JP3767409B2 - 建材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる材質の部材同士を接着剤の層を介して接着して構成した建材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から異なる材質の部材同士を接着剤の層を介して接着した建材が知られている。すなわち、鋼板の外面に化粧シートを接着した化粧鋼板、あるいは、金属製の枠材の表面に化粧石綿セメント板、化粧珪酸カルシウム板、化粧フレキシブルボード、化粧合板等の化粧用の面板や珪酸カルシウム、フレキシブルボード、セメント板等の下地用面板を接着したパネル、あるいは、金属製の枠材の表面に上記下地用面板を接着すると共に下地用面板の表面にタイル、天然石、人造石等の表面材を接着したパネル、あるいはFRP、人造大理石、アクリル真空成形品、ステンレス、ホーロー等よりなる浴槽本体の裏面に合成木よりなる脚材を接着した浴槽等の建材が知られている。
【0003】
上記従来例のうち、例えば化粧鋼板は、塩化ビニルシート、PET等のポリエステル系シート、オレフィン系シート又はこれらの複合シートを亜鉛メッキ処理鋼板のような鋼板の表面にポリエステル系、アクリル系、ウレタン系の溶剤タイプの接着剤を用いて接着して化粧鋼板を構成しており、このような構成の化粧鋼板は様々な用途に用いられている。
【0004】
また、従来から上記のような化粧鋼板の裏面に補強材を酢酸ビニル系、合成ゴムラテックス系、ウレタン系との水性エマルジョン接着剤により接着したパネルが提供されており、このようなパネルは例えば浴室ユニットの壁や天井等に用いられている。
【0005】
また、金属製の枠材の表面に化粧石綿セメント板、化粧珪酸カルシウム板、化粧フレキシブルボード、化粧合板等の化粧用の面板や珪酸カルシウム、フレキシブルボード、セメント板等の下地用面板を接着したパネル、あるいは、金属製の枠材の表面に上記下地用面板を接着すると共に下地用面板の表面にタイル、天然石、人造石等の表面材を接着したパネルは例えば浴室ユニットの壁や天井等に用いられている。
【0006】
ところで、近年環境問題の高まりや省資源化への要請等から、工業製品のリサイクルによる資源の有効利用が求められている。上記のように鋼板の表面に化粧シートを接着した化粧鋼板や、この化粧鋼板の裏面に補強材を接着したパネルや、金属製の枠材の表面に化粧石綿セメント板、化粧珪酸カルシウム板、化粧フレキシブルボード、化粧合板等の化粧用の面板や珪酸カルシウム、フレキシブルボード、セメント板等の下地用面板を接着したパネル、あるいは、金属製の枠材の表面に上記下地用面板を接着すると共に下地用面板の表面にタイル、天然石、人造石等の表面材を接着したパネル、あるいは浴槽本体の裏面に脚材を接着した浴槽を回収してこれらの建材を構成する材料をリサイクルすることが求められている。
【0007】
ところが、従来にあっては、接着剤で接着された異なる材料を分離することは困難であった。このため、現状では接着剤で接着された異なる材料のリサイクルが進んでいない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、化粧鋼板を構成する材料である鋼板と化粧シートとを簡単に分離でき、また、鋼板と鋼板の背面に接着した異なる種類の補強材とを簡単に分離できて、資源の再利用化を容易に行うことができる建材を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る建材は、鋼板1の外面に化粧シート2を接着剤3の層を介して接着して構成した化粧鋼板4の裏面の一部を除くほぼ全域に第1の補強材5を接着剤3の層を介して接着すると共に化粧鋼板4の裏面の第1の補強材5の無い部位に第1の補強材5より強度の強い第2の補強材6を接着剤3の層を介して接着し、上記いずれの接着剤3の層も、加熱により発泡する発泡剤を混入した接着剤を発泡剤が発泡する温度未満において接着して形成してあることを特徴とするものである。このような構成とすることで、リサイクルに当たって、建材Aに加熱処理を施して鋼板1と化粧シート2とを接着する接着剤3、鋼板1と第1の補強材5を接着する接着剤3、鋼板1と第2の補強材6を接着する接着剤3をそれぞれ発泡させることにより、鋼板1から化粧シート2、第1の補強材5、第2の補強材6を容易に剥離することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
化粧鋼板4は図1に示すように鋼板1の外面に化粧シート2を接着剤3の層を介して接着して構成された複合材であり、鋼板1としては亜鉛等のメッキ処理鋼板が使用され、厚みは例えば0.4〜1.0mm程度のものが使用される。
【0012】
また、表面の化粧シート2としては、塩化ビニルシート、PET等のポリエステル系シート、オレフィン系シート又はそれらの複合シートが使用され、厚さは0.05〜0.25程度のものが使用される。
【0013】
また、接着剤3としては、接着剤4の層を形成して鋼板1と化粧シート2とを接着することができ、且つこの接着剤3の層が加熱された際に発泡するものが用いられる。この接着剤3としては溶剤タイプのものを用いて接着することが好ましく、このとき接着剤3が発泡する温度未満において接着剤3の層を形成するものである。
【0014】
このような接着剤3としては、特に限定されるものではないが、建材の分野で一般的に用いられているポリエステル系、ウレタン系の溶剤タイプの接着剤が使用され、塗布量としては5〜20g/m2程度である。ここで、接着剤3には発泡剤が混入されるが、この接着剤3に混入される発泡剤としては有機系、無機系のいずれをも用いることができる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジト類などの分離型の無機系発泡剤を挙げることができる。また、有機系発泡剤としてはトリクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン系化合物、ρ−トルイレンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド系化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物、N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のN−ニトロソ化合物、その他の低沸点溶媒等が挙げられる。
【0015】
図2には上記のような構成の化粧鋼板4の裏面に補強材を接着剤3の層により接着したパネル7で建材Aが構成してある例を示している。化粧鋼板4は前述のように、鋼板1の外面に化粧シート2を接着剤3の層を介して接着して構成された化粧鋼板4において、接着剤3の層が加熱により発泡するもので形成してある。この化粧鋼板4の裏面の一部を除くほぼ全域には第1の補強材5を接着剤3の層を介して接着してある。ここで、化粧鋼板4の裏面の一部を除くほぼ全域には第1の補強材5を接着することで化粧鋼板4の裏面側をほぼ全域にわたって第1の補強材5によりパネル7全体の補強をするためであり、この場合の補強としては例えば剛性やコストの面で石膏ボードが用いられる。
【0016】
該石膏ボードよりなる第1の補強材5の一部には切り欠き部8が設けてあり、この切り欠き部8に第2の補強材6が接着剤3の層を介して接着してある。この第2の補強材5は上記した化粧鋼板4の裏面の全域に接着してパネル7全体の補強をするための石膏ボードよりなる第1の補強材5よりも更に強度の強い合板や鉄板等が使用される。これは、パネル7を浴室用の壁材や天井材等として使用する場合のように、パネル7の一部に器具等を取付けることがあるが、このパネルの器具の取付け箇所は他の部分よりも更に強度が要求されるため、特に、この器具取付け箇所のみ特別に強度の強い第2の補強材6を接着して設けるのである。
【0017】
上記化粧鋼板4の裏面と第1の補強材5とを接着する接着剤3の層、化粧鋼板4の裏面と第2の補強材6とを接着する接着剤3の層はいずれも加熱により発泡するもので形成してある。
【0018】
例えば、ここで使用する接着剤としては、酢酸ビニル系、合成ゴムラテックス系、ウレタン系等の水溶性エマルジョン接着剤が挙げられ、この接着剤に前述と同様に発泡剤を混入して使用するものである。上記の発泡剤入りの接着剤3により化粧鋼板4の裏面と第1の補強材5と第2の補強材6とを接着するのであるが、このとき接着剤3が発泡する温度未満において接着剤3の層を形成するものである。
【0019】
