JP3772841B2 - 透過型スクリーン及び背面投写型画像ディスプレイ装置並びにマルチスクリーンディスプレイ装置 - Google Patents

透過型スクリーン及び背面投写型画像ディスプレイ装置並びにマルチスクリーンディスプレイ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型スクリーン、透過型スクリーンを備えた背面投写型画像ディスプレイユニット、及び複数の背面投写型画像ディスプレイユニットから構成されるマルチスクリーンディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型の映像発生源としての投写型ブラウン管や液晶表示装置などに表示された映像を、投写レンズにより拡大し透過型スクリーンに背面より投写する背面投写型画像ディスプレイ装置は、単体で映像表示装置として利用できるのみならず、例えば1台の背面投写型画像ディスプレイ装置を1ユニットとして、複数のユニットを縦横方向に隣接して設置し、各ユニットの画面に表示される映像を組み合わせて各種映像の合成・加工を行うマルチビジョン映像システムとしても利用されている。こうしたマルチビジョン映像システムに使用するマルチスクリーンディスプレイ装置は、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットのスクリーン上に、拡大した映像パターンを効果的に演出して表示でき、視聴者に強烈な印象を与えることができるため、ショールーム、イベント会場、ホテル、空港、駅などに幅広く設置され活用されている。
【0003】
図26は一般的な一体型マルチスクリーンディスプレイ装置の一例を示す斜視図である。4個の背面投写型画像ディスプレイユニットを2列2段に配列し、これら4個の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面があたかも1つの大画面を形成するように構成したものである。
【0004】
また、図27は、図26に示すマルチスクリーンディスプレイ装置の縦断面の要部を示す断面図であり、図28は、マルチスクリーンディスプレイ装置において使用される透過型スクリーンの一例の要部を示す斜視図である。
【0005】
図26、図27、及び図28において、1はマルチスクリーンディスプレイ装置の本体、1−1、1−2、1−3、1−4は背面投写型画像ディスプレイユニットのユニット筐体、2はスクリーン枠、5、5a、5bは光束を反射して折り曲げるためのミラー、6、6a、6bは投写レンズ、7は透過型スクリーン、8は投写型ブラウン管である。
【0006】
図26のマルチスクリーンディスプレイ装置において、各背面投写型画像ディスプレイユニットは、小型の映像発生源としての投写型ブラウン管の管面上に表示された画像を、投写レンズ6a、6bにより拡大し、光路折り曲げ用のミラー5a、5bを介して透過型スクリーン7に背面より投写する構成となっている。1ユニットの画面サイズは、対角で通常40インチ〜50インチ程度である。
【0007】
各背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7は、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートを組み合わせた構成となっているが、図26のマルチスクリーンディスプレイ装置においては、図28に示すように、各ユニットのフレネルレンズシート4a、4b、4c、及び4dを相互に隣接する端部で接着し、その観視側に4ユニット分相当の画面サイズのレンチキュラーレンズシート3を配置した一体型の構成となっている。この透過型スクリーン7は、スクリーン枠2によって保持され、ユニット筐体1−1、1−2、1−3、及び1−4が連結されてなるマルチスクリーンディスプレイ装置の本体1の前面に固定されている。
【0008】
マルチスクリーンディスプレイ装置としては、上述のような光路折り曲げ用のミラー5を有する背面投写型画像ディスプレイユニットを使用するもののほか、ミラー5を投写レンズと透過型スクリーンとの間に配置しないで、直接背面側より映像光を透過型スクリーンに投写する構成のユニットを使用したものもある。
【0009】
ここで、前記の個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの投写光学系の構成について説明する。
【0010】
図29は、画像ディスプレイユニットの投写光学系を水平面上に展開したときの概略を示す平面図である。
【0011】
図29において、8R、8G、8Bはそれぞれ赤、緑、青の投写型ブラウン管、6R、6G、6Bはそれぞれ投写型ブラウン管8R、8G、8B用の投写レンズ、10R、10G、10Bはそれぞれ赤、緑、青の投写光束である。図26、図27に示したマルチスクリーンディスプレイ装置の背面投写型画像ディスプレイユニットでは、投写光束10R、10G、10Bを折り返すためのミラーを使用しているが、図29ではこのミラーを省略し、直接投写する構成としている。また、9R、9G、9Bはそれぞれ投写レンズ6R、6G、6Bの光軸であり、透過型スクリーン7の中心付近の一点Soにおいて、レンズ集中角θ′で交わっている。
【0012】
図30は、上記の投写光学系に使用される従来技術の透過型スクリーン7の一例の、1ユニット部分の基本構成の要部を示す斜視図、また、図31は図30に示したレンチキュラーレンズシート3の、後述の第一、第二のレンチキュラーレンズが対向する部分の縦断面を示す断面図である。
【0013】
図30、図31において、3はレンチキュラーレンズシート、4はフレネルレンズシートである。14、17はそれぞれレンチキュラーレンズシート3、フレネルレンズシート4の基材であり、いずれも透明熱可塑性樹脂からなる。
【0014】
フレネルレンズシート4は、平面状の映像光入射面18と、フレネル凸レンズ形状の映像光出射面19とを有している。また、レンチキュラーレンズシート3は、第一のレンチキュラーレンズを連続して並べた形状の映像光入射面15と、第二のレンチキュラーレンズを並べた形状の映像光出射面16を有している。第一、第二のレンチキュラーレンズは、いずれもスクリーン画面垂直方向を長手方向とし、相互にほぼ対向して画面水平方向に配列される。光出射面16の第二のレンチキュラーレンズ相互間の境界部分には、凸形突起部12が設けられ、その上に有限幅の光吸収層(ブラックストライプ)13が設けられている。また、レンチキュラーレンズシート3の基材14中には、光を散乱させる光拡散材11の微粒子が分散されている。
【0015】
図30、図31に示す透過型スクリーン7においては、投写レンズからの映像光の光束Fは、フレネルレンズシート4によりほぼ平行な光束に変換され、レンチキュラーレンズシート3で画面水平方向、及び垂直方向に拡散される。このうち、画面水平方向の拡散は主に第一、第二のレンチキュラーレンズのレンズ作用によって行われ、画面垂直方向の拡散は光拡散材11によって行われる。
【0016】
上記のレンチキュラーレンズシート3とフレネルレンズシート4の基本的作用については、例えば、特開昭58−59436号公報、特開昭58−134627号公報に開示されている。また、基材中に光拡散材の微粒子が分散されたレンチキュラーレンズシートについては、例えば特開昭58−192022号公報に開示されている。
【0017】
レンチキュラーレンズシートの基材14が光拡散材11を含有せず、レンチキュラーシートの光出射面16に設けられた厚さの薄い光拡散層中に光拡散材が分散された構成の透過型スクリーンも実用化されている。この種の透過型スクリーンについては、例えば、特開平3−39944号に開示されている。
【0018】
また、画面垂直方向の光拡散を、スクリーン画面水平方向を長手方向とする横長レンチキュラーレンズの列をフレネルレンズシート4の光入射面に設け、上記の光拡散材と併用して行う技術も広く行われている。この横長レンチキュラーレンズについては、例えば、特開昭58−93043号公報に開示されている。
【0019】
フレネルレンズシート4の光束変換作用については、上記の説明において「ほぼ平行な光束に変換」と述べた。しかしながら、より正確には、単体の背面投写型画像ディスプレイ装置である家庭用のプロジェクションテレビの場合、例えば実開昭61−75677号公報(または実公平5−5748号公報)に開示されているように、透過型スクリーンの画面中心を通る法線とほぼ光軸が一致する投写光束(一般には緑色の投写光束)に着目し、この光束がフレネルレンズシート4を通過することにより有限の距離の点への集光光束に変換されるよう設計されるのが一般的である。これに対し、複数の背面投写型画像ディスプレイユニットから構成されるマルチスクリーンディスプレイ装置の場合は、例えば特開昭60−227240号公報、特開平3−226082号公報に開示されているように、いずれのユニットにおいても、透過型スクリーンの画面中心を通る法線とほぼ光軸が一致する投写光束(一般には緑色の投写光束)を、フレネルレンズシート4によってスクリーン面に垂直な平行光束に変換するよう設計されるのが一般的であり、詳細については後述する。
【0020】
ここで、透過型スクリーン7の指向特性について説明する。
【0021】
投写レンズから透過型スクリーンに投写される映像光の光量は有限であり、このため、観視者の観視方向として最もありふれた方向である画面正面方向から画面を見たときに明るく見えるように、透過型スクリーンには、元来、正面方向に重点的に光を配分するような指向性を与えるのが一般的である。
【0022】
図32は、透過型スクリーンに映出された映像を観視するときの、水平方向観視角α及び垂直方向観視角βについて説明するための概略斜視図であり、同図に示すように、スクリーンの法線方向をZ方向(観視側が正の方向)、画面水平方向をX方向(右が正の方向)、画面垂直方向をY方向(上が正の方向)とする。
【0023】
図32において、画面上の注視点(以下の説明において、特記しない場合は画面中心)を画面水平横方向の観視位置から観視するときの、観視方向とZ方向のなす角度αを水平方向観視角αと呼び、X方向の正の方向を水平方向観視角αの正の方向とする。同様に、その注視点を画面垂直上下方向の観視位置から観視するときの、観視方向とZ方向のなす角度βを垂直方向観視角βと呼び、Y方向の正の方向を垂直方向観視角βの正の方向とする。注視点を正面方向(Z方向)から観視するときは、水平方向観視角α、垂直方向観視角βとも0である。
【0024】
水平方向観視角α、または垂直方向観視角βの変化に対するスクリーン上の画像の輝度の変化の特性を、それぞれ、水平指向特性、垂直指向特性と呼ぶ。
【0025】
以下の説明においては、水平指向特性、垂直指向特性とも、画面に全白信号の映像を映出したときの注視点の輝度を、それぞれ最も明るい方向(最も輝度の高い方向)の輝度を基準(100%)とした相対輝度で論ずる。
【0026】
さて、水平指向特性については、前述のように投写レンズ6R、6G、6Bが画面水平方向にずれた位置に配置されることから、透過型スクリーン7の画面上の各点において、赤、緑、青の投写レンズからの主光線が異なる角度で入射するために、赤、緑、青の指向特性が一致せず、観視方向によって映像に赤み、あるいは青みを帯びるという現象が生じる。この現象はカラーシフトと呼ばれ、一般に、同一の透過型スクリーンであっても前述の各色の投写レンズの光軸のなすレンズ集中角θ′が大きくなるほど大きくなる。
【0027】
このカラーシフトを低減する方法として、前述の特開昭58−59436号公報では、画面中央において赤、緑、青の主光線がいずれも画面正面方向に出射するように、レンチキュラーレンズシート3の光出射面16の第二のレンチキュラーレンズの形状を楕円柱面とする技術が開示されている。また、前述の特開昭58−134627号公報では、各色の水平指向特性が互いにより近づくように、レンチキュラーレンズシート3の光入射面15の第一のレンチキュラーレンズの形状を、緑の光束に対して斜めに入射する赤と青の光束に光出射面付近でコマ収差を生じさせるような形状とし、光出射面16の第二のレンチキュラーレンズの形状を、上述のコマ収差に応じて赤と青の光束の出射方向を補償するような形状とする技術が開示されている。
【0028】
図33及び図34は、図30のレンチキュラーレンズシート3のA部の横断面における、それぞれ、緑の光束の光線追跡図、赤(または青)の光束の光線追跡図である。
【0029】
これらの図において、15L、16Lは、それぞれ、対をなすレンチキュラーレンズの光入射面と光出射面であり、図に示すように、第一のレンチキュラーレンズ面S0、第二のレンチキュラーレンズ面S1となっている。これらのレンズ面は、いずれも上記の特開昭58−59436号公報に開示された従来技術に基づく楕円柱面形状とされている。図中l−l’は、第一、第二のレンチキュラーレンズ面の光軸である。
