JP3774889B2 - 管継手用ゴムパッキン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テーパー状の受口部を有する管又は継手本体に、無ねじの接合管を挿入し、環状のゴムパッキンを挿嵌介在せしめて押輪等の緊締手段で管又は継手本体に緊締される管継手用のゴムパッキンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の管継手として図4の部分縦断面図に示すようなものがある。この管継手は、接合管1,1どうしを継手本体2で接続するようにしたものである。すなわち、テーパー状受口部3の内径が接合管1の外径よりも大きく設定され、軸線方向の中央部が太鼓状に膨れて内部に広い空腔4の形成された継手本体2を準備し、前記受口部3に、接合管1の挿口部5を挿入している。
そして、継手本体2の挿口部外周面と、継手本体2の受口部3との間にシール用の環状のゴムパッキン6を嵌挿し、背後から押輪7で継手本体2に対して押し込むようにしている。この押し込みは、継手本体2の端面外周に形成された突出部8のボルト孔10と、該ボルト孔10に対応する押輪7のボルト孔9とに、緊締ボルト11を挿通してナット12で緊締することにより行っている。
【0003】
これにより、環状ゴムパッキン6の外周くさび面と内周くさび面とが継手本体2のテーパー状受口部3と接合管1の外周面との間に押圧され、接合管1と継手本体2とが同心的に保持されると共に、接続部位からの流体の漏洩をシールしている。この状態にあっては、接合管1の管端は、継手本体2の空腔4で継手本体2の内壁と干渉することなく、自由に動き得ることが可能であり、継手本体2の軸線に対して屈折することができ、可撓性を有している。また接合管1の軸線方向に作用する引張力に対してもある程度の伸縮を行うことが可能である。つまり、この管継手は、可撓伸縮性を保持するものである。
【0004】
ところで、前記管継手のゴムパッキン6は、前述した通り、その外周くさび面が継手本体2のテーパー状受口部3に押圧付勢されて密着し、内周くさび面が接合管1の外周面に押圧付勢されて密着することで、テーパー状受口部3と接合管1の外周面との間のシール性を確保している。このシール性を更に確実にするためには、ゴムパッキン6がテーパー状受口部3と接合管1の外周面とに強く密着する必要がある。そのためには、ゴムパッキン6の内径を接合管1の外径寸法よりも1〜3%小さくしておく必要がある。このような管継手の装着要領は、先ず押輪7を接合管の外周面に装着し、次に管外径よりも1〜3%だけ小さい内径を有するゴムパッキン6を装着し、最後に押輪7をボルト11及びナット12で締結している。
【0005】
ところが、ゴムパッキン6の内径が小さいと、このゴムパッキン6の中央の貫通孔への接合管1の挿入が難しく、継手本体2に仮締め状態で搬送されるゴムパッキン6及び押輪7へ、その仮締めのままの状態で外部から接合管1を挿入することは不可能であった。そのため、継手本体2から押輪7及びゴムパッキン6を分解して取り外し、これを接合管1の外周面上へ外嵌装着した後、接合管1の挿口部5を継手本体2の受口部3へ挿嵌して押輪7のボルト11及びナット12を締結しなければならず、分解及び再組立を必要とするため管継手の接続作業が極めて煩雑になるという欠点があった。
【0006】
このような煩雑さを解決する手段として本出願人は、特開平07−113487号公報で開示された図5に示す技術を既に出願済みである。この先願技術は、緊締したときに縮径する寸法が大きいゴムパッキン13を用いることにより、予めゴムパッキン13の内径寸法を接合管1の外径寸法よりも大きくしておき、仮組立したままの状態で接合管1をゴムパッキン13及び継手本体2の空腔4内へ挿通することのできるようにしたものである。ゴムパッキン13は、継手本体2の受口部3のテーパー面と接触する部位に、複数の環状の凸条14と、凸条14どうしの間に形成される環状の凹部15とが一体成形されている。凸条14は、一定間隔で且つ接合管1の軸線と同じ方向(水平方向)に設けられている。尚、図5において、符号16は、間隔保持用のプラスック製のスペーサである。このスペーサ16は、仮組立の状態において、押輪7がゴムパッキン13を押し込まないようにするためのものであり、組立時はスペーサ16を装着したまま押輪7による緊締作業を行うことが可能である。スペーサ16は、脆性破壊され、緊締作業に支障をきたすことはない。
