JP3774135B2 - 珪化カルシウムを用いた6価クロムの低減方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、6価クロムの低減方法に関し、環境に含まれる6価クロムの低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全や環境浄化に関する社会要請から、各種の産業分野で産業廃棄物等の処理やリサイクルが活発に進められており、産業廃棄物、下水汚泥、生活廃棄物等の廃棄物の処理に当たっては、セメント及びセメントを主成分とする固化材が多用されている。しかし、処理土あるいはセメント及びセメント固化材も、その使用環境によっては、微量の重金属成分が溶出する可能性がある。特に6価クロムの溶出は環境上注意が必要である。
【0003】
そこで、6価クロムの溶出を低減する手段が望まれるが、既に、いくつかの方法が提案されている。例えば、特開平3−205331号公報では、第一鉄、第一錫、第一バナジウム、第一銅等の塩の添加が、また、特開昭48−83114号公報では、水溶性第一鉄塩の添加が提案されている。かかる塩は6価クロムを3価クロムに還元して不溶化する効果がある。しかし、第一鉄以外の該重金属は毒性を有し、6価クロムを不溶化できたとしても、新たな重金属の溶出が問題となる。また、第一鉄塩は、水硬性材料からの初期の6価クロム溶出に有効であるが、速やかに空気酸化されて還元作用が失われるため、数時間以降の不溶化効果は期待できない。
【0004】
一方、遅効性の還元性物質としては、高炉スラグなどが知られているが、高炉スラグの還元効果は、スラグが水和を開始するおよそ数日後以降から発現することから、水和が開始される以前の早期に溶出する6価クロムを効果的に低減することができない。また、効果を発揮するには、比較的多くの量が必要である。
【0005】
最近の知見によれば、特開平10−113676においてシリコンを使用した汚染環境下の6価クロムの処理方法が提案されている。
しかしながら、シリコンはアルカリ条件下でないと十分な還元効果は得られず、反応刺激材として塩基性物質、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを適宜選択する必要があった。
また、これらの反応刺激材の効果が低下してしまうと、未反応のシリコンが残存した状態で還元効果も低下してしまう欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事情に鑑みて、少量の添加で、早期から効果を発揮し、かつ持続的に6価クロムを効果的に低減する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
シリコンの還元効果は、アルカリ環境下において溶出したシリコンが、酸化される過程で、周囲の6価クロムを還元するものである。この反応により、導入したアルカリをすべて消費した後は未反応のシリコンが残存した状態であっても効果を喪失することになり、非効率的な上、長期に渡っての効果保持が必要な環境では好ましいものとは言えない。
本発明者らは、水硬性組成物からの6価クロムの溶出を低減すべく、シリコンの還元効果について鋭意検討を行った結果、上記の課題を解決する方策として、少量の添加で、持続的に6価クロムを効果的に低減できる6価クロム溶出低減材を用いる方法を見出し、本発明の目的を達成した。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)環境に含まれる6価クロムを低減する方法において、該環境中に珪化カルシウムを導入することを特徴とする6価クロムの低減方法、
(2)反応刺激材として塩基性物質、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上を更に環境中に添加する環境中の6価クロムの低減方法、
(3)前記環境が土壌である6価クロムの低減方法、
(4)珪化カルシウムの粉粒体を含む6価クロム溶出低減材、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明で用いる珪化カルシウムは、通常の金属シリコンと異なり、自ら溶出するカルシウムによりアルカリ環境が保たれるため、還元効果が持続する。このため、通常のシリコンに比べ、長期間持続的に6価クロムの低減に効果を発揮する。
従って、シリコンと同時に加えたアルカリの効果が低減しても還元効果を保持することが可能であり、長期間に効果を発揮することができる。
【0010】
本発明で用いる珪化カルシウムは特に高純度である必要はなく、多少不純物を含有するものでもかまわない。
その形態は、結晶、無定形でもどちらでも良い。
工業製品では、カルシウムシリコンに珪化カルシウムが含まれており、有効である。
また、珪化カルシウムは特に形状を問わないが、反応性を考慮すれば粉粒体として用いるのが好ましい。珪化カルシウムの粒径は1μm以上小さくする場合や5mm以上大きくする場合は粉砕や粒成長のために大掛かりな設備を必要とするため好ましくない。製造上の効率を考慮して1μm〜5mmの範囲が妥当であるが、珪化カルシウムについて、特に迅速な反応性を必要としない場合、徐々に効果を発揮させる用途の場合は粒径を問わない。
【0011】
珪化カルシウムの環境への導入量は、還元が必要な6価クロムの量に依存しており、おおよそ6価クロム重量の10倍から1000倍が好適である。
【0012】
本発明の珪化カルシウムは、種々の方法を用いて6価クロムに汚染された環境に導入することが出来る。
例えば、汚染土壌に珪化カルシウムを散布して混ぜ合わせる方法や、珪化カルシウムの懸濁液をポンプにて汚染土壌中に供給する方法などが挙げられる。これらの導入方法により、本発明が何ら制限されるものではない。
