JP3773640B2 - 硫化水素の除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫化水素の除去方法に関する。本発明方法によれば、各種処理工程、例えば、し尿処理工程、下水処理工程、又はごみ処理工程などで発生する臭気ガスから硫化水素を有効に除去することができる。
【0002】
【従来の技術】
し尿処理プラントでは、プラントを構成する各処理工程で臭気ガスが発生する。この臭気ガスを大気に放出する前に臭気成分を除去することが必要である。硫化水素は除去対象となる臭気成分の1つである。
硫化水素を含有するガスから、硫化水素を除去する方法としては、ガス中に含まれる硫化水素の濃度に応じて種々の方法が用いられている。硫化水素濃度が高濃度領域(通常、500ppm以上)にある臭気ガスの場合には、例えば、燃焼法によって処理し、硫化水素濃度が低濃度領域(通常、数ppm以下)の臭気ガスの場合には、例えば、活性炭を用いる方法が一般に採用されている。これに対して、し尿処理プラントなどの処理工程で発生する臭気ガスでは、硫化水素濃度は、いわゆる中濃度領域(通常、数〜百数十ppm)となり、通常、洗浄液を用いる気液接触処理によって硫化水素を除去している。これは、中濃度硫化水素含有臭気ガスを燃焼法で処理すると燃焼効率の面でコスト的に問題となり、活性炭を用いる方法は大量の臭気ガス処理においては、容易に破過に達する欠点がある。
【0003】
従来、前記の気液接触処理では、洗浄液として、一般に、アルカリ溶液(一般には、水酸化ナトリウム水溶液)、又は酸化剤(一般には、次亜塩素酸ナトリウム)が用いられていた。なお、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合には、硫化水素が酸化されて硫酸が生成し、pHが低下して洗浄液中から塩素ガスが発生してしまうので、それを防ぐためにアルカリ溶液を併用することが行われていた。
硫化水素は、アルカリ溶液に吸収されやすく、しかも、酸化剤によっても容易に酸化されるので、前記の洗浄液を用いる洗浄処理においては、比較的簡単な構造のスクラバー方式の洗浄塔を一般に使用することができる。スクラバー方式の洗浄塔は、大容量(数〜数百m3 /min)の被処理ガスを処理することが可能である。
【0004】
従来の向流型スクラバー方式の洗浄塔を、図5に模式的に示す。従来のスクラバー方式の洗浄装置100は、洗浄塔1と、洗浄液の貯液槽2と、洗浄液を前記洗浄塔に循環することのできる送液手段41a,41bとを含む。前記の洗浄塔1は、一般的に二段の充填槽11a,11bを含み、被処理ガスAの挿入口12、浄化ガスCの排出口13、洗浄液挿入口44a,44b、及び洗浄液排出口14a,14bを備えている。充填槽内には、洗浄液の流下を遅らせて、洗浄液と被処理ガスとの接触時間を延長させ、気液接触を有効に実施するために、充填材15が詰められている。また、貯液槽2は、洗浄塔1の洗浄液排出口14a,14bから流出する洗浄液を溜めておき、洗浄塔へ循環させることができる。貯液槽2の洗浄液取込口43a,43bから取り込まれ、送液ポンプ42a,42bによって送液手段41a,41bから洗浄液挿入口44a,44bへ送られた洗浄液は、洗浄塔1の最上段に設けた被処理ガス下流領域処理充填槽11bの上部から、重力の作用により、充填材15の表面を主に伝わりながら、洗浄塔内部をゆっくりと流下する。一方、被処理ガスAは、被処理ガス上流領域処理充填槽11aの底部に設けられた挿入口12から洗浄塔内に送られ、洗浄塔内部を充填槽11aから充填槽11bへ上昇し(矢印B)、更に浄化ガスCとなって排出口13から洗浄塔の外へ送出される。洗浄塔内部を下方向に移動する洗浄液と、洗浄塔内部を上方向に移動する被処理ガスとが向流(counter flow)状態で接触する際に、被処理ガスに含まれる硫化水素は、洗浄液に吸収され、被処理ガスから除去される。硫化水素を吸収し、充填槽11a,11bの下部から流出した洗浄液は貯液漕に回収され、再び、前記過程を繰り返すことによって、洗浄液は洗浄塔内を循環する。
【0005】
アルカリ溶液によって洗浄処理を実施する場合には、通常、pH10〜12に調整した洗浄液を使用し、中和及び吸収することによって硫化水素を除去する。この際に、硫化水素が除去されるだけでなく、大気中の二酸化炭素もアルカリ溶液と反応して炭酸塩が生成する。大気中には約300ppmの二酸化炭素が存在し、この濃度は、除去対象である硫化水素の濃度と同レベル又はそれ以上の濃度であるので、硫化水素を除去するのに必要な理論量よりもはるかに多い量のアルカリ溶液を使用する必要がある。また、生成された炭酸塩は、洗浄塔内のスケール発生の原因となる。
従来の洗浄塔においては、貯液漕から送出されたアルカリ溶液は、洗浄塔を通過する際に硫化水素及び炭酸ガスと反応し、再び貯液漕に戻るという循環を繰り返すので、しだいに炭酸塩濃度が上昇し、炭酸塩が析出してスケールを発生する。そこで、炭酸塩濃度の上昇を抑えてスケール発生を防止するため、貯液漕に一定量の希釈水を加え、貯液漕内の洗浄液を貯液漕上部に設けた排出口71から常にオーバーフローさせることが一般に行われている。貯液漕をオーバーフローした廃液はアルカリ性であるため、中和してからでないと放流することができない。しかし、中和すると、廃液中に吸収されていた硫化水素が再発生する。このため、オーバーフローした廃液は、し尿処理工程(凝集工程)に戻され、pH調整に用いられるのが普通である。
【0006】
