JP3774031B2 - 電圧発生器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電圧の発生範囲(レンジ)をスイッチで切換可能な電圧発生器であり、特にレンジの切換時に発生する無用な発生電圧を低減した電圧発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8に従来の電圧発生器の構成ブロック図を示す。図7は電圧の発生範囲をスイッチで切換可能な電圧発生器の基本的な構成ブロック図であり、図8は図7の構成を改良した構成ブロック図である。同一部分には同一符号を付す。先ず図7について説明する。図中、1はツェナーダイオードやツェナーダイオードを用いたデジタル・アナログ変換器等によって構成された基準電圧発生器であり、特定の基準電圧Eを発生している。2は演算増幅器であり、6と7はスイッチ(以下[S」と表現する)でFET半導体スイッチあるいはリードスイッチ等が用いられる。R1とR2は演算増幅器2の入力抵抗であり、基準電圧EをS6と抵抗(以下[R」と表現する)R1若しくはS7とR2を介して演算増幅器2の逆相入力端子に接続している。演算増幅器2の逆相入力端子には出力端子11の出力電圧Voからの帰還抵抗R3も接続されており、正相入力端子は接地されて、全体のシステム系としては反転増幅器が構成されている。
【0003】
図7の構成において、S6とS7はいずれかがオン(接続)状態で他方はオフ(遮断)状態である。出力端子11の出力電圧Voは、S6とS7の切換により次式のように変化し、出力範囲が切換えられる。
S6がオン、S7がオフのとき; Vo=−R3・E/R1
S7がオン、S6がオフのとき; Vo=−R3・E/R2
例えば、E=−0.01V、R1=10kΩ、R2=1kΩ、R3=10kΩとすると、S6がオンの時は、Vo=0.01Vとなり、S7がオンの時はVo=0.1Vとなるので、出力電圧Voを10倍にレンジを切換ることができる。
【0004】
このように出力電圧Voを0.01Vから0.1Vに切換えるとき、S6とS7を瞬時に完全一致して切換することは不可能であるので、そのシーケンスとして、一般的に次の2通りが考えられる。▲1▼S6がオンの状態からS6とS7とが共にオンになり、その後S6がオフになる場合と、▲2▼S6がオンの状態からS6とS7とが共にオフになり、その後S7がオンになる場合とである。
【0005】
ところで、上記の▲1▼の場合、S6とS7とが共にオンのときに入力抵抗はR1とR2の並列接続となるので、前述の例でVoは、
Vo=−(R1+R2)・R3・E/R1・R2=0.11V
の電圧が発生する。つまり、0.01Vから0.1へ切換えようとするときに、0.01Vから一度0.11Vとなりその後に0.1Vになるので、一時期には過大な電圧が発生し負荷のデバイス等に破損を生じる等の支障が生じることがある。また上記の▲2▼の場合にS6とS7とが共にオフのときには、出力電圧Voは0.00Vとなるので、0.01Vから0.1Vへ切り換えるときに、0.01Vから一度0.00Vとなりその後に0.1Vになり、一時期に過小な電圧が発生するので、ヒステりシスを有する材料の試験では支障を生ずることがある。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために図8の構成が考えられた。
図8の構成は、演算増幅器2の正相入力端子に基準電圧EがS6とR1若しくはS7とR2を介して帰還抵抗R3と共に接続され、逆相入力端子は接地されている。演算増幅器2の出力電圧V1はR4及びスイッチS8を介して演算増幅器3の逆相入力端子に位相補償用抵抗R5と共に接続されている。
【0007】
