JP3775157B2 - β−ヒドロキシエステル誘導体の製造法 - Google Patents

β−ヒドロキシエステル誘導体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒドとケテンシリルアセタールから光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)を製造する方法に関する。光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体は、医薬、農薬等のファインケミカルズの合成中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)の製造法としては、アルデヒドとケテンシリルアセタールとを光学活性なルイス酸触媒の存在下で反応させる方法(向山アルドール反応)が一般的に知られている。このルイス酸触媒としては、チタン、スズ、ホウ素又は銅を中心金属として持つ有機金属化合物が多く使用されているが、いずれも触媒としては満足出来るものではなかった。
【0003】
即ち、チタン、スズ又はホウ素の有機金属化合物は水に対して不安定であるために、操作が煩雑になる非水条件下で反応を行わなければならないという問題がある。また、有機銅化合物では、不斉誘起を起こすために、ルイス塩基性の官能基を有するアルデヒドを使用する必要があることから、原料のアルデヒドが制限されて反応が一般的でないという問題がある(J.Am.Chem.Soc.,118,5814(1996))。
【0004】
更に、非常に高い不斉収率と比較的低い使用量を実現している有機チタン化合物では、不斉誘起に必要な配位子の合成が煩雑で、しかもその合成原料として非常に発癌性の高いβ-アミノナフタレンを使用しなければならないという問題がある(J.Am.Chem.Soc.,116,8837(1994))。有機スズ化合物では、反応での使用量が多い上に(Tetrahedron,49,1761(1993))、近年、環境ホルモンとして生体への影響が危惧されているという問題がある。そして、有機ホウ素化合物では、反応での使用量が多いという問題がある(Tetrahedron,33,1729(1992)、Bull.Chem.Soc.Jpn.,66,3483(1993))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水に対して安定であって、一般的なアルデヒドでも不斉誘起を起こさせることが出来、且つ入手が容易な原料から簡便に合成出来る触媒を使用して、低触媒量でも、一般的なアルデヒドとケテンシリルアセタールとから、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)を容易に製造出来る方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体と超強酸とを接触させて得られる白金錯体の存在下、有機塩基を存在させて、アルデヒドとケテンシリルアセタールとを反応させることを特徴とする、β-ヒドロキシエステル誘導体の製造法によって解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の反応、即ち、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体の製造において使用される白金錯体は、一般式(1)で示される光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)と超強酸とを接触させて得られる白金錯体である。なお、光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)は、例えば、四塩化白金酸カリウムをジメチルスルホキシド中で、対応する置換基を有するサリチルアルデヒド、次いでLに対応する光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を反応させることにより得ることが出来る。
【0008】
前記の一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、同一或いは異なっていても良く、反応に関与しない基を示すが、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基又はジアルキルアミノ基を示す。また、R1、R2、R3及びR4は、互いに結合して環を形成していても良く、環内にヘテロ原子を有していても良い。
【0009】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0010】
前記アルキル基としては、炭素数1〜20、特に1〜12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(及びその異性体)、ブチル基(及びその異性体)、ペンチル基(及びその異性体)、ヘキシル基(及びその異性体)、ヘプチル基(及びその異性体)、オクチル基(及びその異性体)、ノニル基(及びその異性体)、デシル基(及びその異性体)、ウンデシル基(及びその異性体)、ドデシル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0011】
前記シクロアルキル基としては、特に炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0012】
前記アルケニル基としては、炭素数2〜20、特に2〜12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基(及びその異性体)、ブテニル基(及びその異性体)、ペンテニル基(及びその異性体)、ヘキセニル基(及びその異性体)、ヘプテニル基(及びその異性体)、オクテニル基(及びその異性体)、ノネニル基(及びその異性体)、デセニル基(及びその異性体)、ウンデセニル基(及びその異性体)、ドデセニル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0013】
前記アリール基としては、炭素数6〜20、特に6〜12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基(及びその異性体)、キシリル基(及びその異性体)、ナフチル基(及びその異性体)、ジメチルナフチル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0014】