一方、酸化剤を用いて洗浄処理する場合には、硫化水素を酸化することによって硫化水素を除去する。酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄処理を実施する場合にも、アルカリ溶液を併用するので、大気中の二酸化炭素を吸収して炭酸塩を生成する問題がある。また、硫化水素が酸化されて生成する硫酸塩も、前記炭酸塩とともにスケール発生の原因となる。
【0007】
アルカリ性領域で使用する必要のある前記洗浄液とは異なり、酸性領域で使用することのできる消臭剤組成物が特開平4−141213号公報に記載されている。この公報には、中性ないし酸性下で水溶性を付与する基を少なくとも1個含有する金属フタロシアニン鉄化合物と、特定の遷移金属を含む無機塩とを含有する消臭剤組成物が、広範な悪臭、例えば、硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、又はアミンの除去に有効であることが記載されている。この消臭剤組成物を水溶液の形で用いる場合には、無機塩を安定に維持するためにpH7以下、好ましくはpH1.0〜6.5、特にはpH1.0〜4.0で用いる必要がある。pH値調整のためには硫酸等の添加が行われる。更に、このような酸性条件下での処理は、硫化水素の除去それ自体には必ずしも効果的ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、臭気ガス内に含まれる炭酸ガスの影響を受けず、従って、処理剤の使用量を節約することができると共にスケール発生がなく、大容量の臭気ガスを連続的に処理することのできる硫化水素の除去方法を提供することにある。
更に、本発明者は、前記の除去方法において用いる洗浄液を、硫化水素発生体処理槽(例えば、し尿処理槽)に添加すると、その処理槽から発生するガス内の硫化水素濃度を低減させることができることも見出した。従って、本発明の別の課題は、し尿処理槽等から発生するガス内の硫化水素濃度を低減させる方法を提供することにもある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明により、
被処理ガス上流域処理充填槽と被処理ガス下流域処理充填槽とを含む洗浄塔、
前記洗浄塔の底部に設けた被処理ガス挿入口、
前記洗浄塔の頂部に設けた浄化ガス排出口、
前記洗浄塔の底部の真下に配置され、前記洗浄塔からの洗浄液を回収することができると共に、洗浄液を溜めておくことができる貯液槽、及び
前記貯液槽から洗浄液を、前記各充填槽の上部に設けた洗浄液挿入口へ送ることのできる送液手段
を有する向流型スクラバー方式の気液接触処理洗浄装置によって、硫化水素含有被処理ガスから硫化水素を除去する方法であって、
前記洗浄装置に、更に、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段、及び
前記貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段
を設けると共に、
前記洗浄液のpH値を6.5〜8に維持した状態で、金属フタロシアニン化合物水溶液によって前記硫化水素含有被処理ガスを処理することを特徴とする、前記硫化水素除去方法(以下、本発明のガス処理方法と称する)によって解決することができる。
更に、前記の別の課題は、本発明により、
未処理し尿をエアレーション下にて撹拌処理するし尿投入槽、及び
前記し尿投入槽から輸送される処理物に含まれる半固形分を破砕処理する解砕装置
を含むし尿処理系において、
前記の本発明のガス処理方法の前記貯液槽から、金属フタロシアニン化合物を含有するpH6.5〜8の洗浄液を、前記し尿投入槽又は前記解砕装置に添加することを特徴とする、前記し尿投入槽又は前記解砕装置から排出される臭気ガスから硫化水素を除去する方法(以下、本発明の液状体処理方法と称する)によって解決することができる。
更にまた、本発明は、前記の本発明のガス処理方法と前記の本発明の液状体処理方法とを組合せた硫化水素の除去方法にも関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガス処理方法について最初に説明する。
本発明のガス処理方法によって処理することのできる臭気ガス、すなわち被処理ガスは、硫化水素を含有する気体であれば特に限定されないが、例えば、各種処理工程、例えば、し尿処理工程、下水処理工程、若しくはごみ処理工程など、又は各種工場などで発生する気体を挙げることができる。被処理ガス中に含まれる硫化水素の濃度は特に限定されるものではないが、数〜百数十ppmの範囲内であることが好ましく、この範囲を越える場合には、適当な前処理、例えば、硫化水素の含有量が前記の範囲になるように被処理ガスを適宜希釈してから、本発明のガス処理方法によって処理することが好ましい。
【0011】
本発明のガス処理方法によれば、硫化水素を含有する被処理ガスを洗浄処理して、その被処理ガスから硫化水素を実質的に除去することができる。ここで、「硫化水素を実質的に除去する」とは、被処理後の被処理ガス中の硫化水素の量が、処理前に比べて80%以上減少していることを意味する。
【0012】
本発明のガス処理方法で使用することのできる金属フタロシアニン化合物は、特に限定するものではないが、例えば、一般式(I):
【化1】
(式中、Xは各々独立して、中性ないし酸性下で水溶性を付与する基又は水素原子であるが、但しXの少なくとも1つは中性ないし酸性下で水溶性を付与する基であるものとし、Mは遷移金属原子である)