【0007】
締結時にあって、ゴムパッキン13は、押輪7の先端面に押圧付勢されて前進し、やがてテーパー面の凸条14が先ず継手本体2の受口部内周面へ当接するようになる。そして、更に押輪7を緊締すると、凸条14は圧縮されて図6の実線で示すように圧縮変形する。これによって、ゴムパッキン13の本体は、前記凸条14を支点としてテーパー状受口部3のテーパー面に沿って斜め下方へ移動し、縮径するようになる。次に、前記凸条14は次第にその位置で圧縮による変形を起こし、テーパー状受口部3とゴムパッキン凹部15との間の空間で広がるようになる。そして、凸条14のこの変形により、ゴムパッキン13はテーパー面と接触している部分を支点として、図7の矢符で示すように、摩擦抵抗とは無関係にテーパー面に沿ったころがりを行うようになる。ゴムパッキン13は斜め下方へ抵抗無く移動して更に縮径し、接合管1との大きな密着力が得られる。
【0008】
このように、本出願人の先願技術では、ゴムパッキン13の内径を接合管1の外径よりも大きくし、継手部分の各部材を分解せずとも仮組立の状態のままで接合管1を差し込んで押輪7のボルト11及びナット12を締結することで組立を完了することができるようにし、管継手全体の接続作業を著しく簡略化するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8に示すように、受口側である継手本体2がテーパー状の受口面3と円筒状内径部とで構成され、継手本体2と押輪7との間に両者を嵌合させるプラスチックリング等がないものにあっては、管接合時に、ゴムパッキン13と押輪7をリジッドに保持するものがなく、押輪7の中心線が継手本体2の中心線より下方に垂れ下がり、位置ズレを起こしていた。そのため、接合管1を挿通する場合に、前記接合管1がゴムパッキン13と干渉し、円滑な挿通作業ができ難いという欠点があった。
【0010】
また前記接合管1がゴムパッキン13を挿通した状態においては、図9に示すように、管の上に押輪7が接触し、管の下方では押輪7との間に大きな隙間が形成される。ゴムパッキン13の内径は管外径よりも大きく設定されているので、管はゴムパッキン13の下方内周面に接触することとなる。管とゴムパッキン内周面の隙間は上方は大きくなり、下方はなくなる。そのため、押輪7とゴムパッキン13の関係も偏心したものとなり、均一に締められない状況になっていた。このような状況下でボルト11及びナット12で緊締すると、押輪7とゴムパッキン13の当たり面が均一に締まらなくなり、呼び径75mmの管では10N・m程度の軽く締め付けただけでは管とゴムパッキン13の間より水圧2Mpaで水漏れを起こすことがあり、締付トルクを20N・m以上にしなければ水圧4Mpaを達成できないという欠点があった。しかも、同じ20N・mの締付トルクで締め付けても数日後は増し締めできるほど弛んでいて、水圧3Mpaでも水漏れしてしまうことがあった。一方、締め付け過ぎたときは、隙間の大きな方にゴムパッキンがはみ出てきて管が直線配管の場合でも継手本体2に対して傾斜してしまうということがあった。
【0011】
更に、継手本体2に対して接合管1が傾斜して配管されている場合や、管が変形している場合及び継手本体部2のテーパ部3が変形している場合等でも、ボルト11及びナット12を緊締し、押輪7にてゴムパッキン13を圧縮すると、圧縮に不均一な部分が出来易く、軽く締め付けただけでは、締め付け不足のところができ、水漏れの発生することがあった。
【0012】
更にまた、ユニオンナットの場合は、呼び径40mmの比較的小口径にこの方式が取られている。図10に示すように、継手本体2とユニオンナット17を螺子18,19で締結する構造で、これらの部材の他に管外径より大きい内径を有するゴムパッキン13と、テフロンフィルムワッシャ31とで構成されている。小さな締付力でゴムパッキン13を縮径し圧縮する構造である。しかし、呼び径20mm程度なら手締めで2Mpaの水密性があるものの、呼び径40mmの口径では手締めで0.5Mpa程度で水漏れする。また数日経過すると、ゴムパッキン13が弛んで手で更に増し締めできる程度になっており、低い水圧で水漏れを起こしていた。通常の水道管の水圧が0.75Mpaであるものの、安全の為に最初にパイプレンチ等で増し締めしておく必要があり、配管作業が重労働になっていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、仮組立の状態であっても押輪とゴムパッキンと継手本体受口とが心ズレを起こすことがなく、管挿通に支障の出ない構造にすることと、継手本体に対して傾斜している管や変形している管であっても、軽く締め付けるだけの軽作業で水漏れの発生しない継手構造が得られるゴムパッキンを提供せんとするものである。
