JP3768857B2 - パターン形成材料及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパターン形成材料及びそれを用いた画像形成方法に関し、特に、解像度に優れた画像を容易に形成することができるパターン形成材料、及び、それを用いたディスプレイ材料等に有用な画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の画像形成材料が、ディスプレイ材料やパターン形成材料として使用されている。これらは通常、紙媒体などの白色の受像材料表面にインクなどの有色材料を像様に付着させたり、プラスチックフィルムなどの透明な受像材料に顔料などの光非透過性の材料を像様に付着させることで画像形成を行っている。画像形成は、例えば、受像材料にインクジェット印刷によりインクを付着させたり、コピー機に代表されるように、静電的に有色材料を受像材料の表面に付着させ、加熱定着させる、感熱記録材料を用いて加熱により像様に染料前駆体を発色させるなどの種々の方法で行われている。
また、配向が制御された緻密なパターンを形成する方法として、例えば、特開2000−247799号には、機能性有機分子薄膜の製造方法が提案されている。この方法によれば、緻密なパターンを形成することができるが、像様の書込みには、従来の平版印刷版原版の画像形成方法の如く、リスフィルムのようなマスクを介してUV露光を行うものであり、画像形成方法としては工程が煩雑である。
また、従来の一般的な画像形成方法では、大面積の受像材料に高解像度の画像を形成したり、薄膜の受像材料に高濃度の画像を形成することが困難であった。
【0003】
一方、近年、画像形成材料として、ディジタル化された画像データーからリスフィルムなどの媒介を用いずに直接、受像材料上に画像形成する方法が注目され、種々提案されてきている。
このようなデジタル化された画像形成方法を利用すれば、受像材料の面積や特性に係わらず、鮮明な画像を形成することが期待されるが、所望の受像材料に、このデジタル化されたデータに基づいて光非透過性材料や有色材料を安定に定着させる技術は未だ確立されていないのが、現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、露光或いは加熱により高感度で画像を形成することができ、画像形成材料の面積に係わらず、高解像度で、鮮鋭度の高い画像が得られ、且つ、赤外線レーザ等を操作することによりデジタルデータに基づき直接画像形成が可能な、応用範囲の広いパターン形成材料及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、露光、加熱、赤外線レーザの照射などのエネルギー付与により、疎水性ポリマー層の表面に親水性ポリマー層を直接結合させることで親疎水性パターンを形成し得る材料を用いることで上記目的が達成されることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のパターン形成材料は、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなるパターン形成材料であって、該パターン形成材料に画像様にエネルギーを付与して疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを直接化学結合させて親水性パターンを形成することを特徴とする。
このパターン形成材料は、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物からなる上層を積層してなる構成を有することが好ましく、また、疎水性ポリマー含有層には、エネルギー付与により重合開始能を発現する化合物を含有することが感度、画像強度の観点から好ましい。
【0006】
また、このパターン形成材料を利用した、本発明の請求項4に係る画像形成方法は、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなるパターン形成材料に、画像様にエネルギーを付与して疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを直接化学結合させて親水性パターンを形成し、該親水性パターン、或いはエネルギーを付与されていない疎水性領域のいずれかに可視画像を形成可能な有機又は無機分子を付着させることを特徴とする。
【0007】
本発明のパターン形成材料は、所望の支持体基板上に、疎水性ポリマー含有層を形成するか、又は、疎水性ポリマー含有層自体を支持体とし、そこに重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなるものであり、該親水性ポリマー含有組成物は、溶液浸漬により接触させてもよいが、親水性ポリマー含有組成物を塗布することにより親水性ポリマー含有層を形成することもでき、このようにすれば製造が容易となり、また、親水性部材の表面を形成する親水性ポリマー含有層は、皮膜形成能のある重合成性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物からなるため、塗布面状が均一で表面平滑性の高い親水性表面を形成することができるという利点を有する。
