JP2005211869A - 臭気ガスのオゾン脱臭方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素等の水溶性臭気成分を比較的多く含む臭気ガスを効果的に除去するために有用なオゾン脱臭法、およびこうした方法を実施するための装置を提供する。
【解決手段】 臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するオゾン脱臭方法において、オゾンの微細気泡を分散させたオゾン含有水と臭気ガスを接触させて、臭気ガス中に含まれる水溶性臭気成分を酸化分解する。
【選択図】 図2
【解決手段】 臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するオゾン脱臭方法において、オゾンの微細気泡を分散させたオゾン含有水と臭気ガスを接触させて、臭気ガス中に含まれる水溶性臭気成分を酸化分解する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、化学工場特に半導体エッチング排水からの高濃度のメチルメルカプタン、食品工場特に製餡排水からの高濃度のメチルメルカプタンや焙煎ゴマ油のオイルミスト中の高濃度臭気成分をオゾンの存在下で効果的に脱臭する方法、およびそのための装置に関するものである。
例えば、農業集落排水処理設備(以下、「農集排」と呼ぶことがある)や下水処理場からは、各種の臭気成分が発生しており、こうした臭気成分の除去を行うことが必要である。これらの設備から、発生する臭気成分の嗅覚による判断基準を臭気強度として下記表1に示す。この表1の臭気成分は、特許文献1および非特許文献1に示された結果をまとめたものである。尚、下記表1に示された臭気成分は、各設備から排出された臭気成分であって、脱臭装置入口の臭気強度が下記基準に従ったときに3.5のものである(表中閾値は:嗅覚測定限界の基準値を意味する)。
[臭気強度]
0:無臭
1:やっと感知できる臭い
2:何の臭いかが分かる弱い臭い
3:らくに認知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
0:無臭
1:やっと感知できる臭い
2:何の臭いかが分かる弱い臭い
3:らくに認知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
上記表1に示された臭気成分のうち、入口濃度/閾値の一番大きい成分は、メチルメルカプタンであるが、装置入口の濃度が微量成分であり、検出されない場合もあるので、次に大きい臭気成分である硫化水素は、農集排から排出される臭気成分の主成分となっている。
このような臭気成分は比較的低濃度であるので、こうした臭気成分に対する脱臭法としては、活性炭吸着法が従来から一般的に採用されている。この活性炭吸着法は、活性炭を頻繁に交換する必要があり、そのためのコストが高くなり、運転費が嵩むので、運転費が比較的安価で済むような代替法の開発が要望されているのが実情である。
こうした状況の下で、酸化力の大きいオゾンに注目され、しかもオゾンによる酸化反応は液相反応であることから、(オゾン+水)を用いた湿式オゾン脱臭装置が開発されている(例えば、前記特許文献1)。この技術では、比較的安価に運転が行え、しかも脱臭性能も良好なオゾンを使用することから、農集排から排出される硫化水素を主成分とする低濃度臭気成分の除去に効果的である。
こうした装置の基本的な構成を、図面を用いて説明する。図1は、従来開発されている湿式オゾン脱臭装置の構成を示す概略説明図であり、図中1は水洗塔、2は貯水部、3はガス混合部、4は気液向流接触部、5はデミスタ、6はオゾンガス発生器、7は水分散部(液分散ノズル)、8はガス清浄部(廃オゾン除去部)を夫々示す。
この装置においては、水洗塔1の下部に位置する貯水部2に水が供給され(ラインB)、この水はポンプP1によって吸い上げられて水分散部7から気液向流接触部4の上部に散水される。尚、貯水部2では、一定の水位を保つために、オーバフロー水が排水される(ラインC)。
貯水部2の水には、オゾンガス発生器6からのオゾンがバブリングされつつ供給され(ラインD)、オゾンガスの一部は増湿した状態で貯水部2の上部から混合部3を上昇すると共に、オゾン含有水として水分散部7から散水されることになる。臭気ガスは水洗塔1の混合部3に送られ(ラインA)、貯水部2からのオゾンガスと接触すると共に、気液向流接触部4でオゾン含有水と接触し、臭気ガスの臭気成分が酸化分解される。尚、気液向流接触部4は、多数の屈折した通路が形成されており、臭気ガスをオゾン含有水との接触効率が向上するように構成されている。
デミスタ5では、酸化分解処理後の臭気ガス(被処理ガス)中の水分が除去され、被処理ガスはその後脱臭ファンF1の作用によって、水洗塔1の上部からガス清浄部8に送られる(ラインE)。ガス清浄部8では、被処理ガス中に含まれるオゾン(廃オゾン)が除去され、その後大気に放出される。
こうした構成の湿式オゾン脱臭装置では、前記貯水部2にオゾンガスを供給してオゾン含有水を生成させているが、この溶解方式として、散気管方式が採用されるのが一般的である。この散気管方式は、多数の孔を有するパイプ(散気管)を介してオゾンガスを水中に供給するものである。
こうした方式では、オゾン水中にはオゾンが十分に溶解していない状態になるのであるが、このオゾン水を循環ポンプP1にて気液向流接触部の上部へ送り、その後充填接触部の上部から流下させ、下方から未溶解のオゾンガスと臭気ガスとを上昇させて、充填接触部で数秒間接触させて容易に臭気ガスの硫化水素を酸化脱臭することができる。
こうした装置構成による脱臭では、前記表1に示した様な、下水処理場からの臭気成分[NH3:2ppm,H2S:0.2ppm,(CH3)2S:0.008ppm]のような低濃度臭気成分に対しては極めて効果的に脱臭性能を発揮するものである。
