JP3775855B2 - 光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品あるいは化粧品などの着色等に使用される青色蛋白質であるフィコシアニンのようなフィコビリ蛋白質、あるいはコレステロール上昇抑制やアトピー性皮膚炎の治療に有効であるプログラスタンジン前駆体であるγ−リノレン酸に代表される脂肪酸などの有用物質生産の方法として藻類を培養して抽出することが行われている。また、クロレラやスピルリナなど一部の藻類では菌体そのものを健康食品として食しており、市販もされている。これらは、通常液体培養液中で自然光下で培養されているが、光合成経路に着目して直接または間接的に光合成に関与する有用物質生産の加速を試みた例はない。
【0003】
一方、生物に対する磁場の影響については、多数の研究例が報告されているが、明確な作用はわかっていない。例えばTrichomonas vaginalsに対する殺菌作用、マウスの癌の抑制作用があり、特に骨折の治療促進では実際に臨床において重要な役割を果たしている。
【0004】
また、磁場の強さによって、また対象生物の種類によって成長を促進したり、抑制したりすることが知られている。例えば、特開平6−121668号公報には、磁場中で微細生物を培養する方法が開示されており、磁場の印加により枯草菌によるサーファクチンの生産効率が向上すること、および大腸菌の増殖が加速されることが示されている。また、菌類であるS. cerevisiae に対する500G 〜1000G の磁場では生育促進効果が得られ、それ以上の強い磁場では抑制効果があることも報告されている[高橋不二雄「磁気と生物 分子レベルからのアプローチ」(学会出版センター)]。
【0005】
緑藻類であるChlorella sp. では400G 以下の磁場において生育がやや促進され、580G では抑制されている[高橋不二雄、亀崎紀行、発酵工学、vol. 63, No. 1,71-74(1985)]。Dunaliella salina の生育はFe−EDTAを添加した培地において100G の磁場印加によって増加し、β−カロチン蓄積量も増加する傾向があることが報告されている[Y. Yamaoka, O. Takimura, et al., "Research in photosynthesis" Vol. III. 87-90(1992) ]。これは蛋白質の磁気異方性、チラコイド膜などの生体膜内中における蛋白質の磁場配向性あるいはクロロフィルの磁気異方性によるものと言われているが、正確なメカニズムは未だに不明である。
【0006】
このように藻類等の生物を用いて有用物質の生産を促進する試みが種々なされているが、前記したフィコビリ蛋白質や脂肪酸の生産を促進した例はない。また、磁場印加により藻類自体の生育を行った例はあるが、それから得られる有用物質の生産に磁場を利用した例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着色剤等として使用されるフィコシアニン等のフィコビリ蛋白質やプログラスタンジン前駆体であるγ−リノレン酸に代表される脂肪酸の生産を促進することができる光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(7)の特定事項によって達成される。
(1)藍藻類または紅藻類から選択される光合成藻類を、5〜400Gの磁場中で光照射して培養し、フィコビリ蛋白質および/または脂肪酸を生産させることを特徴とする光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
(2)前記光合成藻類が藍藻類のスピルリナ(Spirulina)であることを特徴とする上記(1)の光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
(3)前記光照射と前記磁場の印加を同期させることを特徴とする上記(1)または(2)の光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
(4)前記光の照度が800〜8000luxであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
)前記フィコビリ蛋白質がフィコシアニンであることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
)前記脂肪酸がγ−リノレン酸であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
