JP3769350B2 - パイプの波形バルジ成形方法とパイプの波形バルジ成形装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気系フレキシブルチューブのベローズ等の製造に適用されるパイプの波形バルジ成形方法とパイプの波形バルジ成形装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気系フレキシブルチューブのベローズの製造は、ベローズの山に対応する溝を有する成形型にパイプ素管を配置し、内側から高圧の液圧を加え、液圧により成形型の内面に沿う形状にパイプ素管を成形する液圧バルジ成形法により行なわれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の液圧バルジ成形法にあっては、設備費が高価となりコスト的に不利であると共に、大量の水を使用する成形法であるため、作業環境の悪化や水処理問題があり、液圧バルジ成形法に代わるベローズの製造方法の開発が希求されていた。
【0004】
そこで、本発明者は、例えば、実公平5−15534号公報や実開昭60−182587号公報に記載されているウレタンゴムを用いたバルジ成形に着目し、ウレタンゴムバルジ成形による排気系フレキシブルチューブのベローズの製造を試みた。
【0005】
すなわち、排気系に作用する変位入力を吸収するためのベローズの場合、パイプ素管から突出する外径波形状がなだらかな山形状ではなく、外径がパイプ素管径の1.5倍程度の縦長の山形状にする必要があるため、本出願人は、特願平8−226489号(平成8年8月28日出願)において、パイプ素管の内側にウレタンゴムを配置し、このウレタンゴムに潰し圧を加え、ウレタンゴムの変形により外側に膨出する外径波形状を作り出す予成形工程と、外径波形状の内側基端部に配置したウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側から拡張予圧を与える拡張予圧工程と、ウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側突張りを加えたままで外径波形状に圧縮力を加え、外径波形状の外周部幅と基端部幅と外径をそれぞれ目標外周部幅と目標基端部幅と目標外径に整える本成形工程と、を備えたパイプの外径波形状の整形方法を提案した。
【0006】
この方法を既存のプレス成形機を用いて適用する場合、加圧側内型と加圧側外型は1つの油圧シリンダで一体に加圧され、受圧側内型と受圧側外型は成形機ベースに固定される。
【0007】
よって、図9の▲1▼,▲2▼に示すように、加圧側内型と加圧側外型の型面を一致させ、また、受圧側内型と受圧側外型の型面を一致させ、パイプ素管の内側に配置したウレタンゴムに潰し圧P1 を加えて外径を膨らませることで予成形を行ない、加圧側内型と受圧側内型開始点に戻し、その後、加圧側内型と受圧側内型とをそれぞれ加圧側外型と受圧側外型に対しウレタンゴムの変形を弛めるようにオフセット量をもたせるオフセット操作をし、図9の▲3▼,▲4▼に示すように、再び、波形状とウレタンゴムに圧縮力P2 を加えて本成形を行なうことになる。よって、下記の問題点が生じる。
【0008】
(1) 加圧側内型と加圧側外型とが一体型加圧構造であるため、図10に示すように、予成形から本成形に移る際に加圧側内型と受圧側内型開始点に戻し、加圧側内型と受圧側内型のオフセット操作が必要であり、ロスタイムが発生する。尚、1つの波形状を成形した後に次の波形状を成形しようとする際にも加圧側内型と受圧側内型のオフセット戻し操作が必要である。
【0009】
(2) 本成形の開始時には波形の内側部分にウレタンゴムが存在せず、拡張予圧は本成形の最終部分でウレタンゴムを変形させることで行なわれるため、本成形の途中段階までは内側からの変形規制がなく、本成形で成形された波形状が左右対称にできない場合がある。
【0010】
(3) 本成形の最終段階でウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側突張りが加えられるため、オフセット量を調整しても成形が完了した波断面形状はΩ形に限られてしまう。
【0011】
本発明が解決しようとする課題1は、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形方法を提供することにある。
【0012】
課題2は、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題1の解決手段1(請求項1)は、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形方法において、
パイプ溝を介して加圧側内型と加圧側外型を配置すると共に受圧側内型と受圧側外型を配置し、加圧側内型と受圧側内型との間にウレタンゴムを配置し、同軸上に配置される加圧側内型とウレタンゴムと受圧側内型の外周位置にパイプ素管を配置する成形開始工程と、
ロックされた受圧側内型と固定の受圧側外型に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型と加圧側外型を圧縮方向にストロークさせ、ウレタンゴムに加えた潰し圧によるゴム変形により外側に膨出する波形状を作り出す予成形工程と、
予成形工程に引き続いて、加圧側内型への加圧を解除し、加圧側外型のみに加圧を加え、この加圧側外型の圧縮ストロークに同期して加圧側内型と受圧側内型とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状に内側からウレタンゴムによる予圧を与えながら加圧側外型と受圧側外型により加えられる圧縮力で波形状を整える本成形工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
(解決手段2)
上記課題1の解決手段2(請求項2)は、請求項1記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
前記ウレタンゴムを、算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムとしたことを特徴とする。
【0015】
(解決手段3)
上記課題1の解決手段3(請求項3)は、請求項1または請求項2記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
本成形方法により作り出される製品を、単層または2層のステンレスパイプ素管に波形状の山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズとしたことを特徴とする。
【0016】
(解決手段4)
上記課題2の解決手段4(請求項4)は、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形装置において、
第1駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、端面にウレタンゴムが接して配置される加圧側内型と、
前記第1駆動手段とは別の第2駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、前記加圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される加圧側外型と、
予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構を有し、端面にウレタンゴムが接して配置される受圧側内型と、
装置ベースに固定され、前記受圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される受圧側外型と、
を備えていることを特徴とする。
【0017】
(解決手段5)