【0030】
レンチキュラーレンズ3をこのような構成とすることにより、前述のレンズ集中角θ′が大きくない場合には、赤、緑、青の水平指向特性を近づけてカラーシフトを低減することができる。
【0031】
次に、マルチスクリーンディスプレイ装置の背面投写型画像ディスプレイユニットにおけるフレネルレンズシート4の光束変換作用について説明する。
【0032】
図32において、20R、20G、20Bは、それぞれ、赤、緑、青の投写型ブラウン管に結合された各色用の投写レンズの射出瞳を示す。
【0033】
従来のマルチスクリーンディスプレイ装置では、画面の明るさの均一性を向上するために、前述のように、透過型スクリーンの画面中心を通る法線とほぼ光軸が一致する投写光束(一般には緑色の投写光束)を、フレネルレンズシート4によってスクリーン面に垂直な平行光束に変換するよう設計されている。
【0034】
具体的には、フレネルレンズシート4の物側共役点の位置は、図32に示されている緑の投写型ブラウン管用の投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置に設定され、像側共役点の位置は映像観視側の無限遠の位置に設定される。
【0035】
図35は、従来の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用される上記のフレネルレンズシート4の光束変換作用の概略を示す平面図であり、先に説明した図29と同様に水平面上に投写光学系を展開して描いてあるが、説明の都合上、レンチキュラーレンズシート3は記載を省略してある。
【0036】
また、図29においては投写レンズの光軸のなすレンズ集中角θ′を表示していたが、図35においては、赤と青の投写レンズの射出瞳20R、20Bのそれぞれ中心と透過型スクリーンの画面中心を結ぶ直線が、緑の投写レンズの射出瞳20Gの中心と透過型スクリーンの画面中心を結ぶ直線となす角度θ(以下、スクリーン集中角と記す)を表示している。そのほか、図35において、図29と同等の部分には、共通の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図35において、フレネルレンズシート4の物側共役点の位置は、緑の投写型ブラウン管用の投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置に設定され、像側共役点の位置は映像観視側の無限遠の位置に設定されており、緑の投写光束のうち投写レンズの射出瞳20Gの中心を通る主光線は、フレネルレンズシート4を通過すると全てスクリーン面に垂直な平行光束に変換される。
【0038】
このとき、背面投写型画像ディスプレイユニットを上下左右に連結すると、全部のユニットのフレネルレンズシート4から出射する緑色の主光線の光束は互いに平行となり、ユニットの連結部分においても連続的に分布することになるため、ある観視位置からマルチスクリーンディスプレイ装置の画面全体を観視したときの画面の明るさの均一性が良好となる。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の透過型スクリーン、背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置においては、いくつかの解決すべき課題がある。以下これらの課題について、実際の設計例に即して説明する。
【0040】
まず、従来の透過型スクリーンの設計例を次に示す。
【0041】
表1は、従来の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の光入射面15L(レンズ面S0)と光出射面16L(レンズ面S1)のレンチキュラーレンズ形状の設計例を示す表である。
【0042】
また、表2は、従来の透過型スクリーンのフレネルレンズシート4の光入射面18(レンズ面S0)と光出射面19(レンズ面S1)のレンズ形状の設計例を示す表である。
【0043】
【表1】
Figure 0003772841
【0044】
【表2】
Figure 0003772841
【0045】
ここで、表1と表2のレンズ形状のデータの読み方について説明する。
【0046】
図36はレンズ形状を定義するための座標軸を示す説明図である。同図に示すように、レンズの光軸方向をZ軸にとり、レンズの半径方向をr軸にとる。Z軸の正の方向は、図32におけるZ方向と同じく、透過型スクリーンから画像観視側に向かう方向とする。r軸の正の方向は、図32におけるX方向の正の方向とするが、レンチキュラーレンズの場合にあっては、X方向の負の方向をr軸の正の方向と考えても差し支えない。
【0047】
このとき、レンズの断面輪郭形状を、Z軸からの半径方向の距離rの関数Z(r)で表す。
【0048】
表1、及び表2に示す曲率半径RD、円錐係数CC、非球面係数AE、AF、AG、AHは、レンズ形状Z(r)を次式で表現したときの係数である。
【0049】
【数14】
Figure 0003772841
【0050】
数14において、曲率半径RDの符号が正の場合は、そのレンズ面の曲率中心が、レンズ面よりZ軸の正の方向(光軸のlからl’に向かう方向)に位置することを示す。
【0051】
さて、表1においては、光入射面15L(表中ではS0と表示)の曲率半径RDが0.36213mmであり、また、レンチキュラーレンズのピッチPが0.850mm、光入射面15Lから光出射面16L(表中ではS1と表示)までの光軸l−l’上の面間距離(面間隔)tが1.09mm、その間の媒質の屈折率が波長545nmの光に対して1.494であることが示されている。光入射面15Lのレンチキュラーレンズの有効半径は、レンズピッチPの1/2であり、0.425mmとなる。
【0052】
一方、表2においては、光入射面18(S0)は、曲率半径が無限大、すなわち平面であり、有効半径が558.0mm、光入射面18(S0)から光出射面19(S1)までの光軸l−l’上の距離(面間隔)が3.0mm、その間の媒質の屈折率が波長545nmの光に対して1.540であることが示されている。有効半径は、画面対角寸法の1/2である。
【0053】
光出射面19(S1)のレンズ形状は、実際にはフレネルレンズ形状であり、表2に示すレンズ形状を、光軸を中心とする所定のピッチの輪帯に区切り、断面が鋸歯状となるようフレネルレンズ化した形状となっている。この場合、レンズ形状設計にあたっては、フレネルレンズの輪帯ピッチを仮想的に無限小とし、画面上の各点において必要なレンズ面の傾きから数14の各係数を求めるという手順で設計される。
【0054】
以上が表1、及び表2のレンズ形状のデータの読み方である。
【0055】
ここで、上記の従来技術の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の設計例における、光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)をrで2回微分して得られる2次微分係数d2Z(r)/dr2(以下、Z″(r)と略記する)について示しておく。
【0056】
図37は、表1のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lのレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)の値を示す特性図である。
【0057】
同図において、横軸は、レンチキュラーレンズの半径方向の距離r(図36に示すr軸座標による)の、有効半径P/2に対する相対半径であり、縦軸は、2次微分係数Z″(r)の値である。
【0058】
この2次微分係数Z″(r)については、後述する本発明の実施の形態の説明において、詳細に述べる。
【0059】
さて次に、上記の透過型スクリーンの設計例に基づき、透過型スクリーンと背面投写型画像ディスプレイユニットの解決すべき課題について述べる。
【0060】
透過型スクリーンと背面投写型画像ディスプレイユニットの課題としては、スクリーン集中角が大きい投写光学系においても充分に適視範囲を拡大し、より広い範囲から観視できるようにすることが挙げられる。
【0061】
これを実現するためには、赤、緑、青の3原色の水平指向特性を拡大すると同時に、カラーシフトを低減する必要がある。以下、これについて説明する。
【0062】
前述のように、透過型スクリーンには、元来、正面方向に重点的に光を配分するような水平指向特性、垂直指向特性が与えられている。このため、水平指向特性と垂直指向特性を拡大するためには、画面の明るさを犠牲にしなければならないというトレードオフの関係がある。
【0063】
透過型スクリーン上に表示される映像を観視するのに適した地点は、画面の明るさが観視に堪える明るさであることと、赤、緑、青の3原色の色バランスの破綻がないという2条件を満足する一定の領域(以下、適視領域という)に限定される。
【0064】
一方、近年、背面投写型画像ディスプレイユニット、マルチスクリーンディスプレイ装置は、狭い設置スペースでも設置できるように奥行きの短縮のニーズがあり、このため、スクリーン集中角θが大きくなる傾向がある。この場合、従来の透過型スクリーンをそのまま、スクリーン集中角の大きい光学系に使用すると、前述のカラーシフトが増加し、水平方向の適視領域が狭くなってしまう。
【0065】
スクリーン集中角の大きい投写光学系を有する背面投写型画像ディスプレイユニットの場合の例として、スクリーン集中角θが10度のときの、前述の透過型スクリーンによる水平指向特性を次に示す。
【0066】
図38、図39は、スクリーン集中角θが10度の投写光学系において、透過型スクリーン7として表1に示した従来技術によるレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を用いた場合について、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面中心を注視点としたときの、緑の水平指向特性と、赤と青の水平指向特性の計算結果をそれぞれ示す。計算にあたっては、レンチキュラーレンズシート3は光拡散材を有していないものとして計算した。
【0067】
また、図40は、同じく、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面水平方向右端の中央を注視点としたときの、赤と青の水平指向特性の計算結果を示しているが、詳細については後述する。
【0068】
図38に示すように、従来技術による透過型スクリーンでは、水平方向観視角αが±48度を超える位置においてスクリーン上の画像を観視できない。この透過型スクリーンをマルチスクリーンディスプレイ装置に使用すると、観視位置によっては、画面の一部が見えなくなったりするという問題が発生する。
【0069】
また、カラーシフトについては、図39に示すように、±45度の水平方向観視角αでは、相対輝度で50%もの差が生じ、極めて大きいカラーシフトとなっている。
【0070】
これらの点から、従来技術による透過型スクリーンでは、投写光学系のスクリーン集中角が大きくなると、水平方向には充分な適視領域が得られない。
【0071】
一方、各色の垂直指向特性については、図29に示したような、赤、緑、青の3色の投写型ブラウン管を水平方向に配置した投写光学系では、ほぼ同等となってカラーシフトの問題は発生しない。
【0072】
図41は、前述の特開昭58−192022号公報と特開昭58−93043号公報とに開示された従来技術の併用により得られる一般的な透過型スクリーンにおける垂直指向特性を示す。この特性は、赤、緑、青のいずれの色の投写光についてもほぼ同等である。
【0073】
図41に示すように、垂直方向観視角βが±30度を超える位置においてはスクリーン上の画像をほとんど観視できない。また、相対輝度が50%となる観視角βは±8.5度程度であり、充分に広いとは言えない。
【0074】
この垂直指向特性は、レンチキュラーレンズ3の基材14中の光拡散材を増量するなどの方法により拡大することができるが、画面の明るさがトレードオフの関係にある。垂直指向特性については、本発明の議論の範囲外であり、詳細は省略する。
【0075】
次に、マルチスクリーンディスプレイ装置の解決すべき課題について述べる。
【0076】
マルチスクリーンディスプレイ装置の課題としては、画面の色均一性向上が挙げられる。
【0077】
