JP3767064B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の放電灯を高周波電力により点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱陰極を有する放電灯では寿命末期時にフィラメントの電子放出物質の消耗によって半波放電状態(一方のフィラメントから電子が放出され、他方のフィラメントは電子を放出しなくなる状態)、いわゆるエミレス状態になる(以下において寿命末期はエミレス状態を意味する)。高周波電力により放電灯を点灯させる放電灯点灯装置は、高周波電力を出力するためにスイッチング素子を用いているが、上述のような半波点灯状態になるとスイッチング素子に直流的に電流が流れ、スイッチング素子に大きな電流ストレスがかかることになる。その結果、放電灯点灯装置の出力を放電灯の寿命末期時にも定常点灯時と同様にしていると、スイッチング素子の異常発熱などにより放電灯点灯装置が破損することがある。このような事故を回避するために、従来より、放電灯の寿命末期を検出し、放電灯点灯装置の出力を低減したり出力を停止させたりする技術が提案されている(特開平6−111977号公報、特開平4−296495号公報等参照)。
【0003】
しかしながら、並列的に接続した複数本の放電灯を1つの点灯装置で点灯させている場合に、1本の放電灯の寿命末期が検出されてすべての放電灯を消灯したとすると、すべての放電灯が突然消灯することになって照明としては不都合である。また、1本の放電灯の寿命末期が検出されたときに、全体の光出力を抑制することにより寿命末期の放電灯を消灯させることが考えられているが、正常な放電灯も消灯してしまうことがある。
【0004】
これらの問題を解決するために、特願平1−6935号では、寿命末期と判断された後に放電灯点灯装置の出力を一旦低減し、一定時間が経過した後に出力を所定値に復帰させることによって、寿命末期か正常かを正確に判定することが提案されている。すなわち、特願平1−6935号には、図17に示すように、商用電源のような交流電源ACから高周波電力を得る点灯装置1に、放電灯21 ,22 の寿命末期を検出するためのランプ寿命検出部3と、ランプ寿命検出部3の検出結果に応じて点灯装置主回路1の出力を調節する出力調整部7とを設けた構成が記載されている。また、放電灯2は2本設けられ、各放電灯2には共振用(予熱用)のコンデンサCrが並列接続されている。
【0005】
図17に示す点灯装置1は、実際には図18に示すようにインバータ11を備え、直流カット(カプリング)用のコンデンサC0 と共振用のインダクタLrとの直列回路を介してインバータ11の出力を放電灯2(21 ,22 ))の両フィラメントの一端間に与え、両フィラメントの他端間にコンデンサCrを接続してある。コンデンサC0 はコンデンサCrよりも十分に大きく設定されている。
【0006】
ここで、出力調整部7によってインバータ11の出力周波数を制御するものとする。いま、周波数f0 をインダクタLrとコンデンサCrとからなる直列共振回路の共振周波数とすると、インバータ11の出力周波数を変化させることにより、放電灯2への印加電圧を図19のように変化させることができる。図19においてf1 は正常な放電灯2を定格点灯させる周波数であり、f2 は寿命末期の放電灯2が立ち消えする周波数である。また、f3 ′は寿命末期の放電灯2が再点灯する周波数、f3 は放電灯2をちらつきなく点灯維持させることができる周波数、f4 は制御範囲の上限周波数、f5 は正常な放電灯2を始動させるのに要する周波数である。なお、図19において定格点灯時の周波数f1 が始動時の周波数f5 よりも低く、一見すると定格点灯時のほうが放電灯2に印加される電圧が高いように見えるが、放電灯2の点灯時には放電灯2を通る電流経路が形成されるから、共振回路の共振周波数が変化し、実際には放電灯2への印加電圧は始動時よりも低くなる。
【0007】
この回路構成においては、ランプ寿命検出部3が寿命末期を検出すると、出力調整部7によりインバータ11の出力周波数fが、f2 <f<f4 となるように設定して放電灯2を消灯させ、次に、一定時間が経過した後に、寿命末期の放電灯2が再点灯はしないが点灯していればその維持が可能な周波数f、すなわちf3 ′<f<f3 に設定する。この周波数fは正常な放電灯2の始動に必要な周波数f5 よりも低く、放電灯2には始動電圧よりも高い電圧を印加することができるから、正常な放電灯2であれば再点灯することになる。このように、正常な放電灯2の光出力の低下やちらつきを生じさせることなく、点灯維持することができる。
