JP3775350B2 - 清拭剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗面器等の中で水または温湯で希釈して使用する皮膚用の清拭剤組成物に関する。さらに詳しくは、十分な洗浄性を有し、使用後に肌がべたつかず、肌のうるおいを十分に保つとともに肌荒れを防ぎ、しかも再汚染し難い、経時安定性に優れた清拭剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
人が生活していく上においては、外界からの汚れや皮脂、汗等の分泌物による汚れを定期的に拭い去る必要がある。通常、固形または液体の石けん等を使用して入浴時等に自分で洗浄することにより汚れを除去する。しかし、赤ちゃんや身体の不自由な人の場合にはそれが困難であるため、介護者が濡れタオル等を使用して汚れを拭き取ることにより身体を清浄にしなければならない。このような場合に身体をより清潔にするために使用される薬剤を「清拭剤」と称し、一般的には、洗面器等を使用して、温湯で希釈して使用するか、あるいは希釈せずに直接使用する。
【0003】
希釈して使用するタイプの清拭剤は、通常、約10倍〜1000倍程度に温湯で希釈して使用されることから、処方中の有効成分量が低下し、洗浄性や使用後の保湿性の面では希釈せずに使用するタイプに比べて不利である。しかし、この希釈タイプの清拭剤は、温湯による入浴効果(例えば、さっぱり感、爽快感、保温感)も期待できるので、被介護者からみても快適である。また、一回の薬剤使用量が少ないので、消費者にとってもコストメリットが高く感じられる。そのため、老人介護や赤ちゃんの清拭等において一般的に使用されるタイプとなっている。
【0004】
特に近年、高齢化社会になっていくにつれ、清拭剤の需要も急速に高まっており、より機能的で優れた清拭剤の開発が望まれている。これまでに、特開昭64−38018号公報および特開昭64−79108号公報に記載のジメチルポリシロキサンやポリエーテル変性シリコーンを主成分とする清拭剤が開発されているが、いずれも洗浄性が十分でなく、また、使用後の肌に十分なはりとうるおいを与えることができない。さらに、使用後の肌に十分なバリア性を付与して肌荒れを防ぎ、特に別の部位を拭く時(再拭時)に汚物等の汚れがタオルなどから移る再汚染を防止するという効果は有していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決し、希釈して使用するタイプの清拭剤において、十分な洗浄性を有し、使用後に肌がべたつかず、十分なはりとうるおいを保つとともに肌荒れを防ぎ、しかも再拭時に再汚染し難く、経時安定性に優れた清拭剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために研究を重ねたところ、特定のシリコーン化合物、特定の脂肪酸石けん、水溶性多価アルコールおよび特定の植物抽出エキス2種以上を特定の比率で組み合わせることにより、目的の清拭剤組成物を得るに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(a)式(I)
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1は各々独立してメチル基またはフェニル基を示し、そして複数のR1の少なくとも1つはメチル基であり;R2は各々独立してメチル基、水酸基、またはR3Zを示し;R3は各々独立して炭素数3〜6のアルキレン基を示し;Zは−N(R4)2または−NR4(CH2)aN(R4)2で示されるアミノ基を示し、ここで、R4は各々独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、そしてaは2〜6の整数であり;そして、mおよびnはそれぞれ0〜20000の整数であり、かつm+n=30〜20000である)で示されるアミノ変性シリコーン0.1〜20重量%、
(b)式(II)
R5COOM (II)
(式中、R5COOは炭素数8〜24の直鎖または分岐の脂肪酸残基を示し;そしてMはアルカリ金属原子を示す)で示される脂肪酸石けん0.5〜10重量%、
(c)水溶性多価アルコール1〜50重量%、
(d)ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキス0.00005〜2重量%(乾燥残留物として)、および
(e)ドクダミ科ドクダミ属の植物(Houttuynia Thunb)抽出エキス、キク科ヨモギ属の植物(Artemisia L)抽出エキス、およびミカン科キハダ属の植物(Phellodendron Rupr.)抽出エキスからなる群より選択される少なくとも1種の抽出エキス0.00005〜2重量%(乾燥残留物として)
を含有する、清拭剤組成物を提供する。
【0010】
好適な実施態様では、上記(b)の脂肪酸残基は、cis−Δ9−オクタデセン酸を75重量%以上の割合で、そして該cis−Δ9−オクタデセン酸を含むcis−△9−不飽和脂肪酸を85重量%以上の割合で含有する脂肪酸の残基である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の清拭剤組成物は、以下の(a)〜(e)の成分を含む。本発明の清拭剤組成物の各成分の含有量は、溶媒(通常、水)を含む組成物全量に対する含有量である。
【0012】
(a)アミノ変性シリコーン
アミノ変性シリコーンは、式(I)
【0013】
【化3】
【0014】
