JP3774371B2 - 解析装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品の設計支援に好適な解析装置に関し、特に、設計制約等にしたがい構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行するような自動解析プロセスによって、要因効果分析など製品の性能解析に有用な解析情報を生成する解析装置、方法、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、メカトロ製品設計などにおける設計は複雑化の一途を辿っている。メカトロ製品は膨大な設計因子を有し、かつこれら設計因子の間の関係は複雑となる。このため一般には、例えば、機械、熱力学、材料などの多岐にわたる各分野の専門知識を有する設計者が相互に協調することにより、1つの製品についての複合的な設計を行う必要がある。
【0003】
このいわゆる複合的設計において、各分野の設計者はそれぞれ、種々の設計制約や設計知識から解析モデルを作り、各分野の専用工学ツールを用いて設計因子を分野毎で個別に解析する傾向があった。この解析においては製品の各特性値に適合する各設計因子についての設計のパラメータ値を、複合分野にわたる設計制約を同時に満たすように決定することは困難であった。
【0004】
また、全体の設計作業を管理する設計管理者は、それぞれの設計者が決定した設計因子から主要な設計因子を選択し、この設計因子の条件値を設定した上で、製品全体の挙動解析を各種解析ツールを用いて行う。この挙動解析の結果、各設計因子の最適化が図られていた。このような複合的設計には、以下のような問題点があった。
【0005】
上述したように設計因子の数は膨大であって他分野にわたり、かつ設計因子相互の関係は複雑である。また、設計の早期段階においてはこれら設計因子の間の交互作用の有無・程度は不明であり、実際に設計の後期段階にならないと実用的な精度での製品の性能検証が行えない事例も多く、設計のやり直し(バックトラック)が頻発していた。
【0006】
また、グループウェアを利用して設計環境をネットワーク化することにより、それぞれの設計者の入力したCADデータ・図表ファイルなどの設計情報を共有することができる。この設計情報共有により、ある設計者は、他の設計者が作成した解析モデルにアクセスすることは可能であった。しかし、設計者あるいは設計管理者が、他の設計者が固有の解析ツールに適合すべく作成した解析モデルを分析し、所望する設計因子の条件値を得ることは困難であった。さらに、自分が関与する設計因子の条件値を反映すべく、他の設計者が作成した解析モデルの各設計因子を把握し、この解析モデルに修正を加えることは困難であった。
【0007】
以上述べたような問題を解決すべく、本願と同一出願人による出願に係る特願平11−134919号(特開2000−331036号)に記載の装置が提案されている。この装置は、各設計者に、自己が関与する設計因子のみを意識して設計知識を入力させ、かつこれらの設計知識を相互に編集させることで、設計の早期段階で製品全体における各設計因子の感度解析、製品の性能分析を実現可能にする。しかしながらこの装置には、さらに解決すべき課題がある。
【0008】
例えば、同装置に適用され得る実験計画法は、製品の性能を左右する多数の因子を実験や解析などで効率良く最適化するための手法である。設計初期の、製品の詳細形状がまだ確定していない段階においても、各専門家はそれぞれ製品性能に関する制約式など多くの有益な情報を持っている。にもかかわらず、詳細データが揃っていないなどの理由でそれらを有効利用していない場合が多いのが現状である。そのような不完全な設計情報でも、集中定数系レベルでモデル化して挙動を数値解析し、その結果を、実験計画法による影響因子の要因効果分析や田口メソッドによるパラメータ設計などの手法で分析すれば、設計代替案の選択指針など設計初期としては十分有益な情報が得られ、設計やり直しの削減が期待出来る。しかし、このような集中定数系モデルの宣言的なモデル記述を、上記装置を利用して多数の設計者が協調して行うような場合、得られたモデルの完全性や収束性が確保されない状況が生じる。集中定数系モデルが不完全なものとなった場合、これが後の数値解析等に使用されると解析処理に不都合が生じ、実験計画法を利用した最適化解析の円滑な実施にも支障を来す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセスの前後段階に適切なユーザインターフェースを構築して、要因効果分析など製品の性能解析(最適化解析)のための解析情報を適切かつ容易に生成できるようにする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するため本発明は次のように構成されている。
【0011】
本発明の解析装置は、設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジンと、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段と、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段と、を具備することを特徴とする解析装置である。
【0012】
また、本発明の解析方法は、設計制約等にしたがって解析モデルを構築し、前記構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定し、前記設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を数値解析エンジンにより逐次的に複数回実行し、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する解析方法において、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理を実行することを特徴とする解析方法である。
【0013】
また、本発明の解析プログラムは、コンピュータを、設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段、前記設定手段により設定された解析条件に従って前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジン、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段、として機能させるためのプログラムである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の解析装置の一実施形態に係り、実験計画法に基づく設計支援システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の設計支援システムは、複数の設計者の各々のために設けられるクライアント端末1a,1b,…1nが例えばWWW(World Wide Web)やイントラネット、LAN等からなるネットワークNを介して設計情報サーバ2に接続された構成となっている。設計情報サーバ2は、設計情報データベース21、実験計画法の前後処理部22、計算手続き生成部23、数値解析エンジン24を備えている。
【0016】
ユーザーは、入力編集部10を用いて、各種設計データを設計知識として設計情報データベース21に入力する。尚、ユーザーが入力するこの設計データは、各種ツールに依存性のない、簡易な数式レベルの設計制約式として入力される。尚、この設計データは、テーブルデータ、図表データを含んで構成されてもよい。入力編集部10は、各ユーザに、すでに編集された設計データを適宜提示し、編集させることができる。また、入力編集部10は、数値解析エンジン24が出力する解析結果を、実験計画法の前後処理部22を介して表示する。また、それぞの分野の設計者であるユーザーが使用する各入力編集部10は、グラフィック・ユーザー・インターフェースを介して設計情報データベース21を共有・編集することができる。
【0017】
設計情報データベース21は、複数のユーザーから入力された設計情報を記憶保持するためのデータベースであり、入力された設計制約データ等の一貫性を維持するよう構成される。また、複数のクライアント側ユーザーに対してデータベース中の設計データの内容を適宜表示し情報共有を可能とする。また入力編集部10により入力された設計制約データは、最終的に連立方程式として数理モデル化され、後述される数値解析エンジン24へ、性能予測解析を行うために出力とされる。
【0018】
実験計画法の前後処理部22は、設計情報データベース21に入力され、生成された数理モデルに含まれる各設計因子を抽出し、この抽出された設計因子の解析条件を編集および管理する。ユーザーは、入力編集部10を介して、実験計画法の前後処理部22に、解析すべき設計因子と、当該設計因子の条件値である水準値と、必要に応じて当該設計因子の種別とを解析条件として設定する。解析条件は、例えば一般に知られる実験計画法に基づき設定される。尚、実験計画法の前後処理部22は、数値解析エンジン24のプリ・プロセッサおよびポスト・プロセッサとして機能する。
【0019】
実験計画法は、製品の性能を左右する多数の因子を実験や解析などで効率良く最適化するために利用される手法である。実験計画法の利用手順は「実験計画法入門」(鷲尾泰俊著、日本規格協会)や「第3版実験計画法(上)(下)」(田口 玄一著、丸善)に詳しい。また、田口メソッド(ロバスト設計)は、「開発・設計段階の品質工学」(田口 玄一著、日本規格協会」に詳しい。実験計画法利用を支援するソフトウエアとしては、(株)リコーが開発している「Ripses」や、日本規格協会が発売している「Anova」などが知られている。
【0020】
実験計画法において、まず、ユーザーは、入力編集部10上で一覧表示されたそれぞれの設計因子から、設計上重要と思われる因子を選択する。これらの選択された因子に、制御因子・信号因子・誤差因子等の因子種別を割り付ける。制御因子は、解析の対象となり、設計者がコントロール可能な因子である。一方、誤差因子は、制御因子の解析における各種環境条件や誤差要因を表すための因子である。信号因子は、入力の変化に対する出力特性を解析する場合の入力因子である。
【0021】
