JP3774832B2 - 分水計量装置および浄化槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄化槽に用いられる分水計量装置とそれを有する浄化槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
浄化槽に用いられている分水計量装置としては、たとえば特開平4−71,688号公報、特開平5−1,381,184号公報、実開平5−22,096号公報、特開平5−96,289号公報、特開平7−47,378号公報などに示すものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来例に係る分水計量装置では、汲み上げた処理水の適正な分配が困難であったり、内部の構造が複雑になり過ぎ、分配の調節加減が困難であったりする。また、構造が複雑になると、製造コストが増大し、経済的でない。なお、単純な構成の分水計量装置も提案されているが、そのような装置では、汲み上げた処理水の揚水量が大きく変動する場合に対応しておらず、揚水量の変化により、分配されて移送される処理水の水量も変動するおそれがあった。
【0004】
たとえば水位変動式浄化槽内の処理水を汲み上げる場合、経時的な水位変化に伴って、エアリフトポンプの時間当りの揚水量が大きく変化する。この揚水量の変化にもかかわらず、絶えず所定の水量を移送可能ならしめる分水計量装置が求められていた。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、コンパクト且つシンプルでありながら、揚水量の変化にもかかわらず、絶えず所定の水量を移送可能ならしめる分水計量装置およびそれを用いた浄化槽を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る分水計量装置は、浄化槽内部のいずれかの第1室からの処理水が流入する流入室と、流入室の少なくとも一部を囲むように区画する溢流区画板を乗り越えて流れる処理水が流入し、前記第1室へ処理水を戻す返送管に接続してある返送室と、前記流入室の下方に形成された潜流口と間接的に連通し、前記第1室と異なる浄化槽内部の第2室へ処理水を流出させる流出管が接続してある流出室とを有する。なお、本発明において、浄化槽の第1室および第2室とは、浄化槽の内部のいずれかの室の意味である。また、浄化槽においては、槽の内部の各処理室を処理槽と称することもあるが、本発明では、処理槽も含めて、「室」と称する。
【0007】
前記流入室と返送室とを仕切る溢流区画板は、流入室の周囲二辺位置以上、好ましくは3辺位置に装着してあることが好ましい。また、この溢流区画板は流入室を囲む曲面板であっても良い。
前記潜流口と流出室との間の流体の通路には、整流板が装着してあることが好ましい。整流板により処理水の波を抑制することができる。
【0008】
また、この整流板と共に、あるいは単独で、前記潜流口と流出室との間の流体の通路には、流量調節板が装着してあることが好ましい。この流量調節板は、昇降ゲートであることが好ましい。この流量調節板には、三角堰、四角堰、全幅堰などの堰が形成してあることが好ましい。この流量調節板の後流側に、流出室が形成してあることが好ましい。流量調節板の堰の高さが可変になっていることが好ましい。堰の高さを調節自在とするためには、堰が形成してある仕切り板を上下方向にスライド移動自在とすれば良い。流量調節板を設けることで、流出室へ向かう処理水の流量を調節することができる。
【0009】
前記流入室と返送室とは、単一の矩形ブロック内に形成されることが好ましい。矩形ブロックの隣には、区画板を介して矩形の整流室と流量調節室とが形成してあり、整流室と流量調節室との間に整流板が装着してあることが好ましい。
前記整流室および流量調節室の隣に、区画板を介して、矩形の前記流出室が形成してあることが好ましい。流量調節室と流出室との間の区画板が、堰が形成してある流量調節板であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る分水計量装置では、流入室の少なくとも一部を囲む周囲に返送室を設け、それらを仕切る区画板を、全幅堰として利用している。このような幅の広い堰とすることで、装置内部の水位を一定にし易くなる。すなわち、流入管からの汲み上げ水量が変化して過大になったとしても、流入室の周囲にある返送室へ多量に流れ、そこから返送するので、装置内部の水位が上昇し難い。その結果、流出室の流出管から一定量の処理水が計量されて流れ出ることができる。