上記課題2の解決手段5(請求項5)は、請求項4記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記ストローク同期機構を、受圧側内型の端面に接するテーパ面を有し、テーパ面の傾斜角度はセルフロックを達成する角度に設定されたくさび部材と、加圧側外型の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材と、該シンクロ部材のパイプ軸方向ストロークをくさび部材のパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材とを有する構成としたことを特徴とする。
【0018】
(解決手段6)
上記課題2の解決手段6(請求項6)は、請求項4または請求項5記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記受圧側外型を、波形状の山に嵌合する波嵌合部と外型成形面を有し、受圧側外型ベース部にピン支持により設けられたベローズ用の外型としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、請求項1ないし請求項3に対応するパイプの波形バルジ成形方法である。
【0020】
図1は実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図であり、図1に基づいて各工程を説明する。
【0021】
まず、パイプの波形バルジ成形方法とは、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出し、波形状の幅と外径が目標幅と目標外径となるように成形する方法をいい、成形開始工程と、予成形工程と、本成形工程により波形状が成形される。
【0022】
[成形開始工程]
成形開始工程では、図1▲1▼に示すように、パイプ溝を介して加圧側内型10と加圧側外型11が配置されると共にロック状態の受圧側内型12と固定の受圧側外型13が配置される。この加圧側内型10と受圧側内型12との間に中空ウレタンゴム2が配置され、同軸上に配置された加圧側内型10と中空ウレタンゴム2と受圧側内型12の外周位置にステンレスパイプ素管1が配置される。
【0023】
ここで、ステンレスパイプ素管1は、0.2mm厚のステンレス鋼板を2枚重ねた2層鋼板を素材とし、約50mmの径を持つパイプ素管である。
【0024】
また、中空ウレタンゴム2は、円筒型のウレタンゴムの一側面に円錐切除面を形成し、このウレタンゴムを2個用意し、2つの円錐切除面を互いに対向させて組み合わせることで算盤玉形状中空部2aとしている。
【0025】
[予成形工程]
予成形工程では、図1▲2▼に示すように、ロックされた受圧側内型12と固定の受圧側外型13に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型10と加圧側外型11を圧縮方向にストロークさせ、中空ウレタンゴム2に加えた潰し圧P1 によるゴム変形により外側に膨出する波形状1aが作り出される。
【0026】
この予成形工程にて、中空ウレタンゴム2に加えられる潰し圧P1 は、油圧プレス機による7トン程度の力による圧力である。
【0027】
また、予成形工程による波形状1aの幅W1 は、中空ウレタンゴム2の幅をTとした場合、W1 =0.35T程度であり、波形状1aの外径D1 は、パイプ素管1の外径をDとした場合、D1 =1.4D程度である。
【0028】
[本成形工程]
本成形工程では、図1▲3▼に示すように、予成形工程に引き続いて、加圧側内型10への加圧を解除し、加圧側外型11のみに加圧P2 を加え、図1▲4▼,▲5▼に示すように、この加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状1aに内側から中空ウレタンゴム2による予圧を与えながら加圧側外型11と受圧側外型13により加えられる圧縮力で波形状1aが整えられる。
【0029】
ここで、中空ウレタンゴム2のゴム変形を弛めるほど波形状1aの内側への予圧が小さくなるが、本成形が完了時に予圧をゼロにするのではなく、本成形完了時にも中空ウレタンゴム2の小さな変形による予圧を与える。
【0030】
[型移動特性]
図2はバルジ成形での加圧側内型10と加圧側外型11との型移動量を時間を横軸にして表した型移動特性特性図である。
【0031】
成形開始時には内型10と外型11が共に同じ開放位置にあり、予成形工程では内型10と外型11が同じ移動特性で圧縮方向に移動し、予成形工程から本成形工程に入ると、外型11のみはさらに圧縮方向に移動するが内型10は反対の開放方向に移動して本成形を完了する。
【0032】
すなわち、加圧側内型10と加圧側外型11は独立の加圧手段を持つため、予成形工程から本成形工程に移る際に内型10と外型11を成形開始点へ戻す必要がなく、また、加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とがゴム変形を弛める方向にストロークするため、予成形工程から本成形工程に移る際に加圧側内外型10,11や受圧側内外型12,13とにオフセット量を与える操作を行なう必要もなく、予成形工程から本成形工程にそのまま連続して入る連続加工となり、短時間のバルジ成形により波形状1aを得ることができる。
【0033】
[波形状の対称性]
図1の▲3▼に本成形開始前図を示し、図1の▲4▼に本成形中間図を示し、図1の▲5▼に本成形完了図を示しているが、これらの図から明らかなように、本成形工程では、波形状1aの内側に中空ウレタンゴム2が充填された状態(図1の▲3▼)から波形状1aの幅を狭くする本成形圧縮に伴って内側の中空ウレタンゴム2を徐々に抜き出し(図1の▲4▼)、本成形完了時に波形状1aの基端部内側に中空ウレタンゴム2により予圧を与えた状態とする(図1の▲5▼)。
【0034】
すなわち、本成形の途中段階においても波形状1aの内側から中空ウレタンゴム2により押される変形規制があり、最終的に成形された波形状1aは、ほぼ左右対称形状となり、ベローズのように多数の波形状1aを隣接して形成する場合には波形状1aの形状バラツキがなくなる。
【0035】
[波断面形状の選択自由度]
上記パイプの波形バルジ成形方法により排気系フレキシブルチューブのベローズを成形する場合、ベローズの波断面形状としては、伸縮変位の吸収特性が伸長方向にも圧縮方向にも安定した特性となるU字断面形状が好ましい。
【0036】
このような要求に対し、上記パイプの波形バルジ成形方法では、内型と外型との変位と位相の調整により、選択した波断面形状を得ることができる。
【0037】
まず、図3の(イ) に示すように、波形状1aをU字断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)と、加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を同じ(または均等変位量)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形と内側から膨らまし変形規制とがうまくバランスしてU字断面形状が得られる。
【0038】
次に、図3の(ロ) に示すように、波形状1aをΩ断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)に対し加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を早め(または多め)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形が内側から膨らまし変形規制より上回り、Ω断面形状が得られる。
【0039】
また、図3の(ハ) に示すように、波形状1aをΛ断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)に対し加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を遅め(または少なめ)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形が内側から膨らまし変形規制より下回り、Λ断面形状が得られる。
【0040】
[ベローズへの適用]
本バルジ成形方法により作り出される製品を、2層のステンレスパイプ素管1に波形状1aの山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズAを製造する場合、上記成形開始工程と予成形工程と本成形工程とを、ステンレスパイプ素管1に対する中空ウレタンゴム2の位置を変えて繰り返し行なうことで製造される。
【0041】
図4は排気系フレキシブルチューブの一例を示す断面図で、図4において、Aはベローズ、3は第1プロテクタ、4はアウタチューブ、5は第2プロテクタ、6はステンレスメッシュシール材である。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態2は、請求項4ないし請求項6に対応するパイプの波形バルジ成形装置である。
【0043】
図5はパイプの波形バルジ成形装置を示す全体図、図6はパイプの波形バルジ成形装置の要部を示す図である。
【0044】
図5において、20は装置ベース、21は第1固定枠、22は第2固定枠、23は第1可動枠、24は第2可動枠、25は第1油圧シリンダ(第1駆動手段)、26は第2油圧シリンダ(第2駆動手段)、10は加圧側内型、11は加圧側外型、12は受圧側内型、13は受圧側外型、31はストローク同期機構、32,33は予成形アジャストストッパ、34,35は本成形アジャストストッパである。
【0045】
前記加圧側内型10は、第1固定枠21に設けられた第1油圧シリンダ25により第1可動枠23と共にストロークし、予成形アジャストストッパ32,33を位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとし、端面に中空ウレタンゴム2が接して配置される。
【0046】
前記加圧側外型11は、第1油圧シリンダ25とは別の第2固定枠22に設けられた第2油圧シリンダ26により第2可動枠24と共にストロークし、本成形アジャストストッパ34,35を位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとし、前記加圧側内型10とはパイプ溝を介した外周位置に配置される。
【0047】
前記受圧側内型12は、予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型11の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構31を介して設けられ、端面に中空ウレタンゴム2が接して配置される。
【0048】
前記受圧側外型13は、装置ベース20に固定され、前記受圧側内型12とはパイプ溝を介した外周位置に配置される。
【0049】
前記ストローク同期機構31は、図6に示すように、受圧側内型12のドーム状端面に接するテーパ面31aを有し、テーパ面31aの傾斜角度はセルフロックを達成する角度(約11度〜11.5度)に設定されたくさび部材31bと、加圧側外型11の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材31cと、該シンクロ部材31cのパイプ軸方向ストロークをくさび部材31bのパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材31dとを有する構成とされている。尚、前記くさび部材31bには、一端側にストローク調整ネジ31eが設けられ、他端側にリターンスプリング31fが設けられ、他端部にはパイプ軸方向にローラ溝31gが設けられている。前記シンクロ部材31cは、受圧側外型ベース部36に固定されたスライド支持部材31hに上下摺動可能に設けられていて、下端部には軸31iによりリンク部材31dが支持されている。前記リンク部材31dの途中にはシンクロ部材31cの下端面に接する第1ローラ31jが設けられ、リンク部材31dの下端部には前記ローラ溝31gに沿って移動可能な第2ローラ31kが設けられている。
【0050】
前記受圧側外型13は、波形状1aの山に嵌合する波嵌合部13aと外型成形面13bを有し、受圧側外型ベース部36にピン支持により設けられたフレキシブルチューブ用の受圧側外型13とされている。
【0051】
このパイプの波形バルジ成形装置により、パイプ素管1から中空ウレタンゴム2を用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状1aを作り出すバルジ成形作用について説明する。
【0052】
まず、図6に示すように、加圧側内型10とロック状態の受圧側内型12との間に中空ウレタンゴム2を配置し、同軸上に配置された加圧側内型10と中空ウレタンゴム2と受圧側内型12の外周位置にステンレスパイプ素管1が設けられる(成形開始工程)。
【0053】
次に、ロックされた受圧側内型12と固定の受圧側外型13に対し、独立の第1油圧シリンダ25と第2油圧シリンダ26により加圧側内型10と加圧側外型11を圧縮方向である下方向にストロークさせ、中空ウレタンゴム2に加えた加圧側内型10による潰し圧で中空ウレタンゴム2をゴム変形させ、このゴム変形による内側からの力で外側に膨出する波形状1aを作り出す(予成形工程)。
【0054】
次に、加圧側内型10への加圧を解除し、加圧側外型11のみに第2油圧シリンダ26により加圧を加え、この加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状1aに内側から中空ウレタンゴム2による予圧を与えながら加圧側外型11と受圧側外型13により加えられる圧縮力で波形状1aが整えられる(本成形工程)。
【0055】
上記工程を、ステンレスパイプ素管1に対する中空ウレタンゴム2の位置を変え、受圧側外型13の波嵌合部13aを1山分ずらし、再度、繰り返し行なうことでベローズAが製造される。
【0056】
すなわち、図5及び図6に示す実施の形態2でのパイプの波形バルジ成形装置により実施の形態1でのパイプの波形バルジ成形方法が達成される。つまり、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状1aの高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度という実施の形態1で記載した効果が達成される。
【0057】
加えて、加圧側内型10とと加圧側外型11との動作限界をメカニカルストッパにより得るようにしていることで成形寸法のバラツキがなく、また、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとしているため、波形状1aの寸法設定を自由に行なうことができる。
【0058】
ちなみに、図7に示すように、成形前の素管径をD、予成形外径をD1 、本成形外径をD2 、1山素管幅をT、予成形波形状幅をW1 、本成形波形状幅をW2 、予成形前の内外型オフセット量をF1 、本成形完了時の前内外型オフセット量をF2 とした時、予成形外径D1 がD1 =1.24D〜1.4Dで、予成形波形状幅W1 がW1 =0.35T〜0.44Tとなり、本成形外径D2 がD1 =1.35D〜1.5Dで、本成形波形状幅W2 がW2 =0.24W1 〜0.3W1 を得ることができた。
【0059】
また、内外型オフセット量F1 ,F2 の調整や成形波形状幅W1 ,W2 の調整により、例えば、図8に示すように、小径,中径,大径というように、異なる外径と幅を有する波形状1aを得ることができる。
【0060】
(その他の実施の形態)
実施の形態1,2では、ウレタンゴムとして算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムの例を示したが、加圧や減圧による変形性を考慮した断面形状を有するウレタンゴムであれば実施の形態1,2で示した断面形状を持つウレタンゴムに限定されることはない。
【0061】
実施の形態1,2では、本パイプの波形バルジ成形方法を排気系フレキシブルチューブのベローズAの製造方法に適用する例を示したが、他の用途に用いられるベローズや、また、山の高い波形状を有する製品であって、従来のウレタンバルジ成形で製造不可能な製品あれば他の製品の製造方法として適用できるのは勿論である。
