JP3771746B2 - 筒内噴射用燃料噴射弁 - Google Patents

筒内噴射用燃料噴射弁 Download PDF

Info

Publication number
JP3771746B2
JP3771746B2 JP10951899A JP10951899A JP3771746B2 JP 3771746 B2 JP3771746 B2 JP 3771746B2 JP 10951899 A JP10951899 A JP 10951899A JP 10951899 A JP10951899 A JP 10951899A JP 3771746 B2 JP3771746 B2 JP 3771746B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
fuel
spray
inner peripheral
annular groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10951899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000297727A (ja
Inventor
慶太 細山
範久 福冨
修 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP10951899A priority Critical patent/JP3771746B2/ja
Publication of JP2000297727A publication Critical patent/JP2000297727A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3771746B2 publication Critical patent/JP3771746B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料を直接燃焼室に直接噴射する筒内噴射式噴射弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射用燃料噴射弁として、燃料流に旋回エネルギーを与えて燃料噴射孔から噴射する形式のものが、数種提案されている。それらの燃料噴射弁の一般的構造は、弁体(ニードルバルブ、ボールバルブ等)および弁座を備えた噴射弁本体と、弁体を作動させるためのソレノイドを備えたハウジングと、燃料流に旋回エネルギーを与える旋回体とを備えている。
【0003】
図19は例えば特開平10−47208号公報に記載された従来の筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す断面図、図20は図19のXX−XX矢視断面図である。
図19および図20において、弁装置の旋回体13は、中心に弁体であるニードルバルブ12を囲んで軸方向に摺動可能に支持する中心孔15をもつほぼ中空円筒形の部材であり、弁装置内に組み込まれた時に、弁座11に接する第1端面16と、弁座11と反対側の第2端面17と、これらの端面間にあって中空のハウジングの一部である弁本体9の内周面18に接する部分を有する周面19とを備えている。
旋回体13の第2端面17は、その周辺部で弁本体9の内周面18の肩部20に当接して支持されており、また、径方向に延びた通路溝21が形成されていて、第2端面17の内周部から外周部に燃料が流れることができるように構成されている。
【0004】
旋回体13の周面19は、略正六角形の六辺を構成する平坦面であって、弁本体9の内周面18との間で燃料の軸方向流路22を形成する流路部分19bと、正六角形の六角をそれぞれ円弧状に切り取った形状であって、弁本体9の内周面18に当接して弁本体9に対する位置を規定する外周面部19aとを構成している。
旋回体13の弁座11に面する軸方向端面、即ち第1端面16には、第1端面16の中心孔15に隣接する内周辺に形成された所定幅の内周環状溝24と、正六角形の六辺に相当する流路部分19bの中央付近から中心孔15の内周辺に形成された内周環状溝24の接線方向に向かって、ほぼ均等間隔をもって形成された旋回溝25とが設けられている。
【0005】
つぎに、従来の筒内噴射用燃料噴射弁の動作について説明する。
ニードルバルブ12の先端部が弁座11から離れて間隙が形成されると、高圧の燃料が、弁本体9とニードルバルブ12との間の通路から、まず旋回体13の第2端面17の通路溝21を通って周面の軸方向流路22に流れ込む。そして、燃料が、旋回体13の第1端面16の旋回溝25に流入して径方向内側に流れ、第1端面16の内周環状溝24へその接線方向に流れ込む。この時、燃料は、6本の旋回溝25を介してほぼ均等流量および均等流速で内周環状溝24にスムーズに流れ込み、内周環状溝24内で滑らかで、かつ、一様に混合された旋回流となる。そして、旋回流を形成した燃料流は、弁座11の噴射孔10内に入って、その先端出口から噴霧される。
【0006】
燃料の噴霧形状は、主に、噴射孔10から垂直かつ直線状に噴霧される中心噴霧と、垂直線から所定角度開いて噴霧されるコーン状噴霧とに区別される。
このうち、中心噴霧は、ニードルバルブ12が弁座11から離れた瞬間に、旋回体13の内周環状溝24付近に滞留していた燃料が、上流の高圧燃料に押されて噴射孔10から噴射するもので、該燃料流には旋回エネルギーが与えられていないので、ほぼ垂直直線状に噴射される。
そして、内周環状溝24等に滞留していた燃料が噴射された後、旋回溝25を経由して内周環状溝24に燃料が導入され、旋回エネルギーが与えられるので、噴射孔10から所定角度をもってコーン状に噴射される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
筒内噴射用燃料噴射弁は、シリンダに燃料を直接噴射するため、シリンダおよびピストンの形状やシリンダ内の空気流動により、噴霧に濃淡を付けたり、噴霧に方向性を持たせたり、あるいは、非対称な噴霧形状とすることが要求される場合がある。