位相補償用抵抗R5の他端は電圧ホールド(保持)用コンデンサC1の一端に接続され、電圧ホールド用コンデンサC1の他端は演算増幅器3の出力端子に接続されている。演算増幅器3の正相入力端子は接地され、演算増幅器3と電圧ホールド用コンデンサC1と位相補償用抵抗R5とでもって電圧ホールド回路10が形成されている。C1の値は数100pFから数μF程度であり、R5の値は100Ω前後である。また、演算増幅器3の出力端子には帰還抵抗R3の他端が接続されていて、システム系としては反転増幅器の構成となっている。
【0008】
この図8の回路では、スイッチ8は通常オン状態であるが、S6とS7の切換時にS8をオフ状態にし、出力電圧Voを電圧ホールド用コンデンサC1に保持し、切換動作が完了した後にスイッチ8をオンするものである。つまり、図9に示すように、S6とS7の切換時前後の一定時間tH の間はS8をオフにし、出力電圧VoをコンデンサC1に保持し、そのままVoを出力して図7の基本回路での問題点を解決し、結果として、出力電圧Voを図9Dに示すように0.01Vから0.1Vに切り換えるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図8の回路構成による電圧発生器を用いることにより、図7の回路構成によるS6及びS7の切換時における過大電圧あるいは過小電圧の発生を無くすことができた。しかしながら、従来の図8による電圧発生器にも問題が生じる場合があった。それは、図9EでのtH の間、出力電圧VoをコンデンサC1で保持しているが、この間S8がオフ状態であるからシステムの系はオープン状態になっている。そのために電圧ホールド回路10の演算増幅器である演算増幅器2の出力電圧V1は飽和状態になる。この飽和電圧は、例えば演算増幅器2の駆動電圧が±15Vのときは±13V程度である。そこで、切換期間tH が終了し、S8をオンした瞬間の系の出力電圧Voは、Vo=−R5・V1/R4 の電圧が発生し、これが図10Eに示すPのようなスパイク状のノイズPを発生する。
【0010】
スパイク状のノイズPの大きさは、抵抗R4やR5と演算増幅器2の飽和電圧V1の大きさに関係するが、例えばR4が1kΩ、R5が100Ω、V1が10VとするとVoに1V程度のスパイク状のノイズが発生する。この値は切り換る出力電圧Voが1V以上のときは、さほど問題にならないが、前述の例のように0.1Vに切り換るときには、1Vという10倍の電圧のノイズとなり、デバイス等を破損したり種々の支障が生じる。この発明は、この切換時のスパイク状のノイズPを低減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明はS8をオフ状態にしたtH の間はシステム系の出力電圧を保持した状態で、電圧ホールド回路の演算増幅器の出力電圧V1の飽和を防止し、出力電圧V1を零にするように負帰還回路を演算増幅器の入出力間に設けるものである。そのために、負帰還回路をスイッチSを介して接続し、tH の間このスイッチSをオン又はオフにして負帰還回路を構成し、演算増幅器の出力電圧V1を零に保持し、電圧ホールド解除後のスパイク電圧の発生を抑制する。このシステムの構成では各種の回路構成が考案された。
【0012】
この明細書では数種の回路構成を説明し、解り易いように全て反転増幅器システムで説明する。しかしながら、非反転増幅器のシステムでも従来技術で容易に適用でき、この発明は実施例のみでなく、従来技術による反転増幅器システム及び非反転増幅器システムを用いた電圧発生器に及ぶものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1に本発明の基本的な一実施例の構成図を、図2に図1の回路のタイミングチャート図を、図3、図4、図5及び図6に他の実施例を示す。図7及び図8との同一部分には同一符号を付す。先ず、図1の構成図について、図2のタイミングチャート図と共に説明する。
【0014】