【0062】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形方法において、パイプ溝を介して加圧側内型と加圧側外型を配置すると共に受圧側内型と受圧側外型を配置し、加圧側内型と受圧側内型との間にウレタンゴムを配置し、同軸上に配置される加圧側内型とウレタンゴムと受圧側内型の外周位置にパイプ素管を配置する成形開始工程と、ロックされた受圧側内型と固定の受圧側外型に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型と加圧側外型を圧縮方向にストロークさせ、ウレタンゴムに加えた潰し圧によるゴム変形により外側に膨出する波形状を作り出す予成形工程と、予成形工程に引き続いて、加圧側内型への加圧を解除し、加圧側外型のみに加圧を加え、この加圧側外型の圧縮ストロークに同期して加圧側内型と受圧側内型とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状に内側からウレタンゴムによる予圧を与えながら加圧側外型と受圧側外型により加えられる圧縮力で波形状を整える本成形工程と、を備えた方法としたため、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形方法を提供することができる。
【0063】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載のパイプの波形バルジ成形方法において、ウレタンゴムを、算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムとしたため、上記効果に加え、ウレタンゴムの変形能力が高く、パイプ素管の約1.5倍程度の外径を持つ波形状の成形が可能である。
【0064】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載のパイプの波形バルジ成形方法において、本成形方法により作り出される製品を、単層または2層のステンレスパイプ素管に波形状の山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズとしたため、請求項1記載の発明または請求項2記載の発明の効果に加え、液圧バルジ成形法に比べ、低コストで、かつ、作業環境の悪化や水処理問題なく、排気系フレキシブルチューブに用いるベローズを提供することができる。
【0065】
請求項4記載の発明にあっては、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形装置において、第1駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、端面にウレタンゴムが接して配置される加圧側内型と、第1駆動手段とは別の第2駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、加圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される加圧側外型と、予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構を有し、端面にウレタンゴムが接して配置される受圧側内型と、装置ベースに固定され、受圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される受圧側外型と、を備えた構成としたため、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形装置を提供することができる。
【0066】
請求項5記載の発明にあっては、請求項4記載のパイプの波形バルジ成形装置において、ストローク同期機構を、受圧側内型の端面に接するテーパ面を有し、テーパ面の傾斜角度はセルフロックを達成する角度に設定されたくさび部材と、加圧側外型の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材と、該シンクロ部材のパイプ軸方向ストロークをくさび部材のパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材とを有する構成としたため、請求項4記載の発明の効果に加え、予成形終了時に受圧側内型のロック解除操作を要することなく、予成形工程から本成形工程へ移行することができる。
【0067】
請求項6記載の発明にあっては、請求項4または請求項5記載のパイプの波形バルジ成形装置において、受圧側外型を、波形状の山に嵌合する波嵌合部と外型成形面を有し、受圧側外型ベース部にピン支持により設けられたベローズ用の外型としたため、請求項4記載の発明または請求項5記載の発明の効果に加え、パイプ素管に波形状の山が複数列隣接して成形されるベローズを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図である。
【図2】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法での型移動量特性図である。
【図3】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法で成形された波形状の例を示す断面図である。
【図4】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法で製造されたベローズが適用された排気系フレキシブルチューブを示す半断面図である。
【図5】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を示す全体図である。
【図6】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置の要部を示す図である。
【図7】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を用いた各成形段階での寸法を示す図である。
【図8】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を用いた異径の波形状の成形例を示す図(イ) と設定表(ロ) を示す図である。
【図9】従来のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図である。
【図10】従来のパイプの波形バルジ成形方法での型移動量特性図である。
【符号の説明】
1 パイプ素管
1a 波形状
2 中空ウレタンゴム
2a 算盤玉形状中空部
A ベローズ
10 加圧側内型
11 加圧側外型
12 受圧側内型
13 受圧側外型
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気系フレキシブルチューブのベローズ等の製造に適用されるパイプの波形バルジ成形方法とパイプの波形バルジ成形装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気系フレキシブルチューブのベローズの製造は、ベローズの山に対応する溝を有する成形型にパイプ素管を配置し、内側から高圧の液圧を加え、液圧により成形型の内面に沿う形状にパイプ素管を成形する液圧バルジ成形法により行なわれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の液圧バルジ成形法にあっては、設備費が高価となりコスト的に不利であると共に、大量の水を使用する成形法であるため、作業環境の悪化や水処理問題があり、液圧バルジ成形法に代わるベローズの製造方法の開発が希求されていた。
【0004】
そこで、本発明者は、例えば、実公平5−15534号公報や実開昭60−182587号公報に記載されているウレタンゴムを用いたバルジ成形に着目し、ウレタンゴムバルジ成形による排気系フレキシブルチューブのベローズの製造を試みた。
【0005】
すなわち、排気系に作用する変位入力を吸収するためのベローズの場合、パイプ素管から突出する外径波形状がなだらかな山形状ではなく、外径がパイプ素管径の1.5倍程度の縦長の山形状にする必要があるため、本出願人は、特願平8−226489号(平成8年8月28日出願)において、パイプ素管の内側にウレタンゴムを配置し、このウレタンゴムに潰し圧を加え、ウレタンゴムの変形により外側に膨出する外径波形状を作り出す予成形工程と、外径波形状の内側基端部に配置したウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側から拡張予圧を与える拡張予圧工程と、ウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側突張りを加えたままで外径波形状に圧縮力を加え、外径波形状の外周部幅と基端部幅と外径をそれぞれ目標外周部幅と目標基端部幅と目標外径に整える本成形工程と、を備えたパイプの外径波形状の整形方法を提案した。
【0006】
この方法を既存のプレス成形機を用いて適用する場合、加圧側内型と加圧側外型は1つの油圧シリンダで一体に加圧され、受圧側内型と受圧側外型は成形機ベースに固定される。
【0007】
よって、図9の▲1▼,▲2▼に示すように、加圧側内型と加圧側外型の型面を一致させ、また、受圧側内型と受圧側外型の型面を一致させ、パイプ素管の内側に配置したウレタンゴムに潰し圧P1 を加えて外径を膨らませることで予成形を行ない、加圧側内型と受圧側内型開始点に戻し、その後、加圧側内型と受圧側内型とをそれぞれ加圧側外型と受圧側外型に対しウレタンゴムの変形を弛めるようにオフセット量をもたせるオフセット操作をし、図9の▲3▼,▲4▼に示すように、再び、波形状とウレタンゴムに圧縮力P2 を加えて本成形を行なうことになる。よって、下記の問題点が生じる。
【0008】
(1) 加圧側内型と加圧側外型とが一体型加圧構造であるため、図10に示すように、予成形から本成形に移る際に加圧側内型と受圧側内型開始点に戻し、加圧側内型と受圧側内型のオフセット操作が必要であり、ロスタイムが発生する。尚、1つの波形状を成形した後に次の波形状を成形しようとする際にも加圧側内型と受圧側内型のオフセット戻し操作が必要である。
【0009】
(2) 本成形の開始時には波形の内側部分にウレタンゴムが存在せず、拡張予圧は本成形の最終部分でウレタンゴムを変形させることで行なわれるため、本成形の途中段階までは内側からの変形規制がなく、本成形で成形された波形状が左右対称にできない場合がある。
【0010】
(3) 本成形の最終段階でウレタンゴムにより外径波形状の基端部に内側突張りが加えられるため、オフセット量を調整しても成形が完了した波断面形状はΩ形に限られてしまう。
【0011】
本発明が解決しようとする課題1は、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形方法を提供することにある。
【0012】
課題2は、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題1の解決手段1(請求項1)は、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形方法において、
パイプ溝を介して加圧側内型と加圧側外型を配置すると共に受圧側内型と受圧側外型を配置し、加圧側内型と受圧側内型との間にウレタンゴムを配置し、同軸上に配置される加圧側内型とウレタンゴムと受圧側内型の外周位置にパイプ素管を配置する成形開始工程と、
ロックされた受圧側内型と固定の受圧側外型に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型と加圧側外型を圧縮方向にストロークさせ、ウレタンゴムに加えた潰し圧によるゴム変形により外側に膨出する波形状を作り出す予成形工程と、
予成形工程に引き続いて、加圧側内型への加圧を解除し、加圧側外型のみに加圧を加え、この加圧側外型の圧縮ストロークに同期して加圧側内型と受圧側内型とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状に内側からウレタンゴムによる予圧を与えながら加圧側外型と受圧側外型により加えられる圧縮力で波形状を整える本成形工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
(解決手段2)
上記課題1の解決手段2(請求項2)は、請求項1記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
前記ウレタンゴムを、算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムとしたことを特徴とする。
【0015】
(解決手段3)
上記課題1の解決手段3(請求項3)は、請求項1または請求項2記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
本成形方法により作り出される製品を、単層または2層のステンレスパイプ素管に波形状の山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズとしたことを特徴とする。
【0016】
(解決手段4)
上記課題2の解決手段4(請求項4)は、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形装置において、
第1駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、端面にウレタンゴムが接して配置される加圧側内型と、
前記第1駆動手段とは別の第2駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、前記加圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される加圧側外型と、
予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構を有し、端面にウレタンゴムが接して配置される受圧側内型と、
装置ベースに固定され、前記受圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される受圧側外型と、
を備えていることを特徴とする。
【0017】
(解決手段5)
上記課題2の解決手段5(請求項5)は、請求項4記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記ストローク同期機構を、受圧側内型の端面に接するテーパ面を有し、テーパ面の傾斜角度はセルフロックを達成する角度に設定されたくさび部材と、加圧側外型の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材と、該シンクロ部材のパイプ軸方向ストロークをくさび部材のパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材とを有する構成としたことを特徴とする。
【0018】
(解決手段6)
上記課題2の解決手段6(請求項6)は、請求項4または請求項5記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記受圧側外型を、波形状の山に嵌合する波嵌合部と外型成形面を有し、受圧側外型ベース部にピン支持により設けられたベローズ用の外型としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、請求項1ないし請求項3に対応するパイプの波形バルジ成形方法である。
【0020】
図1は実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図であり、図1に基づいて各工程を説明する。
【0021】
まず、パイプの波形バルジ成形方法とは、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出し、波形状の幅と外径が目標幅と目標外径となるように成形する方法をいい、成形開始工程と、予成形工程と、本成形工程により波形状が成形される。
【0022】
[成形開始工程]
成形開始工程では、図1▲1▼に示すように、パイプ溝を介して加圧側内型10と加圧側外型11が配置されると共にロック状態の受圧側内型12と固定の受圧側外型13が配置される。この加圧側内型10と受圧側内型12との間に中空ウレタンゴム2が配置され、同軸上に配置された加圧側内型10と中空ウレタンゴム2と受圧側内型12の外周位置にステンレスパイプ素管1が配置される。