しかしながら、従来の筒内噴射用燃料噴射弁は、以上のように、旋回体13の形状、即ち旋回溝25および内周環状溝24の配置を旋回体13の軸心(中心孔15の中心)に対して対称に形成し、噴射孔10の軸心(旋回体13の軸心)に対して対称な中空噴霧形状(コーン状噴霧)を得るようにしているので、つまり旋回溝25および内周環状溝24の配置を旋回体13の軸心に対して非対称にしようとする思想がないので、このような要求に応えることができなかった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、旋回体を非対称な形状とし、あるいは弁体の外側端面にスリットを設け、噴霧に濃淡を付けたり、噴霧に方向性を持たせたり、あるいは、非対称な噴霧形状とすることができる筒内噴射用燃料噴射弁を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る筒内噴射用燃料噴射弁は、中空状の弁本体と、この弁本体の一端に設けられ、軸心位置に穿設された噴射孔を有する弁座と、軸心位置に穿設された中心孔、上記弁本体の内周面に接して該弁本体に対する位置を規定する外周面部、該外周面部間に設けられて上記弁本体の内周面と協働して軸方向の流路を形成する流路部分、軸方向の一側端面の該中心孔の内周辺に設けられた内周環状溝、および、溝深さが該内周環状溝と同じくされ、一端が該流路部分に接続され、他端が該内周環状溝に対して略接線方向に延びて該内周環状溝に接続される旋回溝を有し、該一側端面を上記弁座に接するように上記弁本体内に配設され、燃料に旋回を与える旋回体と、上記中心孔に摺動可能に支持されて、上記弁座に離接して上記噴射孔を開閉する弁体とを備え、上記旋回体は、上記旋回溝がそれぞれの溝形状およびオフセットを同じくして、溝の配置を軸心を中心として周方向に不均一となるように複数形成されているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る筒内噴射用燃料噴射弁を示す断面図である。
図1において、筒内噴射用燃料噴射弁1は、ハウジング本体2と、このハウジング本体2の一端にカシメ等されたホルダ35によりカバーされた弁装置3とから構成されている。ハウジング本体2の他端には、燃料供給管4が接続され、この燃料供給管4から燃料フィルタ57を介して燃料噴射弁1内に高圧の燃料が供給される。また、燃料噴射弁1の先端部は、内燃機関のシリンダヘッド5の噴射弁挿入孔6に挿入され、ウエーブワッシャ58等によりシールされて取り付けられている。
【0013】
弁装置3は、段付中空円筒形の弁本体9と、弁本体9内で中心孔先端に固着されて噴口としての燃料噴射孔10を有する弁座11と、後述するソレノイド装置50により弁座11に離接して燃料噴射孔10を開閉する弁体であるニードルバルブ12と、ニードルバルブ12を軸方向に案内するとともに、径方向内向きに弁座11の燃料噴射孔10に流れ込もうとする燃料に旋回運動を与える旋回体60とを備えている。弁装置3の弁本体9はハウジング本体2と共働して燃料噴射弁1のハウジングを構成している。
【0014】
ハウジング本体2は、燃料噴射弁1をシリンダヘッド5にとりつけるためのフランジ30aを有する第1ハウジング30と、ソレノイド装置50を装着した第2ハウジング40とを備えている。ソレノイド装置50は、コイル51を巻回したボビン部52と、このボビン部52の内周部に設置されたコア53とを備え、コイル51の巻線は端子56につながっている。コア53は、その内部が燃料通路となるように中空円筒形状になっており、その中空部には、スプリング55がスリーブ54とニードルバルブ12との間に懸架されている。ニードルバルブ12の他端部には、コア53の先端側に対向するように可動アマチュア31が取り付けられており、また、ニードルバブル12の中間部には、バルブ12を弁本体9の内周面に沿って摺動案内させるガイド12aと、第1ハウジング30に設置されたスペーサ32と当接するニードルフランジ12bが設けられている。
【0015】
ここで、旋回体60の構造について図2および図3を参照しつつ説明する。
弁装置3の旋回体60は、中心に弁体であるニードルバルブ12を囲んで軸方向に摺動可能に支持する中心孔15をもつほぼ中空円筒形の部材であり、弁装置内に組み込まれた時に、弁座11に接する第1端面16と、弁座11と反対側の第2端面17と、これらの端面間にあって中空のハウジングの一部である弁本体9の内周面18に接する部分を有する周面19とを備えている。
旋回体60の第2端面17は、その周辺部で弁本体9の内周面18の肩部20に当接して支持されており、また、径方向に延びた通路溝21が形成されていて、第2端面17の内周部から外周部に燃料が流れることができるように構成されている。
【0016】
旋回体60の周面19は、略正六角形の六辺を構成する平坦面であって、弁本体9の内周面18との間で燃料の軸方向流路22を形成する流路部分19bと、正六角形の六角をそれぞれ円弧状に切り取った形状であって、弁本体9の内周面18に当接して弁本体9に対する位置を規定する外周面部19aとを構成している。
旋回体60の弁座11に面する軸方向端面、即ち第1端面16には、第1端面16の中心孔15に隣接する内周辺に、中心孔15と同軸に形成された所定幅の内周環状溝24と、正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から中心孔15の内周辺に形成された内周環状溝24の接線方向に向かって形成された旋回溝25とが設けられている。各旋回溝25は、溝幅、溝深さおよびオフセット量が同一に形成されている。
【0017】
このように構成された燃料噴射弁1の動作について説明する。
外部より端子56を介してソレノイド装置50のコイル51に通電すると、可動アマチュア31、コア53、ハウジング本体2で構成される磁気通路に磁束が発生し、可動アマチュア31はスプリング55の弾性力に抗してコア53側に吸引される。そして、可動アマチュア31と一体のニードルバルブ12は、そのニードルフランジ12bがスペーサ32に当接するまで所定のストローク図1中上方に移動する。なお、ニードルバルブ12は、ガイド12aにより弁本体9の内周面に案内保持される。