図1の電圧ホールド回路10の演算増幅器2の入出力端子間にS(スイッチ)9を介して負帰還回路12を接続する。負帰還回路12は反転増幅器で構成され、増幅度は数倍から100倍程度でよい。例えば、R6を1kΩとし、R7を50kΩとすると増幅度は50倍となる。負帰還回路12の入力はS9を介して演算増幅器2の出力側に接続される。R4の前段あるいは後段のどちらでもよい。負帰還回路12の出力はダイオードD1及びD2を介して演算増幅器2の入力側に接続する。ダイオードD1とD2とは極性をそれぞれ逆極性にして平列に接続する。それぞれの逆極性とはダイオード電流の順方向と逆方向ともいう。
【0015】
切換前(図2H)の通常状態では、S8がオン(図2C)、S9はオフ(図2D)であり、負帰還回路12の増幅器4の出力電圧V2は0V(図2F)となっている。従って、ダイオードD1及びD2はオフ状態であり、S6がオンのときのシステムの出力電圧Voは、Vo=−R3・E/R1 となる。前述の例では、Vo=0.01V である。
【0016】
切換時tH (図2H)は、先ずS8をオフにする(図2C)と、システムの系の出力電圧VoはコンデンサC1にホールドされてVoの電圧を出力し続け(図2G)、系はオープンになるので演算増幅器2の出力電圧V1は飽和しかかる(図2E)。続いてS9をオンにする(図2D)と負帰還回路12が作動し始めて増幅器4の出力電圧V2が動き、ダイオードD1又はD2をオンにする。これにより演算増幅器2に負帰還がかかりV1は再び0Vに戻る。その後にS6をオフ(図2A)、S7をオン(図2B)にすることにより増幅器2の入力抵抗を切換え、出力範囲を変更する。
【0017】
その後にS8をオン(図2C)、S9をオフ(図2D)にすると、演算増幅器2の出力電圧V1は0VであるためにS8をオンにした瞬間の電圧はほぼ0Vであって、従来の図10Eに示すようなスパイク状のノイズPの発生を防ぎ、システムの系の出力電圧は、Vo=−R3・E/R2 で与えられる電圧を出力する(図2G)ようになる。前述の例では、Vo=0.1V に切り換えられる。
【0018】
図3は、この電圧ホールド回路10と負帰還回路12とを有してシステム系の最大出力電圧が100V以上の電圧発生器に適した回路構成である。電圧ホールド回路10の出力電圧V3は10V程度でよいので、電圧ホールド用コンデンサC1の耐圧電圧は、数10Vのものでよい。そして電圧ホールド回路10の出力電圧V3を高電圧演算増幅器15に入力させる。高電圧演算増幅器15の駆動電源は、数100V以上であるので、IC(集積回路)は使用できないので、個別のトランジスタ回路で構成するとよい。そして出力電圧Voを初段の演算増幅器2に帰還抵抗R3で帰還させる回路構成とする。
【0019】
図4の構成は、系の出力電圧の発生範囲切換を入力抵抗R1とR2とを切換えるのではなく、入力抵抗はR1のみとし、帰還抵抗R31とR32とを切換えるものである。出力電圧Voは、Vo=−R31・E/R1 と Vo=−R32・E/R1 との切換えとなる。この明細書の請求項では、R31やR32及び複数のR3iを総称してR3ということにする。
また、負帰還回路12をオン・オフさせるスイッチS9を演算増幅器4の帰還抵抗R7に並列に接続して作動させることもできる。S9をオンにすると電圧フォロアとなりダイオードD1及びD2はオフ状態である。S9をオフにすると負帰還回路12は入力電圧を数10倍に増幅してD1又はD2をオンにし、負帰還回路12を構成する。
【0020】
図5は増幅段を演算増幅器2と演算増幅器5と演算増幅器3と3段にした例の構成図である。この場合は、演算増幅器2も演算増幅器5も演算増幅器3も反転増幅器の構成でよいが、このときは、負帰還回路12の演算増幅器4は非反転増幅器の構成となる。電圧ホールド回路10の演算増幅器は5となる。
また、負帰還回路12をオン・オフさせるスイッチS9を演算増幅器4の入力端子の接地側に接続して作動させることもできる。S9をオフにすると電圧フォロアとなりダイオードD1及びD2はオフ状態である。S9をオンにすると負帰還回路12は入力電圧を増幅してD1又はD2をオンにし、負帰還回路12を構成する。