で示される化合物である。
【0015】
式(I)において、R1は各々独立してメチル基またはフェニル基を示し、そして複数のR1の少なくとも1つはメチル基である。
【0016】
R2は各々独立してメチル基、水酸基、またはR3Zを示す。
【0017】
R3は各々独立して炭素数3〜6のアルキレン基を示し、好ましくは−(CH2)3−である。
【0018】
Zは−N(R4)2または−NR4(CH2)aN(R4)2で示されるアミノ基を示し、好ましくは、−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NH(CH2)2NH2、−NH(CH2)2NHCH3、または−NH(CH2)2N(CH3)2である。ここで、R4は各々独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、そしてaは2〜6の整数である。
【0019】
mおよびnはそれぞれ0〜20000の整数であり、かつm+n=30〜20000である。m+nは、好ましくは100〜20000、さらに好ましくは1000〜20000である。
【0020】
アミノ変性シリコーンは、本発明の清拭剤組成物中に、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%の割合で含有される。0.1重量%未満では使用後にべたつきを有するだけでなく、再汚染防止効果が弱くなり、20重量%を超えると均一に配合することが困難になるだけでなくコスト的に不利である。
【0021】
(b)脂肪酸石けん
脂肪酸石けんは、式(II)
R5COOM (II)
(式中、R5COOは炭素数8〜24の直鎖または分岐の脂肪酸残基を示し;そしてMはアルカリ金属原子を示す)で示される、脂肪酸のアルカリ金属塩である。
【0022】
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖脂肪酸;イソステアリン酸等の分岐飽和脂肪酸;ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸が挙げられる。中でも安定性、洗い上がりの感触、および肌荒れ防止効果の点から、cis−Δ9−オクタデセン酸(通称:オレイン酸)を75重量%以上の割合で含み、かつ該オレイン酸を含むcis−Δ9−不飽和脂肪酸が全体の85重量%以上の割合で含有される脂肪酸が好ましく、cis−Δ9−オクタデセン酸(オレイン酸)を80重量%以上の割合で含み、かつ該オレイン酸を含むcis−Δ9−不飽和脂肪酸が全体の85重量%以上の割合で含有される脂肪酸がさらに好ましい。
【0023】
Mのアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、安定性や溶解性の点で、カリウムが好ましい。
【0024】
脂肪酸石けんは、本発明の清拭剤組成物中に0.5〜10重量%、好ましくは0.7〜8重量%、さらに好ましくは1〜7重量%の割合で含有される。0.5重量%未満では洗浄性が悪くなるだけでなく、肌荒れ防止効果が弱くなる。10重量%を超えると、使用後にきしきし感が残り、うるおい感も不足して感触が悪くなるとともに、安定性に問題を生じ易くなる。
【0025】
(c)水溶性多価アルコール
水溶性多価アルコールは、1分子内に水酸基を2個以上有する水溶性の化合物であり、一般的に化粧料等で保湿剤として使用される物質である。具体的には例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。中でも好ましいアルコールは、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、およびポリエチレングリコールであり、さらに好ましくは分子量600〜4000のポリエチレングリコールである。
【0026】
水溶性多価アルコールは、本発明の清拭剤組成物全量中に、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは3〜30重量%の割合で含有される。1重量%未満では洗浄後の感触や安定性が悪くなり、50重量%を超えると希釈時の分散性が悪くなる。
【0027】
(d)ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキス
ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキスは、ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)の葉より、水および低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)から選択される少なくとも1種の溶媒で抽出されたエキスである。ここで、茶は一般的に2種に大別され、1種はいわゆる緑茶として使用されるvar. sinensisであり、もう1種は紅茶として使用されるvar. assamica (Mast.) Kitam.である。本発明においてはこの2種のどちらを用いても良い。これらの茶葉よりエキスを抽出する際においては、通常その前処理として、乾燥、発酵(茶葉中の酵素による)、蒸す、炒る等の処理を行うことが好ましい。例えば、生茶葉をそのまま加熱処理をする不発酵茶としては、緑茶、黄茶、黒茶等が挙げられ、具体的には、玉露、煎茶、抹茶、番茶、ほうじ茶等の蒸製の茶;玉緑茶、中国緑茶等の釜炒製の茶がある。発酵工程(茶葉中の酵素による茶葉成分の酸化反応)を伴う発酵茶としては、紅茶、白茶等が挙げられ、その中間の半発酵茶としてはウーロン茶等が挙げられる。