これによりニードルバルブ12の先端部が弁座11から離れて間隙が形成されると、燃料供給管4から導入される高圧の燃料は、弁本体9とニードルバルブ12との間の通路から、まず旋回体60の第2端面17の通路溝21を通って周面の軸方向流路22に流れ込む。そして、軸方向流路22に流れ込んだ燃料は、旋回体60の第1端面16の旋回溝25に流入して径方向内側に流れ、第1端面16の内周環状溝24へその接線方向に流れ込み、旋回流を形成して弁座11の噴射孔10内に入って、その先端出口から噴霧される。
【0018】
ここで、旋回溝25は、図3に示されるように、正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から中心孔15の内周辺に形成された内周環状溝24の接線方向に向かって形成されているので、旋回溝25の位置が中心孔15の中心に対して非対称に形成されている。そこで、3本の旋回溝25から内周環状溝24へ流れ込んだ燃料は、偏った旋回流を形成して弁座11の噴射孔10内に入って、その先端出口から噴霧される。
この噴射孔10から噴霧された燃料は、図4および図5に示されるように、中心噴霧70と、半コーン状噴霧71とからなる噴霧形状を採る。これは、本来、正六角形の隣り合う他の三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から内周環状溝24の接線方向に向かって形成される旋回溝から内周環状溝24に流れ込む燃料が噴霧されて形成されるコーン噴霧状の部分が消滅し、あるいは極めて低濃度となってしまうので、半コーン状噴霧が実現される。なお、中心噴霧70はなくすこともできる。
そして、省略された3本の旋回溝から内周環状溝24に流れ込むべき燃料は形成されている3本の旋回溝25に流れ込むので、半コーン状噴霧71の燃料濃度はその分濃くなっている。
【0019】
このように、この実施の形態1によれば、旋回溝25の配置が中心孔15の中心に対して非対称に形成されているので、噴射孔10から噴射された燃料は軸心に対して非対称な半コーン状噴霧71を採る。そして、旋回溝25の配置(本数および位置)を調整することにより、半コーン状噴霧71の周方向位置(噴霧の方向)および周方向長さを調節でき、所望の噴霧形状を実現できるので、シリンダ内壁面は噴霧濃度を薄く、中心側は噴霧濃度を濃くするような仕様に適用できる筒内噴射用燃料噴射弁を簡易に製作することができる。
【0020】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、旋回体60の第1端面16が中心孔15の中心に対して垂直な平坦面に形成され、旋回溝25が正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から内周環状溝24の接線方向に向かって形成されているものとしているが、この実施の形態2では、図6及び図7に示されるように、旋回体60の第1端面16aが円錐面に形成され、旋回溝25が正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から内周環状溝24の接線方向に向かって形成されているものとしている。
この実施の形態2においても、旋回溝25の配置が中心孔15の中心に対して非対称となっているので、噴射孔10から噴射された燃料は、図4および図5に示されるように、中心噴霧70と、半コーン状噴霧71とからなる噴霧形状を採る。そして、旋回溝25の配置(本数および位置)を調整することにより、半コーン状噴霧71の周方向位置(噴霧の方向)および周方向長さを調節でき、所望の噴霧形状を実現できる。
【0021】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、旋回溝25が正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近から内周環状溝24の接線方向に向かって第1端面16に形成されているものとしているが、この実施の形態3では、図8及び図9に示されるように、旋回溝としての貫通穴25aが正六角形の隣り合う三辺に相当する各流路部分19bの中央付近で、かつ、弁本体9の内周面18と相対する部分から旋回体60内を貫通して内周環状溝24の接線方向に向かって形成されているものとしている。この貫通穴25aの口径は内周環状溝24の溝深さに等しく形成されている。
この実施の形態3においても、貫通穴25aの配置が中心孔15の中心に対して非対称となっているので、噴射孔10から噴射された燃料は、図4および図5に示されるように、中心噴霧70と、半コーン状噴霧71とからなる噴霧形状を採る。そして、貫通穴25aの配置(本数および位置)を調整することにより、半コーン状噴霧71の周方向位置(噴霧の方向)および周方向長さを調節でき、所望の噴霧形状を実現できる。
【0022】
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図、図11は図10のXI−XI矢視断面図である。
図10および図11において、旋回体61は、中心に弁体であるニードルバルブ12を囲んで軸方向に摺動可能に支持する中心孔15をもつほぼ中空円筒形の部材であり、弁装置内に組み込まれた時に、弁座11に接する第1端面16と、弁座11と反対側の第2端面17と、これらの端面間にあって中空のハウジングの一部である弁本体9の内周面18に接する部分を有する周面19とを備えている。
旋回体61の第2端面17は、その周辺部で弁本体9の内周面18の肩部20に当接して支持されており、また、径方向に延びた通路溝21が形成されていて、第2端面17の内周部から外周部に燃料が流れることができるように構成されている。
【0023】