【0008】
上述の放電灯点灯装置を、さらに具体的に示すと、図20のようになる。インバータ11は交流電源ACをダイオードブリッジDBにより全波整流し平滑コンデンサCHにより平滑して得た直流を交流波電力に変換する。すなわち、点灯装置1は、ダイオードブリッジDBおよび平滑コンデンサCHよりなる直流電源部1aとインバータ11よりなる高周波電源部1bとを備える。図示するインバータ11はトランジスタよりなる一対のスイッチング素子S1 ,S2 のコレクタ−エミッタを直列接続し、かつ各スイッチング素子S1 ,S2 のコレクタ−エミッタ間に逆並列になるようにダイオードD1 ,D2 を接続し、両スイッチング素子S1 ,S2 を高周波で交互にオンオフさせるように構成されている。両スイッチング素子S1 ,S2 は出力調整部7により制御される。
【0009】
放電灯2i (i=1,2,……)は複数本設けられ、各放電灯2i ごとにインダクタLri およびコンデンサCri が設けられ、インバータ11およびコンデンサC0 は複数本の放電灯2i で共用されている。ランプ寿命検出部3i は各放電灯2i の両端電圧の平均値に略比例した電圧を出力し、カソードを共通に接続したダイオードD3iを通してコンパレータCPに入力される。したがって、ランプ寿命検出部3i の出力電圧のうちもっとも高い電圧が、コンパレータCPによって基準電圧と比較されることになる。つまり、いずれかの放電灯2i が寿命末期になるとランプ電圧が上昇するから、コンパレータCPへの入力電圧が基準電圧を超えることによってコンパレータCPの出力がHレベルになる。
【0010】
出力調整部7は、タイマ用集積回路(555として市販されているものなど)を用いて構成されたタイマ回路12およびワンショットマルチバイブレータ13と、PWM制御用集積回路(NEC社製μPC494等)を用いたPWM制御回路14とを備え、さらに、アンドゲートA1 〜A3 、ノット回路I1 ,I2 、ノア回路N1 、トランジスタQ1 〜Q4 などを備える。タイマ回路12は、電源が投入されると外付されたコンデンサCaと抵抗Raとにより決まる一定時間Taだけ図21(a)のように出力をHレベルにする。また、ワンショットマルチバイブレータ13は、図21(c)に示すコンパレータCPの出力の立ち上がりによってトリガされ、図21(b)のようにコンデンサCbと抵抗Rbとにより幅Tbの決まるパルスを出力する。ここに、Tb>Taに設定されている。
【0011】
コンパレータCPとタイマ回路12とワンショットマルチバイブレータ13との出力は、アンド回路A1 〜A3 とノット回路I1 ,I2 とノア回路N1 とからなる論理回路によって組み合わされ、図21(d)〜(f)のような信号が生成される。
タイマ回路12の出力はノット回路I2 により反転され、コンパレータCPの出力をノット回路I1 により反転した信号とともにアンド回路A2 に入力される。したがって、電源投入からタイマ回路12により時限された一定時間Taが経過した後に、コンパレータCPの出力が立ち上がるまではアンド回路A2 の出力が図21(d)のようにHレベルになる。
【0012】
また、ワンショットマルチバイブレータ13の出力は、タイマ回路12の出力を反転したノット回路I2 の出力とともにアンド回路A1 に入力される。したがって、電源投入から一定時間Taが経過した後に、コンパレータCPの出力がHレベルになると、その時点からワンショットマルチバイブレータ13に設定された一定時間Tbは図21(e)のようにアンド回路A1 の出力がHレベルになる。
【0013】
両アンド回路A1 ,A2 の出力はノア回路N1 を介してアンド回路A3 の一方の入力端に与えられる。アンド回路A3 の他方の入力端には、タイマ回路12の出力を反転させるノット回路I2 の出力が与えられる。したがって、電源投入から一定時間Taの経過後であって、コンパレータCPの出力がHレベルになり、さらにワンショットマルチバイブレータ13により設定される一定時間Tbが経過した後に図21(f)のようにアンド回路A3 の出力がHレベルになる。図21におけるA〜Fは、図20のA〜Fで示す部位に対応する信号である。
【0014】
