JP3775615B2 - ポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、各種合成樹脂成形品の原料樹脂としてポリプロピレンが用いられているが、ポリプロピレンは他のポリオレフィンに比べて透明性、剛性、表面光沢、耐熱性等に優れている反面、溶融加工性に問題があり、中空成形、押出成形、発泡成形等の成形性に劣るという欠点がある。
【0003】
特に、ポリプロピレンと発泡剤とを押出機内で溶融混練した後、この溶融混練物を押出発泡させてポリプロピレン樹脂発泡体を得ようとする場合には、次のような問題があった。即ち、ポリプロピレンは温度による粘度変化が大きいため、独立気泡を有する良好な発泡体が得られる粘度を維持するのはきわめて困難であり、押出発泡時の粘度が低過ぎると溶融混練物からの発泡剤の逃散が速く連続気泡構造の発泡体となってしまい、逆に高過ぎると均一な発泡が阻害されて表面が凹凸の発泡体になってしまうというような成形上の問題を有している。
【0004】
このため従来より、上記問題を解決するために種々の提案がなされている。例えば特開昭62−201942号公報には、特定のMFI(メルトフローインデックス)を有するポリプロピレンに過酸化物を溶融混練し、過酸化物によりポリプロピレンを架橋して押出発泡する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、この方法では加熱され溶融状態にあるポリプロピレンに過酸化物を混入しているため、過酸化物は混入されたとたんに分解してしまい、ポリプロピレンを架橋するに至らなかったり、架橋できたとしても過酸化物とポリプロピレンとが充分に混合されないうちに反応が起こってしまい均質なものが得られ難い。上記公報では、1分間半減期温度の高い過酸化物を用いることで均一な架橋反応が期待できるとされているが、それとて限界があり、充分に満足できる結果は得られておらず、ポリプロピレンの溶融加工性を改善するという点においても未だ不充分なものであった。
【0006】
また、加熱下に混入された過酸化物はポリプロピレンの主鎖を切断し、低分子量化による粘度低下を引き起こしてしまう虞もあり、これを防止するには主鎖切断防止剤を多量に添加しなければならない。
【0007】
しかしながら、通常用いられる主鎖切断防止剤はポリプロピレンとの相溶性が充分でないため、多量に添加された主鎖切断防止剤は分散不良による物性の不均一化を招いてしまうばかりか、主鎖切断防止剤は過酸化物と反応してそれ自身が重合してしまうこともあり、これによっても物性の不均一化を招いてしまったり、ポリプロピレンの均一な架橋を阻害してしまうという問題があった。
【0008】
一方、特開昭62−121704号公報によれば、直鎖状ポリプロピレンに活性酸素の存在下で電子線やガンマ線等の高エネルギーイオン化放射線を照射して長鎖分岐を生じさせることにより、ポリプロピレンの溶融加工性を改善することができるとされている。
【0009】
しかしながら、このような方法では特定濃度の活性酸素が存在する雰囲気下で高エネルギーイオン化放射線を照射して反応を行い、放射線を照射した後には放射線照射によって生じた遊離基を失活させなければならない等、操作も複雑であり、また、高エネルギーイオン化放射線を照射するための設備も必要となるため、コスト的にも不利であるというような不具合があった。
【0010】
本発明者らは、上記従来技術の有する問題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、1分間半減期温度がポリプロピレンの融点以下の過酸化物を用いて、該過酸化物を水性媒体中でポリプロピレン粒子に含浸させた後に、過酸化物を分解せしめてポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得ることにより、溶融張力等の物性が改質され、溶融加工性にも優れた均質なポリプロピレンが容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は(1)ポリプロピレン粒子と、1分間半減期温度がポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンの融点以下である過酸化物と、主鎖切断防止剤とを水性媒体中に投入して攪拌し、上記過酸化物及び主鎖切断防止剤をポリプロピレン粒子に含浸させた後、過酸化物を分解せしめて原料ポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得て、該ポリプロピレン粒子を使用して押出発泡することを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法、(2)主鎖切断防止剤が予め含有されたポリプロピレン粒子と、1分間半減期温度がポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンの融点以下である過酸化物とを水性媒体中に投入して攪拌し、上記過酸化物をポリプロピレン粒子に含浸させた後、過酸化物を分解せしめて原料ポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得て、該ポリプロピレン粒子を使用して押出発泡することを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法、(3)過酸化物の1分間半減期温度が100℃〜〔原料ポリプロピレンの融点−10℃〕である上記(1)又は(2)記載のポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法、(4)ポリプロピレン粒子の平均重量が5mg/1個以下である上記(1)、(2)又は(3)記載のポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法、を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いる原料ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマーであるのが特に好ましいが、プロピレンと他のモノマー成分とを共重合させた共重合体であっても良い。