旋回体61の周面19は、略正六角形の六辺を構成する平坦面であって、弁本体9の内周面18との間で燃料の軸方向流路22を形成する流路部分19bと、正六角形の六角をそれぞれ円弧状に切り取った形状であって、弁本体9の内周面18に当接して弁本体9に対する位置を規定する外周面部19aとを構成している。
旋回体61の第1端面16には、第1端面16の中心孔15に隣接する内周辺に、中心孔15の中心に対して一側にオフセットされて形成された内周環状溝24と、正六角形の六辺に相当する各流路部分19bの中央付近から中心孔15の内周辺に形成された内周環状溝24に向かって形成された旋回溝25とが設けられている。この旋回体61においては、旋回溝25の配置は中心孔15の中心に対して対称になっているが、内周環状溝24の位置は中心孔15の中心に対して非対称となっている。また、各旋回溝25は、溝幅、溝深さおよびオフセット量が同一に形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0024】
この実施の形態4では、内周環状溝24が中心孔15の中心に対して一側にオフセットされているので、6本の旋回溝25から内周環状溝24へ流れ込んだ燃料は、旋回流を形成して弁座11の噴射孔10内に流れ込む。ここで、内周環状溝24内の燃料は溝幅に応じて変化するので、燃料は偏った燃料分布をもつ旋回流となって噴射孔10内に流れ込み、その先端出口から噴霧される。
そこで、この噴射孔10から噴霧された燃料は、図12に示されるように、中心噴霧70と、偏った燃料分布をもつコーン状噴霧72とからなる噴霧形状を採る。
【0025】
この実施の形態4では、内周環状溝25が中心孔15の中心に対してオフセットされているので、噴射孔10から噴射された燃料は、中心噴霧70と、偏った燃料分布をもつコーン状噴霧72とからなる噴霧形状を採る。そして、内周環状溝24のオフセット量およびオフセットする周方向位置を調整することにより、コーン状噴霧72の周方向の燃料分布および燃料の濃淡の周方向位置(噴霧方向)を調節でき、所望の噴霧形状を実現できるので、シリンダ内壁面は噴霧濃度を薄く、中心側は噴霧濃度を濃くするような仕様に適用できる筒内噴射用燃料噴射弁を簡易に製作することができる。
【0026】
なお、上記実施の形態4では、旋回溝25を中心孔15の中心と直交する第1端面16に形成するものとしているが、上記実施の形態2と同様に、旋回溝25が形成される第1端面を円錐面に形成してもよく、あるいは上記実施の形態3と同様に、旋回溝25を旋回体61を斜めに貫通するように形成してもよい。
また、上記実施の形態4では、旋回溝25の配置が軸心に対して対称に形成されている旋回体61において、内周環状溝24をオフセットするものとしているが、上記実施の形態1〜3による旋回溝25の配置が軸心に対して非対称に形成されている旋回体60において、内周環状溝24をオフセットするようにしてもよい。
【0027】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図、図14はこの発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す正面図である。
図13および図14において、弁座62は、燃料噴射孔10が軸心位置に設けられ、スリット63が軸心を通るように外側端面に設けられている。そして、スリット63の幅Wは噴射孔10の孔径より狭く形成されている。
なお、他の構成は図19および図20に示された従来の筒内噴射用燃料噴射弁と同様に構成されている。
【0028】
この実施の形態5では、燃料は、軸心に対して対称に配置された6本の旋回溝25からほぼ均等流量および均等流速で内周環状溝24にスムーズに流れ込み、内周環状溝24内で滑らかで、かつ、一様に混合された旋回流となり、弁座11の噴射孔10内に流れ込む。そして、噴射孔10内に流れ込んだ燃料は、噴射孔10の内周面に沿って旋回しながら先端出口側に進む。
噴射孔10の先端出口に到達した燃料は、図15に矢印で示されるように、噴射孔10の先端出口から噴射孔10の周縁の接線方向に吹き出される。そして、軸心方向の推進ベクトルと旋回ベクトルとの合成ベクトルが吹き出された燃料に作用し、噴霧形状は垂直線から所定角度開いて噴霧されるコーン状噴霧を採る。この時、スリット63が形成されているので、燃料の一部が噴射孔10の先端出口に到達する前にスリット63内に流れ込み、スリット63の壁面に衝突することになる。そこで、スリット63内に流れ込んだ燃料が噴射孔10の先端出口に到達し、先端出口から吹き出されることによって形成される噴霧部分(図15中Aの部分)がなくなる。
そこで、この噴射孔10から噴霧された燃料は、図16および図17に示されるように、中心噴霧70と、コーン状噴霧の一部が消失した円弧状噴霧73とからなる噴霧形状を採る。なお、図17中Bで示される部分は、スリット63内に流れ込んでスリット63の壁面に衝突した燃料により形成された噴霧である。
そして、円弧状噴霧73の周方向長さHは、スリット63の深さを変えることにより調整される。また、円弧状噴霧73の周方向位置は、スリット63の長さ方向の向きを変えることにより調整される。
【0029】
この実施の形態5では、噴射孔10の口径より狭い幅のスリット63を弁体62の外側端面に設けているので、噴射孔10から噴射された燃料は、中心噴霧70と、コーン状噴霧の一部が消失された一対の円弧状噴霧73とからなる噴霧形状を採る。そして、スリット63の深さおよび向きを調整することにより、円弧状噴霧73の周方向長さおよび周方向位置(噴霧方向)を調節でき、所望の噴霧形状を実現できるので、シリンダ内の所定の位置に噴霧濃度を濃くするような仕様に適用できる筒内噴射用燃料噴射弁を簡易に製作することができる。
【0030】
ここで、スリット63の幅について検討する。
スリット幅が噴射孔10の口径より広い場合、図18に矢印で示されるように、噴射孔10の先端出口から接線方向に吹き出された燃料は、その一部がスリット63の壁面に衝突し、残部がスリット63の壁面に衝突することなく噴霧される。
