JP3775315B2 - 連続加圧ろ過機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、浄水、下水、産業用水、あるいは産業排水などの原水ろ過やこれらの処理で発生する汚泥をろ過濃縮する装置に関し、特に、連続ろ過を行いながら、ろ材の再生を可能とした連続加圧ろ過機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、密閉状のろ過装置としては、キャンドルフイルター、リーフフイルターなどの装置がある。また、密閉ろ過槽に多数の円筒ろ材を垂設した加圧ろ過装置もよく知られており、密閉ろ過室に円筒状ろ材とこの円筒状ろ材の間にドーナツ状ろ材を垂設し、これらのろ材に摺接させるスクレーパーと、ろ過ケーキの押込みを行なうスパイラル状の羽根を設けた多重円筒状ろ過機は、例えば、特公平7−30095号公報に記載してあるように公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のキャンドルフイルター、リーフフイルターなどの装置、はバッチ式のためろ過速度が小さく、対象原液の制約がある。また、従来の多重円筒状ろ過機は連続ろ過が可能であり、ろ過速度が大きく、大容量処理を可能とする特徴を持つが、経時変化によりろ過面の閉塞やろ過能力の減少を防止することがスクレーパーでは困難である。仮に、ろ液排出口から洗浄水を供給しても、ショートパスによりろ材全体が洗浄できない恐れがある。この発明は、上記の課題を解決するために、連続ろ過を行ないながら、隔壁で仕切られたろ材面をブロックごとに洗浄して、ろ材面の再生を可能とした連続加圧ろ過機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨とするところは、円筒状の密閉タンクにろ過筒を垂設し、密閉タンクに原液を圧入してろ過筒の周面にケーキ層を形成させ、ろ過筒の内部にろ液を通過させて固液分離を行なうろ過装置において、密閉タンクの中心部に垂下した駆動軸にろ過筒を吊設し、このろ過筒の内部に垂設したろ液管を駆動軸に止着した回転弁に連結し、駆動軸に外挿した固定弁に回転弁を摺接させると共に、固定弁に配設したろ液排出管と洗浄水管を回転弁に連結したろ液管の回動軌跡に対設し、ろ液排出管と洗浄水管をそれぞれろ液管に接合解離自在としたもので、ろ過筒を間歇的に逆洗してろ材面を再生し、連続ろ過を可能としたものである。そして、密閉タンクに配設するろ過筒は、密閉タンクと同心状の円環ろ過筒として駆動軸に吊設し、円環ろ過筒を複数の隔壁で仕切ると共に、円環ろ過筒のそれぞれのろ液室にろ液管を垂下したもので、ブロックごとにろ液の排出とろ材面の洗浄が可能となる。
【0005】
固定弁の構成は、密閉タンクの頂壁に固定弁を嵌着し、固定弁にろ液排出管と洗浄水管を配設し、固定弁の下面にろ液排出管に連通する円弧状凹部のろ過ゾーンと、ろ過ゾーンの残りの部分に洗浄水管に連通する楕円状凹部の逆洗ゾーンを形成すると共に、回転弁に設けたろ液管の開口に対設したもので、回転弁と固定弁でろ過筒の逆洗ゾーンとろ過ゾーンを切換えて、ろ過筒を間歇的に逆洗して、ろ材面を再生しながら連続ろ過が可能となる。そして、密閉タンクに立設した複数のスクレーパーを、円環ろ過筒の周面に摺接させたので、ケーキ層によるろ材面の閉塞やろ過能力の減少が防止でき、洗浄との相乗効果が得られる。また、駆動軸を密閉タンクの槽底近傍まで垂下させ、駆動軸の下端にレーキを配設したので、濃縮汚泥の排出が容易となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明に係る連続加圧ろ過機は上記のように構成してあり、密閉タンクの原液室に原液が圧入され、円環ろ過筒のろ過面に固形分を捕捉して円環ろ過筒の周面にケーキ層を形成し、固形分を分離したろ液は差圧により円環ろ過筒の内部に流入する。円環ろ過筒は回転弁とともに回転し、回転弁に連結したろ液管の基端部が固定弁に配設したろ液排出管に連通するろ過ゾーンに接続した時に、円環ろ過筒のろ液室のろ液は密閉タンクから排出される。回転弁がさらに回転してろ液管の基端部が固定弁に配設した洗浄水管に連通する逆洗ゾーンに接続した時に、円環ろ過筒のろ液室にろ液管から空気または洗浄水が噴射され、ろ材裏面から逆洗されてろ過面を再生する。回転軸を中心に回転する円環ろ過筒にスクレーパーが摺接され、円環ろ過筒に形成されたケーキ層を掻き取って、ケーキ層によるろ過面のろ過能力の減少を防止する。沈殿槽に沈殿させたケーキをレーキで解砕して濃縮汚泥とし、原液の流出を防ぎながら、適宜間歇的に密閉タンクから濃縮汚泥を排出する。