)磁場印加により、前記光合成藻類の藻体そのものの生育量を増大させるとともに、前記藻体からの前記フィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産量を増大させることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明では、磁場中で光照射して光合成藻類である藍藻類、紅藻類、クリプト藻類を培養する。これにより、これらの光合成藻類によって生産されるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産量が向上する。
【0011】
これについての理由は明確ではないが、フィコシアニン等のフィコビリ蛋白質はクロロプラスト内のチラコイド膜上にあり、光を受けてそのエネルギーをクロロフィルaに伝える働きがある。このチラコイド膜は脂肪酸、特に多不飽和脂肪酸を多く含み、きわめて流動性に富んでいる。したがって磁場により配向性が影響を受け、フィコシアニン等のフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の含有量が増加すると考えられる。そして、この結果、光の利用効率が増加するために生育量が増し、光合成活性が増すと考えられる。
【0012】
本発明に用いられる光合成藻類としては、藍藻類、紅藻類、クリプト藻類が挙げられ、これらの藻類はフィコシアニン、フィコエリトリンのようなフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸を含む。
【0013】
藍藻類としてはスピルリナ (Spirulina)、特にスピルリナ プラテンシス(Spirulina platensis) 、アナベナ(Anabena) 、ノストック(Nostoc)、フィルミディウム(Phormidium)、トリポセリックス(Tolypotherix)、ユレモ(Oscillatoria)、ジュズモ(Chaetomorpha)等がある。
【0014】
紅藻類としてはコラリナ(Corallina) 、ポリフィリジウム(Porphyridium)、ツノマタ(Chondrus)、アサクサノリ(Porphyra tenera) 、テングサ(Celidium)等がある。
【0015】
これらのなかでも、藍藻類のスピルリナが好ましい。このものは、もともとフィコビリ蛋白質であるフィコシアニンの含有量が多く、通常の光合成条件下で、乾燥重量で1g 中100mg程度含有する。このほか、藍藻類のアナベナで50mg程度、ノストックで60mg程度であり、紅藻類のコラリナで1mg程度である。紅藻類は紅色の色素蛋白質であるフィコエリトリンを主として含む。
【0016】
これら光合成藻類は一般的にフィコビリ蛋白質を0〜220mg/gを含み、フィコシアニンの含有量は0〜200mg/g、フィコエリトリンの含有量は0〜100mg/gである。
【0017】
また、脂肪酸はC16〜C18の飽和ないし不飽和脂肪酸であり、具体的にはパルミチン酸、パルミトレン酸、ステアリン酸、オレイン酸(シスおよびトランス)、リノール酸、γ−リノレイン酸等が挙げられる。
【0018】
脂肪酸の含有量は通常30〜80mg/g程度であり、このなかでγ−リノレインの含有量は0〜15mg/g程度である。
【0019】
本発明では、光合成藻類の培養に際し、光照射を磁場中で行う。この場合光照射と同時に磁場を印加することが好ましく、光照射と磁場の印加は同期させることが特に好ましい。ただし、必ずしも光照射の時期と磁場の印加の時期とは一致させる必要がなく、光照射の一時期に磁場を印加してもよいが、少なくとも光照射の時期の60%以上は磁場を印加することが好ましい。磁場の印加を光照射の一時期にて行う場合は、連続的であっても間欠的であってもよい。一時期にて磁場を印加する場合は光照射の初期である方が好ましい。
【0020】
印加する磁場の強度は2〜700G 、さらには5〜700G 、よりさらには5〜600G 、特には5〜400G であることが好ましい。このような磁場を印加することによって、フィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産量が増加する。これに対し、磁場の強度が小さくなると、本発明の実効が得られず、磁場の強度が大きくなっても効果が飽和してしまう傾向にあり、フィコビリ蛋白質、脂肪酸ともに生産量の増加が望めなくなってしまい、特にフィコシアニン等のフィコビリ蛋白質の生産量は逆に低下しやすくなる。
【0021】