【0014】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、テーパー状の受口部を有する管又は継手本体に、無ねじの接合管を挿入し、押輪又はユニオンナット等の緊締手段によって管又は継手本体に環状のゴムパッキンを挿嵌介在せしめてシールする管継手用ゴムパッキンにおいて、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側全面に環状の凹凸条を複数個設け、内周面側の凸条の内径を管の外径よりも大きくして成り、また前記内周面側の凸条 の根元の幅Wと高さHとの関係はH>1/2Wに設定されており、前記内周面の凹条は凸条の圧縮変形ころがり領域であることを特徴とする管継手用ゴムパッキンである。
【0015】
この発明のゴムパッキンは、受口面と接触する部位の環状の凹凸条によって、管受口部のテーパ面を転がり、大きく縮径することができるのでゴムパッキンの内径を挿口管の外径よりも大きくすることができ、管の挿入作業が容易である。またゴムパッキンの内周面側全面に、環状の凹凸条を設けており、凸条の先端部は、ゴムパッキン縮径時に管外周に圧接し変形する。締結する過程でゴムパッキンは管受口と押輪、又はユニオンナットとの管軸方向に長さが短くなり、凸条の圧縮変形部は管の接する部分で転がり、抵抗なくゴムパッキン全体が圧縮される。ゴムパッキンに内部歪みを生じないため、時間が経過しても弛む現象もなくなる。継手本体に対して傾斜して配管されている管や変形している管の場合でも同様である。
【0016】
これを従来技術と比較すると、従来技術のようにゴムパッキンの内周面全面を管外周面へ圧接する構造の場合は、縮径過程は軽く締まるものの、ゴムパッキンと管外周面が接した段階で急に締まり難くなる。これはゴムパッキンが管受口と押輪、又はユニオンナットとの長さが管軸方向に短くなる過程で、ゴムパッキンと管外周面の摩擦抵抗により短くし難くする作用があるからである。ところが、その摩擦抵抗は、時間の経過と共に減少し、ゴムパッキン内周面と管外周面は徐々に滑り出し、ゴムパッキン全体が弛む現象が生じる。従って、相当増し締めしないと後日水漏れを起こすという欠点があった。継手本体に対して傾斜している管や変形している管の場合は、外周面上でゴムパッキンの一部に摩擦抵抗が急に生じ、外周面上でムラが生じ、軽く締めるとゴムパッキンの圧縮不足のところが出来てしまうことがあった。本発明では前述した通り、このようなことは皆無である。
【0017】
また請求項2の発明は、円筒状内径部とテーパー面との受口部を有する管又は継手本体に、無ねじの接合管を挿入し、押輪によって管又は継手本体に環状のゴムパッキンを挿嵌介在せしめてシールする管継手用ゴムパッキンにおいて、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側全面に環状の凹凸条を複数個設け、内周面側の凸条の内径を管の外径よりも大きくし、押輪と接触する部位の外周側に、前記押輪の外周面側に外嵌装着される位置決め用のリブを設けて成り、前記内周面側の凸条の根元の幅Wと高さHとの関係はH>1/2Wに設定されており、前記内周面の凹条は凸条の圧縮変形ころがり領域であることを特徴とする管継手用ゴムパッキンである。
【0018】