【0007】
【実施例】
この発明を実施例に基づき詳述すると、図1は連続加圧ろ過機であって、密閉タンク1の内部に水平状の吊設杆2に吊設したろ過筒3が配設してあり、吊設杆2が密閉タンク1の中心部に垂下した駆動軸4に連結してある。密閉タンク1の側壁に原液供給管5が連結してあり、密閉タンク1の内部を原水室6としてある。密閉タンク1の下部を円錐状に形成して沈殿室7としてあり、沈殿室7の下端部に開閉弁8を介して排泥管9が連結してある。
【0008】
図2は密閉タンクの横断面図であって、密閉タンク1に配設したろ過筒3は、密閉タンク1と同心状の二重に配設した円環ろ過筒3aとしてある。この円環ろ過筒3aは内外の周面をろ過面として複数の隔壁10…で仕切り、複数の独立した密閉状のろ液室11…を形成してある。そして、密閉タンク1の原水室6に圧入された原液を円環ろ過筒3aのろ過面でケーキを捕捉して、ろ液を円環ろ過筒3aのろ過室11に流入させる。図1および図3に示すように、円環ろ過筒3aのろ液室11にろ液管12…が垂設してあり、ろ液管12に配設したノズル25…からろ液室11に流入したろ液を排出する。
【0009】
図4は円環ろ過筒3aのろ液排出とろ過面洗浄の切換装置であって、密閉タンク1の頂壁に固定弁13が嵌着してあり、密閉タンク1に垂下した駆動軸4が固定弁13の軸受14に回転自在に軸支してある。密閉タンク1から突出させた駆動軸4の上端部に嵌着したスプロケット15の下端が固定弁13に摺接され、スプロケット15に掛け回したチエーン16が回転弁駆動機17に連動連結してある。符号18はスプロケット15の抜け止め用の押えバネである。密閉タンク1の頂部近傍の駆動軸4に回転弁19が嵌着してあり、回転弁19が固定弁13に摺接してある。図5に示すように、円環ろ過筒3aのろ液室11…に垂下したそれぞれのろ液管12…の基端部が上方の回転弁19に連結してあり、このろ液管12…の上端が回転弁19の上面に同心円周面上に配列されて開口12aしてある。
【0010】
図4に示すように、密閉タンク1の頂壁に嵌着した固定弁13にろ液排出管20と洗浄水管21が配設してあり、図6に示すように、固定弁13の下面にろ液排出管20に連通する円弧状凹部のろ過ゾーンAと、ろ過ゾーンAの残りの部分に洗浄水管21に連通する楕円状凹部の逆洗ゾーンBが形成してある。図5に示す二点鎖線は、図6の固定弁のろ過ゾーンAと逆洗ゾーンBに対設する回転弁19に設けたろ液管12の開口12aの配置を示すもので、固定弁13の下面のろ過ゾーンAと逆洗ゾーンBは、回転弁19の表面に設けたろ液管12の開口12aの回動軌跡に対設してある。回転弁19と一緒に円環ろ過筒3aを回転させて、ろ液管12とろ過ゾーンAに連通するろ液排出管20との接続を順次切換えながら円環ろ過筒3aのろ過室11のろ液をろ液排出管20から密閉タンク1の外部へ排出させる。
【0011】
さらに、円環ろ過筒3aとともに回転弁19を回転させて固定弁13の逆洗ゾーンBにろ液管12を移動させる。この実施例では、二重に配設した円環ろ過筒3aの一対のろ液室11、11のろ液管12、12とろ液排出管20の連通を遮断して、このろ液管12、12を逆洗ゾーンBの洗浄水管21に接続させる。ろ液管12のノズル25から洗浄水または圧縮空気を順次ろ液室11に噴射して、円環ろ過筒3aの複数のろ過室11…をブロックごとに分割洗浄して、円環ろ過筒3aのろ過面を再生する。円環ろ過筒3aのろ液室11からのろ液の排出とろ過面の逆洗を円環ろ過筒3aを回転させながら繰返す。
【0012】
図1および図2に示すように、吊設杆2に吊設した円環ろ過筒3aの内外周面にスクレーパー22…が摺接してあり、このスクレーパー22…は密閉タンク1の下部内周壁に止着した支持杆23に立設してある。円環ろ過筒3aのろ材面に捕捉したケーキ層を円環ろ過筒3aを回転させながらスクレーパー22で掻き取って、ケーキ層によるろ材面の閉塞やろ過能力の減少を防止する。駆動軸4の下端が沈殿室7の底部まで垂下してあり、駆動軸4の下端にレーキ24が止着してある。レーキ24を回転させて沈殿室7に沈殿させたケーキを解砕して濃縮汚泥とし、原液の流出を防止しながら、適宜開閉弁8を開いて排泥管9から濃縮汚泥を排出する。この連続加圧ろ過装置は、使用目的に応じてバッチ運転でのろ過も可能である。
【0013】
【発明の効果】