特に、本発明では、有用物質として期待されるフィコシアニンやγ−リノレン酸の生産量を増すことを目的とする場合は、5〜400G であることが好ましい。
【0022】
磁場の印加中における磁場の強度は一定であっても変化させてもよいが、通常は一定である。
【0023】
磁場はフェライト磁石、サマリウム−コバルトあるいはネオジ−鉄−ボロンなどの希土類磁石などの永久磁石、あるいは電磁石による静磁場でもよく、電磁石による交番磁場でもよい。
【0024】
なお、光合成藻類は固定状態でない培養が一般的であるので、静磁場を用いたとしても個々の細胞には交番磁場が印加されているものと考えられる。
【0025】
光照射は、本発明の光合成藻類が光合成を行えるような条件であれば特に制限されないが、光合成を促進するためには600〜700nmの波長領域の光を用いることが好ましい。具体的には蛍光灯、タングステンランプなど通常の光源でよく、660nm前後の発振波長を有する発光ダイオード(LED)を光源としても効果的である。
【0026】
光の照度は印加する磁場の強度等の他の条件にもよるが、800〜8000lux であることが好ましく、さらには800〜5000lux であることが好ましい。
【0027】
このような照度とすることで、フィコビリ蛋白質および脂肪酸の生産量が増加しやすい。これに対し照度が低くなると光合成の進行が阻害されやすく、照度が高くなると光合成の進行が促進されすぎて磁場の有効利用が図れなくなってしまう。
【0028】
本発明では、所定波長域で一定照度の光を照射することが好ましいので、上述のような光源を用いて光照射することが好ましいが、場合によっては太陽光、特に昼光を用いてもよい。ただし、太陽光は光合成を抑制するような波長の光を含むこと、一定照度等の光照射条件の制御が困難であることなどを考えると、その使用はあまり望ましくない。
【0029】
本発明における培養は通気下で公知の方法によって行えばよく、少なくとも一部分に磁場の印加を可能にした公知の培養装置を用いて行えばよい。このような培養装置は、例えば、西澤一俊、千原光雄「藻類研究法」共立出版(1992)、山口勝己「微細藻類の利用」日本水産学会(1992)等に記載されている。
【0030】
上記のような条件で培養することによって、スピルリナの場合には、一般的にフィコビリ蛋白質の生産量は10〜80%増加し、その含有量は乾燥重量1g 当たり110〜180mgとなる。また、脂肪酸はその組成に変化はないが、その生産量は全体で5〜50%増加し、その含有量は48〜70mg/gとなる。
【0031】
特に5〜400G の磁場の印加によって、スピルリナの場合、フィコシアニンの生産量は40〜80%増加し、その含有量は140〜180mg/gとなる。またγ−リノレイン酸の生産量は10〜50%増加し、その含有量は50〜70mg/gとなる。
【0032】
これらの有用物質を取り出すには、光合成藻類を破砕後、通常の方法によって抽出すればよい。したがって既存の設備等をそのまま利用できるので、新たな設備等を必要としない。このような抽出方法等については、西澤一俊、千原光雄「藻類研究法」共立出版(1992)等に記載されている。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0034】
実施例1
藻類の一種、Spirulina platensis IAMM-135(東京大学分子細胞生物学研究所から供与)5mg(湿重量)を使用し、30mm径200mm長さの試験管中、温度24±2度、蛍光灯により照度1200±100lux の光照射下で、480時間通気培養を行った。培養液は表1に示す組成のSOT培地を用いた。永久磁石は縦15cm、横3cm、厚さ1cmの大きさで、試験管の両側からN極とS極を向かい合わせて装着した。試験管側面にて100G 、350G 、400G および700G になるように設置した。
【0035】
また永久磁石を装着しない条件で通気培養を行った。
【0036】
【表1】
Figure 0003775855
【0037】
藻体の生育は、750nmにおける培養液の濁度(OD750 )を分光光度計(島津製作所製 SHIMADZU UV-2100)で測定し、次式に従って培地1リットル当たりの藻体の乾燥重量を求めた。
【0038】
S. platensis (g培地/リットル)=OD750 ×0.65
【0039】
磁場の強さと藻体の生育量の関係を図1に示す。
【0040】
図1から、特に400G 程度以下、とりわけ5〜400G の磁場を印加することによって藻体の生育量が磁場を印加しない場合に比べて促進されることがわかる。
【0041】
