JP3771608B2 - ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒およびこれを用いたディーゼルエンジン排ガスの浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒に関する。詳しくは、ディーゼルエンジン排ガス中の有害成分のうち窒素酸化物(NOx )を分解低減し、同時に炭素系微粒子、未燃焼炭化水素、一酸化炭素等を燃焼除去しうる触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジン排ガス中に含まれるNOx は、光化学スモッグや酸性雨の原因となるものであり、特に、近年都市部におけるディーゼル車からのNOx の排出が社会的な問題となっている。また、ディーゼルエンジン排ガスには健康上有害な微粒子物質、未燃焼炭化水素、一酸化炭素等が含まれており、これらの成分を燃焼させて除去することも重要である。
【0003】
一方、自動車の排ガスを浄化するために従来より三元触媒が用いられているが、ディーゼルエンジンの排ガスにおいては酸素が過剰であるため、通常の三元触媒ではNOx を十分低減することができない。
【0004】
また、特開昭5−137963号公報に記載の方法のように、白金を主触媒として用いる方法も提案されている。しかし、このような白金含有触媒はSO2 を酸化する活性が強いため、ディーゼルエンジン排ガスの処理に用いると、SO2 の酸化によって硫酸塩類を増加させるため、むしろ排ガス中の微粒子物質を増加させてしまうという問題があった。
【0005】
また、特開平6−31139号公報には、多孔質体からなる担体にアルカリ金属酸化物および白金を担持してなる触媒を用いて排ガスを浄化する方法が記載されている。この触媒はガソリンリーンバーンエンジンの排ガスを処理するにあたって、リーン状態でのNOx の吸着能を高めるためにアルカリ金属酸化物を用いており、吸着したNOx を白金の作用でストイキ時に分解しうる。しかし、常にリーン状態でかつSO2 が存在するディーゼルエンジン排ガスにおいてはアルカリ金属酸化物の効果は高くなく、また、耐久性に問題があり、高温で使用すると熱分解や硫酸塩の生成によって次第に失活してしまう。
【0006】
また、これまでに提案されている方法では、効率よくNOx を分解できる温度が比較的狭い範囲に限られているが、実際の排ガスの温度はエンジンの種類や走行状態によって変わるため、いろいろな温度に対応する触媒が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、NOx を効率よく分解除去し、しかも微粒子物質、未燃焼炭化水素、一酸化炭素等の有害成分をも燃焼除去しうる新規なディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒およびこれを用いた排ガスの浄化方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、高温でのNOx 分解能が高く耐久性に優れたディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、種々の排ガス温度に対応しうるディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、耐火性三次元構造体上に白金およびアルカリ金属の硫酸塩を耐火性無機酸化物粉末とともに担持してなる、ここで、該アルカリ金属の硫酸塩の担持量は該耐火性三次元構造体1リットル当り0.5〜20gの範囲にある、ことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒により達成される。
【0011】
本発明はまた、前記アルカリ金属の硫酸塩が硫酸カリウムである前記ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒である。
【0012】
また、上記諸目的は、排ガス中のHC/NOx 比がモル比で0.5〜20であるディーゼルエンジン排ガスを上記ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒に接触させることを特徴とするディーゼルエンジン排ガスの浄化方法によって達成される。
【0013】
本発明はまた、前記ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒の上流側で排ガス中に還元剤を注入することを特徴とする前記ディーゼルエンジン排ガスの浄化方法である。
【0014】
本発明はさらに、前記還元剤が軽油である前記ディーゼルエンジン排ガスの浄化方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、耐火性三次元構造体上に白金およびアルカリ金属の硫酸塩を耐火性無機酸化物粉末とともに担持してディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を形成するものである。
【0016】