次に、ユーザーは、各因子を、与えられた直交表に割り付ける。直交表は、例えば図3に示すように、各因子の取りうる条件値である水準値の組み合わせのパターンを記述する表である。この直交表は、ある因子の各水準に対して、他の因子の各水準値の組み合わせが必ず同数回ずつ定義されている。解析すべき因子に対して他の因子の影響が均質に働く性質を利用して、直交表に定義された各因子固有の要因効果(主効果および交互作用効果)を分析(図4参照)することができる。本来、要因効果の分析では、評価したい因子を同時にとりあげ、これらの因子の水準のすべての組み合わせ全部について解析して各因子の要因効果を評価する必要がある。直交表は、この要因効果の分析における解析パターンを削減することができる。尚、ある因子の水準効果が、別の因子の水準がどうであるかによって異なる場合があるが、これらの因子の間の水準の組み合わせに対して特別に生ずる組み合わせ効果を交互作用と称する。主効果とは、各因子の水準の平均的な効果をいう。
【0022】
直交表には、L18(61×36)、L18(21×37)、L8(27)、L16(215)、L27(313)、L36(211×312)などの実験計画法に所定の種類がある。ユーザーはこれらの直交表の中から、所望する設計因子の解析に適切な直交表を、因子の数、水準数、また要因効果解析を行うのかパラメータ設計によるロバスト性評価を行うのかなどの解析のタイプ等を考慮して選択する。あるいは、ユーザが実験計画法の前後処理部22に対して入力した設計因子の数、種別、水準値などの解析条件に基づき、解析条件制御部23が、最適な直交表を選択してユーザーに提示してもよい。この直交表により、所定回数の解析を実行する際の因子の水準の組み合わせが決定される。例えば、L18(61×36)の直交表では、最大で6水準の因子1種と、3水準の因子6種の組み合わせで因子の水準の組み合わせが決定される。単純にこの組み合わせの全てを実験もしくは解析する場合には、61×36=4374通りの組み合わせの解析を行うことになる。他方、各因子間の交互作用を無視して評価を行うという立場に立ってL18(61×36)の直交表を利用すれば、18通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析が可能となる。あるいは、交互作用も含めたノイズに対するロバスト性も考慮した解析を行う場合でも、(18×誤差因子の組み合わせセット数)通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析やパラメータ設計が可能となる。このため、各因子の設計に与える影響が短期に効率よく定量的に評価できる。
【0023】
数値解析エンジン24は、入力編集部10からの設計制約データの入力に基づき構築された、ツール依存性のない数理モデルを取得し、実験計画法の前後処理部22で決定された因子の水準などを解析条件として、数理モデルの挙動を解析する数学エンジンである。
【0024】
製品設計の主に初期において頻出する設計制約のパターンとしては、二階程度の常微分方程式を基本式として、方程式の各定数が各種の非線形性を持ち、しかもその特性が数式や表などの形で与えられることを想定することでカバーできるものも多い。特に製品形状の確定していない設計初期においては、その程度の情報から設計代替案を決定しなければならないケースが多い。これらの設計に関する設計情報が入力編集部10で収集され集中化され、数理モデル化される。
【0025】
数値解析エンジン24は、この数理モデルを連立方程式や補間関数など数値解析エンジン24で取り扱える形式に変換し、この数理モデルの挙動を解析する。一般に、このような数理モデルの解法としては、代数的に数式を簡略化してゆく代数的解法と、微少時間に解析時間を分割して数値的に積分を繰り返し数値解を得る数値解法とがあり、両者は適宜使い分けられながら解析が実行されることが通常である。但し、設計情報のように複雑な非線形性や条件分岐などを含む複雑なモデルには、代数的解法の適用が困難であり数値解法に頼らざるを得ない場合が多い。
【0026】
本実施形態のシステムが利用する数理(数値解析)モデルは、ダイナミクス解析を基本として各種非線形性の影響などを評価するためのモデルとして、例えば、連立常微分方程式を基本とし、その係数が定数もしくは何らかの変数に対する関数として定義された、いわゆる「集中定数系モデル」と呼ばれるものを扱うこととする。製品の実設計においては、このような複数の変数の制約式が複雑に絡み合い、厳密解を代数的に求めて製品設計を行うことが困難になるが、本実施形態のシステムでは、代数的に解を得ることが不可能な場合であっても、数値解析により工学的に十分な精度で製品設計のために有用な計算結果を得る。計算手続き生成部23は、数理モデルを、数値解析エンジン24が用いる構文・取り扱える演算の種類・手続きのアルゴリズム等の特有のルールに適合する解析モデルに必要に応じて変換する。
【0027】
本実施形態における設計支援システムのハードウエア構成を説明する。
【0028】
クライアント端末1a,1b,…1n、および設計情報サーバ2は、携帯情報端末、PC、ワークステーション、あるいは汎用コンピュータ等の各種コンピュータにより実現される。各コンピュータは、CPUと、データメモリと、プログラムメモリと、ハードディスクと、外部ディスク駆動機構と、通信インターフェースと、入出力部とを具備する。
【0029】
このようなハードウェア構成上において、本発明に係る設計支援機能、解析処理機能等はソフトウエアにより実装されており、ソフトウエアを構成するプログラムは、各種記録媒体に保存することができる。かかる記録媒体を、上記ハードウエアを具備するコンピュータのCPUにより読み出し、このプログラムを実行することにより、本発明が実施される。ここで、記録媒体とは、例えば、半導体メモリ・磁気ディスク(フロッピーディスク・ハードディスク)・光ディスク(CD−ROM・DVD等)、プログラムを記録することのできる装置全般を含む。さらに、上記プログラムは、ネットワーク等の各種通信手段を通じて配布されてもよい。
【0030】
本実施形態は上記のように構成されており、以下その処理の流れを主に図2のフローチャートを参照して順に説明する。
【0031】
まず、設計に関与する設計者や専門家などのユーザーは、入力編集部10を用いて、設計対象である製品に関する各種情報や専門知識を設計データ(設計情報)として入力する(S10)。この入力の際、入力編集部10は、例えばインターネットブラウザなどを利用して複数の画面を切り替え表示する。ユーザーは、これらの画面に対して設計データなどを入力したり、あるいは他ユーザーが入力した設計データを閲覧・編集する。具体的には、クライアント側である各ユーザーは、例えばインターネットブラウザなどを介して設計情報サーバ2に接続する。次に、ユーザは、HTML(Hyper Text Markup Language)やCGI(Common Gateway Interface)などの技術を用いて提供され、表示部12に表示されるグラフィック画面に設けられたダイアログボックスに、設計データをクライアント側のキーボードから入力する。あるいは、設計に関するドキュメントや図表などの電子ファイル類を設計情報サーバ2へアップロードする。
【0032】
これらの設計データは、設計支援サーバ2内の設計情報データベースに格納される(S20)。設計データは、製品の性能に関する設計制約式・テーブル等からなる。ユーザーは、他ユーザーが既に入力した設計制約式などの設計データを閲覧しながら適宜設計データを追加・編集する。具体的には、例えば機構設計者が製品の運動方程式を入力済みであるとする。次に熱解析の専門家が、この運動方程式に使われているバネ定数の、温度依存性に関する熱力学方程式を追加する。この際、熱解析の専門家は、既に入力されている運動方程式を、入力編集部10から容易に閲覧できる。このため、熱解析の専門家は、バネ定数を含む運動方程式に使われている変数名の統一性に留意しつつ、熱力学方程式を追加することができる。
【0033】
上記のような手順により、複数の専門家が協調しながら設計データを入力・補完し、最終的な設計情報から、製品挙動を予測することのできる数理モデルが設計情報データベース21からバックグラウンド処理等により生成される(S30)。例えば数理モデルが時間軸上の微分方程式を中心とした連立方程式からなる場合、この数理モデルの連立方程式を時間軸上で積分して解くことにより数値解析を実行すれば、製品の時間軸応答を知ることができる。これにより、製品挙動を容易に評価できる。
【0034】
ここで本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセス(本解析)の前に、構築した数値解析モデルが収束するかどうかを確認するための単発解析を行なうよう構成される。この準備的な単発解析は、数値モデルから抽出した因子の水準値として、数値モデルの収束性を高めることができるように、標準的で無難な値(ノミナル値、前回設計時に用いた値など)が用いられる。
【0035】
単発解析によれば、構築した数値解析モデルに不完全な部分がないか、解析結果が妥当かどうかなどを本解析の前に検証することができる。具体的には、モデル化の妥当性の検証を人手により行うことが極めて困難な集中定数系モデルなどを容易にチェックすることが可能となり、続いて実行される実験計画法の逐次的複数解析プロセス等が有意であることを事前に確認することが可能になる。実験計画法に基づく最適化解析では、制御因子の交互作用の影響などを検証することが重要であるが、すべての因子を標準値等を用いて単発解析を行っておくことで、交互作用や要因効果の妥当性の検討に適した基準(リファレンス)が得られるという工学的利点もある。また単発解析によれば、数値モデルの確認、最適化の作業の流れが効率化されるだけでなく、後述するように制御因子の水準値編集処理において作業を省力化することが可能になる。
【0036】
また本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、単発解析もしくは逐次的複数回自動解析を実行した後に、解析結果として得られた全変数の時系列データをメモリ上の配列、若しくはデータファイル、設計情報データベース21などに格納し保存処理を行うよう構成されており、任意の変数の組み合わせを表示部12において2次元や3次元のグラフにより表示する後処理(ポスト処理)を行うよう構成される。このグラフ表示に基づいてユーザは多角的に解析結果を評価できるようになる。また、このグラフ表示機能と、離散データにおける不存在のデータ点を補間して滑らかな近似曲線を得る補間処理機能とを組み合わせることにより、様々な条件下において変数値を導出して出力表示させることも可能になる。この場合、上記の保存データを利用可能であるので、出力条件を変える毎に数値解析のための逐次的複数回自動解析プロセスをあらためて行う必要が無く効率的であり、解析作業時間を大幅に削減できる。