各トランジスタQ1 〜Q4 は、タイマ回路12の出力がHレベルの期間、アンド回路A2 の出力がHレベルの期間、アンド回路A1 の出力がHレベルの期間、アンド回路A3 の出力がHレベルの期間にそれぞれオンになる。トランジスタQ1 〜Q4 のコレクタ−エミッタにはそれぞれ抵抗R1 〜R4 が直列接続され、これらの直列回路はコンデンサCtに並列接続されている。また、コンデンサCtには抵抗Rtが直列接続されている。したがって、どのトランジスタQ1 〜Q4 がオンになるかに応じて抵抗Rtに対して抵抗R1 〜R4 が選択的に直列接続されることになる。抵抗Rtおよび抵抗R1 〜R4 はPWM制御回路14の出力周波数を決定するものであって、抵抗R1 は予熱用、抵抗R2 は定格点灯用、抵抗R3 は寿命末期の放電灯2i が立ち消えする周波数f(f2 <f<f4 )の設定用、抵抗R4 は立ち消えした放電灯2i は再点灯せず正常な放電灯2i は点灯維持できる周波数f3 の設定用である。
【0015】
上述のように構成されているから、電源投入からタイマ回路12で設定されている一定時間TaはトランジスタQ1 がオンになり放電灯2i が予熱される。その後、トランジスタQ2 がオンになって定格点灯状態になる。ところで、上述のように放電灯2i は複数本設けられており、いずれかの放電灯2i が寿命末期になると、その放電灯2i の両端電圧が上昇することによってコンパレータCPの出力がHレベルになる。したがって、トランジスタQ3 が一定時間Tbだけオンになり、放電灯2i の両端電圧が低下して放電灯2i は立ち消えすることになる。その後、トランジスタQ4 がオンになると、両端電圧が上昇し正常な放電灯2i が始動する周波数f5 より低く、かつ寿命末期の放電灯2i が再始動する周波数f3 ′よりも高い周波数f3 になる。つまり、寿命末期の放電灯2i を点灯させることなく正常な放電灯2i のみを点灯させることになる。しかも、この周波数f3 では放電灯2i をちらつきなく点灯維持させることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図18に示した回路をフィラメントの抵抗成分Rf1 ,Rf2 および放電灯2の抵抗成分Rdを含む等価回路で示すと図22のようになる。図22(a)は放電灯2の点灯時の等価回路であるが、放電灯2が点灯していなければ図22(b)のように抵抗成分Rdを含まない等価回路になる。図23はインバータ11の出力周波数と放電灯2の両端電圧との関係を示しており、図23の▲1▼は放電灯2の非点灯時、▲2▼は放電灯2の点灯時を示している。周波数f0 はインダクタLrとコンデンサCrとによる直列共振回路の共振周波数である。
【0017】
インバータ11の出力周波数は周波数f0 よりも高い領域に設定されており、放電灯2が点灯していないときには同周波数でも点灯時よりランプ電圧(つまり、抵抗Rf1 ,Rf2 とコンデンサCrとの直列回路に印加される電圧)が高くなる。また、図22(a)(b)を比較すればわかるように放電灯2が点灯していなければ点灯時よりもフィラメントに流れる電流が大きくなる。その結果、放電灯2が寿命末期になり点灯しない状態で電力を供給し続けると、フィラメントに流れる電流が定常点灯時よりも大幅に増加してフィラメントによる電力損失が増加するという問題が生じる。また、フィラメントの近傍で放電灯2の管壁温度が異常上昇するから、部品の耐熱温度を高くするなどの配慮が必要になり、コスト増につながるという問題が生じる。
【0018】
要するに、複数本の放電灯2i を1台のインバータ11で点灯させている場合に、いずれかの放電灯2i の寿命末期を検出して消灯させ、残りの正常な放電灯2i を点灯させ続けると、寿命末期になって消灯した放電灯2i のフィラメントによる無駄な電力消費が生じるとともに、フィラメント付近が非常に高温になるという問題が生じるのである。
【0019】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、並列的に接続した複数の放電灯を1台のインバータで点灯させる場合において、いずれかの放電灯が寿命末期になったときのフィラメントでの電力損失の増加を抑制し、かつ放電灯の管壁温度の上昇を抑制した放電灯点灯装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、並列的に接続された複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、各放電灯の両端電圧のうちもっとも高い電圧の平均電圧を出力するランプ寿命検出手段と、ランプ寿命検出手段の出力電圧が基準電圧を超えるといずれかの放電灯がエミレス状態であることを検出し放電灯の両端電圧が比較的低い第1の電圧と比較的高い第2の電圧とを交互に周期的に繰り返す状態に移行させる出力制御手段とを備え、第1の電圧をエミレス状態の放電灯が消灯するように設定し、第2の電圧をエミレス状態の放電灯は再点灯しないが正常な放電灯は点灯維持するように設定したものである。