JP3770730B2 - プリンタの用紙分離機構 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はプリンタの用紙分離機構に係り、特に、記録媒体としての厚さや摩擦係数等の異なる多種多様な用紙に対し、所望の記録を施すプリンタの用紙分離機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンピュータ、ワードプロセッサ等の出力装置として熱転写プリンタ、ページプリンタ等の各種のプリンタが用いられている。
【0003】
このようなプリンタにおいて、所望の記録を行なう場合は、給紙カセットや給紙トレー等の用紙載置部に複数枚の用紙を積層して収納し、この用紙載置部に収納された用紙に対して給紙ローラを当接させてこの給紙ローラを回転駆動させることにより、前記用紙を分離機構により1枚ずつ分離して給紙するようになっている。この給紙ローラにより給紙された用紙は、プリンタの記録位置の手前に配置された紙送りローラに向かって搬送され、用紙の搬送方向の先頭が紙送りローラに達すると、この紙送りローラにより用紙の搬送を行なうようになっている。そして、所定の記録位置に搬送された用紙に対して、所望の記録信号に基づいてサーマルヘッドを駆動することにより、所望の記録を行なうものである。
【0004】
そして、このようなプリンタにおいては、前記給紙ローラにより用紙を給紙する場合に、最上位の用紙から確実に1枚ずつ分離して給紙するための分離機構が設けられている。このような分離機構としては、従来より、給紙カセットの先端部両側に分離爪を配設し、この分離爪を積層して収納された前記用紙の先端部両側に係合させ、搬送されない残り分の用紙を押さえて搬送する用紙のみを分離するようにした機構や、用紙の先端縁が当接される分離板を設け、この分離板の接触抵抗により、用紙を1枚ずつ適正に分離するようにした分離機構が開発されている。
【0005】
前記分離爪を利用した分離機構をさらに説明すれば、前記給紙ローラの回転駆動により、積層された用紙の最上位に位置し、前記給紙ローラと直接当接する用紙の先端部を前記分離爪との係合から解除することによって、他の積層された用紙から分離する機構となっており、特に、記録に供される用紙の厚みが約0.1mm以下であって紙の腰も弱く摩擦係数も大きいため、いわゆるダブルフィードされやすい用紙に対して特に有効な分離機構とされていた。このような、薄紙の分離を行うためには、前記分離爪の形状も、前記用紙の積層して収納された前記用紙の先端部両側の表面に当接して押さえる面積を比較的大きくして、腰の弱い薄い用紙に対応する必要があった。しかし、この形状の分離爪は、それ以上の厚みを有する用紙の分離には、不適な形状であることはいうまでもない。
【0006】
また、他方の分離板による分離機構は、特に、用紙の厚みが0.2mm以上で、摩擦係数も小さく、いわゆるダブルフィードもされにくい用紙に対して有効な分離機構であり、紙の腰だけで十分分離可能な場合に用いられる機構でる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昨今は、プリンタの記録に供される用紙はその用途に合わせて多種多様となり、従来の何れかの用紙分離機構に頼るのみでは、用紙分離を確実に行うことが困難な場合が増えてきた。
【0008】
例えば、厚みがあり、摩擦係数も大きい用紙を用いる場合には、従来の形状の分離爪を用いた分離機構によればノンフィードとなり、無理矢理に前記給紙ローラの給紙力をアップさせれば、搬送される用紙に傷が付いたり折れが生じることとなる。また、分離板を設けた分離機構では、ダブルフィードが生じる割合が極端に大きくなる。
【0009】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたもので、記録に供する用紙の厚みや腰、摩擦係数等の特質に応じて、1台のプリンタに配けられた複数種の分離機構を適宜、切り替えて機能させうるプリンタの用紙分離機構を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明に係るプリンタの用紙分離機構は、プリンタの用紙載置部に積層して収納された用紙に当接可能とされ、この用紙を1枚ずつ分離して給紙する給紙ローラを配設してなるプリンタの用紙分離機構であって、前記用紙載置部に収納された用紙を搬送方向へ案内する斜面とされ、前記用紙の先端縁が当接する分離壁からなる壁分離手段と、分離爪回動軸を中心として回動自在に軸支され、用紙載置部に収納された複数枚の用紙のうち最上位に位置する用紙の表面に当接する第1用紙当接部を有し前記用紙の先端角部に係合する第1分離爪と、前記分離爪回動軸を中心として回動自在に軸支され、用紙載置部に収納された複数枚の用紙の最上位に位置する用紙の表面に対し、前記第1分離爪の前記第1用紙当接部と隣接位置においてほぼ面一とされた第2用紙当接部を当接させる第2分離爪とからなる爪分離手段と、前記用紙載置部に収納された用紙の種類に応じて、第1分離爪および第2分離爪の双方、または前記第2分離爪のみを前記用紙載置部に収納され最上位に位置する用紙から離間させた位置に退避させることにより、前記分離壁による壁分離手段、前記第1分離爪のみによる爪分離手段および前記第1分離爪および第2分離爪の双方を用いた爪分離手段のうち、いずれか1つの分離手段を選択可能とした切替手段とから構成されていることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項2に記載のプリンタの用紙分離機構は、請求項1に記載のプリンタの用紙分離機構前記切替手段は、前記第1分離爪に形成され、前記第1用紙当接部と反対側の端部で前記分離爪回動軸より後方に延出する第1作用部と、前記第2分離爪に形成され、前記第2用紙当接部と反対側の端部で前記分離爪回動軸より後方に延出する第2作用部と、前記第1作用部に対する係合に先行して前記第2作用部に対して係合可能とされ、前記第1分離爪および第2分離爪をそれぞれの回動軸を中心に回動させて前記第1用紙当接部および第2用紙当接部を前記用紙載置部に収納された用紙から退避させる操作レバーとから構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のプリンタの用紙分離機構によれば、操作レバー等の切替手段を操作することにより、記録に供される用紙の特質等に適合した用紙の分離手段を選択的に切替えて、その後、記録動作を開始させることにより、確実な用紙分離を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について図1乃至図5を参照して説明する。
【0014】
図1に示すプリンタ1は、用紙2をほぼ垂直に搬送して記録を行なうように構成されている。よって、このプリンタ1においては、平板状を有し前記プリンタフレーム3の幅方向に延在するプラテン4がその記録面がほぼ垂直となるように配設されている。また、前記プリンタフレーム3の一側には、図示しない駆動機構によりプラテン4に沿って往復移動自在とされたキャリッジ5が配設されており、このキャリッジ5の下端部には、図示しない複数の発熱素子が整列配置された記録ヘッドとしてのサーマルヘッド6が図示しない駆動機構によりプラテン4に対して接離自在に配設されている。なお、前記キャリッジ5には、リボンカセットが着脱自在に装着されるようになっており、前記プラテン4とサーマルヘッドとの間に用紙2および前記リボンカセットに収納されたインクリボンが供給された状態で、サーマルヘッド6をプラテン4に対して圧接させ、このヘッドダウン状態におけるサーマルヘッド6とプラテン4との圧接位置が記録位置とされている。
【0015】
そして、前記プリンタフレーム3のほぼ中央部には、前記プリンタフレーム3の幅方向に延在し両端部が前記プリンタフレーム3の両側に支持された給紙ローラ駆動軸7が配設されている。前記給紙ローラ駆動軸7には、複数の給紙ローラ8が軸方向に所定間隔を有するように取付けられている。
【0016】
そして、前記プリンタフレーム3の給紙方向上流側の上方には、給紙トレー支持軸9が配設されており、この給紙トレー支持軸9には、その上面を複数枚の用紙2を積層して載置する用紙載置部10として機能するように構成された給紙トレー11が揺動可能に軸支されており、前記給紙トレー11を給紙方向に揺動させた状態で前記用紙載置部10の前方を前記給紙ローラ8に対して圧接可能に構成されている。
【0017】
前記用紙載置部10には、コルク等の材料からなる複数の摩擦パッド12が、その表面を前記用紙載置部10と面一かやや上方に位置させるようにして埋設されている。
【0018】
そして、前記給紙ローラ8の下方には、前記用紙載置部7に載置された前記用紙2の先端縁が当接し、この積層された用紙2のうち最上位の用紙2のみを分離させるための分離壁13が所定の角度をもって傾斜させて配設されている。なお、前記分離壁13は、その傾斜角度を調整可能な分離板としてもよい。
【0019】
さらに、本実施形態においては、前記プリンタフレーム3の前記給紙トレー支持軸9の近傍には、分離爪回動軸14が配設されており、この分離爪回動軸14には、図2に示すように、前記用紙載置部10に積層して収納された用紙2の一先端角部に係合し、前記用紙載置部10の最上位に位置する用紙2の表面に当接する第1用紙当接部15が形成された第1分離爪16が前記分離爪回動軸14を中心に回動可能に軸支されている。
【0020】
また、本実施形態においては、前記分離爪回動軸14には、さらに、図2に示すように、前記第1用紙当接部15とほぼ面一となって隣接し、前記用紙載置部10に積層された最上位に位置する用紙2の表面に当接する第2用紙当接部17が形成された第2分離爪18も回動自在に軸支されている。前記第1用紙当接部15と第2用紙当接部17との前記用紙2に対する当接面積の合計は、前述した従来の分離爪の用紙2に対する当接面積とほぼ等しくされており、本実施形態における各用紙当接部15,17は、その当接面積を等分するような形状とされている。
【0021】
そして、前記第1分離爪16の前記第1用紙当接部15の形成側と反対側となる後端部は、図3に示すように、前記分離爪回動軸14による軸支位置より後上方へ折曲形成された第1作用部19とされており、同じく、前記第2分離爪18の前記第2用紙当接部17の形成側と反対側となる後端部は、前記分離爪回動軸14による軸支位置より上方で、前記第1作用部よりも前記給紙ローラ8の配設側へ延出するようにして折曲形成された第2作用部20とされている。
【0022】
さらに、前記プリンタフレーム3に形成された前記分離爪回転軸14の上方には、操作レバー支持軸21が配設されており、この操作レバー支持軸21には板棒状の操作レバー22の中央部が前記操作レバー22の先端部22aを揺動可能に軸支されており、前記先端部22aが前記第2作用部20および第1作用部19に対し、前記給紙ローラ8の配設方向から順次係合し、それぞれ第2分離爪18および第1分離爪16を分離爪回動軸14を中心にして回動させることにより、それぞれ前記第2用紙当接部17および第1用紙当接部15を前記用紙2から退避させうるように構成されている。そして、前記操作レバー22の後端部22bは、プリンタフレーム3に前記操作レバー22の回動方向、つまり、前記給紙ローラ8に対し直交する方向に略長方形状に開口する図示しない操作レバー突出溝から突出させて配設されている。そして、前記操作レバー22の後端部22bを、前記操作レバー突出溝の長手方向に前記給紙ローラ8に離間した位置から給紙ローラ8側へ移動させる回動の前後において、前記分離爪16,18は、前記第2分離爪18および第1分離爪16の双方の用紙当接部17,15が用紙2に当接した状態(以下、この状態における前記後端部22bの停止位置を、薄紙用分離位置という)から、前記第2分離爪18の第2用紙当接部17のみを前記用紙2から離間させた状態(以下、同様に、厚紙用分離位置という)を経て、前記第2分離爪18および第1分離爪16の双方の用紙当接部17,15を用紙2から離間させた状態(以下、同様に、葉書用分離位置という)となるように構成されており、前記後端部22bは、前述の薄紙用分離位置、厚紙用分離位置そして葉書用分離位置の3つの停止位置において、前記分離爪16,18の位置形状を保持し得るように構成されている。
【0023】
なお、本実施形態において、前記分離爪回動軸14および操作レバー回動軸21は、前記プリンタフレーム3の一内側壁にのみ形成するものとし、その形成される側は、記録に供される各種サイズの用紙2の搬送位置の基準とされる側とする。
【0024】