【0011】
本発明では、流入室の少なくとも一部の周囲を囲むように、返送室を設け、それらの区画板を溢流区画板とすることで、分水計量装置の構成がコンパクト且つシンプルになり、製造コストの低下を図ることができると共に、メンテナンス性が向上する。
【0012】
本発明に係る浄化槽は、前述したいずれかの分水計量装置を有する浄化槽である。
浄化槽が、窒素も生物学的に除去するタイプの高度処理型浄化槽である場合などには、本発明に係る分水計量装置は、浄化槽の内部で、たとえば好気性処理室または沈澱室から嫌気性処理室へ処理水の一部を循環させるために用いられる。その場合の循環量は、1日に流入する汚水の量の3〜4倍程度の循環量であることが好ましい。
【0013】
浄化槽が、流量調節機能付の家庭用浄化槽である場合などには、浄化槽内部に、高水位線と低水位線とを設け、その間を流量調整部位として、本発明に係る分水計量装置を用い、沈澱室から消毒室、第1嫌気性処理室から第2嫌気性処理室、あるいは第2嫌気性処理室から好気性処理室への処理水の定量移送を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る分水計量装置および浄化槽を、図面に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
第1実施形態
図1は本発明の一実施形態に係る分水計量装置の斜視図、図2は浄化槽の概略断面図、図3は分水計量装置とエアリフトポンプとを含む循環手段の側面図である。
【0015】
まず、浄化槽の全体構成について、図2に基づき説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る合併処理浄化槽100は、たとえばノルボルネン系モノマーの反応射出成形体で構成してある浄化槽本体10を有する。この浄化槽本体10は、例えば上部浄化槽本体と下部浄化槽本体とを、後述する濾床30などの構成部品を内部に取り付けた後、重ね合わせることにより組み立てられる。
【0016】
浄化槽本体10には、図示はしないが、浄化槽100を構成するために必要となるマンホール蓋が取り付けられる取付孔が浄化槽本体10の長手方向に形成してある。また、浄化槽本体10の長手方向の前後には、汚水を導入するための流入管18と、処理を終えた浄化水を放流するための放流管20がそれぞれ設けられている。
【0017】
この浄化槽100は、嫌気性処理と好気性処理とを行う合併処理浄化槽であることから、浄化槽本体10の内部は、長手方向に沿って複数の仕切り板40,42,44と隔壁46により複数の室50,52,54,56,58に区切られている。本実施形態では、汚水が導入される上流側から、第1嫌気性処理室50、第2嫌気性処理室52、好気性処理室54、沈澱室56、および消毒室58の都合5室の処理室が形成してある。
【0018】
第1嫌気性処理室50は、流入管18から汚水が導入される処理室であり、隣接する第2嫌気性処理室52とは仕切り板40で仕切られているが、当該仕切り板40の上部に開設された連通孔40aによって両室50,52は連通している。この第1嫌気性処理室50には、合成樹脂などの濾材に嫌気性菌が付着した嫌気性濾床30が支持されて設けてあり、流入管18から流入した汚水は、嫌気性濾床30を通過する際に嫌気性処理が施され、仕切り板40の連通孔40aを通って第2嫌気性処理室52へ、堰の自然越流によって流下することになる。
【0019】
上記第1嫌気性処理室50に隣接する第2嫌気性処理室52は、第1嫌気性処理室50で嫌気性処理された処理水が導入される第2の嫌気性処理室52であり、隣接する好気性処理室54とは仕切り板42で仕切られているが、当該仕切り板42の上部に開設された連通孔42aによって両室52,54は連通している。この第2嫌気性処理室52にも、第1嫌気性処理室50と同様に、合成樹脂などの濾材に嫌気性菌が付着した嫌気性濾床30が、支持されて設けてあり、第1嫌気性処理室50から流入した処理水は、嫌気性濾床30を通過する際にさらなる嫌気性処理が施され、仕切り板42の連通孔42aを通って好気性処理室54へ、堰の自然越流によって流下することになる。
【0020】
