない程度に高度に精製することができ、しかも分離精製を繰り返し行なうことができるようになり、工業的に大量に精製することが可能となる。
【0154】
また本発明の装置を用いると、カラムに気体を流しながらまたは減圧にしながら加熱して吸着剤に吸着した極性溶剤を蒸発させてカラムを再生する方法において、乾燥時間を短かくたもちながら吸着分離処理量を多くするという相反する要望を満足させることができ、油ないしロウの分離精製を繰り返し行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3記載の本発明の装置の一例を示す一部断面説明図である。
【図2】図1のA−A断面説明図である。
【図3】請求項3記載の装置に使用する1本1本の吸着塔の横断面形状の具体例を表わす5つの説明図である。
【図4】請求項3記載の本発明の装置の別の一例を示す一部断面説明図である。
【図5】図4のC−C断面説明図である。
【図6】請求項4記載の本発明の装置の一例を示す一部断面説明図である。
【図7】図6に記載の内部加熱用水蒸気または媒体導入管の形状についての説明図である。
【図8】図7に記載の装置における吸着塔の横断面の具体例を表わす2つの説明図である。
【図9】請求項4記載の本発明の装置に設ける内部加熱用水蒸気または媒体導入管の異なった実施形態の1つを示す説明図である。
【符号の説明】
1a〜1f 吸着塔
4 吸着剤
5 加熱用ジャケット
16 太い吸着塔兼加熱用ジャケット
17a〜17e 内部加熱用水蒸気または媒体導入管

Claims (2)

  1. 油ないしロウを非極性有機溶剤に溶解させたものまたは油を、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油ないしロウ中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油ないし吸着精製ロウをうるとともに、吸着剤に吸着させた油ないしロウ中の極性化合物を、極性有機溶剤を通液することによって溶離させて回収し、ついで、吸着剤を充填した吸着塔を加熱することにより吸着剤を乾燥させたのち油ないしロウの分離精製を繰り返し行なう工業的な方法であって、前記吸着剤を充填した吸着塔として吸着塔の横断面の内側に内接する最大円の直径が10cm以上でその横断面の内側に外接する最小円の直径が60cm以下であり、かつ、該吸着塔の少なくとも内部に加熱用手段が設けられており、充填されたすべての吸着剤までの最も近い加熱用手段からの距離が最大6cmであり、吸着塔の横断面積のうちの吸着剤が充填される部分の面積が60〜2800cm2であり、吸着塔の長さが0.5〜6mである吸着塔を用いるが、該油ないしロウとしては、ウールグリースおよびラノリンを除くことを特徴とする油ないしロウの分離精製方法。
  2. 油ないしロウを非極性有機溶剤に溶解させたものまたは油を、吸着剤を充填した吸着塔に供給して通液し、油ないしロウ中の極性化合物を吸着剤に吸着させ、通過液から非極性の吸着精製油ないし吸着精製ロウをうるとともに、吸着剤に吸着させた油ないしロウ中の極性化合物を、極性有機溶剤を通液することによって溶離させて回収し、ついで、吸着剤を充填した吸着塔を加熱することにより吸着剤を乾燥させたのち油ないしロウの分離精製を繰り返し行なう工業的な装置であって、油ないしロウの分離精製を行なう吸着剤を充填した吸着塔の横断面の内側に内接する最大円の直径が10cm以上でその横断面の内側に外接する最小円の直径が60cm以下であり、かつ、該吸着塔の少なくとも内部に加熱用手段が設けられており、充填されたすべての吸着剤までの最も近い加熱用手段からの距離が最大6cmであり、吸着塔の横断面積のうちの吸着剤が充填される部分の面積が60〜2800cm2であり、吸着塔の長さが0.5〜6mであるが、該油ないしロウとしては、ウールグリースおよびラノリンを除くことを特徴とする油ないしロウ分離精製装置。
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