従来のマルチスクリーンディスプレイ装置においては、前述のように、透過型スクリーンの画面中心を通る法線とほぼ光軸が一致する投写光束(一般には緑色の投写光束)について、投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置と、映像観視側の無限遠の位置とをそれぞれフレネルレンズシート4の物側共役点、像側共役点の位置とすることにより、投写レンズの射出瞳20Gの中心を通る主光線について、フレネルレンズシート4からの出射光束がスクリーン面に垂直な平行光束となるようにして画面の明るさの均一性を向上させている。なお、以下の説明においても、説明を簡明にするため、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の出射光束については、それぞれ投写レンズの射出瞳20R、20G、20Bの中心を通る主光線の光束について述べることとする。
【0078】
さて、上記の場合、図35において示したように、フレネルレンズシート4の中心において、前述のスクリーン集中角θに起因して、緑の投写光束についてはフレネルレンズシート4からの出射光束がスクリーン面に垂直な平行光束となっても、赤と青の投写光束については平行光束とはならず、収束光束となってしまう。
【0079】
このため、フレネルレンズシート4の観視側に位置するレンチキュラーレンズシート3への、赤色光線と青色光線の入射角度の水平角度成分(図32において、赤色入射光線、青色入射光線を、同図のY方向に垂直な水平面に投影した線が、Z方向となす角度をいう)が画面各部で一様ではなく変化するので、赤色映像光と青色映像光の水平指向特性が透過型スクリーン上の場所ごとに変わってしまう。これにより、マルチスクリーンディスプレイ装置の奥行き短縮のためにスクリーン集中角θを大きくしたときに、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの表示画面の色の均一性、さらには複数のユニットを連結してなるマルチスクリーンディスプレイ装置の表示画面の色の均一性は、著しく損なわれてしまう。
【0080】
これについて、前述の従来技術の透過型スクリーンの設計例に基づいてさらに説明する。
【0081】
表2に示したフレネルレンズシート4のレンズ形状の設計例では、フレネルレンズシート4の物側共役点位置を緑色光束の投写レンズ6Gの射出瞳20Gの中心位置とし、像側共役点位置を透過型スクリーンに垂直な方向の無限遠としている。物側共役点距離(フレネルレンズシート4から物側共役点までの距離)は745mmである。
【0082】
次に、上記の表2の設計例のフレネルレンズシート4を図35に示す投写光学系に用いたときの、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の投写光束の出射方向を計算した結果を示す。
【0083】
図42は、表2の設計例のフレネルレンズシート4について、赤、緑、青の投写光束がフレネルレンズシート4から出射するときの出射角度の水平角度成分を計算した結果を示す。ここで、出射角度の水平角度成分とは、図32において、各色の出射光線を、Y方向に垂直な水平面に投影した線がZ方向となす角度をいう。計算にあたっては、スクリーン集中角θを10度として計算した。
【0084】
図42において、横軸はフレネル中心からの距離r、縦軸は赤、緑、青の映像光の、フレネルレンズシートからの出射角度の水平角度成分αR、αG、αBを示している。rの正の方向は図32に示すX方向の正の方向と同じであり、αR、αG、αBの符号は、図32に示す水平方向観視角αの正負と同じとしている。
【0085】
図42からわかるように、画面中央と周辺部とではフレネルレンズシート4からの映像光線の出射角度の水平角度成分が変化する。画面中央では、各色映像光の出射角度は、緑(αG)が0度(すなわち、フレネルレンズシート4の光軸に平行)、赤(αR)、青(αB)がそれぞれ10度、−10度であるのに対して、例えば画面水平方向右端における出射角度の水平角度成分は、赤(αR)が8.2度と画面中央より小さくなり、青(αB)が−11.8度と画面中央より大きくなる(絶対値で比較)。
【0086】
このため、緑の映像光の光束についてはフレネルレンズシート4からの出射光束がスクリーン面に垂直な平行光束となっても、赤と青の映像光の光束については平行光束ではなく、収束光束となっている。
【0087】
このことは、赤と青の映像光の光束のレンチキュラーレンズシート3への入射角度の水平角度成分が画面中央と周辺部とで変わることを意味し、レンチキュラーレンズシート3のレンズ形状が画面中央と画面周辺部とで同じであっても、赤色映像光と青色映像光の水平指向特性が、画面上の場所によって異なる特性となる。
【0088】
先に示した図38、図39、図40は、いずれも、表2の設計例のフレネルレンズシート4を、前述の従来技術によるレンチキュラーレンズシート3と組み合わせて透過型スクリーン7としたときの各色の水平指向特性の計算結果を示している。図40(個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面水平方向右端の中央を注視点としたときの計算結果)と、図39(同じく、画面中央を注視点としたときの計算結果)とを比較すると、赤と青の水平指向特性が注視点によって大きく異なっていることがわかる。これにより、従来技術による透過型スクリーンでは、スクリーン集中角が大きくなると、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの表示画面、さらには複数のユニットを連結してなるマルチスクリーンディスプレイ装置の表示画面をある観視位置から観視したときの色の均一性が、大きく損なわれる。
【0089】
以上述べたような点から、従来技術による透過型スクリーンでは、スクリーン集中角が大きくなると、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの表示画面、さらには複数のユニットを連結してなるマルチスクリーンディスプレイ装置の表示画面において、充分な色の均一性が得られない。
【0090】
本発明の目的は、上述の従来技術における課題を解決し、スクリーン集中角が大きい投写光学系を使用するにあたっても充分広い適視領域を有し、かつ、画面の色の均一な透過型スクリーンと、その透過型スクリーンを備えて広い範囲から観視でき、画面の色の均一性に優れた背面投写型画像ディスプレイユニットと、その背面投写型画像ディスプレイユニットを複数連結して構成されるマルチスクリーンディスプレイ装置を提供することにある。
【0091】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の透過型スクリーンにおいては、少なくとも1枚のレンチキュラーレンズシートの光入射面と光出射面とに設けるスクリーン画面垂直方向を長手方向とする第一、第二のレンチキュラーレンズの形状を最適化することにより、投写光学系の集中角が大きい場合であっても各色映像光の水平指向特性が大幅に改善されるようにした。
【0092】
具体的には、レンチキュラーレンズシートを下記のような設計とする。
【0093】
(1)光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を、映像発生源側に凸形で、かつ光軸に関してほぼ対称で、さらに下記(a)、(b)、(c)のような縦球面収差特性(一般的な定義については後述する)を有する形状とする。
【0094】
(a)投写レンズの射出瞳の中心を通る映像光の主光線の光束のうち、光入射面15Lのレンチキュラーレンズ面を光軸l−l’付近において通過する光線が、光出射面のレンチキュラーレンズ16Lに至る手前で一旦結像する。この結果、水平方向観視角が10度から35度にかけての相対輝度を大きくすることができる。
【0095】
(b)映像光の主光線の光束のうち、光入射面15Lのレンチキュラーレンズ面を光軸l−l’付近で通過する光線の結像の位置が、光軸l−l’から離れた場所で通過する光線の結像位置より光入射面側(Z軸の負の方向)にある。
【0096】
(c)光軸l−l’にほぼ平行な緑色映像光の主光線の光束のうち、光入射面15Lのレンチキュラーレンズ面を光軸l−l’から離れた場所で通過する光線は、光軸と交差せずに光出射面のレンチキュラーレンズ16Lに至る。
【0097】
(2)光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズは、その断面輪郭形状を前述の数14に示す関数Z(r)で表したときの2次微分係数d2Z(r)/dr2(以下、Z″(r)と略記する)の値が下記のような特性を有する形状とする。ただし、Z軸の正の方向は、図36に示すように、透過型スクリーンから画像観視側に向かう方向である。
【0098】
(d)2次微分係数Z″(r)は、相対半径r/(P/2)=0の点(光軸上の点)で極小値Z″(0)となり、相対半径が0から大きくなるにつれて徐々に増加し、相対半径0.75付近の点(r=h1の点)で極大値Z″(h1)となり、相対半径がさらに大きくなると2次微分係数Z″(r)は単調減少となって、相対半径が0.90付近の点(r=h2の点)で符号が正から負に反転する。これにより、相対半径が0から0.75付近にかけてはレンズ作用が強くなり、相対半径が0.75付近から1.0にかけてはレンズ作用が弱まる形状となっている。
【0099】
(e)2次微分係数Z″(r)の極大値Z″(h1)と極小値Z″(0)の比率p=Z″(h1)/Z″(0)の値が1.95<p<2.24、より好ましくは、2.08<p<2.23を満足する。
【0100】
比率pがこの範囲の上限値より大きい場合、あるいは下限値より小さい場合には、赤、緑、青の各色の水平指向特性が近い特性とならず、カラーシフトがあまり低減されないため、画像の色の均一性が悪くなる。
【0101】
なお、従来技術によるレンチキュラーレンズシートでは、図37に示したように、光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズは、その断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)は、r=0(光軸上)で極小値となり、相対半径が大きくなるにつれて単調増加となり、レンズ作用が徐々に強まる形状となっている。
【0102】
(3)光出射面16Lの第二のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状は、画像観視側に凸形となり、かつ光軸に関してほぼ対称である。
【0103】
(4)光軸上における光入射面と光出射面の距離(面間距離)tが、光入射面15Lのレンチキュラーレンズ面を半径r=±h1の点に入射する光軸l−l’にほぼ平行な光線が光軸l−l’を横切る点と光入射面15Lのレンチキュラーレンズの頂点との距離Lより長く、同様にレンチキュラーレンズ面を半径r=±h2の点に入射する光軸l−l’にほぼ平行な光線が光軸l−l’を横切る点(図示せず)と光入射面15Lのレンチキュラーレンズの頂点との距離より短い。ただし、h1、h2は、それぞれ、上述の2次微分係数Z″(r)が極大値となる点と、符号が反転する点の半径rの値である。
【0104】
上記のような設計によるレンチキュラーレンズシートの作用について説明するに先立ち、ここで縦球面収差の一般的な定義について説明しておく。
【0105】
図43は、レンチキュラーレンズの横断面における一般的な縦球面収差を説明するための断面図である。
【0106】
図43において、光入射面15Lのレンチキュラーレンズの断面形状は円としている。このとき、光軸l−l’に平行な入射光束のうち、光軸l−l’付近を通過する光線(図中H0で入射位置を示す)と、光軸l−l’から離れた場所を通過する光線(図中H2で入射位置を示す)とでは、レンチキュラーレンズ面S0の屈折力が異なり、光出射面16L付近での結像位置が異なり、収差が発生している。
【0107】
すなわち、光軸l−l’から離れた場所に入射する光線による結像位置の方が、光軸l−l’付近に入射する光線による結像位置より光入射面15Lに近くなっている。
【0108】
このような収差が、一般に、縦球面収差と呼ばれる。上記の場合のように、光軸l−l’から離れた場所に入射する光線による結像位置の方が、光軸l−l’付近に入射する光線による結像位置より光入射面15Lに近い場合を、以下では「正の縦球面収差」とし、その逆に、光軸l−l’付近に入射する光線による結像位置の方が、光軸l−l’から離れた場所に入射する光線による結像位置より光入射面15Lに近い場合を、以下では「負の縦球面収差」とする。
【0109】
さて、前述のレンチキュラーレンズシートの作用について、次に説明する。
【0110】
光入射面15L、光出射面16Lの形状を上記のような形状にすると、光軸l−l’から離れた場所を通過する光線は、光出射面16Lに臨界角に近い角度で入射するため映像光線は光出射面16Lにおいて大きく屈折する。このため、従来技術のレンチキュラーレンズシートに比べて、各色の水平指向特性を大幅に拡大できる。また、スクリーン集中角θが10度程度と大きい場合でも、入射光束のほぼ中心に位置する映像光線は、光出射面16Lで屈折したのち光軸l−l’にほぼ平行に出射され、各色の水平指向特性が近い特性となり、カラーシフトが大幅に低減する。