【0037】
このような事後のデータ処理は、例えば実験計画法による逐次的複数回自動解析プロセスを実行したのち、目的関数の値を変えて解析を行う場合などに特に便利である。例えば、時刻t=10(msec)のときの変位xの値を目的関数として実験計画法による18回の自動解析プロセスを実施し、制御因子の要因効果分析やロバスト設計などを実施したとする。この18回分のデータ(図5参照)を保存しておくことにより、次に、例えばt=9(msec)のときの変位xの値を目的関数として要因効果分析やロバスト設計などを実施する場合、数値解析をやり直すことなく保存データから補間機能により目的関数の値を求めることができるようになり、解析時間を大幅に短縮できる。これ以外にも、例えばt=10(msec)までの時刻歴以内に含まれるデータであれば、いかなる条件(例えば、変数1がa(任意の定数値)のときの変数2の値など)でも目的関数の値を補間機能により計算することができ、同様に解析時間の大幅な削減効果が得られる。
【0038】
また、データベース21等に保存した単発解析又は逐次的複数回自動解析の結果データに基づいて、任意の条件における変数の組を一覧表として表示することも可能になる。この場合、上述した補間機能による目的関数の値計算を、複数の変数に繰り返し適用することにより、複数の変数のある条件下での値の組を得て、一覧表として表示することもできる。これによりユーザは、条件を様々に変えながら、複数の変数の値の組を一覧性良く何度も観察することができ、数値解析モデルの性質をより詳しく知ることができるようになる。
【0039】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、上記のように全変数の時系列データを保存する際に、データの全部又は一部をCSV(comma separated value format)ファイルもしくは汎用の表計算ソフトウエアへの入力ファイル形式に変換して出力することもできるように構成される。出力されたCSVファイルのデータ構成例を図6に示す。これにより、ユーザは、数値解析により得られた全ての変数の時系列データを例えばマイクロソフト社「Excel」などの表計算ソフトウエアやその他の数値解析ソフトウエア、実験計画法解析ツール11などに直接的に読み込ませることができるので、これら外部ソフトウエアによる数値解析処理や、結果のグラフィック表示機能など、多彩・高度な機能を利用することができるようになる。さらに、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析に特有の後処理として、各解析毎に得られている時系列データセットを異なるファイルに振り分けるとともに、それぞれのファイル名に、各回の解析を識別可能な番号等を付加して保存を行う。
【0040】
また、解析結果を表計算ソフトウェアへの入力ファイル形式に変換して出力する場合は、各解析毎に得られている時系列データセットを、表計算ファイル内の複数のシート(電子的な計算用紙)に対応させて振り分け、シートごとに各回の解析を識別可能な番号を含めたシート名を付与して保存する。このような表計算ファイルのシート構成例を図5に示す。図5において、T1は1回目の逐次解析のデータ、T2は2回目の逐次解析のデータ、T18は18回目の逐次解析のデータをそれぞれ保持するシートを示している。これによれば、実験計画法による逐次的複数回の自動解析計算の個々の解析データの管理が非常に容易になる。例えば、各回の解析結果がシート毎に分離されていると、データのセルの指示が非常に容易になる。例えば、実験計画法による逐次的複数解析のn番目の解析における1行A列のデータは、「'実験計画法No-n'!A1」という極めて簡単な記述により指定できる。このnの部分の整数を変えるだけで、複数の解析結果の同じセルの位置を比較するなどの処理が容易に行える様になる他、要因効果分析の計算やロバスト設計のSN比計算などの処理も容易に行えるようになる。また、ユーザ自身がデータ管理したりグラフ表示する際の操作性も向上する。
【0041】
次に、逐次的複数回自動解析プロセスのための制御因子の水準値選択について説明する。
【0042】
図7は、実験計画法に係る直交表割付メニュー画面の一例である。設計者が入力編集部10を操作して表示部12に表示されているメニュー画面切り替えアイコン(図示せず)をクリックすると、実験計画法の前後処理部22は、図7に示す直交表割付メニュー画面を出力する。
【0043】
まずユーザーは、直交表の種類を選択する必要がある。この直交表の選択は、感度解析に供する因子の数と、各因子の水準数とで決定される。ユーザーにとって選択すべき直交表が自明の場合には、ユーザーは直接選択ボックス(F40)から目的の直交表を選択すればよい。他方、そうでない場合には、ユーザーは、自動選択ボックス(F41)に感度解析に供する因子の数(F43)と因子の水準数(F42)とを入力して自動選択アイコン(F44)をクリックする。この入力された因子の数(F43)と因子の水準数(F42)から、解析条件制御部23は、自動的に最適もしくは最も近い直交表を選択する。あるいは、一意に最適な直交表が選択できない場合には、エラーメッセージを表示してユーザーに再入力を促すか、候補一覧から選ぶよう促す。
【0044】
上記の手段のいずれかにより直交表の種類が選択されると、図7の右上に示すように、実験計画法の前後処理部22は、解析条件を割り付けるための直交表を表示する(F45)。図7の例では、自動選択ボックス(F41)に2水準因子が4個、3水準因子が1個との入力に従って、L8(27)の応用であるL8(24×41)が最も近い直交表として選択される。次に設計者は、L8(24×41)に含まれる4水準因子用の因子に3水準因子を割り付けるために必要となる、ダミー(擬水準)位置設定(F46)を行う。図7では、もともとL8(24×41)の因子名Aの項目にあった1から4の水準において、水準4の代わりに水準2を割り付ける、1−2−3−2型ダミー位置設定を行った例(F47)が示されている。尚、このダミー位置設定は、選択した解析対象因子・水準数を選択した直交表に適合させるために、必要に応じて行われる。次にユーザーは、直交表に割り付けるべき因子の選択を行う。具体的には、変数選択ボックスから例えば変数m(F48)を選択し(F49)、水準値入力ボックスに送る(F50)。ユーザーは、変数mが直交表の因子Aに割り付けられるよう因子番号Aを入力する(F51)。この因子番号の入力により、実験計画法の前後処理部22は、自動的に3水準分の入力ボックスを開く(F52、F53、F54)。
【0045】
ここで本実施形態では、水準1〜3への水準値をユーザが入力するための入力ボックスF62,F63,F64のそれぞれに、上述した単発解析時に設定したノミナル値などの標準値がディフォルト値としてセットされ、表示される。これは、制御因子の水準値が、通常は、単発解析時の値を基準として、所定量だけ増減させる(例:10±2)か、所定の割合係数を乗ずる(例:10±5%)ことで決定される場合が多いことに着眼したものであり、デフォルト値として単発解析時の設定値を自動的にセットすれば、入力の手間が省けたり、水準のふれ幅(差・比)をユーザが設定する際の参考になる。また、このような単発解析に基づくディフォルト値は、制御因子として選択された変数名表示の近傍において表示するとより好ましい(F60)。
【0046】
また、本実施形態の入力編集部10或いは実験計画法の前後処理部22は、制御因子の水準値等の数値入力ボックス(F52、F53、F54等)において、四則演算式を含んだ入力を受け付け、その演算を自動実行するとともに演算結果値を数値入力ボックスへの入力値に設定し表示するといった入力支援機能を備える。通常、実験計画法などでは、制御因子や誤差因子の水準値としては、基準となる値に対して、所定の差や比を付与(例:10±2や10±5%など)する場合が多く、この2例で言えば、「10+1」と入力するだけで「11」が自動的に計算されてセットされたり、「10×1.05」と入力するだけで「10.5」が自動的に計算されてセットされるような入力支援は、ユーザによる数値入力の負担を大幅に軽減でき、利用頻度も高い。
【0047】
水準値の入力の後、図8に示すように、設計者が“直交表へ入力”アイコン(F55)をクリックすると、実験計画法の前後処理部22は、右上の直交表の因子Aに変数mを割り付ける。上述の操作が、因子B〜Eについても繰り返されることで、直交表への割付が完了する。直交表への割付が完了すると、ユーザーは、図8右下端の“直交表割り付け完了”アイコン(F56)をクリックする。以上の手順により、図2のステップS40およびS50の処理が完了する。
【0048】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析プロセスにおいて、事前に単発解析を実施して得た計算の所要時間を利用して、現在までの実行時間から全体の所要時間もしくは残り時間の概略を予測し、経過時間と共に表示する。予測結果の表示形態としては、解析プロセスの残回数、%、時間などが考えられる。図9は、解析プロセスの経過度を、いわゆるプログレスバー30によって表示する例を示している。なお、単発解析の結果に依らない場合は、逐次的複数回自動解析の1セットが完了するまでの時間を計測し、これを全体時間の予測に用いてもよい。
【0049】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析プロセスを一時停止させるようなプロセス制御も可能になっている。比較的処理に時間を要する自動解析プロセスの実行中に、例えば他ユーザが短時間で終了する単発解析を実行したいような場合があり、アプリケーションレベルでユーザが明示的に優先順位を決定できるようにし、割り込み処理等を利用して効率的なシステム運用を図る。
【0050】