【0028】
ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキスは、本発明の清拭剤組成物中に、乾燥残留物として0.00005〜2重量%、好ましくは0.00007〜1.5重量%、さらに好ましくは0.0001〜1重量%の割合で含有される。0.00005重量%未満では、使用後のうるおいおよび肌荒れ防止効果が弱くなり、2重量%を越えると、安定性に問題を生じるだけでなくコスト的に不利である。本発明でいう乾燥残留物とは、通常、抽出エキスを105℃で乾燥するかまたは減圧乾固して溶媒を除去した時の残留物である溶質をいう。なお、抽出溶媒が不揮発性である場合には、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより溶媒量を定量した値から、溶質量を算出し、乾燥残留物量とみなす。
【0029】
(e)(d)以外の植物抽出エキス
本発明本発明の清拭剤組成物には、上記(d)のツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキス以外に、以下の(i)〜(iii)の植物抽出エキスからなる群より選択される少なくとも1種が含有される。
【0030】
(i)ドクダミ科ドクダミ属の植物(Houttuynia Thunb)抽出エキス
これは、ドクダミ科ドクダミ属の植物(Houttuynia Thunb.)の地上部もしくは全草から、水および低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)から選択される少なくとも1種の溶媒で抽出したエキスである。好ましくはドクダミ科ドクダミ属ドクダミ(H. cordata Thunb.)の開花期の地上部(通称生薬名で「ジュウヤク」と呼ばれるもの)から抽出したエキスである。
【0031】
(ii)キク科ヨモギ属の植物(Artemisia L.)抽出エキス
これは、キク科ヨモギ属の植物(Artemisia L.)の葉または全草から、水および低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)から選択される少なくとも1種の溶媒で抽出したエキスである。例えば、ニガヨモギ(A. absinthium L.)、力ワラヨモギ(A. capillaris Thunb.)、オトコヨモギ(A. japonica Thunb.)、ヨモギ(A. princeps Pamp.)、ミブヨモギ(A. maritima L.)、モウコヨモギ(A. mongoria Fisch.)、ヤマヨモギ(A. montana Pamp.)等から抽出したエキスが挙げられる。好ましくは、オトコヨモギ(A. japonica Thunb.)、ヨモギ(A. princeps Pamp.)、モウコヨモギ(A. mongoria Fisch.)、またはヤマヨモギ(A. montana Pamp.)の葉から抽出したエキスである。
【0032】
(iii)ミカン科キハダ属の植物(Phellodendron Rupr.)抽出エキス
これは、ミカン科キハダ属の植物(Phellodendron Rupr.)の樹皮から、水および低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)から選択される少なくとも1種の溶媒で抽出したエキスである。好ましくは、キハダ(P. amurense Rupr.)の周皮を除いた樹皮(通称は生薬名で「黄蘗」もしくは「黄柏」と呼ばれるもの)から抽出したエキスである。
【0033】
ドクダミ属、ヨモギ属、またはキハダ属植物抽出エキスは、本発明の清拭剤組成物全量中に、乾燥残留物として0.00005〜2重量%、好ましくは0.00007〜1.6重量%、さらに好ましくは0.0001〜1重量%の割合で含有される。0.00005重量%未満では、肌荒れ防止効果および肌のはりが弱くなり、2重量%を超えると、安定性に問題を生じ易くなるだけでなくコスト的に不利である。
【0034】
本発明の清拭剤組成物には、化粧料に通常用いられている添加剤を、本発明の組成物の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えば、以下のような添加剤が挙げられる:エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素系油;牛脂、豚脂、魚油等の天然油脂類;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の合成トリグリセライド;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油;ミツロウ、カルナウバロウ等のロウ類;直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体;セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチン等の油性基剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤;石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルザルコシン塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸べタイン、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸べタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩等の両性界面活性剤;アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシド等の半極性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤;アルキルアミンまたはアミドアミンの塩酸塩および酢酸塩;タルク、カオリン、セリサイト、雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、硫酸バリウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、セラミックス等の無機物の粉末;結晶セルロース、ポリエチレン粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末等の有機粉末;酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄(ベンガラ)、黄土、カーボンブラック、コバルトバイオレット、酸化クロム、群青等の無機顔料;酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、橙色204号、黄色205号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色6号、青色1号等のジルコニウム化合物;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素;アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸アクリルエステルとの共重合体等の水溶性高分子;硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の無機または有機塩類;酸およびアルカリ等のpH調整剤;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤;紫外線吸収剤;抗炎症剤;動植物由来の天然エキス;香料等。
【0035】
特に香料等を添加する場合に、より安定性を向上させることを目的として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを1〜20重量%配合することが好ましい。
【0036】
本発明の清拭剤組成物は、特定の成分を所定の割合で含有するので、十分な洗浄性を有し、使用後に肌がべたつかず十分なはりとうるおいを保つとともに肌荒れを防止する。しかも再拭時に再汚染し難く、経時安定性にも優れており、長期保存が可能である。この組成物は、約50〜1000倍、好ましくは約100〜800倍に希釈して使用するため、コストメリットもある。したがって、肌の清拭剤として好適である。
【0037】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、製造した清拭剤組成物について、以下に記載の(1)〜(5)の方法によって、その性能を評価した。
【0038】
(1)洗浄性と再汚染防止力
清拭剤組成物を精製水で600倍に希釈し、(財)洗濯化学協会製「湿式人工汚染布」(JIS−C9606規格)を用いてTerg-0-tometerにより40℃で10分間洗浄してから同量の水で3回すすいだ。その後、脱水、風乾し、日本電色工業(株)製「カラーテスター」により白度の測定を行った。洗浄前と洗浄後の白度の変化率から下記の式により計算して洗浄率を算出し、以下の基準で洗浄性を評価した。また、同時に白布も汚染布と一緒に洗浄し、白度の変化率から再汚染率を算出し、以下の基準で再汚染防止力を評価した。
【0039】
洗浄率(%) = (C−B)/(A−B) × 100
再汚染率(%) = (A−D)/A × 100
白布の白度:A
洗浄前の汚染布の白度:B
洗浄後の汚染布の白度:C
汚染布と一緒に洗浄した白布の白度:D
【0040】
洗浄性:
○:洗浄性が良好(洗浄率が25%以上)
×:洗浄性が不良(洗浄率が25%未満)
再汚染防止力:
○:再汚染防止力が良好(再汚染率が5%以下)
×:再汚染防止力が不良(再汚染率が5%を超える)。
【0041】
(2)使用後の肌のべたつき
13名の女性(32才〜45才)および7名の男性(33才〜44才)をパネラーとした。洗面器を使用して清拭剤組成物5mLを約40℃の温湯約3Lで希釈(約600倍)し、この液に綿タオルを浸した後、軽く絞った。この清拭剤組成物を含浸させた綿タオルで身体全体を拭き、その後の肌のべたつきについて下記のように採点した。
【0042】
2点:使用後に肌がべたつかないと感じた場合
1点:使用後に肌がややべたつくと感じた場合
0点:使用後に肌がべたついて気持ち悪いと感じた場合。
【0043】
20名の平均値を求めて、以下の基準で使用後のべたつき感を評価した。
○:べたつき感がなく良好(平均値1.5点以上)
×:べたつき感があり不良(平均値1.5点未満)。
【0044】
(3)使用後の肌のはりおよびうるおい
13名の女性(32才〜45才)および7名の男性(33才〜44才)をパネラーとした。上記(2)と同様に清拭剤組成物を含浸させた綿タオルで、身体全体を拭き、15分後の肌のうるおいについて下記のように採点した。