で表される金属フタロシアニン化合物である。この一般式(I)で表される金属フタロシアニン化合物は、中心配位子として遷移金属イオン、例えば、2価の鉄イオン、3価のコバルトイオン、5価のバナジウムイオン、又は2価のマンガンイオン、好ましくは2価の鉄イオンを含有する。また、一般式(I)で表される金属フタロシアニン化合物は、中性ないし酸性下で水溶性を付与する基(以下、単に水溶性付与基と称することがある)を少なくとも1個含有する。水溶性付与基としては、例えば、アミノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、若しくは臭素原子)、スルホクロリド基、又はスルホンアミド基を挙げることができ、好ましくはスルホン酸基である。一般式(I)で表される金属フタロシアニン化合物としては、スルホン酸基4個(特には各ベンゼン環にスルホン酸基1個づつ)を有し、中心配位子として2価の鉄イオンを含有する鉄フタロシアニンテトラスルホン酸が、その合成が容易で安価に入手できるので、好ましい。
【0013】
本発明のガス処理方法においては、硫化水素含有臭気ガスを、特定のpH範囲にて金属フタロシアニン化合物水溶液で処理して、硫化水素を除去する。pH範囲の下限は6.5、好ましくは7であり、pH範囲の上限は8、好ましくは7.5である。pHが6.5未満であると、酸性ガスである硫化水素の溶解度が下がるため、硫化水素の除去率が低下することがある。一方、pHが8を越えると、大気中の二酸化炭素に起因する炭酸塩のスケールが発生することがある。また、廃液をし尿処理工程に廃棄した場合に、し尿からアンモニアが発生することがある。
また、pH値が6.5未満になると、通常の臭気ガス内に混在するメチルメルカプタンの除去率が低下することがあり、pH値が8を越えると同じく通常の臭気ガス内に混在するアンモニアの除去率が低下することがある。すなわち、pH6.5〜8の範囲では、硫化水素を実質的に除去することができるだけでなく、メチルメルカプタン及びアンモニアも同時に除去することができ、更に、pH7〜7.5の範囲では、硫化水素、メチルメルカプタン及びアンモニアを一層効率よく除去することができる。
【0014】
従って、本発明のガス処理方法では、金属フタロシアニン化合物水溶液を洗浄液として、pH6.5〜8にて、いわゆる気液接触処理により硫化水素含有被処理ガスを処理し、被処理ガスから硫化水素を除去することができる。気液接触の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、容器中に装入した洗浄液、すなわち、pH6.5〜8に調整した金属フタロシアニン化合物水溶液に、被処理ガスを通気(bubbling)させる方法、又は洗浄液流、すなわち、pH6.5〜8に調整した金属フタロシアニン化合物水溶液の流れと、被処理ガス流とを、それぞれの流れが相互に逆方向である向流(counter flow)状態で、若しくはそれぞれの流れが同方向である併流状態で接触させる方法を挙げることができる。向流状態での気液接触方法としては、例えば、充填塔、スプレー塔、又は多段塔を挙げることができ、併流状態での気液接触方法としては、例えば、ベンチェリースクラバー又はジェットスクラバーを用いる方法を挙げることができる。気液接触方法としては、気液の接触効率及び反応効率が良好である点で、被処理ガスと洗浄液とを向流状態で接触させる方法が好ましい。
【0015】
前記のバブリングによる気液接触を行う場合、あるいは前記の向流若しくは併流状態での気液接触において洗浄液を循環して使用する場合には、金属フタロシアニン化合物を補充するだけでなく、洗浄液のpH値を前記の範囲に維持するためにpH調整剤を使用することが必要である。仮に、pH値を前記の範囲に調整した洗浄液を用いて前記のバブリングを実施するか、あるいは同様の洗浄液を循環させても、洗浄液のpHは、被処理ガス中の酸性ガス、特には、被処理対象ガスである硫化水素及び大気中の二酸化炭素の影響を受けるので、次々に新しい被処理ガスとの接触を繰り返すと、洗浄液のpHが低下し、前記のpH範囲から外れ、洗浄液への硫化水素の吸収が阻害される。従って、洗浄液をpH6.5〜8に維持するためには、洗浄液のpH値を監視することと、pH値の変化に応じてpH調整液を供給することが必要である。
【0016】
前記pH調整液としては、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又は水酸化マグネシウムを挙げることができる。また、pH値の監視には、任意のpH測定手段、例えば、ガラス電極式pHメータなどを用いることができる。
【0017】
本発明のガス処理方法においては、被処理ガス中に含まれる硫化水素の濃度に応じて、金属フタロシアニン化合物の濃度、及び/又は金属フタロシアニン化合物水溶液と被処理ガスとの接触時間を適宜決定することができる。
水溶液中の金属フタロシアニン化合物の濃度は特に限定されるものではないが、通常、2000〜4000ppm、好ましくは3000〜3500ppmである。金属フタロシアニン化合物1モル当たり、硫化水素400モル以上を除去することができる。
金属フタロシアニン化合物水溶液と被処理ガスとの接触時間(充填層内滞留時間)も特に限定されるものではないが、通常、2〜3秒間、好ましくは2〜2.5秒間である。
【0018】
以下、本発明のガス処理方法を向流状態による気液接触方法で実施する場合について具体的に説明する。