前記アルコキシ基としては、特に炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(及びその異性体)、ブトキシ基(及びその異性体)、ペンタノキシ基(及びその異性体)、ヘキサノキシ基(及びその異性体)、ヘプタノキシ基(及びその異性体)、オクタノキシ基(及びその異性体)、ノナノキシ基(及びその異性体)、デカノキシ基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0015】
前記アリールオキシ基としては、特に炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリロキシ基(及びその異性体)、キシリロキシ基(及びその異性体)、ナフトキシ基(及びその異性体)、ジメチルナフトキシ基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0016】
前記ジアルキルアミノ基としては、特に炭素数2〜10のジアルキルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0017】
前記の一般式(2−a)、(2−b)、(3−a)、(3−b)、(4−a)又は(4−b)において、式中、nは、0〜10の整数である。R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、同一或いは異なっていても良く、反応に関与しない基を示すが、具体的には、R5及びR6は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を、R7は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を、R8、R9及びR10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基又はジアルキルアミノ基を示す。なお、R8とR9は、同一であってはならない。
【0018】
前記R5及びR6で示されるハロゲン原子、アルキル基又はアリール基や、前記R7で示されるアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基や、前記R8、R9及びR10で示されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びジアルキルアミノ基としては、前記のR1、R2、R3及びR4で示されるハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びジアルキルアミノ基と同様の基が挙げられる。
【0019】
前記のR5、R6、R7、R8、R9及びR10で示される置換基は、その炭素原子に結合している水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基又はジアルキルアミノ基等で更に置換されていても良い。これらの置換基は、前記のR1、R2、R3及びR4で示される置換基と同様のものが挙げられる。
【0020】
また、その他に、前記のR5、R6、R7、R8、R9及びR10で示される置換基は、その炭素原子に結合している水素原子が、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、フェニルチオ基等の炭素数1〜6のアルキル又はアリールチオ基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜7のシクロアルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基;トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリブチルシロキシ基、メチルジイソプロピルシロキシ基、t-ブチルジメチルシロキシ基、メチルジt-ブチルシロキシ基、トリベンジルシロキシ基、トリ-p-キシリルシロキシ基、t-ブチルジフェニルシロキシ基、トリフェニルメチルジメチルシロキシ基等の炭素数3〜24のシロキシ基;水酸基等で置換されていても良い。
【0021】
光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子(L)の具体例としては、次のような化合物(R体、S体)が挙げられる。
【0022】
前記一般式(2−a)及び(2−b)においては、R7がフェニル基で、R5、R6が水素原子である化合物(QUINAP)等が挙げられる。
【0023】
前記一般式(3−a)及び(3−b)においては、
7がフェニル基、R8がメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPMO);
7がフェニル基、R8がイソプロピル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPIPO);
7がフェニル基、R8がイソブチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPIBO);
7がフェニル基、R8がベンジル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPBMO);
7及びR8がフェニル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPPO);
7がフェニル基、R8がヒドロキシメチル基で、R5及びR9が水素原子、R10がフェニル基である化合物(DPHMPO);
7がフェニル基、R8が1-メチル-1-ヒドロキシエチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPMHEO);
7がフェニル基、R8が1-メチル-1-テトラヒドロピラノキシエチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPTHPEO);
7がフェニル基、R8がメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPMO);
7がフェニル基、R8が1-ヒドロキシ-1-フェニルメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPHPMO);
7がフェニル基、R8がメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPMO);
