JP3774150B2 - 省エネルギー機能搭載電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波対策機能を備えると共に省エネルギー機能を備えた省エネルギー機能搭載電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、電子機器のハーネス等から射出される電磁波により他の電子機器等が影響を受けたりするのを防止すべく、当該電磁波に対する規制(FCCpart15、EN55022、VCCIなど)が設けられ、種々の対策技術が開発されている。以下、かかる対策技術をEMI(ElectomagneticInterface)対策と記載する。
【0003】
このようなEMI対策としては、例えばスペクトラム拡散クロックジェネレータ(SSCG:Spread Spectrum Clock Generator)を用いて基本クロック信号を周波数変調することにより、周波数が微妙に変動した変調クロック信号を発生させて、クロック信号がハーネス等を伝搬する際に発生する電磁波エネルギーを分散させることでエネルギーレベルの低下を図る技術がある。
【0004】
このようなSSCGを用いてEMI対策を行う機器としては、クロック信号により動作タイミング等を制御している全ての電子機器等が対象となり、例えばファクシミリ装置やプリンタ等においても利用が検討されている(特開2001−111745号公報を参照されたい)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の省エネルギー化の要請に対応すべく省エネルギー機能を具備した電子機器が販売されているが、省エネルギー機能が動作している時間帯でもSSCGを介して変調クロック信号を供給する構成とすると、当該SSCGでの電力消費により十分な省エネルギーが図れない問題があった。
【0006】
例えば、ファクシミリ装置では、省エネルギー状態に移行すると、記録部等への電源供給は停止するが、受信動作を行うためのシステム制御部や網制御部等の最小限の構成機器は動作を継続するので、省エネルギー機能が機能しているときでもクロック信号を発生する必要がある。
【0007】
ところが、SSCGでこのようなクロックを常時発生して供給するようにすると、省エネルギー状態における当該SSCGで消費される電力により十分な省エネ効果を発揮することが困難となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、かかるSSCGを搭載した電子機器においても効率的な省エネルギーが図れるようにした省エネルギー機能搭載電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、発振子で発生された基本クロック信号に対して周波数変調を行い変調クロック信号を出力するスペクトラム拡散クロックジェネレータを備えて電磁波障害を抑制すると共に、予め設定された条件が成立すると通常状態から省エネルギー状態に移行して必要最小限の構成機器にのみ電力供給を行い、その他の構成機器への電力供給を停止して省エネルギーを図る省エネルギー機能を備えた省エネルギー機能搭載電子機器において、スペクトラム拡散クロックジェネレータへの電力供給が通常状態時においてのみ行われ、省エネルギー状態時では電力供給を停止するようにして、スペクトラム拡散クロックジェネレータを搭載した電子機器においても効率的な省エネルギーが図れるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる発明は、省エネルギー状態時に電力供給を受ける構成機器のクロック信号を基本クロック信号とし、その他の構成機器のクロック信号を変調クロック信号としたことを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は変調クロック信号を選択して全ての構成機器に当該変調クロック信号を供給し、省エネルギー状態時には基本クロック信号を選択して省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に該基本クロック信号を供給するセレクタを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4にかかる発明は、基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は変調クロック信号を選択して全ての構成機器に当該変調クロック信号を供給し、省エネルギー状態時には基本クロック信号を選択して出力するセレクタと、該セレクタにより省エネルギー状態時に選択されて出力された基本クロック信号を分周して、該基本クロック信号よりクロック数の小さな分周クロック信号を省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に供給する分周器とを設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は、省エネルギー機能を備えると共にSSCGを用いることによりEMI対策が行われた電子機器の例としてファクシミリ装置の概略構成図を示すブロック図である。なお、当該図1は第1〜第3の実施の形態において共に適用される。