通常、実験計画法などの逐次解析は計算機のリソースを占有するために、例えばデータベースの所定領域中に、逐次解析の実行有無を示すフラグを記憶させておき(その値が1なら実行中、0なら解放済み、などと規定する)、複数のユーザが同時に解析を行えないような処理をしているが、例えば、実験計画法解析の何セット目かが終了したタイミングで、排他制御を一時解放(フラグを0にリセット)し、他の単発解析を優先して実行させ、終了後に実験計画法解析を再開するといった実行制御アルゴリズムにより実現される。
【0051】
このような優先処理のメリットとしては、実験計画法解析についてはユーザは予めある程度長時間かかると予想しているため、解析を実行後、他の作業に従事している場合が多く、この間に単発解析が割り込んでトータルの解析時間が若干伸びたとしても、それほど不便を生じないと思われる。一方、単発解析の場合は、解析モデル作成の最中に、モデルの完全性チェックなどを速やかに実施したい場合が多く、他者による実験計画法解析のため長時間待たされることに不便さを覚えるかもしれない。計算機自体がマルチタスクに対応している場合は計算機側でこの様な排他制御に起因する不便を解消するようなタスク配分を行う場合もあるが、その様な環境以外では、ユーザが計算機の利用優先度を積極的にコントロールできるようにすることで、複数設計者による計算機の利用効率を向上する効果が期待できる。
【0052】
図2に説明を戻す。本例において決定された18通りの因子水準のセットは、ステップS30で構築された数理モデルに代入される(S60)。数値解析エンジン24は、この18通りの因子水準セットのそれぞれについて、入力された因子水準の数の分だけ、数値解析を逐次実行する(S60〜S100)。
【0053】
この数値解析を行う際に、数理モデルとしての連立微分方程式に単に因子の値を代入しただけでは、直接、数値解析エンジン24で数値解析を実施できない場合がある。これは、数値解析エンジンの構文、扱える演算の種類、手続きの手法等に各数値解析エンジン固有の違いがあるためである。計算手続き生成部23は、この各数値解析エンジン固有の違いを解消する。この計算手続き生成部23は、設計情報データベース21から数値解析エンジン24に数理モデルを受け渡す際に、数理モデルを数値解析エンジン24で処理可能な入力式に変換する。
【0054】
数理モデルが規模の大きい連立方程式からなる場合、一旦数理モデルに対して代数的に冗長な変数を消去する処理をしてから数値解析エンジン24に入力しないと数値解析が成功しないか、もしくは処理効率が低下する場合がある。計算手続き生成部23は、こうした数値解析エンジン24で用いられる特有のルールに適合するように数理モデルを変換する。これにより、解析可能な数理モデルの種類や規模が拡大する。また、数値解析エンジン24の種類を変更する場合には、計算手続き生成部23を新たな数値解析エンジン24に対応したものに変更するだけでよく、他の構成要素に変更が及ぶことがない。このため、迅速に最小の労力で、所望する解析の性質に応じて数値解析エンジン24を置き換えることができる。
【0055】
また、上記の数理モデルの変換処理が、計算手続き生成部23で自動的に判断が不可能な場合には、例えば選択肢を入力編集部10に表示してユーザーの選択を促すアルゴリズムを備えてもよい。
【0056】
次に、上述したステップS10からS100により18通りの解析結果が出揃うので、これらの解析結果が、クライアント端末に実装された実験計画法解析ツール11を用いて統計的処理される(S110)。本実施形態では、各因子が特性値に及ぼす感度(主効果)の解析を行う。あるいは、上述のパラメータ設計を実施する場合には、誤差因子に対するロバスト性がSN比としてステップS110で評価される。
【0057】
解析結果を評価するために用いる特性値は、負の値をとらず大きいほど好ましい場合には望大特性と分類される。一方、特性値は、負の値をとらず小さいほど好ましい場合には望小特性、特定の目標値に近いことが望まれる場合は望目特性と分類される。尚、パラメータ設計を行う場合にロバスト性を評価するためのSN比の計算方法は、その3通りそれぞれについて処理方法が異なる。このため、パラメータ設計を行う場合には、ユーザーがこの特性値の区分を入力編集部10を通じて指示する。その後の実際の例えば要因効果分析やロバスト性のSN比による評価などの処理については実験計画法、特に田口メソッドとして広く知られているため詳細な説明を省略する。
【0058】
以上のような本実施形態の設計支援システムによれば、各クライアント端末1a〜1nの入力編集部10を通じて各設計者から与えられた設計情報の共有に基づく分散協調設計が促進され、またこの入力編集部10からの情報を直接に実験計画法の前後処理部22や数値解析エンジン24が統合されていることで、煩わしい手順が必要であった解析対象のモデル化や実験計画法解析ツール11による要因効果分析、パラメータ設計、設計初期の設計最適化が省力化でき、設計初期の必しも全ての設計パラメータについて定量的な値がそろっていない段階でも、少なくとも各因子の要因効果分析を行うことは可能となる。また、設計のボトルネックとなる因子を早期に検証することができるようになり、設計代替案選択などの根拠を提供できる。結果として、設計のやり直し回数を削減でき、設計期間を短縮して製品開発コストを低減する事ができる。
【0059】
さらに、数理モデルの構築、完全性チェック、実験計画法などによる最適化のプロセスを単発解析に基づいて効率よく行える。また、実験計画法による解析結果の検証において、交互作用の影響などを容易に検証することができる。また、解析結果を表計算ソフトウエアのような外部のアプリケーションソフトウェアにおいて容易に再利用可能となる。外部のアプリケーションソフトウェアによって、本実施形態のものとは異なる数値解析処理や、グラフィック表示など、多彩・高度な機能を利用することができるようになる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。例えば、本発明に係る解析装置の実施形態として、実験計画法を基礎とした設計支援システムを説明したが、少なくとも一部が微分方程式もしくは代数方程式で構成された系を解析し最適化指針を得るにあたり、実験計画法のみならず田口メソッド、応答曲面法(RSM)、および各種数学的最適化に基づく自動解析プロセスを実施する各種解析装置に適用可能である。
【0061】
また、実施形態の設計支援システムは、ネットワークNを介したいわゆるクライアント/サーバ方式のシステムであり、多数のコンピュータを結合してマルチユーザ環境を提供するものであったが、例えば図10に示すように、シングルユーザを想定し、ネットワークを除外したスタンドアロンのシステムとしても本発明は実施可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセスの前後段階に適切なユーザインターフェースを構築して、要因効果分析など製品の性能解析(最適化解析)のための解析情報を適切かつ容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解析装置の一実施形態に係り、実験計画法に基づく設計支援システムの概略構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態に係る設計支援システムの概略動作を示すフローチャート
【図3】直交表の一例を示す図
【図4】最適化解析における要因効果分析を示すグラフ
【図5】上記実施形態に係る逐次的複数回自動解析プロセスにより得られた時系列データを示す図
【図6】上記実施形態に係る時系列データのCSV出力のデータ形式を示す図
【図7】上記実施形態に係る実験計画法における直交表割付メニュー画面の一例を示す図
【図8】上記直交表割付メニュー画面における直交表中の因子への変数の割り付けを示す図
【図9】上記実施形態に係る解析プロセスの経過度を表示するプログレスバーの一例を示す図
【図10】他の実施形態に係るスタンドアロン構成の設計支援システムを示す図
【符号の説明】
1a〜1n…設計者用のクライアント端末
2…設計支援サーバ
10…入力編集部
11…実験計画法解析ツール
12…表示部
21…設計情報データベース
22…実験計画法の前後処理部
23…計算手続き生成部
24…数値解析エンジン
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品の設計支援に好適な解析装置に関し、特に、設計制約等にしたがい構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行するような自動解析プロセスによって、要因効果分析など製品の性能解析に有用な解析情報を生成する解析装置、方法、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、メカトロ製品設計などにおける設計は複雑化の一途を辿っている。メカトロ製品は膨大な設計因子を有し、かつこれら設計因子の間の関係は複雑となる。このため一般には、例えば、機械、熱力学、材料などの多岐にわたる各分野の専門知識を有する設計者が相互に協調することにより、1つの製品についての複合的な設計を行う必要がある。
【0003】
このいわゆる複合的設計において、各分野の設計者はそれぞれ、種々の設計制約や設計知識から解析モデルを作り、各分野の専用工学ツールを用いて設計因子を分野毎で個別に解析する傾向があった。この解析においては製品の各特性値に適合する各設計因子についての設計のパラメータ値を、複合分野にわたる設計制約を同時に満たすように決定することは困難であった。
【0004】
また、全体の設計作業を管理する設計管理者は、それぞれの設計者が決定した設計因子から主要な設計因子を選択し、この設計因子の条件値を設定した上で、製品全体の挙動解析を各種解析ツールを用いて行う。この挙動解析の結果、各設計因子の最適化が図られていた。このような複合的設計には、以下のような問題点があった。
【0005】
上述したように設計因子の数は膨大であって他分野にわたり、かつ設計因子相互の関係は複雑である。また、設計の早期段階においてはこれら設計因子の間の交互作用の有無・程度は不明であり、実際に設計の後期段階にならないと実用的な精度での製品の性能検証が行えない事例も多く、設計のやり直し(バックトラック)が頻発していた。
【0006】