また、プリンタフレーム3の前記プラテン4の下方で前記給紙ローラ駆動軸7の斜め上方には、前記プリンタフレーム3の幅方向に延在し両端部が前記プリンタフレーム3の両側に支持された紙送りローラ駆動軸23が配設されており、この紙送りローラ駆動軸23には、複数の紙送りローラ24が所定間隔をもって取付けられている。そして、各紙送りローラ24の下方及び側方には、紙送りローラ24の外周面に当接され紙送りローラ24に従動回転される補助ローラ25が回転自在に配設されており、プリンタフレーム3の前記用紙載置部10と紙送りローラ24との間には、給紙ローラ8により用紙載置部10から取出された用紙2を給紙方向下流側上方に位置する前記紙送りローラ24と補助ローラ25との間に案内する曲面形成されたガイド板26が配設されている。
【0025】
さらに、プリンタフレーム3のプラテン4より給紙方向下流側には、前記プリンタフレーム3の幅方向に延在しプリンタフレーム3に支持された排紙ローラ駆動軸27が回転自在に配設されており、この排紙ローラ駆動軸27には、記録の終了した用紙2を外部に排出する複数の排紙ローラ28が所定間隔をもって取付けられている。
【0026】
そして、用紙載置部10から給紙ローラ18より給紙された用紙2は、記録位置の手前でガイド板26に案内されて紙送りローラ24と補助ローラ25とに受け渡され、紙送りローラ24と補助ローラ25との間に挟持されてその上方に位置する記録位置に搬送されるものであり、記録後の用紙2は、排紙ローラ28によりプリンタ1の外部に排出されるようになされている。
【0027】
次に、本発明のプリンタの用紙分離機構の作用について説明する。
【0028】
まず、前述のように構成されたプリンタにおいては、図示しない制御手段により前記給紙トレー11を前記プラテン4と離反する方向へ揺動させ、前記給紙トレー11と前記給紙ローラ8との当接を解除した状態とした前記給紙トレー11の用紙載置部10に対し、所望の記録を行うための用紙2を、その先端縁から前記用紙載置部10の上面をスライドさせつつ、前記用紙載置部10に載置して収納させる。
【0029】
そして、制御手段からの制御指令により、再び前記給紙トレー11を摩擦パッド12の配設側が前記プラテン4に近づく方向へ揺動させて積層された用紙2と前記給紙ローラ8とを当接させる。
【0030】
その際、本実施形態においては、前記操作レバー22の後端部22bを把持して所望の用紙分離手段を選択すべく、切替操作を行う。
【0031】
つまり、本実施形態においては、前述のように、前記分離壁13による用紙分離手段と、前記分離爪16,18を用いた用紙分離手段とを、その記録に供する用紙2に合わせて選択可能とされており、分離爪16,18を用いた用紙分離手段はさらに、第1分離爪18のみを用いた用紙分離手段と、前記両分離爪16,18を用いた用紙分離手段とを選択して切替可能とされている。
【0032】
第1分離爪16および第2分離爪18を用いた用紙分離手段は、薄紙の分離に有効な分離手段である。この用紙分離手段を選択する際には、前記操作レバー22の後端部22bを前記操作レバー突出溝の最も給紙ローラ8寄りの停止位置に移動させ、薄紙用停止位置に位置させる。
【0033】
このとき、前記先端部22aは、図3に示すように、いずれの作用部19,20に対しても係合していない状態となる。そして、前記第1分離爪は、積層された用紙2の一先端角部に係合し、さらに、前記第1用紙当接部15と第2用紙当接部17は、隣位してほぼ面一となって用紙2の表面に当接し、積層された用紙2の表面を押さえる状態となっている。
【0034】
ここでいう薄紙とは、用紙の厚みが約0.1mm以下であって紙の腰も弱く摩擦係数も大きい用紙を意味するものであり、通常用いられるコピー用紙(t=0.1)やワープロ用紙(t=0.075)がこの範疇に属する。このような用紙2を記録に供する場合には、前記用紙2の表面との当接面積を広くとることができる本分離機構を選択することにより、確実に用紙分離を行うことができる。
【0035】
また、分離爪16,18による用紙分離手段のうち、前記第1分離爪16のみを用いた用紙分離手段は、昇華記録紙(t=0.205)や光沢紙(t=0.175)のような厚紙の分離に有効な分離手段であり、この用紙分離手段を選択する際には、図4に示すように前記第2分離爪18と前記用紙2との当接を解除させるべく、前記操作レバー22の後端部22bを前記操作レバー突出溝のほぼ中央部に移動させ、厚紙用停止位置に位置させる。
【0036】
このとき、前記先端部22aは第2作用部20に対してのみ係合し、前記第2分離爪18の第2用紙当接部17は、前記用紙2から若干離間した位置に退避した状態となる。
【0037】
そして、プリンタ1の記録動作を開始させて前記給紙ローラ8を回転駆動させることにより、前記給紙ローラ8と直接当接する最上位の用紙2のみの先端部を前記第1分離爪16の係合・当接から解除させて、他の積層された用紙から分離させて紙送りローラ24の方向に搬送する。
【0038】
このように、前記分離爪16の前記用紙2の表面に対する当接面積を小さくし用紙2への掛かり量も少なくすることで、葉書のような特に厚い紙ではなく、薄紙でもない用紙2の分離を確実に行うことができるものとなる。
【0039】
また、前記分離壁13による用紙分離手段は、葉書(t=0.22)のような特に厚い紙であり、摩擦係数も小さく、紙の腰の強い用紙2を分離させるときに有効である。この用紙分離手段を選択する際には、図5に示すように前記両分離爪16、18と前記用紙2との当接を解除させるべく、前記操作レバー22の後端部22bを給紙ローラ8の配設側に移動させ、葉書用停止位置に位置させる。
【0040】
このとき、前記先端部22aは第1作用部19および第2作用部20の両作用部に対して係合し、前記第1分離爪16の第1用紙当接部15は、積層された用紙の表面から若干離間した位置に退避し、前記第2分離爪18の第2用紙当接部17は、前記第1用紙当接部よりもさらに前記用紙2から離間した位置に退避した状態となる。
【0041】
そして、プリンタ1の記録動作を開始させて前記給紙ローラ8を回転駆動させることにより、前記用紙2の先端を前記分離壁13に当接させ、その用紙2の腰を利用して分離を行い、他の積層された用紙から分離させて紙送りローラ24の方向に搬送するようにする。
【0042】
このようにして、記録に供する用紙に適合する分離手段を選択した後、プリンタ1の記録動作を開始させて前記給紙ローラ8を回転駆動させることにより、前記給紙ローラ8と直接当接する最上位の用紙2のみの先端部を前記分離爪16,18との係合・当接から解除させて、他の積層された用紙2から分離させて紙送りローラ24の方向に搬送する。
【0043】
なお、用紙2の表面から離間した位置にその用紙当接部15,17を位置させた分離爪16,18は、前記操作レバー22との係合を解除されると、その自重によって前記用紙当接部15,17を前記用紙載置部10の方向へ回動させる構成としてもよいし、図示しない付勢部材により、常にその用紙当接部15,17側を前記用紙載置部10の配設方向へ付勢しておき、前記操作レバー22の操作により、その付勢に抗う構成とすることも可能である。ここでは、前者の自重により前記用紙当接部15,17を前記用紙載置部10の方向へ回動させる構成とする。そして、自重により前記分離爪回動軸14により垂下する分離爪16,18を、記給紙トレー11が、給紙トレー支持軸9によって前記摩擦パッド12の配設側を前記プラテン4に近づく方向へ揺動させる際に下方から押し上げることにより、前記分離爪16,18を用紙2の所定の位置に係合させる構成とする。
【0044】
このようにして搬送された用紙2は、前記駆動モータの駆動を続けることにより、ガイド板26に案内されて紙送りローラ24と補助ローラ25とに受け渡され、前記紙送りローラ24とこの紙送りローラ24の側方に配設された補助ローラ25とにより、用紙2の先端縁が紙送りローラ24から垂直方向上方に指向される。そして、駆動モータを所定のステップ数だけ駆動させることにより、紙送りローラ24、給紙ローラ8を回転させ、用紙2をプラテン4とサーマルヘッド6との間に向けて搬送された後、続けて駆動モータを所定のステップ数だけ逆転駆動させることにより、紙送りローラ24を逆回転させて用紙2を給紙方向上流側に逆搬送し、用紙2の印字開始位置の頭出しを行なう。
【0045】
そして、このようにして記録開始位置の頭出しがされた後に、サーマルヘッド6をインクリボンおよび用紙2を介してプラテン4に圧接させて、キャリッジ5をプラテン4に沿って移動させながら、所望の記録信号に基づいてサーマルヘッド6の発熱素子を選択的に駆動させることにより、前記用紙2に所望の記録を行なう。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。例えば、本実施形態では、給紙トレーを用いる場合をもって説明したが、給紙カセットを使用する場合であっても、その給紙カセットに収納される用紙に対して係合・当接する用紙分離機構を配設し、選択可能に構成することが可能である。また、プリンタも、前述の構成ものに限らず、例えば、用紙をほぼ水平に搬送して記録を行なう構成のものであってもよいことはいうまでもない。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るプリンタの用紙分離機構は、記録に供する用紙の厚みや腰、摩擦係数等の特質に応じて、1台のプリンタに配けられた分離壁を用いた用紙分離手段と分離爪を用いた2種の用紙分離手段との計3種の用紙分離手段を適宜、切り替えて使用することができ、それによって、用紙の種類に拘わらず、常に確実な用紙分離と搬送を行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る用紙分離機構を適用したプリンタの実施の一形態における分離爪の配設位置を示す縦断面図
【図2】 本発明に係る用紙分離機構の分離爪の構成を示す平面図
【図3】 薄紙用の分離手段を選択した場合における操作レバーと分離爪および用紙表面との関係を示す説明図
【図4】 厚紙用の分離手段を選択した場合における操作レバーと分離爪および用紙表面との関係を示す説明図
【図5】 葉書用の分離手段を選択した場合における操作レバーと分離爪および用紙表面との関係を示す説明図
【符号の説明】
1 プリンタ
2 用紙
13 分離壁
15 第1用紙当接部
16 第1分離爪
17 第2用紙当接部
18 第2分離爪
22 操作レバー
Claims (2)
- プリンタの用紙載置部に積層して収納された用紙に当接可能とされ、この用紙を1枚ずつ分離して給紙する給紙ローラを配設してなるプリンタの用紙分離機構であって、
前記用紙載置部に収納された用紙を搬送方向へ案内する斜面とされ、前記用紙の先端縁が当接する分離壁からなる壁分離手段と、
分離爪回動軸を中心として回動自在に軸支され、用紙載置部に収納された複数枚の用紙の最上位に位置する用紙の表面に当接する第1用紙当接部を有し前記用紙の先端角部に係合する第1分離爪と、前記分離爪回動軸を中心として回動自在に軸支され、用紙載置部に収納された複数枚の用紙のうち最上位に位置する用紙の表面に対し、前記第1分離爪の前記第1用紙当接部と隣接位置においてほぼ面一とされた第2用紙当接部を当接させる第2分離爪とからなる爪分離手段と、
前記用紙載置部に収納された用紙の種類に応じて、第1分離爪および第2分離爪の双方、または前記第2分離爪のみを前記用紙載置部に収納され最上位に位置する用紙から離間させた位置に退避させることにより、前記分離壁による壁分離手段、前記第1分離爪のみによる爪分離手段および前記第1分離爪および第2分離爪の双方を用いた爪分離手段のうち、いずれか1つの分離手段を選択可能とした切替手段と
から構成されていることを特徴とするプリンタの用紙分離機構。 - 前記切替手段は、
前記第1分離爪に形成され、前記第1用紙当接部と反対側の端部で前記分離爪回動軸より後方に延出する第1作用部と、
前記第2分離爪に形成され、前記第2用紙当接部と反対側の端部で前記分離爪回動軸より後方に延出する第2作用部と、
前記第1作用部に対する係合に先行して、必ず前記第2作用部に対して係合可能とされ、前記第1分離爪および第2分離爪をそれぞれの回動軸を中心に回動させて前記第1用紙当接部および第2用紙当接部を前記用紙載置部に収納された用紙から退避させる操作レバーと
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタの用紙分離機構。
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JPH11314784A (ja) | 1999-11-16 |
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