被処理ガスと洗浄液とを向流状態で接触させる方法としては、例えば、洗浄液をシャワー状又は霧状に噴霧し、下方向に流下する洗浄液と、上方向に移動する被処理ガスとを接触させる方法を挙げることができる。このような処理は、例えば、被処理ガスと洗浄液とを向流状態で接触させることのできる配置で、被処理ガス挿入口及び浄化ガス排出口と、洗浄液挿入口及び洗浄液排出口とを備える洗浄塔を用いて実施することができる。すなわち、前記洗浄塔の上部に設けた洗浄液挿入口から洗浄液をシャワー状又は霧状に噴霧し、洗浄塔内部を下方向に流下する洗浄液と、被処理ガス挿入口から洗浄塔内部に挿入され、洗浄塔内部を上方向に移動する被処理ガスとを向流状態で接触させると、被処理ガスに含まれる硫化水素は、洗浄液に吸収され、被処理ガスから除去される。硫化水素が除去された被処理ガスは浄化ガスとなって、浄化ガス排出口から洗浄塔の外部に排出され、一方、硫化水素を吸収した洗浄液は、洗浄液排出口から洗浄塔の外部に排出される。
前記洗浄塔には、洗浄液の流下を遅らせて、洗浄液と被処理ガスとの接触時間を延長させ、気液接触を有効に実施するために、充填材を充填することが好ましい。
【0019】
本発明のガス処理方法による向流状態での気液接触処理に用いることのできる装置の基本的態様を図1に示す。洗浄装置10に含まれる洗浄塔1は、複数段(図1においては2段)の充填槽、すなわち、被処理ガス上流域処理充填槽11aと被処理ガス下流域処理充填槽11bとを含み、洗浄塔の底部に被処理ガス挿入口12を備え、洗浄塔の頂部に浄化ガス排出口13を有する。各充填槽11a,11bには、適当な形状を有する充填材15を充填する。
洗浄塔1に供給する洗浄液を溜めておくことができる貯液槽2を、洗浄塔1の底部の真下に配置し、各充填槽11a,11bの底部から別々に流出するか、あるいは洗浄塔1の底部から一括して流出する洗浄液を回収する。すなわち、貯液槽2は、洗浄塔1の洗浄液排出口14a,14bが貯液槽2の真上に位置するように設置する。貯液槽2に、貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段、例えば、pHメーター3を設ける。
【0020】
貯液槽2の底部又は好ましくは側面に洗浄液取込口43a,43bを設け、送液ポンプ42a,42bにより、送液手段(例えば、送液パイプ41a,41b)を介して、洗浄液を、各充填槽11a,11bの上部に設けた洗浄液挿入口44a,44bへ送る。送液パイプ41の数、貯液槽内の洗浄液取込口43、若しくは各充填槽内の洗浄液挿入口44の数、又は送液パイプの途中での分岐の有無などは特に限定されるものではないが、例えば、図1に示すように、各充填槽毎にそれぞれ独立した送液パイプを設けることもできる。各充填槽において、充填材の露出している表面全域に洗浄液を供給することができるように、前記送液パイプに連続する洗浄液挿入口44として、洗浄液をシャワー状又は霧状に噴霧することのできる洗浄液噴出口を複数個設けることが一般的である。
【0021】
従来のスクラバー方式の洗浄塔には、前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段が設けられていないだけでなく、前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段、及び貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段が設けられていないので、洗浄液のpH値を所定範囲に維持することができず、本発明のガス処理方法を実施することができない。従って、洗浄液をpH6.5〜8に維持するために、従来の洗浄塔には備えられていないpH調整液供給手段、及びpH測定手段が必要である。
【0022】
前記の装置では、洗浄塔内の洗浄液のpH値を6.5〜8、好ましくは7〜7.5に維持する手段の1つとして、前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段を設ける。pH調整液としては、前記のアルカリ水溶液を用いることができる。
被処理ガスの上流側は、下流側よりも硫化水素濃度及び炭酸ガス濃度が高いため、洗浄液のpH降下が起こりやすいので、pH調整液を被処理ガスの上流側で添加する。ここで、上流側とは、特に限定するものではないが、一般的には、洗浄塔内における被処理ガスの上流から下流に至る全流路の先端から2/3程度まで、好ましくは最初の1/5程度〜1/2程度までを意味する。洗浄塔が、図1に示すように2段の充填槽からなる場合には、被処理ガス上流域処理充填槽11aの上部(被処理ガスの下流)付近でpH調整液を添加する。
【0023】
pH調整液供給手段は、洗浄液送液パイプとは別に、pH調整液専用送液パイプを所定の場所に設けることもできるが、図1に示すように、被処理ガス上流域処理充填槽11aに設けた洗浄液挿入口44aへ洗浄液を供給する前記送液パイプ41aの途中に、アルカリ水溶液注入口5を設けるのが好ましい。洗浄塔が多段の充填槽を含む前記装置においては、前記のpH調整液供給手段を各充填槽毎に設けることもできるし、あるいは、中間段充填槽にのみ設けることもできる。通常、中間段の充填槽にのみ設けても、充分にpH値を調整することができるので、この態様がコストの点及び設備保全の点からも好ましい。
【0024】
