JP3768839B2 - 回転電機子の製造方法及び回転電機子の把持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機子の製造方法及び回転電機子の把持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、直流モータの回転電機子において、回転軸に固着した積層コアのスロットに励磁コイルを巻装する前に絶縁処理が施される。この絶縁処理は、特開平6−285397、特開平11−584、特開2000−210598等、各公報に示されるように静電粉体塗装装置で行われるのが一般的であった。
【0003】
これら装置において、特に特開平11−584及び特開2000−210598号公報に示されるように静電粉体塗装装置においては、絶縁粉体を静電付着させる静電付着室に、回転軸に積層コアを固着してなる回転電機子を搬送装置で搬送する際、その回転電機子の所定の箇所だけに静電粉体が付着されるように工夫されたマスキング治具が使用されている。
【0004】
詳述すると、マスキング治具は、円柱状の治具体の一側面に嵌挿穴が形成されていて、そのマスキング治具を2個使用して、回転電機子の回転軸の両端部をそれぞれのマスキング治具の嵌挿穴に装着する。この嵌挿穴に装着された回転軸の両端部分(嵌挿部分)は、同マスキング治具に被覆され静電付着室に搬送されても絶縁粉体が付着されない。即ち、回転軸の両端部分は絶縁処理をしてはならない部分であるので、マスキング治具にて静電粉体が付着しないようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記マスキング治具は、絶縁粉体が付着しないように嵌挿穴に回転軸を密着して装着させる必要から回転軸の外径及び長さにあわせてその嵌挿穴が形成されている。従って、この種のマスキング治具は、一つの回転電機子に対して専用のマスキング治具であった。その結果、回転電機子において、その回転軸の径、長さ、又は絶縁処理範囲(付着範囲)が異なる毎に、その回転電機子にあったマスキング治具を用意しなければならず、コストアップにつながっていた。しかも、異なる回転電機子を連続して搬送し絶縁処理を行う場合、回転電機子が変わる毎にその回転電機子にあったマスキング治具を装着しなければならず生産効率の低下を招いた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、回転電機子の種類に左右されることなく全ての回転電機子について所定の箇所に絶縁処理することのできる回転電機子の製造方法及び回転電機子の把持装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、積層コアと前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を有する回転電機子の製造方法において、前記回転軸の軸線方向に移動して拡開及び収縮することにより外径の異なる種々の回転軸を挟持可能とするチャック部材にて、前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を挟持し、前記チャック部材を覆うマスキング部材に形成するとともに前記回転軸の径方向に縮径し前記回転軸外周面と密着する密着部を前記回転軸の所定の位置の外周面に密着させた後、前記積層コア表面に絶縁粉体を静電塗装したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機子の製造方法において、前記マスキング部材の密着部は、その先端開口部に環状の空気袋体を設け、その空気袋体の内周側壁部を薄くして形成した膜であって、前記空気袋体の空気圧を上げて前記膜を前記回転軸に向かって膨らませて回転軸の外周面に密着させるようにしたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転電機子の製造方法において、前記チャック部材は、内側面にガイド溝が形成されるホルダと、該ガイド溝に沿って前記回転軸の軸線方向に摺動可能に配設されるとともに前記回転軸の軸線方向に摺動して拡開及び収縮する把持部材とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、回転電機子の把持装置において、積層コアと、前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を有する回転電機子の把持装置において、前記回転軸の軸線方向に移動して拡開及び収縮することにより外径の異なる種々の回転軸を挿通及び挟持可能とするチャック部材と前記チャック部材を覆うとともにそのチャック部材より突出し前記回転軸が貫通する先端開口部に前記回転軸の径方向に縮径し前記回転軸外周面と密着する密着部を形成したマスキング部材とを設けたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の回転電機子において、前記マスキング部材の密着部は、前記先端開口部に環状の空気袋体を設け、その空気袋体の内周側壁部を薄くして形成した膜であって、前記空気袋体の空気圧を上げて前記膜を回転軸に向かって膨らませて回転軸の外周面に密着させるようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の回転電機子の把持装置において、装置本体ボディに対して回転可能に支持され、その先端部に前記チャック部材を一体回転可能に固着した回転筒と、前記回転筒内において、回転不能にかつ軸線方向に移動可能に支持され、前記チャック部材を軸線方向に移動させる作動体とを設けたことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の回転電機子の把持装置において、前記チャック部材は、内側面にガイド溝が形成されるホルダと、該ガイド溝に沿って前記回転軸の軸線方向に摺動可能に配設されるとともに前記回転軸の軸線方向に摺動して拡開及び収縮する把持部材とを備えたことを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1〜3に記載の発明によれば、チャック部材を拡開させることにより、外径の異なる種々の回転軸は同チャック部材に対して挿通可能となり、回転軸を挿通した状態でチャック部材を収縮させれば外径の異なる種々の回転軸は同チャック部材にて挟持される。また、チャック部材を覆うマスキング部材に形成した密着部は回転軸の外周面に密着することにより、チャック部材にて挟持された回転軸は同マスキング部材によってマスクされる。
【0013】
その結果、回転軸の外径に左右されることはなく、全ての回転電機子について確実に把持しかつマスクでき静電塗装工程に案内することができる。
請求項2に記載の発明によれば、空気袋体に空気を導入し同空気袋体の空気圧を上げるだけで、膜が回転軸に向かって膨らみ回転軸の外周軸の外周面に密着する。従って、空気袋体に空気を導入するだけで、回転軸を簡単にマスクすることができる。
【0014】
請求項4〜7に記載の発明によれば、チャック部材を拡開させることにより、外径の異なる種々の回転軸は同チャック部材に対して挿通可能となり、回転軸を挿通した状態でチャック部材を収縮させれば外径の異なる種々の回転軸は同チャック部材にて挟持される。また、チャック部材を覆うマスキング部材に形成した密着部は回転軸の外周面に密着することにより、チャック部材にて挟持された回転軸は同マスキング部材によってマスクされる。
【0015】
その結果、回転軸の外径に左右されることはなく、全ての回転電機子について確実に把持しかつマスクできる。
請求項5に記載の発明によれば、空気袋体に空気を導入し同空気袋体の空気圧を上げるだけで、膜が回転軸に向かって回転軸の外周軸の外周面に密着する。従って、空気袋体に空気を導入するだけで、回転軸を簡単にマスクすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、回転筒の回転により、前記チャック部材と同チャック部材を覆うマスキング部材が回転することにより、回転電機子がチャック部材で把持されマスキング部材でマスクされた状態で回転する。その結果、例えば、静電塗装工程において、絶縁粉体を回転電機子の積層コアにむらなく静電付着させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1は、励磁コイルを巻装する前の直流モータの回転電機子の斜視図、図2は前記静電粉体塗装装置の平面図、図3は回転電機子に絶縁処理を行うための静電粉体塗装装置の正面図、図4は前記静電粉体塗装装置に設けられた回転電機子を把持する把持装置の要部断面図、図5は、前記把持装置の先端部分の拡大断面図を示す。
【0018】
図1において、励磁コイルを巻装する前の回転電機子1は、回転軸2に積層コア3が固着されている。積層コア3は複数枚のコア片を積層したものであって、そのスロット4間のティース5に図示しない励磁コイルが巻装される。
【0019】
積層コア3を固着した回転軸2の同積層コア3から突出した長い方の端部(以下、先端部2aといい、この先端部2aに対して反対側の端部を基端部2bという)は、図示しないウォームホイールと噛合するウォームが形成されたり、あるいは、送風ファン等の負荷を装着するための加工がなされるようになっている。
【0020】
