JP3775906B2 - 改質ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ポリエステルの連続製造方法に関し、さらに詳しくは繊維用、フィルム用及びその他の成型用途に有用な改質剤が添加及び/又は共重合された改質ポリエステルを高度な均一性及び分散性を付与しつつ連続して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、とくにポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、優れた物理的、化学的特性を有するため、繊維、フイルム、その他成形品として広く使用されている。しかし、その優れた特性にもかかわらず、上記成形品を得る成形工程における成形加工性の問題、あるいは成形品自体での取り扱いにおける滑り性不良による作業性の悪化、製品価値の低下といった好ましくないトラブルが発生することも知られている。これらの問題を解決するため、ポリエステルに微粒子を含有させて成形品の表面に適度の凹凸をつけ、これによって成形品の表面の滑り性を向上させる方法が数多く提案され、その一部は実用化されている。例えば、酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイトなどの不活性無機粒子をポリエステルに添加する方法(例えば特開昭55−133431号公報)、あるいは、シリコン粒子、ポリスチレン粒子などの耐熱性ポリマー粒子をポリエステルに添加する方法(例えば特開平3−115354号公報)がある。
【0003】
さらにまた、産業上幅広い分野に用いられるゆえにポリエステル本来の優れた性能を失わない範囲でポリエステル単独では得られない新規な性質、例えば難燃性、静電性、易染性、鮮明染色性、耐熱性等の性質を付与した改質ポリエステルの要求も高い。これらの要求に答える技術として先に記述した粒子の他、各々の目的に応じた種々の機能性物質をポリエステルにブレンド及び/又は共重合により導入する方法があり、最終製品の多様化を図る上で従来、多くの成果をあげてきている。
【0004】
一方、近年ポリエステルの重合方法も従来のバッチ方式に代わって連続重合方式に移りつつある。
【0005】
連続重合方式はバッチ重合方式と比較して製品の品質変動が小さく、しかも特定の銘柄を長期間にわたって大量に生産する場合には、コスト的に大幅に有利である。なぜならバッチ方式においては製品吐出時の経時的な固有粘度の低下、カラーの悪化といったバッチ内の品質変動及び原料の仕込み変動や反応条件変動によるバッチ間の品質変動が存在するので製品のブレンディングが必要となるのに対して、連続重合方式では各工程における運転条件を時刻にかかわらず一定に制御するため品質変動自体も少ない上、外乱が生じた場合にはそのような外乱を打ち消すような処置をとることによって重合工程内で、製品における変動を最小限に抑制することが比較的容易なためである。また上記の理由からバッチ方式はバッチあたりの能力アップが難しいが、それに対して連続重合法は、近年の設備技術の進展にあいまってより大型化の一途にあり、その優位性はますます高まっている。
【0006】
しかし、連続重合方式は多品種少量生産に小回りが効かないという欠点がある。特に前述の種々の改質剤を含有する改質ポリエステルを製造する場合には改質剤の種類の変更をするために巨大な連続重合装置全体を洗浄しなければならず、ポリマー屑、洗浄用のグリコール他化学薬品や機会損失も含め非常にロスが大きい。大型化及び多品種化が高度に進むゆえにこの連続重合法の欠点はきわめて深刻なものとなってきている。
【0007】
このように連続重合化に伴うコストメリットを損なうことなく、しかも最終ニーズの多様化に対応しうる種々のポリエステルをいかにして製造しうるか、そして各種添加剤をが最近のポリエステル製造技術の最大の課題の一つである。
【0008】
さらに近年、連続重合方式の発展とともに、フィルムの製膜あるいは繊維の紡糸においても直接製膜(直膜)、直接紡糸(直紡)方式が実用化されるようになってきた。連続重合直膜又は直紡方式では、重合の完了したポリマーを一旦、チップ化しサイロに貯蔵したり、乾燥工程を経て製膜又は紡糸工程への輸送するといった、バッチ方式で必然の工程を省略することによってさらに高度なコストメリットを追究できる。しかしながら、多銘柄化を図って直膜ライン又は直紡ラインの直前で種々の添加剤を投入した場合、その濃度や品質にばらつきが生じるとそれらの外乱が直接製品に現れてしまう大きな欠点を抱えていた。すなわちバッチ方式においては層別あるいはチップのブレンディングによって経時的なむらを均質化しているのに対して連続重合直接製膜/直接紡糸では重合が終了したポリマーがポリマーラインを通じて直接成型工程へ送られる。連続重合方式において経時むらを解消することは極めて重要な課題であって、連続重合方式では実質的に経時むらを解消できないのが実情であった。
【0009】
このような課題解決の試みとして、多段階の重合缶から構成される連続重合装置において重合段階の異なる複数の溶融ポリマーを前記重合缶から適宜取り出してブレンドしたり又は複合することにより、あるいは前記ポリマーを単独に使用することにより重合度の異なるポリエステルを得たり、あるいはこれらのポリエステルを適当に組み合わせることにより潜在捲縮性複合繊維を効率良く、しかもバラエティーに富んだ組み合わせで製造する技術が提案されている(例えば特公昭46−37767号)。しかしながら前記した方法は複合繊維を構成するポリマー複数の重合缶から枝取りする際のポリマーの重合度や混合比を調節することにより種々の重合度の組み合わせを有する複合繊維を作ることができるメリットはあるが、所詮同一の連続重合段階の異なる複数のポリマーの組み合わせにかかわるものである以上、多様化にも限界がある。