本発明のガス処理方法を実施する装置では、更に、前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段を設ける。被処理ガスの下流側で金属フタロシアニン化合物を添加すると、金属フタロシアニン化合物が洗浄液と共に洗浄塔内を移動する間に、被処理ガスと長く接触することができるので、金属フタロシアニン化合物を被処理ガスの下流側で添加する。ここで、下流側とは、特に限定するものではないが、一般的には、洗浄塔内における被処理ガスの上流から下流に至る全流路の1/3程度から最下流端部まで、好ましくは1/2程度から最下流端部までを意味する。洗浄塔が、図1に示すように2段の充填槽からなる場合には、被処理ガス下流域処理充填槽11bの上部付近で金属フタロシアニン化合物を添加する。
【0025】
金属フタロシアニン化合物供給手段は、洗浄液送液パイプとは別に、金属フタロシアニン化合物専用送液パイプを所定の場所に設けることもできるが、図1に示すように、被処理ガス下流域処理充填槽11bに設けた洗浄液挿入口44bへ洗浄液を供給する前記送液パイプ41bの途中に、金属フタロシアニン化合物注入口6を設けるのが好ましい。洗浄塔が多段の充填槽を含む前記装置においては、前記の金属フタロシアニン化合物供給手段を各充填槽毎に設けることもできるし、あるいは、最上段(最下流ガス処理用)充填槽にのみ設けることもできる。通常、最上段の充填槽にのみ設けても、充分に硫化水素を除去することができので、この態様が設備の簡素化や反応効率の点からも好ましい。
【0026】
図1に示す態様では、貯液槽2に溜められた洗浄液は、取込口43a,43bからそれぞれ取り込まれ、送液ポンプ42a,42bによって送液パイプ41a,41b内を移送され、挿入口44a,44bから各充填槽11a,11bの上部に供給される。この際に、送液パイプ41aの途中に設けたアルカリ水溶液注入口5から適量のアルカリ水溶液を注入することができる。前記アルカリ水溶液は、送液パイプ41aを移送される洗浄液と一緒になって、充填槽11aの上部に供給される。また、送液パイプ41bの途中に設けた金属フタロシアニン化合物水溶液注入口6から適量の金属フタロシアニン化合物水溶液を注入することもできる。前記金属フタロシアニン化合物水溶液は、送液パイプ41bを移送される洗浄液と一緒になって、最上段の充填槽11bの上部に供給される。
【0027】
充填槽11aの上部に供給された洗浄液は、重力の作用により、充填槽11aに充填された充填材15の表面を主に伝わりながら、充填槽11aの内部をゆっくりと通過する。充填槽11aを通過した洗浄液は、洗浄塔1の下部に設けた排出口14aから流出し、貯液槽2に回収される。一方、充填槽11bの上部に供給された洗浄液も、重力の作用により、充填槽11bに充填された充填材15の表面を主に伝わりながら、充填槽11bの内部をゆっくりと通過する。充填槽11bを通過した洗浄液は、一部が排出口14bを経て、貯液槽2に回収されるが他の一部は、続いて、充填槽11aの内部をゆっくりと通過し、排出口14aを経て、貯液槽2に回収される。
貯液槽2に回収された洗浄液は、再び、送液パイプ41a,41bを経由して各充填槽11a,11bに供給され、前記過程を繰り返すことによって、洗浄塔内を循環することができる。
【0028】
一方、硫化水素を含む被処理ガスAは、被処理ガス挿入口12から洗浄塔1の内部に取り込まれ、最下段の充填槽11aの下部に送られる。前記被処理ガスAは、各充填槽の中を下から上方向に順に通過(矢印B参照)して、最上段の充填槽11bの上部に送られ、浄化ガスCとなり、排出口13から洗浄塔1の外部へ排出される。
洗浄塔内部を下方向に移動する洗浄液と、洗浄塔内部を上方向に移動する被処理ガスとが向流状態で接触する際に、被処理ガスに含まれる硫化水素は、洗浄液に吸収され、被処理ガスから除去される。被処理ガスから除去された硫化水素は、その一部が単体イオウ8として貯液槽内に沈殿するので、必要に応じて貯液槽の底部の設けた排出口7から抜き取り、廃棄する。
【0029】
本発明のガス処理方法を実施する装置においては、1段又は2段あるいはそれ以上の充填槽からなる公知の向流型スクラバー方式の洗浄塔を用いることができる。いずれの場合も、金属フタロシアニン化合物を含有する洗浄液を洗浄塔の頂点から噴出させ、pH調整液を含む洗浄液を洗浄塔の中段より底部(被処理ガス流の中流より上流側)の位置で噴出させるのが好ましい。充填槽には、適当な形状を有する公知の充填材、例えば、ラシヒリング、テラレット、ポールリング、及び/又はアイポールなどを充填することができる。
【0030】
本発明のガス処理方法を実施する装置においても、前記のpH測定手段を用いることができる。この装置においては、貯液槽内の任意の場所にpH測定手段を設置することができるが、洗浄塔内のpH値とできる限り相関関係を有するpH値を検出することのできる位置に設置するのが好ましい。例えば、洗浄塔の洗浄液排出口の下方であって、貯液槽の水面に近い場所は、落下してくる洗浄液の影響で測定値が不安定になるので好ましくない。また、洗浄液供給手段の取込口から離れている場所のように、洗浄液の移動が不充分な場所も好ましくない。一般的には、洗浄液取込口43a,43b近辺に配置するのが好ましい。
前記装置においては、前記のpH測定手段による測定値によって、前記のpH調整液供給手段から供給するpH調整液の添加量を自動的に制御することのできる手段を設けるのが好ましい。
【0031】