【0021】
図6は、図5の演算増幅器5及び抵抗R4をトランジスタT1及びT2と複数の抵抗で構成される反転系の電圧−電流変換器に置き換えた例の構成図である。出力は電流であるので抵抗R4は無い。一般的に増幅器の設計は、Opアンプと呼ばれる演算増幅器のICで構成するのが容易であり性能もよいが、ICのOpアンプのみではシステムの構成を満足することができないことがあり、このときには個別のトランジスタ回路を用いて構成する場合が多々ある。その場合でもこの発明は有効である。
【0022】
今まで、出力電圧(Vo)を切り換える複数のスイッチ(S6、S7)及び抵抗(R1、R2、R3i)を2種類で説明してきたが、これに限るものでなく、3種類以上の複数のスイッチと抵抗で幅広いレンジを切り換えてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明は出力電圧Voの発生範囲をスイッチで切り換える際に、システム内の演算増幅器3と電圧ホールド用コンデンサC1と位相補償用抵抗R5による電圧ホールド回路10によって出力電圧Voの過大電圧や過小電圧の防ぐ電圧発生器において発生するスパイク状のノイズPを低減することができた。
【0024】
その手段として、電圧発生範囲の切換時tH のみ駆動する負帰還回路12を電圧ホールド回路10の演算増幅器の入出端子間に設けた。それに加えて、この電圧ホールド回路10を使用し易い電圧で駆動し、後段に数100V以上の高電圧演算増幅器15を設けて高電圧の発生範囲を切り換えることもできた。
【0025】
つまり、1台の電圧発生器で、数mVから1000Vに及ぶ電圧範囲を過大電圧や過小電圧やスパイク状のノイズPの発生を無くしてレンジ切換ができるようになった。よって、この発明の効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な一実施例の構成図である。
【図2】図1の回路のタイミングチャート図である。
【図3】本発明の他の実施例の構成図である。
【図4】本発明のその他の一実施例の構成図である。
【図5】本発明のその他の実施例の構成図である。
【図6】本発明のその他の実施例の構成図である。
【図7】従来例の基本的な構成図である。
【図8】従来例の図7の構成を改良した構成図である。
【図9】図8の回路の理想的なタイミングチャート図である。
【図10】図8の回路の現実の波形図である。
【符号の説明】
1 基準電圧発生器
2、3、4、5 演算増幅器
6、7、8、9 スイッチ
10 電圧ホールド回路
11 出力端子
12 負帰還回路
15 高電圧演算増幅器
S スイッチ
R 抵抗
R1、R2、R4、R6、R9 入力抵抗
R3、R31、R32、R7、R10 帰還抵抗
R5 位相補償用抵抗
C1 電圧ホールド用コンデンサ
D1、D2 ダイオード
【発明の属する技術分野】
この発明は、電圧の発生範囲(レンジ)をスイッチで切換可能な電圧発生器であり、特にレンジの切換時に発生する無用な発生電圧を低減した電圧発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8に従来の電圧発生器の構成ブロック図を示す。図7は電圧の発生範囲をスイッチで切換可能な電圧発生器の基本的な構成ブロック図であり、図8は図7の構成を改良した構成ブロック図である。同一部分には同一符号を付す。先ず図7について説明する。図中、1はツェナーダイオードやツェナーダイオードを用いたデジタル・アナログ変換器等によって構成された基準電圧発生器であり、特定の基準電圧Eを発生している。2は演算増幅器であり、6と7はスイッチ(以下[S」と表現する)でFET半導体スイッチあるいはリードスイッチ等が用いられる。R1とR2は演算増幅器2の入力抵抗であり、基準電圧EをS6と抵抗(以下[R」と表現する)R1若しくはS7とR2を介して演算増幅器2の逆相入力端子に接続している。演算増幅器2の逆相入力端子には出力端子11の出力電圧Voからの帰還抵抗R3も接続されており、正相入力端子は接地されて、全体のシステム系としては反転増幅器が構成されている。