本発明において、白金の担持量としては、前記耐火性三次元構造体1l当り、0.1〜5.0g、好ましくは0.1〜2.0gがよい。白金の担持量が0.1g/l未満では、NOx 分解活性が低いので好ましくない一方、担持量が5.0g/lを越える場合には、もはや担持量に見合うNOx 分解活性の向上はなく、経済的に不利である。白金の出発原料としては、白金の硝酸塩、硫酸塩、塩化物等の無機塩やアンミン錯塩等の有機酸塩等があり、例えば塩化白金酸、ジニトロジアミノ白金、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸ナトリウム、白金テトラミンクロライド、白金スルフィド錯塩等を使用することができる。
【0017】
アルカリ金属硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム等が挙げられる。アルカリ金属硫酸塩の担持量としては、耐火性三次元構造体1l当り0.5〜20g、好ましくは1〜10gがよい。アルカリ金属硫酸塩の担持量が0.5g/l未満では、SO2 の酸化を抑制する効果が不十分であり、硫酸根が生成する傾向があるために不利である一方、担持量が20g/lを越えると、それ以上増やしてもSO2 の酸化を抑制する効果は向上せず、NOx 分解をむしろ阻害する場合があり好ましくない。
【0018】
本発明で使用される耐火性無機酸化物粉末としては、γ−アルミナ、δ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ等の活性アルミナ、α−アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、ガリアもしくはこれらの複合酸化物であるアルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、チタニア−ジルコニア等、またはこれらの混合物が挙げられるが、好ましくは活性アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、アルミナ−シリカもしくはシリカ−アルミナまたはこれらの混合物がよい。これらの耐火性無機酸化物は通常粉末状であり、またそのBrunauer−Emmett−Teller(以下、BETという)表面積は5〜400m2 /g、好ましくは10〜300m2 /g、その平均粒径は0.1〜150μm、好ましくは0.2〜100μmがよい。
【0019】
耐火性無機酸化物粉末の使用量は、該耐火性三次元構造体1リットル当り20〜300g、好ましくは50〜200gがよい。20g/l未満の場合は十分な性能が得られない一方、300g/lを越える場合は使用量に見合った性能が得られない。
【0020】
本発明では、さらに必要に応じて前記白金担持耐火性無機酸化物粉末とともに第2の耐火性無機酸化物粉末を耐火性三次元構造体に被覆してもよい。この場合該第2の耐火性無機酸化物粉末の材質、BET表面積および平均粒径は、前記耐火性無機酸化物の場合と同様である。前記白金担持耐火性無機酸化物粉末と該第2の耐火性無機酸化物粉末とよりなる触媒組成物に対する該白金担持耐火性無機酸化物粉末の比率は、1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%である。該比率が1重量%未満では、十分な活性を得るのに必要な白金量を用いた場合、第2の耐火性無機酸化物を必要以上に多量に用いたことになり、経済上および触媒調整の煩雑さの理由から不利である一方、該比率が99重量%を超えると、白金の持つNOx 分解能を発現し、しかもSO2 の酸化能を抑制するというバランスを保つことが難しいので不利である。
【0021】
本発明で使用される耐火性三次元構造体としては、ペレット状、モノリス担体等が挙げられるが、好ましくは、モノリス担体がよい。モノリス担体としては、セラミックフォーム、オープンフロータイプのセラミックハニカム、ウォールフロータイプのハニカムモノリス、オープンフロータイプのメタルハニカム、金属発泡体、メタルメッシュ等が挙げられるが、そのなかではオープンフロータイプのセラミックハニカムまたはメタルハニカムが好適に使用される。セラミックハニカム担体としては、コージライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポジュメン、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート等を材料とするものが好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。また、メタルハニカム担体としては、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金等のごとき酸化抵抗性の耐熱金属を用いて一体構造体としたものが好適に使用される。
【0022】
これらのモノリス担体は、押出成形法やシート状素子を巻き固める方法等で製造される。そのガス通過口(セル形状)の形は、6角形、4角形、3角形またはコルゲーション形のいずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は150〜600セル/平方インチあれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜500セル/平方インチである。
【0023】
本発明においては、さらにサルフェートの生成を抑制する目的で、耐火性三次元構造体上に形成された触媒成分層の上に、ロジウムを別途前記耐火性無機酸化物粉末に担持してなるロジウム担持耐火性無機酸化物を被覆してもよい。このロジウム担持耐火性無機酸化物の被覆層は、単一層であってもあるいは複数層であってもよい。この場合、耐火性三次元構造体1リットル当りのロジウムの使用量は、0.01〜0.5g、好ましくは0.05〜0.3gがよい。ロジウムの使用量がこれより少ないと、効果が小さい一方、使用量がこれより多くても、使用量に見合う効果の向上はない。ロジウムの出発原料としては、硝酸ロジウム、塩化ロジウム、塩化ロジウムヘキサアンミンロジウムクロライト、ロジウムスルフィド錯塩等の無機酸塩および有機酸塩を用いることができる。
【0024】
本発明において、触媒成分を担持させる方法としては、特に限定されるものではないが、通常の含浸法が好適に用いられる。
【0025】
本発明において、触媒を調整する方法としては、たとえば次の方法がある。
【0026】
(1) 上記白金源、アルカリ金属の硫酸塩および耐火性無機酸化物を一括し、水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0027】
(2) 上記白金源および耐火性無機酸化物を一括し、水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、必要により焼成、さらに該担体をアルカリ金属の硫酸塩の水溶液に浸漬した後乾燥し、さらに必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0028】
(3) 上記アルカリ金属の硫酸塩および耐火性無機酸化物を一括し、水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、必要により焼成し、さらに該担体を白金源の水溶液に浸漬した後乾燥し、さらに必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0029】
(4) 白金源の水溶液に耐火性無機酸化物を加え、十分に混合した後、乾燥し、必要により焼成し、白金担持耐火性無機酸化物の粉末を得る。これを水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、必要により焼成し、さらに該担体をアルカリ金属の硫酸塩水溶液に浸漬した後乾燥し、さらに必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0030】
(5) アルカリ金属の硫酸塩の水溶液に耐火性無機酸化物を加え、十分に混合した後、乾燥し、必要により焼成し、アルカリ金属またはアルカリ土類金属硫酸塩担持耐火性無機酸化物の粉末を得る。これを水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、さらに該担体を白金源の水溶液に浸漬、乾燥し、さらに必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0031】
(6) 上記した白金源およびアルカリ金属の硫酸塩を一括して耐火性無機酸化物と十分混合し、次いで乾燥、必要により焼成して白金担持耐火性無機酸化物粉末を得る。次いで該白金担持耐火性無機酸化物粉末を水性スラリーとし、該水性スラリーをモノリス担体に被覆し、次いで乾燥し、必要により焼成して完成触媒とする方法。
【0032】
上記触媒成分、耐火性無機酸化物、白金担持耐火性無機酸化物等を水性スラリーとする方法としては、通常水性スラリーとしうる方法であればいずれでもよいが、たとえばボールミルによる湿式粉砕が挙げられる。
【0033】
上記(1) 〜(6) のいずれの方法においても、耐火性三次元構造体上に形成された触媒成分層の上に、さらにロジウム担持耐火性無機酸化物を被覆してもよい。
【0034】
上記(1) 〜(6) の方法のうち、触媒調整時の調整液の粘度、取扱いの便を考慮すると、上記(4) または(6) の方法が好適である。
【0035】
上記触媒調製のうち、(6) の方法についてその一例を示せば、次の通りである。まず、所定量の白金およびアルカリ金属の硫酸塩を含有する水溶液中に、耐火性無機酸化物粉末を投入して含浸させたのち、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、次いで300〜850℃、好ましくは400〜700℃の温度で0.5〜5時間、好ましくは1〜2時間燃焼することにより白金およびアルカリ金属の硫酸塩が分散された白金担持耐火性無機酸化物粉末を得る。
【0036】
つぎに、この白金担持耐火性無機酸化物粉末と、必要に応じて第2の耐火性無機酸化物粉末とを混合して湿式粉砕してスラリー化し、このようにして得られた触媒組成物のスラリーに耐火性三次元構造体を浸漬し、余分なスラリーを除去したのち、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、次いで300〜800℃、好ましくは400〜700℃で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間焼成することにより該触媒組成物を耐火性三次元構造体に被覆する。
【0037】