本発明のガス処理方法を実施する装置においては、スケールの発生はほとんど起こらないので、従来装置で必要であった貯液槽への希釈水の添加が必要なく、従って、希釈水の添加に起因するオーバーフロー水も発生しない。本発明のガス処理方法を実施する装置においては、貯液槽内に沈殿した単体イオウの抜き取りに伴う水位の減少と、自然蒸発による水位の減少とを補充するために、必要に応じて、貯液槽に補充水を添加することができる。
【0032】
ところで、本発明のガス処理方法における処理対象(すなわち、臭気ガス)は、前記のとおり、各種処理工程、例えば、し尿処理工程、下水処理工程、若しくはごみ処理工程などで発生した気体、又は各種工場などで発生した気体である。これに対し、本発明の液状体処理方法は、前記臭気ガスの発生源(すなわち、し尿処理工程など)において、硫化水素の発生を抑制するものである。
例えば、図6に示すとおり、前記のガス処理方法で用いる洗浄装置10の洗浄塔1に対して、被処理ガス挿入口12から挿入される被処理ガスAは、例えば、し尿処理系7のし尿投入槽71の排気口31から排出される臭気ガスD、及び/又は解砕装置72の排気口32から排出される臭気ガスEを、ガス輸送パイプ51によって集めたものである。
【0033】
前記し尿処理系7において、し尿投入槽71は、し尿処理系7におけるし尿取り入れ装置であり、パイプ81から挿入される未処理し尿をエアレーション下にて攪拌処理する。また、前記の解砕装置72では、し尿投入槽71からパイプ82を介して輸送されるし尿に含まれる半固形分やトイレットペーパー成分を破砕処理し、パイプ83を介して次の処理工程(図示せず)へ送る。従って、前記し尿処理系7の各処理槽から排出される臭気ガスには、硫化水素が高濃度で含まれている。
【0034】
本発明者が見出したところによれば、前記洗浄装置10において循環させて使用されている洗浄液を、前記のし尿処理系7の任意の処理槽(特に、し尿投入槽71)に添加すると、その処理槽から排出される排ガス内の硫化水素濃度を顕著に減少させることができる。前記の洗浄液は、例えば、図6に示すとおり、貯液槽2から送液パイプ21を介して、し尿投入槽71に輸送して添加することができる。送液パイプ21には、バルブ(例えば、電磁バルブ)22及び/又は送液ポンプ23を設けることもできる。前記の送液パイプ21を、し尿投入槽71以外のし尿処理系7の任意の処理槽、例えば、解砕装置72に連結して、洗浄液を添加することもできる。
【0035】
本発明の液状体処理方法は、前記のし尿処理系だけでなく、硫化水素を含む排ガスを発生する任意の処理工程に適用することができる。すなわち、本発明の液状体処理方法の処理対象である硫化水素発生体としては、例えば、前記し尿処理系のし尿、下水処理系の下水、又はごみ処理系のごみを挙げることができる。本発明の液状体処理方法は、それらの処理工程の任意の1又は2以上の処理槽に対して適用することができるが、未処理の処理対象(し尿、下水、又はごみ)を最初に取り入れる処理槽に適用するのが好ましい。
【0036】
pH6.5〜8の金属フタロシアニン化合物水溶液としては、前記の本発明のガス処理方法に用いる洗浄液をそのまま使用することができる。前記洗浄液の添加量は、特に限定されるものではないが、前記処理層から排出される臭気ガスに含まれる硫化水素濃度を、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上減少させる量で添加する。
【0037】
前記の本発明のガス処理方法と前記の本発明の液状体処理方法とを組合せると、硫化水素を一層効率的に除去することができる。この場合には、例えば、図6に示すように、貯液槽2中の洗浄液を送液パイプ21を介して、し尿投入槽71に輸送して添加し、更に、し尿処理系7における各処理槽(すなわち、し尿投入槽71、解砕装置72、及び/又はその他の処理槽)からの臭気ガスをガス輸送パイプ51によって一緒にして、被処理ガス挿入口12から浄化塔1へ送り、充填槽11a,11bで処理し、浄化ガスCとして排出口13から排出させることができる。貯液槽2中の洗浄液の一部が、し尿処理系で消費されるので、貯液槽2の水位を一定に維持するように、適宜水を補充するのが好ましい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
図1に示す洗浄装置を用いて、硫化水素濃度が100〜150ppmの範囲で変化する臭気ガスの洗浄処理を実施した。使用した洗浄装置は以下のとおりである。すなわち、充填塔の材質は、ステンレススチールであり、プラスチック樹脂からなるリング状のラシヒリングを充填材として用いた。充填塔の高さは3300mm(上段=1500mm,下段=1800mm)であり、充填塔の容量は4.0m3 であった。洗浄塔流入臭気ガスの風量は100Nm3 /分であり、洗浄液循環量は270リットル/分であり、空塔速度(すなわち、臭気ガスの充填塔内通過速度)は1.38m/秒であり、充填塔内の臭気ガスと洗浄液との接触時間は2.4秒であった。上流注入口を、充填層の略中央部の位置に設け、下流注入口を、充填層の最上部の位置に設けた。
洗浄液のpHと硫化水素の除去率との関係を図2に示す。図2において、曲線aは、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸の濃度が500ppmである場合の結果を示し、以下、同様に、曲線bは1300ppmの場合、曲線cは3000ppmの場合、そして曲線dは3500ppmの場合を示す。図2に示すように、フタロシアニン濃度が3500ppm以上では、pH6.5〜8の領域において硫化水素除去率が80%以上となる。