7がフェニル基、R8が1-テトラヒドロピラノキシ-1-フェニルメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPTHPMO);
7がフェニル基、R8が1-ベンジロキシ-1-フェニルメチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPBNPMO);
7がフェニル基、R8が1-ヘキシル-1-t-ブチルジメチルシロキシヘプチル基で、R5、R9及びR10が水素原子である化合物(DPBHO)等が挙げられる。
なお、これらの化合物は公知の方法(Tetrahedron 52,7547(1996)等)に準じて合成することが出来る。
【0024】
又、前記一般式(4−a)及び(4−b)においては、
7がフェニル基、R8がメチル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMMO);
7がフェニル基、R8がイソプロピル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMIPO);
7がフェニル基、R8がイソブチル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMIBO);
7がフェニル基、R8がt-ブチル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMTBO);
7及びR8フェニル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMPO);
7がフェニル基、R8がベンジル基、R9及びR10が水素原子で、n=0である化合物(DPMBNO)等が挙げられる。
なお、これらの化合物は公知の方法(Tetrahedron Lett.,34,1769(1993)等)に準じて合成することが出来る。
【0025】
前記一般式(1)で示される光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体の具体例としては、次のような白金錯体が挙げられる。
【0026】
Lが、(S)−DPIPOで、R1、R2、R3及びR4が水素原子である化合物(1a);
Lが、(S)−DPIPOで、R1及びR3がt-ブチル基、R2及びR4が水素原子である化合物(1b);
Lが、(S)−DPTBOで、R1、R2、R3及びR4が水素原子である化合物(1c);
Lが、(S)−DPTBOで、R1及びR3がt-ブチル基、R2及びR4が水素原子である化合物(1d);
Lが、(R)−DPPOで、R1、R2、R3及びR4が水素原子である化合物(1e);
Lが、(R)−DPPOで、R1及びR3がt-ブチル基、R2及びR4が水素原子である化合物(1f);
Lが、(S)−QUINAPで、R1、R2、R3及びR4が水素原子である化合物(1g);
Lが、(S)−QUINAPで、R1及びR3がt-ブチル基、R2及びR4が水素原子である化合物(1h);
Lが、(S)−DPBHOで、R1、R2、R3及びR4が水素原子である化合物(1i)等が挙げられる。
【0027】
【化3】
Figure 0003775157
【0028】
本発明の反応(光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体の製造)において使用される白金錯体は、反応前に光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体と超強酸とを接触させて得られるが、その際、0.01〜100容量%、更に1〜100容量%、特に15〜25容量%の酸素を含有するガス(例えば、不活性ガス(窒素等)で希釈された純酸素、空気又は純酸素)の雰囲気下、溶媒中で接触させるのが好ましい。また、その際の温度は、好ましくは-78〜140℃、更に好ましくは0〜30℃であり、圧力は特に限定されない。
【0029】
前記超強酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、過塩素酸が挙げられるが、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸が使用される。その使用量は、前記光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体に対して、好ましくは1〜20当量、更に好ましくは1〜4当量である。また、これら超強酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0030】
前記溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシドが挙げられるが、好ましくは脂肪族ハロゲン化炭化水素が使用される。なお、これら溶媒は水を含有していても良い。又、その使用量は、前記光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1mmolに対して、好ましくは10〜1000ml、更に好ましくは50〜500mlである。また、これら溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0031】
前記の光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体と超強酸とを接触させる際には、水を存在させて行うことが、その速度を上げることが出来るのでより好ましい。その水の使用量は、光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体に対して、好ましくは1〜20当量、更に好ましくは2〜4当量である。なお、水は、前記の溶媒に含ませて使用しても良い。
【0032】
本発明の反応で使用する塩基としては、特に反応に不活性な置換基を有していても良いピリジンが好ましく、この置換基としては、前記のR1、R2、R3及びR4で示される置換基と同様のものである。
【0033】
前記反応に不活性な置換基を有していても良いピリジンとしては、例えば、ピリジン、クロロピリジン、ピコリン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、ルチジン、コリジン、ビニルピリジン、フェニルピリジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