また、グループウェアを利用して設計環境をネットワーク化することにより、それぞれの設計者の入力したCADデータ・図表ファイルなどの設計情報を共有することができる。この設計情報共有により、ある設計者は、他の設計者が作成した解析モデルにアクセスすることは可能であった。しかし、設計者あるいは設計管理者が、他の設計者が固有の解析ツールに適合すべく作成した解析モデルを分析し、所望する設計因子の条件値を得ることは困難であった。さらに、自分が関与する設計因子の条件値を反映すべく、他の設計者が作成した解析モデルの各設計因子を把握し、この解析モデルに修正を加えることは困難であった。
【0007】
以上述べたような問題を解決すべく、本願と同一出願人による出願に係る特願平11−134919号(特開2000−331036号)に記載の装置が提案されている。この装置は、各設計者に、自己が関与する設計因子のみを意識して設計知識を入力させ、かつこれらの設計知識を相互に編集させることで、設計の早期段階で製品全体における各設計因子の感度解析、製品の性能分析を実現可能にする。しかしながらこの装置には、さらに解決すべき課題がある。
【0008】
例えば、同装置に適用され得る実験計画法は、製品の性能を左右する多数の因子を実験や解析などで効率良く最適化するための手法である。設計初期の、製品の詳細形状がまだ確定していない段階においても、各専門家はそれぞれ製品性能に関する制約式など多くの有益な情報を持っている。にもかかわらず、詳細データが揃っていないなどの理由でそれらを有効利用していない場合が多いのが現状である。そのような不完全な設計情報でも、集中定数系レベルでモデル化して挙動を数値解析し、その結果を、実験計画法による影響因子の要因効果分析や田口メソッドによるパラメータ設計などの手法で分析すれば、設計代替案の選択指針など設計初期としては十分有益な情報が得られ、設計やり直しの削減が期待出来る。しかし、このような集中定数系モデルの宣言的なモデル記述を、上記装置を利用して多数の設計者が協調して行うような場合、得られたモデルの完全性や収束性が確保されない状況が生じる。集中定数系モデルが不完全なものとなった場合、これが後の数値解析等に使用されると解析処理に不都合が生じ、実験計画法を利用した最適化解析の円滑な実施にも支障を来す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセスの前後段階に適切なユーザインターフェースを構築して、要因効果分析など製品の性能解析(最適化解析)のための解析情報を適切かつ容易に生成できるようにする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するため本発明は次のように構成されている。
【0011】
本発明の解析装置は、設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジンと、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段と、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段と、を具備することを特徴とする解析装置である。
【0012】
また、本発明の解析方法は、設計制約等にしたがって解析モデルを構築し、前記構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定し、前記設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を数値解析エンジンにより逐次的に複数回実行し、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する解析方法において、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理を実行することを特徴とする解析方法である。
【0013】
また、本発明の解析プログラムは、コンピュータを、設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段、前記設定手段により設定された解析条件に従って前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジン、前記数値解析エンジンから得られた解析結果を設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段、前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段、として機能させるためのプログラムである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の解析装置の一実施形態に係り、実験計画法に基づく設計支援システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の設計支援システムは、複数の設計者の各々のために設けられるクライアント端末1a,1b,…1nが例えばWWW(World Wide Web)やイントラネット、LAN等からなるネットワークNを介して設計情報サーバ2に接続された構成となっている。設計情報サーバ2は、設計情報データベース21、実験計画法の前後処理部22、計算手続き生成部23、数値解析エンジン24を備えている。
【0016】
ユーザーは、入力編集部10を用いて、各種設計データを設計知識として設計情報データベース21に入力する。尚、ユーザーが入力するこの設計データは、各種ツールに依存性のない、簡易な数式レベルの設計制約式として入力される。尚、この設計データは、テーブルデータ、図表データを含んで構成されてもよい。入力編集部10は、各ユーザに、すでに編集された設計データを適宜提示し、編集させることができる。また、入力編集部10は、数値解析エンジン24が出力する解析結果を、実験計画法の前後処理部22を介して表示する。また、それぞの分野の設計者であるユーザーが使用する各入力編集部10は、グラフィック・ユーザー・インターフェースを介して設計情報データベース21を共有・編集することができる。
【0017】
設計情報データベース21は、複数のユーザーから入力された設計情報を記憶保持するためのデータベースであり、入力された設計制約データ等の一貫性を維持するよう構成される。また、複数のクライアント側ユーザーに対してデータベース中の設計データの内容を適宜表示し情報共有を可能とする。また入力編集部10により入力された設計制約データは、最終的に連立方程式として数理モデル化され、後述される数値解析エンジン24へ、性能予測解析を行うために出力とされる。
【0018】
実験計画法の前後処理部22は、設計情報データベース21に入力され、生成された数理モデルに含まれる各設計因子を抽出し、この抽出された設計因子の解析条件を編集および管理する。ユーザーは、入力編集部10を介して、実験計画法の前後処理部22に、解析すべき設計因子と、当該設計因子の条件値である水準値と、必要に応じて当該設計因子の種別とを解析条件として設定する。解析条件は、例えば一般に知られる実験計画法に基づき設定される。尚、実験計画法の前後処理部22は、数値解析エンジン24のプリ・プロセッサおよびポスト・プロセッサとして機能する。
【0019】
実験計画法は、製品の性能を左右する多数の因子を実験や解析などで効率良く最適化するために利用される手法である。実験計画法の利用手順は「実験計画法入門」(鷲尾泰俊著、日本規格協会)や「第3版実験計画法(上)(下)」(田口 玄一著、丸善)に詳しい。また、田口メソッド(ロバスト設計)は、「開発・設計段階の品質工学」(田口 玄一著、日本規格協会」に詳しい。実験計画法利用を支援するソフトウエアとしては、(株)リコーが開発している「Ripses」や、日本規格協会が発売している「Anova」などが知られている。
【0020】
実験計画法において、まず、ユーザーは、入力編集部10上で一覧表示されたそれぞれの設計因子から、設計上重要と思われる因子を選択する。これらの選択された因子に、制御因子・信号因子・誤差因子等の因子種別を割り付ける。制御因子は、解析の対象となり、設計者がコントロール可能な因子である。一方、誤差因子は、制御因子の解析における各種環境条件や誤差要因を表すための因子である。信号因子は、入力の変化に対する出力特性を解析する場合の入力因子である。
【0021】
次に、ユーザーは、各因子を、与えられた直交表に割り付ける。直交表は、例えば図3に示すように、各因子の取りうる条件値である水準値の組み合わせのパターンを記述する表である。この直交表は、ある因子の各水準に対して、他の因子の各水準値の組み合わせが必ず同数回ずつ定義されている。解析すべき因子に対して他の因子の影響が均質に働く性質を利用して、直交表に定義された各因子固有の要因効果(主効果および交互作用効果)を分析(図4参照)することができる。本来、要因効果の分析では、評価したい因子を同時にとりあげ、これらの因子の水準のすべての組み合わせ全部について解析して各因子の要因効果を評価する必要がある。直交表は、この要因効果の分析における解析パターンを削減することができる。尚、ある因子の水準効果が、別の因子の水準がどうであるかによって異なる場合があるが、これらの因子の間の水準の組み合わせに対して特別に生ずる組み合わせ効果を交互作用と称する。主効果とは、各因子の水準の平均的な効果をいう。
【0022】
直交表には、L18(61×36)、L18(21×37)、L8(27)、L16(215)、L27(313)、L36(211×312)などの実験計画法に所定の種類がある。ユーザーはこれらの直交表の中から、所望する設計因子の解析に適切な直交表を、因子の数、水準数、また要因効果解析を行うのかパラメータ設計によるロバスト性評価を行うのかなどの解析のタイプ等を考慮して選択する。あるいは、ユーザが実験計画法の前後処理部22に対して入力した設計因子の数、種別、水準値などの解析条件に基づき、解析条件制御部23が、最適な直交表を選択してユーザーに提示してもよい。この直交表により、所定回数の解析を実行する際の因子の水準の組み合わせが決定される。例えば、L18(61×36)の直交表では、最大で6水準の因子1種と、3水準の因子6種の組み合わせで因子の水準の組み合わせが決定される。単純にこの組み合わせの全てを実験もしくは解析する場合には、61×36=4374通りの組み合わせの解析を行うことになる。他方、各因子間の交互作用を無視して評価を行うという立場に立ってL18(61×36)の直交表を利用すれば、18通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析が可能となる。あるいは、交互作用も含めたノイズに対するロバスト性も考慮した解析を行う場合でも、(18×誤差因子の組み合わせセット数)通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析やパラメータ設計が可能となる。このため、各因子の設計に与える影響が短期に効率よく定量的に評価できる。
【0023】
数値解析エンジン24は、入力編集部10からの設計制約データの入力に基づき構築された、ツール依存性のない数理モデルを取得し、実験計画法の前後処理部22で決定された因子の水準などを解析条件として、数理モデルの挙動を解析する数学エンジンである。
【0024】
製品設計の主に初期において頻出する設計制約のパターンとしては、二階程度の常微分方程式を基本式として、方程式の各定数が各種の非線形性を持ち、しかもその特性が数式や表などの形で与えられることを想定することでカバーできるものも多い。特に製品形状の確定していない設計初期においては、その程度の情報から設計代替案を決定しなければならないケースが多い。これらの設計に関する設計情報が入力編集部10で収集され集中化され、数理モデル化される。
【0025】
数値解析エンジン24は、この数理モデルを連立方程式や補間関数など数値解析エンジン24で取り扱える形式に変換し、この数理モデルの挙動を解析する。一般に、このような数理モデルの解法としては、代数的に数式を簡略化してゆく代数的解法と、微少時間に解析時間を分割して数値的に積分を繰り返し数値解を得る数値解法とがあり、両者は適宜使い分けられながら解析が実行されることが通常である。但し、設計情報のように複雑な非線形性や条件分岐などを含む複雑なモデルには、代数的解法の適用が困難であり数値解法に頼らざるを得ない場合が多い。
【0026】
本実施形態のシステムが利用する数理(数値解析)モデルは、ダイナミクス解析を基本として各種非線形性の影響などを評価するためのモデルとして、例えば、連立常微分方程式を基本とし、その係数が定数もしくは何らかの変数に対する関数として定義された、いわゆる「集中定数系モデル」と呼ばれるものを扱うこととする。製品の実設計においては、このような複数の変数の制約式が複雑に絡み合い、厳密解を代数的に求めて製品設計を行うことが困難になるが、本実施形態のシステムでは、代数的に解を得ることが不可能な場合であっても、数値解析により工学的に十分な精度で製品設計のために有用な計算結果を得る。計算手続き生成部23は、数理モデルを、数値解析エンジン24が用いる構文・取り扱える演算の種類・手続きのアルゴリズム等の特有のルールに適合する解析モデルに必要に応じて変換する。
【0027】
本実施形態における設計支援システムのハードウエア構成を説明する。
【0028】
クライアント端末1a,1b,…1n、および設計情報サーバ2は、携帯情報端末、PC、ワークステーション、あるいは汎用コンピュータ等の各種コンピュータにより実現される。各コンピュータは、CPUと、データメモリと、プログラムメモリと、ハードディスクと、外部ディスク駆動機構と、通信インターフェースと、入出力部とを具備する。
【0029】
このようなハードウェア構成上において、本発明に係る設計支援機能、解析処理機能等はソフトウエアにより実装されており、ソフトウエアを構成するプログラムは、各種記録媒体に保存することができる。かかる記録媒体を、上記ハードウエアを具備するコンピュータのCPUにより読み出し、このプログラムを実行することにより、本発明が実施される。ここで、記録媒体とは、例えば、半導体メモリ・磁気ディスク(フロッピーディスク・ハードディスク)・光ディスク(CD−ROM・DVD等)、プログラムを記録することのできる装置全般を含む。さらに、上記プログラムは、ネットワーク等の各種通信手段を通じて配布されてもよい。
【0030】
本実施形態は上記のように構成されており、以下その処理の流れを主に図2のフローチャートを参照して順に説明する。
【0031】
まず、設計に関与する設計者や専門家などのユーザーは、入力編集部10を用いて、設計対象である製品に関する各種情報や専門知識を設計データ(設計情報)として入力する(S10)。この入力の際、入力編集部10は、例えばインターネットブラウザなどを利用して複数の画面を切り替え表示する。ユーザーは、これらの画面に対して設計データなどを入力したり、あるいは他ユーザーが入力した設計データを閲覧・編集する。具体的には、クライアント側である各ユーザーは、例えばインターネットブラウザなどを介して設計情報サーバ2に接続する。次に、ユーザは、HTML(Hyper Text Markup Language)やCGI(Common Gateway Interface)などの技術を用いて提供され、表示部12に表示されるグラフィック画面に設けられたダイアログボックスに、設計データをクライアント側のキーボードから入力する。あるいは、設計に関するドキュメントや図表などの電子ファイル類を設計情報サーバ2へアップロードする。
【0032】
これらの設計データは、設計支援サーバ2内の設計情報データベースに格納される(S20)。設計データは、製品の性能に関する設計制約式・テーブル等からなる。ユーザーは、他ユーザーが既に入力した設計制約式などの設計データを閲覧しながら適宜設計データを追加・編集する。具体的には、例えば機構設計者が製品の運動方程式を入力済みであるとする。次に熱解析の専門家が、この運動方程式に使われているバネ定数の、温度依存性に関する熱力学方程式を追加する。この際、熱解析の専門家は、既に入力されている運動方程式を、入力編集部10から容易に閲覧できる。このため、熱解析の専門家は、バネ定数を含む運動方程式に使われている変数名の統一性に留意しつつ、熱力学方程式を追加することができる。
【0033】
上記のような手順により、複数の専門家が協調しながら設計データを入力・補完し、最終的な設計情報から、製品挙動を予測することのできる数理モデルが設計情報データベース21からバックグラウンド処理等により生成される(S30)。例えば数理モデルが時間軸上の微分方程式を中心とした連立方程式からなる場合、この数理モデルの連立方程式を時間軸上で積分して解くことにより数値解析を実行すれば、製品の時間軸応答を知ることができる。これにより、製品挙動を容易に評価できる。
【0034】
ここで本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセス(本解析)の前に、構築した数値解析モデルが収束するかどうかを確認するための単発解析を行なうよう構成される。この準備的な単発解析は、数値モデルから抽出した因子の水準値として、数値モデルの収束性を高めることができるように、標準的で無難な値(ノミナル値、前回設計時に用いた値など)が用いられる。
【0035】
単発解析によれば、構築した数値解析モデルに不完全な部分がないか、解析結果が妥当かどうかなどを本解析の前に検証することができる。具体的には、モデル化の妥当性の検証を人手により行うことが極めて困難な集中定数系モデルなどを容易にチェックすることが可能となり、続いて実行される実験計画法の逐次的複数解析プロセス等が有意であることを事前に確認することが可能になる。実験計画法に基づく最適化解析では、制御因子の交互作用の影響などを検証することが重要であるが、すべての因子を標準値等を用いて単発解析を行っておくことで、交互作用や要因効果の妥当性の検討に適した基準(リファレンス)が得られるという工学的利点もある。また単発解析によれば、数値モデルの確認、最適化の作業の流れが効率化されるだけでなく、後述するように制御因子の水準値編集処理において作業を省力化することが可能になる。
【0036】
また本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、単発解析もしくは逐次的複数回自動解析を実行した後に、解析結果として得られた全変数の時系列データをメモリ上の配列、若しくはデータファイル、設計情報データベース21などに格納し保存処理を行うよう構成されており、任意の変数の組み合わせを表示部12において2次元や3次元のグラフにより表示する後処理(ポスト処理)を行うよう構成される。このグラフ表示に基づいてユーザは多角的に解析結果を評価できるようになる。また、このグラフ表示機能と、離散データにおける不存在のデータ点を補間して滑らかな近似曲線を得る補間処理機能とを組み合わせることにより、様々な条件下において変数値を導出して出力表示させることも可能になる。この場合、上記の保存データを利用可能であるので、出力条件を変える毎に数値解析のための逐次的複数回自動解析プロセスをあらためて行う必要が無く効率的であり、解析作業時間を大幅に削減できる。
【0037】
このような事後のデータ処理は、例えば実験計画法による逐次的複数回自動解析プロセスを実行したのち、目的関数の値を変えて解析を行う場合などに特に便利である。例えば、時刻t=10(msec)のときの変位xの値を目的関数として実験計画法による18回の自動解析プロセスを実施し、制御因子の要因効果分析やロバスト設計などを実施したとする。この18回分のデータ(図5参照)を保存しておくことにより、次に、例えばt=9(msec)のときの変位xの値を目的関数として要因効果分析やロバスト設計などを実施する場合、数値解析をやり直すことなく保存データから補間機能により目的関数の値を求めることができるようになり、解析時間を大幅に短縮できる。これ以外にも、例えばt=10(msec)までの時刻歴以内に含まれるデータであれば、いかなる条件(例えば、変数1がa(任意の定数値)のときの変数2の値など)でも目的関数の値を補間機能により計算することができ、同様に解析時間の大幅な削減効果が得られる。
【0038】
また、データベース21等に保存した単発解析又は逐次的複数回自動解析の結果データに基づいて、任意の条件における変数の組を一覧表として表示することも可能になる。この場合、上述した補間機能による目的関数の値計算を、複数の変数に繰り返し適用することにより、複数の変数のある条件下での値の組を得て、一覧表として表示することもできる。これによりユーザは、条件を様々に変えながら、複数の変数の値の組を一覧性良く何度も観察することができ、数値解析モデルの性質をより詳しく知ることができるようになる。