【0111】
特に、光入射面15Lに斜めに入射する赤色光、青色光の光線のうち、光軸l−l’から離れた点に入射する光線は、光入射面15Lにおいて2次微分係数Z″(r)の値が減少する領域を通過し、光出射面16Lにおいて光軸l−l’付近のレンズ面の傾きが比較的小さい領域を通過し、水平方向観視角αが±30度を超える領域に出射する。これにより、光入射面15Lと光出射面16Lのレンチキュラーレンズの形状は、光入射面15Lへの映像光線の入射角が若干変化しても、水平指向特性に与える影響が僅少に抑えられている。
【0112】
このとき、ある観視位置から画面上の異なる注視点を観視したとき、それらの注視点の水平方向観視角αは少し異なるが、各色の水平指向特性が近い特性になっているため画面の色均一性は良好になる。本実施例の透過型スクリーンによれば、水平方向のほとんどの観視位置において画面の色均一性が優れており、スクリーン集中角が大きい場合であっても広い適視領域を実現できる。
【0113】
また、マルチスクリーンディスプレイ装置の画面の色均一性向上については、少なくとも1枚のフレネルレンズシートの物側共役点の位置を緑色投写光束の投写レンズの射出瞳の中心点に配置し、像側共役点の位置を最適設計することにより、投写光学系の集中角が大きい場合であっても大幅に改善されるようにした。
【0114】
具体的には、フレネルレンズのレンズ形状を、緑色投写光束に関して、像側共役点を物側に配置し、投写レンズの射出瞳の虚像を発生させ、フレネルレンズシート4からの出射する緑の映像光線のうち投写レンズの射出瞳の中心を通る主光線が若干発散光束となるような形状とする。
【0115】
このとき、フレネルレンズシート4の物側共役点を投写レンズの射出瞳の中心に配置し、像側共役点を物側共役点より映像発生源側に配置し、物側共役点と像側共役点の間にフレネル焦点が存在するように、次の関係式を満足する設計とする。ただし、物側共役点Aからフレネルレンズシート4までの距離(以下、物側共役点距離という)をLaとし、フレネルレンズシート4から像側共役点Bまでの距離(以下、像側共役点距離という)をLbとし、フレネルレンズの焦点距離をfcとし、La、Lb、fcはいずれも正の値とする。
【0116】
【数15】
La<fc<Lb
上記のようにフレネルレンズシートを設計することにより、画面中央と周辺部でのフレネルレンズシート4からの赤色映像光の出射角度の水平角度成分αRと青色映像光の出射角度の水平角度成分αBの変化が軽減され、赤色映像光と青色映像光の指向特性がスクリーンの全領域でほぼ近い特性となる。
【0117】
このとき、αRとαBは、画面全域にわたって、次の条件式を満足する設計とするのが好ましい。
【0118】
【数16】
|αR+αB|<|θ/3|
さらにより良好な性能を得るためには、次の条件式を満足する設計とすればよい。
【0119】
【数17】
|αR+αB|<|θ/5|
上記の条件式が満足されない場合には、従来の透過型スクリーンのフレネルレンズシートのように、フレネルレンズシート4からの赤色映像光の出射角度の水平角度成分αRと青色映像光の出射角度の水平角度成分αBの変化が大きくなり、画面上の位置によっては、赤色映像光と青色映像光の指向特性が大きく食い違ってカラーシフトが大きくなり、画像の色の均一性が損なわれる。
【0120】
一方、フレネルレンズシート4からの出射する緑の映像光線が若干発散光束となるようフレネルレンズ形状を設計する場合、緑の映像光線が発散しすぎると画面周辺部の明るさが暗くなったり、背面投写型画像ディスプレイユニットを積み上げてマルチスクリーンディスプレイを構成したときに上下に隣接するユニットの境界部で画像の明るさに段差を生じたりすることがある。このような副作用を防ぐため、各背面投写型画像ディスプレイユニットの画像の明るさの均一性を向上するとともに、上下に隣接するユニットの境界部で画像の明るさをほぼ同等にしなければならない。
【0121】
各背面投写型画像ディスプレイユニットの画像の明るさの均一性を向上するためには、透過型スクリーンの画面垂直寸法Hと投写レンズ6の射出瞳の直径Dの関係が次式を満足するように、物側共役点距離Laと像側共役点距離Lbを決めれば良い。
【0122】
【数18】
D×Lb/La≧H
このとき、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットにおいて、フレネルレンズシートにより投写レンズの射出瞳の拡大虚像が作られ、観視位置から見ると投写レンズの射出瞳が巨大に見えるようになり、レンチキュラーレンズシートを組合せたときの画面全体の明るさの均一性を向上する。この条件を満足しない場合は、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットにおいて、フレネルレンズシートによって作られる投写レンズの射出瞳の虚像が画面縦寸法より小さくなり、観視位置から見ると投写レンズの射出瞳が小面積部分のみで明るく見えるようになり、レンチキュラーレンズシートを組合せたときの画面全体の明るさの均一性が良好ではなくなる。
【0123】
一方、上下に隣接するユニットの境界部で画像の明るさをほぼ同等にするためには、フレネルレンズシートの光出射面から出射する緑色映像光の出射角度の垂直角度成分θsが、1.75度以下となるようにフレネルレンズを設計すればよい。ここで、出射角度の垂直角度成分θsとは、緑色の出射光線を、図32に示すX方向に垂直な垂直断面に投影した線がZ方向となす角度をいい、光束が発散のとき正の値をとるものとする。
【0124】
このとき、背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ね、上段の画面の最下点と下段の画面の最上点を注視点とした場合、下段の画面の正面方向5mの距離から観視すると、これらの2点の明るさは不連続となるが、輝度比は1dB以下に収まり、実用上問題ない水準となる。
【0125】
さらに優れた性能を得るためには、フレネルレンズシートの光出射面から出射する緑色映像光の出射角度の垂直角度成分θsを1.0度以下となるようにフレネルレンズを設計すればよい。このときは、下段の画面の正面方向3mの距離から観視したときの輝度比が1dB以下に収まる。
【0126】
上記構成のレンチキュラーレンズシートとフレネルレンズシートを組み合わせて透過型スクリーンを構成すると、背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置において、インライン配置の中央に位置する投写型ブラウン管などの映像発生源からの出射光は投写レンズを経て透過型スクリーンに入射し、フレネルレンズシート4において若干の発散光となって通過する。この時、スクリーン集中角が10度程度と大きい場合であっても、インライン配置された他の映像発生源から発してフレネルレンズを通過する映像光のレンズ面からの出射角は中心から周辺部まで大きく変化せず、そのまま透過型スクリーンの映像観視側に配置されたレンチキュラーシート3に入射し、このレンチキュラーシート3の入射面と出射面に設けられたレンチキュラーレンズの形状により画面水平方向の拡散が制御され、水平指向特性が十分に広く、かつカラーシフトの発生が極めて少なく、広い適視領域が得られる。
【0127】
なお、この場合、フレネルレンズシートからの赤色、緑色、及び青色の映像光の出射角度の水平角度成分(それぞれ、αR、αG、αB)のバランスをとった設計とすれば、より一層の効果が得られる。
【0128】
具体的には、次の条件式を満足するようにフレネルレンズシートを設計すればよい。
【0129】
【数19】
|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|<|θ/3|
より好ましくは、次の条件式を満足するようにすれば、さらに充分な効果が得られる。
【0130】
【数20】
|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|<|θ/5|
上記の条件式を満足するフレネルレンズシートを用いた透過型スクリーンによれば、画面明るさの均一性と画面の色均一性の極めて良好なマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる。
【0131】
【発明の実施の形態】
まず最初に、本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシートの実施の形態の例について図面を用いて説明する。
【0132】
本発明の透過型スクリーンは、図30に示した従来の透過型スクリーンと同様に、少なくともフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを構成要素として有している。従来技術としてのこれらのシートの基本的な構成及び作用については、その概要を先に述べたのでここでは説明を省略する。
【0133】
図1、及び図2は、本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3における1対の光入射面と光出射面の部分の横断面を示す拡大断面図であり、このうち図1には、光軸l−l’に平行に映像光線が入射した場合の光線の概略の経路を示し、また、図2には、光軸l−l’に対して斜め方向(スクリーン集中角θが10度に相当)から映像光線が入射した場合の光線の概略の経路を示している。
【0134】
これらの図において、15L、16Lは、それぞれ第一のレンチキュラーレンズ面形状を有する光入射面、第二のレンチキュラーレンズ面形状を有する光出射面、12は凸形突起部、13は光吸収層である。
【0135】
表3に、図1、及び図2に示すレンチキュラーレンズシート3の光入射面15L(表中ではS0と表示)と光出射面16L(表中ではS1と表示)のレンチキュラーレンズ形状の設計例を示す。この設計例では、光入射面15Lのレンチキュラーレンズの有効半径P/2は0.3605mmである(ピッチPの1/2倍)。
【0136】
【表3】
Figure 0003772841
【0137】
ここで、表3のレンズ形状のデータの読み方は、前述の表1のレンズ形状のデータの読み方と同じである。
【0138】
表3の設計例のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15L及び光出射面16Lに設けた第一、第二のレンチキュラーレンズの形状について、図を用いて詳細に説明する。
【0139】
図3、及び図4は、表3の設計例の第一、第二のレンチキュラーレンズの1対の部分の横断面を示す拡大断面図であり、このうち図3には、緑色の映像光線のうち投写レンズの射出瞳20Gの中心を通る主光線の光束が、光軸l−l’に平行に入射した場合の光線の概略の経路を示す。また、図4には、赤色または青色の映像光線のうち投写レンズの射出瞳20Rまたは20Bの中心を通る主光線の光束が、光軸l−l’に対して斜め方向(スクリーン集中角θが10度に相当)から入射した場合の光線の概略の経路を示している。以下の説明においても、説明を簡明にするため、レンチキュラーレンズシート3への赤、緑、青の各色の入射光束については、それぞれ投写レンズの射出瞳20R、20G、20Bの中心を通る主光線の光束について述べることとする。
【0140】
また、図5は、表3の設計例のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を、前述の数14に示す関数Z(r)で表したときの2次微分係数d2Z(r)/Dr2(以下、Z″(r)と略記する)を示す特性図である。
【0141】
同図において、横軸は、レンチキュラーレンズの半径方向の距離r(図36に示すr軸座標による)の、有効半径P/2に対する相対半径であり、縦軸は、2次微分係数Z″(r)の値である。
【0142】
図3、図4、図5に示すように、表3のレンチキュラーレンズシートの設計例では、光入射面15L、光出射面16Lの各レンチキュラーレンズの断面輪郭形状が下記のような設計となっている。
【0143】
(1)光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズは、映像発生源側に凸形で、光軸に関してほぼ対称であり、かつ、下記(a)、(b)、(c)のような負の縦球面収差特性を有している。
【0144】
(a)映像光の光束のうち、光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズ面を光軸l−l’付近(図3の緑色光の場合、半径方向の距離rが、概ね0≦r≦h1の範囲)において通過する光線が、光出射面のレンチキュラーレンズ16Lに至る手前で一旦結像する(赤色光、青色光についても同様である)。この結果、水平方向観視角が10度から35度にかけての相対輝度を大きくすることができる。