上記第2嫌気性処理室52に隣接する好気性処理室54は、第2嫌気性処理室52で嫌気性処理された処理水が導入される処理室であり、隣接する沈澱室56とは仕切り板44で仕切られているが、当該仕切り板44の下部に形成されたスロット(狭小通路)44aによって両室54,56は連通している。この好気性処理室54には、合成樹脂などの濾材に好気性菌が付着した好気性濾床30が、支持されて設けてあり、第2嫌気性処理室52から流入した処理水は、好気性濾床30を通過する際に好気性処理が施され、仕切り板44下部のスロット44aを通って沈澱室56へ流れることになる。なお、図1において符号「21」は、当該好気性処理室54の好気性処理を促進させるための散気管であり、図示しない送気装置に接続してある。
【0021】
上記沈澱室56に隣接する消毒室58は、隔壁46によって沈澱室と仕切られており、当該消毒室58には、沈澱室56の上澄み液が放流用定量移送装置70によって流れ込み、図示しない薬剤筒によって供給された消毒剤で塩素消毒された後、放流管20を通って浄化水として外部に放流される。
【0022】
なお、沈澱室56に設けられた定量移送装置70は、沈澱室56の上層部に配置され、浄化槽本体10の幅方向に延在する集水管71と、この集水管71で集水した上澄み液を移送する取水管72と、流量を計測する放流用分水計量装置73と、適量の上澄み液を消毒室58へ移送する移送管74と、放流用分水計量装置73で計量された結果、余剰となった上澄み液を揚水管72へ戻すための戻し管75とから構成される。この定量移送装置70は、図示しないエアー配管から取水管72に空気を吹き込むことによって密度の小さい気泡水を作り、取水管72外の水との比重差を利用して集水管71から上澄み液を揚水する。符号76は空気開放口である。
【0023】
本実施形態において、沈澱室56において重力沈降したスラッジを極力底部に集約するために、浄化槽本体10の槽底が、好気性処理室54側に向かって傾斜して形成してあり、これにより沈澱室56のスラッジは仕切り板44の下端であるスロット44aの近傍に堆積することとなる。
【0024】
本実施形態では、好気性処理室の処理水を第1嫌気性処理室へ返送するための循環手段60が設けてある。
この循環手段60は、先端に吸い込み口62aが形成してある取水管62と、還流処理水の流量を計測する循環用分水計量装置63と、適量の還流処理水を第1嫌気性処理室50へ移送する流出管64と、循環用分水計量装置63で計量された結果、余剰となった処理水を好気性処理室54へ戻すための返送管65と、エアリフト効果を発揮させるために取水管62内へ空気を吹き込むためのエアー配管66(図3をも参照)とから構成してある。
【0025】
図3に示すように、取水管62の下端部にはエアー配管66が接続されて、当該取水管62内に空気が吹き込まれる。これにより、取水管62内が密度の小さい気泡水で満たされることから、取水管62外の処理水との比重差が生じ、これによって取水管62の吸い込み口62aから処理水を揚水することができる。なお、図3において符号「67」は、吹き込み空気量を調節するためのエアリフト用バルブである。
【0026】
この種のエアリフトポンプは、吹き込み空気を生成する送風機以外に運動する部分がないので、摩耗や故障のおそれがなく、耐食性材料の使用が容易である。ただし、本発明においてはエアリフトポンプにのみ限定されることなく他の揚水手段を用いることは可能である。
【0027】
本実施形態の浄化槽100にあっては、以下のようにして汚水処理が行われる。
すなわち、汚水が流入管18から第1嫌気性処理室50に入ると、第1嫌気性処理室50において、まず酸生成菌により汚水中の有機物が酢酸やプロピオン酸などの有機酸に低分子化され、さらにこの有機酸はメタン菌などによってメタンガスや二酸化炭素ガスに分解される。また、有機態窒素からアンモニア態窒素(NH4 + −N)が生成される。この処理水は、仕切り板40の連通孔40aを自然越流して第2嫌気性処理室52に流下し、第1嫌気性処理室50と同様の嫌気性処理が繰り返し行われる。
【0028】
第2嫌気性処理室52の処理水が、仕切り板42の連通孔42aを自然越流して好気性処理室54に至ると、第1および第2嫌気性処理室50,52で生成されたアンモニア態窒素(NH4 + −N)は、当該好気性処理室54において、硝化菌などの好気性菌によって、硝酸態窒素(NO3 - −N)や亜硝酸態窒素(NO2 - −N)に酸化分解される。