この構成によれば、放電灯がエミレス状態になったときに放電灯の両端電圧の平均値を従来構成よりも引き下げることができるから、従来構成に比較して放電灯のフィラメントに流れる電流の平均値を低減することができ、正常な放電灯は点灯させて照明を確保しながらもエミレス状態で消灯している放電灯のフィラメントの管壁温度の異常上昇を抑制することができる。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、直流電源から高周波電力を生成して放電灯に供給するインバータを備え、出力制御手段がインバータの動作周波数を変化させることにより放電灯の両端電圧を第1の電圧と第2の電圧とに設定するものである。この構成は望ましい実施態様である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、調光点灯時に定常点灯時の周波数よりも高い周波数とする放電灯点灯装置であって、出力制御手段はインバータの動作周波数を、調光点灯の周波数と、それよりも高い周波数とが交互に繰り返すように変化させるものである。この構成によれば、エミレス状態になったときには放電灯に印加される電圧が平均的には調光点灯時以下になるから、エミレス状態で消灯している放電灯のフィラメントに流れる電流を大幅に低減することができ、結果的にエミレス状態の放電灯の管壁温度の異常上昇を抑制することができる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、出力制御手段が第1の電圧と第2の電圧との間の移行期間に電圧を連続的に変化させるものである。この構成によれば、放電灯への供給電力が急激に変化しないから、電圧の急激な変化によるノイズの発生を低減することができる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、出力制御手段が第1の電圧と第2の電圧との繰り返し周期を商用電源の周期に同期させるものである。この構成は望ましい実施態様である。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、出力制御手段が第1の電圧の期間を第2の電圧の期間よりも長く設定しているものである。この構成によれば、正常な放電灯を点灯させることが可能であるにもかかわらず、エミレス状態の放電灯のフィラメントに流れる電流の平均値を大幅に低減することができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、交流電源から直流電源を得るとともに出力電圧が可変である直流電源部を備え、出力制御手段が直流電源部の出力電圧を周期的に変化させることにより第1の電圧と第2の電圧とを放電灯に交互に印加するものである。この構成は望ましい実施態様である。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
点灯装置1は、図1に示すように、商用電源である交流電源ACから直流電源を得る直流電源部1aと、直流電源部1aの出力を高周波電力に変換する高周波電源部1bとからなる。高周波電源部1bの出力は、直流カット用のコンデンサC0i(i=1,2,……)と共振用のインダクタLri とを介して放電灯2i の両フィラメントの一端間に与えられる。また、放電灯2i の両フィラメントの他端間には共振用(予熱用)のコンデンサCri が接続される。放電灯2i は複数本設けられ、各放電灯2i ごとにコンデンサC0i,Cri とインダクタLri とが設けられている。つまり、1つの点灯装置1を並列的に接続した複数本の放電灯2i で共用している。各放電灯2i には両端電圧を検出することにより放電灯2i の寿命末期を検出するランプ寿命検出部(ランプ寿命検出手段)3が設けられている。ランプ寿命検出部3は、各放電灯2i のうちのいずれかの放電灯2i が寿命末期になると、寿命末期を示す信号を発生する。ただし、ランプ寿命検出部3から出力される信号は、どの放電灯2i が寿命末期であるかは示さない。ランプ寿命検出部3の出力は切換信号生成部4に入力され、いずれかの放電灯2i の寿命末期が検出されると、切換信号生成部4では寿命末期に対応した切換信号を出力する。この切換信号は、高周波電源部1bの出力を制御する制御部5に入力され、高周波電源部1bから寿命末期に対応した出力を得るようになっている。すなわち、切換信号生成部4および制御部5により出力制御手段が構成される。以下、各部を具体的に説明する。なお、以下の説明では、必要なとき以外、添字iを省略する。