【0010】
一方ポリエステルの連続重合装置からのポリマー払出しラインに混合装置を設けてポリエステルに種々の添加剤を添加混合する方法が知られている。しかし一般に、高粘度の溶融ポリエステルに直接添加混合しているのみであり、添加剤の分散性が悪く、繊維やフィルム用としては不十分であった。
【0011】
連続重合方式で製造されたポリエステルに種々の添加剤をいかに均一に分散、混合させるかについて例えば、連続重合方式により得られたベースポエステルの払い出しラインにおいて改質剤含有ポリエステルを添加し、その混合に静的混合装置を用いる方法が提案されている(特公平4−14128号公報)。しかし静的混合装置のみによる混合は、ポリマー流を流束の垂直方向に分割しているのみであって経時むらを解消するには全く至らないのが実情であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記従来方法の欠点を改良し、連続重合方式で製造されたポリエステルを多様化するべく、高度な分散性を有しかつ直膜又は直紡に耐えうるよう経時むらを生ずることなく種々の改質剤をいかに均一に分散混合させるか鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0013】
すなわち本発明の目的は、連続重合方式においてポリエステル中の改質剤の分散性に優れ、したがって繊維、フイルム、及び樹脂成形品とする際の成形加工性又は新規機能に優れ、そして連続重合から直膜又は直紡しても経時的変動が解消された改質ポリエステルの連続製造方法を提供することである。さらに、添加された改質剤の分散を制御するための分散度評価装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
ここに、本発明によれば、
(請求項1) 連続重合により得られたベースポリエステル(A)のベースポリマーラインに設けられた静的混合ラインのポリマー供給側に、改質剤含有ポリエステル(B)を添加し、該改質剤含有ポリエステル(B)を払出しラインへ払い出す改質ポリエステルの製造方法において、
静的混合ラインのポリマー排出側より該静的混合ラインで改質剤を混合したベースポリエステルの一部を抜き出して静的混合ラインのポリマー供給側へ還流することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法、
(請求項2) 静的混合ラインを前記のベースポリマーラインに直列及び/又は並列に設けた請求項1記載の改質ポリエステルの製造方法、
(請求項3) 前記の静的混合ラインの排出側で改質剤の分散度を測定し、得られた分散度の測定値により、添加する改質剤含有ポリエステルの割合を制御する請求項1又は請求項2記載の改質ポリエステルの製造方法、及び
(請求項4) 改質剤の分散度をポリマーの流れ方向に対する垂直の面内において複数の箇所でポリマーの電気抵抗率、粘度、及び/又は比重を測定し、これらの測定値から改質剤の分散度を定量する請求項3記載の改質ポリエステルの製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「ベースポリエステル(A)」(以下、単に「ベースポリエステル」と称することもある)とは、「重合反応を終了し、ポリマーの払出しラインに送られた、溶融状態にあるポリエステル」のことを言う。なお、この「ベースポリエステル」は、好ましくは、繰り返し単位の70モル%以上がエチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレートなるポリエステル群から選ばれたポリエステルである。
【0016】
ここで、該ベースポリエステルは、前記の例示した化合物から、下記のように常法によって得ることができる。例えば、多価カルボン酸と多価ヒドロキシ化合物をエステル化槽へ連続的に仕込み、エステル化反応させた後、高温、弱減圧下の初期重合槽を経て高温、減圧下の後期重合槽へ連続的に送流し、重縮合させることによって得られる。あるいは、多価カルボン酸のエステル形成性誘導体と多価ヒドロキシ化合物とをエステル化反応槽へ連続的に仕込み、エステル交換反応させた後、高温、弱減圧下の初期重合槽を経て高温、減圧下の後期重合槽へ連続的に送流し重縮合させることで製造することができる。
【0017】
本発明において、ベースポリエステルには、予め何らかの改質剤、例えば、艶消剤である酸化チタン、易滑剤としてのコロイダルシリカ、湿式シリカ、乾式シリカなどの酸化珪素、炭酸カルシウム、カオリナイト、タルク、アルミナ、ゼオライト、及びグラファイト等の粒子が添加されていてもかまわない。しかしながら、ベースポリエステルに対する改質剤の含有量としては0.0001〜0.5重量%の範囲であることが必要である。もし、0.5重量%を越えると、ベースポリエステルを製造する連続重合工程において、スケール等の異物や添加剤の凝集を生成しやすく、これがベースポリマーに混入して品質を低下させる。また、コストメリットが出にくくなる点でも望ましくない。
