JP3771623B2 - フリュームを有する電磁流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は下水や排水などの計測に好適なフリュームを有する電磁流量計の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願の出願人は、非満水状態で流体が流れる開水路の流量計として、流管内にいわゆるパーマー・ボーラスフリュームを有し、そのスロート部の流速を電磁誘導の原理によって計測する電極、流量計を提案した(特開平5−273015号公報)。
【0003】
この従来技術は、図3に示すように円筒形の流管1内にパーマー・ボーラスフリューム2を有し、このフリューム2に、水平方向に対向した一対の電極3を配置している。流管1の下部には励磁コイル4を設けて図示上下方向の磁界を発生させる。電極3に誘起する流速に比例した電圧を増幅器5で増幅し、A/D変換器6でディジタル信号に変換してから、演算回路7で流量を算出する。8は励磁コイル4を励磁する励磁電源、9は測定や励磁に必要なタイミング信号を発生するタイミング回路である。
【0004】
電極3に誘起する流速に比例した電圧をeとすると、流量Qは電圧eの関数F(e)として、
Q=F(e)
であらわされる。
【0005】
関数Fは、流管1とパーマー・ボーラスフリューム2の形状、電磁流量計の設置位置、電極3の形状、磁界の磁束密度分布により決定される関数で、これらのパラメータを固定して予め実測して求めておく。
【0006】
こうすることで、水位を測定せずに非満水状態の流量を計測する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の電磁流量計では、フリューム2を電気絶縁性の材料である例えばプラスチックで一体成形で作成していた場合の成形精度や、フリューム2に取り付けられる一対(2枚)の電極の取付穴位置の精度とか2枚の電極自体の形状の寸法精度が、必ずしも同一に製作されないため、流量計を量産する場合に流量計毎に左右の電極の接液状態に差が生じ、結果的に流量計毎の特性に一台毎のばらつきが生じ、そのばらつきが問題になる程大きかった。
【0008】
特に流量が少ない低水位状態での特性のばらつきが大きく、一台毎の調整に時間や手間がかかっていた。
図4に、このようなばらつきの原因となる構造的な製作誤差を誇張して示す。同図において、1は周筒形の流管、2は流管1内に設けたフリューム、2dはフリューム2の底面、3aはフリューム2左側壁に取り付けた左側電極、3bはフリューム2の右側壁に取り付けた右側電極で、両電極3aと3bで一対の電極3を構成している。
【0009】
W・Lは流管1内のフリューム2を流下する流体の水面を示す。
図4では、右側電極3bが左側電極3aよりも下方に片寄って取り付けられ、左側電極3aと右側電極3bの接液状態が大幅にアンバランス(不平衡)になっている。即ち、左側電極3aよりも右側電極3bが水中深くまで延在している。
【0010】
流量計を量産するときに、個々の流量計毎にこのアンバランスが違った値となって、前述のように流量計一台毎の調整に時間や手間がかかるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明はこのような問題点を解消できる電磁流量計を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、
非満水状態で流体が流れる開水路用の流量計であって、流管(1)内にフリューム(2)を有し、該フリュームのスロート部の流速を電磁誘導の原理により計測し、それから流量を算出する電磁流量計において、
フリューム(2)のスロート部の側壁に設けた電極(3a)(3b)の下端がスロート部の底面(2d)より下方に潜り込むようにスロート部と電極(3a)(3b)を形成したことを特徴とするフリュームを有する電磁流量計である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、
先にスロート部の側壁(2a)(2b)を形成しておき、これらの各側壁(2a)(2b)にそれぞれ電極(3a)(3b)を装着したあとで、スロート部の底面部分(2c)を装着して構成したことを特徴とするものである。
【0014】
そして、請求項3の発明は、請求項1の発明において、
スロート部の底面(2d)に、スロート部の各側壁(2a)(2b)の延長方向に形成した溝形の差し込み部(2ad)(2bd)を形成しておき、これらの各差し込み部(2ad)(2bd)にそれぞれの電極(3a)(3b)の下端を差し込むようにして電極を取り付けたことを特徴とするものである。