前記位置決め用のリブにより、ゴムパッキンの全体が押輪に外嵌装着されて保持されるようになり、その中心位置がズレるということがない。そのため、ゴムパッキンへの接合管の挿通が円滑である。また挿通した状態においては、管はゴムパッキンの下方内周面に接触することとなる。管とゴムパッキン内周面の隙間は上方は大きくなり、下方はなくなるようになる。しかし、押輪とゴムパッキンの関係は全周に均一に締められる状況になり、ボルト・ナットで緊締する過程で押輪とゴムパッキンの当たり面が均一に締まり、ゴムパッキン内周面側全域の凸条の圧縮変形部は管と接する部分で転がり、抵抗なくゴムパッキン全体が圧縮されるようになり、管を押し上げ、上下の隙間を軽い締付力で均一にする。従って、全周においてバランスのよい優れた水密性を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成を図面に示す実施例に基づいて説明すると次の通りである。なお、従来と同一符号は同一部材である。図1は本発明の第1の実施の形態に係る管継手の半縦断面図である。同図に示す如く、この実施の形態にあっては、ゴムパッキン20の押輪7と接触する部位の外周面側に、位置決め用の環状のリブ21を軸線の同じ方向に突出して形成している。またゴムパッキン20の内周面側全面に、環状の凸条22及び凹条23を交互に複数個設けている。この凹条23は、凸条22の圧縮変形空間領域である。凸条22は、凸部の根元の幅Wと高さHの関係は、H>1/2Wになっている。この寸法関係に限定した理由は、Hが1/2Wに足りない場合は、凸条22が圧縮変形されたときに、管外周面を転がるために必要な凸条22の高さ寸法及び変形領域を確保することができず、凸条22が管外周面上を摩擦抵抗を伴って滑り、ゴムパッキン20に内部歪みを発生させ、これが時間の経過と共に徐々に解放されて(クリープ現象)、弛みを発生させ、漏水の原因になるからである。つまり、H>1/2Wの寸法関係は、ゴムパッキン20の内周面と管の外周面との間で凸条22がゴムパッキン20に内部歪みを伴うことなく図6及び図7に示すように転がる作用を得るための高さ寸法を確保するためのものである。更に、ゴムパッキン20の継手本体2の受口部3のテーパー面と接触する部位に、複数の環状の凸条14と、凸条14どうしの間に形成される環状の凹部15とを交互に且つ一体成形により設けている。凸条14は、一定間隔で且つ接合管1の軸線と同じ方向(水平方向)に設けられている。またゴムパッキン20の凸条22の内径寸法は、接合管1の外径寸法よりも若干大きくなるように設定されている。
【0020】
このように構成された管継手にあっては、継手本体2のテーパー状受口部3にゴムパッキン20の先端側を内嵌装着する。また押輪7の押込み部7aに、ゴムパッキン20の後端側を接合させると共にその環状のリブ21を押込み部7aに外嵌装着させ、ゴムパッキン20を押輪7に保持させている。そして、ボルト11及びナット12を仮締めの状態にした1セットの管継手として工場から出荷している。すなわち、管継手の全体を仮組立てた状態で工場から出荷するようにしている。この仮組立の状態にあって、ゴムパッキン20はそのリブ21を介して押輪7の押込み部7aに外嵌装着されてこれに保持されているので、その中心位置は継手本体2の軸心線と一致し、心ズレを起こすことはない。
【0021】
次に、このような状態から図1に示すように、接合管1の挿口部5を押輪7へ挿通し、更に継手本体2の受口部3へ内嵌保持されたゴムパッキン20を貫通して受口部3の空腔4へ介在させるようにしている。この場合に、前記の如く、ゴムパッキン20の凸条22の内径は接合管1の外径よりも大きく設定されており、またゴムパッキン20はそのリブ21が押輪7の押込み部7aに外嵌装着されてこれに保持されて心ズレが発生しないようになされているので、接合管1の挿通作業はゴムパッキン20の状態が外部から目視できなくても容易に行うことが可能である。最後に、押輪7をボルト11及びナット12で締結するようにしている。
【0022】
而して、この締結時にあって、押輪7に押圧付勢されたゴムパッキン20は、継手本体2の受口部3のテーパ面と接触する凸条14が圧縮されて図6の実線で示すように変形し、ゴムパッキン20の本体は、前記凸条14を支点として受口部3のテーパー面に沿って、ゴムパッキン20の全体が均一に斜め下方へ移動し、縮径するようになる。この縮径によりゴムパッキン20は凸条22が接合管1の外周面へ当接するようになる。
【0023】