【0003】
図7の構成において、S6とS7はいずれかがオン(接続)状態で他方はオフ(遮断)状態である。出力端子11の出力電圧Voは、S6とS7の切換により次式のように変化し、出力範囲が切換えられる。
S6がオン、S7がオフのとき; Vo=−R3・E/R1
S7がオン、S6がオフのとき; Vo=−R3・E/R2
例えば、E=−0.01V、R1=10kΩ、R2=1kΩ、R3=10kΩとすると、S6がオンの時は、Vo=0.01Vとなり、S7がオンの時はVo=0.1Vとなるので、出力電圧Voを10倍にレンジを切換ることができる。
【0004】
このように出力電圧Voを0.01Vから0.1Vに切換えるとき、S6とS7を瞬時に完全一致して切換することは不可能であるので、そのシーケンスとして、一般的に次の2通りが考えられる。▲1▼S6がオンの状態からS6とS7とが共にオンになり、その後S6がオフになる場合と、▲2▼S6がオンの状態からS6とS7とが共にオフになり、その後S7がオンになる場合とである。
【0005】
ところで、上記の▲1▼の場合、S6とS7とが共にオンのときに入力抵抗はR1とR2の並列接続となるので、前述の例でVoは、
Vo=−(R1+R2)・R3・E/R1・R2=0.11V
の電圧が発生する。つまり、0.01Vから0.1へ切換えようとするときに、0.01Vから一度0.11Vとなりその後に0.1Vになるので、一時期には過大な電圧が発生し負荷のデバイス等に破損を生じる等の支障が生じることがある。また上記の▲2▼の場合にS6とS7とが共にオフのときには、出力電圧Voは0.00Vとなるので、0.01Vから0.1Vへ切り換えるときに、0.01Vから一度0.00Vとなりその後に0.1Vになり、一時期に過小な電圧が発生するので、ヒステりシスを有する材料の試験では支障を生ずることがある。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために図8の構成が考えられた。
図8の構成は、演算増幅器2の正相入力端子に基準電圧EがS6とR1若しくはS7とR2を介して帰還抵抗R3と共に接続され、逆相入力端子は接地されている。演算増幅器2の出力電圧V1はR4及びスイッチS8を介して演算増幅器3の逆相入力端子に位相補償用抵抗R5と共に接続されている。
【0007】
位相補償用抵抗R5の他端は電圧ホールド(保持)用コンデンサC1の一端に接続され、電圧ホールド用コンデンサC1の他端は演算増幅器3の出力端子に接続されている。演算増幅器3の正相入力端子は接地され、演算増幅器3と電圧ホールド用コンデンサC1と位相補償用抵抗R5とでもって電圧ホールド回路10が形成されている。C1の値は数100pFから数μF程度であり、R5の値は100Ω前後である。また、演算増幅器3の出力端子には帰還抵抗R3の他端が接続されていて、システム系としては反転増幅器の構成となっている。
【0008】
この図8の回路では、スイッチ8は通常オン状態であるが、S6とS7の切換時にS8をオフ状態にし、出力電圧Voを電圧ホールド用コンデンサC1に保持し、切換動作が完了した後にスイッチ8をオンするものである。つまり、図9に示すように、S6とS7の切換時前後の一定時間tH の間はS8をオフにし、出力電圧VoをコンデンサC1に保持し、そのままVoを出力して図7の基本回路での問題点を解決し、結果として、出力電圧Voを図9Dに示すように0.01Vから0.1Vに切り換えるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図8の回路構成による電圧発生器を用いることにより、図7の回路構成によるS6及びS7の切換時における過大電圧あるいは過小電圧の発生を無くすことができた。