【0018】
つぎに、本発明における「改質剤含有ポリエステル(B)」とは、前述のベースポリエステル(A)自身又はベースポリエステル(A)とは異なる重合装置で重合されたポリエステルに、前記のような酸化チタン、酸化珪素をはじめ公知の改質剤を添加したポリエステルあるいは改質効果を有する第3成分を共重合したポリエステル等を総称したものである。ここで、該改質剤としては、前記の酸化チタン、酸化珪素、炭酸カルシウム、カオリナイト、タルク、アルミナ、ゼオライト、グラファイト等の無機粒子を例示でき、有機粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂、架橋シリコーン樹脂等の粒子を例示することができる。
【0019】
また、これらの粒子は、例えば特開平7−247119号公報、特開平4−7336号公報などで提案されている様に、粒子の表面を粒子内部の組成とは異なる化合物で被覆していても、シランカップリング剤及び/又はチタンカップリング剤などで処理されていてもよい。なお、これらの粒子は、酸化珪素、酸化チタン、アルミナ、ポリスチレン、架橋シリコーン樹脂の粒子、あるいはこれらの粒子の表面を他の化合物で被覆されていることが好ましい。
【0020】
さらに、機能性添加剤としては、難燃剤としてリン化合物等、静電剤として脂肪酸エステル金属塩等、易染剤としてポリエチレングリコール等、鮮明染色剤として5−ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル、耐熱剤として正燐酸、亜燐酸等を挙げることができる。
【0021】
本発明において改質剤含有ポリエステル(B)作製時の改質剤混合比率は、最終的に得られる改質ポリエステルにおける含有率に応じて適宜選択することができるが、改質剤の添加によって溶融粘度が上がる場合には高濃度の方が剪断力がかかり有利であるが、一方ベースポリエステル(B)への改質剤含有ポリエステル(B)の添加量が少なくなるので分配により多くのエネルギーを要するため改質剤含有ポリエステル(B)中の改質剤濃度には最適値が存在する。これは改質剤の濃度が高いほど溶融粘度が下がる場合においても同様である。以上のことから改質剤含有ポリエステル(B)の改質剤含有率は10〜70重量%の範囲であることが必要であり、その範囲において改質剤にあわせて濃度を適宜最適に設計すればよい。
【0022】
本発明における改質ポリエステルについてはすでに説明したが、とりわけ重合装置から払い出されるベースポリエステル(A)をベースポリマーラインから一部取り出し、混練装置を用いて改質剤を添加混合したものを用いることが特に好ましい。このようにすることにより改質ポリエステルを連続的に作り、かつ該改質ポリエステルをベースポリマーラインに再び戻すことによりベースポリマーラインを輸送されるベースポリエステル(A)と連続的かつ効率的に混合することができるからである。
【0023】
本発明において、ベースポリマーラインから取り出したベースポリマーに改質剤を添加したり、又は別の重合工程で重合されたチップに改質剤を添加したりして改質剤含有ポリエステル(B)を製造する場合、従来公知の混練装置を利用することができる。このような混練装置としては、一軸混練押出し機、二軸混練押出し機、多軸混練押出し機、一軸混練機、二軸混練機等を例示することができる。とりわけベント付きの混練押出機は製造中の固有粘度の低下を防止することができるので好適に使用される。
【0024】
本発明において改質剤含有ポリエステル(B)作製時の改質剤混合比率は最終的に得られる改質ポリエステルにおける改質剤の含有率にあわせて適宜選択することができるが、改質剤の添加によってポリマーの溶融粘度が上がる場合には高濃度の方が剪断力がかかり有利であるが、一方ベースポリエステル(A)への改質剤含有ポリエステル(B)の添加量は少なくなるので分配により多くのエルギーを要する。そのため改質剤含有ポリエステル(B)中の改質剤濃度には最適値が存在するのである。また、改質剤の濃度が高いほど溶融粘度が下がる場合も同様である。以上のことから改質剤含有ポリエステル(B)の改質剤含有率は10〜70重量%の範囲であることが必要であり、その範囲において改質剤の種類に応じて濃度を適宜最適に設計すればよい。
【0025】
本発明において改質剤含有ポリエステル(B)とベースポリエステル(B)との混合は前記ポリエステルの静的混合ラインにおいて行う。何故ならば、ベースポリエステル(A)を一旦チップ化し、乾燥の後、再度エクストルーダーで溶融混合することは製造効率が悪いからである。
【0026】
本発明においてベースポリエステル(A)と改質剤含有ポリエステル(B)を混合するには、公知の静的混合装置を用いることができる。この静的混合装置を設けた静的混合ラインにおいては、ポリエステルは既に溶融状態にあり、特に大きな剪断力を必要としなくても比較的スムーズに混合が可能であって、このような静的混合装置としては、いわゆるケニックス型スタティックミキサー、スルーザー型スタティックミキサー、東レ(株)社製ハイミキサー等市販のものを好適に用いることができる。なお、これらのスタティックミキサーとしては、ポリマー流を十分に混合するために、そのエレメント数を10以上とすることが望ましい。
【0027】