そして、更に、押輪7の緊締が進むと、ゴムパッキン20は、受口部3のテーパー面と接触している部分を支点として、図7の矢符で示すように、摩擦抵抗とは無関係にテーパー面に沿ったころがりを行うようになる。これにより、ゴムパッキン20はその全体が斜め下方へ抵抗無く均一に移動し、更に縮径をする。このゴムパッキン20の全体にわたる均一な縮径動作により、ゴムパッキン20と接合管1との密着力は著しく増大し、優れた水密性及び管の保持力を発揮する。なお、この状態から更に押輪7を緊締すると、図7に示すように、ゴムパッキン20の凹部15の底面はテーパー状受口部3と接合するようになる。そして後は、ゴムパッキン20の全体が圧縮による変形をし、更に接合管1との密着力を増大させる。
【0024】
このゴムパッキン20の接合管1との密着は、ゴムパッキン13の内周面側全面に設けられた複数個の環状の凸条22によって行われる。凸条22の先端は、ゴムパッキン13の縮径時に管外周面に圧接され、凹条23の空間領域内で圧縮変形する。そして、締結する過程でゴムパッキン13は、管受口3と押輪7との間隔が縮むことになり、凸条22の圧縮変形部は接合管1と接する部分で圧縮変形部が転がり、抵抗なくゴムパッキン13の全体が圧縮される。
このことを従来技術と比較すると、従来技術のようにゴムパッキン13の内周面全面を管外周面へ圧接する構造の場合は、縮径過程は軽く締まるものの、ゴムパッキン13と管外周面が接した段階で急に締まり難くなる。これはゴムパッキン13が管受口3と押輪7との間の間隔が管軸方向に短くなる過程で、ゴムパッキン13と管外周面の摩擦抵抗により短くし難くする作用があるからである。ところが、その摩擦抵抗は、時間の経過と共に減少し、ゴムパッキン13内周面と管外周面は徐々に滑り出し、ゴムパッキン13全体が弛む現象が生じる。従って、相当増し締めしないと後日水漏れを起こすという欠点があった。この実施の形態にあっては、前述した通り、このようなことは皆無である。
【0025】
図2は本発明の第2の実施の形態に係るものである。この実施の形態は、ユニオンナット17を用いてゴムパッキン20を緊締するようにしたものであり、継手本体2の外周面に雄ねじ18を刻設し、ユニオンナット17の内周面に雌ねじ19を刻設している。ユニオンナット17とゴムパッキン20の間にはテフロンフィルム31等の潤滑部材があり、ゴムパッキン20の縮径が円滑に行われるようになっている。ゴムパッキン20及びその他の構成並びに作用効果については、前記第1の実施の形態の場合と同じである。このユニオンナット17の場合は、呼び径40mmの口径では手締めで水密性が4Mpa以上あり、時間が経過してもゴムパッキン20に弛みが生じず、4Mpaを保ち続けていること、及び実情の水圧は0.75Mpaであることから、大きなパイプレンチで増し締めする必要もなくなり、管継手の接合作業が重労働から開放されるようになった。
【0026】
図3は本発明の第3の実施の形態に係るものである。この実施の形態にあっては、ゴムパッキン20のテーパー状の受口部3側に面する前側部分に環状の凹凸条14を設け、ゴムパッキン20の押輪7と接触する後方の外周面側に、位置決め用の環状のリブ21を軸線と同じ方向に突出して形成している。ゴムパッキン20はそのリブ21が押輪7の押込み部7aに外嵌装着されてこれに保持されて心ズレが発生しないようになされているので、接合管1の挿通作業はゴムパッキン20の状態が外部から目視できなくても容易に行うことが可能である。更に、増し締めしても押輪7のゴムパッキン20と接触する端面と継手本体2の受口端面との間の間隔が、円周方向全域で均一になっていることにより、一部にゴムパッキン20がはみ出すということもなくなり、継手本体2に対して管1を傾斜させるということもない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にあっては、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側に環状の凸条を複数個設け、凸条の内径を管の外径よりも大きくしている。前記ゴムパッキンは、受口面と接触する部位の環状の凹凸条によって、大きく縮径することができ、ゴムパッキンの内径を挿口管の外径よりも大きくすることができ、管の挿入作業が容易である。またゴムパッキンの内周面側に、環状の凸条を設けており、凸条の先端側が管外周面へ圧接されるので、ゴムパッキンの内周面全面を管外周面へ圧接する場合に比較して遥かに小さい締付力でもゴムパッキン内周面側全面の複数の環状凸条が環状凹部内で圧縮変形し、管外周面上を転がることによって管との抵抗をなくし、ゴムパッキン全体が内部歪みを発生させず、効果的に圧縮される。