【0039】
【実施例2】
実施例1で使用した洗浄装置を用いて、硫化水素濃度が30〜70ppmの範囲で変化する臭気ガス、及び硫化水素濃度が100〜150ppmの範囲で変化する臭気ガスの洗浄処理を実施した。なお、洗浄処理中は、洗浄液のpHが7〜7.5の範囲になるように調整した。
鉄フタロシアニンテトラスルホン酸濃度と硫化水素の除去率との関係を図3に示す。図3において、曲線aは、硫化水素の濃度が30〜70ppmの範囲で変化する臭気ガスを処理した場合の結果を示し、曲線bは、硫化水素の濃度が100〜150ppmの範囲で変化する臭気ガスを処理した場合の結果を示す。図3に示すように、硫化水素濃度が30〜70ppmの領域では、フタロシアニン濃度が1300ppm以上あれば除去率が80%以上となる。一方、硫化水素濃度が100〜150ppmの領域では、フタロシアニン濃度が3000ppm以上で除去率80%を達成している。
【0040】
【実施例3】
(1)実施例1で使用した洗浄装置を用いて、し尿処理プラントの運転開始と共に排出される臭気ガスの洗浄処理を実施した。
臭気ガスを洗浄装置に挿入する前に、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸水溶液(3000ppm)を1時間当たり8リットルの割合で補充しながら、洗浄液を充填塔へ流入循環させ、1時間25分間循環処理した。この間の洗浄液のpHは7〜7.2の範囲になるように調整した。続いて、し尿処理工程から排出される臭気ガスを充填塔に挿入し、それから1時間35分後に鉄フタロシアニンテトラスルホン酸水溶液の補充を停止した。更に、洗浄液を循環させながら、臭気ガスの洗浄処理を45分間実施した。臭気ガスの洗浄処理中のpHは、7〜7.2の範囲になるように調整した。
【0041】
洗浄塔への流入硫化水素濃度、及び硫化水素除去率の経時変化を図4に示す。図4において、曲線aは、洗浄塔への流入硫化水素濃度を示し、曲線bは、硫化水素の除去率を示す。なお、横軸の経過時間は、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸水溶液の補充を開始した時点を0として示す。前記臭気ガスに含まれる硫化水素の含量は、時間とともに変化し、図4に示すように、最高で約150ppmまで変化した。また、前記臭気ガスには、最高で2ppmのメルカプトエタノール、及び最高で3ppmのアンモニアが含まれていた。図4に示すように、フタロシアニン水溶液の補充後30分以内で硫化水素の除去率は80%に達し、これ以降80%以上の高い除去率を維持した。
前記洗浄処理では、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸0.081モルを使用し、硫化水素36モルを除去することができたので、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸1モル当たり硫化水素442モルを除去することができた。
(2)洗浄液による気液接触処理時間を、計2時間20分から計3時間へ変更したこと以外は、前記実施例3(1)に記載の操作を繰り返したところ、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸0.102モルを使用し、硫化水素48.0モルを除去することができたので、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸1モル当たり硫化水素471モルを除去することができた。
【0042】
【実施例4】
図6に示すし尿処理系洗浄システムを使用して、臭気ガスの洗浄処理を実施した。洗浄装置としては図1に示す洗浄装置10を使用し、洗浄条件としては前記実施例3(1)に記載の条件を使用した。し尿投入槽71に挿入されるし尿量は40キロリットル/日とした。
第1日目の実験1は、コントロール試験として、貯液槽2中の洗浄液をし尿投入槽71に添加せずに行った。
第2日目の実験2では、午前8時から正午まで、貯液槽2中の洗浄液を送液パイプ21を介して、し尿投入槽71に添加した。添加合計量は、44.6リットル/日であった。し尿投入槽71からの排出ガスD及び解砕装置72からの排出ガスEをガス輸送パイプ51によって一緒にして、被処理ガス挿入口12から浄化塔1へ送った。硫化水素濃度を、ガス挿入口12において測定した。
第3日目の実験3は、添加合計量23.0リットル/日とすること以外は前記実験2の操作を繰り返した。
前記実験1〜3における硫化水素濃度を以下の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明のガス処理方法によれば、臭気ガス内に含まれる炭酸ガスの影響を受けず、従って、処理剤の使用量を節約することができると共にスケール発生がなく、更に、洗浄液をオーバーフローさせる必要がなく、更に大容量の臭気ガスを連続的に処理して硫化水素を除去することができる。
また、本発明の液状体処理方法によれば、硫化水素の発生を、その発生源において抑制することができる。
更にまた、本発明のガス処理方法及び本発明の液状体処理方法を組合せることにより、硫化水素を発生する処理工程から排出される臭気ガスから、硫化水素を一層効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス処理方法に用いることのできる洗浄装置を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明のガス処理方法を用いた洗浄処理における、洗浄液のpHと硫化水素の除去率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明のガス処理方法を用いた洗浄処理における、鉄フタロシアニンテトラスルホン酸濃度と硫化水素の除去率との関係を示すグラフである。