【0014】
当該ファクシミリ装置は、システム制御部1、システムメモリ2、読取部5、記録部6、画像メモリ7、クロック部10、符号化複合化部11、通信制御部12、モデム13、網制御部14、I/O制御部15、省エネ制御部16、省エネセンサ部17、操作表示部18等を有し、これらがシステムバスにより接続されて、後述する電源部20から電源供給を受けて動作するようになっている。
【0015】
システム制御部1は、ROM3に書き込まれた制御プログラムにしたがってRAM4を作業領域として使用しながら、装置各部を制御するマイクロコンピュータである。
【0016】
なお、省エネルギー状態時には、システム制御部1、網制御部14、省エネセンサ部17等の受信動作に必要な構成機器(以下、省エネ時ONブロックと記載する)にのみに電源が供給され、読取部5、記録部6等の受信動作には直接必要とされない構成機器(以下、省エネ時OFFブロックと記載する)には電源供給が停止され、これらの切替はシステム制御部1により電源部20を制御することにより行われる。
【0017】
但し、システム制御部1は、省エネルギー状態時には低消費電力状態で動作している。
【0018】
ROM3は、システム制御部1が装置各部を制御するための制御プログラムが記憶されているリードオンリメモリである。
【0019】
RAM4は、システム制御部1の作業領域として使用されるランダムアクセスメモリで、図示しないバックアップ用回路によりバックアップされて装置電源遮断時にも記憶内容が保持されるようにすることが好ましい。
【0020】
読取部5は、3.85本/mm、7.7本/mm、15.4本/mm等の所定の読取線密度で原稿画像を読取って画情報を得るためのもので、読取った画情報は一旦ラインバッファに逐次蓄積されて必要とされる機器に転送されるようになっている。
【0021】
記録部6は、受信した画情報をその線密度に応じて記録出力したり、読取部5で読取った画情報をその線密度に応じて記録出力(コピー動作)するためのものであり、また管理リポートの出力にも用いられる。
【0022】
画像メモリ7は、読取部5で読取った画情報をメモリ送信するために一時的にファイルとして蓄積する圧縮データメモリー用のSAFメモリ8、受信した画情報を記録部6により記録するまでファイルとして一時的に蓄積してデータを記録する際に生データを展開するバッファ用のページメモリ9等を備えている。
【0023】
クロック部10は、後述する発振子27やSSCG28等を備えて、発振子27で基本クロック信号を発生し、SSCG28で該基本クロック信号に対して周波数変調を行うことにより、周波数が微妙に変動した変調クロック信号を出力している。
【0024】
符号化複合化部11は、送信画像データをG3、G4ファクシミリに適合するMH符号化方式、MR符号化方式、MMR符号化方式等の所定の符号化方式で符号化圧縮する一方、受信画像データをMH符号化方式、MR符号化方式、MMR符号化方式等に対応する所定の復号化方式で復号伸長するものである。
【0025】
通信制御部12は、ファクシミリプロトコルの制御を実行して網制御部14を制御し、エンドユーザ側の加入電話回線PSTNの公衆網と接続し、またエンドユーザ側の各ファクシミリ装置との通信の制御を行う。
【0026】
モデム13は、網制御部14を介して公衆網に送信するデータを変調する一方、網制御部14を介してPSTNまたはISDNの公衆網から受信した信号を復調するものである。
【0027】
網制御部14は、回線に接続されて、回線の極性反転の検出、回線の直流ループの閉結・解放や、回線解放の検出、発信音の検出、ビジートーン等のトーン信号の検出、呼出信号の検出等の回線との接続制御、ダイヤル回線に対応したダイヤルパルスの生成を行うものである。
【0028】
I/O制御部15はシステム制御部1の命令に従って入出力ポートの制御を行う。
【0029】
省エネ制御部16は、省エネルギー状態時における省エネ時ONブロック25(図2参照)の制御を行い、省エネセンサ部17や省エネ移行キー19からの復帰要求により省エネルギー状態を解除する。
【0030】
操作表示部18は、宛先電話番号を指定するためのテンキー、スタートキー、ワンタッチダイヤルキー及びその他各種キーを備え、また液晶表示装置等の表示器を備えて、ユーザに知らせるべき装置の動作状態や各種メッセージを表示する。
【0031】
図2は、第1の実施の形態の説明に適用される発明の要部を示し、電源部20、クロック部10及び省エネ時ONブロック25、省エネ時OFFブロック26の構成を示している。なお、同図において実線矢印は電圧ラインを示し、一点鎖線はクロック信号ラインを示している。
【0032】