しかしながら、単にこのような静的混合ラインを経ただけのポリマーでは、経時方向の混練むらを解消することができないのは前述の通りである。したがって、本発明においては、静的混合ラインのポリマー排出側から出てくる改質剤を含くむポリマーを静的混合ラインの供給側へ還流する方法を採る。なお、静的混合ラインとしては単独で設ける場合の他、直列に設けても並列に複数個設けてもよく、あるいは直列と並列のの静的混合ラインを組み合わせてもよい。また、該静的混合ラインに設けられる前述したような静的混合装置は、それぞれにエレメントのサイズ及び/又はエレメント数が異なっても一向にかまわないし、違った型の静的混合装置を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
前述の如く、このような静的混合を経たポリマー流のみでは経時的な混合むらを解消することができないので、本発明においては、静的混合ラインのポリマー排出側より改質剤を混合されたベースポリエステルの一部を抜き出して静的混合ラインのポリマー供給側へ還流する方法を採る。つまり、静的混合ラインのポリマー排出側から一部取出したポリマーをポリマー供給側へ還流する還流ラインを設け、該還流ラインを介してポリマーの一部を再循環させる。
【0029】
その際、還流ラインを循環するポリマーの割合が小さすぎるとベースポリマー内の改質剤の分散むらを解消する効果が劣り、一方、この割合が大きすぎると輸送ライン中におけるポリマーの平均滞留時間が長くなり、熱劣化の影響が顕在化しやすいので好ましくない。従って、好ましい還流ラインと静的混合ラインのポリマーの比としては、前者に対する後者のポリマー通過量の重量比率に換算して1/10〜1/2の範囲が好ましい。
【0030】
なお、複数の静的混合ラインを設ける場合について述べれば、該静的混合ラインは直列に設けても並列に設けてもよく、あるいはそれらを組み合わせて設けてもよい。また、該静的混合ラインに設けられる、前述した静的混合装置は、それぞれにエレメントのサイズ及び/又はエレメント数が異なっても一向にかまわないし、違った型の静的混合装置を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
各々の静的混合装置に添加する改質剤含有ポリエステル(B)の添加量は、第一には前記の静的混合ラインを通過するベースポリエステル(A)の流量に比例するように配分されるが、それだけでは分散の経時むらが必ずしも解消されない場合があるので、添加量の比を適宜調節する必要がある。
【0032】
例えば、静的混合ラインが直列に配置されている場合、改質剤の分散度が劣るときは、静的混合ラインの上流側での改質剤の添加量を増加させるように制御する。このようにすることによって上流側から添加された改質剤を含有するベースポリエステルは、より長い混合履歴を経ることになるばかりでなく、静的混合ラインのポリマー排出側では改質剤を多量に含有したベースポリマーの粘度が高くなっているので、ここで添加された改質剤含有ポリエステル(B)と混合される際により大きな剪断を加えることができるので混合効果がより大きくなる。このような制御によってベースラインの変動又は改質ポリエステルの品質変動がおこっても、ポリマー配管中で分散を一定に保つことができる。
【0033】
他方、静的混合ラインが並列、かつ互いに滞留時間の異なるように配置されている場合には、改質剤の分散度の低下が検出されれば,滞留時間の長い静的混合ラインへのポリマー還流量を増加させることが好ましい。また、静的混合ラインが並列、かつ互いに滞留時間が実質的に同じとなるように配置されている場合には、各々の静的混合ラインへのポリマー還流量を何れの静的混合ラインにおいてもほぼ同様に増減させることで、単一の静的混合ラインを設ける場合と同様の経時変化解消効果を得ることができる。
【0034】
なお、ポリマー還流量の制御方法は、定量供給ポンプを介してその回転数を制御する方式、流量調節弁を用いて調節する方式、その他、公知の制御方式を採用することができる。
【0035】
以上述べたように、本発明においては改質剤の分散度を経時的な変化を起こすことなく、一定に保つことができる。しかしながら、前述の制御方式を採用するためには、添加された改質剤の、静的混合ラインの排出側でのベースポリマー中に含まれる改質剤の分散度を評価する必要がある。すなわち、ベースポリマー中に添加された改質剤の分散度を評価し、その結果を反映させることが好ましい。つまり、前記の複数の静的混合ラインの排出側でポリマー中の改質剤の分散度を測定し、得られた分散度の測定値により、添加する改質剤含有ポリエステル(B)の割合を制御することが好ましい。
【0036】
ここで、分散度の評価方法を説明すると、該評価方法は、ポリマーの流れ方向に対して垂直に切断した同一面内における複数の箇所でポリマーの粘度、比重及び/又は電気伝導度を測定し、これらの測定値から改質剤の分散度を定量するものである。つまり、まず均一に改質剤が混練されたポリエステルからなる基準サンプルを作製し、実測する箇所と同一の条件(温度、圧力、流速等)下で該ポリエステルの粘度及び/又は比重を測定して、基準となる測定値を得る。この基準となる測定値と複数の箇所で測定されたポリエステルの粘度、比重、及び/又は電気伝導度を測定し、基準測定値と実測値との差又は比を演算することにより、これらの差がゼロとなるか、これらの比が1に近づくように、改質剤の添加量を制御する。このように本発明においては、ポリマー流の同一平面ないにおける2ヶ所以上の点で測定し、差又は比を演算しているので払出しラインのベースポリマーの粘度の変動の影響を受けないのである。このとき、分散度測定装置12は、測定値を連続して検出できるものであっても、一定の時間間隔でサンプル値を検出する方式であってもよいことは言うまでもない。さらに、このような測定値を配管内で直接測定することが困難な場合には、測定用のサイドストリームを設けてもよい。