【0145】
(b)映像光の光束のうち、光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズ面を光軸l−l’付近(図3の緑色光の場合、半径方向の距離rが、概ね0≦r≦h1の範囲)で通過する光線の結像の位置が、光軸l−l’から離れた場所(図3の緑色光の場合、半径方向の距離rが、概ねr≧h2の範囲)を通過する光線の結像位置より光入射面側(Z軸の負の方向)にある(赤色光、青色光についても同様である)。
【0146】
(c)光軸l−l’にほぼ平行な緑色光の場合、図3に示すように緑色光の入射光束のうち、光軸l−l’から離れた場所(半径方向の距離rが、概ねr≧h2の範囲)を通過する光線は、光軸と交差せずに光出射面16Lの第二のレンチキュラーレンズに至る。
【0147】
(2)光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズは、その断面輪郭形状を前述の数14に示す関数Z(r)で表したときの2次微分係数Z″(r)の値が下記のような特性を有する形状とする。
【0148】
(d)2次微分係数Z″(r)は、相対半径r/(P/2)=0の点(光軸上の点)で極小値Z″(0)=3.50となり、相対半径が0から大きくなるにつれて徐々に増加し、相対半径0.752の点(r=h1の点)で極大値Z″(h1)=7.54となり、相対半径がさらに大きくなると2次微分係数Z″(r)は単調減少となって、相対半径が0.90付近の点(r=h2の点)で符号が正から負に反転する。これにより、相対半径が0から0.752にかけてはレンズ作用が強くなり、相対半径が0.752から1.0にかけてはレンズ作用が弱まる形状となっている。
【0149】
(e)このとき比率p=Z″(h1)/Z″(0)の値が2.16となり、1.95<p<2.24の条件、さらには2.08<p<2.23の条件を満足する。
【0150】
なお、従来技術によるレンチキュラーレンズシートでは、図37に示したように、光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズは、その断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)は、r=0(光軸上)で極小値となり、相対半径が大きくなるにつれて単調増加となっている。このため、レンズ作用が徐々に強まる形状となっている。
【0151】
(3)光出射面16Lの第二のレンチキュラーレンズは、画像観視側に凸形となり、かつ光軸に関してほぼ対称である。
【0152】
(4)光軸上における光入射面と光出射面の距離(面間距離)tが、光入射面15Lのレンチキュラーレンズ面を半径r=±h1の点に入射する光軸l−l’にほぼ平行な緑色光の光線が光軸l−l’を横切る点と光入射面15Lのレンチキュラーレンズの頂点との距離Lより長く、同様にレンチキュラーレンズ面を半径r=±h2の点に入射する光軸l−l’にほぼ平行な光線が光軸l−l’を横切る点(図示せず)と光入射面15Lのレンチキュラーレンズの頂点との距離L′より短く、L<t<L′の関係を満足する。ただし、h1、h2は、それぞれ、上述の2次微分係数Z″(r)が極大値となる点と、符号が反転する点の半径rの値である。
【0153】
光入射面15L、光出射面16Lの形状を上記のような形状にしたときの、透過型スクリーンの水平指向特性を次に示す。
【0154】
図6、図7は、スクリーン集中角θが10度の投写光学系において、透過型スクリーン7として表3に示した本実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を用いた場合について、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面中心を注視点としたときの、緑の水平指向特性と、赤と青の水平指向特性の計算結果をそれぞれ示す。計算にあたっては、スクリーン集中角θを10度とし、レンチキュラーレンズシート3は光拡散材を有していないものとして計算した。
【0155】
これらの図に示すように、本実施例によるレンチキュラーレンズシートによれば、従来スクリーンと比べてカラ−シフトをほぼ半減でき、水平観視範囲を±65度と従来スクリーンに比べ大幅に拡大できる。
【0156】
光入射面15L、光出射面16Lの形状を上記のような形状にすると、図3、及び図4に示すように、光軸l−l’から離れた場所を通過する光線は、光出射面16Lに臨界角に近い角度で入射するため映像光線は光出射面16Lにおいて大きく屈折する。このため、従来技術のレンチキュラーレンズシートに比べて、各色の水平指向特性を大幅に拡大できる。
【0157】
また、図4に示すように、スクリーン集中角θが10度程度と大きい場合でも、入射光束のほぼ中心に位置する映像光線Aは、光出射面16Lで屈折したのち光軸l−l’にほぼ平行に出射され、各色の水平指向特性が近い特性となり、カラーシフトが大幅に低減する。
【0158】
さらに、本実施例のレンチキュラーレンズシート3を構成要素に含む透過型スクリーンをマルチスクリーンディスプレイ装置に使用することで、画面の色均一性を向上することができる。以下その理由を図を用いて説明する。
【0159】
図8は、図6、及び図7と同じく、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットにおいて本実施例のレンチキュラーレンズシート3を表2に示す従来技術のフレネルレンズシートと組み合わせた場合の、画面水平方向右端の中央(画面中心から約450mm)を注視点としたときの、赤色映像光と青色映像光の水平指向特性をシミュレーションにより求めたものである。なお、この時のフレネルレンズシート4からの赤色映像光と青色映像光の出射角度は、図40に示した従来技術の透過型スクリーンによる赤色映像光と青色映像光の水平指向特性のシミュレーション時と同一条件としている。
【0160】
上記の図8と図40とを、それぞれの画面中心における赤色映像光と青色映像光の水平指向特性である図7及び図39と比較すると、本実施例の透過型スクリーン、従来技術の透過型スクリーンをそれぞれ背面投写型画像ディスプレイユニットに用いたときの画面の色均一性の違いを説明できる。
【0161】
すなわち、図40を図39と比較すると、赤色と青色の水平指向特性の変化が大きいのに対し、図8を図7と比較すると、赤色と青色の水平指向特性の変化が小さくなっている。このとき、ある観視位置から画面上の異なる注視点を観視したとき、それらの注視点の水平方向観視角αは異なることになり、したがって、各色の水平指向特性が近い特性であるほど画面の色均一性は良好になる。本実施例の透過型スクリーンによれば、水平方向のほとんどの観視位置において画面の色均一性が優れており、スクリーン集中角が大きい場合であっても広い適視領域を実現できる。
【0162】
次に、この理由について図4を用いて説明する。図4において、映像光線R5からR4の範囲の光束及びR5’からR4’の範囲の光束は、光出射面16Lにおいて水平方向観視角αが±30度を超える領域に出射する。これらの光束は光入射面15Lでは、図5における2次微分係数Z″(r)の値が減少する領域を通過する。また、光出射面16Lにおいては、光軸l−l’付近のレンズ面の傾きが比較的小さい領域を通過する。光入射面15Lと光出射面16Lのレンチキュラーレンズの形状は、上記の2点により、レンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lへの映像光線の入射角が若干変化しても、水平指向特性に与える影響が少なくてすむ形状となっている。
【0163】
以上説明したように、本実施例のレンチキュラーレンズシート3を含む透過型スクリーン7によれば、スクリーン集中角が10度程度と大きい場合であっても、水平指向特性が広く、カラーシフトが小さく、画面の色均一性が良好になり、適視領域の広い背面投写型画像ディスプレイユニット、及びそれを用いたマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる。
【0164】
本実施例におけるレンチキュラーレンズシート3の設計は前記の表3に記載した設計例に限定されるものではなく、前述の課題を解決するための手段の項に記載した設計の考え方の範囲内で変更することが可能である。
【0165】
表4、表5、及び表6に、図1、及び図2に示すレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lと光出射面16Lのレンチキュラーレンズ形状の他の設計例を示す。これらの表のデータの読み方は、前述の表1の読み方と同様である。表4と表5の設計例ではレンチキュラーレンズの有効半径P/2は0.3605mm(ピッチPの1/2倍)であるが、表6の設計例では0.425mmである。
【0166】
【表4】
Figure 0003772841
【0167】
【表5】
Figure 0003772841
【0168】
【表6】
Figure 0003772841
【0169】
これらの設計例の第一、第二のレンチキュラーレンズの横断面は、図3、及び図4とほぼ同等である。
【0170】
また、表4、表5の設計例のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズについては、2次微分係数Z″(r)の特性は図5とほぼ同等である。
【0171】
表4の設計例の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)の値は、相対半径r/(P/2)=0の点(光軸上の点)で極小値Z″(r)=3.37となり、相対半径0.752の点(r=h1の点)で極大値Z″(h1)=7.39となり、比率p=Z″(h1)/Z″(0)の値が2.19となる。
【0172】
表5の設計例の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)の値は、相対半径r/(P/2)=0の点(光軸上の点)で極小値Z″(r)=3.42となり、相対半径0.752の点(r=h1の点)で極大値Z″(h1)=7.42となり、比率p=Z″(h1)/Z″(0)の値が2.17となる。
【0173】
また、図9は、表6の設計例のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を、前述の数14に示す関数Z(r)で表したときの2次微分係数Z″(r)を示す特性図である。
【0174】
同図において、横軸は、レンチキュラーレンズの半径方向の距離r(図36に示すr軸座標による)の、有効半径P/2に対する相対半径であり、縦軸は、2次微分係数Z″(r)の値である。
【0175】
表6の設計例の光入射面15Lの第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)の値は、相対半径r/(P/2)=0の点(光軸上の点)で極小値Z″(r)=2.86となり、相対半径0.753の点(r=h1の点)で極大値Z″(h1)=6.27となり、比率p=Z″(h1)/Z″(0)の値が2.19となる。
【0176】
上記の表4、表5、及び表6の設計例のレンチキュラーレンズシート3を用いたときの透過型スクリーンの水平指向特性についても、前述の表3の設計例の場合に近い特性となる。
【0177】
図10、図11は、スクリーン集中角θが10度の投写光学系において、透過型スクリーン7として表4に示した本実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を用いた場合について、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットの画面中心を注視点としたときの、緑の水平指向特性と、赤と青の水平指向特性の計算結果をそれぞれ示す。計算にあたっては、図6及び図7と同様に、スクリーン集中角θを10度とし、レンチキュラーレンズシート3は光拡散材を有していないものとして計算した。
【0178】
これらの図に示すように、本実施例によるレンチキュラーレンズシートによれば、従来スクリーンと比べてカラ−シフトをほぼ半減でき、水平観視範囲を±67度と従来スクリーンに比べ大幅に拡大できる。
【0179】
図12は、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットにおいて本実施例のレンチキュラーレンズシート3を、後述の本発明によるフレネルレンズシートと組み合わせた場合の、画面水平方向右端の中央(画面中心から約450mm)を注視点としたときの、赤色映像光と青色映像光の水平指向特性をシミュレーションにより求めたものであり、詳しくは後述する。なお、この時のフレネルレンズシート4からの赤色映像光と青色映像光の出射角度は、図40に示した従来技術の透過型スクリーンによる赤色映像光と青色映像光の水平指向特性のシミュレーション時と同一条件としている。
