JP3772794B2 - 化合物半導体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体の製造方法及びその方法により製造された半導体素子に係り、特にIII族原子として少なくともガリウム原子を含み、かつV族原子として少なくとも砒素原子及び窒素原子を含むIII−V族化合物半導体層を気相成長させる化合物半導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信用半導体レーザとしては1.3μm帯、或いは1.55μm帯で発光する素子が用いられている。
【0003】
特に1.3μm帯レーザは、近距離の光通信用として用いられているが、この材料としては、現状ではInGaAsP/InP系材料が主流である。しかしながらこの材料系は、比較的高価なInP基板を使わなければならないために、基板コストが上昇するという問題の他に、活性層のヘテロ障壁での伝導体の不連続量(バンドオフセット量)が小さく、電子が活性層の外に漏れやすいために、高温動作時の特性が劣化するという問題がある。このため通常は高温でも安定に動作させるためにペルチェ素子で冷却するなどの方法が取られているが、デバイスコストが上昇し、加えて消費電力が大きくなるという欠点があった。
【0004】
これらの欠点を解消できるものとして、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.35(1996) Part 1,No.11,p.5711には、比較的安価なGaAs基板上にエピタキシャル成長させることができ、かつ1.3μmから1.55μmの波長領域をカバーする材料として、GaInAsに窒素を加えたGaInNAsが提案されている。
【0005】
すなわち、GaAsにインジウム原子(In)を加えたGaInAsは、Inがガリウム原子(Ga)より原子半径が大きいためにGaAsに対して格子定数が大きくなるが、これにさらに砒素原子(As)より原子半径が小さい窒素原子(N)を加えたGaInNAsは、GaAsと同じ格子定数となるため、比較的安価なGaAs基板上に成長させることができる。
【0006】
GaInNAsの結晶成長法については、分子線エピタキシー(MBE)法、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)法などがあるが、低コストのデバイスを作製するには、多数枚の基板を同時に結晶成長できるMOVPE法が有利である。このMOVPE法とは、一定温度に保たれた有機金属化合物に水素或いは窒素などのガスを通し、原料をガスの状態で大量の水素或いは窒素のキャリアガスと一緒に反応炉内に供給し、熱分解させて結晶成長を行う方法である。
【0007】
また、GaInNAsは、GaInAsPなどの多くのIII−V族化合物半導体とは異なり、GaAsにAsより原子半径の小さなNを加えてもバンドギャップ波長を短波長化することができるため、適切にInとNの組成を設計することで、GaAsに格子整合した、或いは歪み量が小さい1.3μm又は1.55μmのバンドギャップ波長を持つ半導体が得られる。しかし、GaInNAsは非混和性の大きな材料なので、GaAsに格子整合し、かつ1.3μmのバンドギャップを持つGaInNAs結晶を得るのに必要な程度に、窒素組成を大きくすることが難しい。
【0008】
窒素組成を大きくする方法としては、低温で非平衡性を大きくして成長させ、かつ低温でも分解しやすい1,1−ジメチルヒドラジンなどの有機窒素化合物を用いる方法(S.Sato et.al.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)Part 1,No.5A,p.2671)や、窒素キャリアガスを用いる方法(A.Ougazzaden et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)Part 1,No.2B,p.1019)が行われている。
【0009】
しかし、これらの方法は低温で成長を行うために、結晶中に欠陥が導入されたり、原子が安定でないサイトに取り込まれていたりするため、GaAs基板に対して比較的低歪みで、かつ1.3μmの発光が得られるGaInNAs層で、結晶性の良い結晶は得られていない。
【0010】
また、結晶成長直後のGaInNAs結晶の発光特性が良くないのは、格子欠陥が非発光再結合中心となったり、(S.Tanaka et.al.,J.Cryst.Growth Vol.221(2000),p.467)、原子が安定でないサイトにあるために歪みが緩和しやすくなっている(T.Kitatani et.al.,J.Cryst.Growth Vol.209(2000),p.345)などの理由が考えられている。
【0011】
このため、現実的には、歪み緩和しない程度までインジウム組成を多くし、代わりに窒素組成を小さくして比較的結晶性の良い1.3μmのバンドギャップを持つ結晶を得ているが、ただそれでもレーザなど、特に結晶性に優れた材料を必要とする半導体素子の材料として用いるには結晶性が十分でなく、熱処理(アニール)によって結晶性の改善を図る工程が不可欠である。