【0037】
ここで、粘度、比重及び電気伝導度は従来公知の測定装置を用いることができ、例えば公知の粘度計としては、いわゆる回転式粘度計、差圧式粘度計等を挙げることができる。また、公知の比重計としては振動式比重計等が挙げられる。さらに、電気伝導度の測定には、例えば既知抵抗を対照とした電圧降下法が挙げられる。これらの装置は目的の特性が実用上問題なく測定できる方式であればよい。
【0038】
以下、本発明の実施の様態を図面を参照しながら、更に詳細に説明する。
図1〜3において、1は最終重合槽、2は最終重合槽への原料の入口、3はベースポリマーライン、4は真空系、5,5a,及び5bは静的混合ライン、6は押出混練機、7はポリマー投入口、8は改質剤投入口、9はベースポリエステル(A)の抜出しライン、10は改質剤含有ポリエステル(B)の添加ライン、11は定量供給ポンプ、12は改質剤の分散度測定装置、13はチップカッター、14は還流ライン、15,15a,及び15bは定量供給ポンプ、16は分散度を一定に制御するための制御装置を含む制御系、そして、17は改質ポリエステルの払出しラインをそれぞれ示す。
【0039】
以上のように構成された改質ポリエステルの製造工程において、ベースポリエステル(A)は、重合槽1からベースポリマーライン3へ払い出され、ベースポリエステル(A)自身(図1〜3の場合)又はベースポリエステル(A)とは異なる重合装置で重合されたポリエステル(図1の場合)及び添加剤をそれぞれ投入口7及び8から投入し、両者を押出混練機6によって混練することで添加剤含有ポリエステル(B)を調製する。そして、調整した該添加剤含有ポリエステル(B)は添加ライン10に設けられた定量供給ポンプ11によってベースポリマーライン3へ投入される。このようにして、ベースポリエステル(A)と添加された添加剤含有ポリエステル(B)とは静的混合ライン5(又は、5a及び5b)へ送られ、ここで静的に混合される。
【0040】
本発明の方法では、静的混合ライン5(又は、5a及び5b)の排出側より添加剤を含有するベースポリエステルの一部を取出して還流ライン14から定量供給ポンプ15(又は、15a及び15b)によって該静的混合ライン5(又は、5a及び5b)の供給側へ還流させることを一大特徴とする。このようにして、最終的に払出しライン17に払出された改質ポリエステルは13に示されたチップカッター13へ送られ造粒化(チップ化)されるか、あるいは直接製膜又は直接紡糸工程へ送られる。
【0041】
前記の静的混合ライン5(又は、5a及び5b)で改質剤を混合されたベースポリエステルの分散度は分散度測定装置12で粘度、比重及び/又は電気伝導度等の測定値と予め測定された基準測定値との間で所定の演算がされて、制御系16によって定量供給ポンプ15(又は、15a及び15b)を制御することによってフィードバック制御される。なお、本発明の他の2つの実施態様例である図2と図3の製造工程について簡単に説明すると、図2は、2列の静的混合ライン(5a及び5b)を直列に配し、該静的混合ライン(5a及び5b)の排出側より混合されたポリマーの一部を還流ライン14を介して自己循環させる例であり、図3は2列の静的混合ライン(5a及び5b)を並列に配した場合の例である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお例中の「部」は、重量部である。
また、本発明における種々の物性値及び特性は、以下の如くして測定されたものであって、その定義に関しても以下の通りである。
【0043】
(1)粒子の平均粒径
島津製作所製CP−50型Centrifugal Particle Size Analyserを用いて測定する。そして、この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50mass percentに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0044】
(2)固有粘度
1,1,2,2−テトラクロルエタン40部とフェノール60部の混合溶媒中35℃にて測定する。
【0045】
(3)ポリエステル中の粗大粒子
ポリマー50mgを2枚のカバーグラス間にはさんで280℃で溶融プレスし、急冷したのち、位相差顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置ルーゼックス500で顕微鏡像内の最大長が5.0μm以上の粒子数をカウントし、次の様な判定をする。
特級:5.0μmをこえる粒子が全く見当らない。
1級:5.0μmをこえる粒子数が5個/mm2未満である。
2級:5.0μmをこえる粒子数が5〜10個/mm2である。
3級:5.0μmをこえる粒子数が10個/mm2を超える。
なお、特級及び1級のみが実用に供せられる。
【0046】
(4)ポリエステルを濾過した時の濾過圧力上昇速度