【0034】
前記塩基の使用量は、超強酸に対して、好ましくは0.1〜10倍モル、更に好ましくは0.5〜2倍モルである。また、これら塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0035】
本発明では、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)と超強酸とを接触させて得られる白金錯体の存在下、有機塩基を存在させて、アルデヒドとケテンシリルアセタールとを反応させて、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ケトエステル)を製造することが出来る。その際の反応温度は、好ましくは-78〜0℃、更に好ましくは-78〜-20℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0036】
本発明の反応で使用されるアルデヒドとしては、一般式(5)
【0037】
【化4】
Figure 0003775157
【0038】
(式中、R11は、反応に関与しない基を示す。)
又は、一般式(6)
【0039】
【化5】
Figure 0003775157
【0040】
(式中、R12は、反応に関与しない基を示す。)
で示される化合物である。
【0041】
前記の一般式(5)において、R11は反応に関与しない基を示すが、具体的には、置換基を有していても良い、アリール基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルキニル基を示す。また、前記の一般式(6)において、R12は反応に関与しない基を示すが、具体的には、水素原子;置換基を有していても良い、アリール基、アルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基、アルキル基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。
【0042】
前記一般式(5)及び(6)のアリール基としては、炭素数6〜20、特に6〜12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基(及びその異性体)、キシリル基(及びその異性体)、ナフチル基(及びその異性体)、ジメチルナフチル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(5)及び(6)のアルケニル基としては、炭素数2〜20、特に2〜12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基(及びその異性体)、ブテニル基(及びその異性体)、ペンテニル基(及びその異性体)、ヘキセニル基(及びその異性体)、ヘプテニル基(及びその異性体)、オクテニル基(及びその異性体)、ノネニル基(及びその異性体)、デセニル基(及びその異性体)、ウンデセニル基(及びその異性体)、ドデセニル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(5)及び(6)のアルカジエニル基としては、炭素数4〜20、特に4〜10のアルカジエニル基が好ましく、例えば、ブタジエニル基(及びその異性体)、ペンタジエニル基(及びその異性体)、ヘキサジエニル基(及びその異性体)、ヘプタジエニル基(及びその異性体)、オクタジエニル基(及びその異性体)、ノナジエニル基(及びその異性体)、デカジエニル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0045】
前記一般式(5)及び(6)のアルキニル基としては、炭素数2〜20、特に2〜10のアルキニル基が好ましく、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基(及びその異性体)、ペンチニル基(及びその異性体)、ヘキシニル基(及びその異性体)、ヘプチニル基(及びその異性体)、オクチニル基(及びその異性体)、ノニニル基(及びその異性体)、デシニル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0046】
前記一般式(6)のアルキル基としては、炭素数1〜20、特に1〜12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(及びその異性体)、ブチル基(及びその異性体)、ペンチル基(及びその異性体)、ヘキシル基(及びその異性体)、ヘプチル基(及びその異性体)、オクチル基(及びその異性体)、ノニル基(及びその異性体)、デシル基(及びその異性体)、ウンデシル基(及びその異性体)、ドデシル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0047】
前記一般式(6)のアルコキシ基としては、特に炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(及びその異性体)、ブトキシ基(及びその異性体)、ペンタノキシ基(及びその異性体)、ヘキサノキシ基(及びその異性体)、ヘプタノキシ基(及びその異性体)、オクタノキシ基(及びその異性体)、ノナノキシ基(及びその異性体)、デカノキシ基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0048】
前記一般式(6)のアリールオキシ基としては、特に炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリロキシ基(及びその異性体)、キシリロキシ基(及びその異性体)、ナフトキシ基(及びその異性体)、ジメチルナフトキシ基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0049】
前記一般式(5)のR11及び(6)のR12は置換基を有していても良く、その置換基としては、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基、硫黄原子を介して出来る置換基、ハロゲン原子の中から選ばれる少なくとも一つが挙げられる。
【0050】
前記炭素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;エテニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基;フェニル基等のアリール基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シアノ基;カルボキシル基が挙げられる。