【図4】本発明のガス処理方法を用いた洗浄処理における、洗浄塔への流入硫化水素濃度、及び硫化水素除去率の経時変化を示すグラフである。
【図5】従来のガス処理方法に用いる洗浄装置を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の液状体処理方法に用いることのできる洗浄システムを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
10,100・・・洗浄装置;1・・・洗浄塔;2・・・貯液槽;
3・・・pHメーター;4・・・洗浄液送液手段;
5・・・アルカリ水溶液注入口;
6・・・金属フタロシアニン化合物水溶液注入口;7・・・し尿処理系;
11a,11b・・・充填槽;12・・・被処理ガス挿入口;
13・・・浄化ガス排出口;14・・・洗浄液排出口;
21,41a,41b・・・送液パイプ;22・・・バルブ;
23,42・・・送液ポンプ;31,32・・・排気口;
43a,43b・・・洗浄液取込口;44a,44b・・・洗浄液挿入口;
51・・・ガス輸送パイプ;71・・・し尿投入槽;72・・・解砕装置;
81,82,83・・・パイプ;A,D,E・・・臭気ガス。
Claims (3)
- 被処理ガス上流域処理充填槽と被処理ガス下流域処理充填槽とを含む洗浄塔、
前記洗浄塔の底部に設けた被処理ガス挿入口、
前記洗浄塔の頂部に設けた浄化ガス排出口、
前記洗浄塔の底部の真下に配置され、前記洗浄塔からの洗浄液を回収することができると共に、洗浄液を溜めておくことができる貯液槽、及び
前記貯液槽から洗浄液を、前記各充填槽の上部に設けた洗浄液挿入口へ送ることのできる送液手段
を有する向流型スクラバー方式の気液接触処理洗浄装置によって、硫化水素含有被処理ガスから硫化水素を除去する方法であって、
前記洗浄装置に、更に、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段、及び
前記貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段
を設けると共に、
前記洗浄液のpH値を6.5〜8に維持した状態で、金属フタロシアニン化合物水溶液によって前記硫化水素含有被処理ガスを処理することを特徴とする、前記硫化水素除去方法。 - 未処理し尿をエアレーション下にて撹拌処理するし尿投入槽、及び
前記し尿投入槽から輸送される処理物に含まれる半固形分を破砕処理する解砕装置
を含むし尿処理系において、
被処理ガス上流域処理充填槽と被処理ガス下流域処理充填槽とを含む洗浄塔、
前記洗浄塔の底部に設けた被処理ガス挿入口、
前記洗浄塔の頂部に設けた浄化ガス排出口、
前記洗浄塔の底部の真下に配置され、前記洗浄塔からの洗浄液を回収することができると共に、洗浄液を溜めておくことができる貯液槽、
前記貯液槽から洗浄液を、前記各充填槽の上部に設けた洗浄液挿入口へ送ることのできる送液手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段、及び
前記貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段
を有し、前記洗浄液のpH値を6.5〜8に維持した状態で、金属フタロシアニン化合物水溶液によって硫化水素含有被処理ガスを処理することのできる向流型スクラバー方式の気液接触処理洗浄装置における前記貯液槽から、金属フタロシアニン化合物を含有するpH6.5〜8の洗浄液を、前記し尿投入槽又は前記解砕装置に添加することを特徴とする、前記し尿投入槽又は前記解砕装置から排出される臭気ガスから硫化水素を除去する方法。 - 請求項2に記載の除去方法で処理した前記し尿投入槽又は前記解砕装置から排出される臭気ガスを、
被処理ガス上流域処理充填槽と被処理ガス下流域処理充填槽とを含む洗浄塔、
前記洗浄塔の底部に設けた被処理ガス挿入口、
前記洗浄塔の頂部に設けた浄化ガス排出口、
前記洗浄塔の底部の真下に配置され、前記洗浄塔からの洗浄液を回収することができると共に、洗浄液を溜めておくことができる貯液槽、
前記貯液槽から洗浄液を、前記各充填槽の上部に設けた洗浄液挿入口へ送ることのできる 送液手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの下流側に金属フタロシアニン化合物を供給することのできる金属フタロシアニン化合物供給手段、
前記洗浄塔内にて被処理ガスの上流側にpH調整液を供給することのできるpH調整液供給手段、及び
前記貯液槽内の洗浄液のpHを測定することのできるpH測定手段
を有し、前記洗浄液のpH値を6.5〜8に維持した状態で、金属フタロシアニン化合物水溶液によって硫化水素含有被処理ガスを処理することのできる向流型スクラバー方式の気液接触処理洗浄装置の前記被処理ガス挿入口から供給して更に処理することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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