上記の培養条件で各々得られた藻体を用いてフィコシアニン、クロロフィルa、β−カロチンを、以下のようにして定量し、さらに光合成活性を評価した。
【0042】
1)フィコシアニンの定量
培養後の藻体をステンレス製ふるい166−メッシュ(90μm )を用いて集菌し、水洗後、凍結乾燥した。この乾燥試料を約5mg精秤し、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)を5ml加え、冷暗所にて2時間放置後超音波処理(28kHz )を施した。さらに、硫安を20%の飽和溶液になるように加え、冷暗所にて2時間放置した。得られた抽出液を遠心分離(4000rpm 、10分間)し、上澄み液を分光光度計を用いて650nm、620nm、565nmの吸光度A650 、A620 、A565 から、次式(西澤一俊、千原光雄「藻類研究法」共立出版(1992))を用いて乾燥試料1g 中のフィコシアニン含有量を求めた。
フィコシアニン(mg/g)=0.198A620 −0.133A650 −0.0019A565
【0043】
2)クロロフィルaの定量
上記と同様にして得た乾燥試料を約5mg精秤し、メタノール5mlを加えて、超音波処理(28kHz )をした後、暗所に30〜40分間放置して十分に抽出させた。抽出液を遠心分離して上澄み液を分光光度計により665nmの吸光度A665 を測定した。次式を用いて乾燥試料1g 中のクロロフィルaの含有量を求めた。
【0044】
クロロフィルa(μg/g )=13.4A665
【0045】
3)β−カロチンの定量
β−カロチンは以下のようにして定量した。
【0046】
市販のβ−カロチン(和光純薬製特級品)を標準物質として検量線を作成した。すなわち、上記β−カロチン100mgを精秤し、クロロホルムに溶解して0.01%溶液を調製した。この溶液を0.5ml、1ml、2ml、4ml採取し、それぞれ蒸発乾固させた後、アセトンを加えて精確に5mlとした。念の為シリンジフィルタ(0.45μm 径)を通した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量した。作成した検量線を図2に示す。高速液体クロマトグラフィーの条件を以下に示す。
【0047】
カラム :CrestPak C18T-5 ,溶離液:メタノール,カラム温度:60℃,
流速:1.5ml/min ,検知器:JASCO UV-970(測定波長450nm)
【0048】
乾燥試料約5mgを精秤し、アセトン3mlを加えて超音波処理(28kHz )した後、冷暗所にて十分抽出させた。これを遠心分離した後、上澄み液を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定を行い、保持時間からβ−カロチンを同定し、また上記で得た検量線を用いて定量した。乾燥試料1g 当たりのβ−カロチン含有量を次式により求めた。
【0049】
β−カロチン(μg/g )=(ピーク面積−1.03×105 )/(7.703 ×104
【0050】
これらの結果を図3に示す。
【0051】
図3より、フィコシアニン量は藻体の生育量と同様に、特に400G 以下、とりわけ5〜400G の磁場を印加することにより、磁場を印加しない場合に比べ、増加することがわかる。これに対してクロロフィルaおよびβ−カロチンの量はほとんど変化しない。
【0052】
4)光合成活性
光合成による酸素発生量を酸素電極(RANK BROTHER,UK) を用いて測定した。すなわち、生育定常期における細胞懸濁液をクロロフィルa量が5μg/ml程度になるようにSOT培地で希釈し、約6mlを電解室内に入れた。印加電圧0.6V(参照電極 Ag・AgCl)、光照度10000lux 、25.0℃において攪拌しながら4分間測定を行った。なお、酸素発生量は印加磁場0を100%とした相対%の酸素発生比で示した。
【0053】
結果を図4に示す。
【0054】
図4より、酸素発生量は、藻体の生育量(図1)およびフィコシアニン量(図3)と同様の傾向を示し、特に400G 以下、とりわけ5〜400G の磁場を印加することによって光合成活性が高まっていることがわかる。
【0055】
次に、脂肪酸の定量を以下のようにして行った。
【0056】
4)脂肪酸の定性および定量
乾燥試料約10mgを精秤し、これに内標準物質としてペンタデカン酸500μg を添加した。5%塩酸−メタノールによりメチルエステル化させ、n−ヘキサンで抽出後、ガスクロマトグラフィー(SHIMADZU GC-14B島津製作所)を用いて脂肪酸分析を行った。カラムはOV−17(0.252mm径、30m 高さ)を使用し、インジェクション温度200℃、カラム温度は昇温速度5℃/minで150℃から250℃までとした。内標準物質との保持時間とピーク面積比から脂肪酸の定性および定量を行った。