このような構成のパネル7よりなる建材Aは浴室の壁材や天井材等の種々の用途に利用できるが、このパネル7よりなる建材Aのリサイクルに当たっては、加熱することで、接着剤3を発泡させるものである。加熱に当たっては、例えば遠赤外線ヒータ付き加熱装置のような加熱装置を用いて化粧シート2の炭化温度以下において加熱する。一例として化粧シート2として塩化ビニルシートを使用し、接着剤3としてポリエステル系接着剤に発泡剤を添加したものを使用した場合を例に取ると、170℃〜180℃の温度で2〜3分加熱することで化粧シート2を炭化させることなく接着剤3の層を発泡させて接着剤3の層を多孔質状にすることができる。上記加熱温度は使用される環境条件や、材料に応じて発泡剤の選定をすることで適切な加熱温度に設定することができる。
【0020】
このように加熱処理により接着剤3の層が発泡して多孔質状となり、多孔質状となった接着剤3の層は化粧シート2と鋼板1との接合面における接触面積が小さくなり、通常の面接着状態から、点接着状態となるものである。つまり、接着面積が小さくなると共に接着剤3の層自体の強度が低下するので鋼板1と化粧シート2とが剥離しやすくなる。
【0021】
したがって、この加熱処理後に鋼板1から化粧シート2を引き剥がすことにより鋼板1から化粧シート2を容易に分離することできるものである。また、化粧鋼板4に対して送風を行うことにより風圧にて鋼板1から化粧シート2を吹き飛ばすことにより分離することも可能となるものである。
【0022】
また、上記のように加熱することで、鋼板1と第1の補強材5を接着する接着剤3、鋼板1と第2の補強材6を接着する接着剤3をそれぞれ発泡させるものであり、このように 鋼板1と第1の補強材5を接着する接着剤3、鋼板1と第2の補強材6を接着する接着剤3を発泡させることで前述と同様にして鋼板1と化粧シート2とを分離できるだけでなく、鋼板1と第1の補強材5を分離し、また、鋼板1から第2の補強材6を容易に分離することができて、化粧シート2、鋼板1、第1の補強材5、第2の補強材6をそれぞれ分離して容易にリサイクルが可能となるものである。
【0023】
【発明の効果】
上記のように本発明にあっては、鋼板の外面に化粧シートを接着剤の層を介して接着して構成した化粧鋼板の裏面の一部を除くほぼ全域に第1の補強材を接着剤の層を介して接着すると共に化粧鋼板の裏面の第1の補強材の無い部位に第1の補強材より強度の強い第2の補強材を接着剤の層を介して接着し、上記いずれの接着剤の層も、加熱により発泡する発泡剤を混入した接着剤を発泡剤が発泡する温度未満において接着して形成してあるので、第1の補強材によりパネル全体の補強を行うだけでなく、パネルを浴室用の壁材や天井材等として使用する場合のように、他の部分よりも更に強度が要求される器具の取付け箇所の補強を第2の補強材で補強することができ、しかも、リサイクルに当たっては、建材に加熱処理を施して鋼板と化粧シートとを接着する接着剤、鋼板と第1の補強材を接着する接着剤、鋼板と第2の補強材を接着する接着剤をそれぞれ発泡させることにより、鋼板から化粧シート、第1の補強材、第2の補強材を容易に剥離することができて、鋼板と化粧シートとの分離、鋼板と第1の補強材との分離、鋼板と第2の補強材との分離が簡単にでき、簡単な構成でリサイクルが可能な省資源化に寄与できる建材を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる化粧鋼板の一実施形態の断面図である。
【図2】 本発明の建材の他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 化粧シート
3 接着剤
4 化粧鋼板
5 第1の補強材
6 第2の補強材
Claims (1)
- 鋼板の外面に化粧シートを接着剤の層を介して接着して構成した化粧鋼板の裏面の一部を除くほぼ全域に第1の補強材を接着剤の層を介して接着すると共に化粧鋼板の裏面の第1の補強材の無い部位に第1の補強材より強度の強い第2の補強材を接着剤の層を介して接着し、上記いずれの接着剤の層も、加熱により発泡する発泡剤を混入した接着剤を発泡剤が発泡する温度未満において接着して形成して成ることを特徴とする建材。
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