小型1軸スクリュータイプ押出機の溶融ポリマー出側にポリマー定量供給装置を取り付け、更にその出側に内径64mmφの2400メッシュ金網フイルターを2枚重ねて装着し、溶融ポリマーの温度を290℃一定にコントロールして、毎分33.3gの速度でポリマーを10時間連続して濾過する。この時のフイルター入側の圧力上昇値の平均値をもって、濾過圧力上昇速度とする。なお、この時、濾過するポリマー中の粒子添加量は0.3重量%に統一する。
特級:濾過圧力上昇速度が、毎時5kg/cm2以下である。
1級:濾過圧力上昇速度が、毎時5〜10kg/cm2である。
2級:濾過圧力上昇速度が、毎時10〜20kg/cm2である。
3級:濾過圧力上昇速度が、毎時20kg/cm2以上である。
なお、特級及び1級のみが実用に供せられる。
【0047】
(5)ポリエステル中の粒子の分散性
ポリエステル中の粒子の添加量を0.3重量%になるように、必要ならポリエステル(A)で希釈した後、小型1軸スクリュータイプ押出機で押出したポリエステルをエポキシ樹脂に包埋してミクロトームで切断して、切断面を走査型電子顕微鏡で観察する(倍率 5000〜10000倍)。30組の互いに隣接する2つの粒子について、その粒子間の直線距離を測定し、平均値、標準偏差、変動係数を求めて、次の様な判定をする。
特級:変動係数が0.05未満である。
1級:変動係数が0.05〜0.1である。
2級:変動係数が0.1〜0.2である。
3級:変動係数が0.2以上である。
なお、特級及び1級のみが実用に供せられる。
【0048】
(6)混練度の経時変化
ポリマー吐出100kgあたりに一回、製品として吐出されたポリマーをサンプリングし、添加物の含有量及び(6)に示したポリエステル粒子の分散性を測定した。
【0049】
(7)混練度の経時変化
ポリマー吐出100kgあたりに一回、製品として吐出されたポリマーをチップサンプリングし、添加物の含有量を測定し、50回の測定値のの平均値、標準偏差及び変動係数を求めて次のような判定をする。
特級:変動係数が0.05未満である。
1級:変動係数が0.05〜0.1である。
2級:変動係数が0.1〜0.2である。
3級:変動係数が0.2以上である。
なお、特級及び1級のみが実用に供せられる。
【0050】
[実施例1]
テレフタル酸及びエチレングリコールを原料としてエステル化反応及び所定の重縮合反応を経た固有粘度0.65の改質剤を含まないポリエチレンテレフタレートをベースポリエステル(A)として、図1に示したベースポリマーライン3に900kg/hで供給した。このとき、ベースポリマーの温度は285℃に保った。そして、ベースチップ及び酸化チタンをそれぞれ投入口7及び8より2軸混練押出機6へ供給して285℃、400rpmの条件で混練し、酸化チタンを25%含有するポリエチレンテレフタレートMB(固有粘度0.54)を調製して改質剤含有ポリエステル(B)とし、これをベースポリマーライン3へ100kg/hで添加した。ついで、改質剤が添加されたベースポリエステルをノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(20エレメント)を有する静的混合ライン5を通して分配混合した。このとき、該ポリマー中の改質剤の分散度を粘度、密度が補正された電気抵抗率(エレクトロメーターによる電圧降下法で検出した測定値(Ωcm))を測定し、ポリマー流方向に対して垂直な同一断面における2箇所(ポリマーが流れるライン配管の壁面部と中心部)の測定値を検出し、予めオンラインで分散度を実測する場合と同一の条件下で評価した基準測定値と比較し、その偏差がゼロに近づくように、改質ポリエステルの還流量を定量供給ポンプ15に制御系16を介してフィードバック制御した。そして、500kg/hを直接紡糸工程へ供し、残りをチップ化工程に供した。チップ化したチップ中の粗大粒子、分散性、混練度の掲示変化及び紡糸時の濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0051】
[実施例2]
テレフタル酸及びエチレングリコールを原料として、エステル化反応を及び所定の重縮合反応を経た固有粘度0.65の改質剤を含まないポリエチレンテレフタレートをベースポリエステル(A)として、図2に示したベースポリマーライン3に975kg/hで供給した。なお、このときのベースポリマーの温度は285℃に保った。さらに、ベースポリマーライン3よりベースポリマーの一部を75kg/h抜き出し、抜出しライン9から該ベースポリマーをベント付き2軸混練機6へ投入口7へ供給すると共に、改質剤も同時に投入口8から供給した。なお、その際、改質剤として二酸化チタンを25kg/hで2軸混練機6へ供給し改質剤含有ポリエステル(B)を作製した。このとき、改質剤とベースポリマーライン3から一部取出したベースポリマーとの混練に際して、2軸混練機6のバレル温度を285℃、スクリュー回転を400rpmとした。
【0052】
ついで、以上のようにして調製した改質剤含有ポリエステル(B)は、それぞれのエレメント数が20のノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサーよりなる直列に配した2列の静的混合ライン5a及び5bの供給側へそれぞれ添加した。このようにして静的混合ライン5a及び5bを通過させたポリマーの一部を還流ライン14から定量供給ポンプ15a及び15bを介して、2列の静的混合ラインのそれぞれの供給側へ還流させた。このとき、最初のポリマー還流量に関して定量供給ポンプ15aと15bとによる静的混合ライン5aと5bとへ還流するポリマー還流量比率は、払出しライン17を流れるベースポリマー量に対して1:8とした。