【0057】
この結果、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、cis −オレイン酸、trans −オレイン酸、リノール酸、γ−リノレイン酸が検出された。これらの脂肪酸の組成と印加磁場の強度との関係を図5に示す。また、脂肪酸の総量と印加磁場の強度との関係を図6に示す。なお、図5において、脂肪酸は総炭素数と二重結合数とで表示し、cis はciとtrans はtrとして表示する。
【0058】
図5、図6の結果から、磁場の印加により、脂肪酸の組成に変化はみられなかったが、脂肪酸の総量は増加することがわかる。特に400G 以下、とりわけ5〜400G の磁場の印加で脂肪酸の総量が増加することがわかる。
【0059】
また、γ−リノレン酸についてみると、100G と350G で増加することから脂肪酸の総量と同様の傾向にあることがわかる。
【0060】
実施例2
藻類を紅藻類のコラリナ(Corallina) に変え、培地組成をこれに合わせたほかは実施例1と同様にして培養および分析を行った。この結果、実施例1と同様の傾向を示すことがわかった。
【0061】
実施例3
藻類を藍藻類のアナベナ(Anabena) にし、培地をこれに合わせたほかは実施例1と同様にして培養を行い、分析したところ、実施例1と同様の傾向を示すことがわかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、光合成藻類を、好ましくは光照射と同時に、特に5〜400Gの比較的弱い磁場中で培養するだけで、光合成藻類の藻体そのものの生育量を増大させるとともに、光合成過程に直接または間接に関与するフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産量を増加させることができる。しかも分離精製において従来と同様の方法が適用できるために新たな設備等は必要としないことから、これら有用物質の生産コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】藻体の生育量と磁場の強度の関係を示すグラフである。
【図2】β−カロチンの検量線を示すグラフである。
【図3】フィコシアニン量、クロロフィルa量、β−カロチン量と磁場の関係を示すグラフである。
【図4】光合成活性(酸素発生量)と磁場の強度の関係を示すグラフである。
【図5】脂肪酸組成と磁場の強さの関係を示すグラフである。
【図6】脂肪酸総量と磁場の強さの関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 藍藻類または紅藻類から選択される光合成藻類を、5〜400 G 磁場中で光照射して培養し、フィコビリ蛋白質および/または脂肪酸を生産させることを特徴とする光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  2. 前記光合成藻類が藍藻類のスピルリナ(Spirulina)であることを特徴とする請求項1の光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  3. 前記光照射と前記磁場の印加を同期させることを特徴とする請求項1または2の光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  4. 前記光の照度が800〜8000luxであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  5. 前記フィコビリ蛋白質がフィコシアニンであることを特徴とする請求項1〜のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  6. 前記脂肪酸がγ−リノレン酸であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
  7. 磁場印加により、前記光合成藻類の藻体そのものの生育量を増大させるとともに、前記藻体からの前記フィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の収量を増大させることを特徴とする請求項1〜のいずれかの光合成藻類によるフィコビリ蛋白質および/または脂肪酸の生産方法。
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