オゾン脱臭に関連する技術として、例えば特許文献2に示されるような、排水処理施設にオゾンガスを吹き込む技術も提案されている。また、特許文献3には、オゾン水を脱臭処理空間に霧状に噴霧する方法も提案されている。これらの技術においても、前記表1に示した様な比較的低濃度の臭気成分に対しては有効な方法であるといえる。
一方、化学工場特に半導体エッチング工程から排出される臭気ガスは、アンモニアやメチルメルカプタン等の水溶性臭気成分を比較的多く含んだものである(例えばNH3:90ppm、CH3SH:18ppm程度)。また、食品工場特に製餡工程から排出される臭気ガスにおいても、硫化水素やメチルメルカプタンを比較的多く含むものとなる[例えば、H2S:20ppm、CH3SH:10ppm程度]。
こうした高濃度の水溶性臭気成分を含む臭気ガスの脱臭のために、これまで提案されてきた技術(前記特許文献1〜3等)を適用しても、非水溶性の二硫化メチル[(CH3)2S2]に起因する、腐ったキャベツのような臭気が依然として残留することがある。即ち、高濃度の臭気成分を含む臭気ガスに対しては、これまで提案されてきる技術では、十分な脱臭効果が発揮されないことが分かった。
こうしたことから、高濃度の臭気成分を含有する臭気ガスを脱臭するためには、とりあえず、運転費を考慮せずに、活性炭吸着法が採用されているのが一般的である。しかしながら、高濃度の臭気成分を含む臭気ガスを対象とした場合には、吸着材・活性炭が更に早期に破過しやすく、例えば交換回数が1回/1週間程度と頻繁に吸着材の交換を余儀なくされることになる。これらの小規模装置では、活性炭の使用量が少ないので、交換後廃棄処分が行われる。こうした状況下において、オゾンの酸化反応を促進させた技術の開発が望まれているのが実情である。
特公平12−3054361号公報 特許請求の範囲等
登録実用新案第3002318号公報 実用新案登録請求の範囲等
特開平10−57465号公報 特許請求の範囲等
「下水処理場の臭気組成」実例に見る脱臭技術、工業調査会1999年10月発行、第116頁
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素等の水溶性臭気成分を比較的多く含む臭気ガスを効果的に除去するために有用なオゾン脱臭法、およびこうした方法を実施するための装置を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のオゾン脱臭方法とは、臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するオゾン脱臭方法において、オゾンの微細気泡を分散させたオゾン含有水と臭気ガスを接触させて、臭気ガス中に含まれる水溶性臭気成分を酸化分解する点に要旨を有するものである。
この方法において、前記オゾンの微細気泡の径は50μm以下であることが好ましい。また、この方法で対象とする臭気ガスは、(a)半導体エッチング液製造工程排水または餡製造工程排水から発生する臭気ガスや、(b)焙煎ゴマ製造工程からのオイルミストから発生する臭気ガスであることが効果的であり、特に(a)の臭気ガスの場合は10ppm以上のメチルメルカプタンを臭気成分として含むときに最も効果的である。
一方、上記目的を達成した本発明の脱臭装置とは、臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するためのオゾン脱臭装置において、臭気ガスとオゾン含有水を接触させて臭気成分を酸化分解処理するための反応塔と、その下部に配置され、オゾン含有水を貯留するオゾン反応槽を備えると共に、前記オゾン反応槽中には、オゾンの微細気泡をオゾン含有水中に分散させるための機構が設けられており、オゾン微細気泡を含むオゾン含有水を前記反応塔上部から流下させ、該反応塔中で臭気ガスとオゾン含有水を接触させて酸化分解すると共に、該酸化反応後にオゾン含有水をオゾン反応槽内に戻す様に構成したものである点に要旨を有するものである。
本発明方法は、排水を処理するときにも適用でき、こうした構成として、排水中に含まれる有機質成分をオゾン含有水で酸化分解して有機質成分を減少させる方法において、該排水中にオゾンを微細気泡として分散させることにより有機質成分を酸化分解する構成が挙げられる。
本発明では、オゾンの微細気泡を分散させたオゾン含有水と臭気ガスを接触させて、臭気ガス中に含まれる水溶性臭気成分を酸化分解するように構成したので、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素等の水溶性臭気成分を比較的多く含む臭気ガスを効果的に除去することができた。
本発明者らは、上記のような状況の下で、高濃度の臭気成分を効果的に除去するためには、オゾンの酸化反応を促進することが重要であると考えた。そして、湿度が酸化反応にどのように関与しているかを中心に検討した。その結果、オゾンの酸化反応は液相反応で促進されることが判明し、オゾンガスを水に効率良く溶解させることがオゾンの酸化反応を促進する上で重要な要件になるとの着想が得られた。
こうした観点から、従来の技術のおける反応機構について検討した。その結果、オゾンの溶解方式としては、従来では散気管方式を採用し、その散気管からは径が約3.0mm程度の比較的大きな気泡が発生していることが判明した。そして、こうした気泡では、気泡の上昇速度が遅くとも22mm/secになることが予想される[例えば、「オゾンの利用水処理技術」 宋宮功編著(1989):水中の気泡の上昇速度]。これまで提案されている装置における底部貯水槽(前記貯水部2)の水深は、通常400mm程度であることから、上記のような大きな気泡が上昇するに要する時間は2〜3秒程度となる。