【0039】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、上記のように全変数の時系列データを保存する際に、データの全部又は一部をCSV(comma separated value format)ファイルもしくは汎用の表計算ソフトウエアへの入力ファイル形式に変換して出力することもできるように構成される。出力されたCSVファイルのデータ構成例を図6に示す。これにより、ユーザは、数値解析により得られた全ての変数の時系列データを例えばマイクロソフト社「Excel」などの表計算ソフトウエアやその他の数値解析ソフトウエア、実験計画法解析ツール11などに直接的に読み込ませることができるので、これら外部ソフトウエアによる数値解析処理や、結果のグラフィック表示機能など、多彩・高度な機能を利用することができるようになる。さらに、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析に特有の後処理として、各解析毎に得られている時系列データセットを異なるファイルに振り分けるとともに、それぞれのファイル名に、各回の解析を識別可能な番号等を付加して保存を行う。
【0040】
また、解析結果を表計算ソフトウェアへの入力ファイル形式に変換して出力する場合は、各解析毎に得られている時系列データセットを、表計算ファイル内の複数のシート(電子的な計算用紙)に対応させて振り分け、シートごとに各回の解析を識別可能な番号を含めたシート名を付与して保存する。このような表計算ファイルのシート構成例を図5に示す。図5において、T1は1回目の逐次解析のデータ、T2は2回目の逐次解析のデータ、T18は18回目の逐次解析のデータをそれぞれ保持するシートを示している。これによれば、実験計画法による逐次的複数回の自動解析計算の個々の解析データの管理が非常に容易になる。例えば、各回の解析結果がシート毎に分離されていると、データのセルの指示が非常に容易になる。例えば、実験計画法による逐次的複数解析のn番目の解析における1行A列のデータは、「'実験計画法No-n'!A1」という極めて簡単な記述により指定できる。このnの部分の整数を変えるだけで、複数の解析結果の同じセルの位置を比較するなどの処理が容易に行える様になる他、要因効果分析の計算やロバスト設計のSN比計算などの処理も容易に行えるようになる。また、ユーザ自身がデータ管理したりグラフ表示する際の操作性も向上する。
【0041】
次に、逐次的複数回自動解析プロセスのための制御因子の水準値選択について説明する。
【0042】
図7は、実験計画法に係る直交表割付メニュー画面の一例である。設計者が入力編集部10を操作して表示部12に表示されているメニュー画面切り替えアイコン(図示せず)をクリックすると、実験計画法の前後処理部22は、図7に示す直交表割付メニュー画面を出力する。
【0043】
まずユーザーは、直交表の種類を選択する必要がある。この直交表の選択は、感度解析に供する因子の数と、各因子の水準数とで決定される。ユーザーにとって選択すべき直交表が自明の場合には、ユーザーは直接選択ボックス(F40)から目的の直交表を選択すればよい。他方、そうでない場合には、ユーザーは、自動選択ボックス(F41)に感度解析に供する因子の数(F43)と因子の水準数(F42)とを入力して自動選択アイコン(F44)をクリックする。この入力された因子の数(F43)と因子の水準数(F42)から、解析条件制御部23は、自動的に最適もしくは最も近い直交表を選択する。あるいは、一意に最適な直交表が選択できない場合には、エラーメッセージを表示してユーザーに再入力を促すか、候補一覧から選ぶよう促す。
【0044】
上記の手段のいずれかにより直交表の種類が選択されると、図7の右上に示すように、実験計画法の前後処理部22は、解析条件を割り付けるための直交表を表示する(F45)。図7の例では、自動選択ボックス(F41)に2水準因子が4個、3水準因子が1個との入力に従って、L8(27)の応用であるL8(24×41)が最も近い直交表として選択される。次に設計者は、L8(24×41)に含まれる4水準因子用の因子に3水準因子を割り付けるために必要となる、ダミー(擬水準)位置設定(F46)を行う。図7では、もともとL8(24×41)の因子名Aの項目にあった1から4の水準において、水準4の代わりに水準2を割り付ける、1−2−3−2型ダミー位置設定を行った例(F47)が示されている。尚、このダミー位置設定は、選択した解析対象因子・水準数を選択した直交表に適合させるために、必要に応じて行われる。次にユーザーは、直交表に割り付けるべき因子の選択を行う。具体的には、変数選択ボックスから例えば変数m(F48)を選択し(F49)、水準値入力ボックスに送る(F50)。ユーザーは、変数mが直交表の因子Aに割り付けられるよう因子番号Aを入力する(F51)。この因子番号の入力により、実験計画法の前後処理部22は、自動的に3水準分の入力ボックスを開く(F52、F53、F54)。
【0045】
ここで本実施形態では、水準1〜3への水準値をユーザが入力するための入力ボックスF62,F63,F64のそれぞれに、上述した単発解析時に設定したノミナル値などの標準値がディフォルト値としてセットされ、表示される。これは、制御因子の水準値が、通常は、単発解析時の値を基準として、所定量だけ増減させる(例:10±2)か、所定の割合係数を乗ずる(例:10±5%)ことで決定される場合が多いことに着眼したものであり、デフォルト値として単発解析時の設定値を自動的にセットすれば、入力の手間が省けたり、水準のふれ幅(差・比)をユーザが設定する際の参考になる。また、このような単発解析に基づくディフォルト値は、制御因子として選択された変数名表示の近傍において表示するとより好ましい(F60)。
【0046】
また、本実施形態の入力編集部10或いは実験計画法の前後処理部22は、制御因子の水準値等の数値入力ボックス(F52、F53、F54等)において、四則演算式を含んだ入力を受け付け、その演算を自動実行するとともに演算結果値を数値入力ボックスへの入力値に設定し表示するといった入力支援機能を備える。通常、実験計画法などでは、制御因子や誤差因子の水準値としては、基準となる値に対して、所定の差や比を付与(例:10±2や10±5%など)する場合が多く、この2例で言えば、「10+1」と入力するだけで「11」が自動的に計算されてセットされたり、「10×1.05」と入力するだけで「10.5」が自動的に計算されてセットされるような入力支援は、ユーザによる数値入力の負担を大幅に軽減でき、利用頻度も高い。
【0047】
水準値の入力の後、図8に示すように、設計者が“直交表へ入力”アイコン(F55)をクリックすると、実験計画法の前後処理部22は、右上の直交表の因子Aに変数mを割り付ける。上述の操作が、因子B〜Eについても繰り返されることで、直交表への割付が完了する。直交表への割付が完了すると、ユーザーは、図8右下端の“直交表割り付け完了”アイコン(F56)をクリックする。以上の手順により、図2のステップS40およびS50の処理が完了する。
【0048】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析プロセスにおいて、事前に単発解析を実施して得た計算の所要時間を利用して、現在までの実行時間から全体の所要時間もしくは残り時間の概略を予測し、経過時間と共に表示する。予測結果の表示形態としては、解析プロセスの残回数、%、時間などが考えられる。図9は、解析プロセスの経過度を、いわゆるプログレスバー30によって表示する例を示している。なお、単発解析の結果に依らない場合は、逐次的複数回自動解析の1セットが完了するまでの時間を計測し、これを全体時間の予測に用いてもよい。
【0049】
また、本実施形態の実験計画法の前後処理部22は、逐次的複数回自動解析プロセスを一時停止させるようなプロセス制御も可能になっている。比較的処理に時間を要する自動解析プロセスの実行中に、例えば他ユーザが短時間で終了する単発解析を実行したいような場合があり、アプリケーションレベルでユーザが明示的に優先順位を決定できるようにし、割り込み処理等を利用して効率的なシステム運用を図る。
【0050】
通常、実験計画法などの逐次解析は計算機のリソースを占有するために、例えばデータベースの所定領域中に、逐次解析の実行有無を示すフラグを記憶させておき(その値が1なら実行中、0なら解放済み、などと規定する)、複数のユーザが同時に解析を行えないような処理をしているが、例えば、実験計画法解析の何セット目かが終了したタイミングで、排他制御を一時解放(フラグを0にリセット)し、他の単発解析を優先して実行させ、終了後に実験計画法解析を再開するといった実行制御アルゴリズムにより実現される。
【0051】
このような優先処理のメリットとしては、実験計画法解析についてはユーザは予めある程度長時間かかると予想しているため、解析を実行後、他の作業に従事している場合が多く、この間に単発解析が割り込んでトータルの解析時間が若干伸びたとしても、それほど不便を生じないと思われる。一方、単発解析の場合は、解析モデル作成の最中に、モデルの完全性チェックなどを速やかに実施したい場合が多く、他者による実験計画法解析のため長時間待たされることに不便さを覚えるかもしれない。計算機自体がマルチタスクに対応している場合は計算機側でこの様な排他制御に起因する不便を解消するようなタスク配分を行う場合もあるが、その様な環境以外では、ユーザが計算機の利用優先度を積極的にコントロールできるようにすることで、複数設計者による計算機の利用効率を向上する効果が期待できる。
【0052】
図2に説明を戻す。本例において決定された18通りの因子水準のセットは、ステップS30で構築された数理モデルに代入される(S60)。数値解析エンジン24は、この18通りの因子水準セットのそれぞれについて、入力された因子水準の数の分だけ、数値解析を逐次実行する(S60〜S100)。
【0053】
この数値解析を行う際に、数理モデルとしての連立微分方程式に単に因子の値を代入しただけでは、直接、数値解析エンジン24で数値解析を実施できない場合がある。これは、数値解析エンジンの構文、扱える演算の種類、手続きの手法等に各数値解析エンジン固有の違いがあるためである。計算手続き生成部23は、この各数値解析エンジン固有の違いを解消する。この計算手続き生成部23は、設計情報データベース21から数値解析エンジン24に数理モデルを受け渡す際に、数理モデルを数値解析エンジン24で処理可能な入力式に変換する。
【0054】