【0029】
この処理水の一部は、スロット44a近傍に設けられた取水管62の吸い込み口62aから集水され、循環用分水計量装置63および返送管64を介して第1嫌気性処理室50に返送される。
このように、好気性処理室54で硝化処理された処理水が第1嫌気性処理室50へ返送されると、第1嫌気性処理室50の脱窒菌は、この還流水に含まれる硝酸態窒素(NO3 - −N)や亜硝酸態窒素(NO2 - −N)などの酸素を利用し、第1嫌気性処理室50に導入される有機物を分解して生存するためのエネルギーを得ることになる。これにより、第1嫌気性処理室50の有機物分解は、嫌気性処理だけでなく、好気性処理室54からの還流水に作用する脱窒菌によっても行われることになるので、嫌気性処理によるアンモニア態窒素(NH4 + −N)の過剰増加を抑制することができ、嫌気性菌の活性を適切に維持することができる。
【0030】
また、このようにして好気性処理室54からの還流水に含まれる硝酸態窒素(NO3 - −N)や亜硝酸態窒素(NO2 - −N)などの酸素が脱窒菌に利用される結果、これら硝酸態窒素や亜硝酸態窒素は還元されて分子状の窒素(N2 )や亜酸化窒素(N2 O)に分解され、好気性処理室54の硝酸態窒素や亜硝酸態窒素の濃度が可及的に低減されることになる。
【0031】
このように本実施形態の浄化槽100では、循環手段60が設けられているので、好気性処理室54の処理水を均一に集水して嫌気性菌の活性を維持できると共に、汚水中の窒素成分が除去される。
次いで、このようにして硝酸態窒素や亜硝酸態窒素の濃度が低減された処理水が、仕切り板44下部のスロット44aを通過して沈澱室56に至ると、当該沈澱室56にて濁質成分が沈澱分離され、その上澄み液が消毒室58へ移送される。最後に、この上澄み液は消毒室58で塩素消毒された後、放流管20から浄化水として外部へ放流される。
【0032】
本実施形態では、図2,3に示すような浄化槽において、図2に示す分水計量装置63を、図1に示すような箱体で構成してある。
図1に示すように、この分水計量装置63では、矩形箱体の内部を、区画板5により大きく二つの矩形ブロックに分け、一方の(図1で左側の)矩形ブロックの内部には、3辺の連続した溢流区画板3を設け、流入室80と、その周囲に位置する返送室82とに区画してある。溢流区画板3は、区画板5よりも20〜30%程度低い高さを有する。この溢流区画板3を設けることで、流入室80の3方の周囲が、返送室82で囲まれる。
【0033】
流入室80内には、流入管1が接続してある。流入管1は、本実施形態では、図2に示す取水管62に接続してあり、取水管62により好気性処理室54の底部から吸い上げた処理水が流入管1を通して図1に示す流入室80内に流入するようになっている。流入管1の流入口は、流入室80内において、底面から所定の高さの位置で開口している。本実施形態では、流入管1の流入口の高さは、溢流区画板3と同程度の高さであるが、特に限定されず、区画板3の高さよりも低くても良い。
【0034】
返送室82には、返送管65が接続してあり、返送室82内に流入した処理水は、返送管65を通して、図2に示す好気性処理室54へ戻るようになっている。
流入室80の横断面積(流入管1の軸線に垂直な断面)と返送室82の横断面積との比は、特に限定されないが、1対0.6〜0.8程度の大きさであることが好ましい。返送室80が小さすぎると、返送管65で戻る処理水の流量が少なく成りすぎ好ましくなく、逆に大きすぎると、流入室が小さく成りすぎて好ましくない。
【0035】
区画板5により分けられた他方の(図1で右側の)矩形ブロックは、区画板5に対して略平行な区画板8により大きく2室に分けられ、区画板5と区画板8とを掛け渡すように、整流板6を形成することで、整流室84と、流量調節室86と、流出室88とに区画してある。
【0036】
本実施形態では、整流室84の横断面積と、流量調節室86の横断面積とは略同じであるが、整流板6の位置を変えて設計することで、その面積割合を変えることができる。また、本実施形態では、流出室88の横断面積は、流量調節室86と整流室84とを足した横断面積と略同じであるが、区画板8の位置を変えて設計することで、変化させることもできる。
【0037】
