JP3768783B2 - 拭き取りシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清掃用または病人等の体を拭くための清拭用として使用する拭き取りシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−322970号公報は、互いに対向するセルロース系不織布各々の間に熱融着性繊維ウェブが介在し、不織布各々と繊維ウェブとを互いに熱圧着させた拭き取りシートを開示している。シートは、不織布各々の間に繊維ウェブを介在させることでシートのボリューム感を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のシートでは、繊維ウェブを形成する繊維各々が互いに交絡していたとしても、個々の上記繊維によってシートの嵩高性が保持されているにすぎず、特にシートの厚み方向へ加えられた圧力に対する反発力に乏しい。また、シートでは、それが水分を吸収すると、上記繊維ウェブがへたり、シートの嵩高性が著しく低下してしまう。
【0004】
本発明の課題は、圧力に対する反発力に優れ、水分を吸収したとしても所与の嵩高性を保持することができる拭き取りシートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための本発明は、所与面積を有して互いに対向する第1および第2繊維不織布と、それら繊維不織布の間に介在する柔軟性芯材とから構成された拭き取りシートを改良することである。
【0006】
改良に係る本発明の特徴は、前記芯材が、繊維不織布からなる多数の切片の集合物から形成され、前記切片は、繊維どうしが部分的に融着した不織布から形成され、前記第1および第2繊維不織布と前記芯材とのうちの少なくとも該第1および第2繊維不織布が、多数の接合部によって間欠的に固着されていることにある。
また、改良に係る本発明の特徴は、前記芯材が、繊維不織布からなる多数の切片の集合物から形成され、前記切片は、繊維各々が機械的に交絡した不織布から形成され、前記第1および第2繊維不織布と前記芯材とのうちの少なくとも該第1および第2繊維不織布が、多数の接合部によって間欠的に固着されていることにある。
【0007】
本発明の実施の態様の一例として、前記シートのJIS:L1096に基づく吸水率が、250〜900%であり、前記接合部を除いた前記シートのJIS:L1096に基づく圧縮弾性回復率が、該シートの乾燥時で30〜65%、前記吸水率の範囲内における該シートの吸水時で20〜55%である。
【0008】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記第1および第2繊維不織布各々の坪量が、15〜100g/mの範囲、前記芯材の坪量が、50〜250g/mの範囲にある。
【0009】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記切片は、その面積が1〜2500mmの範囲にある。
【0010】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記シートの周縁部では、前記芯材の非介在下に前記第1および第2繊維不織布がそれら不織布の縁を残して互いに固着されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係る拭き取りシートの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0012】
図1,2は、一部を破断して示す拭き取りシート1の斜視図と、図1のA−A線切断面図とであり、図3は芯材3の斜視図である。シート1は、互いに対向する所与面積の第1および第2繊維不織布2A,2Bと、それら不織布2A,2Bの間に介在する柔軟性芯材3とから構成されている。
【0013】
第1不織布2Aと第2不織布2Bとは、矩形を呈する同形同大のもので、互いに並行して縦方向へ延びる両側縁部2A1,2B1と、互いに並行して横方向へ延びる両端縁部2A2,2B2とを有する。第1不織布2Aと第2不織布2Bとの面積や形状について、特に限定はなく、シート1の用途により面積や形状を適宜決定することができる。
【0014】
芯材3は、図3に示すように、繊維不織布からなる多数の切片3Aの集合物から形成されている。シート1では、芯材3が第1不織布2Aと第2不織布2Bとの間において略一様に分布しているが、芯材3が第1不織布2Aと第2不織布2Bとの間において不均一に分布していてもよい。
【0015】
このシート1に使用している切片3Aは、その形状が不定形かつその大きさが不揃いのものであるが、形状が一定かつ大きさが不揃いのものや形状が一定かつ大きさが一律のものを使用することもできる。切片3Aは、粉砕機や裁断機を使用して作ることができる。
【0016】
第1および第2不織布2A,2Bの両側縁部2A1,2B1と両端縁部2A2,2B2とには、芯材3が介在せず、互いに重なり合う不織布2A,2Bの両側縁部2A1,2B1と両端縁部2A2,2B2とが、それら不織布2A,2Bの縁をわずかに残した状態で連続するドット状の接合部4によって固着されている。
【0017】
第1および第2不織布2A,2Bの両側縁部2A1,2B1と両端縁部2A2,2B2とを除いた残余の部位S1では、それら不織布2A,2Bと芯材3とが多数の接合部5によって間欠的に固着されている。
【0018】
第1および第2不織布2A,2Bと切片3Aとしては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー等により製造されたものを使用することができる。
【0019】
第1および第2不織布2A,2Bは、レーヨン、パルプ、キュプラ等のセルロース系繊維と、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性合成樹脂繊維との混合繊維により形成されていることが好ましい。合成樹脂繊維には、ポリエチレン/ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維や偏心芯鞘型複合繊維、分割型複合繊維等を使用することができる。
【0020】
不織布2A,2Bどうしや不織布2A,2Bと芯材3とは、ヒートシールやソニックシール等の熱融着の手段を利用して固着されている。熱融着の一例としては、不織布2A,2B各々の間に芯材3を介在させた非固着状態にあるシート1を、互いに対向して回動する熱エンボスロールの間に供給し、熱エンボスロールによってシート1をその厚み方向へ加熱下に固着する。
【0021】
不織布2A,2Bどうしの固着や不織布2A,2Bと芯材3との固着には、熱融着の他に、ホットメルト接着剤等の接着剤を使用することもできる。
【0022】
第1および第2不織布2A,2Bは、その坪量が15〜100g/mの範囲、好ましくは、20〜60g/mの範囲、より好ましくは、30〜50g/mの範囲にある。坪量が15g/m未満の場合では、不織布2A,2Bの強度が低下し、接合部4,5近傍においてそれら不織布2A,2Bにピンホールが生じたり、シート1の使用時にそれら不織布2A,2Bが破損してしまうことがある。坪量が100g/mを超過する場合では、不織布2A,2Bの剛性が増し、シート1の柔軟性が低下してしまう。
【0023】
芯材3は、その坪量が50〜250g/mの範囲、好ましくは、100〜200g/mの範囲にある。坪量が50g/m未満の場合では、シート1の吸水性が低下してしまう。坪量が250g/mを超過する場合では、シート1の嵩が増し、使い勝手の悪いものになってしまう。
【0024】
切片3の大多数は、その面積が1〜2500mmの範囲、好ましくは、225〜900mmの範囲にある。面積が1mm未満の場合では、芯材3の圧力に対する抵抗力が弱く、シート1の反発力が低下してしまう。面積が2500mmを超過する場合では、シート1の嵩が必要以上に高くなったり、切片3A各々の剛性が増し、シート1の柔軟性が低下してしまう。
【0025】
切片3Aは、繊維各々が機械的に交絡、または、繊維どうしが部分的に融着した不織布から形成されているので、従来技術の繊維ウェブと比較して形態保持性に優れている。ゆえに、シート1は、その厚み方向へ圧力が加えられたとしても、切片3A各々によってシート1の嵩高性が維持され、圧力に対して高い反発力を具備する。
【0026】
シート1のJIS:L1096に基づく吸水率は、250〜900%の範囲にある。シート1は、吸水前の質量に対して2.5〜9.0倍の量の水を吸水することができる。吸水率は、以下の式により算出した。
吸水率(%)=(W−W/W)×100
:吸水前の質量(g)
W :吸水後の質量(g)
【0027】
接合部4,5各々を除いたシート1のJIS:L1096に基づく圧縮弾性回復率は、シート1の乾燥時で30〜65%の範囲、上記吸水率の範囲内におけるシート1の吸水時で20〜55%の範囲にある。シート1は、吸水時においても乾燥時とほとんど変わらない圧縮弾性回復率を有する。圧縮弾性回復率は、以下の式により算出した。
圧縮弾性回復率(%)=(T'−T/T−T)×100
:初荷重を加えたときの厚さ(mm)
:最終荷重を加えたときの厚さ(mm)
':初荷重に戻したときの厚さ(mm)
【0028】
このシート1は、清掃用や清拭用として使用することができる。シート1を清掃用として使用する場合には、使い易くするために、シート1をミトン型の雑巾に成形したり、複数枚のシート1を重ね合わせた状態で、それらシート1の側縁部を固着した雑巾にすることもできる。