電源部20は、電源21及びスイッチ23を備えて、通常状態時(省エネルギー状態時以外)にはスイッチ23が回路を閉じて電源21から省エネ時OFFブロック26、SSCG28、省エネ時ONブロック25、システム制御部1等に電力供給が行われ、省エネルギー状態時にはスイッチ23が回路を開いて電源21から省エネ時ONブロック25、システム制御部1等にのみ電力供給が行われるようになっている。
【0033】
発振子27からの基本クロック信号は、SSCG28に入力すると共に省エネ時ONブロック25及びシステム制御部1に入力して、当該SSCG28で変調された変調クロック信号は省エネ時OFFブロック26に入力している。
【0034】
従って、通常状態時では、SSCG28で変調された変調クロック信号が省エネ時OFFブロック26に供給されてEMI対策が行われる。
【0035】
一方、省エネルギー状態時にはSSCG28への電力供給が停止するので、当該SSCG28における電力消費が防止できて効率的な省エネルギーが可能になる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態を図を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一構成に関しては同一符号を用い説明を適宜省略する。
【0037】
第1の実施の形態においては、省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に供給されるクロック信号は、通常状態時であるか省エネルギー状態時であるかを問わず発振子27からの基本クロック信号であった。
【0038】
これに対して本実施の形態では、図3に示すように、通常状態時はSSCG28からの変調クロック信号を省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に供給し、省エネルギー状態時には発振子27からの基本クロック信号を省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に供給するようにしたものである。
【0039】
この場合、クロック部10は発振子27及びSSCG28の他にセレクタ29が設けられている。
【0040】
そして、このセレクタ29にはSSCG28で変調された変調クロック信号と、基本クロック信号とが入力して、通常状態時には変調クロック信号を選択して省エネ時OFFブロック26、省エネ時ONブロック25、システム制御部1等に供給し、省エネルギー状態時には基本クロック信号を選択して省エネ時ONブロック25、システム制御部1に供給するようになっている。
【0041】
従って、通常状態時には全ての構成機器に変調クロック信号が供給されるようになるので、第1の実施の形態に比べてEMI対策がより完全に行えると共に、省エネルギー状態時にはSSCG28に電力供給が行われないため電力消費を削減することが可能になる。
【0042】
次に、本発明の第3の実施の形態を図を参照して説明する。なお、上記第1及び第2の実施の形態と同一構成に関しては同一符号を用い説明を適宜省略する。
【0043】
第2の実施の形態では、EMI対策をより完全に行うために、セレクタ29を設けて省エネルギー状態時には省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に基本クロック信号を供給するようにした。
【0044】
ところで、システムが動作する際の動作速度はクロック数が大きくなると高速動作が可能になる。
【0045】
しかし、高速動作を行うことは、それだけ消費電力が大きくなる傾向があり、また発生する電磁波障害も大きくなる傾向がある。
【0046】
従って、省エネルギー状態時のように原則的に高速処理が必要とされないときにはクロック数を小さくして消費電力の削減を図ると共に、電磁波障害を抑制することが好ましい。
【0047】
このような観点から、本実施の形態では、図3に示すように分周器30を設けて省エネルギー状態時に動作する省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に供給されるクロック信号を分周して遅いクロック数で動作するようにしている。
【0048】
即ち、セレクタ29からのクロック信号が分周器30に入力し、システム制御部1からの指示に基づくクロック数で分周された信号を省エネ時ONブロック25やシステム制御部1に出力する。
【0049】
システム制御部1はかかる指示を省エネルギー状態に移行する際の制御条件としている。
【0050】
これにより、省エネルギー状態時には省エネ時ONブロック25やシステム制御部1には、小さいクロック数のクロック信号が入力して、省エネルギー効果を大幅に改善することが可能となると共に電磁波障害を抑制する異が可能になる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1にかかる発明によれば、スペクトラム拡散クロックジェネレータへの電力供給が通常状態時においてのみ行われ、省エネルギー状態時では電力供給を停止するようにしたので、スペクトラム拡散クロックジェネレータを搭載した電子機器においても効率的な省エネルギーが図れるようになる。
【0052】