【0013】
本発明の方法においては、珪化カルシウムを、塩基性物質、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上と併せて環境に添加することが有用である。これらは珪化カルシウムの溶解を促進し、ごく初期から6価クロム低減効果を発揮させることができる。塩基性物質としては、例えばセメント、消石灰、生石灰などが挙げられる。
【0014】
本発明の方法においては、珪化カルシウムをセメントと混合して使用することによって、珪化カルシウムとセメントの混合物を、6価クロム低減性能に優れ、かつ軟弱地盤などの固化性能を有する固化材として有効に使用することができる。
セメントとしては、普通セメントなどのポルトランドセメント、ジェットセメント、白色セメント、混合セメント、ビーライトセメント、アルミナセメント又はエコセメント等が挙げられる。このうちエコセメントは都市ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰などの廃棄物の1種以上を原料とする焼成物であって、カルシウムクロロアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムアルミネートの1種以上を10〜40質量%及びカルシウムシリケートを含む焼成物と石膏とを含むセメントである。
【0015】
本発明においては、適切な粒度の珪化カルシウムを含む6価クロム溶出低減材を用意しておき、それを目的とする環境に導入するのがよい。この際、塩基性物質、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を6価クロム溶出低減材中に混合しておいてもよい。混合方法は、あらかじめ粉体混合したプレミックスしたものを用いても、現場で混合しても良い。また、スラリー状に混合して使用することも可能である。
【0016】
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、各種無機塩(例えば石膏類、アルカリ炭酸塩、炭酸カルシウムなど)、スラグ、フライアッシュ及びシリカヒューム等の無機混和材料、増粘剤、減水剤、高分子ポリマーなどを併せて環境中に添加しても差し支えない。
【0017】
本発明において珪化カルシウムを導入する対象となる環境に特に制限はないが、6価クロム溶出の可能性がある地盤や土壌を対象とするのが特に効果的である。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
6価クロム含有量を100mg/lに調整した重クロム酸カリウム溶液100mlに、消石灰を適量添加し、pHを12に調整した水溶液に珪化カルシウム(高純度化学社製試薬:純度99%、粒径約75〜150μm)を0.5g添加した。この溶液についてpHの変動を測定し、更に材齢1日後、3日後、及び7日後の上澄み液については、6価クロムイオン濃度をJISK0102により定量した(実施例1)の金属シリコン(関東化学製試薬:純度4N,粒径約75〜150μm)の試薬を使用して、同様に試験を行い比較した(比較例1)。表1に結果を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
珪化カルシウムを使用した実施例1では、反応によりアルカリが消費されても、自らのカルシウムの溶出によりpHが高い状態を回復し、6価クロムを還元する効果を維持できることが判明した。これに対し、比較例1では、材齢3日以降はpHが低下し、それに伴い6価クロム濃度は低減しなくなった。
【0021】
(実施例2)
次に、表2に特性を示した関東ローム(以下対象土という)200gに、6価クロム含有量を95mg/kgに調整したセメント30gと、実施例1と同様の珪化カルシウム0.5gを添加し、良く混練した。これをφ30×60mmのプラスチック製の容器に充填し、20℃で養生して供試体を得た。この供試体について環境省告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に準拠して、材齢7日及び 材齢28日における6価クロム溶出試験を行った。なお、溶出試験の前処理として、供試体は解砕した状態で40℃で24時間乾燥を施し、目開き2mmの篩を通過させた。結果を表3に示した。比較例として、比較例1と同様の試薬の金属シリコンを使用した場合(比較例2)、無添加の場合(比較例3)を併せて示した。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
表3からわかるように、珪化カルシウムを使用した例では、早期から6価クロムの低減効果が高く、材齢28日において、環境基準を下回る十分低い値が得られた。これに対し、金属シリコンを用いた比較例2では6価クロムの溶出低減効果が十分ではなかった。
【0025】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明の6価クロムの低減方法によれば、少量の珪化カルシウムの添加によって、環境中の6価クロムの溶出を効果的に低減することができる。
Claims (4)
- 環境に含まれる6価クロムを低減する方法において、該環境中に珪化カルシウムを導入することを特徴とする6価クロムの低減方法。
- 塩基性物質、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上を更に前記環境中に添加する請求項1記載の6価クロムの低減方法。
- 前記環境が土壌である請求項1又は請求項2記載の6価クロムの低減方法。
- 珪化カルシウムの粉粒体を含む6価クロム溶出低減材。
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