【0180】
これらの設計例によっても、前記の表3の設計例の場合と同様に、スクリーン集中角が10度程度と大きい場合であっても、水平指向特性が広く、カラーシフトが小さく、画面の色均一性が良好になり、適視領域の広い背面投写型画像ディスプレイユニット、及びそれを用いたマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる効果がある。
【0181】
なお、本実施例のレンチキュラーレンズシート3においては、従来技術のレンチキュラーレンズシート3の光出射面16Lと同様に、映像光線の光束は光出射面16Lにおいて光軸の近傍付近に収斂されるため、光軸の近傍付近の両側の、隣接するレンズ面(レンチキュラーレンズ面)との境界部付近においては光は通らない。このため、その境界部分付近に凸形突起部12を設け、その上に有限幅の光吸収層13が設けられている。
【0182】
この光吸収層13は、照明光などの外光が入射しても、そのうちの一部を反射せず吸収する機能を有しており、明るい場所で画像を観視するときのコントラストを向上させる効果がある。
【0183】
次に、本発明の透過型スクリーンのフレネルレンズシートの実施の形態の例について図面を用いて説明する。
【0184】
従来のマルチスクリーンディスプレイ装置においては、フレネルレンズシート4の物側共役点の位置は、図32に示されている緑の投写型ブラウン管用の投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置に設定され、像側共役点の位置は映像観視側の無限遠の位置に設定されていた。これにより、図35に示したように、緑の投写光束のうち投写レンズの射出瞳20Gの中心を通る主光線は、フレネルレンズシート4を通過すると全てスクリーン面に垂直な平行光束に変換されるようになっていた。
【0185】
これに対し、本発明のフレネルレンズシート4においては、物側共役点の位置は、従来のフレネルレンズシートと同様に、緑の投写型ブラウン管用の投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置に設定されるが、像側共役点の位置も、物側共役点側に設定され、フレネルレンズシート4からの出射する緑の映像光線が若干発散光束となるようフレネルレンズ形状を設定する。
【0186】
図13は、本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用されるフレネルレンズシート4の光束変換作用の概略を示す平面図であり、先に説明した図29及び図35と同様に、水平面上に投写光学系を展開して描いてあるが、説明の都合上、レンチキュラーレンズシート3は記載を省略してある。
【0187】
また、図29においては投写レンズの光軸のなすレンズ集中角θ′を表示していたが、図13においては、図35と同様に、スクリーン集中角θを表示している。そのほか、図29、図35と同等の部分には、共通の符号を付して説明を省略する。
【0188】
図13において、フレネルレンズシート4の物側共役点の位置は、緑の投写型ブラウン管用の投写レンズの射出瞳20Gの中心の位置に設定され、像側共役点の位置も、物側共役点側に設定されており、緑の投写光束のうち投写レンズの射出瞳20Gの中心を通る主光線は、フレネルレンズシート4を通過すると、若干発散する光束に変換される。これにより、画面中央と周辺部でのフレネルレンズシート4からの赤色映像光の出射角度の水平角度成分αRと青色映像光の出射角度の水平角度成分αBの変化が軽減できる。
【0189】
なお、以下の説明においても、説明を簡明にするため、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の出射光束については、それぞれ投写レンズの射出瞳20R、20G、20Bの中心を通る主光線の光束について述べることとする。
【0190】
表7、表8、及び表9に、図13に示すフレネルレンズシート4の光入射面18(レンズ面S0)と光出射面19(レンズ面S1)のフレネルレンズ形状の設計例を示す。この設計例では、緑の物側共役点距離(フレネルレンズシート4から物側共役点までの距離)を745mmに設定している。
【0191】
これらの各表のレンズ形状のデータの読み方は、前述の表2のレンズ形状のデータの読み方と同じである。
【0192】
【表7】
Figure 0003772841
【0193】
【表8】
Figure 0003772841
【0194】
【表9】
Figure 0003772841
【0195】
表7、表8、及び表9の設計例のフレネルレンズシート4の光出射面19に設けたフレネルレンズの形状について、図を用いて詳細に説明する。
【0196】
図14、図15、及び図16は、それぞれ、表7、表8、及び表9の設計例のフレネルレンズシート4を図13に示す投写光学系に用いたときの、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の投写光束の出射角度の水平角度成分を計算した結果を示す。計算にあたっては、スクリーン集中角θを10度として計算した。
【0197】
図14、図15、及び図16において、横軸はフレネル中心からの距離r、縦軸は赤、緑、青の映像光の、フレネルレンズシートからの出射角度の水平角度成分αR、αG、αBを示している。それぞれの符号は図32に示すX方向の正負、あるいは水平方向観視角αの正負と同じとしている。
【0198】
図14に示す表7の設計例では、画面中央と周辺部ではフレネルレンズシート4からの映像光線の出射角度が若干変化する。画面中央では緑色映像光の出射角が0度(フレネルレンズシート4の光軸に平行)赤色映像光、青色映像光の出射角がそれぞれ10度、−10度であるのに対して例えば画面水平方向右端の中央においては、緑色光がαG=1.4度、赤色光がαR=9.4度、青色光がαB=−9.5度となり、αRとαBはその絶対値が画面中央より小さく、また、|αR+αB|は−0.1度となるのに対し、θ/3は3.33度、θ/5は2度であり、既述の次式の条件をいずれも満足する構成となっている。
【0199】
【数21】
|αR+αB|<|θ/3|
【0200】
【数22】
|αR+αB|<|θ/5|
また、|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|=2.5度となることから、既述の次式の条件も満足され、レンチキュラーレンズシート3と組み合わせたときの画面の明るさの均一性と色の均一性が両立する構成となっている。
【0201】
【数23】
|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|<|θ/3|
図15に示す表8の設計例では、同様に、画面水平方向右端の中央においては、緑色光がαG=0.75度、赤色光がαR=9.2度、青色光がαB=−10.2度となり、|αR+αB|は−1.0度となるので、上記の数16及び数17の条件がいずれも満足される構成となっている。
【0202】
また、|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|=1.75度となることから、既述の数19の条件と次式の条件が満足される構成となっている。
【0203】
【数24】
|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|<|θ/5|
図16に示す表9の設計例でも同様に、画面水平方向右端の中央において、緑色光がαG=0.65度、赤色光がαR=8.9度、青色光がαB=−10.6度となり、|αR+αB|は−1.7度、|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|は2.35度となることから、上記の数16、数17、及び数19の条件がいずれも満足される構成となっている。
【0204】
これらの例では、画面水平方向の全領域において、αRとαBの絶対値はほぼ等しい値となり、その差が従来技術によるフレネルレンズシートより小さくなっている。
【0205】
なお、図42に示した従来のフレネルレンズシートでは、|αR+αB|の値、|αR−θ|+|αG|+|αB+θ|値はいずれも3.6度である。
【0206】
このために、実際の透過型スクリーンにおいては、フレネルレンズシート4の観視側に位置するレンチキュラーレンズ3への赤色映像光と青色映像光の入射角度の水平角度成分が画面全領域でほぼ等しくなるため、赤色映像光と青色映像光の指向特性がスクリーンの全領域でほぼ一致する。
【0207】
図12は、表8に示した設計例のフレネルレンズシートと、前述の表4に示した設計例のレンチキュラーレンズシートを組み合わせたときの、画面水平方向右端の中央における赤色映像光と青色映像光の水平指向特性をシミュレーションにより求めた結果の特性図である。この組み合わせの場合の画面中心における赤色映像光と青色映像光の水平指向特性は、先に説明した図11に示した図と同等である(フレネルレンズシートの共役点距離をどのように設計しても、画面中心ではフレネルレンズシートは実質的にほぼ平行平板であることによる)。したがって、図12は図11と比較してよく、この比較により、画面水平方向右端の中央における赤色映像光と青色映像光の水平指向特性は、画面中央における特性とほぼ同様な特性であることがわかる。
【0208】
これにより、個々の背面投写型画像ディスプレイユニットのスクリーン上に表示された映像を観視した場合には、色の均一性に優れた映像を観視できる。
【0209】
なお、上記の説明においては、フレネルレンズシートからの赤、緑、青の各色の光線の出射角度の水平角度成分として、画面の中心を通る水平線上の注視点のみに着目して説明した。実際にフレネルレンズ形状を設計する上で実用的にはこれでほぼ十分であるが、さらに高精度に設計を行おうとする場合には、画面上端部の水平線上、及び画面下端部の水平線上の注視点等、画面全体にわたって配慮して設計をすればよい。
【0210】
上記の説明においては、フレネルレンズシート4の像側共役点の位置を、映像発生源側に設定し、フレネルレンズシート4からの出射する緑の映像光線が若干発散光束となるようフレネルレンズ形状を設定すると述べた。しかしながら、緑の映像光線が発散しすぎた場合には、各背面投写型画像ディスプレイユニットの画面周辺部の明るさが暗くなったり、背面投写型画像ディスプレイユニットを積み上げてマルチスクリーンディスプレイを構成したときに上下に隣接するユニットの境界部で画像の明るさに段差を生じたりすることがある。このような副作用を防ぐため、各背面投写型画像ディスプレイユニットの画像の明るさの均一性を向上するとともに、上下に隣接するユニットの境界部で画像の明るさをほぼ同等にしなければならない。以下、その方法について説明する。
【0211】
まず、背面投写型画像ディスプレイユニットの画面全体の明るさの均一性を向上するための技術手段について図17により説明する。
【0212】
図17は、本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用されるフレネルレンズシ−ト4の光束変換作用の概略を示す縦断面図であり、先に図13に水平面上に展開して示した投写光学系の縦断面図に相当する。
【0213】
また、図18は、背面投写型画像ディスプレイユニットの投写光学系における、緑色用の投写レンズ6の射出瞳20Gとフレネルレンズシート4の位置関係の概略を示す斜視図である。図17、図18とも説明の都合上、レンチキュラーレンズシート3は記載を省略してある。
【0214】
これらの図に示すように、本発明の実施例では、フレネルレンズシート4において、物側共役点Aを投写レンズ6の射出瞳の中心に配置し、像側共役点Bを物側共役点Aより映像発生源側に配置し、物側共役点Aと像側共役点Bの間にフレネル焦点Fが存在するように設定されている。
【0215】
このとき、近軸近似では、物側共役点Aからフレネルレンズシート4までの距離(以下、物側共役点距離という)をLaとし、フレネルレンズシート4から像側共役点Bまでの距離(以下、像側共役点距離という)をLbとし、フレネルレンズの焦点距離をfcとすると、次の関係がある。ただし、La、Lb、fcはいずれも正の値とする。
【0216】
【数25】
1/La−1/Lb=1/fc
【0217】
【数26】
La<fc<Lb
上記のような構成の場合、像側共役点Bの位置には投写レンズ6の射出瞳の虚像が存在することになり、これは、虫眼鏡などの拡大鏡で、その焦点距離より近くにある物を拡大した虚像を観察するのと同等の原理の構成になる。