区画板5の下方には、潜流口4が形成してあり、流入室80と整流室84とを連通させている。整流板6の下方には、整流口が形成してあり、整流室84と流量調節室86とを連通している。整流口を通過することにより、処理水は整流され、波や泡が押えられる。流量調節室86と流出室88とは、区画板8に対して上下方向にスライド移動自在に装着された昇降ゲート7に形成された三角堰89を介して連通している。昇降ゲート7を上下方向に昇降させることで、三角堰89の高さが変化し、流量調節室86から三角堰89を溢流して流出室88へ流れ込む流量の調節が可能になっている。
【0038】
流出室88には、流出管64が接続してある。流出管64は、本実施形態では、図2に示すように、第1嫌気性処理室50へ向い、流出室88へ流れ込んだ処理水を図2に示す第1嫌気性処理室50へ移送するようになっている。
本実施形態では、このように構成してある分水計量装置63を、ステンレス鋼、鉄などの金属、あるいは塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ABS樹脂などの合成樹脂で構成してある。
【0039】
次に、図1に示す分水計量装置の作用について説明する。
前述したエアリフトポンプなどを用いて、流入管1から流入した処理水は、まず流入室80内に滞留する。溢流区画板3の高さまで処理水が溜ると、それ以上の処理水は、区画板3を乗り越えて、返送室82へ流入する。返送室82へ流入した処理水は、返送管65を通して、流入管1で取り入れた場所に戻される。本実施形態では、図2に示す好気性処理室54へ戻される。
【0040】
流入室80内に貯留された処理水の一部は、潜流口4を通して、整流室84へ送られ、整流板6を通して整流され、流量調節室86へ向かい、そこから昇降ゲート7の三角堰89を通して、流出室88へ至り、流出管64を通して、図2に示す第1嫌気性処理室50へと移送される。
【0041】
本実施形態では、流入室80の3方を囲む周囲に返送室82を設け、それらを仕切る区画板3を、全幅堰として利用している。このような幅の広い堰とすることで、装置内部の水位を一定にし易くなる。すなわち、流入管1からの汲み上げ水量が変化して過大になったとしても、流入室80の周囲にある返送室82へ多量に流れ、そこから返送するので、装置内部の水位が上昇し難い。その結果、流出室88の流出管64から一定量の処理水が計量されて流れ出ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、流入室80の3方の周囲を囲むように、返送室82を設け、それらの区画板を溢流区画板3とすることで、分水計量装置63の構成がコンパクト且つシンプルになり、製造コストの低下を図ることができると共に、メンテナンス性が向上する。
【0043】
第2実施形態
本実施形態に係る浄化槽では、図4,5に示すように、分水計量装置63に装着される取水管62の下部に、スロット44aの延在方向、すなわち浄化槽本体10の幅方向に延在して、当該スロット44aに近接して配置された集水管61を取り付けてある。
【0044】
集水管61には、図4に示すように、軸方向に並べて複数の集水孔61aが浄化槽底面に向けて開設してあり、この集水孔61aからスラッジSおよび好気性処理室54内の処理液が取り込まれる。集水管61に開設する集水孔61aの数や大きさは、特に限定されず、浄化槽の処理能力やエアリフトポンプの能力などの諸条件によって適宜決定される。また、図4に示すように、取水管62の下端にはエアー配管66が接続されて、当該取水管62内に空気が吹き込まれる。これにより、取水管62内が密度の小さい気泡水で満たされることから、取水管62外の処理水との比重差が生じ、これによって集水管61の集水孔61aから処理水やスラッジを揚水することができる。なお、図4において符号「67」は、吹き込み空気量を調節するためのエアリフト用バルブである。
【0045】
本実施形態では、集水管61を用いることで、図5に示すように、好気性処理室54の処理水と同時に、好気性処理室54側のスロット44a近傍に沈降しがちな沈澱室56からのスラッジSを効率的に捕集することができ、またこれを第1嫌気性処理室50に返送して再処理することができるので、沈澱室56におけるスラッジ量が減少し、放流水の水質が向上する。
【0046】
また、スラッジSの堆積量が減少するので、スロット44aの開口面積が減少することがなくなり、スロット44aを通過する処理水の流速増加によるスラッジSの巻き上げを防止することができる。