このように非常に短い溶解時間では、オゾンが水中に十分に溶解することが困難であり、その結果として一部の未溶解のオゾンガスがガス混合部3下部から上昇することになる。そして、気液向流接触部4での臭気ガスとオゾンとの接触時間は、数秒間となり、低濃度の水溶性アンモニア、硫化水素等は殆ど除去されことになるが、化学工場や食品工場からの臭気ガスは、NH3、H2S、CH3SH等の水溶性臭気成分を高濃度に含んでいるので、これらの水溶性高濃度ガスに対してはオゾンとの接触時間も不足したものとなる。
以上のことから、従来の湿式オゾン脱臭装置をこれらの高濃度臭気ガスに適用するには、オゾンの溶解方式およびオゾンとの接触時間が不足していることが分かったので、この要請に対応するためには、オゾン溶解方式および接触時間について構造的な立場から見直す必要があると考えられた。
従来では、オゾンの酸化脱臭反応においては、必要とされるオゾン量の算出には、反応速度を考慮しないで、平衡理論に基づき(即ち、反応速度は無限大に大きいものとして)、化学量論的(静的)反応式に基づいて、完全酸化されるものとして必要なオゾン量を算出していた。また、水溶性アンモニアや水溶性硫化水素のオゾン酸化のように、比較的反応速度が早く、完全酸化物が生成される場合には、このような従来の考え方を適用して、近似的に化学量論的反応式に基づく算出法を適用して必要なオゾン量が算出されていた。
ところで、アンモニアのオゾン酸化反応式は、下記(1)式および(2)式のように進行する。また硫化水素のオゾン酸化反応は、下記(3)式のように進行する。これに対して、水溶性メチルメルカプタン[(CH3)2S2]のオゾン酸化反応のメカニズムは、下記(4)式に示されるような2段階の反応である。
(アンモニア)
2NH3+2H2O→2NH4OH‥(1)
2NH4OH+8/3O3→2HNO3+4H2O‥(2)
(硫化水素)
3H2S+4O3→3H2SO4‥(3)
(水溶性メチルメルカプタン)
CH3SH→→CH3−S−S−CH3→→CH3−SO3H‥(4)
上記反応式(4)において、CH3SH(メチルメルカプタン)は水溶性であり、CH3−S−S−CH3(二硫化メチル)は不溶性であり、CH3−SO3H(メタンスルホン酸)は水溶性である。この反応は、通常は第2段階のメタンスルホン酸の生成が律速反応であるから、オゾンが不足していなくても酸化反応中間体であるメタンスルホン酸が生成されて蓄積されるし、また完全酸化に必要なオゾン量が不足していても、第2段階の反応が促進されずに、第1段階の反応に基づく不溶性の二硫化メチルが生成され、腐ったキャベツのような臭気が残留することになる。
2NH3+2H2O→2NH4OH‥(1)
2NH4OH+8/3O3→2HNO3+4H2O‥(2)
(硫化水素)
3H2S+4O3→3H2SO4‥(3)
(水溶性メチルメルカプタン)
CH3SH→→CH3−S−S−CH3→→CH3−SO3H‥(4)
上記反応式(4)において、CH3SH(メチルメルカプタン)は水溶性であり、CH3−S−S−CH3(二硫化メチル)は不溶性であり、CH3−SO3H(メタンスルホン酸)は水溶性である。この反応は、通常は第2段階のメタンスルホン酸の生成が律速反応であるから、オゾンが不足していなくても酸化反応中間体であるメタンスルホン酸が生成されて蓄積されるし、また完全酸化に必要なオゾン量が不足していても、第2段階の反応が促進されずに、第1段階の反応に基づく不溶性の二硫化メチルが生成され、腐ったキャベツのような臭気が残留することになる。
このような複雑な反応の場合には、従来のような化学量論的な立場より算出した必要オゾン量では、反応速度(即ち、オゾン接触時間)を考慮していないので、オゾン酸化力が不足することになる。こうした事態への対応としては、反応速度論に基づいた算出法によって必要オゾン量を算出することが必要である。具体的には、小規模現地試験の結果に基づいて、算出することが必要である。
メチルメルカプタンを完全酸化してメタンスルホン酸を生成するための必要なオゾン酸化反応式は下記(5)式および(6)式となり、これらをまとめると下記(7)式のようになる。
(第1段階:部分酸化)
2CH3SH+4/3O3→(CH3)2S2+2H2O‥(5)
(第2段階:完全酸化・律速段階)
(CH3)2S2+5/3O3+H2O→2CH3SO3H‥(6)
2段階の完全酸化反応が律速段階であるので、反応速度の異なる2つの反応を反応メカニズムを考慮しないで、化学量論的に加算して表現するのは、好ましくない。
2CH3SH+4/3O3→(CH3)2S2+2H2O‥(5)
(第2段階:完全酸化・律速段階)
(CH3)2S2+5/3O3+H2O→2CH3SO3H‥(6)
2段階の完全酸化反応が律速段階であるので、反応速度の異なる2つの反応を反応メカニズムを考慮しないで、化学量論的に加算して表現するのは、好ましくない。
従来方式では、第1段階の部分酸化反応のみを考えていたので、従来方式でのメチルメルカプタンのオゾン酸化反応に必要なオゾン量は、メチルメルカプタン1mol当たり2/3molのオゾン量が必要であった。本発明では、第1段階の部分酸化反応に必要なオゾン量:2/3molに加えて、第2段階の完全酸化反応(律速反応)に必要なオゾン量:5/6molが必要となる。即ち、総量として1.5mol以上が必要になることが分かる。
以上のことから、メチルメルカプタンのオゾン脱臭(完全酸化)には、1.5molのオゾン量が必要であるので対して、従来方式では、部分酸化反応のみを考慮していたので、2/3molと(1/1.5)しか必要としていないので、オゾン量が不足していることは明らかである。
このようなメカニズムが従来から把握されていたとしても、従来のオゾン注入条件(オゾン濃度、オゾン混合方法等)では、オゾンによる完全酸化反応が進行しにくい状況であり、部分酸化に留まっていたのである。そのために、高濃度のメチルメルカプタンのオゾン脱臭は困難な状況であった。