【0053】
なお、払出しライン17に設けた分散度測定装置によって、払出しライン17を流れるポリマー中の改質剤の分散度を、エレクトロメーターを用いた電圧降下法で電気抵抗率(Ωcm)を測定し、粘度、密度が補正して得た電気抵抗率により評価し、ポリマー流れに対して垂直方向に断面した同一平面内における2箇所の測定値を図1と同じ方法で評価し、定量供給ポンプ16a及び16bによるポリマーの還流量をフィードバック制御した。そして、払出しライン17からポリマーを500kg/hで直接紡糸工程へ供し、残りをチップ化した。このとき得られたチップ中の粗大粒子、分散性、混練度の掲示変化及び紡糸時の濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0054】
[実施例3]
ベースポリマーライン3へのベースポリエステル(A)の払出し量を900kg/h、2軸混練押出機6へ、二酸化チタンを25%含有するポリエステルを12kg/h供給して改質剤含有ポリエステル(B)を調製する以外の条件は実施例1と同様に実施した。
【0055】
[実施例4]
改質剤の分散度を検出することによる制御系16によるフィードバック制御をかけなかった以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、定量供給ポンプ15a及び15bによるポリマー還流量比は、前者に対する後者の比において1:1とした。
【0056】
[実施例5]
改質剤の分散度を検出することによる制御系16によるフィードバック制御をかけなかった以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、定量供給ポンプ15a及び15bによるポリマー還流量比は、前者に対する後者の比において1:1とした。
【0057】
[比較例1]
図4(ただし、該図における符号は、図1〜3に準じる。)に示すように改質剤含有ポリエステル(B)を静的混合ライン5のポリマー供給側へ添加し、ノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(エレメント数40)を通過させ、かつ静的混合ライン5のポリマー排出側から改質剤が混合されたポリマーを静的混合ライン5のポリマー供給側へ還流させない点以外の条件は実施例1と同様に行った。
【0058】
[比較例2]
図4(ただし、該図における符号は、図1〜3に準じる。)に示すように改質剤含有ポリエステル(B)を静的混合ラインのポリマー供給側へ添加し、ノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(エレメント数40)を通過させ、かつ静的混合ライン5のポリマー排出側から改質剤が混合されたポリマーを静的混合ライン5のポリマー供給側へ還流させない点以外の条件は実施例3と同様に行った。
【0059】
[実施例6]
バッチ反応釜で、テレフタル酸及びエチレングリコールを原料としてエステル化反応を終了させた後、重縮合反応の末期に制電剤として分子量20000のポリエチレングリコール(PEG)を酸成分に対して5%、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)を酸成分に対して0.5%を添加し、その後、重縮合を継続し固有粘度0.60の組成物を得た。
【0060】
つぎに、連続重合方法でテレフタル酸とエチレングリコールを原料としてエステル化反応を終了した後、所定の重縮合反応を経た固有粘度0.65の改質剤を含まないポリエチレンテレフタレートをベースポリエステル(A)として、図1に示したベースポリマーライン3に900kg/hで供給した。ただし、ベースポリエステル(A)の温度は285℃に保った。
【0061】
そして、図1に示した更に改質剤を投入口8から添加することなく、投入口7から前記の組成物を100kg/hで改質剤含有ポリエステル(B)として供給し、ベースポリマーライン3へ添加した。このとき、直列に配された2個のノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(それぞれ20エレメント)を該静的混合ライン5aと5bとにそれぞれに配した以外の条件は実施例1と同様に実施した。
【0062】
このようにして得られたポリマーをチップ化したチップ中のポリエレングリコールをオスミン酸染色し透過型電子顕微鏡で観察し、粗大粒子及び分散を前記の、ポリエステル中の粒子の粗大粒子及び分散と同様に評価した。また、混練度の掲示変化及び紡糸時の濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0063】
[比較例3]
図3に示すように改質剤含有ポリエステル(B)を静的混合ライン5aと5bのそれぞれの供給側から添加し、その際該静的混合ライン5aと5bのそれぞれに設けられたノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(エレメント数40段)を通し、かつ静的混合ライン5のポリマー排出側から改質剤が混合されたベースポリエステルを静的混合ライン5のポリマー供給側へ還流させない点以外の条件は実施例6と同じとした。
【0064】