さらに、必要に応じて所定量のロジウムの化合物を含有する水溶液中に耐火性無機酸化物粉末を投入して含浸させたのち、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、ついで300〜800℃、好ましくは400〜700℃の温度で0.5〜5時間、好ましくは1〜2時間焼成することにより、ロジウムが耐火性無機酸化物粉末に分散されたロジウム担持耐火性無機酸化物粉末を得る。
【0038】
つぎに、この粉末を湿式粉砕してスラリー化し、得られたスラリーに、前記触媒組成物を耐火性三次元構造体に含浸、担持させ焼成した被覆耐火性三次元構造体を浸漬し、余分なスラリーを除去したのち、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、ついで300〜850℃、好ましくは400〜700℃で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間焼成することにより触媒を得る。
【0039】
本発明においては、HC/NOx 比のモル比が0.5〜20(ただし、HCはメタン換算の全炭素濃度)、好ましくは1〜10であるディーゼルエンジン排ガスを前記触媒に接触させることにより該排ガス中の窒素酸化物が除去される。すなわち、HC/NOx 比が上記範囲より低いと、NOx の分解活性が十分得られず、一方、HC/NOx 比が上記範囲を越えると、もはや活性の向上は得られず、またHCが完全に燃焼せずに排出されるので好ましくない。
【0040】
また、本発明においては、排ガス中にHCが少なく、そのままではNOx 分解活性が十分得られない場合、温度が200〜500℃、好ましくは220〜450℃である排ガス中の触媒の上流側に還元剤を注入することによってHC/NOx 比を適切な値にして反応させることができる。
【0041】
窒素酸化物を還元するための還元剤としては、アンモニア、水素、種々の炭化水素類等が知られているが、自動車に搭載して用いるには、軽油がシステムの簡便さと経済性とから実用的であり、本発明においては軽油が好適に用いられる。軽油の注入方法としては、特に限定されるものではないが、例えば単管を用いて液状で導入する方法や空気とともに噴射して霧状で加える方法が好適に用いられる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0043】
[実施例1]
BET比表面積が150m2 /gであるアルミナ粉末3000gおよび硫酸カリウム150gを、白金30gを含有する塩化白金酸水溶液中に投入し、十分混合したのち、150℃の温度で2時間乾燥し、さらに500℃の温度で1時間焼成して白金および硫酸カリウムを分散担持したアルミナ粉末を得た。
【0044】
つぎに、この粉末3000gを湿式粉砕してスラリー化した。このスラリーに横断面1平方インチ当り約400個のオープンフローガス流通セルを有する5.66インチ径×6.00インチ長の円筒状のコージェライト製ハニカム担体を浸漬し、余分なスラリ−を取除いたのち、150℃で2時間乾燥し、ついで500℃で1時間焼成した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム5g(カリウムとして2.2g)、アルミナ100gを含有するものであった。
【0045】
[実施例2]
実施例1において硫酸カリウム150gの代わりに硫酸カリウム300gを用いた以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム10g、アルミナ100gを含有するものであった。
【0046】
[実施例3]
BET比表面積が80m2 /gであるチタニア粉末2000gおよび硫酸カリウム100gを、白金20gを含有する塩化白金酸水溶液中に投入し、十分混合したのち、150℃の温度で2時間乾燥し、さらに500℃の温度で1時間焼成して白金および硫酸カリウムを分散担持したチタニア粉末を得た。
【0047】
つぎに、この粉末2120gと、BET比表面積が20m2 /gであるチタニア粉末1000gを一緒に湿式粉砕してスラリー化した。このスラリーに横断面1平方インチ当り約400個のオープンフローガス流通セルを有する5.66インチ径×6.00インチ長の円筒状のコージェライト製ハニカム担体を浸漬し、余分なスラリ−を取除いたのち、150℃で2時間乾燥し、ついで500℃で1時間焼成した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム5g、BET表面積80m2 /gのチタニア100g、BET表面積20m2 /gのチタニア50gを含有するものであった。
【0048】
[実施例4]
実施例3において硫酸カリウム100gの代わりに硫酸カリウム200gを用い、BET表面積80m2 /gのチタニア2120gの代わりに同じBET表面積のチタニア2220gを用いた以外は実施例3と同様にして触媒を調製した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム10g、BET表面積80m2 /gのチタニア100g、BET表面積20m2 /gのチタニア50gを含有するものであった。
【0049】
[比較例1]
実施例1において硫酸カリウムを用いなかった以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、アルミナ100gを含有するものであった。