このパターン形成材料にエネルギーを付与することで、親水性ポリマーの重合性基と疎水性ポリマー含有層とが直接結合して、強固な結合と、高い運動性を有する親水性ポリマーの層を形成し、耐久性、親水性に優れた親水性パターンが形成される。ここで、該疎水性ポリマー含有層に重合開始能を有する化合物が含まれる場合、エネルギー付与により疎水性ポリマー含有層にも活性化による反応サイトが形成され、ここに親水性ポリマーの重合性基が結合して、より効率的に強固な結合が達成される。
【0008】
さらに、エネルギーを付与されない領域は、疎水性ポリマー含有層が露出して疎水性パターンとなる。したがって、このパターン形成後に、可視画像形成可能な物質を親水性領域或いは疎水性領域に、その親和性にしたがって付着させることにより、鮮鋭な可視画像を容易に形成することができる。本発明によれば、エネルギー付与にデジタルデータから直接描画可能な、例えば、赤外線レーザなどを用いれば、デジタルデータに基づく鮮鋭な画像を容易に形成することができる。また、本発明の親水性ポリマーが末端に重合性基を有するものであれば、親水性ポリマーが運動性の高いグラフト鎖の状態で疎水性ポリマー含有層に結合するため、高い親水性が達成でき、さらに側鎖にも重合性基を有するものを添加した場合には、側鎖の重合性基と他の親水性ポリマー末端の重合性基との間にも結合が生じ、親水性のグラフト鎖がさらに枝分かれ構造を有するグラフト鎖となるため、グラフト鎖の枝分かれ構造において、それぞれの分岐した枝にも親水性基が存在することになり、枝分かれ構造を有しない通常のグラフト鎖に比較して、単位面積あたりに存在する親水性基の密度が増すとともに、それぞれのグラフトの運動性も著しく向上し、高い親水性を有する親水性グラフト構造に比較しても、飛躍的に親水性が向上するという利点を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のパターン形成材料は、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなる構成を有する。まず、疎水性ポリマー含有層について、説明する。
本発明における疎水性ポリマー含有層は、その主成分が疎水性ポリマーであれば、特に制限はなく、このパターン形成材料の支持体が疎水性ポリマーを主成分とするものであれば、支持体自体が、疎水性ポリマー含有層となる場合があり、また、所望の支持体基板上に疎水性ポリマー層を設けたものであってもよい。
本発明に適用し得る疎水性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー卜、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどが挙げられ、これらをフィルム上に成形したものをそのまま支持体(兼、疎水性ポリマー含有層)として使用してもよく、これらを後述する任意の支持体上に塗布して疎水性ポリマー含有層を形成してもよい。
【0010】
なお、本発明においては、この疎水性ポリマー層に、エネルギー付与を付与することにより重合開始能を発現する化合物を添加することが好ましい。
疎水性ポリマーをエネルギー付与により重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性下層と称する)とするためには、この層に、重合開始剤と重合性化合物とを含有することが好ましい。
重合性下層は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材(支持体)上に設け、加熱または光照射により硬膜することにより形成することができる。
【0011】
(重合性化合物)
重合性下層に用いられる重合性化合物は、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により上層に含まれる、少なくとも末端に重合性基を含有する親水性ポリマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、なかでも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
さらには、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体またはアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元または多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子または3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
【0012】
(重合開始剤)
本発明の下層にはエネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。なかでも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
本発明に用い得る光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、下層に含まれる重合性基を有する疎水性ポリマーと、上層に含まれる末端に重合性基を有する親水性ポリマーとを重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
【0013】
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性下層中、固形分で0.01〜20重量%の範囲が好ましく、0.1〜10重量%の範囲が特に好ましい。
【0014】
疎水性ポリマー層を塗布する際に用いる溶媒は、主成分である疎水性ポリマー、重合性基を有する疎水性の化合物、或いは、重合開始剤などの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0015】
疎水性ポリマー層を支持体上に形成する場合の塗布量は、乾燥後の重量で、0.1〜20g/m2が好ましく、さらに、1〜15g/m2が好ましい。塗布量0.lg/m2未満では十分な重合開始能を発現できず、親水性ポリマーのグラフト化が不十分となり、所望の親水性を得られない懸念があり、塗布量が20g/m2を超えると膜性が低下する傾向になり、膜剥がれを起こしやすくなるため、いずれも好ましくない。
【0016】
上記のように、支持体基材上に上記の重合性下層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて下層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、疎水性ポリマーのある程度の硬化が予め行なわれるので、親水性ポリマーのグラフト化を達成した後に下層である疎水性ポリマー層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥しうる条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
【0017】
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述する親水性グラフトポリマーの結合の生成に用いる光源を用いることができるが、引き続き行われる親水性ポリマー層の形成と、エネルギー付与により実施される下層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点から、下層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
【0018】
本発明のパターン形成材料では、前記疎水性ポリマー含有層表面に重合性基を有する親水性ポリマー接触させ、エネルギーを付与することで重合性基を有する親水性ポリマーが疎水性ポリマーに化学的に結合し、強固で耐久性に優れ、高い親水性を有する親水性領域を形成することができる。このような結合の形成を表面グラフトと称する。
この接触は、疎水性ポリマー含有層を、重合性の親水性ポリマーを含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、パターン形成材料の取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性の親水性ポリマーを含有する組成物を主成分とする層を疎水性ポリマー含有層表面に、塗布法により形成することが好ましい。
【0019】
以下に、エネルギー付与による表面グラフトの形成について説明する。
本発明においては、親水性領域の形成は、表面グラフト重合と呼ばれる方法により行われる。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に光、電子線、熱などの従来公知の方法にてエネルギーを付与することにより活性種を与え、これによって重合を開始する別の重合性化合物をさらに重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が表面を形成するときには表面グラフト重合と呼ばれる。また、表面グラフトとは、下層を構成する重合開始能を有する高分子層の表面上に重合性化合物がグラフトされた表面を示す。
【0020】
通常は、基材を構成するPETなどの疎水性ポリマー含有層表面を直接、プラズマ、もしくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させて重合開始能を発現させ、その後、その活性表面と親水性官能基を有するモノマーとを反応させることによりグラフトポリマー表面層、即ち、親水性基を有する表面層を得ることができる。本発明の好ましい態様では前記のように、疎水性ポリマー含有層に予め重合開始能を有する化合物を添加することで、このような活性点の形成が低エネルギーで容易に行うことができ、且つ、生成する活性点も多いため、簡易な方法により、より高い親水性を有する表面を形成することができる。
【0021】
光照射などによりグラフト重合を生じさせる方法自体は、公知の方法を適用することができる。光グラフト重合法の具体的方法としては特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報および特開平11−119413号公報に記載の方法を本発明においても使用することができる。具体的には、基材上に光開始剤と重合性化合物からなる重合成組成物をあらかじめ下塗りしておき、その上に重合性化合物を接触させ光照射する方法である。
表面グラフトを作成する方法のなかでも、エネルギー付与を光照射により行う光グラフト法をとることが好ましい。
【0022】
重合性の親水性ポリマー含有組成物に含まれる重合性基を含有する親水性ポリマーとは、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基を導入したラジカル重合性基含有親水性ポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端に重合性基を有するものが好ましく、さらに、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
【0023】