数理モデルが規模の大きい連立方程式からなる場合、一旦数理モデルに対して代数的に冗長な変数を消去する処理をしてから数値解析エンジン24に入力しないと数値解析が成功しないか、もしくは処理効率が低下する場合がある。計算手続き生成部23は、こうした数値解析エンジン24で用いられる特有のルールに適合するように数理モデルを変換する。これにより、解析可能な数理モデルの種類や規模が拡大する。また、数値解析エンジン24の種類を変更する場合には、計算手続き生成部23を新たな数値解析エンジン24に対応したものに変更するだけでよく、他の構成要素に変更が及ぶことがない。このため、迅速に最小の労力で、所望する解析の性質に応じて数値解析エンジン24を置き換えることができる。
【0055】
また、上記の数理モデルの変換処理が、計算手続き生成部23で自動的に判断が不可能な場合には、例えば選択肢を入力編集部10に表示してユーザーの選択を促すアルゴリズムを備えてもよい。
【0056】
次に、上述したステップS10からS100により18通りの解析結果が出揃うので、これらの解析結果が、クライアント端末に実装された実験計画法解析ツール11を用いて統計的処理される(S110)。本実施形態では、各因子が特性値に及ぼす感度(主効果)の解析を行う。あるいは、上述のパラメータ設計を実施する場合には、誤差因子に対するロバスト性がSN比としてステップS110で評価される。
【0057】
解析結果を評価するために用いる特性値は、負の値をとらず大きいほど好ましい場合には望大特性と分類される。一方、特性値は、負の値をとらず小さいほど好ましい場合には望小特性、特定の目標値に近いことが望まれる場合は望目特性と分類される。尚、パラメータ設計を行う場合にロバスト性を評価するためのSN比の計算方法は、その3通りそれぞれについて処理方法が異なる。このため、パラメータ設計を行う場合には、ユーザーがこの特性値の区分を入力編集部10を通じて指示する。その後の実際の例えば要因効果分析やロバスト性のSN比による評価などの処理については実験計画法、特に田口メソッドとして広く知られているため詳細な説明を省略する。
【0058】
以上のような本実施形態の設計支援システムによれば、各クライアント端末1a〜1nの入力編集部10を通じて各設計者から与えられた設計情報の共有に基づく分散協調設計が促進され、またこの入力編集部10からの情報を直接に実験計画法の前後処理部22や数値解析エンジン24が統合されていることで、煩わしい手順が必要であった解析対象のモデル化や実験計画法解析ツール11による要因効果分析、パラメータ設計、設計初期の設計最適化が省力化でき、設計初期の必しも全ての設計パラメータについて定量的な値がそろっていない段階でも、少なくとも各因子の要因効果分析を行うことは可能となる。また、設計のボトルネックとなる因子を早期に検証することができるようになり、設計代替案選択などの根拠を提供できる。結果として、設計のやり直し回数を削減でき、設計期間を短縮して製品開発コストを低減する事ができる。
【0059】
さらに、数理モデルの構築、完全性チェック、実験計画法などによる最適化のプロセスを単発解析に基づいて効率よく行える。また、実験計画法による解析結果の検証において、交互作用の影響などを容易に検証することができる。また、解析結果を表計算ソフトウエアのような外部のアプリケーションソフトウェアにおいて容易に再利用可能となる。外部のアプリケーションソフトウェアによって、本実施形態のものとは異なる数値解析処理や、グラフィック表示など、多彩・高度な機能を利用することができるようになる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。例えば、本発明に係る解析装置の実施形態として、実験計画法を基礎とした設計支援システムを説明したが、少なくとも一部が微分方程式もしくは代数方程式で構成された系を解析し最適化指針を得るにあたり、実験計画法のみならず田口メソッド、応答曲面法(RSM)、および各種数学的最適化に基づく自動解析プロセスを実施する各種解析装置に適用可能である。
【0061】
また、実施形態の設計支援システムは、ネットワークNを介したいわゆるクライアント/サーバ方式のシステムであり、多数のコンピュータを結合してマルチユーザ環境を提供するものであったが、例えば図10に示すように、シングルユーザを想定し、ネットワークを除外したスタンドアロンのシステムとしても本発明は実施可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設計制約等に基づき構築した数値モデルに対する数値解析を逐次的に複数回実行する自動解析プロセスの前後段階に適切なユーザインターフェースを構築して、要因効果分析など製品の性能解析(最適化解析)のための解析情報を適切かつ容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解析装置の一実施形態に係り、実験計画法に基づく設計支援システムの概略構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態に係る設計支援システムの概略動作を示すフローチャート
【図3】直交表の一例を示す図
【図4】最適化解析における要因効果分析を示すグラフ
【図5】上記実施形態に係る逐次的複数回自動解析プロセスにより得られた時系列データを示す図
【図6】上記実施形態に係る時系列データのCSV出力のデータ形式を示す図
【図7】上記実施形態に係る実験計画法における直交表割付メニュー画面の一例を示す図
【図8】上記直交表割付メニュー画面における直交表中の因子への変数の割り付けを示す図
【図9】上記実施形態に係る解析プロセスの経過度を表示するプログレスバーの一例を示す図
【図10】他の実施形態に係るスタンドアロン構成の設計支援システムを示す図
【符号の説明】
1a〜1n…設計者用のクライアント端末
2…設計支援サーバ
10…入力編集部
11…実験計画法解析ツール
12…表示部
21…設計情報データベース
22…実験計画法の前後処理部
23…計算手続き生成部
24…数値解析エンジン
Claims (12)
- 設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジンと、
前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段と、
前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段と、
を具備することを特徴とする解析装置。 - 前記前処理手段による単発解析結果のデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶された単発解析結果のデータに基づいて、複数の変数の任意の組み合わせをグラフ表示する手段と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の解析装置。 - 前記単発解析結果のデータに基づいて不存在の解析データを補間する補間手段と、
前記逐次的な複数回の数値解析を実行することなく、前記単発解析結果とは異なる解析結果を生成して一覧表示する手段と、をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の解析装置。 - 前記単発解析又は逐次的な複数回の数値解析の実行により得られた解析結果のデータを、CSV又は汎用の表計算ソフトウエアのファイル形式に変換して出力する手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の解析装置。
- 前記出力手段は、各回の数値解析毎に、前記解析結果のデータを複数のファイル又は計算表ファイル内の複数のシートに振り分けるとともに、該複数のファイル又はシートのそれぞれに数値解析毎の識別情報を付加することを特徴とする請求項4に記載の解析装置。
- 前記設定手段は、前記解析条件として制御因子の水準値を入力編集するための手段と、
前記前処理手段による単発解析時に設定された前記標準値を、前記水準値の入力編集時におけるディフォルト値に設定する手段と、を具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の解析装置。 - 演算式の入力を許容し、該入力された演算式に従った演算を行って入力値を生成する数値入力支援手段をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の解析装置。
- 前記単発解析時に設定された前記標準値を水準値入力の参考に表示することを特徴とする請求項6に記載の解析装置。
- 前記逐次的な複数回の数値解析の実行経過を、全数値解析の終了予測に基づいて表示する経過表示手段を具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の解析装置。
- 前記逐次的な複数回の数値解析の実行を中断し、前記単発解析を優先的に実行させる制御手段を具備することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の解析装置。
- 設計制約等にしたがって解析モデルを構築し、
前記構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定し、
前記設定された解析条件に従って、前記解析モデルの数値解析を数値解析エンジンにより逐次的に複数回実行し、
前記数値解析エンジンから得られた解析結果を、設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する解析方法において、
前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理を実行することを特徴とする解析方法。 - コンピュータを、
設計制約等にしたがい構築された解析モデルを数値解析する際の解析条件を設定する設定手段、
前記設定手段により設定された解析条件に従って前記解析モデルの数値解析を逐次的に複数回実行する数値解析エンジン、
前記数値解析エンジンから得られた解析結果を設計の最適化指針を得るための解析ツールに対して出力する出力手段、
前記逐次的な複数回の数値解析の実行前に、所定の標準値を前記解析条件に設定して前記数値解析エンジンに単発解析を行わせる前処理手段、として機能させるための解析プログラム。
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