【0045】
2点:肌にはりとうるおいがあり、健康な肌であると感じた場合
1点:肌がややかさかさして、ややうるおいがない、もしくは、ややはりがないと感じた場合
0点:肌がかさかさして、うるおいがない、もしくは、はりがないと感じた場合。
【0046】
20名の平均値を求めて、以下の基準で使用後の肌のはりおよびうるおいについて評価した。
○:はりおよびうるおいがあり良好(平均値1.5点以上)
×:はりおよびうるおいがなく不良(平均値1.5点未満)。
【0047】
(4)肌荒れ防止効果
敏感肌の女性7名(32才〜40才)および敏感肌の男性3名(33才〜37才)をパネラーとした。上記(2)と同様に清拭剤組成物を含浸させた綿タオルで、前腕内側部を、汚れを拭き取るように3回軽く擦り、これを1日2回ずつ2週間連続で行った後に、肌の状態について下記のように採点した。
【0048】
2点:全く肌が荒れないと感じた場合
1点:わずかに肌荒れを生じたと感じた場合
0点:明らかに肌が荒れたと感じた場合。
【0049】
10名の平均値を求めて、以下の基準で肌荒れ防止効果を評価した。
○:肌荒れ防止効果が良好(平均値1.5点以上)
×:肌荒れ防止効果が不良(平均値1.5点未満)。
【0050】
(5)経時安定性
清拭剤組成物を透明ガラス容器に密封して5℃、25℃、および40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
【0051】
○:安定性良好(いずれの温度でも外観の変化がない)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において、若干おりまたは沈殿を生じる、または若干着色を生じる)
×:安定性不良(いずれかの温度において、おりまたは沈殿を生じる、または分離する。もしくは着色が著しい)。
【0052】
(実施例1〜7)
表1に示す割合で各成分を含有する清拭剤組成物をそれぞれ調製し、上記の方法により評価を行った。表1における各成分の詳細については、別途表2に示す。結果を表4に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
(比較例1〜7)
表3に示す割合で各成分を含有する清拭剤組成物を調製し、上記の方法により評価を行った。結果を表4に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜7の本発明の清拭剤組成物は、いずれも十分な洗浄性を有し、使用後に肌がべたつかず、十分なはりとうるおいを保つとともに肌荒れを防ぎ、しかも再汚染し難く経時安定性にも優れていた。
【0059】
一方、比較例1〜7の清拭剤組成物では、十分な性能が得られなかった。詳細には、比較例1の組成物では、(a)成分の代わりに本発明の(a)成分とは異なるシリコーン誘導体(a)’が含まれているため、洗浄率が悪くなるとともに経時安定性が悪くなっていた。比較例2では、(b)成分の含量が少ないため、洗浄性が悪くなるとともに、肌荒れ防止効果が弱くなっていた。比較例3では、(b)成分の含量が多すぎるため、使用後にべたつき感が残り、はりとうるおいがなくなっており、経時安定性も悪くなっていた。比較例4では、(c)成分が含まれていないことから、使用後にはりとうるおいがなくなり、そして経時安定性が悪くなっていた。比較例5では、(d)成分が含まれていないことから、使用後のはりとうるおいがなくなるとともに、肌荒れ防止効果が弱くなっていた。比較例6および7では、(e)成分が含まれていないことから、使用後に肌のはりとうるおいがなくなるとともに肌荒れ防止効果が弱くなっていた。このように、所定の(a)〜(e)の成分を所定の割合で含有する本発明の清拭剤組成物を用いると、優れた洗浄効果および使用感が得られることがわかる。
【0060】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明の清拭剤組成物は、十分な洗浄性を有し、使用後に肌がべたつかず、十分なはりとうるおいを保つとともに肌荒れを防ぎ、しかも再汚染し難く経時安定性にも優れている。通常、水または温湯で約50〜1000倍程度に希釈して使用するため、コストメリットにも優れている。したがって、肌の清拭剤として好適である。
Claims (2)
- (a)式(I)
(b)式(II)
R5COOM (II)
(式中、R5COOは炭素数8〜24の直鎖または分岐の脂肪酸残基を示し;そしてMはアルカリ金属原子を示す)で示される脂肪酸石けん0.5〜10重量%、
(c)水溶性多価アルコール1〜50重量%、
(d)ツバキ科ツバキ属の茶(C. sinensis L.)葉抽出エキス0.00005〜2重量%(乾燥残留物として)、および
(e)ドクダミ科ドクダミ属の植物(Houttuynia Thunb)抽出エキス、キク科ヨモギ属の植物(Artemisia L)抽出エキス、およびミカン科キハダ属の植物(Phellodendron Rupr.)抽出エキスからなる群より選択される少なくとも1種の抽出エキス0.00005〜2重量%(乾燥残留物として)
を含有する、清拭剤組成物。 - 前記(b)の脂肪酸残基が、cis−Δ9−オクタデセン酸を75重量%以上の割合で、そして該cis−Δ9−オクタデセン酸を含むcis−△9−不飽和脂肪酸を85重量%以上の割合で含有する脂肪酸の残基である、請求項1に記載の清拭剤組成物。
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