分水計量装置63の構造は、図1に示すものと同じ構造である。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、好気性処理室54の底部の処理水の一部を第1嫌気性処理室50へ移送するために、図1に示す分水計量装置を用いたが、図1に示すものと同様な構造の分水計量装置は、図2に示す放流用分水計量装置73として用いることもできる。
【0048】
また、本発明に係る分水計量装置は、沈澱室から消毒室、第1嫌気性処理室から第2嫌気性処理室、あるいは第2嫌気性処理室から好気性処理室への処理水の定量移送を行う装置などとしても好適に用いることができる。
さらに、上述した実施形態では、浄化槽内に、第1嫌気性処理室50、第2嫌気性処理室52、好気性処理室54、沈澱室56および消毒室58の処理室を形成したが、これ以外の処理室を設けることもできる。また、その他の処理室を有する浄化槽であっても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る分水計量装置によれば、流入室の少なくとも一部を囲む周囲に返送室を設け、それらを仕切る区画板を、全幅堰として利用している。このような幅の広い堰とすることで、装置内部の水位を一定にし易くなる。すなわち、流入管からの汲み上げ水量が変化して過大になったとしても、流入室の周囲にある返送室へ多量に流れ、そこから返送するので、装置内部の水位が上昇し難い。その結果、流出室の流出管から一定量の処理水が計量されて流れ出ることができる。
【0050】
計量性能が向上することにより、浄化槽内の生物処理が安定化する。また、消毒室の消毒効果も高まることが期待される。それらの結果、良質な放流水を得ることができる。
また、本発明では、流入室の少なくとも一部の周囲を囲むように、返送室を設け、それらの区画板を溢流区画板とすることで、分水計量装置の構成がコンパクト且つシンプルになり、製造コストの低下を図ることができると共に、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る分水計量装置の斜視図である。
【図2】図2は浄化槽の概略断面図である。
【図3】図3は分水計量装置とエアリフトポンプとを含む循環手段の側面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施形態に係る浄化槽に用いる集水管の正面図である。
【図5】図5は図4に示す集水管を用いた浄化槽の要部断面図である。
【符号の説明】
1… 流入管
3… 溢流区画板
4… 潜流口
5… 区画板
6… 整流板
7… 昇降ゲート
8… 区画板
63,73… 分水計量装置
80… 流入室
82… 返送室
84… 整流室
86… 流量調節室
88… 流出室
89… 三角堰
Claims (4)
- 浄化槽内部のいずれかの第1室からの処理水が流入する流入室と、
前記流入室の少なくとも一部を囲む周囲に設けられ、前記流入室の周囲二辺位置以上に装着された所定高さの溢流区画板と、
前記溢流区画板を乗り越えて流れる処理水が流入し、前記第1室へ処理水を戻す返送管に接続してある返送室と、
前記流入室の下方に形成された潜流口と間接的に連通し、前記第1室と異なる浄化槽内部の第2室へ処理水を流出させる流出管が接続してある流出室とを有する分水計量装置。 - 前記溢流区画板が、流入室の周囲3辺位置に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の分水計量装置。
- 前記流入室の3方の周囲を囲むように返送室が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分水計量装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の分水計量装置を有する浄化槽。
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JP07363396A JP3774832B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 分水計量装置および浄化槽 |
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