【0015】
これらの発明では、両電極(3a)(3b)の下端が必ずスロート部の底面部分まで存在するので、スロート部を流れる被測定流体に対して左右の電極(3a)(3b)が均等に接液する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1(a)(b)は本発明の好ましい第1の実施の形態で、検出器の要部のみを示し、励磁コイルや変換器は従来技術と同様で良いので省略してある。なお、この第1の実施の形態は請求項1と2の発明に対応する。
【0017】
同図において、1は円筒形の流管、2はフリューム、2aと2bはフリューム2のスロート部を構成する左側壁と右側壁で、これら両側壁2a,2bを先に形成して流管(測定管)1に取り付けたあと、各側壁2a,2bにそれぞれ電極3a,3bを装着し、その後に、同図(b)に示すようにスロート部の底面部分2cを装着して検出器要部を構成している。
【0018】
図2(a)(b)は本発明の好ましい第2の実施形態で、検出器の要部のみを示し、励磁コイルや変換器は図3の従来技術と同様で良いので省略してある。
同図において、1は円筒形の流管(測定管)、2はフリューム、2a,2b,及び2dはそれぞれフリューム2のスロート部の左側壁、右側壁及び底面である。これら左側壁2a、右側壁2b及び底面2dを備えたスロート部の底面2dには、それぞれ左側壁2a、右側壁2bの壁面に沿って斜め下方に延長形成した溝形の差し込み部2adと2bdが形成され、これらの各差し込み部2ad,2bdの下端に各電極3a,3bの下端を差し込むようにして両電極をフリューム2のスロート部の左右側壁2a,2bに装着している。
【0019】
なお、図1(a)(b)の実施態様で、フリューム2のスロート部側壁2a,2bと底面部分2cとの隙間には接着剤を塗って流体が侵入しないようにしている。
【0020】
【発明の効果】
本発明の電磁流量計は上述のように構成されているので、流量計を多量生産するに当り、流量計毎の特性のばらつきが少なくなるため、流量計毎の調整にかかる手間や時間が短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態で、(a)は検出器の製造途中段階の横断面図、(b)は検出器の電極取付後の横断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態で、(a)は検出器の製造途中段階の横断面図、(b)は検出器の電極取付後の横断面図である。
【図3】従来技術の系統図で、検出器は横断面略図を示す。
【図4】従来技術の検出器の横断面図である。
【符号の説明】
1 流管(測定管)
2 フリューム
2a 左側壁
2b 右側壁
2c 底面部分
2d 底面
3a,3b 電極
2ad,2bd 溝形の差し込み部
Claims (3)
- 非満水状態で流体が流れる開水路用の流量計であって、流管(1)内にフリューム(2)を有し、該フリュームのスロート部の流速を電磁誘導の原理により計測し、それから流量を算出する電磁流量計において、
フリューム(2)のスロート部の側壁に設けた電極(3a)(3b)の下端がスロート部の底面(2d)より下方に潜り込むようにスロート部と電極(3a)(3b)を形成したことを特徴とするフリュームを有する電磁流量計。 - 先にスロート部の側壁(2a)(2b)を形成しておき、これらの各側壁(2a)(2b)にそれぞれ電極(3a)(3b)を装着したあとで、スロート部の底面部分(2c)を装着して構成したことを特徴とする請求項1記載のフリュームを有する電磁流量計。
- スロート部の底面(2d)に、スロート部の各側壁(2a)(2b)の延長方向に形成した溝形の差し込み部(2ad)(2bd)を形成しておき、これらの各差し込み部(2ad)(2bd)にそれぞれの電極(3a)(3b)の下端を差し込むようにして電極を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のフリュームを有する電磁流量計。
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Publication Number | Publication Date |
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1996
- 1996-04-23 JP JP10110196A patent/JP3771623B2/ja not_active Expired - Fee Related
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