本発明者らが、各種実験によって確認したところによれば、オゾン酸化分解反応はオゾンの水への溶解速度が律速段階であるといわれているので、オゾンによる酸化分解反応を促進するためには、液相反応を促進する必要がある。ガス吸収工程において、二重境膜モデルが適用できるとすれば、二重境膜モデルは下記(8)式のように表すことができる[例えば、「化学工学I」岩波全書、No.216、第87頁、(株)岩波書店発行(1985年5月)]。
1/(KL・a)=(1/kL・a)+(1/kG・a)‥(8)
但し、KL:容量係数
kL・a:液側容量係数(液境膜容量係数)
kG・a:ガス側容量係数(ガス境膜容量係数)
a:気液有効接触面積
オゾンガスを溶解させて、液相で酸化脱臭反応をさせるような場合には、律速段階が液側にある。このようなときには、液側容量係数(kL・a)=液側物質移動係数(kL)×気液有効接触面積(a)として表すことができる。液側物質移動係数(kL)は、系(流体、温度、圧力、組成等)が決れば、略一定になるので、液境膜容量係数(kL・a)を大きくするためには、気液有効接触面積(a)を大きくして、液相オゾン酸化反応速度を向上させることが重要である。
但し、KL:容量係数
kL・a:液側容量係数(液境膜容量係数)
kG・a:ガス側容量係数(ガス境膜容量係数)
a:気液有効接触面積
オゾンガスを溶解させて、液相で酸化脱臭反応をさせるような場合には、律速段階が液側にある。このようなときには、液側容量係数(kL・a)=液側物質移動係数(kL)×気液有効接触面積(a)として表すことができる。液側物質移動係数(kL)は、系(流体、温度、圧力、組成等)が決れば、略一定になるので、液境膜容量係数(kL・a)を大きくするためには、気液有効接触面積(a)を大きくして、液相オゾン酸化反応速度を向上させることが重要である。
本発明者らは、こうした状況を実現する手段として、様々な角度から検討した。その結果、微細気泡(以下、「マイクロバブル」と呼ぶことがある)による気液接触を行えば、こうした状況が実現できることが判明したのである。例えば、
「第28回マイクロバブルの魅力とその利用技術」(混相流レクチャーシリーズ:「第1部 マイクロバブルの魅力と技術的可能性を探る」、微細気泡の特性、第33頁:2003年6月発行)によれば、気泡半径をdeとすれば、球状気泡の体積V=πde3/6、気泡の表面積S=πde2と表せるから、単位体積当たりの表面積S/V=6/deと表せることになる。このことから、気泡径deが小さい程、単位体積当たりの表面積が大きいことが分かる。
「第28回マイクロバブルの魅力とその利用技術」(混相流レクチャーシリーズ:「第1部 マイクロバブルの魅力と技術的可能性を探る」、微細気泡の特性、第33頁:2003年6月発行)によれば、気泡半径をdeとすれば、球状気泡の体積V=πde3/6、気泡の表面積S=πde2と表せるから、単位体積当たりの表面積S/V=6/deと表せることになる。このことから、気泡径deが小さい程、単位体積当たりの表面積が大きいことが分かる。
気泡内のオゾンガスが、水に溶ける過程は、気泡の接触面、即ち気泡の表面を介して物質が移動する現象であるので、気泡が小さければ小さいほど、オゾンの溶解効率にとって有利に作用することが予想された。
次に、微細気泡の上昇速度について検討した。小さい固体の球状粒子が静止水中を上昇する場合には、周囲の水が全く剥離しない状況で移動するので、抵抗係数Cd値の算出には、下記(9)式で示されるストークスの法則が適用できる。
Cd=24/Re(Re:レイノズル数)‥(9)
例えば、「第28回マイクロバブルの魅力とその利用技術」(混相流レクチャーシリーズ:「第1部 マイクロバブルの魅力と技術的可能性を探る」、マイクロバブルの発生頻度、第3頁:2005年6月発行)に開示されたマイクロバブルの発生頻度分布図に従えば、気泡径:10μm以上の気泡が発生する頻度が大多数であると考えることができる。そして、気泡径が例えば10μmの気泡が20℃の水中を上昇する場合には、上記(9)式中のRe=5.4/10000となるので、Cd=45000となる。
例えば、「第28回マイクロバブルの魅力とその利用技術」(混相流レクチャーシリーズ:「第1部 マイクロバブルの魅力と技術的可能性を探る」、マイクロバブルの発生頻度、第3頁:2005年6月発行)に開示されたマイクロバブルの発生頻度分布図に従えば、気泡径:10μm以上の気泡が発生する頻度が大多数であると考えることができる。そして、気泡径が例えば10μmの気泡が20℃の水中を上昇する場合には、上記(9)式中のRe=5.4/10000となるので、Cd=45000となる。
そして、気泡上昇速度u=5.4/100000(m/sec)=54(μm/sec)となる。水深が300mmとすれば、水中滞留時間(上昇時間)は、300mm/0.054mm(1/sec)=5560sec(≒92.7min)と算出されることになる。このことは、径が10μmの微細気泡では、長時間接触した後、溶解消滅することを意味している。これに対して、従来の散気管による気泡の気泡径が3.0mmの場合には、上昇速度は0.25m/secとなり、水深:300mmとすれば、水中滞留時間(上昇時間)は、1.2secとなり、上昇時間が非常に短いので、オゾンが十分に溶解することは困難となる。
このようにオゾンの溶解方式として、従来の散気管方式による場合と比較して、微細気泡を適用する場合には、気泡径が10μm程度と非常に微細なものとなるので、単位体積当たりの表面積が非常に大きくなることと、水中滞留時間(上昇温度)が非常に長い等のために、オゾンが十分に溶解し、オゾンによる酸化反応が促進されものと考えられる。尚、オゾンのマイクロバブルを発生する手段としては、旋回流式のものが採用できるが[例えば、(有)バルブタンク社製、「BT−50FR」(商品名)]、これによって発生される微細気泡は50μm以下であることが好ましい。即ち、微細気泡が50μmを超えると、オゾンが水に溶解し難くなって本発明の効果が達成され難くなる。但し、10μm未満の微細気泡は発生し難い。