そして、スリット63の壁面に衝突することなく噴霧された燃料は、垂直線から所定角度開いて噴霧されるコーン状噴霧の一部が消失した断面円弧状の噴霧Cを採り、スリット63の壁面に衝突した燃料は、垂直線から所定角度開いて噴霧される断面直線状の噴霧Dを採る。この噴霧Dはスリット63の壁面に略平行な断面形状となる。
また、スリット63の深さが浅すぎると、噴射孔10の先端出口から接線方向に吹き出された燃料は、スリット63の壁面に衝突することなく噴霧され、中空のコーン状噴霧を採る。そこで、図18に示される噴霧形状を採るには、スリット63の深さを所定深さとする必要がある。そこで、噴霧Cの周方向長さを調整する場合には、スリット63の深さを所定深さからさらに深くする必要がある。そして、燃料が噴射される噴射孔10の先端出口はスリット63の底面にあるので、噴射孔10の長さが短くってしまい、噴霧特性を変化させてしまうことになる。
【0031】
一方、スリット幅が噴射孔10の口径より狭い場合には、燃料の一部が噴射孔10の先端出口に至る前にスリット63内に流れ込み、スリット63の壁面に衝突し、燃料の残部が噴射孔10の先端出口から接線方向に吹き出されるので、垂直線から所定角度開いて噴霧される中空のコーン状噴霧の一部が消失された断面円弧状の噴霧が得られる。そして、スリット63の深さを変えることで、断面円弧状の噴霧の周方向長さを調整できる。
また、噴射孔10の先端出口は弁体の外側端面にあるので、断面円弧状の噴霧の周方向長さを調整するためにスリット63の深さを変えても、噴射孔10の長さは変わらず、噴霧特性を変化させることはない。
このように、噴霧特性を変化させることなく中空のコーン状噴霧の周方向の濃度分布を調整しようとする場合には、スリット幅を噴射孔の口径より狭くする必要がある。
【0032】
なお、上記実施の形態5では、旋回体として、図19および図20に示された旋回体13を用いるものとしているが、上記実施の形態1〜4における旋回体60、61を用いてもよい。
また、上記各実施の形態では、旋回体が略正六角形に形成されているものとしているが、旋回体は略正六角形に限定されるものではなく、略正四角形以上の正多角形であればよい。
【0033】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0034】
この発明によれば、中空状の弁本体と、この弁本体の一端に設けられ、軸心位置に穿設された噴射孔を有する弁座と、軸心位置に穿設された中心孔、上記弁本体の内周面に接して該弁本体に対する位置を規定する外周面部、該外周面部間に設けられて上記弁本体の内周面と協働して軸方向の流路を形成する流路部分、軸方向の一側端面の該中心孔の内周辺に設けられた内周環状溝、および、溝深さが該内周環状溝と同じくされ、一端が該流路部分に接続され、他端が該内周環状溝に対して略接線方向に延びて該内周環状溝に接続される旋回溝を有し、該一側端面を上記弁座に接するように上記弁本体内に配設され、燃料に旋回を与える旋回体と、上記中心孔に摺動可能に支持されて、上記弁座に離接して上記噴射孔を開閉する弁体とを備え、上記旋回体は、上記旋回溝がそれぞれの溝形状およびオフセットを同じくして、溝の配置を軸心を中心として周方向に不均一となるように複数形成されているので、濃淡や方向性を付けられる非対称なコーン状噴霧を採ることができる筒内噴射用燃料噴射弁が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る筒内噴射用燃料噴射弁を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図である。
【図3】 図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係る筒内噴射用燃料噴射弁による噴霧形状を示す側面図である。
【図5】 図4のV−V矢視断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す断面図である。
【図7】 図6のVII−VII矢視断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態3に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す断面図である。
【図9】 図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】 この発明の実施の形態4に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図である。
【図11】 図10のXI−XI矢視断面図である。
【図12】 この発明の実施の形態4に係る筒内噴射用燃料噴射弁による噴霧形状を示す断面図である。
【図13】 この発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図である。
【図14】 この発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す正面図である。
【図15】 この発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁による燃料噴霧を説明する図である。
【図16】 この発明の実施の形態5に係る筒内噴射用燃料噴射弁による噴霧形状を示す側面図である。
【図17】 図16のXVII−XVII矢視断面図である。
【図18】 噴射孔の口径より広い幅のスリットが設けられた弁体を搭載した筒内噴射用燃料噴射弁による燃料噴霧を説明する図である。
【図19】 従来の筒内噴射用燃料噴射弁の先端部を示す要部断面図である。
【図20】 図19のXX−XX矢視断面図である。
【符号の説明】
1 筒内噴射用燃料噴射弁、9 弁本体、10 噴射孔、11、62 弁座、12 ニードルバルブ(弁体)、13、60、61 旋回体、15 中心孔、16、16a 第1端面(一側端面)、18 内周面、19a 外周面部、19b流路部分、24 内周環状溝、25 旋回溝、25a 貫通穴(旋回溝)、63 スリット。