【0051】
前記酸素を介して出来る置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;ヒドロキシ基が挙げられる。
【0052】
前記窒素を介して出来る置換基としては、例えば、ニトロ基;アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基が挙げられる。
【0053】
前記硫黄原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
【0054】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0055】
前記の一般式(5)で示されるアルデヒドの具体例としては、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、キシリルアルデヒド、アニスアルデヒド、シンナムアルデヒド、2-メトキシシンナムアルデヒド、4-ジメチルアミノシンナムアルデヒド、4-ニトロシンナムアルデヒド、4-クロロシンナムアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、2-ヘキセナール、2-ヘプテナール、2-デセナール、3-(3-ニトロフェニル)プロペナール、2,4-ヘキサジエナール、2,4-ヘプタジエナール、2,4-オクタジエナール、プロパルギルアルデヒド等が挙げられる。
【0056】
前記の一般式(6)で示されるアルデヒドの具体例としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、ドデカナール、ヒドロキシシンナムアルデヒド、アニシルプロピオンアルデヒド、3-シアノプロピオンアルデヒド、3-シクロヘキシルプロピオンアルデヒド、3-ホルミルプロピオン酸メチル、3-フェニルブタナール、3-メチルブタナール、3,3-ジメチルブタナール、3-メチルチオブタナール、3-ヒドロキシブタナール、5-(p-クロロフェノキシ)-1-ペンタナール、6-ブロモ-4-メチルヘキサナール、7-ブロモヘプタナール、2-フェニルアセトアルデヒド、p-トリルアセトアルデヒド、4-ペンテナール、3-ヘキセナール、7-デセナール、シトロネラール、5,7-ドデカジエナール、7,11-ヘキサデカジエナール、3-ペンチン-1-アール等が挙げられる。
【0057】
前記アルデヒドの使用量は、光学活性窒素−リンヘテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)に対して、好ましくは2〜1000倍モル、更に好ましくは20〜1000倍モルである。
【0058】
本発明の反応で使用されるケテンシリルアセタールとしては、一般式(7)
【0059】
【化6】
Figure 0003775157
【0060】
(式中、R13、R14、R16、R17及びR18は、反応に関与しない基を示し、R15は、アルキル基又はアリール基を示す。また、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、互いに結合して環を形成しても良い。)
で示される化合物である。
【0061】
前記R13、R14、R16、R17及びR18は、反応に関与しない基を示すが、具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、R15は、アルキル基又はアリール基を示す。これらは、前記のR1、R2、R3及びR4で示される基と同様のものが挙げられる。
【0062】
前記の一般式(7)で示されるケテンシリルアセタールの具体例としては、メチル(トリメチルシリル)ケテンアセタール、エチル(トリメチルシリル)ケテンアセタール、t-ブチル(トリメチルシリル)アセタール、フェニル(トリメチルシリル)ケテンアセタール、メチル(トリメチルシリル)メチルケテンアセタール、エチル(トリメチルシリル)メチルケテンアセタール、t-ブチル(トリメチルシリル)メチルケテンアセタール、メチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール、エチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール、t-ブチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール、メチル(トリメチルシリル)ジクロロケテンアセタール、エチル(トリメチルシリル)ジクロロケテンアセタール、1-メトキシ-1-トリメチルシリルオキシメチレンシクロヘキサン、1-メトキシ-1-トリメチルシリルオキシ-2-メチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
【0063】
前記ケテンシリルアセタールの使用量は、アルデヒドにに対して、好ましくは1〜100倍モル、更に好ましくは1〜2倍モルである。
【0064】
本発明のアルデヒドとケテンシリルアセタールとの反応によって生成した光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)は、例えば、反応終了後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
【0065】
なお、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)のシリル基の脱離(以下、脱保護と称する。)は、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, 第1版, 39〜50頁に記載の方法によって、容易に行うことが出来る。
【0066】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、不斉収率は、生成物の脱保護を行った後、光学活性高速液体クロマトグラフィーで分析したものである。なお、光学活性高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
【0067】
光学活性高速液体クロマトグラフィーの分析条件:
カラム;ChiralPak-AD(ダイセル社製)
溶離液;ヘキサン/エタノール/トリフルオロ酢酸=97.5/2.5/0.1(容量比)
流量;0.8ml/min.