【0012】
このアニールの工程は、結晶成長が全て終わった後に行う方法(T.Kageyama et.al.,Jpn.J.Appl,Phys.Vol.38(1999) Part 2,No.3B,p.L298)と、GaInNAs層成長後の高温成長工程がアニール工程を兼ねている方法(T.Kitatani et.al.,J.Cryst.Growth Vol.209(2000),p.345)などがある。
【0013】
いずれの方法でも、アニール工程を行わない場合と比べて、フォトルミネッセンス強度を増加させることができ、結晶性を改善することができる。
【0014】
また、GaInNAs層を井戸層とする量子井戸の結晶成長を行う場合に、各井戸層の成長ごとにアニールを行う方法(T.Kitatani et.al.,J.Cryst.Growth Vol.221(2000),p.491)も提案され、特性が改善されている。
【0015】
さらに、アニールによって発光ピーク波長が短波側にシフトするという現象も見られるが、この現象にも原子の再配置が関わっていると考えられている(P.J.Klar et.al.,Phys.Rev.B Vol.64(2001),p.121203)。
【0016】
以上のように、格子欠陥及び原子の配置が、発光特性に大きな影響を及ぼしていると考えられており、アニールによって発光特性が改善するのは、格子欠陥が減少したり、原子が拡散して安定なサイトに再配置するためと考えられている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように量子井戸程度(数十原子層)以上の膜厚の層を低温成長し、その後にアニールを行う方法では、原子が拡散して安定なサイトに再配置するのは、主に結晶中の欠陥を介してであり、したがって原子の再配置も限定的である。したがって、結晶性が良く、1.3μm帯さらには1.55μm帯での安定した発光を得ようとするならば、従来の方法ではまだ不十分である。
【0018】
すなわち、1.3μm帯や1.55μm帯で発光特性の良い結晶を得るには、窒素組成を大きくすることができ、かつ多くの原子が容易に安定なサイトに配置することができるような結晶成長技術が不可欠である。
【0019】
そこで、本発明の目的は、このような事情を鑑み、少なくとも窒素組成を減少させず、かつGaInNAs層中の原子を安定なサイトに効率良く配置させることにより、高品質なGaInNAs結晶を製造することができるIII−V族化合物半導体の製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、反応炉内にIII族原料とV族原料とを供給し、その反応炉内に設置された基板上に、III族原子として少なくともガリウム原子とインジウム原子の両方を含みかつV族原子として少なくとも砒素原子と窒素原子の両方を含むIII−V族化合物半導体を気相成長させる化合物半導体の製造方法において、前記ガリウム原子と前記インジウム原子の両方を含むIII族原子層と前記砒素原子と前記窒素原子の両方を含むV族原子層とを成長させて1分子層のIII−V族化合物半導体層を気相成長させる工程と、前記反応炉内へのIII族原料の供給を停止し、前記気相成長させる工程よりもV族原料中の砒素原料の供給量を減少させるとともに窒素原料の供給量を増加させ、前記反応炉内の温度をIII−V族化合物半導体層の原子の再配置を促進させるべく、前記気相成長させる工程の成長温度より高い温度まで上昇させる工程からなる一連の工程を1回以上繰り返す方法である。
【0027】
すなわち、本発明の要点は、欠陥を介して原子が拡散する結晶内部よりも、結晶表面に近い方が原子を拡散しやすいということを利用し、III族原子層とその上に積層されるV族原子層の1組からなる1分子層のGaInNAs層を気相成長法で積層する工程と、反応炉へのIII族原料の供給を停止し、反応炉の温度を所定の温度まで上昇させる工程との一連の工程を1回以上繰り返して、所望の膜厚のGaInNAs層を得ることにある。
【0028】
これにより、結晶中の原子再配置を促進させることができる。その際に、表面からの窒素脱離を防止し、さらには結晶に取り込まれる窒素濃度を高めるために、窒素原子を含むガスを供給することが望ましい。
【0029】
尚、ここでプロセスガスとは、III族原料ガス、V族原料ガス、エッチングガス、キャリアガス等の気相成長に用いられるガスのことを言う。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適実施の形態について詳述する。
【0031】
本発明は、MOVPE法が用られ、反応炉内に配置されたGaAs基板上にGaInNAs層を成長させるに際して、反応炉内に、少なくともガリウム原子を含むIII族原料と、少なくとも砒素原子および窒素原子の両方を含むV族原料とを供給して結晶成長させる工程、すなわちIII族原子層とその上に積層されるV族原子層の1組からなる1分子層のGaInNAs層を気相成長法で積層する工程と、その後に、III族原料以外のガスを反応炉内に供給する工程とを設ける。
【0032】
上記III族原料以外のガスを反応炉内に供給する工程は、反応炉内の温度を所定の温度まで上昇させる工程を含んでいる。
【0033】
また、III族原料以外のガスを供給しつつ反応炉内の温度を上げる工程においては、結晶中或いは結晶表面の窒素原子が脱離しやすくなるため、その工程では窒素原子を含むガスの雰囲気で行う方が好ましい。
【0034】
窒素原子を含むガスとしては、窒素、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン及びターシャリーブチルアミンの中から選ばれる1種類以上のガスを用いることができる。
【0035】
一方、逆に砒素原子をエッチングするために、上述した成長を中断しつつ高温にする工程を、水素ガス或いはハロゲン原子を含むガスの雰囲気で行うこともできる。
【0036】
この場合、水素ガス、塩素ガス、臭素ガス、有機塩素化合物及び有機臭素化合物の中から選ばれる1種類以上のガスを用いることができる。
【0037】
さらに、上記成長を中断しつつ高温にする工程を、窒素原子を含む少なくとも1種類のガスと水素及びハロゲン原子を含むガスの中から選ばれる少なくと1種類のガスとの両方を含む雰囲気で行うと、より好ましい。
【0038】
以上のようなIII−V族化合物半導体の製造方法を用いると、窒素組成が大きく、かつ原子が安定なサイトに配置された結晶性の良いGaInNAs層を容易に製造することができる。
【0039】
また、このGaInNAs層を半導体素子に利用すると、この半導体素子は、窒素組成が大きいため、歪み量がそれほど大きくならずに済み、より高性能にすることができ、例えば半導体光素子の場合、1.3μm帯の光通信だけでなく、1.55μm帯の光通信にも利用することができる。
【0040】
次に、図1に、本発明の一実施の形態として、GaInNAs層を成長させる際の反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表した図を示す。
【0041】
図1に示すように、この方法は、ガリウム原料としてトリエチルガリウム(TEGa)、インジウム原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、砒素原料としてターシャリーブチルアルシン(TBAs)及び窒素原料として、1,1−ジメチルヒドラジン(UDMHy)を用い、キャリアガスとして水素ガスを用いてGaInNAs層を成長させるものである。
【0042】
GaInNAs層の製造工程は、GaInNAs層の成長工程(A)及びIII族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程(B)からなる。
【0043】
さらにIII族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程(B)は、反応炉内の温度を上げる工程(B1)、熱処理を行う工程(B2)及び反応炉内の温度を下げる工程(B3)からなる。
【0044】
GaInNAs層の成長工程(A)とIII族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程(B)からなる一連の工程を必要回数繰り返すことにより、所望の厚さのGaInNAs層を形成する。
【0045】
GaInNAs層の成長工程(A)では、ごく薄い膜厚の層を成長させる。その後、III族原料であるTEGa及びTMInの供給を停止して、V族原料であるTBAsは供給量を減らし、UDMHyは供給量を増やして、反応炉内の温度を成長時の温度よりも上げる。反応炉内の温度がある一定の温度に達してから、ある一定の時間熱処理を行った後、温度を下げ、III族原料及びV族原料の供給量を成長時の流量に戻し、再びGaInNAs層の成長工程(A)を行う。
【0046】
GaInNAs層の成長工程(A)では、ごく薄い膜厚のGaInNAs層しか成長しないので、このとき成長した原子を、続けて行うIII族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程(B)での熱処理工程(B2)で安定なサイトに配置させることができる。したがって、GaInNAs層の成長工程(A)で成長させる膜厚はできるだけ薄い方が良く、1分子層が最も好ましい。
【0047】
また、III族原料以外のプロセスガスを供給する工程(B)では、結晶中或いは結晶表面の窒素原子が脱離しやすい状態になっているので、本実施の形態ではTBAsの供給量を下げUMHyの供給量を上げている。
【0048】
以上の方法によりGaInNAs層の成長を行うと、窒素組成が多く、かつ原子が安定なサイトに配置された結晶性の良いGaInNAs層が容易に製造できる。
【0049】
次に、本発明の他の実施の形態について述べる。
【0050】
図2に、本発明の他の実施の形態として、GaInNAs層を成長させる際の反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表した図を示す。
【0051】
図2に示すように、この方法は、図1に示した方法とほぼ同じであるが、III族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程(B)において、砒素原料であるTBAsも反応炉内に供給しない部分が異なっている。
【0052】
このように、砒素原料を供給しないことと、キャリアガスである水素のエッチング効果により、熱処理時に砒素原子の脱離確率が高くなり、より高窒素組成のGaInNAs層を容易に得ることができる。
【0053】
また、図3に、他の実施の形態として、GaInNAs層を成長させる際の反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表した図を示す。
【0054】
図3に示すように、この方法は、図2に示した熱処理工程(B2)において、砒素原子のエッチングを積極的に行う塩化水素(HCl)ガスも反応炉内に供給するものである。
【0055】
これにより、砒素原子の脱離確率をさらに高めることができ、より高窒素組成のGaInNAs層を得ることができる。
【0056】
また、上述した実施の形態の変形例としては、アニール工程で窒素原子を含むガスを供給すると同時に、塩化水素ガス等、砒素のエッチングを積極的に行うガスを流しても良い。
【0057】
この場合、エッチングガスでAsをエッチングするので、表面の窒素組成を増やす効果がより得られる。
【0058】
また、ガリウム、インジウム、窒素及び砒素の材料については、それぞれTEGa、TEIn、DMHy及びTBAsに限定されるわけではなく、それぞれTMGa、トリエチルインジウム(TEIn)、アンモニア(NH3 )、アルシン(AsH3 )等、他の材料を用いても良い。
【0059】
【実施例】
次に、本発明を用いた半導体素子の製造方法について詳述する。
【0060】
(実施例1)
実施例1として、本発明により製造した端面発光ファブリペロー型半導体レーザの断面模式図を図4に示す。
【0061】
図4に示すように、この端面発光ファブリペロー型半導体レーザは、Siドープしたn型GaAs基板11上に、厚さ500nmのSiドープn型GaAsバッファ層12、厚さ1500nmのSiドープn型Al0.75Ga0.25As下部クラッド層13、厚さ60nmのアンドープGaAs下部光ガイド層14、厚さ8nmのアンドープGaInNAs単一量子井戸活性層15、厚さ60nmのアンドープGaAs上部光ガイド層16、厚さ1500nmのMgドープp型Al0.75Ga0.25As上部クラッド層17、厚さ20nmのMgドープp型GaAsコンタクト層18をこの順に有機金属気相エピタキシャル成長法にて成長させたものである。
【0062】
GaInNAs量子井戸活性層15以外の、GaAsバッファ層12、Al0.75Ga0.25As下部クラッド層13、GaAs下部光ガイド層14、GaAs上部光ガイド層16、Al0.75Ga0.25As上部クラッド層17、及びGaAsコンタクト層18を成長させる際には、ガリウム原料としてトリメチルガリウム(TMGa)を用い、アルミニウム原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用い、砒素原料としてTBAsを用い、それぞれの原料をキャリアガスによって反応炉内に送り込んだ。
【0063】
この反応炉内に供給するキャリアガスは水素ガスとし、総流量は4slmとした。そして、反応炉内の圧力は50torr、温度は650℃に保って成長を行った。
【0064】
また、GaInNAs量子井戸活性層15の成長は次のような工程で行った。
【0065】
すなわち、井戸層の膜厚8nmは約14分子層に相当するので、まず、反応炉内の温度を550℃に降温した後、最初の1分子層の成長を、ガリウム原料としてTEGa、インジウム原料としてTMIn、窒素原料としてUDMHy及び砒素原料としてTBAsを用い、それぞれの原料をキャリアガスによって反応炉内に送り込んだ。
【0066】
キャリアガスとしては水素ガスを用い、各原料の実質供給流量は、それぞれTEGaが0.37sccm(1.7×10-5mol/min)、TMInが0.034sccm(1.5×10-6mol/min)、UDMHyが200sccm(8.9×10-3mol/min)、TBAsが2.0sccm(8.9×10-5mol/min)で、反応炉内に供給する総流量は4slmとした。この時、反応炉内の圧力は50torr(66.7hPa)であった。
【0067】
その後、III族原料ガスであるTEGa及びTMInの供給を止め、V族原料ガスは、UDMHyを500sccm(2.2×10-2mol/min)に増加させて、TBAsを1.0sccm(4.5×10-5mol/min)に減少させて供給を続け、650℃まで昇温した。このとき、UDMHy、TBAsの他に水素ガスが反応炉内に供給されている。
【0068】
そして、650℃になった段階から1分間熱処理した後、550℃に戻し、V族プロセスガスの流量も元に戻した。III族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程1回に掛かる時間は、10分間であった。
【0069】
以上に示した1分子層成長、650℃への昇温、アニール、及び550℃への降温の一連の工程を合わせて13回行い、最後の工程は、550℃への降温を省き、続けて上部GaAs光ガイド層の成長を行った。したがって、1分子層の成長は合わせて14回行ったことになる。
【0070】
このようにして成長させたエピウエハを、導波路作製プロセス、AuGeNi下部電極19、AuZn上部電極20の形成プロセス等を行った後、ストライプ幅2μm、共振器長300μmの端面発光リッジ型ファブリペローレーザに加工し、そのレーザ特性を評価した。
【0071】
その結果、室温で連続発振を確認することができ、発振波長は約1.28μmであった。この端面発光ファブリペロー型半導体レーザの電流−光出力特性を図5に示す。
【0072】
図5に示すように、25mA以上の電流を流すことにより、実用的な光出力が得られた。
【0073】
さらに、ここで用いたGaInNAs量子井戸活性層15と同じ成長条件で厚さ約28nm(50分子層)のGaInNAs層を、Siドープn型GaAs基板上に、500nmアンドープGaAs、GaInNAs層、500nmアンドープGaAs層の順に成長し、これをSIMS分析したところ、窒素濃度は4.2×1020atoms/cm3であり、これは窒素組成としては約2%であった。また、X線回折測定と合わせて、インジウム組成は18%と求められ、GaInNAs量子井戸活性層15の組成は、Ga0.82In0.180.02As0.98であることが分かった。
【0074】
これにより、本発明は、簡単な方法でN組成を大きくでき、また本発明により作製されるGaInNAs結晶は、結晶性が良いものであることが証明された。
【0075】
(実施例2)
実施例2として、本発明により製造した面発光型半導体レーザの断面模式図を図6に示す。
【0076】
図6に示すように、この面発光型半導体レーザは、Siドープしたn型GaAs基板101上に、厚さ500nmのSiドープn型GaAsバッファ層102、厚さ95nmのSiドープn型GaAs層と厚さ108nmのSiドープn型AlAs層を交互に30周期積層した下部多層反射膜103、厚さ190nmのアンドープGaAs下部キャビティ層104、厚さ10nmのGaInNAs単一量子井戸活性層105、厚さ190nmのアンドープGaAs上部キャビティ層106、厚さ95nmのMgドープp型GaAs層と厚さ108nmのMgドープp型AlAs層を交互に25周期積層した上部多層反射膜107、Mgドープp型GaAsコンタクト層108を順に有機金属気相エピタキシャル成長法にて成長させたものである。
【0077】
GaInNAs量子井戸活性層105以外の、GaAsバッファ層102、下部多層反射膜103、GaAs下部キャビティ層104、GaAs上部キャビティ層106、上部多層反射膜107及びGaAsコンタクト層108を成長させる際には、ガリウム原料としてTMGaを用い、アルミニウム原料としてTMAlを用い、砒素原料としてTBAsを用い、それぞれの原料はキャリアガスによって反応炉内に送り込んだ。
【0078】
反応炉内に供給するキャリアガスとしては水素ガスを用い、総流量を4slmとした。このとき、反応炉内の圧力は50torr(66.7hPa)、温度は650℃に保って成長を行った。
【0079】
また、GaInNAs量子井戸活性層105の成長は次のような工程で行った。
【0080】
すなわち、井戸層の膜厚10nmは約17分子層に相当するので、まず、反応炉内の温度を550℃に降温した後、最初の1分子層の成長を、ガリウム原料としてTEGa、インジウム原料としてTMIn、窒素原料としてUDMHy及び砒素原料としてTBAsを用い、それぞれの原料をキャリアガスによって反応炉内に送り込んだ。
【0081】
キャリアガスとしては水素ガスを用い、各原料の実質供給流量は、それぞれTEGaが0.37sccm(1.7×10-5mol/min)、TMInが0.034sccm(1.5×10-6mol/min)、UDMHyが200sccm(8.9×10-3mol/min)、TBAsが2.0sccm(8.9×10-5mol/min)で、反応炉内に供給する総流量は4slmとした。この時、反応炉内の圧力は50torr(66.7hPa)であった。
【0082】
その後、III族原料ガスであるTEGa及びTMInとV族原料ガスであるTBAsの供給を止め、V族原料ガスのUDMHyを500sccm(2.2×10-2mol/min)に増加させて供給を続け、650℃まで昇温した。このとき、UDMHy以外は水素ガスが反応炉内に供給されている。
【0083】
そして、650℃になった段階から1分間熱処理した後、550℃に戻し、UDMHyの流量を元に戻し、TBAsの供給も元の状態に戻した。III族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程1回に掛かる時間は、10分間であった。
【0084】
以上に示した1分子層成長、650℃への昇温、アニール、550℃への降温の一連の工程を合わせて16回行い、最後の工程は、550℃への降温を省き、続けてGaAs上部キャビティ層の成長を行った。したがって、1分子層の成長は合わせて17回行ったことになる。
【0085】
このようにして成長させたエピウエハを、AuGeNi下部電極109、直径10μmのAuZn上部リング電極110の形成プロセス等を行い、面発光レーザを作製し、そのレーザ特性を評価した。
【0086】
この面発光型半導体レーザの0.4mW出力時の発光スペクトルを図7に示す。
【0087】
図7に示すように、室温で発振を確認することができ、発振波長は約1.31μmであった。
【0088】
さらに、ここで用いたGaInNAs量子井戸活性層105と同じ成長条件で厚さ約28nm(50分子層)のGaInNAs層を、Siドープn型GaAs基板上に、500nmアンドープGaAs、GaInNAs層、500nmアンドープGaAs層の順に成長し、これをSIMS分析したところ、窒素濃度は5.2×1020atoms/cm3 であり、これは窒素組成としては約2.5%であった。また、X線回折測定と合わせて、インジウム組成は18%と求められ、GaInNAs量子井戸活性層105の組成は、Ga0.82In0.180.025As0.975であることが分かった。
【0089】
これにより、本発明によって作製されるGaInNAs結晶は結晶性が良く、さらにアニール時に砒素原料を供給せず、水素エッチング効果を利用することで、実施例1の場合のように砒素原料も合わせて供給する場合よりもさらに大きなN組成の層を得ることができた。
【0090】
尚、本発明によって作製されるGaInNAs結晶を、実施例では端面発光ファブリペロー型半導体レーザと面発光型半導体レーザに応用することについて述べたが、これらに限定されるわけでなく、応用例として端面発光分布帰還型半導体レーザ、発光ダイオード、半導体光増幅器、半導体光変調器、フォトダイオード、太陽電池及び電子デバイス等に応用しても本発明の効果が得られる。
【0091】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、GaInNAs層を成長する際、1分子層の成長毎に高温にする工程を加えることで、原子を安定なサイトに効率良く配置させることができ、結晶性の良いGaInNAs層を容易に得ることができる。
【0092】
また、窒素原子を含む原料を供給する、あるいはそれに加えて砒素をエッチングするガスを供給することで、より窒素組成の大きなGaInNAs層を得ることができる。
【0093】
さらに、本発明の結晶成長法を用いることで、1.3μm帯や1.55μm帯の半導体レーザの特性改善に貢献できるだけでなく、発光ダイオード、フォトダイオード、太陽電池、電子デバイス等、GaInNAsを用いる様々なデバイスの特性改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適一実施の形態に関わる反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表す図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に関わる反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に関わる反応炉内の温度及び反応炉内へのガス供給量を表す図である。
【図4】本発明により製造された半導体レーザの断面模式図である。
【図5】図4の半導体レーザの電流−光出力特性を表す図である。
【図6】本発明により製造された半導体レーザの断面模式図である。
【図7】図6の半導体レーザの発光スペクトルを表す図である。
【符号の説明】
A GaInNAs層成長工程
B III族原料以外のプロセスガスを反応炉内に供給する工程
B1 昇温工程
B2 熱処理工程
B3 降温工程

Claims (1)

  1. 反応炉内にIII族原料とV族原料とを供給し、その反応炉内に設置された基板上に、III族原子として少なくともガリウム原子とインジウム原子の両方を含みかつV族原子として少なくとも砒素原子と窒素原子の両方を含むIII−V族化合物半導体を気相成長させる化合物半導体の製造方法において、前記ガリウム原子と前記インジウム原子の両方を含むIII族原子層と前記砒素原子と前記窒素原子の両方を含むV族原子層とを成長させて1分子層のIII−V族化合物半導体層を気相成長させる工程と、前記反応炉内へのIII族原料の供給を停止し、前記気相成長させる工程よりもV族原料中の砒素原料の供給量を減少させるとともに窒素原料の供給量を増加させ、前記反応炉内の温度をIII−V族化合物半導体層の原子の再配置を促進させるべく、前記気相成長させる工程の成長温度より高い温度まで上昇させる工程からなる一連の工程を1回以上繰り返すことを特徴とする化合物半導体の製造方法。
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