このように構成された回転電機子1は励磁コイルを巻装する前に絶縁処理が行われる。本実施形態の絶縁処理方法は、回転電機子1に絶縁粉体を静電付着させ、その後、その付着させた絶縁粉体を加熱溶融し絶縁膜を形成する静電粉体塗装方法である。そして、絶縁処理される部分は回転軸2においては同回転軸2の先端部2aと基端部2bの積層コア3に隣接した部分のみであって、その他の部分(以下、非絶縁処理部分NZ)は絶縁処理がなされない。一方、積層コア3においては、ティース5の外側面5aを除いた全ての外側面である。そして、回転電機子1の絶縁処理は、静電粉体塗装装置10を用いて所定の部分に絶縁粉体を静電付着(静電塗装)され、その後に絶縁膜を形成するために高周波加熱装置を用いて成膜化処理が行われる。
【0021】
次に、静電粉体塗装装置について説明する。図2において、静電粉体塗装装置10は、基台11の中央位置には支持軸12が回転可能に支持されている。その支持軸12は、基台11に内蔵されているモータ等を含む回転装置にて回転制御される。支持軸12には、上下方向に3つの支承板13a,13b,13cが固着され、その各支承板13a〜13cの外周部には、複数個(本実施形態では8個であって、図1においては2個のみ図示)の搬送装置15が前記支持軸12を中心に等角度間隔に装着されている。従って、8個の搬送装置15は前記支持軸12の回転とともに同支持軸12を中心に回動する。
【0022】
各搬送装置15はその下端部に前記回転電機子1を把持する把持装置16を備え、把持した回転電機子1を各作業ステーションに案内する。つまり、静電粉体塗装装置10の外周には、図3に示すように、7個の作業ステーションST1〜ST7が設けられ、各搬送装置15は支持軸12の回転で回動して各ステーションST1〜ST7に順に案内されるようになっている。
【0023】
因みに、第1作業ステーションST1は、回転電機子1を供給し把持装置16に取り付ける作業が行われるステーションである。第2〜第4ステーションST2〜ST4は、回転電機子1に絶縁粉体を静電付着(静電塗装)する作業が行われるステーションである。また、第5及び第6ステーションST5,ST6は、前記積層コア3のティース5の外側面5aに静電付着された絶縁粉体を除去する作業が行われるステーションである。さらに、第7ステーションST7は、所定の部分に静電塗装が完了した回転電機子1を把持装置16から取り外し、次の絶縁膜を形成するための高周波加熱装置に搬送する作業が行われるステーションである。
【0024】
次に、前記回転電機子1を把持する把持装置16について図4に従って説明する。図4は、把持装置16の縦断面図を示す。図4において、把持装置16の円筒状の装置本体ボディとしての本体ボディ21は、その上側には搬送装置15に連結された軸受筒22が固着されている。その軸受筒22は、同軸受筒22内に駆動軸23を回転可能に支持している。前記駆動軸23は、その上端部に、前記搬送装置15に設けた図示しないモータに駆動連結されており、同モータにて回転駆動されるようになっている。一方、駆動軸23の下部端には、前記本体ボディ21内に形成した収容空間24に嵌挿され、その先端に第1傘歯車25が固着されている。
【0025】
前記本体ボディ21内(収容空間24)には、回転機構としての回転筒26が同本体ボディ21に対して回転可能に支持されている。その回転筒26の右端部(先端部)は、本体ボディ21から突出していて、その突出部分の外周にはフランジ26aが形成されている。一方、その回転筒26の左端部(基端部)には、前記第1傘歯車25と噛合する第2傘歯車27が固着されている。従って、駆動軸23の回転とともに回転筒26は回転する。
【0026】
前記回転筒26には、棒状の作動体28が嵌挿されている。前記作動体28は、回転筒26に対して軸線方向に移動可能にかつ周方向に回転不能に支持され、前記回転筒26と一体回転するとともに同回転筒26に対して軸線方向(図において、左右方向)に移動可能である。
【0027】
作動体28の左端部(基端部)は、左側の閉塞した本体ボディ21にベアリング29を介して回転可能に支持され、かつ、外側に突出している。また、作動体28の本体ボディ21内の左側部には、係止片30が固着され、その係止片30と前記本体ボディ21に設けたベアリング29の内輪との間にスプリング31が配設されている。そして、作動体28は、そのスプリング31によって、常に先端側(右側)に弾性力が付与されている。さらに、外側に突出した作動体28の左端には、作動アーム32が連結されている。作動アーム32は、前記搬送装置15に設けた図示しないアクチュエータにて作動し、前記作動体28をスプリング31の弾性力に抗して左方に移動させるようになっている。
【0028】
一方、前記作動体28の右端部(先端部)は、図5に示すように、前記回転筒26から突出していて、その突出部分の外周には係合片33が形成されている。前記作動体28を収容する回転筒26の先端には、チャック部材を構成するホルダ41が連結されている。ホルダ41は環状の基部41aが前記回転筒26のフランジ26aと当接し、同基部41aとフランジ26aとがボルト42にて連結固定されている。従って、ホルダ41は回転筒26と共に一体回転する。環状の基部41aには3本(図3には2本のみ図示)のガイドアーム41bが回転軸芯を中心に等角度間隔に延出形成されている。3本のガイドアーム41bは、基部41aから前記回転軸芯に向かって先細形状をなし、その内側面にはガイド溝41cが形成されている。
【0029】
3本のガイドアーム41bに形成したガイド溝41cには、前記ホルダ41とでチャック部材を構成する把持部材43がそれぞれ同ガイド溝41cに沿って摺動可能に配設されている。各把持部材43の基端部内側面には係合溝43aが形成され、その係合溝43aは前記作動体28の係合片33に嵌着されている。従って、把持部材43は、作動体28の左右方向に移動とともにガイドアーム41bのガイド溝41cに沿って移動する。
【0030】
各把持部材43は、そのガイド溝41cに摺動する面が斜状、即ち、楔状に形成されている。従って、作動体28が右方向(先端方向)に移動すると、把持部材43はその楔状の摺動面がガイド溝41cに沿って右方向に移動し、各把持部材43の先端部内周面を結ぶ円が縮径(収縮)する。反対に、作動体28が左方向(基端方向)に移動すると、把持部材43は楔状の摺動面がガイド溝41cに沿って左方向に移動し、各把持部材43の先端部内周面を結ぶ円が拡径(拡開)する。
【0031】
つまり、回転電機子1の回転軸2の先端部2aが各把持部材43の内側に配設された状態において、作動体28が右方向に移動すると、各把持部材43の先端部は縮径してホルダ41と回転軸2の外周面との間に圧入し、回転軸2の先端部2aは把持部材43を介してホルダ41にて挟持されることになる。この状態で、回転筒26が回転すると、ホルダ41とともに回転電機子1は回転することとなる。
【0032】
反対に、回転軸2の先端部2aが挟持している状態において、作動体28が左方向に移動すると、各把持部材43の先端部は拡開しながらホルダ41と回転軸2の外周面との間に圧入状態から離脱し、やがて回転軸2の外周面から離間する。その結果、回転軸2はホルダ41の挟持から解除され抜き取られ、次の回転電機子1の把持に備える待機状態は、作動体28を最も左側位置に移動させている。つまり、各把持部材43の先端部内周面を最も拡開した状態にさせて、回転軸2の外径が異なる全ての回転電機子1を挟持できるようにしている。
【0033】
前記ホルダ41の外周には筒状のマスキング部材44が配設されている。マスキング部材44は、大径部44a、円錐部44b及び小径部44cから構成されている。大径部44aは、前記ホルダ41に対してビス45にて固着されている。大径部44aの左側は前記本体ボディ21の右側外周部を被覆しその内周面に前後一対のOリング46を配設してマスキング部材44と本体ボディ21との間の気密性を保障している。
【0034】
マスキング部材44の円錐部44bは、大径部44aからホルダ41の3本のガイドアーム41bを覆いながら縮径して小径部44cにつながっている。小径部44cは、ガイドアーム41bの先端より右方に突出形成されている。小径部44cの先端開口部47の内側面には溝47aが形成され、その溝47aには、環状の空気袋体48が配設されている。その空気袋体48の内側面側の壁部は薄い膜49であって、空気袋体48内の空気圧が上昇すると、同膜49は図5に2点鎖線で示すように、前記回転軸2に向かって膨らむようになっている。つまり、前記回転軸2の先端部2aがホルダ41にて挟持されている状態において、空気袋体48の膜49を膨らますと、同膜49が回転軸2の外周面に密着する。そして、膜49が回転軸2の外周面に密着することにより、その密着部分から左側の回転軸2はマスキング部材44にて外部から隔離され、外部から絶縁粉体の侵入が阻止される。
【0035】
マスキング部材44には第1空気通路50が形成され、その先端が前記空気袋体48に連通されている。第1空気通路50の基端は、図4に示すように、前記前後一対のOリング46の間の大径部44aの内周面に環状に凹設した空気導入部51に連通されている。前記本体ボディ21の下面には、空気給排ポート52が形成され、その空気給排ポート52は同本体ボディ21に形成した第2の空気通路53を介して前記マスキング部材44に形成された空気導入部51に連通している。
【0036】
従って、空気給排ポート52から空気を導入すると、同空気が第2の空気通路53、空気導入部51、第1空気通路50を介して空気袋体48に導入され、空気袋体48内の空気圧が上昇し、膜49が膨らむ。反対に、空気給排ポート52から空気を排出すると、空気袋体48が前記経路と逆の経路で抜かれ、膜49は収縮し回転軸2から離間する。
【0037】
次に、上記のように構成された静電粉体塗装装置の作用を説明する。
今、第1ステーションST1に位置する搬送装置15に設けられた把持装置16は、作動体28が作動アーム32にて最も左側位置の待機状態である。従って、各把持部材43の先端部内周面は最も拡開した状態であり、回転軸2の外径が異なる全ての回転電機子1を挟持できる状態にある。そして、第1ステーションST1から回転電機子1の回転軸2の先端部2aをマスキング部材44の先端開口部47から作動体28の収容凹部34まで案内する。
【0038】
続いて、作動アーム32の作用を解除してスプリング31の弾性力にて作動体28を右方に移動させる。作動体28の右方への移動に伴い各把持部材43は右方に移動し、その先端部内周面を縮径させ、各把持部材43の先端部内周面にて回転軸2の先端部2aを挟持する。
【0039】
次に、空気給排ポート52から空気を導入しマスキング部材44の空気袋体48に空気を導入させる。空気袋体48に空気が導入すると、マスキング部材44の膜49が膨らみ、前記回転軸2の外周面に密着する。即ち、回転軸2の先端部2aの非絶縁処理部分NZがマスキング部材44にてマスクされる。
【0040】
膜49の密着が終了すると、支持軸12を回転させて該把持装置16を、第2〜第4ステーションST2〜ST4において回転電機子1に絶縁粉体を静電付着(静電塗装)すべくまず第2ステーションST2に案内する。第2ステーションST2において、まず、第1ステーションST1で把持装置16にて把持されていない方の回転電機子1の回転軸2(基端部2b)を把持する。この把持は、図4に示す把持装置16と同じ構成の把持装置(図示しない)で把持される。従って、回転軸2の基端部2bの非絶縁処理部分NZがマスクされる。
【0041】
回転軸2の両端部2a,2bが把持装置にて把持されると、図4に示すように、第2〜第4ステーションST2〜ST4において回転軸2(回転電機子1)を回転させながら絶縁粉体を静電付着(静電塗装)作業が行われる。尚、回転軸2の基端部2bを把持する把持装置は、静電粉体塗装装置10の把持装置16と同期して回転及び移動し同把持装置16と協働して回転電機子1を第2〜第6ステーションST2〜ST6まで案内するようになっている。
【0042】
第2〜第4ステーションST2〜ST4において、静電付着(静電塗装)作業が終了すると、積層コア3のティース5の外側面5aに静電付着された絶縁粉体を除去すべく第5及び第6ステーションST5,ST6に把持装置16を順次案内する。
【0043】
ティース外側面5aの絶縁粉体の除去が終了すると、第6ステーションST6において、回転軸2の基端部2bを把持した把持装置を離脱させる。つまり、膜49の密着を解除するとともに回転軸2の基端部2bを把持から解除する。つまり、回転軸2の基端部2bを解除した状態から把持装置16を離間させることによって行われる。
【0044】
回転電機子1は、回転軸2の先端部2aが把持装置16にて把持された状態で第6ステーションST6に案内する。そして、第6ステーションST6において、空気給排ポート52から空気を排出し空気袋体48の空気を抜き、膜49を収縮し回転軸2から離間させる。続いて、作動体28をスプリング31の弾性力に抗して左方に移動させると、各把持部材43の先端部は拡開し回転軸2の外周面から離間し、回転軸2をホルダ41の挟持から解除させる。そして、回転電機子1は、第6ステーションST6に設けた抜き取り装置にて抜き取られ、同ステーションST6から次の高周波加熱装置に搬送される。
【0045】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態では、ホルダ41に設けた各把持部材43を拡開(拡径)させて各把持部材43の先端内周面の内側に回転軸2を挿通した後、各把持部材43を収縮(縮径)させて回転軸2を挟持するようにした。従って、回転軸2の外径に左右されることなく、全ての回転電機子について確実に把持し静電塗装工程に案内することができる。
(2)本実施形態では、作動体28に軸収容凹部34を形成し、回転軸2が収容できるようにした。従って、回転軸2の長さに左右されず広い範囲の回転電機子1でも該回転軸2を軸収容凹部34に収容することで確実に非絶縁処理部分NZをマスクすることができる。
(3)本実施形態では、ホルダ41をマスキング部材44で覆い、その先端開口部47に環状の空気袋体48を設け、その空気袋体48の内側の面を薄い膜49にて形成した。そして、その空気袋体48内の空気圧を高くし、薄い膜49を膨らませ同膜49を回転軸2の外周面に密着させるようにした。従って、回転軸2の密着部分から端部までの非絶縁処理部分NZは、マスキング部材44にて外部から隔離され、絶縁粉体が付着しない。
(4)本実施形態では、回転筒26を回転させて、前記チャック部材を構成するホルダ41及び把持部材43とそのチャック部材を覆うマスキング部材44を回転させることにより、回転電機子1を把持するとともにマスクした状態で回転させるようにした。その結果、静電塗装工程において、絶縁粉体を回転電機子1の積層コア3にむらなく静電付着させることができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
○前記実施形態では、回転電機子1を回転筒26で回転させるようにしたが、回転筒26を省略し回転電機子1を回転させない把持装置に応用してもよい。
【0047】
○前記実施形態では、把持装置は絶縁粉体を静電付着(静電塗装)させるための静電粉体塗装装置に装備したが、静電塗装以外の絶縁塗装の装置に応用してもよい。
【0048】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、回転軸の外径に左右されることなく、全ての回転電機子について確実に把持し、かつ、マスクできる。
【0049】
請求項2及び5に記載の発明によれば、空気袋体に空気を導入するだけで回転軸を簡単にマスクすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、回転電機子の積層コアに対してむらなく絶縁処理させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転電機子の斜視図。
【図2】静電粉体塗装装置の正面図。
【図3】前記静電粉体塗装装置の平面図。
【図4】把持装置の要部断面図。
【図5】把持装置の先端部断面図。
【符号の説明】
1・・・回転電機子、2a,2b・・・回転軸、3・・・積層コア、16・・・把持装置、21・・・装置本体ボディとしての本体ボディ、26・・・回転筒、28・・・作動体、41・・・チャック部材を構成するホルダ、43・・・チャック部材を構成する把持部材、44・・・マスキング部材、47・・・先端開口部、48・・・空気袋体、49・・・薄い膜。
Claims (7)
- 積層コアと、前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を有する回転電機子の製造方法において、
前記回転軸の軸線方向に移動して拡開及び収縮することにより外径の異なる種々の回転軸を挟持可能とするチャック部材にて、前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を挟持し、
前記チャック部材を覆うマスキング部材に形成するとともに前記回転軸の径方向に縮径し前記回転軸外周面と密着する密着部を、前記回転軸の所定の位置の外周面に密着させた後、前記積層コア表面に絶縁粉体を静電塗装したことを特徴とする回転電機子の製造方法。 - 請求項1に記載の回転電機子の製造方法において、
前記マスキング部材の密着部は、その先端開口部に環状の空気袋体を設け、その空気袋体の内周側壁部を薄くして形成した膜であって、前記空気室の空気圧を上げて前記膜を前記回転軸に向かって膨らませて回転軸の外周面に密着させるようにしたことを特徴とする回転電機子の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の回転電機子の製造方法において、
前記チャック部材は、内側面にガイド溝が形成されるホルダと、該ガイド溝に沿って前記回転軸の軸線方向に摺動可能に配設されるとともに前記回転軸の軸線方向に摺動して拡開及び収縮する把持部材とを備えたことを特徴とする回転電機子の製造方法。 - 積層コアと、前記積層コアの中心部に挿入された回転軸を有する回転電機子の把持装置において、
前記回転軸の軸線方向に移動して拡開及び収縮することにより外径の異なる種々の回転軸を挿通及び挟持可能とするチャック部材と、
前記チャック部材を覆うとともにそのチャック部材より突出し前記回転軸が貫通する先端開口部に前記回転軸の径方向に縮径し前記回転軸外周面と密着する密着部を形成したマスキング部材と
を設けたことを特徴とする回転電機子の把持装置。 - 請求項4に記載の回転電機子の把持装置において、
前記マスキング部材の密着部は、前記先端開口部に環状の空気袋体を設け、その空気袋体の内周側壁部を薄くして形成した膜であって、前記空気袋体の空気圧を上げて前記膜を回転軸に向かって膨らませて回転軸の外周面に密着させるようにしたことを特徴とする回転電機子の把持装置。 - 請求項4又は5に記載の回転電機子の把持装置において、
装置本体ボディに対して回転可能に支持され、その先端部に前記チャック部材を一体回転可能に固着した回転筒と、
前記回転筒内において、回転不能にかつ軸線方向に移動可能に支持され、前記チャック部材を軸線方向に移動させる作動体と
を設けたことを特徴とする回転電機子の把持装置。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載の回転電機子の把持装置において、
前記チャック部材は、内側面にガイド溝が形成されるホルダと、該ガイド溝に沿って前記回転軸の軸線方向に摺動可能に配設されるとともに前記回転軸の軸線方向に摺動して拡開及び収縮する把持部材とを備えたことを特徴とする回転電機子の把持装置。
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