更にゴムパッキン内周面側の複数の環状凸条の先端部は環状に圧縮変形しているため、管が変形している場合や継手本体に対して傾斜して接続されている管の場合でも強大な水密性が発揮される。例えば、押輪構造の呼び径75mmの管の場合は、5N・m程度の締付力で水圧4Mpa以上の水密性がある。しかも、ゴムパッキンが弛むことがなく、数日が経過しても4Mpa以上の水密性を保っていた。またユニオンナット構造の呼び径40mmの管の場合は、手締めで水圧4Mpa以上あり、ゴムパッキンが弛むこともなく、後日、増し締めする必要もなく、パイプレンチ等の工具も必要なくなった。
【0028】
また本発明にあっては、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側に環状の凸条を複数個設け、凸条の内径を管の外径よりも大きくしている。そして、押輪と接触する部位の外周側に、前記押輪の外周面側に外嵌装着される位置決め用のリブを設けている。これにより、本発明では、仮組立の状態であっても、ゴムパッキンの位置決め用のリブが押輪等の緊締手段に外嵌装着されてこれに保持されているので、その中心位置がズレることはない。そのため、円滑な接合管の挿通が可能である。また押輪はゴムパッキンに対し正規の位置に締め付けるため、締め付けすぎても管外周面と継手本体との間の間隙が円周上均一になるため、ゴムパッキンが片方にはみ出さず、継手本体に対して管を傾斜させて接続することもなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る管継手の部分縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る管継手の部分縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る管継手の部分縦断面図である。
【図4】従来の管継手を示す部分縦断面図である。
【図5】先願技術に係る管継手を示す部分縦断面図である。
【図6】先願技術のゴムパッキンの圧縮による変形並びに縮径作用を説明する部分拡大縦断面図である。
【図7】先願技術のゴムパッキンの圧縮による変形並びに縮径作用を説明する部分拡大縦断面図である。
【図8】別の従来技術に係る管継手の部分縦断面図である。
【図9】図8の状態から管を更に差し込んだ状態を示す従来の管継手の部分縦断面図である。
【図10】従来のユニオンナット継手の部分縦断面図である。
【符号の説明】
1…接合管、2…継手本体、3…受口部、4…空腔、7…押輪、14…ゴムパッキンの 凸条、15…ゴムパッキンの凹部、17…ユニオンナット、20…ゴムパッキン、21 …リブ、22…ベローズ
Claims (2)
- テーパー状の受口部を有する管又は継手本体に、無ねじの接合管を挿入し、押輪又はユニオンナット等の緊締手段によって管又は継手本体に環状のゴムパッキンを挿嵌介在せしめてシールする管継手用ゴムパッキンにおいて、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側全面に環状の凹凸条を複数個設け、内周面側の凸条の内径を管の外径よりも大きくして成り、また前記内周面側の凸条の根元の幅Wと高さHとの関係はH>1/2Wに設定されており、前記内周面の凹条は凸条の圧縮変形ころがり領域であることを特徴とする管継手用ゴムパッキン。
- 円筒状内径部とテーパー面との受口部を有する管又は継手本体に、無ねじの接合管を挿入し、押輪によって管又は継手本体に環状のゴムパッキンを挿嵌介在せしめてシールする管継手用ゴムパッキンにおいて、ゴムパッキンの管又は継手本体のテーパー状の受口面と接触する部位に、環状の凹凸条を前記受口面のテーパー面に沿って且つ管の軸線と同じ方向に複数個突出状に設けると共に、ゴムパッキンの内周面側全面に環状の凹凸条を複数個設け、内周面側の凸条の内径を管の外径よりも大きくし、押輪と接触する部位の外周側に、前記押輪の外周面側に外嵌装着される位置決め用のリブを設けて成り、前記内周面側の凸条の根元の幅Wと高さHとの関係はH>1/2Wに設定されており、前記内周面の凹条は凸条の圧縮変形ころがり領域であることを特徴とする管継手用ゴムパッキン。
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