このようにして得られたポリマーをチップ化したチップ中のポリエチレングリコールをオスミン酸染色し透過型電子顕微鏡で観察し、粗大粒子及び分散を前記の、ポリエステル中の粗大粒子及び分散と同様に評価した。また濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0065】
[実施例7]
バッチ反応釜で、テレフタル酸及びエチレングリコールを原料としてエステル化反応を終了した後、重縮合反応の初期にボイド形成剤としてトリメチルホスフェートと酢酸カルシウムの複合粒子をリン原子換算で5%添加し、重縮合を継続して固有粘度0.60の組成物を得た。
【0066】
つぎに、連続重合方法でテレフタル酸とエチレングリコールを原料としてエステル化反応を終了した後、所定の重縮合反応を経た固有粘度0.65の改質剤を含まないポリエチレンテレフタレートをベースポリエステル(A)として、図3に示したベースポリマーラインに900kg/hで供給した。なお、このときのベースポリエステル(A)の温度は285℃に保った。そして、前記の組成物100kg/hを改質剤含有ポリエステル(B)として、それぞれ静的混合ライン5aと5bのポリマー供給側へ添加し、該静的混合ライン5aと5bとにそれぞれ配されたノリタケカンパニー製のケニックス型スタティックミキサー(各20エレメント)を通して分配混合した。このようにして得た改質ポリエステルの中、500kg/hを直接紡糸工程へ供し、残りを直接紡糸に供した。そして、前記と同様にして得たチップを20%の水酸化ナトリウム水溶液で1時間リフラックス処理し、繊維表面に形成したボイドを前記のポリエステル中の粒子の分散と同様に評価した。また濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0067】
[比較例4]
図3に示すように実施例7と同じ条件で調製した改質剤含有ポリエステル(B)をそれぞれ静的混合ライン5aと5bとのポリマー供給側から添加し、該静的混合ライン5aと5bとにそれぞれ配されたノリタケカンパニー製のケニックス型スタチックミキサー(エレメント数40段)をそれぞれ通し、かつ静的混合ライン5のポリマー排出側から改質剤が混合されたポリマーを静的混合ライン5のポリマー供給側へ還流させない点以外の条件は実施例7と同様に行った。このようにして得られたポリマーから作製したチップを20%の水酸化ナトリウム水溶液で1時間リフラックス処理し、繊維表面に形成したボイドを前記のポリエステル中の粒子の分散と同様に評価した。また濾過圧力上昇速度を表1に示した。
【0068】
【表1】
Figure 0003775906
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、重合により得られたベースポリエステル(A)のベースポリマーラインに改質剤含有ポリエステル(B)を添加することによって、静的混合ラインを通して改質剤含有ポリエステルを連続的に製造する方法が提供される。そして、このようにして得られたポリエステル樹脂は繊維、フィルム及び樹脂成型品に成型加工する場合の成型加工性に優れ、また繊維、フィルム、及び樹脂成型品としたときの製品品品質にも優れるという極めて顕著な効果を有する。さらには、良好な連続重合のベースポリマーラインで分散むらを生じさせずに容易に改質剤含有ポリエステルを製造することができ、その多品種生産を飛躍的に推進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を例示した概略工程図である。
【図2】本発明の他の実施態様を例示した概略工程図である。
【図3】本発明のもう一つの実施態様を例示した概略工程図である。
【図4】従来の方法を例示した概略工程図である。
【符号の説明】
1 最終重合槽
3 ベースポリマーライン
5 静的混合ライン
6 ベント付き2軸混練機
7 ポリマー投入口
8 改質剤投入口
9、9(a)、9(b)、10 定量供給ポンプ
12 分散性評価装置
13 チップカッター
14 還流ライン
15 定量供給ポンプ
16 分散度の制御系
17 払出しライン

Claims (4)

  1. 連続重合により得られたベースポリエステル(A)のベースポリマーラインに設けられた静的混合ラインのポリマー供給側に、改質剤含有ポリエステル(B)を添加し、該改質剤含有ポリエステル(B)を払出しラインへ払い出す改質ポリエステルの製造方法において、
    静的混合ラインのポリマー排出側より該静的混合ラインで改質剤を混合したベースポリエステルの一部を抜き出して静的混合ラインのポリマー供給側へ還流することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法。
  2. 静的混合ラインを前記のベースポリマーラインに直列及び/又は並列に設けた請求項1記載の改質ポリエステルの製造方法。
  3. 前記の静的混合ラインの排出側で改質剤の分散度を測定し、得られた分散度の測定値により、添加する改質剤含有ポリエステルの割合を制御する請求項1又は請求項2記載の改質ポリエステルの製造方法。
  4. 改質剤の分散度をポリマーの流れ方向に対する垂直の面内において複数の箇所でポリマーの電気抵抗率、粘度、及び/又は比重を測定し、これらの測定値から改質剤の分散度を定量する請求項3記載の改質ポリエステルの製造方法。
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