Claims (1)

  1. 中空状の弁本体と、この弁本体の一端に設けられ、軸心位置に穿設された噴射孔を有する弁座と、軸心位置に穿設された中心孔、上記弁本体の内周面に接して該弁本体に対する位置を規定する外周面部、該外周面部間に設けられて上記弁本体の内周面と協働して軸方向の流路を形成する流路部分、軸方向の一側端面の該中心孔の内周辺に設けられた内周環状溝、および、溝深さが該内周環状溝と同じくされ、一端が該流路部分に接続され、他端が該内周環状溝に対して略接線方向に延びて該内周環状溝に接続される旋回溝を有し、該一側端面を上記弁座に接するように上記弁本体内に配設され、燃料に旋回を与える旋回体と、上記中心孔に摺動可能に支持されて、上記弁座に離接して上記噴射孔を開閉する弁体とを備え、
    上記旋回体は、上記旋回溝がそれぞれの溝形状およびオフセットを同じくして、溝の配置を軸心を中心として周方向に不均一となるように複数形成されていることを特徴とする筒内噴射用燃料噴射弁。
JP10951899A 1999-04-16 1999-04-16 筒内噴射用燃料噴射弁 Expired - Fee Related JP3771746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10951899A JP3771746B2 (ja) 1999-04-16 1999-04-16 筒内噴射用燃料噴射弁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10951899A JP3771746B2 (ja) 1999-04-16 1999-04-16 筒内噴射用燃料噴射弁