【0023】
ここで、ステンレスパイプ素管1は、0.2mm厚のステンレス鋼板を2枚重ねた2層鋼板を素材とし、約50mmの径を持つパイプ素管である。
【0024】
また、中空ウレタンゴム2は、円筒型のウレタンゴムの一側面に円錐切除面を形成し、このウレタンゴムを2個用意し、2つの円錐切除面を互いに対向させて組み合わせることで算盤玉形状中空部2aとしている。
【0025】
[予成形工程]
予成形工程では、図1▲2▼に示すように、ロックされた受圧側内型12と固定の受圧側外型13に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型10と加圧側外型11を圧縮方向にストロークさせ、中空ウレタンゴム2に加えた潰し圧P1 によるゴム変形により外側に膨出する波形状1aが作り出される。
【0026】
この予成形工程にて、中空ウレタンゴム2に加えられる潰し圧P1 は、油圧プレス機による7トン程度の力による圧力である。
【0027】
また、予成形工程による波形状1aの幅W1 は、中空ウレタンゴム2の幅をTとした場合、W1 =0.35T程度であり、波形状1aの外径D1 は、パイプ素管1の外径をDとした場合、D1 =1.4D程度である。
【0028】
[本成形工程]
本成形工程では、図1▲3▼に示すように、予成形工程に引き続いて、加圧側内型10への加圧を解除し、加圧側外型11のみに加圧P2 を加え、図1▲4▼,▲5▼に示すように、この加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状1aに内側から中空ウレタンゴム2による予圧を与えながら加圧側外型11と受圧側外型13により加えられる圧縮力で波形状1aが整えられる。
【0029】
ここで、中空ウレタンゴム2のゴム変形を弛めるほど波形状1aの内側への予圧が小さくなるが、本成形が完了時に予圧をゼロにするのではなく、本成形完了時にも中空ウレタンゴム2の小さな変形による予圧を与える。
【0030】
[型移動特性]
図2はバルジ成形での加圧側内型10と加圧側外型11との型移動量を時間を横軸にして表した型移動特性特性図である。
【0031】
成形開始時には内型10と外型11が共に同じ開放位置にあり、予成形工程では内型10と外型11が同じ移動特性で圧縮方向に移動し、予成形工程から本成形工程に入ると、外型11のみはさらに圧縮方向に移動するが内型10は反対の開放方向に移動して本成形を完了する。
【0032】
すなわち、加圧側内型10と加圧側外型11は独立の加圧手段を持つため、予成形工程から本成形工程に移る際に内型10と外型11を成形開始点へ戻す必要がなく、また、加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とがゴム変形を弛める方向にストロークするため、予成形工程から本成形工程に移る際に加圧側内外型10,11や受圧側内外型12,13とにオフセット量を与える操作を行なう必要もなく、予成形工程から本成形工程にそのまま連続して入る連続加工となり、短時間のバルジ成形により波形状1aを得ることができる。
【0033】
[波形状の対称性]
図1の▲3▼に本成形開始前図を示し、図1の▲4▼に本成形中間図を示し、図1の▲5▼に本成形完了図を示しているが、これらの図から明らかなように、本成形工程では、波形状1aの内側に中空ウレタンゴム2が充填された状態(図1の▲3▼)から波形状1aの幅を狭くする本成形圧縮に伴って内側の中空ウレタンゴム2を徐々に抜き出し(図1の▲4▼)、本成形完了時に波形状1aの基端部内側に中空ウレタンゴム2により予圧を与えた状態とする(図1の▲5▼)。
【0034】
すなわち、本成形の途中段階においても波形状1aの内側から中空ウレタンゴム2により押される変形規制があり、最終的に成形された波形状1aは、ほぼ左右対称形状となり、ベローズのように多数の波形状1aを隣接して形成する場合には波形状1aの形状バラツキがなくなる。
【0035】
[波断面形状の選択自由度]
上記パイプの波形バルジ成形方法により排気系フレキシブルチューブのベローズを成形する場合、ベローズの波断面形状としては、伸縮変位の吸収特性が伸長方向にも圧縮方向にも安定した特性となるU字断面形状が好ましい。
【0036】
このような要求に対し、上記パイプの波形バルジ成形方法では、内型と外型との変位と位相の調整により、選択した波断面形状を得ることができる。
【0037】
まず、図3の(イ) に示すように、波形状1aをU字断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)と、加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を同じ(または均等変位量)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形と内側から膨らまし変形規制とがうまくバランスしてU字断面形状が得られる。
【0038】
次に、図3の(ロ) に示すように、波形状1aをΩ断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)に対し加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を早め(または多め)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形が内側から膨らまし変形規制より上回り、Ω断面形状が得られる。
【0039】
また、図3の(ハ) に示すように、波形状1aをΛ断面形状にする場合、本成形において、加圧側外型11の圧縮ストローク速度(または圧縮変位量)に対し加圧側内型10と受圧側内型12によるゴム変形を弛める方向のストローク速度(または伸び変位量)を遅め(または少なめ)にする。これによって、波形状1aに対する外側からの潰し変形が内側から膨らまし変形規制より下回り、Λ断面形状が得られる。
【0040】
[ベローズへの適用]
本バルジ成形方法により作り出される製品を、2層のステンレスパイプ素管1に波形状1aの山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズAを製造する場合、上記成形開始工程と予成形工程と本成形工程とを、ステンレスパイプ素管1に対する中空ウレタンゴム2の位置を変えて繰り返し行なうことで製造される。
【0041】
図4は排気系フレキシブルチューブの一例を示す断面図で、図4において、Aはベローズ、3は第1プロテクタ、4はアウタチューブ、5は第2プロテクタ、6はステンレスメッシュシール材である。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態2は、請求項4ないし請求項6に対応するパイプの波形バルジ成形装置である。
【0043】
図5はパイプの波形バルジ成形装置を示す全体図、図6はパイプの波形バルジ成形装置の要部を示す図である。
【0044】
図5において、20は装置ベース、21は第1固定枠、22は第2固定枠、23は第1可動枠、24は第2可動枠、25は第1油圧シリンダ(第1駆動手段)、26は第2油圧シリンダ(第2駆動手段)、10は加圧側内型、11は加圧側外型、12は受圧側内型、13は受圧側外型、31はストローク同期機構、32,33は予成形アジャストストッパ、34,35は本成形アジャストストッパである。
【0045】
前記加圧側内型10は、第1固定枠21に設けられた第1油圧シリンダ25により第1可動枠23と共にストロークし、予成形アジャストストッパ32,33を位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとし、端面に中空ウレタンゴム2が接して配置される。
【0046】
前記加圧側外型11は、第1油圧シリンダ25とは別の第2固定枠22に設けられた第2油圧シリンダ26により第2可動枠24と共にストロークし、本成形アジャストストッパ34,35を位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとし、前記加圧側内型10とはパイプ溝を介した外周位置に配置される。
【0047】
前記受圧側内型12は、予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型11の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構31を介して設けられ、端面に中空ウレタンゴム2が接して配置される。
【0048】
前記受圧側外型13は、装置ベース20に固定され、前記受圧側内型12とはパイプ溝を介した外周位置に配置される。
【0049】
前記ストローク同期機構31は、図6に示すように、受圧側内型12のドーム状端面に接するテーパ面31aを有し、テーパ面31aの傾斜角度はセルフロックを達成する角度(約11度〜11.5度)に設定されたくさび部材31bと、加圧側外型11の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材31cと、該シンクロ部材31cのパイプ軸方向ストロークをくさび部材31bのパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材31dとを有する構成とされている。尚、前記くさび部材31bには、一端側にストローク調整ネジ31eが設けられ、他端側にリターンスプリング31fが設けられ、他端部にはパイプ軸方向にローラ溝31gが設けられている。前記シンクロ部材31cは、受圧側外型ベース部36に固定されたスライド支持部材31hに上下摺動可能に設けられていて、下端部には軸31iによりリンク部材31dが支持されている。前記リンク部材31dの途中にはシンクロ部材31cの下端面に接する第1ローラ31jが設けられ、リンク部材31dの下端部には前記ローラ溝31gに沿って移動可能な第2ローラ31kが設けられている。
【0050】
前記受圧側外型13は、波形状1aの山に嵌合する波嵌合部13aと外型成形面13bを有し、受圧側外型ベース部36にピン支持により設けられたフレキシブルチューブ用の受圧側外型13とされている。
【0051】
このパイプの波形バルジ成形装置により、パイプ素管1から中空ウレタンゴム2を用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状1aを作り出すバルジ成形作用について説明する。
【0052】
まず、図6に示すように、加圧側内型10とロック状態の受圧側内型12との間に中空ウレタンゴム2を配置し、同軸上に配置された加圧側内型10と中空ウレタンゴム2と受圧側内型12の外周位置にステンレスパイプ素管1が設けられる(成形開始工程)。
【0053】
次に、ロックされた受圧側内型12と固定の受圧側外型13に対し、独立の第1油圧シリンダ25と第2油圧シリンダ26により加圧側内型10と加圧側外型11を圧縮方向である下方向にストロークさせ、中空ウレタンゴム2に加えた加圧側内型10による潰し圧で中空ウレタンゴム2をゴム変形させ、このゴム変形による内側からの力で外側に膨出する波形状1aを作り出す(予成形工程)。
【0054】
次に、加圧側内型10への加圧を解除し、加圧側外型11のみに第2油圧シリンダ26により加圧を加え、この加圧側外型11の圧縮ストロークに同期して加圧側内型10と受圧側内型12とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状1aに内側から中空ウレタンゴム2による予圧を与えながら加圧側外型11と受圧側外型13により加えられる圧縮力で波形状1aが整えられる(本成形工程)。
【0055】
上記工程を、ステンレスパイプ素管1に対する中空ウレタンゴム2の位置を変え、受圧側外型13の波嵌合部13aを1山分ずらし、再度、繰り返し行なうことでベローズAが製造される。
【0056】
すなわち、図5及び図6に示す実施の形態2でのパイプの波形バルジ成形装置により実施の形態1でのパイプの波形バルジ成形方法が達成される。つまり、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状1aの高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度という実施の形態1で記載した効果が達成される。
【0057】
加えて、加圧側内型10とと加圧側外型11との動作限界をメカニカルストッパにより得るようにしていることで成形寸法のバラツキがなく、また、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパとしているため、波形状1aの寸法設定を自由に行なうことができる。
【0058】
ちなみに、図7に示すように、成形前の素管径をD、予成形外径をD1 、本成形外径をD2 、1山素管幅をT、予成形波形状幅をW1 、本成形波形状幅をW2 、予成形前の内外型オフセット量をF1 、本成形完了時の前内外型オフセット量をF2 とした時、予成形外径D1 がD1 =1.24D〜1.4Dで、予成形波形状幅W1 がW1 =0.35T〜0.44Tとなり、本成形外径D2 がD1 =1.35D〜1.5Dで、本成形波形状幅W2 がW2 =0.24W1 〜0.3W1 を得ることができた。
【0059】
また、内外型オフセット量F1 ,F2 の調整や成形波形状幅W1 ,W2 の調整により、例えば、図8に示すように、小径,中径,大径というように、異なる外径と幅を有する波形状1aを得ることができる。
【0060】
(その他の実施の形態)
実施の形態1,2では、ウレタンゴムとして算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムの例を示したが、加圧や減圧による変形性を考慮した断面形状を有するウレタンゴムであれば実施の形態1,2で示した断面形状を持つウレタンゴムに限定されることはない。
【0061】
実施の形態1,2では、本パイプの波形バルジ成形方法を排気系フレキシブルチューブのベローズAの製造方法に適用する例を示したが、他の用途に用いられるベローズや、また、山の高い波形状を有する製品であって、従来のウレタンバルジ成形で製造不可能な製品あれば他の製品の製造方法として適用できるのは勿論である。
【0062】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形方法において、パイプ溝を介して加圧側内型と加圧側外型を配置すると共に受圧側内型と受圧側外型を配置し、加圧側内型と受圧側内型との間にウレタンゴムを配置し、同軸上に配置される加圧側内型とウレタンゴムと受圧側内型の外周位置にパイプ素管を配置する成形開始工程と、ロックされた受圧側内型と固定の受圧側外型に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型と加圧側外型を圧縮方向にストロークさせ、ウレタンゴムに加えた潰し圧によるゴム変形により外側に膨出する波形状を作り出す予成形工程と、予成形工程に引き続いて、加圧側内型への加圧を解除し、加圧側外型のみに加圧を加え、この加圧側外型の圧縮ストロークに同期して加圧側内型と受圧側内型とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状に内側からウレタンゴムによる予圧を与えながら加圧側外型と受圧側外型により加えられる圧縮力で波形状を整える本成形工程と、を備えた方法としたため、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形方法を提供することができる。
【0063】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載のパイプの波形バルジ成形方法において、ウレタンゴムを、算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムとしたため、上記効果に加え、ウレタンゴムの変形能力が高く、パイプ素管の約1.5倍程度の外径を持つ波形状の成形が可能である。