【0026】
直流電源部1aは、図2に示すように、全波整流回路としてのダイオードブリッジDBを備え、ダイオードブリッジDBの出力電圧を抵抗RdとツェナーダイオードZDdとコンデンサCdとにより定電圧化して制御回路用の電源Vccを得ている。また、ダイオードブリッジDBの直流出力端間にインダクタLcとスイッチング素子Scと抵抗R11との直列回路を接続するとともに、スイッチング素子Scと抵抗R11との直列回路に、ダイオードDcとコンデンサCcとの直列回路を並列接続してある。スイッチング素子ScとしてはここではMOSFETを用いている。インダクタLcとスイッチング素子ScとダイオードDcとコンデンサCcとは昇圧チョッパ回路を構成し、入力直流電圧を昇圧した直流電圧を出力する。
【0027】
このような昇圧チョッパ回路は周知のものであるが、簡単に動作を説明する。スイッチング素子Scは制御回路(たとえば、モトローラ社製の集積回路MC33262を用いる)CNcにより高周波でオンオフされる。そして、スイッチング素子Scのオン期間にインダクタLcに蓄積したエネルギをスイッチング素子Scのオフ期間にダイオードDcを通してコンデンサCcに放出することによって、ダイオードブリッジDBの出力電圧にインダクタLcの両端電圧を加算した電圧をコンデンサCcに印加することができるのである。このようにスイッチング素子Scを高周波でオンオフすることにより、入力電流を高周波的に流すことができ、ダイオードブリッジDBの入力側に簡単な高周波阻止フィルタを設けるだけで、交流電源ACからの入力電流波形を滑らかにして入力電流歪を低減することが可能になる。
【0028】
ところで、図示する直流電源部1aでは、ダイオードブリッジDBの出力電圧を検出するための検出抵抗R12,R13と、コンデンサCcの両端電圧を検出するための検出抵抗R14,R15と、インダクタLcの2次巻線の誘起電圧を検出する検出抵抗R16とを備える。制御回路CNcは、抵抗R11の両端電圧とともに、これらの検出抵抗R12〜R16で得た電圧を用いて、スイッチング素子Scのオンオフのタイミングを制御するのであって、入力力率を改善し、スイッチング素子Scの電流ストレスを低減し(つまり、スイッチング損失を低減し)、かつコンデンサCcの両端電圧をほぼ一定に保つように制御する。
【0029】
さらに具体的に説明すると、抵抗R12,R13によりダイオードブリッジDBの出力電圧を分圧し、抵抗R13に並列接続されたコンデンサC13により平滑化する。したがって、抵抗R13の両端電圧によりダイオードブリッジDBの出力電圧に比例した電圧を検出することができる。また、抵抗R14,R15によりコンデンサCcの両端電圧を分圧しており、この電圧を基準電圧から減算した誤差電圧が検出される。さらに、抵抗R11の両端電圧に基づいてスイッチング素子Scのドレイン電流を知ることができる。しかして、抵抗R13の両端電圧および上記誤差電圧と抵抗R11の両端電圧とを比較してスイッチング素子Scのオン期間を決める。すなわち、抵抗R13の両端電圧が高いほどスイッチング素子Scのオフを遅らせることにより入力電圧の増減にほぼ対応するように入力電流を増減させて力率を向上させることができる。また、上記誤差電圧が大きいほどスイッチング素子Scのオフを遅らせることにより誤差電圧の増大に応じてインダクタLcの蓄積エネルギを増加させてコンデンサCcの両端電圧を上昇させるとともに、ドレイン電流が大きいほどスイッチング素子Scのオフを早めることによりコンデンサCcの両端電圧の上昇を抑制することによって、コンデンサCcの両端電圧をほぼ一定に保つのである。
【0030】
一方、抵抗R16の両端電圧によってインダクタLcに流れる電流を検出することができるから、インダクタLcに電流がほぼ流れなくなった時点でスイッチング素子Scをオンにすれば、スイッチング素子Scを電流がほぼゼロの状態でオンにすることができ、スイッチング素子Scの電流ストレスを低減することができる。
【0031】
以上説明したように、スイッチング素子Scのオンオフのタイミングを制御回路CNcで制御することにより、入力力率を向上させ、出力電圧を安定化し、さらにはスイッチング素子Scの電流ストレスを抑制することができる。