【0014】
本発明においてプロピレンと他のモノマー成分との共重合体を原料ポリプロピレンとして用いる場合、他のモノマー成分は共重合体中に、ランダム共重合体の場合には5.0重量%以下、ブロック共重合体の場合には20.0重量%以下の割合で含有されているのが好ましい。共重合体中に含有される他のモノマー成分がこれよりも多いと、ポリプロピレン本来の透明性、剛性、表面光沢、耐熱性等の特性が損なわれてしまうため好ましくない。
【0015】
プロピレンと共重合可能な他のモノマー成分としては、エチレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらの共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも良く、更に二元系のみならず三元系共重合体であっても良い。
【0016】
また、上記原料ポリプロピレンは単独で用いるのみならず、2種以上を混合して用いることもできる。更に、原料ポリプロピレンには、前記したようなポリプロピレン本来の特性が損なわれない範囲で、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂、ブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂等を必要に応じて混合することもできる。
【0017】
尚、本発明で用いる原料ポリプロピレンは、メルトフローインデックス(JIS K 7210の表1の条件14)が1〜20g/10分であるのが好ましい。また、原料ポリプロピレンの融点は135℃以上であるのが好ましいが、望ましく145℃であり、より望ましくは155℃以上である。
【0018】
本発明におけるポリプロピレン粒子は、上記したような原料ポリプロピレンを用いて粒子状に成形されたものである。該ポリプロピレン粒子の具体的な形状は特に限定されず、球状、楕円球状、円柱状、不定形状等、任意の形状を採用することができるが、過酸化物や主鎖切断防止剤の均一な含浸が効率良く短時間で行なわれるようにするためには、ポリプロピレン粒子の体積を小さくし且つ比表面積が大きくなるようにするのが好ましい。そのためにはポリプロピレン粒子1個当たりの平均重量が5mg/1個以下であるのが好ましく、より好ましくは4mg/1個以下である。
【0019】
尚、上記の場合、ポリプロピレン粒子の平均重量は、無作為に選んだ20個のポリプロピレン粒子の総重量を計測し、相加平均することにより求めるものとし、全てのポリプロピレン粒子が5mg/1個以下である必要はない。
【0020】
また、本発明における過酸化物には、ポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンを架橋させることができるとともに、1分間半減期温度、即ち過酸化物の半減期が1分となる分解温度が、上記原料ポリプロピレンの融点以下のものが用いられる。1分間半減期温度が原料ポリプロピレンの融点よりも高い過酸化物を用いた場合には、原料ポリプロピレンが分解して本発明の効果が得られず、逆に溶融加工性を低下させてしまう。
【0021】
本発明において原料ポリプロピレンが分解されるのをより確実に防止するためには、過酸化物の1分間半減期温度は、使用する原料ポリプロピレンの融点よりも10℃以上低いことが望まれる。また、過酸化物の1分間半減期温度が低すぎる場合には、過酸化物を低温で保存しなければならないといった保管上の不具合があり、このような不具合を回避するためには、過酸化物の1分間半減期温度は100℃以上であることが望まれる。従って、本発明で使用される過酸化物は、その1分間半減期温度が100℃〜〔原料ポリプロピレンの融点−10℃〕であるのが望ましい。
【0022】
ここで、原料ポリプロピレンの融点は、原料ポリプロピレン3〜5mgを、示差走査熱量測定装置により、昇温速度10℃/分で室温から220℃まで昇温して1回目のDSC曲線を得た後、直ちに降温速度10℃/分で40℃まで降温し、その後もう一度昇温速度10℃/分で220℃まで昇温したときに得られる2回目のDSC曲線上の最も高温側に現れるピークの頂点の温度をいうものとする。
【0023】
このような過酸化物としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、m−トルオイル−ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。本発明で用いる過酸化物は、上記したもののなかでもラウロイルパーオキサイド、m−トルオイル−ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドが、取り扱い易いという点で好ましい。
【0024】
また、本発明において主鎖切断防止剤は、過酸化物により原料ポリプロピレンの主鎖が切断されてしまうのを防ぐために用いられる。このような主鎖切断防止剤としては、例えば、メチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート等を挙げることができるが、これらのなかでもビニル結合を1分子中に2つ有する反応性の高いジビニルベンゼンを用いるのが好ましい。
【0025】