図2は、本発明を実施するために構成されるオゾン脱臭装置の一構成例を示す概略説明図であり、その基本的な構成は前記図1に示した構成と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付してある。即ち、図中4、5、6、7は前記図1に示した部分と同じであり、同様の機能を発揮するものである。また、図2では示していないが、脱臭ガスの下流側には、図1に示したガス清浄部8が設けられることになる。
図2に示した装置においては、反応塔11の下部にオゾン反応槽10が設けられており、このオゾン反応槽10には水が供給されると共に(ラインB1)、その貯水部に、オゾンガス発生器6によって発生したオゾンがオゾン溶解ポンプP0によってマイクロバブラ15a,15bを介して微細気泡(例えば、10〜30μm)として供給される。これによってオゾン反応槽10内の貯水部は、微細気泡のオゾンが水中に多量に溶解した状態となる。尚、オゾン含有水は、連続供給される場合には、必要によって(オーバフロの場合)抜き取られる(ラインC1)。
例えば、化学工場特に半導体エッチング液製造工程排水からの臭気ガスは、下水臭気と比較して、水溶性臭気成分が高濃度である(NH3:90ppm、CH3SH:18ppm)。また、食品工場特に製餡排水からの臭気ガスにおいても、水溶性臭気成分が高濃度に含まれている(H2S:10ppm、CH3SH:10ppm)。このような高濃臭気成分を含む臭気ガスを、図2に示す微細気泡オゾンを適用した湿式オゾン酸化脱臭プロセスの気液向流接触部4の下方から導入し(ラインA1)、水分散部7からの多量のオゾン含有水と数秒間効率良く接触させれば、水溶性NH3やH2Sは殆ど完全にオゾン酸化されることになる。しかしながら、水溶性のメチルメルカプタン(CH3SH)については、前述したように第2段階の完全酸化反応が律速反応であるので[前記(4)式]、上記気液向流接触部4でのオゾン接触だけでは、完全酸化物であるメタンスルホン酸が生成するのに必要なオゾン接触時間が不足することになる。その結果、完全酸化物であるメタンスルホン酸は生成されずに部分酸化されて、不溶性の二硫化メチル[(CH3)2S2]が生成され、腐ったキャベツのような臭気が残留することになる。
こうした臭気が充填塔上部から排出されないように、多量のオゾン含有水を気液向流接触部4の上部にある水分散部7から流下させて、下部のオゾン反応槽10へ流下させる。即ち、水溶性臭気ガスのNH3、H2S等は、気液向流接触部4で数秒間オゾン含有水と接触させることによって、完全酸化除去されるが、水溶性のメチルメルカプタンは、気液向流接触部4でNH3やH2Sと同様に処理しただけでは完全酸化されず、不溶性の二硫化メチル[(CH3)2S2]に部分酸化されることになる。この不溶性二硫化メチルが上昇ガスに同伴されて反応塔10の頂部から排出しないように、多量のオゾン含有水を流下させる。
下部のオゾン反応槽10では、マイクロバブラ15a,15bにより発生された気泡径が50μm以下の微細気泡と比較的効率良く接触されて、オゾンの溶解を促進すると共に、気液向流接触部4で部分酸化されて生成した不溶性の二硫化メチルが効率良く完全酸化されて脱臭される。
即ち、オゾンの微細気泡を高効率で溶解したオゾン反応槽では、マイクロバブラによる微細気泡オゾンと長時間接触されて、部分酸化物である疎水性(不溶性)の二硫化メチルが、完全酸化物である親水性(水溶性)のメタンスルホン酸に完全酸化分解されて脱臭されることになる。
尚、本発明を実施するに当たっては、水側バッチ処理の場合には、1日1回程度反応生成物をドレンとして取り出し(前記ラインC1)、浄水を供給する必要がある。尚、水側も連続供給する場合には、必要に応じてオーバーフローライン(ラインC)により排出する。
ところで、化工澱粉製造工程からの排水中には、全有機炭素(以下、「TOC」と略記する)が濃度5000mg/L程度含まれている。こうした排水は、活性汚泥処理されて、放流されるのが一般的である。こうした活性汚泥処理を処理するには、TOC≦4000mg/Lを満たす必要があり、この要件を満足しないことには活性汚泥菌が活動できない。
従来では、こうした事態に対応するために、排水中に過酸化水素(H2O2)を注入して、TOCの低減を図っていた。しかしながら、こうした処理では、残留する過酸化水素により活性汚泥菌が死滅してしまい、その後の活性汚泥処理ができないという事態が生じていた。また、過酸化水素は、酸化力が強いので、設備腐食や安全性の点で問題がある。
こうした状況の下で本発明者らがオゾン酸化処理について検討した。まず、前記図1に示した従来の構成のオゾン脱臭装置によって処理を行ったがTOCは十分に低減させることはできなかった。これに対して、図2に示す本発明の装置構成によるオゾン脱臭では、TOCが効果的に低減することができたのである。即ち、本発明方法は、こうしたTOCの低減としての技術的応用も可能である(後記実施例4)。
以下、本発明を実施例によってその効果を具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に応じて設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
前記図2に示した装置を使用し、半導体エッチング工程から排出される臭気ガスを処理した。このときの条件は、下記の通りである。
(1)脱臭ガス量:1.0m3/min[0.5m/sec×π/4×0.2×
0.2(m2)=0.5m/sec×0.0314(m2)=0.0157
m3/sec=1.03m3/min]
(2)装置サイズ:
(a)上部反応塔:200mmφ×1200mmh(充填高さ:600mm)
(b)下部オゾン反応槽:800mm(W)×700mm(L)×800mm(H)
(水深:400mm)
(3)運転条件:
(a)上部反応塔
(i)空塔速度:0.5m/sec
(ii)接触時間:1.2秒
(iii)液分散ノズル(水放出部)液量:0.0314m2×75m3×/h/
m2=2.36m3/h=40L(リットル)/分
(b)下部オゾン反応槽
(i)旋回流式マイクロバブラ[「BT−50FR」(商品名)(有)バブルタ
ンク社製]による微細気泡発生(長時間接触)
(ii)オゾン溶解ポンプ[「M25UP」(商品名)、ニクニ社製]
・滞留時間:4min
・吐出流量:50L/min
・吐出圧力:0.3MPa
・オゾンガス流量:4NL/min
・オゾン濃度:40g/m3
(iii)オゾン水;液側(オゾン水):バッチ処理、ガス側:連続フィード
(iv)水温:25℃
上記条件にて、気液向流接触部4の下部へ臭気ガスを導入し、上部液分散ノズルから流下するオゾン含有水と下部から上昇する臭気ガスを1.2sec間接触させることによって、臭気ガス中の臭気成分を分解した。その結果、臭気ガス中の水溶性高濃度アンモニア(90ppm)を閾値1.5ppm以下まで除去することができた。しかしながら、水溶性高濃度メチルメルカプタン(18ppm)は、この短時間では殆ど除去できなかったので、臭気ガスとして反応塔11の上部から流出するのを防止する必要があった。尚、このときマイクロバブラから発生する微細気泡は、液晶デジタルカメラ映像法によって測定してところ、気泡径は50μm以下であることが確認できた。
(1)脱臭ガス量:1.0m3/min[0.5m/sec×π/4×0.2×
0.2(m2)=0.5m/sec×0.0314(m2)=0.0157
m3/sec=1.03m3/min]
(2)装置サイズ:
(a)上部反応塔:200mmφ×1200mmh(充填高さ:600mm)
(b)下部オゾン反応槽:800mm(W)×700mm(L)×800mm(H)
(水深:400mm)
(3)運転条件:
(a)上部反応塔
(i)空塔速度:0.5m/sec
(ii)接触時間:1.2秒
(iii)液分散ノズル(水放出部)液量:0.0314m2×75m3×/h/
m2=2.36m3/h=40L(リットル)/分
(b)下部オゾン反応槽
(i)旋回流式マイクロバブラ[「BT−50FR」(商品名)(有)バブルタ
ンク社製]による微細気泡発生(長時間接触)
(ii)オゾン溶解ポンプ[「M25UP」(商品名)、ニクニ社製]
・滞留時間:4min
・吐出流量:50L/min
・吐出圧力:0.3MPa
・オゾンガス流量:4NL/min
・オゾン濃度:40g/m3
(iii)オゾン水;液側(オゾン水):バッチ処理、ガス側:連続フィード
(iv)水温:25℃
上記条件にて、気液向流接触部4の下部へ臭気ガスを導入し、上部液分散ノズルから流下するオゾン含有水と下部から上昇する臭気ガスを1.2sec間接触させることによって、臭気ガス中の臭気成分を分解した。その結果、臭気ガス中の水溶性高濃度アンモニア(90ppm)を閾値1.5ppm以下まで除去することができた。しかしながら、水溶性高濃度メチルメルカプタン(18ppm)は、この短時間では殆ど除去できなかったので、臭気ガスとして反応塔11の上部から流出するのを防止する必要があった。尚、このときマイクロバブラから発生する微細気泡は、液晶デジタルカメラ映像法によって測定してところ、気泡径は50μm以下であることが確認できた。
その対策として、反応塔負荷量:75m3/h/m2(通常は12m3/h/m2程度)と多量のオゾン含有水を上部から下部オゾン反応槽10に流下させた。このとき、下部オゾン反応槽10では、旋回流式マイクロバブラ15a,15bによるオゾン水の微細気泡により気液有効接触面積が増加され、更に微細気泡の上昇速度が遅いので、オゾン酸化分解反応が促進された。
上記操業を行ったところ、10min経過後には部分酸化されて不溶性の二硫化メチルが生成し、腐ったキャベツのような臭気が残留していたが、15min経過後には、メタンスルホン酸が生成され、脱臭されていた。
この操作における、最終的な臭気ガス成分は下記表2に示す通りであり、高濃度メチルメルカプタン(装置入口側濃度:18ppm)は、装置出側では0.004ppmまで除去されており、閾値の約4倍であるが、殆ど除去されていた。
前記図2に示した装置を使用し、製餡排水からの臭気ガスを処理した。このときの条件は、実施例と同様である。
気液向流接触部4の下部から臭気ガスを導入し(ガス量:1.0m3/min)、上部液分散ノズル(水分散部7)から流下するオゾン含有水と下部から上昇する臭気ガスを気液向流接触部4で1.2sec間接触させることによって、臭気ガス中の臭気成分を分解した。その結果、臭気ガス中の水溶性高濃度硫化水素(20ppm)を閾値1.5ppm以下まで除去することができた。しかしながら、水溶性高濃度メチルメルカプタン(10ppm)は、この短時間では殆ど除去できなかったので、臭気ガスとして反応塔11の上部から流出するのを防止する必要があった。
その対策として、反応塔負荷量:75m3/h/m2(通常は12m3/h/m2程度)と多量のオゾン含有水を上部から下部オゾン反応槽10に流下させた。
このとき、下部オゾン反応槽10では、旋回流式マイクロバブラ15a,15bによるオゾン水の微細気泡により気液有効接触面積が増加され、更に微細気泡の上昇速度が遅いので、オゾン酸化分解反応が促進された。
上記操業を行ったところ、7min経過後には部分酸化されて疎水性(不溶性)の二硫化メチルが生成し、腐ったキャベツのような臭気が残留していたが、12min経過後には、完全酸化されて、親水性(水溶性)のメタンスルホン酸が生成され、脱臭されていた。
この操作における、最終的な臭気ガス成分は下記表3に示す通りであり、高濃度メチルメルカプタン(装置入口側濃度:10ppm)は、装置出口では0.002ppmまで除去されており、閾値の約2倍であるが、殆ど除去されていた。
焙煎ゴマ製造工程の中の圧搾工程では、特に120℃まで加熱して圧搾されるので、焙煎ゴマの臭気が強烈であり、臭気対策が要請されており、これまでにもオゾン脱臭を含めて様々な脱臭法が検討されているが、これまでの方法ではいずれも臭気が残留している状況であった。
焙煎ゴマからの臭気は、約220種類の臭気成分が原因していることが知られている[(例えば、「油脂」vol.51,No.12.70(1998),幸書房発行)。臭気成分の主なものとしては、ピラジン類、ピリジン類、ピコール類、ピラゾール類、チオフェン類、チアゾール類、チオール類、ジスルフィド類、フランおよびフラノン類、炭化水素類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、フェノール類、脂肪酸類等、その殆どが不溶性物質より構成されている。
従来のオゾン脱臭等の方法では、焙煎ゴマの脱臭は困難であったが、本発明による方法を適用すれば、脱臭できたのである。本発明者らは、前記図2に示した装置構成を基本にしているが、焙煎工程中の圧搾機からのオイルミストは、120℃で排出されるので、脱臭処理を行うまでに特別の工夫が必要である。
こうした観点から構成されるオゾン脱臭装置の他の構成例を図3に示す。この装置構成においては、オゾン酸化処理を行うための反応塔11への前処理として、二段階の前処理(前処理1、前処理2)を行うように構成されている。
まず、前処理1では、圧搾機からのオイルミスト(120℃)を装置入口までの配管中で空気冷却される凝縮分を分離するためのトラップ装置17(図中、17a〜17cは凝縮分分離のための邪魔板)によって凝縮分が分離され、その後のオイルミストのみが前処理工程2に送られる。
オゾン脱臭工程では、オゾンの自己分解を極力小さくするために、オゾンの酸化反応の効率を向上させることが重要であり、そのためには、オゾン水温を常温に保持することが必要になってくる。前処理工程2は、こうした観点から設けられたものであり、その基本的な構成はその下流側に設置される反応塔11と同様の構成であるが、こうした装置を介在させることによって、冷媒冷却設備を備えた直接冷却設備12としての機能を発揮することになる。尚、このとき、後工程のオゾン脱臭工程でのオゾン負荷を低減するために、脱臭工程と同様にオゾンを吹き込むと共に、必要に応じて、オゾン水の一部をドレンとして排出するように構成されている。
本発明者らは、図3に示す構成の装置を用いてオイルミスト(オイルミスト量:1.0m3/min)を処理した。このときの前処理1および前処理2の仕様は下記の通りである。また、オゾン脱臭装置の仕様は前記実施例1と同様とした。
(前処理1)
型式:衝突式横型3段
サイズ:300(深さ)×500(幅)mm
材質:SUS304
(前処理2)
型式:直接冷却式充填塔
サイズ:200mmφ×1200mm
材質:SUS304
その他:上部ミストセパレータ内蔵
下部マイクロバブル式オゾン水溶解槽付き
前処理2における操業条件は、下記の通りである。また、酸化脱臭装置における操業条件は、オゾン反応槽および循環ポンプについては、前処理2と同様であるが、オゾン溶解ポンプP0については下記通りとした。
型式:衝突式横型3段
サイズ:300(深さ)×500(幅)mm
材質:SUS304
(前処理2)
型式:直接冷却式充填塔
サイズ:200mmφ×1200mm
材質:SUS304
その他:上部ミストセパレータ内蔵
下部マイクロバブル式オゾン水溶解槽付き
前処理2における操業条件は、下記の通りである。また、酸化脱臭装置における操業条件は、オゾン反応槽および循環ポンプについては、前処理2と同様であるが、オゾン溶解ポンプP0については下記通りとした。
(前処理2における操業条件)
(1)冷却器
冷却熱量:最大15000kcal/h
冷却水量:最大6L/min
(2)オゾン反応槽
初期充填量:220L(液深:400mm)
(3)循環ポンプP1
流量:最大40L/min
(4)オゾン溶解ポンプ
流量:55L/min
滞留時間:4min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン流量:3.0mg/L
(酸化脱臭装置における操業条件)
(1)オゾン溶解ポンプP0
流量:80L/min
滞留時間:2.5min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン流量:5.0mg/L
その結果、脱臭ファン出口ガスが効果的に脱臭さえれ、臭気が殆ど認識できない程度に脱臭されていた。
(1)冷却器
冷却熱量:最大15000kcal/h
冷却水量:最大6L/min
(2)オゾン反応槽
初期充填量:220L(液深:400mm)
(3)循環ポンプP1
流量:最大40L/min
(4)オゾン溶解ポンプ
流量:55L/min
滞留時間:4min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン流量:3.0mg/L
(酸化脱臭装置における操業条件)
(1)オゾン溶解ポンプP0
流量:80L/min
滞留時間:2.5min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン流量:5.0mg/L
その結果、脱臭ファン出口ガスが効果的に脱臭さえれ、臭気が殆ど認識できない程度に脱臭されていた。
前述の如く、化工澱粉製造工程からの排水中には、全有機炭素(以下、「TOC」と略記する)が濃度5000mg/L程度含まれている。こうした排水は、活性汚泥処理されて、放流されるのが一般的である。こうした活性汚泥処理を処理するには、TOC≦4000mg/Lを満たす必要がある。
本発明者らは、図2に示す本発明の装置構成による上記排水に対するオゾン酸化処理効果について検討した。このときの実験条件は、下記の通りである。
(サイズ)
上部反応塔:200mmφ×1200mm
下部オゾン反応槽:700mm(L)×800mm(W)×700mm(H)
まず、化工澱粉排水をオゾン反応槽10に、220Lを初期充填した。オゾン注入開始時をオゾン処理時間0minとして、オゾン溶解ポンプP0入口部よりオゾンを注入して、マイクロバブラ15a,15bから気泡径が50μm以下の無数の微細気泡を発生させることによって、オゾンによる酸化反応が起こり、TOCが無機物まで酸化されて炭酸ガスガスになり、TOCが低減されることになる。このとき、注入されたオゾン量に基づいて、オゾン注入率を下記の算出式により算出した。
上部反応塔:200mmφ×1200mm
下部オゾン反応槽:700mm(L)×800mm(W)×700mm(H)
まず、化工澱粉排水をオゾン反応槽10に、220Lを初期充填した。オゾン注入開始時をオゾン処理時間0minとして、オゾン溶解ポンプP0入口部よりオゾンを注入して、マイクロバブラ15a,15bから気泡径が50μm以下の無数の微細気泡を発生させることによって、オゾンによる酸化反応が起こり、TOCが無機物まで酸化されて炭酸ガスガスになり、TOCが低減されることになる。このとき、注入されたオゾン量に基づいて、オゾン注入率を下記の算出式により算出した。
オゾン注入率=オゾン発生量(g/h)×オゾン注入時間/初期充填量
(運転条件)
(1)初期充填率:220L(加工澱粉排水)
(2)循環ポンプP1
流量:40L/min(性能テスト開始後、臭気が発生したため)
(3)オゾン溶解ポンプP0
流量:最大40L/min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン量:4L/min
(4)オゾン発生器
オゾン量:20g/h
オゾン化酸素量:8NL/min
その結果を下記表4に示すが、オゾン処理時間が6分程度で、活性汚泥で処理できる程度までTOCが低減されていることが分かる。
(運転条件)
(1)初期充填率:220L(加工澱粉排水)
(2)循環ポンプP1
流量:40L/min(性能テスト開始後、臭気が発生したため)
(3)オゾン溶解ポンプP0
流量:最大40L/min
吐出圧力:0.3MPa
オゾン量:4L/min
(4)オゾン発生器
オゾン量:20g/h
オゾン化酸素量:8NL/min
その結果を下記表4に示すが、オゾン処理時間が6分程度で、活性汚泥で処理できる程度までTOCが低減されていることが分かる。
1 水洗塔
2 貯水部
3 ガス混合部
4 気液向流接触部
5 デミスタ
6 オゾンガス発生器
7 水分散部
8 ガス清浄部(廃オゾン除去部)
10 オゾン反応槽
11 反応塔
12 直接冷却設備
15a,15b マイクロバブラ
17 トラップ装置
2 貯水部
3 ガス混合部
4 気液向流接触部
5 デミスタ
6 オゾンガス発生器
7 水分散部
8 ガス清浄部(廃オゾン除去部)
10 オゾン反応槽
11 反応塔
12 直接冷却設備
15a,15b マイクロバブラ
17 トラップ装置
Claims (7)
- 臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するオゾン脱臭方法において、オゾンの微細気泡を分散させたオゾン含有水と臭気ガスを接触させて、臭気ガス中に含まれる水溶性臭気成分を酸化分解することを特徴とする臭気ガスのオゾン脱臭方法。
- オゾンの微細気泡の径が50μm以下である請求項1に記載のオゾン脱臭方法。
- 臭気ガスは、半導体エッチング液製造工程排水または餡製造工程排水から発生する臭気ガスである請求項1または2に記載のオゾン脱臭方法。
- 臭気ガスは、10ppm以上のメチルメルカプタンを臭気成分として含むものである請求項3に記載のオゾ脱臭方法。
- 臭気ガスは、焙煎ゴマ製造工程からのオイルミストから発生する臭気ガスである請求項1または2に記載のオゾン脱臭方法。
- 臭気ガス中に含まれる臭気成分をオゾン含有水で酸化分解処理するためのオゾン脱臭装置において、臭気ガスとオゾン含有水を接触させて臭気成分を酸化分解処理するための反応塔と、その下部に配置され、オゾン含有水を貯留するオゾン反応槽を備えると共に、前記オゾン反応槽中には、オゾンの微細気泡をオゾン含有水中に分散させるための機構が設けられており、オゾン微細気泡を含むオゾン含有水を前記反応塔上部から流下させ、該反応塔中で臭気ガスとオゾン含有水を接触させて酸化分解すると共に、該酸化反応後にオゾン含有水をオゾン反応槽内に戻す様に構成したものであることを特徴とするオゾン脱臭装置。
- 排水中に含まれる有機質成分をオゾン含有水で酸化分解して有機質成分を減少させる方法において、該排水中にオゾンを微細気泡として分散させることにより有機質成分を酸化分解する方法。
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JP2004025384A JP2005211869A (ja) | 2004-02-02 | 2004-02-02 | 臭気ガスのオゾン脱臭方法および装置 |
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JP2009136748A (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-25 | Sharp Corp | 脱臭装置および脱臭方法 |
JP2011115703A (ja) * | 2009-12-02 | 2011-06-16 | Yokoi Kogyo Kk | ガス処理装置 |
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2004
- 2004-02-02 JP JP2004025384A patent/JP2005211869A/ja active Pending
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