高周波電源部1bは、図3に示すように、一対のスイッチング素子S1 ,S2 の直列回路を有し、この直列回路は直流電源部1aのコンデンサCcの両端間に接続される。スイッチング素子S1 ,S2 はMOSFETよりなり、従来構成におけるインバータ11として示したダイオードD1 ,D2 は寄生ダイオードとしてスイッチング素子S1 ,S2 に含まれている。両スイッチング素子S1 ,S2 は制御部5からドライブ回路(たとえば、IR社製の集積回路IR2111を用いる)DRを通して与えられる制御信号により交互にオンオフされる。制御部5については後述する。
【0032】
ランプ寿命検出部3は、図4に示すように、従来構成とほぼ同様の構成であって、放電灯2の両端電圧を検出し各放電灯2ごとに検出した両端電圧をダイオードD3i(i=1,2,……)を介してまとめた後、平均化した出力を得る。つまり、各放電灯2i の両端間にコンデンサC3iと抵抗R2i,R3iとの直列回路を接続し、抵抗R2i,R3iの直列回路にダイオードD2iを並列接続してある。したがって、コンデンサC3iはダイオードD2iを介して充電され、抵抗R2i,R3iを介して放電される。抵抗R2i,R3iの接続点にはダイオードD3iのアノードが接続され、各ダイオードD3iのカソードは共通に接続される。さらに、ダイオードD3iのカソード電圧は抵抗R3 とコンデンサC3 とにより平滑化される。コンデンサC3 の両端電圧は、各放電灯2i のうちランプ電圧がもっとも高いものに対応した平均電圧になる。
【0033】
切換信号生成部4は、図5に示すように、抵抗R41,R42により設定した基準電圧とランプ寿命検出部3の出力電圧とを比較するコンパレータCP1 を備え、ランプ寿命検出部3の出力電圧が基準電圧を超えるとコンパレータCP1 の出力をHレベルにし、トランジスタQ41,Q42をオンにする。また、トランジスタQ42がオンになると、抵抗R43を通してコンデンサC41を充電する。このコンデンサC41の両端電圧は、2つのコンパレータCP2 ,CP3 によってそれぞれ異なる基準電圧と比較される。また、コンデンサC41の両端間にはトランジスタQ43のコレクタ−エミッタが並列接続され、一方のコンパレータCP2 の出力がHレベルになるとトランジスタQ43がオンになってコンデンサC41の電荷が放電されるようになっている。コンパレータCP2 ,CP3 の基準電圧は、抵抗R44〜R46により設定されるのであって、コンパレータCP2 に対する基準電圧V2 はコンパレータCP3 に対する基準電圧V3 よりも高く設定されている。この構成において、コンパレータCP3 の出力が切換信号生成部4の出力になる。
【0034】
しかして、切換信号生成部4の出力電圧は、すべての放電灯2が正常であれば、図6(a)の左端部に示すように、比較的低い電圧に保たれるが、いずれかの放電灯2が寿命末期になると右端部のように上昇する。ここでは、寿命末期のエミレス状態を検出するから、ランプ電圧は階段状に変化することになる。コンパレータCP1 の基準電圧は、ランプ寿命検出部3の出力電圧の正常時と寿命末期時との電圧値の間に設定されており、コンパレータCP1 の出力は図6(b)のように変化することになる。このようにして、寿命末期時にはトランジスタQ41,Q42がオンになる。
【0035】
トランジスタQ42のオンに伴ってコンデンサC41が抵抗R43を介して充電され、図6(c)のようにコンデンサC41の両端電圧がコンパレータCP3 の基準電圧V3 を超えると、図6(d)のようにコンパレータCP3 の出力がHレベルになる。その後、コンデンサC41がさらに充電されコンデンサC41の両端電圧がコンパレータCP2 の基準電圧V2 に達すると、トランジスタQ43がオンになりコンデンサC41が放電されるから、コンパレータCP3 の出力は再びLレベルになる。このようにして切換信号生成部4の出力はHレベルとLレベルとを繰り返すことになる。
【0036】
上述の回路構成では、切換信号生成部4の出力のHレベルとLレベルとの繰り返し周期は抵抗R43およびコンデンサC41と基準電圧V2 とにより決定される。また、オンデューティ(Hレベルの期間の割合)は2つの基準電圧V2 ,V3 の差が大きいほど長くなり、オフデューティ(Lレベルの期間の割合)は基準電圧V3 が高いほど長くなる。
【0037】