しかしながら、従来の図8による電圧発生器にも問題が生じる場合があった。それは、図9EでのtH の間、出力電圧VoをコンデンサC1で保持しているが、この間S8がオフ状態であるからシステムの系はオープン状態になっている。そのために電圧ホールド回路10の演算増幅器である演算増幅器2の出力電圧V1は飽和状態になる。この飽和電圧は、例えば演算増幅器2の駆動電圧が±15Vのときは±13V程度である。そこで、切換期間tH が終了し、S8をオンした瞬間の系の出力電圧Voは、Vo=−R5・V1/R4 の電圧が発生し、これが図10Eに示すPのようなスパイク状のノイズPを発生する。
【0010】
スパイク状のノイズPの大きさは、抵抗R4やR5と演算増幅器2の飽和電圧V1の大きさに関係するが、例えばR4が1kΩ、R5が100Ω、V1が10VとするとVoに1V程度のスパイク状のノイズが発生する。この値は切り換る出力電圧Voが1V以上のときは、さほど問題にならないが、前述の例のように0.1Vに切り換るときには、1Vという10倍の電圧のノイズとなり、デバイス等を破損したり種々の支障が生じる。この発明は、この切換時のスパイク状のノイズPを低減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明はS8をオフ状態にしたtH の間はシステム系の出力電圧を保持した状態で、電圧ホールド回路の演算増幅器の出力電圧V1の飽和を防止し、出力電圧V1を零にするように負帰還回路を演算増幅器の入出力間に設けるものである。そのために、負帰還回路をスイッチSを介して接続し、tH の間このスイッチSをオン又はオフにして負帰還回路を構成し、演算増幅器の出力電圧V1を零に保持し、電圧ホールド解除後のスパイク電圧の発生を抑制する。このシステムの構成では各種の回路構成が考案された。
【0012】
この明細書では数種の回路構成を説明し、解り易いように全て反転増幅器システムで説明する。しかしながら、非反転増幅器のシステムでも従来技術で容易に適用でき、この発明は実施例のみでなく、従来技術による反転増幅器システム及び非反転増幅器システムを用いた電圧発生器に及ぶものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1に本発明の基本的な一実施例の構成図を、図2に図1の回路のタイミングチャート図を、図3、図4、図5及び図6に他の実施例を示す。図7及び図8との同一部分には同一符号を付す。先ず、図1の構成図について、図2のタイミングチャート図と共に説明する。
【0014】
図1の電圧ホールド回路10の演算増幅器2の入出力端子間にS(スイッチ)9を介して負帰還回路12を接続する。負帰還回路12は反転増幅器で構成され、増幅度は数倍から100倍程度でよい。例えば、R6を1kΩとし、R7を50kΩとすると増幅度は50倍となる。負帰還回路12の入力はS9を介して演算増幅器2の出力側に接続される。R4の前段あるいは後段のどちらでもよい。負帰還回路12の出力はダイオードD1及びD2を介して演算増幅器2の入力側に接続する。ダイオードD1とD2とは極性をそれぞれ逆極性にして平列に接続する。それぞれの逆極性とはダイオード電流の順方向と逆方向ともいう。
【0015】
切換前(図2H)の通常状態では、S8がオン(図2C)、S9はオフ(図2D)であり、負帰還回路12の増幅器4の出力電圧V2は0V(図2F)となっている。従って、ダイオードD1及びD2はオフ状態であり、S6がオンのときのシステムの出力電圧Voは、Vo=−R3・E/R1 となる。前述の例では、Vo=0.01V である。
【0016】