【0218】
このときの拡大倍率Mは、次式のように、物側共役点距離Laに対する像側共役点距離Lbの比率によって得られる。
【0219】
【数27】
M=Lb/La
このとき、透過型スクリーンの画面垂直寸法Hと投写レンズ6の射出瞳の直径Dの関係が、次式を満足するようにフレネルレンズシート4と投写レンズを配置すれば透過型スクリーン7の画面垂直寸法いっぱいに明るい映像を得ることができる。
【0220】
【数28】
D×Lb/La≧H
図19は、前述の本発明の実施例のフレネルレンズシート4の設計例による拡大倍率を示す特性図である。同図において、横軸は画面中心からの距離rを画面対角隅までの有効半径で正規化した相対半径であり、縦軸はフレネルレンズシートにより得られる虚像の拡大倍率Mである。
【0221】
図中の条件1の実線は、表8の設計例のフレネルレンズの拡大倍率を示し、また条件2の破線は表7のフレネルレンズの拡大倍率を示している。
【0222】
本発明による個々の背面投写型画像ディスプレイユニットにおいては、上述のように、フレネルレンズシート4により投写レンズ6の射出瞳の拡大虚像を作ることにより、画面全体の明るさの均一性を向上している。
【0223】
次に、背面投写型画像ディスプレイユニットを組み上げてマルチスクリーンディスプレイ装置を構成したときの、上下に隣接するユニットの境界部における画像の明るさの均一性を向上するための技術手段について説明する。
【0224】
図20は、背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ねた場合の隣接する2つの注視点と、観視位置A、及び観視位置Bとの位置関係の概略を示す縦断面図である。
【0225】
また、図21は、図20における注視点付近(C部)を拡大して示す縦断面図である。
【0226】
前述のように、フレネルレンズシート4の像側共役点の位置を、映像発生源側に設定し、フレネルレンズシート4からの出射する緑の映像光線が発散光束となるようフレネルレンズ形状を設定すると、図20、及び図21に示すように背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ねた場合、隣接する2つの注視点(両図におけるa点とb点)を、例えば、観測位置B(ディスプレイユニットからの距離は3m)及び観測位置A(ディスプレイユニットからの距離は5m)から観視した場合のスクリーン上の注視点a点の明るさと注視点b点の明るさは不連続となる。
【0227】
図22は、図20、及び図21に示す観視位置A、Bから、隣接する注視点a点と注視点b点を観視したときの、注視点a点の輝度Baと注視点b点の輝度Bbの比率を対数表示した特性図である。
【0228】
同図において、横軸はフレネルレンズシート4の光出射面19から出射する緑色映像光の出射角度の垂直角度成分θsであり、縦軸はlog(Ba/Bb)の値である。出射角度の垂直角度成分θsとは、図21に示すように、緑色の出射光線を、図32に示すX方向に垂直な垂直断面に投影した線がZ方向となす角度をいい、光束が発散のときの符号を正とする。
【0229】
上記の隣接する2つの注視点の明るさの比率がどの程度まで許容できるかについて、実際にフレネルレンズシート4を試作して比較検討を行った結果、ディスプレイユニットから5m離れている観視点Aから観視したときに、輝度比が1dB原2dB以下であれば実用上問題ないことが判った。すなわち、緑色映像光の出射角度の垂直角度成分θsが1.75度以下となるようにフレネルレンズシート4のフレネルレンズを設計すればよい。
【0230】
前述の表7、表8、表9に示したフレネルレンズの設計例では、それぞれ図14、図15、図16に示すように、フレネルレンズの有効半径に対する相対半径が0.6となるr=335mm付近の緑色光の出射角度の水平角度成分がそれぞれ1.2度、0.7度、0.5度となっており、これらは画面上端における緑色光の出射角度の垂直角度成分θsと読み替えることができるので、いずれも上記の条件を満足する設計となっている。
【0231】
さらに優れた性能を得るためには、ディスプレイユニットから3m離れている観視点Bから観視したときに、輝度比が1dB以下になるようにすればよく、この時の緑色映像光の出射角度の垂直角度成分θsは1.0度以下となるようにフレネルレンズシート4のフレネルレンズを設計すればよい。
【0232】
前述のフレネルレンズの設計例のうちでは、表8、表9に示した設計例がこの条件を満足する設計となっている。
【0233】
以上述べたように、本実施例のフレネルレンズシートによれば、スクリーン集中角が10度程度と大きい場合であっても、画面の明るさの均一性が良好な背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる効果がある。
【0234】
さらに、前述のレンチキュラーレンズシートと組み合わせれば、画面明るさの均一性向上と画面の色均一性の向上を両立させた背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる効果がある。
【0235】
なお、本発明の透過型スクリーンにおいては、フレネルレンズシート4の基材17及びレンチキュラーレンズシート3の基材14はいずれも透明熱可塑性樹脂としており、これらの屈折率は一般に1.50程度である。映像光線がそれぞれのシート面に垂直に入射する場合において、光の反射率は、よく知られているように、1面ごとに4%程度である。この反射による反射光線は、投写光学系内で迷光となり、最終的にスクリーン画面に到達すると画像のコントラストの低下を招くと共に、フォーカス特性の低下を招く。
【0236】
これに対し、レンチキュラーシート3とフレネルレンズシート4の表面に反射防止処理を施すことで、不要反射光によりスクリーン上の像がぼやけることなく、良好なフォーカス特性が得られ、かつ、映像光がスクリーンを通過する途中での光損失がなく、スクリーン上の画面の明るさとコントラストの特性は良好なものとなる。
【0237】
本発明の他の実施例について、以下説明する。
【0238】
図23は、本発明の第二の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。図30に示す透過型スクリーンとの相違点は、フレネルレンズシート4の光入射面にスクリーン画面水平方向を長手方向とするレンチキュラーレンズを画面垂直方向に連続して配置した形状として、映像光の画面垂直方向の光拡散をレンチキュラーレンズシート3内の光拡散材11と分担している点である。
【0239】
図24は、本発明の第三の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。図30に示す透過型スクリーンとの相違点は、フレネルレンズシート4とレンチキュラーレンズシート3の間に、光入射面にスクリーン画面水平方向を長手方向とするレンチキュラーレンズを画面垂直方向に連続して配置した光入射面形状21を有する垂直レンチキュラーレンズシート20が配置され、これにより、映像光の画面垂直方向の光拡散をレンチキュラーレンズシート3内の光拡散材11と分担している点である。
【0240】
また、本実施例のほかに、前述の垂直レンチキュラーレンズシート20の形状を、光出射面もしくは、光出射面と光入射面の両面にスクリーン画面水平方向を長手方向とするレンチキュラーレンズを画面垂直方向に連続して配置した面形状を有する垂直レンチキュラーレンズシート20を配置することで、映像光の画面垂直方向の光拡散をレンチキュラーレンズシート3内の光拡散材11と分担するような構成としても実質的に本発明に含まれることは言うまでもない。
【0241】
図25は、本発明の第四の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。この実施例の透過型スクリーンにおいては、図25に示すようなダークティント板24を、前述の第三の実施例の透過型スクリーン7の映像観視側に配置する。このダークティント板24は、半透明に着色された熱可塑性樹脂材料より成り、投写された画像光より外光を多く吸収する機能を有している。すなわち、映像発生源から観視者に至る投写画像光は、ダークティント板24を1回だけ透過するために光量がダークティント板24の透過率に比例して減衰するのに対し、照明光などの外光が透過型スクリーンで反射されて観視者に至るときは、ダークティント板24の映像観視側の出射面で反射される光を除き、ダークティント板24を少なくとも1往復通るため、光量がダークティント板24の透過率の2乗に比例して減衰する。
【0242】
これにより、投写光より外光の方が損失光の比率が大きくなり、照明光などの外光があるときのコントラストが向上する効果がある。
【0243】
さらに、ダークティント板24の光出射面26の表面処理として、防眩処理を行ったときは、映像観視側の物体や照明光などのスクリーン画面への映り込みを防止できる効果がある。また、同じく帯電防止処理を行ったときは、ダークティント板24の表面の帯電により塵埃が付着するのを防止できる効果がある。さらに、ハードコーティング処理などの表面硬化処理を施したときは、映像観視側から何らかの物体が衝突しても光吸収シートの表面に傷がつきにくくなる効果がある。
【0244】
これらの第二、第三、第四の実施例において、第一の実施例と同様の設計のレンチキュラーレンズシートとフレネルレンズシートと用いれば、前述の第一の実施例と同様、画面明るさの均一性向上と画面の色均一性の向上を両立させた透過型スクリーン、背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置を実現することができる効果がある。
【0245】
以上の説明は、赤,緑,青,の単色の投写型ブラウン管3本を用いた光学系、及びその光学系を使用した画像ディスプレイ装置とマルチスクリーンディスプレイ装置に関して行ったが、ブラウン管の本数を6本、9本等に増やした場合、あるいは、映像発生源がスライドフィルムのようなカラー画像(光学系の途中で合成する場合も含む)を1本の投写レンズで投写する光学系、及びその光学系を使用した画像ディスプレイ装置の場合にも、実質的に本発明に含まれることは言うまでもない。
【0246】
また、以上の説明では、マルチスクリーンディスプレイ装置として、専ら、各背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーンの画面が平面状につながるように、背面投写型画像ディスプレイユニットを組み上げた例を念頭において説明してきた。しかしながら、マルチスクリーンディスプレイ装置の形態についてはこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の出願人が先に提案した特願平7−12826号公報、特願平7−150367号公報の出願にあるように、透過型スクリーンの画面が多面体状、または多面体の一部となるように背面投写型画像ディスプレイユニットを連結して構成される形態も考えられ、このようなマルチスクリーンディスプレイにおいて本発明を実施する場合には、隣接する背面投写型画像ディスプレイ装置のそれぞれの前記透過型スクリーンのフレネルレンズシートから出射する緑色映像光の主光線の光束が、その隣接部で、互いに一部の領域が重なるようにするとともに、赤色映像光の主光線の光束と青色映像光の主光線の光束については、フレネルレンズシートから出射するときに隣接するフレネルレンズシートから出射する同色の光束とそれぞれほぼ接するように構成することにより、本発明の効果を得ることができる。
【0247】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、投写型ブラウン管などの映像発生源からの映像光が、投写レンズを経て、透過型スクリーンに入射する投写光学系において、本発明によれば、スクリーン集中角θが10度程度と大きい場合であっても、スクリーン画面水平方向の指向特性の大幅改善とカラーシフトの大幅低減がレンチキュラーレンズシート3の光入射面の第一のレンチキュラーレンズ及び、光出射面の第二のレンチキュラーレンズの形状最適化により実現し、広い適視領域が実現できる効果がある。
【0248】
また、フレネルレンズシートの像側共役点距離を最適設計し、画面の全領域においてフレネルレンズシートからの青色映像光と赤色映像光の出射角度がほぼ等しくなるようにすることで、画像の色の均一性を向上し、画面の色づきを低減できる効果がある。
【0249】
さらに、これらのレンチキュラーレンズシートとフレネルレンズシートを組み合わせることにより、画像の明るさの均一性と色の均一性を両立した背面投写型画像ディスプレイユニット、及びマルチスクリーンディスプレイ装置が実現できる効果がある。
【0250】