この発明に係る連続加圧ろ過機は上記のように構成してあり、ろ過筒の内部に垂設した複数のろ液管を回転弁に連結し、回転弁に摺接させた固定弁にろ液排出管と洗浄水管を接続して、ろ液排出管と洗浄水管をろ液管に接合解離自在としたもので、ろ過筒に垂設したろ液管をろ液排出管または洗浄水管の接続に切換えて、ろ過筒を間歇的に逆洗して、ろ材面を再生しながら連続ろ過が可能となる。そして、密閉タンクに配設するろ過筒は、密閉タンクと同心状の円環ろ過筒として、この円環ろ過筒を隔壁で仕切ったろ液室に洗浄管を垂下したもので、ブロックごとにろ液の排出とろ材面の洗浄が可能となる。
【0014】
固定弁の構成は、密閉タンクの頂壁に固定弁を嵌着し、固定弁にろ液排出管と洗浄水管を配設し、固定弁の下面にろ液排出管に連通する円弧状凹部のろ過ゾーンと、ろ過ゾーンの残りの部分に洗浄水管に連通する楕円状凹部の逆洗ゾーンを形成すると共に、回転弁に設けたろ液管の開口に対設したもので、回転弁と固定弁を回転摺接させてろ過ゾーンと逆洗ゾーンを切換えて、ろ液管をろ液排出管と洗浄水管に接続し、連続ろ過を行いながらブロックごとの洗浄が可能となる。そして、密閉タンクに立設した複数のスクレーパーを、円環ろ過筒の周面に摺接させるので、円環ろ過筒のケーキ層によるろ材面の閉塞やろ過能力の減少が防止でき、洗浄との相乗効果が得られる。また、駆動軸を沈殿室まで垂下させ、駆動軸の下端にレーキを配設したので、ケーキは解砕されて濃縮汚泥となり、原液の流出を防止しながら、密閉タンクからの濃縮汚泥の排出が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る連続加圧ろ過機の縦断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した連続加圧ろ過機の横断面図である。
【図3】同じく、円環ろ過筒のろ液室に垂下したろ液管の拡大図である。
【図4】同じく、ろ液管にろ液排出管または洗浄水管を接続させる切換装置の拡大図である。
【図5】同じく、回転弁に配設したろ液管の開口の平面図である。
【図6】同じく、固定弁に配列したろ過ゾーンと逆洗ゾーンの下面図である。
【符号の説明】
1 密閉タンク
3 ろ過筒
3a 円環ろ過筒
4 駆動軸
10 隔壁
11 ろ液室
12 ろ液管
12a 開口
13 固定弁
19 回転弁
20 ろ液排出管
21 洗浄水管
22 スクレーパー
24 レーキ
A ろ過ゾーン
B 逆洗ゾーン
Claims (5)
- 円筒状の密閉タンク(1)にろ過筒(3)を垂設し、密閉タンク(1)に原液を圧入してろ過筒(3)の周面にケーキ層を形成させ、ろ過筒(3)の内部にろ液を通過させて固液分離を行なうろ過装置において、密閉タンク(1)の中心部に垂下した駆動軸(4)にろ過筒(3)を吊設し、このろ過筒(3)の内部に垂設したろ液管(12)を駆動軸(4)に止着した回転弁(19)に連結し、駆動軸(4)に外挿した固定弁(13)に回転弁(19)を摺接させると共に、固定弁(13)に配設したろ液排出管(20)と洗浄水管(21)を回転弁(19)に連結したろ液管(12)の回動軌跡に対設し、ろ液排出管(20)と洗浄水管(21)をそれぞれろ液管(12)に接合解離自在としたことを特徴とする連続加圧ろ過機。
- 上記ろ過筒(3)を密閉タンク(1)と同心状の円環ろ過筒(3a)として駆動軸(4)に吊設し、円環ろ過筒(3a)を複数の隔壁(10)で仕切ると共に、円環ろ過筒(3a)のそれぞれのろ液室(11)にろ液管(12)を垂下したことを特徴とする請求項1記載の連続加圧ろ過機。
- 上記密閉タンク(1)の頂壁に固定弁(13)を嵌着し、固定弁(13)にろ液排出管(20)と洗浄水管(21)を配設し、固定弁(13)の下面にろ液排出管(20)に連通する円弧状凹部のろ過ゾーン(A)と、ろ過ゾーン(A)の残りの部分に洗浄水管(21)に連通する楕円状凹部の逆洗ゾーン(B)を形成すると共に、回転弁(19)に設けたろ液管(12)の開口(12a)に対設したことを特徴とする請求項1または2記載の連続加圧ろ過機。
- 上記密閉タンク(1)に立設した複数のスクレーパー(22)を、円環ろ過筒(3a)の周面に摺接させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の連続加圧ろ過機。
- 上記駆動軸(4)を密閉タンク(1)の槽底近傍まで垂下させ、駆動軸(4)の下端にレーキ(24)を配設したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の連続加圧ろ過機。
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