切換時tH (図2H)は、先ずS8をオフにする(図2C)と、システムの系の出力電圧VoはコンデンサC1にホールドされてVoの電圧を出力し続け(図2G)、系はオープンになるので演算増幅器2の出力電圧V1は飽和しかかる(図2E)。続いてS9をオンにする(図2D)と負帰還回路12が作動し始めて増幅器4の出力電圧V2が動き、ダイオードD1又はD2をオンにする。これにより演算増幅器2に負帰還がかかりV1は再び0Vに戻る。その後にS6をオフ(図2A)、S7をオン(図2B)にすることにより増幅器2の入力抵抗を切換え、出力範囲を変更する。
【0017】
その後にS8をオン(図2C)、S9をオフ(図2D)にすると、演算増幅器2の出力電圧V1は0VであるためにS8をオンにした瞬間の電圧はほぼ0Vであって、従来の図10Eに示すようなスパイク状のノイズPの発生を防ぎ、システムの系の出力電圧は、Vo=−R3・E/R2 で与えられる電圧を出力する(図2G)ようになる。前述の例では、Vo=0.1V に切り換えられる。
【0018】
図3は、この電圧ホールド回路10と負帰還回路12とを有してシステム系の最大出力電圧が100V以上の電圧発生器に適した回路構成である。電圧ホールド回路10の出力電圧V3は10V程度でよいので、電圧ホールド用コンデンサC1の耐圧電圧は、数10Vのものでよい。そして電圧ホールド回路10の出力電圧V3を高電圧演算増幅器15に入力させる。高電圧演算増幅器15の駆動電源は、数100V以上であるので、IC(集積回路)は使用できないので、個別のトランジスタ回路で構成するとよい。そして出力電圧Voを初段の演算増幅器2に帰還抵抗R3で帰還させる回路構成とする。
【0019】
図4の構成は、系の出力電圧の発生範囲切換を入力抵抗R1とR2とを切換えるのではなく、入力抵抗はR1のみとし、帰還抵抗R31とR32とを切換えるものである。出力電圧Voは、Vo=−R31・E/R1 と Vo=−R32・E/R1 との切換えとなる。この明細書の請求項では、R31やR32及び複数のR3iを総称してR3ということにする。
また、負帰還回路12をオン・オフさせるスイッチS9を演算増幅器4の帰還抵抗R7に並列に接続して作動させることもできる。S9をオンにすると電圧フォロアとなりダイオードD1及びD2はオフ状態である。S9をオフにすると負帰還回路12は入力電圧を数10倍に増幅してD1又はD2をオンにし、負帰還回路12を構成する。
【0020】
図5は増幅段を演算増幅器2と演算増幅器5と演算増幅器3と3段にした例の構成図である。この場合は、演算増幅器2も演算増幅器5も演算増幅器3も反転増幅器の構成でよいが、このときは、負帰還回路12の演算増幅器4は非反転増幅器の構成となる。電圧ホールド回路10の演算増幅器は5となる。
また、負帰還回路12をオン・オフさせるスイッチS9を演算増幅器4の入力端子の接地側に接続して作動させることもできる。S9をオフにすると電圧フォロアとなりダイオードD1及びD2はオフ状態である。S9をオンにすると負帰還回路12は入力電圧を増幅してD1又はD2をオンにし、負帰還回路12を構成する。
【0021】
図6は、図5の演算増幅器5及び抵抗R4をトランジスタT1及びT2と複数の抵抗で構成される反転系の電圧−電流変換器に置き換えた例の構成図である。出力は電流であるので抵抗R4は無い。一般的に増幅器の設計は、Opアンプと呼ばれる演算増幅器のICで構成するのが容易であり性能もよいが、ICのOpアンプのみではシステムの構成を満足することができないことがあり、このときには個別のトランジスタ回路を用いて構成する場合が多々ある。その場合でもこの発明は有効である。
【0022】
今まで、出力電圧(Vo)を切り換える複数のスイッチ(S6、S7)及び抵抗(R1、R2、R3i)を2種類で説明してきたが、これに限るものでなく、3種類以上の複数のスイッチと抵抗で幅広いレンジを切り換えてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明は出力電圧Voの発生範囲をスイッチで切り換える際に、システム内の演算増幅器3と電圧ホールド用コンデンサC1と位相補償用抵抗R5による電圧ホールド回路10によって出力電圧Voの過大電圧や過小電圧の防ぐ電圧発生器において発生するスパイク状のノイズPを低減することができた。