このようなエチレン付加重合性不飽和基を導入したラジカル重合性基含有親水性ポリマーは以下のように合成できる。
合成方法としては、親水性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーを共重合する方法、親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法が挙げられる。特に好ましいのは、合成適性の観点から、親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
【0024】
上記ラジカル重合性基を主鎖末端、好ましくはさらに側鎖に有する親水性ポリマーの合成に用いられる親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロバンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げられる。
【0025】
親水性ポリマーとしては、上記親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマーもしくはコポリマーが挙げられる。
また、親水性モノマ−と共重合するアリル基含有モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
親水性ポリマー中のカルボキシル基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基およびエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルユーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
【0026】
末端又は側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマーとしては、親水性マクロモノマーが挙げられる。本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本発明で用いられる親水性のマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルステレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
【0027】
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
また、上層の形成にあたって、上記重合性基を有する親水性ポリマーに、さらに、親水性モノマーを添加しても良い。親水性モノマーを添加することにより重合率を上げることができる。
親水性モノマーの添加量は0〜60重量%が好ましい。60重量%以上では塗布性が悪く均一に塗布できないので不適である。
【0028】
(親水性モノマー)
末端及び/又は側鎖に重合性基を有する親水性ポリマーと併用するのに有用な、親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、もしくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
本発明において、親水性ポリマーとの併用に、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることが出来る。
【0029】
例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3―スルホプロピレン(メタ)アクリレー卜もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロバンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキンエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、などを使用することができる。また2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N―ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルオキシエナルカルバミン酸アスパラギン酸の如き分子中にアミノ酸骨格を有するモノマー、グリコキシエチルメタクリレートの如き分子中に糖骨格を有するモノマーなども有用である。
【0030】
このような親水性ポリマーを含有する組成物に使用する溶剤は、主成分である前記親水性マクロモノマーや親水性モノマーなどが溶解可能ならば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤にさらに界面活性剤を添加したものなどが好ましい。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
【0031】
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により親水性ポリマー組成物塗布層を形成する場合の塗布量は固形分換算で0.1〜1.0g/m2が好ましく、特に1〜5g/m2が好ましい。0.lg/m2未満では十分な表面親水性を得ることができず、また10g/m2を超えると均一な塗布膜が得にくいため、いずれも好ましくない。
【0032】
(エネルギー付与)