【0050】
[比較例2]
実施例1において硫酸カリウム150gの代わりに硫酸カリウム900gを用いた以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム30g、アルミナ100gを含有するものであった。
【0051】
[比較例3]
実施例1において硫酸カリウム150gの代わりに硫酸カリウム9gを用いた以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、硫酸カリウム0.3g、アルミナ100gを含有するものであった。
【0052】
[比較例4]
実施例3において硫酸カリウムを用いず、BET表面積80m2 /gのチタニア2120gの代わりに同じBET表面積のチタニア2020gを用いた以外は実施例3と同様にして触媒を調整した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、BET表面積80m2 /gのチタニア100g、BET表面積20m2 /gのチタニア50gを含有するものであった。
【0053】
[比較例5]
実施例1において硫酸カリウム150g(カリウムとして67g)の代わりに硝酸カリウム174g(カリウムとして67g)を用いた以外は実施例1と同様に触媒を調整した。このようにして得られた触媒は担体1リットル当たり白金1g、カリウム2.2g、アルミナ100gを含有するものであった。
【0054】
[実施例5]
(触媒の評価)
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた触媒のディーゼルエンジン排ガス浄化性能を下記方法により評価した。この方法においては、過給直噴式ディーゼルエンジン(4気筒、2800cc)および燃料として硫黄含有量が0.05重量%である軽油を用いた。
【0055】
触媒を、上記エンジンからの排ガス管に取り付けエンジン回転数2500rpm全負荷および触媒入口温度700℃の条件下で100時間の耐久試験を実施した。
【0056】
つぎに、エンジン回転数2000rpm、触媒入口200℃の条件下で1時間触媒を換気した後、トルクを変更し、エンジン回転数2000rpm、触媒入口温度が300℃で触媒床に入る前(入口)および触媒床を出た後(出口)での排ガス中のNOx 、微粒子物質、SOF、ガス状炭化水素、一酸化炭素および二酸化硫黄の含有量を測定しそれぞれの浄化率および転化率を求めた。
【0057】
なお、NOx の還元剤として用いる軽油を、HC/NOx 比がモル比で5となるように触媒の入口に注入した。上記浄化率は、このようにして軽油を添加しない場合の入口濃度を基にして実際の出口濃度との比から求めた。
【0058】
以上の結果を前記表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
本発明のディーゼルエンジン排ガス用触媒によれば、HC/NOx 比が適当な範囲にあるディーゼルエンジン排ガス中のNOx を効率よく分解除去し、同時に微粒子物質、未燃焼炭化水素、一酸化炭素等の有害成分をも燃焼除去することができる。
【0061】
すなわち、本発明においては、アルカリ金属の硫酸塩を添加することによってSO2 の酸化活性が抑制され硫酸塩の生成を抑えるので、微粒子物質の抑制に有利である。
【0062】
また、アルカリ金属の硫酸塩を添加することによって高温側でのNOx 分解能が改善され、高温耐久性に優れたディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得ることができる。
【0063】
さらに、アルカリ金属の硫酸塩の添加量を変えることによって、得られる触媒の活性のある温度帯を変えることができ、種々の排ガス温度に対応しうるディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得ることができる。
Claims (5)
- 耐火性三次元構造体上に白金およびアルカリ金属の硫酸塩を耐火性無機酸化物粉末とともに担持してなる、ここで、該アルカリ金属の硫酸塩の担持量は該耐火性三次元構造体1リットル当り0.5〜20gの範囲にある、ことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒。
- 前記アルカリ金属の硫酸塩は硫酸カリウムである請求項1記載のディーゼルエンジン排ガス用触媒。
- 請求項1または請求項2記載のディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒に排ガス中のHC/NOx比がモル比で0.5〜20であるディーゼルエンジン排ガスを接触させることを特徴とするディーゼルエンジン排ガスの浄化方法。
- 前記ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒の上流側で排ガス中に還元剤を注入することを特徴とする請求項3記載のディーゼルエンジン排ガスの浄化方法。
- 前記還元剤は軽油である請求項4記載のディーゼルエンジン排ガスの浄化方法。
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