本発明にあっては、先ず、上記ポリプロピレン粒子、過酸化物及び主鎖切断防止剤を水性媒体中に投入してこれらを攪拌し、過酸化物が分解してしまうのを極力抑え、少なくとも投入した過酸化物の全量の半分以上が残存するような温度と時間で、ポリプロピレン粒子に過酸化物や主鎖切断防止剤を含浸させる。
【0026】
具体的には、過酸化物の10時間半減期温度、即ち過酸化物の半減期が10時間となる分解温度に加熱して1〜6時間、好ましくは1.5〜4.5時間保持することにより、ポリプロピレン粒子への過酸化物や主鎖切断防止剤の含浸を行なう。
【0027】
本発明で用いる水性媒体には、通常は界面活性剤を添加した水が用いられる。このような水性媒体は熱伝導性が良く良好な加熱媒体となるので、投入されたポリプロピレン粒子等を均一に加熱することができ、また温度制御も容易であるため、過酸化物や主鎖切断防止剤のポリプロピレン粒子への均一な含浸が容易に行なえる。
【0028】
本発明において水性媒体は、ポリプロピレン粒子100重量部に対し、好ましくは150〜500重量部使用する。
【0029】
また、過酸化物の使用量は、ポリプロピレン粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5重量部である。3.0重量部を越えると、ポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンが分解し易くなってしまうため好ましくなく、しかも、この場合に原料ポリプロピレンの分解を防ぐためには主鎖切断防止剤を多量に添加しなければならず、多量の主鎖切断防止剤の添加は、ポリプロピレンにゲルが生じ易くなってしまうという不具合を招いてしまう。一方、過酸化物の使用量が0.1重量部に満たないと、特に5〜30倍の発泡倍率をもつポリプロピレン押出発泡体を製造するに適した溶融加工性をポリプロピレンに充分に付与できなくなってしまう虞があるため好ましくない。
【0030】
主鎖切断防止剤の使用量はその種類によっても異なるが、通常はポリプロピレン100重量部に対し、0.01〜5.0重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.03〜1.0重量部である。5.0重量部を越えると、ポリプロピレンにゲルが生じ易くなるため好ましくない。0.01重量部に満たないと、ポリプロピレンが分解し易くなるため好ましくない。
【0031】
本発明にあっては、上記したようにして水性媒体を使用してポリプロピレン粒子に主鎖切断防止剤を含浸させる以外にも、主鎖切断防止剤を予めポリプロピレン粒子に含有させておき、その後水性媒体を使用して該粒子に過酸化物を含浸させるようにすることもできる。ポリプロピレン粒子に予め主鎖切断防止剤を含有させておくには、例えば、押出機内で原料樹脂と主鎖切断防止剤とを溶融混練した後、この溶融混練物を粒子状に成形する等すれば良い。但し、この場合には、時間の経過とともに主鎖切断防止剤の一部がポリプロピレン粒子から気化散逸してその含有量が減少してしまう虞があるため、主鎖切断防止剤を含有せしめたポリプロピレン粒子を造粒した後は、比較的早い時期に該ポリプロピレン粒子に過酸化物を含浸させて後述する架橋工程を経ることが望まれる。
【0032】
次に、本発明にあっては、好ましくは100℃〜〔原料ポリプロピレンの融点−10℃〕であり且つ使用する過酸化物の1分間半減期温度となる温度条件下で、5〜120分、好ましくは15〜60分間保持することによりポリプロピレン粒子に含浸させた過酸化物を分解せしめ、原料ポリプロピレンを溶融させることなく僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得る。
【0033】
尚、ゲル分率は、キシレン100g中に試料約1gを入れて8時間煮沸した後、100メッシュの金網で速やかに濾過し、次いで該金網上に残った沸騰キシレン不溶解成分を20℃で24時間乾燥させてから重量:G(g)を測定し、次式により求めたものである。また、本発明において、実質ゲル分率0%とは次式により求められるポリプロピレンのゲル分率が0.5%未満であることを意味する。
【数1】
ゲル分率(重量%)=〔G(g)/試料重量(g)〕×100
【0034】
本発明では、1分間半減期温度が原料ポリプロピレンの融点以下の過酸化物を用いることにより、原料ポリプロピレンの融点以下の温度で原料ポリプロピレンを溶融させることなく架橋させることができるので、従来のように加熱され溶融状態にある原料ポリプロピレンに過酸化物を混入するのとは異なり、投入したとたんに過酸化物が分解してしまうことがなく、また、架橋反応を開始させる前にポリプロピレン粒子に予め過酸化物を含浸させておくことによって架橋反応の均一化を図ることができるため、品質の安定したものを得ることができる。
【0035】
更に、本発明にあっては、原料ポリプロピレンを加熱溶融することなく過酸化物を含浸させるので、過酸化物による原料ポリプロピレンの主鎖の切断が起こり難く、主鎖切断防止剤の使用量を比較的少なくすることができるため、多量の主鎖切断防止剤の混入による物性の不均一化を引き起こす虞がない。
【0036】
このように本発明ではポリプロピレンは改質されて、溶融張力が高く、成形性にも優れ、品質の安定したものとなっており、特に発泡倍率5〜30倍(発泡体密度でいえば0.030〜0.18g/cm3 )のポリプロピレン発泡体を押出発泡により製造するのに好適である。
【0037】
次に、本発明ポリプロピレン発泡体の製造方法について説明する。
【0038】
本発明ポリプロピレン発泡体の製造方法は、前述したようにして得られたポリプロピレン粒子を用いて押出発泡するというものである。本発明における具体的な押出発泡法としては、例えば、押出機内でポリプロピレン粒子と発泡剤とを溶融混練した後、この溶融混練物を押出機先端に取り付けたダイスを通して低圧下に押し出して発泡する等の公知の方法を採用することができる。また、本発明により得られる発泡体は、シート状の発泡体でも板状の肉厚発泡体でも良い。
【0039】
本発明で用いる発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤等を用いることができる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素等を用いることができる。揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。また、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等を用いることができる。
【0040】
本発明において発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望する発泡倍率等によっても異なるが、例えば、密度0.2〜0.013g/cm3 程度の発泡体を得るための発泡剤の使用量の目安は、ポリプロピレン粒子100重量部当たり揮発性発泡剤0.5〜25重量部(ブタン換算)程度である。また、密度0.09g/cm3 を越える発泡体を得るための発泡剤の使用量の目安は、樹脂100重量部当たり、無機発泡剤の場合0.1〜10重量部程度、分解型発泡剤の場合0.1〜5重量部程度である。
【0041】
また、本発明ではポリプロピレン粒子と発泡剤との溶融混練物中に、更に気泡調整剤を添加しても良い。気泡調整剤としてはタルク、シリカ等の無機粉末や多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤はポリプロピレン粒子100重量部あたり13重量部程度以下添加することが好ましい。また、必要に応じて、更に熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を添加することもできる。
【0042】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0043】
実施例1〜7、比較例1〜4
容積5リットルのオートクレーブ中に、水250重量部にドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.01重量部を添加してなる水性媒体を入れ、これに表1に示すポリプロピレン粒子、過酸化物、主鎖切断防止剤を投入してオートクレーブの蓋を閉じた。次いで、オートクレーブ内の上部空間に窒素ガスを流入させて、該空間の酸素濃度が0.2体積%以下となるように窒素置換を行なった。
【0044】
上記操作において、ポリプロピレン粒子の使用量は100重量部であり、過酸化物、主鎖切断防止剤の使用量は表1に併せて示した。また、実施例3、4、7、比較例1、3については、次の点で他の実施例、比較例と操作を異ならせ、それ以外の操作は他の実施例、比較例と同様に行なった。
【0045】
実施例3、4では主鎖切断防止剤が予め含有されたポリプロピレン粒子を使用したので、水性媒体への主鎖切断防止剤の投入は行なわなかった。実施例7ではオートクレーブの蓋を閉じた後に行なう窒素置換を省略した。比較例1では水性媒体を使用せずに、表1に示すポリプロピレン粒子、過酸化物、主鎖切断防止剤だけをオートクレーブ中に投入してその後の操作を行なった。比較例3では主鎖切断防止剤を使用しなかった。
【0046】
次に、オートクレーブ内を攪拌しながら、2℃/分の昇温速度で用いた過酸化物の10時間半減期温度まで加熱して、その温度で2時間保持した。その後、2℃/分の昇温速度で用いた過酸化物の1分間半減期温度まで加熱して、その温度で20分間保持し、しかる後に冷却してオートクレーブからポリプロピレン粒子を取り出した。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例及び比較例に用いたポリプロピレン粒子の詳細は以下の通りである。
X:平均重量18.0mg/1個のポリプロピレン粒子〔出光石油化学製E250G;融点163.7℃〕
Y:平均重量18.0mg/1個のポリプロピレン粒子〔日本ポリオレフィン製M7500;融点162.8℃〕
MX:上記粒子Xを押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるようにカットしたもの。
MY:上記粒子Yを押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるようにカットしたもの。
XY1:上記粒子Xと上記粒子Yとを重量比2:8でブレンドして押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるようにカットしたもの〔融点162.7℃〕。
XY2:上記粒子Xと上記粒子Yとを重量比4:6でブレンドして押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるようにカットしたもの〔融点162.9℃〕。
XMMA:上記粒子X100重量部当たり0.25重量部のメチルメタアクリレート(MMA)を主鎖切断防止剤として配合し、これらを押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるようにカットしたもの。
YDVB:上記粒子Y100重量部当たり0.1重量部のジビニルベンゼン(DVB)を主鎖切断防止剤として配合し、これらを押出機内で溶融混練してストランド状に押し出し、平均重量2.5mg/1個となるとうにカットしたもの。
【0049】
また、過酸化物には以下のものを用いた。尚、実施例及び比較例で用いた過酸化物の1分間半減期温度、10時間半減期温度を表1に併せて示した。