【0064】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載のパイプの波形バルジ成形方法において、本成形方法により作り出される製品を、単層または2層のステンレスパイプ素管に波形状の山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズとしたため、請求項1記載の発明または請求項2記載の発明の効果に加え、液圧バルジ成形法に比べ、低コストで、かつ、作業環境の悪化や水処理問題なく、排気系フレキシブルチューブに用いるベローズを提供することができる。
【0065】
請求項4記載の発明にあっては、パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形装置において、第1駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、端面にウレタンゴムが接して配置される加圧側内型と、第1駆動手段とは別の第2駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、加圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される加圧側外型と、予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構を有し、端面にウレタンゴムが接して配置される受圧側内型と、装置ベースに固定され、受圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される受圧側外型と、を備えた構成としたため、予成形から本成形への連続加工による成形時間の短縮と、成形される波形状の高い左右対称性と、波断面形状の高い選択自由度とが達成されるパイプの波形バルジ成形装置を提供することができる。
【0066】
請求項5記載の発明にあっては、請求項4記載のパイプの波形バルジ成形装置において、ストローク同期機構を、受圧側内型の端面に接するテーパ面を有し、テーパ面の傾斜角度はセルフロックを達成する角度に設定されたくさび部材と、加圧側外型の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材と、該シンクロ部材のパイプ軸方向ストロークをくさび部材のパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材とを有する構成としたため、請求項4記載の発明の効果に加え、予成形終了時に受圧側内型のロック解除操作を要することなく、予成形工程から本成形工程へ移行することができる。
【0067】
請求項6記載の発明にあっては、請求項4または請求項5記載のパイプの波形バルジ成形装置において、受圧側外型を、波形状の山に嵌合する波嵌合部と外型成形面を有し、受圧側外型ベース部にピン支持により設けられたベローズ用の外型としたため、請求項4記載の発明または請求項5記載の発明の効果に加え、パイプ素管に波形状の山が複数列隣接して成形されるベローズを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図である。
【図2】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法での型移動量特性図である。
【図3】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法で成形された波形状の例を示す断面図である。
【図4】実施の形態1のパイプの波形バルジ成形方法で製造されたベローズが適用された排気系フレキシブルチューブを示す半断面図である。
【図5】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を示す全体図である。
【図6】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置の要部を示す図である。
【図7】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を用いた各成形段階での寸法を示す図である。
【図8】実施の形態2のパイプの波形バルジ成形装置を用いた異径の波形状の成形例を示す図(イ) と設定表(ロ) を示す図である。
【図9】従来のパイプの波形バルジ成形方法を示す工程図である。
【図10】従来のパイプの波形バルジ成形方法での型移動量特性図である。
【符号の説明】
1 パイプ素管
1a 波形状
2 中空ウレタンゴム
2a 算盤玉形状中空部
A ベローズ
10 加圧側内型
11 加圧側外型
12 受圧側内型
13 受圧側外型
Claims (6)
- パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形方法において、
パイプ溝を介して加圧側内型と加圧側外型を配置すると共に受圧側内型と受圧側外型を配置し、加圧側内型と受圧側内型との間にウレタンゴムを配置し、同軸上に配置される加圧側内型とウレタンゴムと受圧側内型の外周位置にパイプ素管を配置する成形開始工程と、
ロックされた受圧側内型と固定の受圧側外型に対し、独立の加圧手段を持つ加圧側内型と加圧側外型を圧縮方向にストロークさせ、ウレタンゴムに加えた潰し圧によるゴム変形により外側に膨出する波形状を作り出す予成形工程と、
予成形工程に引き続いて、加圧側内型への加圧を解除し、加圧側外型のみに加圧を加え、この加圧側外型の圧縮ストロークに同期して加圧側内型と受圧側内型とをゴム変形を弛める方向にストロークさせることで、波形状に内側からウレタンゴムによる予圧を与えながら加圧側外型と受圧側外型により加えられる圧縮力で波形状を整える本成形工程と、
を備えていることを特徴とするパイプの波形バルジ成形方法。 - 請求項1記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
前記ウレタンゴムを、算盤玉形状中空部を有する中空ウレタンゴムとしたことを特徴とするパイプの波形バルジ成形方法。 - 請求項1または請求項2記載のパイプの波形バルジ成形方法において、
本成形方法により作り出される製品を、単層または2層のステンレスパイプ素管に波形状の山を複数列隣接して成形した排気系フレキシブルチューブのベローズとしたことを特徴とするパイプの波形バルジ成形方法。 - パイプ素管からウレタンゴムを用いたバルジ成形により外径を膨らませて波形状を作り出すパイプの波形バルジ成形装置において、
第1駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、端面にウレタンゴムが接して配置される加圧側内型と、
前記第1駆動手段とは別の第2駆動手段によりストロークし、位置調整式のストローク上限ストッパとストローク下限ストッパを有し、前記加圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される加圧側外型と、
予成形工程ではロックされ、本成形工程では加圧側外型の圧縮ストロークに同期してウレタンゴムの変形を弛める方向にストロークさせるストローク同期機構を有し、端面にウレタンゴムが接して配置される受圧側内型と、
装置ベースに固定され、前記受圧側内型とはパイプ溝を介した外周位置に配置される受圧側外型と、
を備えていることを特徴とするパイプの波形バルジ成形装置。 - 請求項4記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記ストローク同期機構を、受圧側内型の端面に接するテーパ面を有し、テーパ面の傾斜角度はセルフロックを達成する角度に設定されたくさび部材と、加圧側外型の本成形時の圧縮ストロークに応じてストロークするシンクロ部材と、該シンクロ部材のパイプ軸方向ストロークをくさび部材のパイプ軸直交方向ストロークに変換するリンク部材とを有する構成としたことを特徴とするパイプの波形バルジ成形装置。 - 請求項4または請求項5記載のパイプの波形バルジ成形装置において、
前記受圧側外型を、波形状の山に嵌合する波嵌合部と外型成形面を有し、受圧側外型ベース部にピン支持により設けられたベローズ用の外型としたことを特徴とするパイプの波形バルジ成形装置。
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