【0024】
その手段として、電圧発生範囲の切換時tH のみ駆動する負帰還回路12を電圧ホールド回路10の演算増幅器の入出端子間に設けた。それに加えて、この電圧ホールド回路10を使用し易い電圧で駆動し、後段に数100V以上の高電圧演算増幅器15を設けて高電圧の発生範囲を切り換えることもできた。
【0025】
つまり、1台の電圧発生器で、数mVから1000Vに及ぶ電圧範囲を過大電圧や過小電圧やスパイク状のノイズPの発生を無くしてレンジ切換ができるようになった。よって、この発明の効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な一実施例の構成図である。
【図2】図1の回路のタイミングチャート図である。
【図3】本発明の他の実施例の構成図である。
【図4】本発明のその他の一実施例の構成図である。
【図5】本発明のその他の実施例の構成図である。
【図6】本発明のその他の実施例の構成図である。
【図7】従来例の基本的な構成図である。
【図8】従来例の図7の構成を改良した構成図である。
【図9】図8の回路の理想的なタイミングチャート図である。
【図10】図8の回路の現実の波形図である。
【符号の説明】
1 基準電圧発生器
2、3、4、5 演算増幅器
6、7、8、9 スイッチ
10 電圧ホールド回路
11 出力端子
12 負帰還回路
15 高電圧演算増幅器
S スイッチ
R 抵抗
R1、R2、R4、R6、R9 入力抵抗
R3、R31、R32、R7、R10 帰還抵抗
R5 位相補償用抵抗
C1 電圧ホールド用コンデンサ
D1、D2 ダイオード
Claims (3)
- 出力電圧(Vo)を帰還抵抗(R3)を介して初段の演算増幅器(2)の入力端子に帰還するシステム系であって、出力電圧(Vo)の発生範囲を複数のスイッチ(S6、S7)で切換可能な電圧発生器において、
電圧発生範囲の切換時(tH )にシステム系のスイッチ(S8)をオフにして出力電圧(Vo)を保持する、演算増幅器(3)と電圧ホールド用コンデンサ(C1)と位相補償用抵抗(R5)とから成る電圧ホールド回路(10)と、
上記電圧ホールド回路(10)の演算増幅器の入出力端子間に、電圧発生範囲の切換時(tH )のみ上記電圧ホールド回路(10)の演算増幅器の出力電圧(V1)を零にする負帰還回路(12)と、
を具備することを特徴とする電圧発生器。 - 負帰還回路(12)は、スイッチ(S9)、入力抵抗(R6)、帰還抵抗(R7)、演算増幅器(4)及び上記演算増幅器(4)の出力端子と電圧ホールド回路(10)の演算増幅器の入力端子との間に接続された1対のそれぞれ逆極性に接続したダイオード(D1、D2)から成り、電圧発生範囲を複数のスイッチで切り換える切換時(tH )のみ上記S9をオンすることにより増幅度をもたせた負帰還回路を構成し、切換時(tH )以外の通常時はS9をオフすることにより電圧フォロア回路となり上記ダイオード(D1)及びダイオード(D2)を共にオフ状態にしている負帰還回路(12)であることを特徴とする請求項1記載の電圧発生器。
- 請求項1又は2記載の電圧発生器において、電圧ホールド回路(10)の後段に数100V以上の高電圧演算増幅器(15)を設け、上記高電圧演算増幅器(15)の出力電圧(Vo)を帰還抵抗(R3)を介して演算増幅器(2)の入力端子に帰還することを特徴とする電圧発生器。
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JPH10313221A JPH10313221A (ja) | 1998-11-24 |
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