カラム温度;30℃
検出波長;220nm
【0068】
参考例1
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1bの合成
内容積50mlのガラス製シュレンク管に、四塩化白金酸カリウム415mg(1.0mmol)、炭酸ナトリウム318mg(3.0mmol)、3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド234mg(1.0mmol)及びジメチルスルホキシド16mlを加え、140℃で40分間加熱攪拌した。次いで、100℃まで冷却して(S)−DPIPO373mg(1.0mmol)を加えた後、60℃に冷却して減圧下でジメチルスルホキシドを減圧下で留去した。得られた残査を塩化メチレン50mlで1回、10mlで1回抽出し、更に、再結晶(塩化メチレン/へキサン)して、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1b550mgを得た(収率69%)。
【0069】
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1bの物性値は以下の通り。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));8.19〜8.16(1H,m)、7.59〜7.26(13H,m)、7.14〜7.07(2H,m)、5.28〜5.23(1H,m)、4.53〜4.42(2H,m)、2.78〜2.74(1H,m)、1.51(9H,s)、1.22(9H,s)、0.86(3H,d,J=6.8Hz)、0.25(3H,d,J=6.8Hz)
31P{1H}-NMR(CDCl3,δ(ppm));15.0(s,JPt-P=4659Hz)
元素分析;炭素57.95%、水素5.78%、窒素1.75%
(理論値(C39H44NO3PPt);炭素58.49%、水素5.78%、窒素1.75%)
【0070】
実施例1
内容積25mlのガラス製シュレンク管に、参考例1で合成した光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1b20mg(0.025mmol)、水0.9mg(0.05mmol)を含む塩化メチレン2.5ml及びトリフルオロメタンスルホン酸2.2μl(0.05mmol)を加え、空気雰囲気下、室温で15分間攪拌した。次いで、反応液を-78℃まで冷却し、2,6-ルチジン2.9μl(0.05mmol)を加えた後、ヒドロキシシンナムアルデヒド67mg(0.50mmol)及びメチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール122mg(0.7mmol)を滴下した後、系内をアルゴン雰囲気とし、-25℃まで昇温して142時間攪拌した。反応終了後、0℃で1mol/l塩酸8mlを加え、塩化メチレン10mlで3回抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC-200(和光純薬社製)、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(=20/1(容量比)))で精製して、無色油状物として2,2-ジメチル-5-フェニル-3-トリメチルシロキシペンタン酸メチル153mgを得た(収率99%)。
【0071】
内容積25mlのナスフラスコに、先に得られた2,2-ジメチル-5-フェニル-3-トリメチルシロキシペンタン酸メチル77mg(0.25mmol)及びテトラヒドロフラン3mlを加えた。次いで、1mol/lのテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液0.3ml(0.3mmol)を添加し、25℃で15分間攪拌して脱保護(シリル基の脱離)した。その後、反応終了後、0℃で1mol/l塩酸5mlを加え、塩化メチレン5mlで3回抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC-200(和光純薬社製)、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(=5/1(容量比)))で精製して、得られた3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5-フェニルペンタン酸メチルを分析したところ、不斉収率は25%e.e.であった。
【0072】
参考例2
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1dの合成
参考例1において、(S)−DPIPO373mg(1.0mmol)を(S)−DPTBO387mg(1.0mmol)に変えたこと以外は、参考例1と同様な方法で反応を行った。その結果、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1d590mgを得た(収率73%)。
【0073】
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1dの物性値は以下の通り。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));8.25〜8.22(1H,m)、7.59〜7.35(13H,m)、7.12(1H,d,J=2.4Hz)、7.03(1H,dd,J=10.2,10.2Hz)、5.21(1H,dd,J=9.3,2.9Hz)、4.62(1H,dd,J=8.8,2.9Hz)、4.51(1H,dd,J=9.3,8.8Hz)、1.50(9H,s)、1.22(9H,s)、0.77(9H,s)31P{1H}-NMR(CDCl3,δ(ppm));16.3(s,JPt-P=4685Hz)
元素分析;炭素58.70%、水素5.69%、窒素1.69%
(理論値(C40H46NO3PPt);炭素58.96%、水素5.69%、窒素1.72%)
【0074】
実施例2
実施例1において、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1b20mg(0.025mmol)を参考例2で合成した1d20mg(0.025mmol)とし、反応時間を160時間に変えたこと以外は、実施例1と同様な方法で反応を行った。その結果、得られた2,2-ジメチル-5-フェニル-3-トリメチルシロキシペンタン酸メチルは153mg(収率99%)であり、又、脱保護して得られた3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5-フェニルペンタン酸メチルの不斉収率は80%e.e.であった。
【0075】
参考例3
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1fの合成
参考例1において、(S)−DPIPO373mg(1.0mmol)を(R)−DPPO407mg(1.0mmol)に変えたこと以外は、参考例1と同様な方法で反応を行った。その結果、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1f480mgを得た(収率57%)。
【0076】
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1fの物性値は以下の通り。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));8.28〜8.25(1H,m)、7.64〜7.60(1H,m)、7.55〜7.38(7H,m)、7.42〜7.36(5H,m)、7.21〜7.06(6H,m)、6.97〜6.90(1H,m)、6.46(1H,dd,J=9.8,3.9Hz)、4.91(1H,dd,J=9.8,8.3Hz)、4.54(1H,dd,J=8.3,3.9Hz)、1.45(9H,s)、1.18(9H,s)
31P{1H}-NMR(CDCl3,δ(ppm));15.7(s,JPt-P=4660Hz)
元素分析;炭素59.85%、水素5.00%、窒素1.68%
(理論値(C42H42NO3PPt);炭素60.43%、水素5.07%、窒素1.68%)
【0077】
実施例3
実施例1において、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1b20mg(0.025mmol)を参考例3で合成した1f21mg(0.025mmol)とし、反応時間を180時間に変えたこと以外は、実施例1と同様な方法で反応を行った。その結果、得られた2,2-ジメチル-5-フェニル-3-トリメチルシロキシペンタン酸メチルは127mg(収率82%)であり、又、脱保護して得られた3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5-フェニルペンタン酸メチルの不斉収率は30%e.e.であった。
【0078】
参考例4
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1iの合成
参考例1において、3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド234mg(1.0mmol)をサリチルアルデヒド122mg(1.0mmol)に、(S)−DPIPO373mg(1.0mmol)を(S)−DPBHO644mg(1.0mmol)に変えたこと以外は、参考例1と同様な方法で反応を行った。その結果、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1i290mgを得た(収率60%)。
【0079】
光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1iの物性値は以下の通り。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));8.25(1H,dd,J=6.8,4.4Hz)、7.64〜7.36(12H,m)、7.23〜7.16(3H,m)、6.79(1H,d,J=8.3Hz)、6.38(1H,dd,J=7.8,7.8Hz)、5.56(1H,dd,J=9.3,3.9Hz)、4.86(1H,dd,J=8.3,3.9Hz)、4.55(1H,dd,J=9.3,8.3Hz)、2.10〜0.94(20H,m)、0.88(3H,t,J=7.3Hz)、0.70(3H,t,J=7.3Hz)、0.55(9H,s)、0.04(3H,s)、-0.28(3H,s)
31P{1H}-NMR(CDCl3,δ(ppm));14.2(s,JPt-P=4770Hz)
元素分析;炭素58.22%、水素6.52%、窒素1.54%
(理論値(C47H62NO4PSiPt);炭素58.86%、水素6.52%、窒素1.46%)
【0080】
実施例4
実施例1において、光学活性窒素−リン二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体1b20mg(0.025mmol)を参考例4で合成した1i24mg(0.025mmol)に、トリフルオロメタンスルホン酸の量を4.4μl(0.10mmol)、2,6-ルチジンの量を5.8μl(0.10mmol)とし、反応時間を162時間に変えたこと以外は、実施例1と同様な方法で反応を行った。その結果、得られた2,2-ジメチル-5-フェニル-3-トリメチルシロキシペンタン酸メチルは153mg(収率99%)であり、又、脱保護して得られた3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5-フェニルペンタン酸メチルの不斉収率は84%e.e.であった。
【0081】
実施例5
実施例4において、ヒドロキシシンナムアルデヒド67mg(0.50mmol)を3-メチルブタナール43mg(0.50mmol)とし、反応時間を170時間に変えたこと以外は、実施例4と同様な方法で行った。その結果、得られた2,2,5-トリメチル-3-トリメチルシロキシへキサン酸メチルは107mg(収率82%)であり、又、脱保護して得られた3-ヒドロキシ-2,2,5-トリメチルヘキサン酸メチルの不斉収率は82%e.e.であった。
【0082】
実施例6
実施例4において、ヒドロキシシンナムアルデヒド67mg(0.50mmol)を3,3-ジメチルブタナール50mg(0.50mmol)とし、反応時間を180時間に変えたこと以外は、実施例4と同様な方法で行った。その結果、得られた2,2,5,5-テトラメチル-3-トリメチルシロキシへキサン酸メチルは132mg(収率90%)であり、又、脱保護して得られた3-ヒドロキシ-2,2,5,5-テトラメチルヘキサン酸メチルの不斉収率は81%e.e.であった。
【0083】
【発明の効果】
本発明により、水に対して安定であって、一般的なアルデヒドでも不斉誘起を起こさせることが出来、且つ入手が容易な原料から簡便に合成出来る触媒を使用して、低触媒量でも、一般的なアルデヒドとケテンシリルアセタールとから、光学活性なβ-ヒドロキシエステル誘導体(水酸基がシリル基で保護された光学活性なβ-ヒドロキシエステル)を容易に製造出来る方法を提供することが出来る。

Claims (5)

  1. 式(1)で示される光学活性窒素−リンへテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体
    Figure 0003775157
    (式中、R、R、R及びRは、同一或いは異なっていても良く、反応に関与しない基を示し、Lは(3−a)又は(3−b)
    Figure 0003775157
    (式中、R 、R 、R 、R 及びR 10 は、同一或いは異なっていても良く、反応に関与しない基を示すが、R とR は、同一であってはならない。)
    で示される光学活性窒素−リンへテロ二座配位子を示す。また、、R、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良く、環内にヘテロ原子を有していても良い。)
    と超強酸とを接触させて得られる白金錯体の存在下、有機塩基を存在させて、アルデヒドとケテンシリルアセタールとを反応させることを特徴とする、β−ヒドロキシエステル誘導体の製造法。
  2. 光学活性窒素−リンへテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体が、式(1b)、(1d)、(1f)又は(1i)
    Figure 0003775157
    で示される化合物である請求項1記載の窒素−リンへテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体である請求項1記載のβ−ヒドロキシエステル誘導体の製造法。
  3. 酸素雰囲気下にて、光学活性窒素−リンへテロ二座配位子を持つオキシアシル白金(II)錯体と超強酸とを接触させる請求項1記載のβ−ヒドロキシエステル誘導体の製造法。
  4. 超強酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、又は過塩素酸である請求項1記載のβ−ヒドロキシエステル誘導体の製造法。
  5. 有機塩基が、反応に不活性な置換基を有していても良いピリジンである請求項1記載のβ−ヒドロキシエステル誘導体の製造法。
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