JP3771165B2 - 電気音響変換器 - Google Patents
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- H04R13/00—Transducers having an acoustic diaphragm of magnetisable material directly co-acting with electromagnet
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話装置などに用いられる電気音響変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の電気音響変換器の断面図である。図6において、コイル2が巻回された鉄心3の基端部はベース4に固定され、このベース4は合成樹脂材料から成るケース5に固定される。ケース5には振動板6が配置され、カバー7によって覆われる。コイル2を囲んで環状のマグネット8が配置され、このマグネット8はベース4に固定される。マグネット8と振動板6との間には、磁性材料から成る磁束案内体9が配置される。磁束案内体9は、コイルの励磁によるマグネット8、磁束案内体9、振動板6、鉄心3およびベース4を通る磁束の磁気抵抗を低減し、振動板6を駆動する電磁力を増大させる。このような磁束案内体に関して、たとえば特許3149412号などの先行技術が存在する。上記先行技術では、振動板6はケース5に支持され、磁束案内体9はマグネット8上面に直接固定されている。磁束案内体9のマグネット8への固定方法として、接着剤による方法と、マグネット8に磁束案内体9をインサート成形する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気音響変換器において製品毎の音響特性を一定に保持するためには、コイル2の非励磁状態における磁束案内体9と振動板6との間の間隔g1を厳密に管理することが重要である。しかしながら、上記先行技術では、磁束案内体9はマグネット8に固定されているのに対し、振動板6はケース5によって支持されている。そのため、磁束案内体9と振動板6との間の間隔g1には、マグネット8の高さ寸法と、ケース5における振動板受座部の高さ寸法が影響することになる。したがって、マグネット8とケース5の寸法公差が累積されるので、間隔g1の高精度な寸法管理は非常に困難になる。
【0004】
また、上記先行技術に開示された、磁束案内体9をマグネット8の上面に接着剤を用いて固定する方法では、接着剤の付着量が間隔g1に直接影響を及ぼすため、接着剤の使用量を高精度に管理する必要がある。また、一般にこの種の電気音響変換器には、コイル2の非励磁状態時に十分な磁束量を確保するため、最大エネルギー積BHmaxの高いマグネット、たとえば焼結マグネットが使用される。しかし、焼結マグネットはその性質上寸法精度が出にくいため、マグネット8の高さ寸法を高精度に管理するためには研磨などの後加工が欠かせない。このように、磁束案内体9をマグネット8の上面に接着剤を用いて固定する方法では、接着工程に加え、接着剤付着量の高精度な管理およびマグネット後加工が必要となることから、製造工程が増加し、コストの上昇を来す。
【0005】
上記先行技術に開示されたもう1つの固定方法である、マグネット8に磁束案内体9をインサート成形する方法によれば、磁束案内体9は成形金型によってマグネット8に正確に位置決めされるため、上記接着による固定方法のように頻雑な製造工程を必要とせず、間隔g1を高精度に管理することができる。しかしながら、磁束案内体9をマグネット8にインサート成形するためには、マグネット8は射出成形材料を使用する必要があり、材料の流動性や成形性を考慮し、一般的にはプラスチックマグネットが使用される。プラスチックマグネットは焼結マグネットと比較して最大エネルギー積BHmaxが低く、コイル2の非励磁状態時に十分な磁束量を確保するためには、マグネット体積を増やす必要がある。
【0006】
そうすると、振動板6の背面側の空間容積が減少し、エアダンパー効果により振動板6の振動が阻害され、十分な振動が得られず音圧が低下してしまう。逆に振動板6の背面側の空間容積を十分に確保しようとすれば、製品が大型化してしまう。加えてインサート成形品は部品価格、設備面でのコスト的デメリットが大きい点も無視できない。
【0007】
また、磁束案内体9は振動板6の直下に配置されるため、コイル2の励磁時に振動板6が振動する際、磁束案内体9が壁となりエアダンパー効果により空気の流れが阻害され、十分な振動が得られず音圧が低下してしまう。そのため、磁束案内体9に空気孔を形成し、振動板6と磁束案内体9で挟まれた空間12と、マグネット8によって囲まれた空間11とを連通させることが考えられる。しかしながら、上記先行技術では、磁束案内体9はマグネット8の上面に直接固定されているため、磁束案内体9に空気孔を形成するだけでなく、マグネット8にもその空気孔に対応して切欠き等を形成しなければならない。均一な環状ではない異形状を成すマグネット8では、マグネット8から発生する磁束が振動板6に均一に流込まなくなり、それによって振動板6が異常振動を起こしてしまう恐れがある。さらに、焼結マグネットのように最大エネルギー積BHmaxの高いマグネットは加工性に劣るため、切欠き等を形成するのは非常に困難である。
【0008】
そこで本発明では、小型化、低コスト化を実現し、製品毎の音響特性のばらつきを抑制するとともに信頼性を高めた電気音響変換器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ベースと、ベースに立設する鉄心と、鉄心周囲に配置されたマグネットと、非磁性材料で形成され、マグネット周囲に配置された振動板支持部材と、振動板支持部材に支持される振動板と、マグネットと振動板との間に配置され、磁性材料から成り、振動板支持部材に固定される磁束案内体とを備えたことを特徴とする電気音響変換器である。
【0010】
本発明に従えば、振動板支持部材には、振動板が支持されるとともに磁気抵抗を減少する磁束案内体が固定される。したがって、振動板と磁束案内体が共通の部品によって支持されるため、コイル非励磁状態における振動板と磁束案内体との間隔を、予め定める一定の値に高精度に管理することが容易に可能となる。よって、製品毎の音響特性のばらつきが抑制され、信頼性が向上されることになる。また、マグネットには磁束案内体は固定されないため、最大エネルギー積BHmaxの高いマグネットを利用することができ、低コストで十分な磁束量を確保することができる。
【0011】
また本発明は、振動板支持部材には突部が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成され、開孔または切欠きを突部に嵌合させることで位置規制するとともに、突部を塑性変形させることにより磁束案内体を振動板支持部材に固定することを特徴とする電気音響変換器である。
【0012】
本発明に従えば、磁束案内体に形成された開孔または切欠きと振動板支持部材に設けられた突部により、磁束案内体は振動板支持部材の規定の場所に正確に位置規制される。したがって、磁束案内体の振動板支持部材への取付位置精度を高めた固定構造を容易に得ることができる。また、磁束案内体は振動板支持部材に設けられた突部を塑性変形することにより機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0013】
また本発明は、マグネットと磁束案内体との間に、空気が通る間隔が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成されることを特徴とする電気音響変換器である。
【0014】
本発明に従えば、マグネットと磁束案内体との間に空気が通る間隔が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成され、この開孔または切欠きを経て空気が流れる。このような空気が通る間隔をマグネットと磁束案内体との間に形成することによって、マグネットを異形状にすることなく、エアダンパー効果を低減できるため、振動板の異常振動を起こすことなく、製品の信頼性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の電気音響変換器21の簡略化した断面図である。図2は図1の切断面線II−IIから見た簡略化した断面図であり、図3は図1の切断面線III−IIIから見た簡略化した断面図である。コイル22は、鉄心23の鉄心本体24に巻回される。この鉄心本体24に連なる基端部の固定部25は、強磁性材料から成るベース26のかしめ孔27を貫通し、かしめ加工によって固定される。ベース26は、振動板支持部材としての合成樹脂製ケース28にインサート成形して固定される。ケース28の振動板受座部29には、振動板31の周縁部が乗載される。カバー32はケース28に固定される。振動板31は、それ自体強磁性材料から成ってもよく、またこの振動板31には、強磁性材料から成る質量体34が、図示の実施例のように固定されてもよい。ベース26には、コイル22の半径方向外方に間隔をあけて囲むマグネット35が固定される。マグネット35は、鉄心23と同軸に、環状に形成される。マグネット35は、たとえばネオジ粉末を圧縮成形した構成を有する。振動板31は、鉄心本体24の遊端部36に臨んで対向する。
【0016】
ケース28は、たとえばLCP樹脂などの熱可塑性合成樹脂から成る。
強磁性材料から成る磁束案内体38は、マグネット35の上端部39と、振動板31との間に配置される。磁束案内体38は、たとえばパーマロイなどの材料から成り、剛性であり、扁平な板状である。この磁束案内体38の周縁部41は、ケース28に形成された取付突部42に嵌まり込む取付孔を有し、この嵌合状態によって、磁束案内体38がケース28に固定される。こうしてケース28に振動板31の周縁部が振動板受座部29で支持され、また磁束案内体38の周縁部41がケース28に固定されるので、コイル22の非励磁状態における振動板31と磁束案内体38との間の間隔g1を正確に設定することができ、製品毎のばらつきを抑制することができる。これによって各製品毎のコイル22の駆動時における発生共振周波数のばらつきを抑制することができ、品質の向上が図られる。
【0017】
次に、磁束案内体38とケース28の固定構造について説明する。図4は、カバー32および振動板31取り付け前の電気音響変換器1の簡略化した断面図である。ケース28の上面には取付突部42がケース28と一体に形成されている。取付突部42は鉄心23の軸線周方向に間隔をあけて複数、本実施例では3個形成されている。また、磁束案内体38には、取付突部42に対応した位置に取付孔が形成されている。磁束案内体38をケース28に固定する場合、ケース28の取付突部42と磁束案内体38の取付孔を位置合わせし、ケース28の上面に磁束案内体38を載置する。これにより取付突部42と取付孔が嵌合し、ケース28の上面に磁束案内体38が位置規制される。したがって、治具などによる位置決めが不要であり、また取付工程において位置ずれを起こす心配もなく、容易に取付位置精度を高めることができる。
【0018】
取付突部42の高さは磁束案内体38の厚みより大きく設定されており、ケース28の上面に磁束案内体38を載置した状態で、取付突部42の先端は磁束案内体38の上面に突出する。この突出部分をたとえばプレス機により加圧し、塑性変形させることで、磁束案内体38をケース28に固定することができる。したがって、磁束案内体38はケース28に機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0019】
マグネット35によって囲まれるコイル22を含む空間43は、マグネット35の上端部と磁束案内体38との間の間隔Lを経て、空気が通ることができる。この磁束案内体には、空気孔46が形成される。空気孔46は、間隔Lに臨むとともに、空間43に連なる。空気孔46は、鉄心23の軸線まわりに周方向に間隔をあけて複数、形成される。カバー32によって覆われる振動板31よりも図1の上方の空間48は、通気孔49を経て大気開放される。またこのマグネット35によって囲まれる空間43は、通気孔51が、ケース28に形成されることによって、大気開放される。こうして空気による振動板31の振動が抑制される恐れはない。マグネット35の上端部39と磁束案内体38との間に、前述の間隔Lが存在し、またこの磁束案内体38に空気孔46が形成されることによって、マグネット35を異形状にすることなく、空気の流通を良好にできるためエアダンパー効果の低減を図ることができる。
【0020】
図5は、本発明の実施の他の形態の電気音響変換器21aの簡略化した断面図である。この実施の形態は、前述の図1〜図4の実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施の形態では、ケース本体28aには、ベース26が固定され、このケース本体28aに、振動板支持部材としての受け部材53が固定される。受け部材53には、振動板受座部54が形成され、振動板38の周縁部が、振動板受座部54に乗載される。また磁束案内体38の周縁部56は、受け部材53の支持肩部57に受けられてたとえば溶接等にて固定される。こうして受け部材53には、振動板31の周縁部と磁束案内体38の周縁部56とが共通に支持・固定される。このことによって振動板31と磁束案内体38との間隔g1を、電気音響変換器21aの製品毎のばらつきを抑制し、正確に設定することができ、これによって発生される共振周波数のばらつきを防ぐことができ、品質の向上が図られる。マグネット35の上端部39と磁束案内体38との間に間隔Lが形成され、また空気孔46が形成される構成は、前述の実施の形態と同様である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、振動板と磁束案内体とを振動板支持部材に共通に支持・固定するようにしたので、振動板と磁束案内体との間の間隔を正確に設定することができ、製品毎の音響特性のばらつきが抑制され、信頼性の向上を図ることができる。また、マグネットには磁束案内体は固定されないため、最大エネルギー積BHmaxの高い焼結マグネットを利用することができ、低コストで十分な磁束量を確保することができる。
【0022】
また本発明によれば、磁束案内体に形成された開孔または切欠きと振動板支持部材に設けられた突部により、磁束案内体は振動板支持部材の規定の場所に正確に位置規制されるので、磁束案内体の振動板支持部材への取付位置精度を高めた固定構造を容易に得ることができる。また、磁束案内体は振動板支持部材に設けられた突部を塑性変形することにより機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0023】
また本発明によれば、マグネットと磁束案内体との間に空気が通る間隔が形成され、磁束案内体に形成された開孔または切欠きを経て空気が流れるので、マグネットを異形状にすることなく、エアダンパー効果を低減できるため、振動板の異常振動を起こすことなく、製品の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の電気音響変換器21の簡略化した断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た簡略化した断面図である。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た簡略化した断面図である。
【図4】カバー32および振動板31取り付け前の電気音響変換器1の簡略化した断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態の電気音響変換器21aの簡略化した断面図である。
【図6】先行技術の電気音響変換器1の断面図である。
【符号の説明】
21 電気音響変換器
22 コイル
23 鉄心
26 ベース
28 ケース
31 振動板
35 マグネット
38 磁束案内体
43 空間
46 空気孔
53 受け部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話装置などに用いられる電気音響変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の電気音響変換器の断面図である。図6において、コイル2が巻回された鉄心3の基端部はベース4に固定され、このベース4は合成樹脂材料から成るケース5に固定される。ケース5には振動板6が配置され、カバー7によって覆われる。コイル2を囲んで環状のマグネット8が配置され、このマグネット8はベース4に固定される。マグネット8と振動板6との間には、磁性材料から成る磁束案内体9が配置される。磁束案内体9は、コイルの励磁によるマグネット8、磁束案内体9、振動板6、鉄心3およびベース4を通る磁束の磁気抵抗を低減し、振動板6を駆動する電磁力を増大させる。このような磁束案内体に関して、たとえば特許3149412号などの先行技術が存在する。上記先行技術では、振動板6はケース5に支持され、磁束案内体9はマグネット8上面に直接固定されている。磁束案内体9のマグネット8への固定方法として、接着剤による方法と、マグネット8に磁束案内体9をインサート成形する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気音響変換器において製品毎の音響特性を一定に保持するためには、コイル2の非励磁状態における磁束案内体9と振動板6との間の間隔g1を厳密に管理することが重要である。しかしながら、上記先行技術では、磁束案内体9はマグネット8に固定されているのに対し、振動板6はケース5によって支持されている。そのため、磁束案内体9と振動板6との間の間隔g1には、マグネット8の高さ寸法と、ケース5における振動板受座部の高さ寸法が影響することになる。したがって、マグネット8とケース5の寸法公差が累積されるので、間隔g1の高精度な寸法管理は非常に困難になる。
【0004】
また、上記先行技術に開示された、磁束案内体9をマグネット8の上面に接着剤を用いて固定する方法では、接着剤の付着量が間隔g1に直接影響を及ぼすため、接着剤の使用量を高精度に管理する必要がある。また、一般にこの種の電気音響変換器には、コイル2の非励磁状態時に十分な磁束量を確保するため、最大エネルギー積BHmaxの高いマグネット、たとえば焼結マグネットが使用される。しかし、焼結マグネットはその性質上寸法精度が出にくいため、マグネット8の高さ寸法を高精度に管理するためには研磨などの後加工が欠かせない。このように、磁束案内体9をマグネット8の上面に接着剤を用いて固定する方法では、接着工程に加え、接着剤付着量の高精度な管理およびマグネット後加工が必要となることから、製造工程が増加し、コストの上昇を来す。
【0005】
上記先行技術に開示されたもう1つの固定方法である、マグネット8に磁束案内体9をインサート成形する方法によれば、磁束案内体9は成形金型によってマグネット8に正確に位置決めされるため、上記接着による固定方法のように頻雑な製造工程を必要とせず、間隔g1を高精度に管理することができる。しかしながら、磁束案内体9をマグネット8にインサート成形するためには、マグネット8は射出成形材料を使用する必要があり、材料の流動性や成形性を考慮し、一般的にはプラスチックマグネットが使用される。プラスチックマグネットは焼結マグネットと比較して最大エネルギー積BHmaxが低く、コイル2の非励磁状態時に十分な磁束量を確保するためには、マグネット体積を増やす必要がある。
【0006】
そうすると、振動板6の背面側の空間容積が減少し、エアダンパー効果により振動板6の振動が阻害され、十分な振動が得られず音圧が低下してしまう。逆に振動板6の背面側の空間容積を十分に確保しようとすれば、製品が大型化してしまう。加えてインサート成形品は部品価格、設備面でのコスト的デメリットが大きい点も無視できない。
【0007】
また、磁束案内体9は振動板6の直下に配置されるため、コイル2の励磁時に振動板6が振動する際、磁束案内体9が壁となりエアダンパー効果により空気の流れが阻害され、十分な振動が得られず音圧が低下してしまう。そのため、磁束案内体9に空気孔を形成し、振動板6と磁束案内体9で挟まれた空間12と、マグネット8によって囲まれた空間11とを連通させることが考えられる。しかしながら、上記先行技術では、磁束案内体9はマグネット8の上面に直接固定されているため、磁束案内体9に空気孔を形成するだけでなく、マグネット8にもその空気孔に対応して切欠き等を形成しなければならない。均一な環状ではない異形状を成すマグネット8では、マグネット8から発生する磁束が振動板6に均一に流込まなくなり、それによって振動板6が異常振動を起こしてしまう恐れがある。さらに、焼結マグネットのように最大エネルギー積BHmaxの高いマグネットは加工性に劣るため、切欠き等を形成するのは非常に困難である。
【0008】
そこで本発明では、小型化、低コスト化を実現し、製品毎の音響特性のばらつきを抑制するとともに信頼性を高めた電気音響変換器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ベースと、ベースに立設する鉄心と、鉄心周囲に配置されたマグネットと、非磁性材料で形成され、マグネット周囲に配置された振動板支持部材と、振動板支持部材に支持される振動板と、マグネットと振動板との間に配置され、磁性材料から成り、振動板支持部材に固定される磁束案内体とを備えたことを特徴とする電気音響変換器である。
【0010】
本発明に従えば、振動板支持部材には、振動板が支持されるとともに磁気抵抗を減少する磁束案内体が固定される。したがって、振動板と磁束案内体が共通の部品によって支持されるため、コイル非励磁状態における振動板と磁束案内体との間隔を、予め定める一定の値に高精度に管理することが容易に可能となる。よって、製品毎の音響特性のばらつきが抑制され、信頼性が向上されることになる。また、マグネットには磁束案内体は固定されないため、最大エネルギー積BHmaxの高いマグネットを利用することができ、低コストで十分な磁束量を確保することができる。
【0011】
また本発明は、振動板支持部材には突部が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成され、開孔または切欠きを突部に嵌合させることで位置規制するとともに、突部を塑性変形させることにより磁束案内体を振動板支持部材に固定することを特徴とする電気音響変換器である。
【0012】
本発明に従えば、磁束案内体に形成された開孔または切欠きと振動板支持部材に設けられた突部により、磁束案内体は振動板支持部材の規定の場所に正確に位置規制される。したがって、磁束案内体の振動板支持部材への取付位置精度を高めた固定構造を容易に得ることができる。また、磁束案内体は振動板支持部材に設けられた突部を塑性変形することにより機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0013】
また本発明は、マグネットと磁束案内体との間に、空気が通る間隔が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成されることを特徴とする電気音響変換器である。
【0014】
本発明に従えば、マグネットと磁束案内体との間に空気が通る間隔が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成され、この開孔または切欠きを経て空気が流れる。このような空気が通る間隔をマグネットと磁束案内体との間に形成することによって、マグネットを異形状にすることなく、エアダンパー効果を低減できるため、振動板の異常振動を起こすことなく、製品の信頼性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の電気音響変換器21の簡略化した断面図である。図2は図1の切断面線II−IIから見た簡略化した断面図であり、図3は図1の切断面線III−IIIから見た簡略化した断面図である。コイル22は、鉄心23の鉄心本体24に巻回される。この鉄心本体24に連なる基端部の固定部25は、強磁性材料から成るベース26のかしめ孔27を貫通し、かしめ加工によって固定される。ベース26は、振動板支持部材としての合成樹脂製ケース28にインサート成形して固定される。ケース28の振動板受座部29には、振動板31の周縁部が乗載される。カバー32はケース28に固定される。振動板31は、それ自体強磁性材料から成ってもよく、またこの振動板31には、強磁性材料から成る質量体34が、図示の実施例のように固定されてもよい。ベース26には、コイル22の半径方向外方に間隔をあけて囲むマグネット35が固定される。マグネット35は、鉄心23と同軸に、環状に形成される。マグネット35は、たとえばネオジ粉末を圧縮成形した構成を有する。振動板31は、鉄心本体24の遊端部36に臨んで対向する。
【0016】
ケース28は、たとえばLCP樹脂などの熱可塑性合成樹脂から成る。
強磁性材料から成る磁束案内体38は、マグネット35の上端部39と、振動板31との間に配置される。磁束案内体38は、たとえばパーマロイなどの材料から成り、剛性であり、扁平な板状である。この磁束案内体38の周縁部41は、ケース28に形成された取付突部42に嵌まり込む取付孔を有し、この嵌合状態によって、磁束案内体38がケース28に固定される。こうしてケース28に振動板31の周縁部が振動板受座部29で支持され、また磁束案内体38の周縁部41がケース28に固定されるので、コイル22の非励磁状態における振動板31と磁束案内体38との間の間隔g1を正確に設定することができ、製品毎のばらつきを抑制することができる。これによって各製品毎のコイル22の駆動時における発生共振周波数のばらつきを抑制することができ、品質の向上が図られる。
【0017】
次に、磁束案内体38とケース28の固定構造について説明する。図4は、カバー32および振動板31取り付け前の電気音響変換器1の簡略化した断面図である。ケース28の上面には取付突部42がケース28と一体に形成されている。取付突部42は鉄心23の軸線周方向に間隔をあけて複数、本実施例では3個形成されている。また、磁束案内体38には、取付突部42に対応した位置に取付孔が形成されている。磁束案内体38をケース28に固定する場合、ケース28の取付突部42と磁束案内体38の取付孔を位置合わせし、ケース28の上面に磁束案内体38を載置する。これにより取付突部42と取付孔が嵌合し、ケース28の上面に磁束案内体38が位置規制される。したがって、治具などによる位置決めが不要であり、また取付工程において位置ずれを起こす心配もなく、容易に取付位置精度を高めることができる。
【0018】
取付突部42の高さは磁束案内体38の厚みより大きく設定されており、ケース28の上面に磁束案内体38を載置した状態で、取付突部42の先端は磁束案内体38の上面に突出する。この突出部分をたとえばプレス機により加圧し、塑性変形させることで、磁束案内体38をケース28に固定することができる。したがって、磁束案内体38はケース28に機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0019】
マグネット35によって囲まれるコイル22を含む空間43は、マグネット35の上端部と磁束案内体38との間の間隔Lを経て、空気が通ることができる。この磁束案内体には、空気孔46が形成される。空気孔46は、間隔Lに臨むとともに、空間43に連なる。空気孔46は、鉄心23の軸線まわりに周方向に間隔をあけて複数、形成される。カバー32によって覆われる振動板31よりも図1の上方の空間48は、通気孔49を経て大気開放される。またこのマグネット35によって囲まれる空間43は、通気孔51が、ケース28に形成されることによって、大気開放される。こうして空気による振動板31の振動が抑制される恐れはない。マグネット35の上端部39と磁束案内体38との間に、前述の間隔Lが存在し、またこの磁束案内体38に空気孔46が形成されることによって、マグネット35を異形状にすることなく、空気の流通を良好にできるためエアダンパー効果の低減を図ることができる。
【0020】
図5は、本発明の実施の他の形態の電気音響変換器21aの簡略化した断面図である。この実施の形態は、前述の図1〜図4の実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施の形態では、ケース本体28aには、ベース26が固定され、このケース本体28aに、振動板支持部材としての受け部材53が固定される。受け部材53には、振動板受座部54が形成され、振動板38の周縁部が、振動板受座部54に乗載される。また磁束案内体38の周縁部56は、受け部材53の支持肩部57に受けられてたとえば溶接等にて固定される。こうして受け部材53には、振動板31の周縁部と磁束案内体38の周縁部56とが共通に支持・固定される。このことによって振動板31と磁束案内体38との間隔g1を、電気音響変換器21aの製品毎のばらつきを抑制し、正確に設定することができ、これによって発生される共振周波数のばらつきを防ぐことができ、品質の向上が図られる。マグネット35の上端部39と磁束案内体38との間に間隔Lが形成され、また空気孔46が形成される構成は、前述の実施の形態と同様である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、振動板と磁束案内体とを振動板支持部材に共通に支持・固定するようにしたので、振動板と磁束案内体との間の間隔を正確に設定することができ、製品毎の音響特性のばらつきが抑制され、信頼性の向上を図ることができる。また、マグネットには磁束案内体は固定されないため、最大エネルギー積BHmaxの高い焼結マグネットを利用することができ、低コストで十分な磁束量を確保することができる。
【0022】
また本発明によれば、磁束案内体に形成された開孔または切欠きと振動板支持部材に設けられた突部により、磁束案内体は振動板支持部材の規定の場所に正確に位置規制されるので、磁束案内体の振動板支持部材への取付位置精度を高めた固定構造を容易に得ることができる。また、磁束案内体は振動板支持部材に設けられた突部を塑性変形することにより機械的に固定されるため、高い固定強度を得ることができ、外部衝撃等の影響による位置ずれや脱落を確実に防止することができる。
【0023】
また本発明によれば、マグネットと磁束案内体との間に空気が通る間隔が形成され、磁束案内体に形成された開孔または切欠きを経て空気が流れるので、マグネットを異形状にすることなく、エアダンパー効果を低減できるため、振動板の異常振動を起こすことなく、製品の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の電気音響変換器21の簡略化した断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た簡略化した断面図である。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た簡略化した断面図である。
【図4】カバー32および振動板31取り付け前の電気音響変換器1の簡略化した断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態の電気音響変換器21aの簡略化した断面図である。
【図6】先行技術の電気音響変換器1の断面図である。
【符号の説明】
21 電気音響変換器
22 コイル
23 鉄心
26 ベース
28 ケース
31 振動板
35 マグネット
38 磁束案内体
43 空間
46 空気孔
53 受け部材
Claims (3)
- ベースと、
ベースに立設する鉄心と、
鉄心周囲に配置されたマグネットと、
非磁性材料で形成され、マグネット周囲に配置された振動板支持部材と、
振動板支持部材に支持される振動板と、
マグネットと振動板との間に配置され、磁性材料から成り、振動板支持部材に固定される磁束案内体とを備えたことを特徴とする電気音響変換器。 - 振動板支持部材には突部が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成され、開孔または切欠きを突部に嵌合させることで位置規制するとともに、突部を塑性変形させることにより磁束案内体を振動板支持部材に固定することを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
- マグネットと磁束案内体との間に、空気が通る間隔が形成され、磁束案内体には開孔または切欠きが形成されることを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
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