また、フレネルレンズシート4とレンチキュラーレンズシート3の表面に反射防止処理を行うことで、不要反射光が低減されるので、画像のコントラストの低下及びフォーカス特性の低下を招くことがない。
【0251】
以上の述べたように本発明の透過型スクリーンを用いることでマルチスクリーンディスプレイ装置の光学性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3における1対の光入射面と光出射面の部分の横断面を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3における1対の光入射面と光出射面の部分の横断面を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の表3に示す設計例の第一、第二のレンチキュラーレンズの1対の部分の横断面を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の表3に示す設計例の第一、第二のレンチキュラーレンズの1対の部分の横断面を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の表3に示す設計例の第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を関数Z(r)で表したときの2次微分係数d2Z(r)/Dr2の値を示す特性図である。
【図6】表3に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を組み合わせた透過型スクリーンの緑の水平指向特性を示す特性図である。
【図7】表3に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を組み合わせた透過型スクリーンの赤と青の水平指向特性を示す特性図である。
【図8】表3に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を組み合わせた透過型スクリーンの赤と青の水平指向特性を示す特性図である。
【図9】本発明の透過型スクリーンのレンチキュラーレンズシート3の表6に示す設計例の第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を関数Z(r)で表したときの2次微分係数d2Z(r)/Dr2の値を示す特性図である。
【図10】表4に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術によるフレネルレンズシート4を組み合わせた透過型スクリーンの緑の水平指向特性を示す特性図である。
【図11】表4に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表2に示した従来技術による
【図12】表4に示した本発明の実施例のレンチキュラーレンズシート3と、表に示した本発明の実施例のフレネルレンズシート4を組み合わせた透過型スクリーンの赤と青の水平指向特性を示す特性図である。
【図13】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用されるフレネルレンズシート4の光束変換作用の概略を示す平面図である。
【図14】本発明の実施例の透過型スクリーンに表7に示す設計例のフレネルレンズシート4を用いたときの、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の映像光の主光線の出射角度の水平角度成分の特性図を示す。
【図15】本発明の実施例の透過型スクリーンに表8に示す設計例のフレネルレンズシート4を用いたときの、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の映像光の主光線の出射角度の水平角度成分の特性図を示す。
【図16】本発明の実施例の透過型スクリーンに表9に示す設計例のフレネルレンズシート4を用いたときの、フレネルレンズシート4からの赤、緑、青の各色の映像光の主光線の出射角度の水平角度成分の特性図を示す。
【図17】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用されるフレネルレンズシ−ト4の光束変換作用の概略を示す縦断面図である。
【図18】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットの投写光学系における、緑色用の投写レンズ6の射出瞳20Gとフレネルレンズシート4の位置関係の概略を示す斜視図である。
【図19】本発明の実施例のフレネルレンズシート4の設計例による拡大倍率を示す特性図である。
【図20】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ねた場合の隣接する2つの注視点と、観視位置A、及び観視位置Bとの位置関係の概略を示す縦断面図である。
【図21】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ねた場合の隣接する2つの注視点付近(C部)を拡大して示す縦断面図である。
【図22】本発明の背面投写型画像ディスプレイユニットを2段重ねた場合の隣接する2つの注視点を、観視位置A、Bから観視したときの、注視点a点の輝度Baと注視点b点の輝度Bbの比率を対数表示した特性図である。
【図23】本発明の第二の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。
【図24】本発明の第三の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。
【図25】本発明の第四の実施例の透過型スクリーンの構成の概略を示す斜視図である。
【図26】一般的な一体型マルチスクリーンディスプレイ装置の一例を示す斜視図である。
【図27】図26に示すマルチスクリーンディスプレイ装置の縦断面の要部を示す断面図である。
【図28】マルチスクリーンディスプレイ装置において使用される透過型スクリーンの一例の要部を示す斜視図である。
【図29】背面投写型画像ディスプレイユニットの投写光学系を水平面上に展開したときの概略を示す平面図である。
【図30】背面投写型画像ディスプレイユニットの投写光学系に使用される従来技術の透過型スクリーン7の一例の基本構成の要部を示す斜視図である。
【図31】図30に示したレンチキュラーレンズシート3の第一、第二のレンチキュラーレンズが対向する部分の縦断面を示す断面図である。
【図32】透過型スクリーンに映出された映像を観視するときの水平方向観視角α及び垂直方向観視角βを示す概略斜視図である。
【図33】図30に示した従来技術の透過型スクリーン7のレンチキュラーレンズシート3のA部の横断面における緑の光束の光線追跡図である。
【図34】図30に示した従来技術の透過型スクリーン7のレンチキュラーレンズシート3のA部の横断面における赤(または青)の光束の光線追跡図である。
【図35】従来の背面投写型画像ディスプレイユニットの透過型スクリーン7に使用されるフレネルレンズシート4の光束変換作用の概略を示す平面図である。
【図36】レンズ形状を定義するための座標軸を示す説明図である。
【図37】表1に示す従来技術の透過型スクリーン7のレンチキュラーレンズシート3の光入射面15Lのレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表す関数Z(r)の2次微分係数Z″(r)の値を示す特性図である。
【図38】従来技術の透過型スクリーン7として、表1に示したレンチキュラーレンズシート3と表2に示したフレネルレンズシート4を用いた場合の緑の水平指向特性を示す特性図である。
【図39】従来技術の透過型スクリーン7として、表1に示したレンチキュラーレンズシート3と表2に示したフレネルレンズシート4を用いた場合の赤と青の水平指向特性を示す特性図である。
【図40】従来技術の透過型スクリーン7として、表1に示したレンチキュラーレンズシート3と、表2に示したフレネルレンズシート4を用いた場合の赤と青の水平指向特性を示す特性図である。
【図41】従来技術による一般的な透過型スクリーンの垂直指向特性を示す特性図である。
【図42】表2に示す従来技術の透過型スクリーン7のフレネルレンズシート4の赤、緑、青の投写光束の出射角度の水平角度成分を示す特性図である。
【図43】レンチキュラーレンズの横断面における一般的な縦球面収差を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1…マルチスクリーンディスプレイ装置本体、
2…スクリーン枠、
3…レンチキュラーレンズシート、
4a,4b,4c…フレネルレンズシート、
5a,5b…光路折り返し用ミラー、
6a,6b,6B,6G,6R…投写レンズ、
7…透過型スクリーン、
8,8R,8G,8B…投写型ブラウン管、
9R、9G、9B…光軸、
14,17,23,27…基材、
15,18,21,25…光入射面、
13…光吸収層、
16,19,22,26…光出射面、
12…凸形突起部、
15(S0)…光入射面、
16(S1)…光出射面。

Claims (6)

  1. 映像発生源の映像光が投写レンズを介して入射され、
    光入射面に、画面垂直方向に延びる第一のレンチキュラーレンズ複数個、画面水平方向に配列され、光出射面に、画面垂直方向に延びる第二のレンチキュラーレンズ複数個、前記第一のレンチキュラーレンズと対向するように画面水平方向に配列されるとともに、光を拡散するための光拡散材を含有するレンチキュラーレンズシートと、
    該レンチキュラーレンズシートの映像発生源側に配置され、光入射面に、画面水平方向に延びる垂直光拡散手段が複数個、画面垂直方向に配列され、光出射面にフレネルレンズが形成されたフレネルレンズシートと、を備えた透過型スクリーンにおいて、
    前記第一のレンチキュラーレンズの、各々の断面輪郭形状は、前記映像発生源側に凸で、かつ負の縦球面収差を発生させるとともに、前記第一のレンチキュラーレンズ面をその光軸から離れた場所で通過する光軸と略平行な光線が、光軸と交差せずに第二のレンチキュラーレンズ面に至るような非球面形状を為し、
    前記第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を表わす関数Z(r)の2次微分係数Z''(r)の値(但し、rは前記第一のレンチキュラーレンズの光軸から半径方向のレンズ面までの距離)は、相対半径(=r/(P/2):但し、Pを前記第一のレンチキュラーレンズのピッチ)が0から大きくなるにつれて増加して極大値となり、前記相対半径がさらに大きくなると前記極大値から単調減少することを特徴とする透過型スクリーン。
  2. 前記第二のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状は、画像観視側に凸形であることを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーン。
  3. 前記2次微分係数Z(r)''の極大値となる相対半径は0.75付近であって、相対半径が0.90付近で前記2次微分係数Z''(r) の符号が正から負に反転することを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーン。
  4. 前記2次微分係数Z''(r)の前記極大値を該2次微分係数Z''(r)の極小値で除して得られる比率pの値が、
    Figure 0003772841
    を満足することを特徴とする請求項3に記載の透過型スクリーン。
  5. 前記2次微分係数Z''(r)の前記極大値を該2次微分係数Z''(r)の極小値で除して得られる比率pの値が、
    Figure 0003772841
    を満足することを特徴とする請求項3に記載の透過型スクリーン。
  6. 前記第一のレンチキュラーレンズの断面輪郭形状を前記の関数Z(r)で表したときの前記2次微分係数Z''(r)が、極大値をとる点と、符号が反転する点のr軸座標の値をそれぞれh1、h2とし、前記第一のレンチキュラーレンズに、光軸にほぼ平行にr=h1、及びr=h2の位置において入射し屈折した光線が光軸を横切る点のZ軸座標の値を、それぞれ、Z=L、Z=L′としたとき、前記第一のレンチキュラーレンズの面と前記第二のレンチキュラーレンズの面とが光軸上においてなす面間距離tが、
    Figure 0003772841
    となることを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーン。
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