本発明のパターン形成材料によりパターン形成を行う場合のエネルギー付与方法には特に制限はなく、疎水性ポリマー含有層表面に活性点を生じさせ、重合性基を有する親水性ポリマーとの結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
画像様の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
画像形成に用いる方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクト画像形成を行うためには、レーザ露光により極性変換を生起させる方法が好ましい。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
【0033】
このようにエネルギー付与を行うことで疎水性ポリマー含有層に発生した活性点と、重合性基を有する親水性ポリマーとが重合して、運動性の高い親水性グラフト鎖を有する表面が形成される。また、好ましい態様として、側鎖に重合性基を有する親水性ポリマーを添加することで、疎水性ポリマー含有層と結合したグラフト鎖の側鎖の重合性基にさらに、親水性グラフト鎖が結合することで、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成され、運動性が高い親水性グラフトの形成密度、運動性ともに飛躍的に向上するため、さらなる高い親水性が発現するものである。
【0034】
このように、エネルギー付与領域には、親水性グラフトによる親水性パターンが形成され、エネルギーを付与されない領域では、疎水性ポリマー含有層表面が疎水性領域となる。
この親/疎水性パターンに可視画像形成可能な有機又は無機分子を付着させることで可視画像が形成される。
ここで、親/疎水性パターンに吸着させる有機又は無機分子は、可視画像を形成しうる物質であれば、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。なお、可視像を形成可能であるとは、可視波長領域に吸収を有する物質を指し、具体的には、例えば、有色の染料或いは顔料、光非透過性の各種顔料、金属微粒子などが挙げられる。
【0035】
(表面グラフト重合の極性基と有機又は無機分子との関係)
具体的には、親水性ポリマーの親水性基がスルホン酸塩やカルボン酸塩などの負の電荷を有する場合、正の電荷を有する分子、例えば、カチオン染料などを吸着させることで可視画像を形成することができる。
【0036】
このような画像形成に用い得るカチオン性の有機または無機分子としては、カチオン染料やカチオン性に帯電させた無機顔料、金属微粒子及び表面にカチオン性の表面層を形成してなる被覆顔料、被覆金属微粒子などが挙げられる。
ここで、用い得るカチオン染料としては、公知の染料を色調や画像濃度などの目的に応じて適宜選択して使用することができる。このようなカチオン染料は前記極性変換基である酸性基(スルホン酸基、カルボン酸基など)の機能により電気的に画像記録層表面に引き寄せられ、表面のみならず内部へも浸透して最終的に酸性基と結合して画像が形成されるものと考えられる。この画像はイオン性の相互作用によるため、強固に吸着し、少ない染料で堅牢度の高い高濃度の画像が形成される。
【0037】
カチオン染料としては、発色団の末端にアルキルアミノ、アラルキルアミノ結合を有する染料、スルホン酸アルキルアミド結合などの酸アミド結合を有する染料、カチオンを形成し得る基を有するアゾ染料、メチン染料、チアゾール・アゾ染料などの複素環化合物などが挙げられる。カチオン染料の骨格としては、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、キサンテン、アクリジン、アジン、チアジン、チアゾール、オキサジン、アゾなどが挙げられ、このような染料は例えば、「新染料化学」細田 豊著、技報堂、(1957年)の第316頁〜322頁に詳述されている。
【0038】
他の画像形成機構として、例えば、親水性ポリマーの親水性基がアンモニウム基などのカチオン性の電荷をもつ場合、負の電荷をもつ分子、例えば、酸性染料などを吸着して可視画像が形成される。
【0039】
このような画像形成に用い得るアニオン性の有機または無機分子としては、酸性染料やアニオン性に帯電させた無機顔料、金属微粒子及び表面にアニオン性の表面層を形成してなる被覆顔料、被覆金属微粒子などが挙げられる。
ここで、用い得る酸性染料としては、公知の染料を色調や画像濃度などの目的に応じて適宜選択して使用することができる。このような酸性染料としては、アゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、アジン、キノリンなどの染料が挙げられ、これらのいずれでも任意に用いることができる。具体的には、例えば、C.I.Acid Yellow 1、C.I.Acid Orange 33、C.I.Acid Red 80、C.I.Acid Violet 7、C.I.Acid Blue 93などが挙げられ、このような染料は例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編、丸善、(1970年)の第392頁〜471頁に詳述されている。
【0040】
可視画像の形成に用いられる前記有機又は無機分子は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の色調を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