請求項2にかかる発明によれば、省エネルギー状態時に電力供給を受ける構成機器のクロック信号を基本クロック信号とし、その他の構成機器のクロック信号を変調クロック信号としたので、スペクトラム拡散クロックジェネレータを搭載した電子機器においても効率的な省エネルギーが図れるようになる。
【0053】
請求項3にかかる発明によれば、基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は変調クロック信号を選択して全ての構成機器に供給し、省エネルギー状態時には基本クロック信号を選択して省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に供給するセレクタを設けたので、通常状態時は全ての機器を変調クロック信号で動作させることができてEMI対策をより完全に行いながら、効率的な省エネルギーを図ることが可能になる。
【0054】
請求項4にかかる発明によれば、基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は変調クロック信号を選択して全ての構成機器に供給し、省エネルギー状態時には基本クロック信号を選択して出力するセレクタと、該セレクタにより省エネルギー状態時に選択されて出力された基本クロック信号を分周して該基本クロック信号よりクロック数の小さな分周クロック信号を出力して、省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に供給する分周器とを設けたので、通常状態時は全ての機器を変調クロック信号で動作させることができてEMI対策をより完全に行え、また省エネルギー状態時にはクロック数の小さな分周クロック信号で動作するのでより効率的な省エネルギーを図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態の説明に適用されるファクシミリ装置の概略ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の説明に適用される電源部、クロック部、省エネ時ONブロック、省エネ時OFFブロック等の構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の説明に適用される電源部、クロック部、省エネ時ONブロック、省エネ時OFFブロック等の構成を示す図である。
【図4】第3の実施の形態の説明に適用される電源部、クロック部、省エネ時ONブロック、省エネ時OFFブロック等の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 システム制御部
16 省エネ制御部
17 省エネルギーセンサ部
18 操作表示部
19 省エネ移行キー
20 電源部
21 電源
23 スイッチ
25 省エネ時ONブロック
26 省エネ時OFFブロック
27 発振子
29 セレクタ
30 分周器
Claims (4)
- 発振子で発生された基本クロック信号に対して周波数変調を行い変調クロック信号を出力するスペクトラム拡散クロックジェネレータを備えて電磁波障害を抑制すると共に、予め設定された条件が成立すると通常状態から省エネルギー状態に移行して必要最小限の構成機器にのみ電力供給を行い、その他の構成機器への電力供給を停止して省エネルギーを図る省エネルギー機能を備えた省エネルギー機能搭載電子機器において、
前記スペクトラム拡散クロックジェネレータへの電力供給が前記通常状態時にのみ行われ、省エネルギー状態時では電力供給を停止するようにしたことを特徴とする省エネルギー機能搭載電子機器。 - 前記省エネルギー状態時に電力供給を受ける構成機器のクロック信号を前記基本クロック信号とし、その他の構成機器のクロック信号を前記変調クロック信号としたことを特徴とする請求項1記載の省エネルギー機能搭載電子機器。
- 前記基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は前記変調クロック信号を選択して全ての構成機器に当該変調クロック信号を供給し、省エネルギー状態時には前記基本クロック信号を選択して省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に当該基本クロックを供給するセレクタを設けたことを特徴とする請求項1記載の省エネルギー機能搭載電子機器。
- 前記基本クロック信号と変調クロック信号とが入力して、通常状態時は前記変調クロック信号を選択して全ての構成機器に供給し、省エネルギー状態時には前記基本クロック信号を選択して出力するセレクタと、
該セレクタにより省エネルギー状態時に選択されて出力された前記基本クロック信号を分周して、該基本クロック信号よりクロック数の小さな分周クロック信号を前記省エネルギー状態時に電力供給が行われる構成機器に供給する分周器とを設けたことを特徴とする請求項1記載の省エネルギー機能搭載電子機器。
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