制御部5は、図7に示すように、PWM制御用集積回路(NEC社製μPC494等)IC1 を主構成とするものであり、この集積回路IC1 は端子CTに接続されるコンデンサC50と端子RTの出力電流とにより出力端子OUTから出力される信号の周波数を決定する。コンデンサC50を変更しなければ端子RTの出力電流が大きいほど出力周波数が高くなる。また、図7における信号tim1は、後述する電源投入検出回路6から出力される信号であって、電源投入から一定時間だけHレベルになる。この信号tim1がHレベルであると、トランジスタQ51,Q52がオンになるから、コンデンサC51がすぐに充電される。このとき、トランジスタQ53はオンであるからトランジスタQ54,Q55はオフになる。また、トランジスタQ56はオンになる。さらに、トランジスタQ57は切換信号生成部4の出力によりオンオフされるものであり、放電灯2が寿命末期でなければ切換信号生成部4の出力はLレベルであってトランジスタQ57はオフになっている。したがって、電源投入から一定時間は抵抗R52と抵抗R53とにより出力端子OUTからの信号の出力周波数が決定される。出力端子OUTからの信号は上述したドライブ回路DRに入力され、スイッチング素子S1 ,S2 を制御する。
【0038】
電源投入検出回路6は、図8に示すように、抵抗R6 とコンデンサC6 との直列回路を備え、この直列回路にはダイオードブリッジDBの出力端に接続されたツェナーダイオードZDdの両端電圧Vccがに印加される。したがって、コンデンサC6 の両端電圧は電源投入から徐々に上昇することになる。このコンデンサC6 の両端電圧は、抵抗R61,R62により設定された基準電圧とコンパレータCP6 により比較され、コンデンサC6 の両端電圧が基準電圧を超えるとコンパレータCP6 の出力がLレベルになる。コンパレータCP6 にはヒステリシスを付与するための抵抗R63,R64も接続されている。このような構成であるから、電源投入から抵抗R6 とコンデンサC6 とにより決まる一定時間はコンパレータCP6 の出力である信号tim1がHレベルになるのである。
【0039】
電源投入から一定時間が経過すると、コンパレータCP6 の出力がLレベルになるから、トランジスタQ51,Q52,Q53,Q56がオフになり、コンデンサC51の電荷が抵抗R51およびトランジスタQ54を通して放電される。トランジスタQ54はトランジスタQ55とともにカレントミラー回路を構成しているから、トランジスタQ55に流れる電流と抵抗R52とにより決まる周波数でスイッチング素子S1 ,S2 をオンオフさせることになる。また、コンデンサC51と抵抗R51とにより決まる時間が経過した後にはトランジスタQ55には電流が流れなくなり、抵抗R52のみにより決まる周波数でスイッチング素子S1 ,S2 をオンオフさせることになる。この状態が定常点灯状態であって、その周波数は放電灯2を点灯維持するが、寿命末期の放電灯2を一旦消灯させた後には再点灯しない程度(f3 ′とf3 との間)に設定される。
【0040】
次に、いずれかの放電灯2が寿命末期になったとすると、ランプ寿命検出部3からの信号によってトランジスタQ57はオンオフを交互に繰り返す。したがって、抵抗R 52 により決まる定常点灯時と同じ周波数の信号と、これに抵抗R54に流れる電流を加えることにより決まる周波数の信号とが交互に出力されることになる。抵抗R54に流れる電流を加えたときの出力周波数は定常点灯時よりも高周波になるのであって、この周波数は寿命末期の放電灯2を立ち消えさせるように(つまりf2 とf4 との間)設定される。
【0041】
要するに、図9に示すように、電源投入から一定時間が経過した時刻t1 においてコンデンサC51の放電が開始されて出力周波数が低下し、時刻t2 において定常点灯になる。その後、寿命末期が時刻tx で検出されると、定常点灯状態の周波数と寿命末期の放電灯2を消灯させる周波数とを交互に周期的に繰り返す状態になる。つまり、図10に示すように、放電灯2への印加電圧が正常な放電灯2を点灯維持できる電圧Vaになる期間と、その電圧よりも低い電圧Vbになる期間とを交互に繰り返すように制御されるのである。ここに、定常点灯時よりも低い電圧Vb(つまり、定常点灯時よりも高い周波数)は、寿命末期の放電灯2の管壁温度を異常上昇させない程度に設定される。このような制御により、寿命末期の放電灯2は立ち消えするが、正常な放電灯2は短時間で点灯・消灯を繰り返し、照明を確保することができる。しかも、寿命末期の放電灯2の管壁温度の上昇も抑制することができる。
【0042】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1の構成において、切換信号生成部4を図11の構成に変更し、かつ制御部5を図12の構成に変更したものである。
すなわち、切換信号生成部4は、ランプ寿命検出部3の出力電圧を基準電圧と比較する実施形態1と同様のコンパレータCP1 と、ダイオードブリッジDBの出力電圧を抵抗R47,R48により分圧した電圧を基準電圧と比較するコンパレータCP4 とを備える。コンパレータCP4 の基準電圧は抵抗R44′〜R46′の直列回路における抵抗R44′,R45′の接続点より得られ、抵抗R45′,R46′の接続点にはコンパレータCP1 の出力端が接続される。