有機又は無機分子を親/疎水性領域に吸着させる方法としては、有機又は無機分子を溶解又は分散させた液を露光などにより像様にパターン形成されたパターン形成材料表面に塗布する方法、及び、これらの溶液又は分散液中に像様にパターン形成されたパターン形成材料を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の有機又は無機分子を供給し、所望の親/疎水性パターン領域との間に十分な付着がなされるために、溶液又は分散液とパターン形成材料表面との接触時間は、10秒から60分程度であることが好ましく、1分から20分程度であることがさらに好ましい。
有機又は無機分子は、パターン形成領域に吸着し得る最大量結合されることが、画像の鮮鋭度、色調及び耐久性の点で好ましい。また、吸着の効率からは、溶液、分散液の濃度は、少なくとも10〜20重量%程度が好ましい。
【0041】
これら有機又は無機分子の使用量は、画像形成機構やその目的に応じて適宜選択することができるが、イオン性の吸着により導入される場合には、一般的な画像形成材料に用いる発色材料、有色材料の使用量に比較して、少量で、高濃度、高鮮鋭度の画像を形成することができる。
また、疎水性ポリマー含有層が支持体を兼ねる樹脂フィルムを用いて、無機顔料や金属顔料などの光非透過性の材料を吸着させた場合、或いは、光透過性の有色染料を吸着させた場合には、OHPや街頭における電飾のごとき光透過性のパターン形成材料、ディスプレイ材料をも容易に得ることができる。
【0042】
また、他の画像形成機構として、疎水性領域に、例えば、油性インクの如き疎水性の材料を付着させる方法が挙げられる。このような画像形成機構を用いる場合には、未露光部の疎水性領域表面のみに有機又は無機分子が吸着するため、単色の画像形成に適する画像形成方法となる。
【0043】
(平版印刷版原版への応用)
この画像形成方法を用いれば、本発明のパターン形成材料を平版印刷版原版として用いることもできる。すなわち、パターン形成後に湿し水と油性インクとを供給することで、湿し水は形成された親水性パターン領域に吸着して非画像部を形成し、疎水性ポリマー含有層表面は疎水性の油性インク受容領域となり、画像部を形成する。親水性パターン領域は親水性グラフト構造による高い親水性が発現するため、非画像部に汚れの生じない、優れた画質の画像を形成することができる。
本発明のパターン形成材料として、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物からなる上層を積層してなる構成をとる場合においても、上層はインクと湿し水を供給して印刷を開始するとその初期の段階で容易に除去されて疎水性ポリマー含有層表面が露出するため、機上現像可能な平版印刷版原版としても好適に使用し得る。
【0044】
(支持体基板)
本発明のパターン形成材料では、前記したように、支持体基板としてプラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)を用いることにより、疎水性ポリマー含有層が支持体を兼ねることもできるが、所望の他の支持体上に前記のような疎水性ポリマー含有層を形成することもできる。本発明に適用可能な支持体(基板)としては、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも、前記疎水性ポリマー含有層を兼ねることができるポリエステルフィルムが特に好ましい。また、平版印刷版原版に用いる場合には、寸度安定性の観点からアルミニウム板が好適に用いられる。
【0045】
本発明のパターン形成材料によれば、任意の基材表面に比較的簡易な処理で、鮮鋭な画像を形成することが可能であり、さらには、形成された画像の耐久性が良好であるため、多用な目的に好適に使用しうるという利点を有する。
また、本発明の画像形成方法によれば、種々のパターン形成、あるいは、ディスプレイ形成が容易に得られ、広い用途が期待される。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
(重合性基を持つ親水性ポリマーの合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18g、をDMAC300gに溶解し、ハイドロキノン0.41g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4g、とジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー18.4g(P−1)を得た。
【0047】
〔実施例1〕
(表面に重合開始能を有する基材の作製)
支持体基板として、膜厚0.188mmのPETフィルム(東洋紡(株)M4100)を用い、その表面に下記の重合性下層塗布液(光重合性組成物)をロッドバー17番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた。
次に、この塗布されたフィルムを400W高圧水銀灯(UVL−400P,理工科学産業(株)製)を使用し、10分間照射して硬膜させ、重合性下塗り層を形成した。
【0048】
Figure 0003768857
【0049】
(親水性ポリマー含有層の形成)
上記重合開始能を有する支持体上に、以下の親水性ポリマー含有層塗布液1をロッドバー6番を用いて塗布し、80℃で2分乾燥後し、パターン形成材料を得た。前記塗布液組成物1の塗布面状は均一であった。
【0050】
(親水性ポリマー含有層塗布液1)
・側鎖に重合性基を有する親水性ポリマー(P−1) 2g
・水 18g
【0051】
(画像形成)
このようにして得られたパターン形成材料1の表面に、以下のようにエネルギーを付与し、画像様の親水性パターンを形成した。
エネルギー付与は、前記パターン形成材料に画像フィルムをかぶせ、アルゴン雰囲気下で400W高圧水銀灯(UVL−400P,理工科学産業(株)製)を使用し、80分間光照射することにより実施した。光照射後、得られたフィルムをイオン交換水でよく洗浄することにより画像フィルムに従った親水性パターンが形成された。
次に、このパターン形成材料をメチレンブルー(和光純薬製)0.1重量%の水溶液に10分浸漬した後、蒸留水で洗浄したところ、露光部に選択的にメチレンブルーが付着して、青色の鮮明な画像が得られた。
【0052】
〔実施例2〕
(末端重合性基を持つアミドマクロモノマーの合成)
アクリルアミド30g、3−メルカプトプロピオン酸3.8gをエタノール70gに溶解後、窒素雰囲気下60℃に昇温し、AIBN(2,2−アゾビスイソブチルニトリル)300mgを加えて6時間反応した。反応後白色沈殿を濾過しメタノールで十分洗浄し末端カルボン酸プレポリマーを30.8g得た(酸価0.787meq/g分子量1.29×103)。
前記プレポリマー20gをジメチルスルホキシド62gに溶解し、グリシジルメタクリレート6.71g、N,N−ジメチルドデシルアミン(触媒)504mg、ハイドロキノン(重合禁止剤)62.4mgを加え、窒素雰囲気下140℃で7時間反応した。反応溶液をアセトンに加え、ポリマーを沈殿させ、よく洗浄して末端メタクリレートマクロモノマーを23.4g(分子量1.43×103)得た(P‐2)。
【0053】
実施例1において用いた親水性ポリマー含有層塗布液1を下記親水性ポリマー含有層塗布液2に代えた以外は実施例1と同様にしてパターン形成材料2を得た。製造過程における親水性ポリマー含有層塗布液2の塗布面状は均一であった。(親水性ポリマー含有層塗布液2)
・アクリルアミドマクロモノマー(P‐2) 2g
・水 18g
【0054】
(平版印刷版原版への応用)
このようにして得られたパターン形成材料2の表面を実施例1と同様にしてエネルギーを付与し、画像様の親水性パターンを形成した。
次に、このパターン形成材料2をリスロン印刷機に装着し、湿し水としてIF201(2.5%)、IF202(0.75%)〔富士写真フイルム(株)製〕、インクとしてGEOS−G墨〔大日本インキ化学工業(株)製〕を供給して、通常通り印刷を行った。
得られた印刷物の画像部が良好に形成されているかどうか、および非画像部に汚れが生じていないかを観察したところ、画像部のヌケや非画像部の汚れのない良好な画質の印刷物が得られた。
その後、1万枚の印刷を継続したが、1万枚の印刷が終了した時点でも、画像部のかすれや非画像部の汚れの発生もなく、良好な印刷物が得られ、本発明のパターン形成材料を平版印刷版原版として用いた場合、印刷物の画質、耐刷性ともに良好であることがわかった。
【0055】
〔実施例3〕
実施例1において得られたパターン形成材料1の表面にエネルギーを付与し、画像様の親水性パターンを形成したものを、実施例2と同様にして平版印刷版原版として用い、印刷を行ったところ、画像部のかすれや非画像部の汚れのない良好な印刷物が1万枚得られ、印刷物の画質、耐刷性ともに良好であることがわかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明のパターン形成材料によれば、露光或いは加熱により高感度で画像を形成することができ、画像形成材料の面積に係わらず、高解像度で、鮮鋭度の高い画像が得られ、且つ、赤外線レーザ等を操作することによりデジタルデータに基づき直接画像形成が可能であるという効果を奏する。また、このパターン形成材料を用いた画像形成方法によれば、鮮鋭な画像を容易に形成することができる。

Claims (4)

  1. 疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなるパターン形成材料であって、
    該パターン形成材料に画像様にエネルギーを付与して疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを直接化学結合させて親水性パターンを形成することを特徴とするパターン形成材料。
  2. 前記パターン形成材料が、疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物からなる上層を積層してなる構成を有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成材料。
  3. 前記疎水性ポリマー含有層に、エネルギー付与により重合開始能を発現する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成材料。
  4. 疎水性ポリマー含有層上に、重合性基を有する親水性ポリマーを含有する組成物を接触させてなるパターン形成材料に、
    画像様にエネルギーを付与して、疎水性ポリマー含有層上に重合性基を有する親水性ポリマーを直接化学結合させて親水性パターンを形成し、
    該親水性パターン、或いはエネルギーを付与されていない疎水性領域のいずれかに可視画像を形成可能な有機又は無機分子を付着させることを特徴とする画像形成方法。
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