【0029】
(実施例)
第1〜第3のシートを作成し、最大厚み、平均密度、吸水率、圧縮弾性回復率を測定した。その結果を以下の表1に示す。なお、圧縮弾性回復率は、乾燥時と300%吸水時とにおける値である。
【0030】
第1シートは、シートの面積1mに対し、第1および第2不織布いずれか一枚分の坪量が40g、芯材の坪量が224g、シートの合計坪量が304gのものである。第2シートは、シートの面積1mに対し、第1および第2不織布いずれか一枚分の坪量が42g、芯材の坪量が176g、シートの合計坪量が260gのものである。第3シートは、シートの面積1mに対し、第1および第2不織布いずれか一枚分の坪量が42g、芯材の坪量が90g、シートの合計坪量が174gのものである。
【0031】
第1〜第3シートの第1および第2不織布には、スパンレースにより製造したものを使用し、不織布の構成繊維として、レーヨン繊維とポリプロピレンおよびポリエチレンからなる熱可塑性合成樹脂繊維とを使用した。それら構成繊維の割合は、レーヨン繊維が60重量%、ポリプロピレンからなる合成樹脂繊維が30重量%、ポリエチレンからなる合成樹脂繊維が10重量%である。
【0032】
第1〜第3シートの芯材には、エアースルーにより製造したものを使用し、芯材を形成する切片の構成繊維として、ポリエチレン/ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維を使用した。
【0033】
【表1】
Figure 0003768783
【0034】
上記のとおり、第1〜第3のいずれのシートも高い吸水率と良好な圧縮弾性回復率とを示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る拭き取りシートは、第1および第2繊維不織布の間に介在する柔軟性芯材が、繊維不織布からなる多数の切片の集合物から形成されている。切片は、繊維各々が機械的に交絡、または、繊維どうしが部分的に融着した不織布から形成されているので、高い形態保持性を有する。ゆえに、シートは、その厚み方向へ圧力が加えられたとしても、切片各々によってシートの嵩高性が維持され、圧力に対して高い反発力を具備する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一部を破断して示す拭き取りシートの斜視図。
【図2】 図1のA−A線断面図。
【図3】 芯材の斜視図。
【符号の説明】
1 拭き取りシート
2A,2B 繊維不織布
2A1,2B1 両側縁部
2A2,2B2 両端縁部
3 柔軟性芯材
3A 切片
4 接合部
5 接合部
S1 部位

Claims (6)

  1. 所与面積を有して互いに対向する第1および第2繊維不織布と、それら繊維不織布の間に介在する柔軟性芯材とから構成された拭き取りシートにおいて、
    前記芯材が、繊維不織布からなる多数の切片の集合物から形成され、前記切片は、繊維どうしが部分的に融着した不織布から形成され、
    前記第1および第2繊維不織布と前記芯材とのうちの少なくとも該第1および第2繊維不織布が、多数の接合部によって間欠的に固着されていることを特徴とする前記シート。
  2. 所与面積を有して互いに対向する第1および第2繊維不織布と、それら繊維不織布の間に介在する柔軟性芯材とから構成された拭き取りシートにおいて、
    前記芯材が、繊維不織布からなる多数の切片の集合物から形成され、前記切片は、繊維各々が機械的に交絡した不織布から形成され、
    前記第1および第2繊維不織布と前記芯材とのうちの少なくとも該第1および第2繊維不織布が、多数の接合部によって間欠的に固着されていることを特徴とする前記シート。
  3. 前記シートのJIS:L1096に基づく吸水率が、250〜900%であり、前記接合部を除いた前記シートのJIS:L1096に基づく圧縮弾性回復率が、該シートの乾燥時で30〜65%、前記吸水率の範囲内における該シートの吸水時で20〜55%である請求項1,記載の拭き取りシート。
  4. 前記第1および第2繊維不織布各々の坪量が、15〜100g/mの範囲、前記芯材の坪量が、50〜250g/mの範囲にある請求項1,または請求項に記載の拭き取りシート。
  5. 前記切片は、その面積が1〜2500mmの範囲にある請求項1,2ないし請求項4いずれかに記載の拭き取りシート。
  6. 前記シートの周縁部では、前記芯材の非介在下に前記第1および第2繊維不織布がそれら不織布の縁を残して互いに固着されている請求項1,ないし請求項いずれかに記載の拭き取りシート。
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