A:ラウロイルパーオキサイド〔日本油脂製パーロイルL〕
B:m−トルオイル−ベンゾイルパーオキサイド〔日本油脂製ナイパーBMT−K40〕
C:ベンゾイルパーオキサイド〔日本油脂製ナイパーFF〕
D:ジクメニルパーオキサイド〔日本油脂製パークミルD〕
E:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3〔日本油脂製パーヘキシン25B〕
F:ビス(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート〔日本油脂製パーロイルTCP〕
【0050】
また、主鎖切断防止剤にはメチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートを用い、表1中それぞれをMMA、DVB、TACと略記した。
【0051】
改質されたポリプロピレン粒子の溶融張力、剪断速度100sec-1における溶融粘度を以下の測定方法により測定した。測定結果及び単位溶融粘度当たりの溶融張力を表2に示す。尚、ポリプロピレン粒子X、Yに関する上記溶融特性を、それぞれ参考データ1、2として参考までに表2に併記した。
【0052】
〔溶融張力の測定方法〕
溶融張力は、(株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型にて、ノズル径が2.0mm、L/Dが5のノズルを用い、樹脂温度230℃、押出し速度10mm/分の条件にて測定した。
【0053】
〔溶融粘度の測定方法〕
溶融粘度は、溶融粘度測定装置としてチアスト社製のレオビス2100を用い、被測定粒子の溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、樹脂温度230℃、剪断速度100sec-1の条件で押出し流出させることによって測定した。この場合、そのノズルの孔直径Dは1.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは10とした。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例8〜14、比較例5〜9
次に、上記の如くして得られたポリプロピレン粒子を、表3に示す割合でブタンとともに50mmφの単一スクリューを備えた押出機(L/Dは46)へ配合し、溶融混練した後、押出機先端に取り付けた径75mmφ、間隙0.3mmのリップを有するサーキュラーダイスを通して押出発泡してチューブ状の発泡体を得、次いでこのチューブを切り開いて発泡シートを得た。発泡シートの発泡状況及び発泡体密度を表3に併せて示す。
【0056】
【表3】
【0057】
本実施例により得られた発泡シートは、いずれも良好に発泡しており、また、品質も安定したものであった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、1分間半減期温度がポリプロピレンの融点以下の過酸化物を用いて、該過酸化物を水性媒体中でポリプロピレン粒子に含浸させた後に、過酸化物を分解せしめてポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得ることにより、溶融張力等の物性が改質され、溶融加工性にも優れた均質なポリプロピレンを容易に得て、比較的低密度の発泡体を良好に製造することができる。
【0059】
また、本発明ポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法によれば、得られる発泡体の品質も非常に安定したものである。
Claims (4)
- ポリプロピレン粒子と、1分間半減期温度がポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンの融点以下である過酸化物と、主鎖切断防止剤とを水性媒体中に投入して攪拌し、上記過酸化物及び主鎖切断防止剤をポリプロピレン粒子に含浸させた後、過酸化物を分解せしめて原料ポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得て、該ポリプロピレン粒子を使用して押出発泡することを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法。
- 主鎖切断防止剤が予め含有されたポリプロピレン粒子と、1分間半減期温度がポリプロピレン粒子に用いた原料ポリプロピレンの融点以下である過酸化物とを水性媒体中に投入して攪拌し、上記過酸化物をポリプロピレン粒子に含浸させた後、過酸化物を分解せしめて原料ポリプロピレンを僅かに架橋させて実質ゲル分率0%のポリプロピレン粒子を得て、該ポリプロピレン粒子を使用して押出発泡することを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法。
- 過酸化物の1分間半減期温度が100℃〜〔原料ポリプロピレンの融点−10℃〕である請求項1又は2記載のポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法。
- ポリプロピレン粒子の平均重量が5mg/1個以下である請求項1、2又は3記載のポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15293197A JP3775615B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-05-27 | ポリプロピレン樹脂発泡体の製造方法 |
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