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000297727A JP2000297727A (ja) 2000-10-24
JP3771746B2 true JP3771746B2 (ja) 2006-04-26

Family

ID=14512305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10951899A Expired - Fee Related JP3771746B2 (ja) 1999-04-16 1999-04-16 筒内噴射用燃料噴射弁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3771746B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19907899A1 (de) * 1999-02-24 2000-08-31 Bosch Gmbh Robert Brennstoffeinspritzventil
US6708907B2 (en) * 2001-06-18 2004-03-23 Siemens Automotive Corporation Fuel injector producing non-symmetrical conical fuel distribution

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000297727A (ja) 2000-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100282108B1 (ko) 연료분사밸브
US6854670B2 (en) Fuel injection valve
KR100230599B1 (ko) 유체분사노즐
EP1375905B1 (en) Fuel injection device
KR100291973B1 (ko) 연료분사밸브
JPH0534515B2 (ja)
JP5875443B2 (ja) 燃料噴射弁
JP2587071B2 (ja) 燃料噴射弁
JP4024144B2 (ja) 燃料噴射装置
KR100367035B1 (ko) 실린더내 연료 분사밸브
JP3625106B2 (ja) 燃料噴射弁
JP3556899B2 (ja) 燃料噴射弁
JP3771746B2 (ja) 筒内噴射用燃料噴射弁
KR100348976B1 (ko) 통내분사용 연료분사 밸브
US6966504B2 (en) Fuel injector
JP4111662B2 (ja) 燃料噴射弁
JPH01100363A (ja) 燃料噴射器
JP3419692B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関および筒内噴射用燃料噴射弁
JP3625110B2 (ja) 燃料噴射弁
WO2023209976A1 (ja) 燃料噴射弁
JP3706343B2 (ja) 筒内噴射用燃料噴射弁
JP3707603B2 (ja) 燃料噴射弁
JP3567913B2 (ja) 筒内噴射用燃料噴射弁
JP3730951B2 (ja) 燃料噴射弁
JP3714212B2 (ja) 筒内噴射用燃料噴射弁

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100217

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100217

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110217

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120217

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees