JP3770346B2 - 高レベル液体廃棄物のサンプリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は高レベル液体廃棄物のサンプリング装置に関し、原子力施設の使用済み燃料の再処理などによって生じる高レベル液体廃棄物の放射能レベルや組成を調べるためにサンプリングする装置を移送配管と兼用して設置できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設の使用済み燃料の再処理などによって発生する放射性廃棄物は、その放射能レベルに応じて貯蔵容器に密封されて貯蔵管理することが行われる。
【0003】
放射性廃棄物の一つである高レベル液体廃棄物は、例えば使用済み燃料の再処理過程で生じ、再処理工場で生じた高レベル廃液が、図2に処理工程を示すように、受入槽1に受け入れられた後、濃縮槽2、濃縮液槽3および濃縮液供給槽4を経てガラス溶融炉5に送られ、ガラス固化体6としてガラス固化体容器7に密封されて貯蔵施設に保管される。
【0004】
通常、高レベル廃液が貯蔵される各貯槽1,2,3,4などには、例えば図3に示すように、廃液移送装置10が設けられており、廃液貯槽11から次工程の廃液貯槽12に移送するため、廃液貯槽11内にエアリフトポンプ13が設けられ、気液分離器14および移送配管15を介して廃液貯槽12に移送できるようになっている。
【0005】
このような高レベル廃液の処理過程では、各工程の高レベル廃液が貯蔵される貯槽内の廃液の放射能レベルや組成を1か月〜6か月に1回程度調べる必要があり、放射能遮蔽壁内にサンプリング装置を設けて遠隔操作でサンプリングすることが行われる。
【0006】
この高レベル廃液のサンプリング装置20としては、例えば図3に示すように、サンプリング対象の高レベル廃液が貯蔵される廃液貯槽11に、廃液移送装置10とは別に、エアリフトポンプ21を設けて廃液貯槽11の上方のサンプリングポット22に廃液を送る一方、サンプリングポット21にオーバーフロー配管23を設けて揚液される廃液の一部を廃液貯槽11に戻すようにして循環させ、サンプリングポット22に溜まっている廃液を用いてサンプリング機器24で放射能レベルなどをサンプリングする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このサンプリング装置20では、サンプリングポット22にサンプリング液を溜めサンプリングポット22にオーバーフロー配管23を設けるという複雑な構造が採られているが、簡単な構造にするためサンプリングポット22の底部にバルブを設けて対応しようとすると、バルブの保守の必要が生じ放射能遮蔽壁内に設置することができない。このためサンプリングポット22の底部にサンプリング液中に固形分が含まれるていると、これが沈積することから、サンプリング終了後に水などを供給してサンプリングポット22などサンプリング装置20を洗浄する必要があるという問題がある。
【0008】
また、このサンプリング装置20自体は1〜6か月に1回程度しか使用しないにもかかわらず専用のエアリフトポンプ21などの機器が必要となるという問題がある。
【0009】
この発明はかかる従来の構想が有する課題を解決するためになされたものであり、専用のエアリフトポンプや配管を必要とせず、サンプリング後の洗浄の必要もなく、構造が簡単な高レベル液体廃棄物のサンプリング装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の高レベル液体廃棄物のサンプリング装置は、高レベル液体廃棄物の移送配管の途中にサンプリングポットを配置するとともに、移送配管の下流側端部を当該サンプリングポットの底部に連結する一方、この下流側の移送配管の前記サンプリングポット近傍にフリーズドバルブを設けるとともに、このフリーズドバルブの下流側と前記サンプリングポットの中間部とにオーバーフロー配管を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
この高レベル液体廃棄物のサンプリング装置によれば、移送配管の途中にサンプリングポットを配置して下流側の移送配管をサンプリングポットの底部に連通させ、この移送配管のサンプリングポット近傍にフリーズドバルブを設けるとともに、このフリーズドバルブの下流側とサンプリングポットの中間部とにオーバーフロー配管を設けるようにしており、移送配管の外側のフリーズドバルブに液体窒素などの冷却媒体を供給して移送配管内の液体を凍結して高レベル廃液の流れを止めるとともにオーバーフローさせ、サンプリングポット内に溜めた高レベル廃液のサンプリングを行い、終了後は冷却媒体の供給を停止て移送配管内の高レベル廃液を解かして底部からの排出ができるようにしている。
【0012】
これにより、サンプリングのためのエアリフトポンプや専用配管が必要でなく、構造が簡素化されるとともに、サンプリングポットなどの洗浄の必要もなく、保守などが容易となるようにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1はこの発明の高レベル液体廃棄物のサンプリング装置の一実施の形態にかかる概略構成図である。
【0014】
この高レベル液体廃棄物のサンプリング装置30は、サンプリング対象となる高レベル液体廃棄物が貯蔵される廃液貯槽11からエアリフトポンプ13および気液分離器14を介して廃液貯槽12へ廃液を移送する移送配管15などの廃液移送装置10を利用して設置される。
【0015】
この高レベル液体廃棄物のサンプリング装置30は、図1に示すように、移送配管15の途中にサンプリングポット31が配置され、気液分離器14からの上流側の移送配管15aがサンプリングポット31の中間部に連通され、廃液貯槽12に連通する下流側の移送配管15bの端部がサンプリングポット31の底部に連通して取付けてある。
【0016】
また、サンプリングポット31には、サンプリングに必要な液面に対応する位置に連通させてオーバーフロー配管32が取付けてあり、その他端が下流側の移送配管15bの途中に連通するように取付けてある。
【0017】
そして、サンプリングポット31の底部に連通する下流側の移送配管15bのサンプリングポット31の近傍には、移送配管15bの外側を囲むようにフリーズドバルブ33が取付けてあり、図示しない液体窒素などの冷却媒体の給排によりフリーズドバルブ33で囲まれた移送配管15b内の液体を凍結させて閉じた状態としたり、溶かして流動状態として開いた状態にできるようにしてある。
【0018】
このようなサンプリングポット31に放射能レベルや組成を調べるサンプリング機器34が取付けられ、先端が底部付近になるようにしてある。
【0019】
このように構成した高レベル液体廃棄物のサンプリング装置30では、廃液貯槽11内の高レベル液体廃棄物をサンプリングする場合には、まず、フリーズドバルブ33に液体窒素などの冷却媒体を供給して移送配管15b内の液体を凍結させ、サンプリングポット31の底部を閉塞した状態にする。
【0020】
すると、廃液貯槽11からエアリフトポンプ13で揚液された廃液は、気液分離器14を経てサンプリングポット31内に送られ、底部に次第に溜まって行き、オーバーフロー配管32のところまで溜まると、オーバーフローして下流側の移送配管15bを経て廃液貯槽12に移送される。
【0021】
こうしてサンプリングポット31には、オーバーフロー配管32までサンプリング対象の廃液が溜まった状態が保持されることから、この溜まった廃液をサンプリング機器34でサンプリングする。
【0022】
一方、サンプリング終了後は、フリーズドバルブ33への冷却媒体の供給を停止すると、移送配管15b内の凍結していた廃液が解けて流動状態となってバルブが開いた状態になり、サンプリングポット31の底部に溜まった廃液や固形分が廃液貯槽12に移送されるのに続いて、順次廃液貯槽11から揚液された廃液が下流側の移送配管11bを介して移送される。
【0023】
したがって、この高レベル液体廃棄物のサンプリング装置30によれば、独立したエアリフトポンプ等を設けることなく、廃液移送装置10と兼用してサンプリングポット31とフリーズドバルブ33などを設けるだけでサンプリングポット31にサンプリング対象となる高レベル液体廃棄物を溜めてサンプリングすることができ、構造を簡素化することができるとともに、安価に設置することができる。
【0024】
また、サンプリングポット31の底部に下流側の移送配管15bを連通するとともに、フリーズドバルブ33を設けるようにしたので、サンプリング終了後にサンプリングポット31の底部に溜まった廃液を固形分とともに完全に流出させることができ、固形分の沈積を防止でき、洗浄などを行う必要がない。
【0025】
さらに、サンプリングポット31の底部を開閉するバルブとしてフリーズドバルブ33を設けるようにしたので、機械式のバルブのように保守の必要がなく、放射能遮蔽壁内にも設置することができる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、原子炉の使用済み燃料の再処理によって生じる高レベル液体廃棄物をサンプリング対象として説明したが、これに限らず液体の高レベル廃棄物のサンプリングに広く適用できるものである。
【0027】
【発明の効果】
以上一実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の高レベル液体廃棄物のサンプリング装置によれば、移送配管の途中にサンプリングポットを配置して下流側の移送配管をサンプリングポットの底部に連通させ、この移送配管のサンプリングポット近傍にフリーズドバルブを設けるとともに、このフリーズドバルブの下流側とサンプリングポットの中間部とにオーバーフロー配管を設けるようにしたので、移送配管の外側のフリーズドバルブに液体窒素などの冷却媒体を供給して移送配管内の液体を凍結して高レベル廃液の流れを止めるとともにオーバーフローさせ、サンプリングポット内に溜めた高レベル廃液のサンプリングを行うことができ、終了後は冷却媒体の供給を停止して移送配管内の高レベル廃液を解かして底部からの排出することができ、固形分などの沈積を防止することができる。
【0028】
これにより、独立した専用のサンプリングのためのエアリフトポンプや専用配管が必要でなく、廃液移送装置と兼用して構造を簡素化することができるとともに、サプリングポットなどの洗浄の必要もなく、保守などが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の高レベル液体廃棄物のサンプリング装置の一実施の形態にかかる概略構成図である。
【図2】原子力施設での使用済み燃料の再処理工程の概略説明図である。
【図3】これまで考えられていた高レベル液体廃棄物のサンプリング装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10 廃液移送装置
11 廃液貯槽(上流側)
12 廃液貯槽(下流側)
13 エアリフトポンプ
14 気液分離器
15 移送配管
15a 上流側の移送配管
15b 下流側の移送配管
30 高レベル液体廃棄物のサンプリング装置
31 サンプリングポット
32 オーバーフロー配管
33 フリーズドバルブ
34 サンプリング機器
Claims (1)
- 高レベル液体廃棄物の移送配管の途中にサンプリングポットを配置するとともに、移送配管の下流側端部を当該サンプリングポットの底部に連結する一方、この下流側の移送配管の前記サンプリングポット近傍にフリーズドバルブを設けるとともに、このフリーズドバルブの下流側と前記サンプリングポットの中間部とにオーバーフロー配管を設けたことを特徴とする高レベル液体廃棄物のサンプリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01760297A JP3770346B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 高レベル液体廃棄物のサンプリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01760297A JP3770346B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 高レベル液体廃棄物のサンプリング装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10197689A JPH10197689A (ja) | 1998-07-31 |
JP3770346B2 true JP3770346B2 (ja) | 2006-04-26 |
Family
ID=11948441
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01760297A Expired - Lifetime JP3770346B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 高レベル液体廃棄物のサンプリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3770346B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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FR2950694B1 (fr) * | 2009-09-25 | 2012-08-17 | Commissariat Energie Atomique | Dispositif de prelevement d'echantillons liquides hors d'une cuve |
CN110223791B (zh) * | 2019-04-12 | 2022-06-10 | 中国核动力研究设计院 | 一种可用于压水堆核电站事故后的核取样系统 |
-
1997
- 1997-01-14 JP JP01760297A patent/JP3770346B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH10197689A (ja) | 1998-07-31 |
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