【0043】
放電灯2が正常であれば図13(a)の左端部のようにコンパレータCP1 の非反転入力端への入力電圧は低く、コンパレータCP1 の出力は図13(b)のようにLレベルであって、抵抗R44′,R45′の直列回路の両端の電位差は比較的大きくなっている。このときの抵抗R44′,R45′の接続点の電位は、コンパレータCP4 の非反転入力端に印加される電圧のピーク値よりも高く設定される(図13(c)参照)。
いずれかの放電灯2が寿命末期になるとコンパレータCP1 の非反転入力端への入力電圧が上昇して、図13(b)のようにコンパレータCP1 の出力がHレベルになる。ここで、コンパレータCP1 の出力のHレベルはツェナーダイオードZD1 により得られる定電圧よりも低く設定してあり、抵抗R44′,R45′の接続点にはコンパレータCP4 の非反転入力端に印加される電圧のピーク値よりも低いが0Vではない所定電圧が得られるようにしてある。したがって、図13(d)に示すように、コンパレータCP4 の出力は交流電源ACの2倍の周波数であって、コンパレータCP4 への入力電圧の関係によってデューティの決まる矩形波状になる。
【0044】
一方、制御部5は、実施形態1で用いた制御部5に対して、基本的には抵抗R55とトランジスタQ58とを追加したものである。抵抗R55はトランジスタQ58のコレクタ−エミッタに直列接続され、この直列回路は抵抗R54に直列接続されている。したがって、トランジスタQ57のオフ時にトランジスタQ58がオンになれば集積回路IC1 の端子RTには抵抗R54と抵抗R55との直列回路が接続されることになる。このときの出力端子OUTからの出力周波数は定常点灯時の周波数よりも高くなり、したがって、放電灯2の光出力は定常点灯時よりも低減されることになる。つまり、定常点灯状態に対する調光点灯状態になる。このような構成であるから、トランジスタQ58に対してHレベルになる調光信号を入力すれば、定常点灯時よりも光量を低減させるように制御することが可能である。
【0045】
一方、トランジスタQ58はコンパレータCP1 の出力を受けることによってもオンオフされる。つまり、放電灯2の寿命末期が検出されると調光点灯状態か否かにはかかわらずトランジスタQ58がオンになる。トランジスタQ57は実施形態1と同様に寿命末期時にはオンオフを繰り返すから、集積回路IC1 の端子RTには抵抗R54のみが接続される状態と、抵抗R54と抵抗R55との直列回路が接続される状態とが交互に繰り返されることになる。その結果、寿命末期時には抵抗R54,R55の直列回路が接続された調光点灯状態と、抵抗R54のみが接続されたさらに光量を低減する状態とを繰り返すことになる。ここで、抵抗R54のみが接続された状態での周波数を寿命末期の放電灯2を消灯させる範囲で設定しておけば、寿命末期の放電灯2は消灯し、かつ正常な放電灯2のみが点灯することになる。しかも、調光点灯状態とそれ以下の状態とを繰り返すから、調光点灯状態よりも放電灯2のフィラメントに流れる電流を低減することができ、結果的に寿命末期の放電灯2のフィラメントの近傍の管壁温度の異常上昇を抑制することができる。
【0046】
上述のような構成により、図14に示すように、電源投入から一定時間後の時刻t1 でコンデンサC51が放電を開始し、時刻t2 でコンデンサC51の放電が終了して定常点灯になり、その後、時刻tx で寿命末期が検出されると、定常点灯状態(調光点灯)の周波数と、それよりも高い周波数とが交互に繰り返して出力されるのである。
【0047】
ところで、図12に破線で示しているように、トランジスタQ57のベース−エミッタ間にコンデンサC52を接続してもよい。このようなコンデンサC52を追加すれば、寿命末期が検出されてトランジスタQ57がオンオフを繰り返す際に、オンオフ間の移行が緩やかになり、周波数が連続的に変化することになる。要するに、トランジスタQ57は徐々にオン方向に移行し、また徐々にオフ方向に移行することになる。このような制御を行なえば、過渡応答の影響が緩和され、とくにノイズの低減に効果がある。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0048】
(実施形態3)
本実施形態では、制御部5として図15に示すように、図7に示した実施形態1の制御部5から抵抗R54およびトランジスタQ57を省略した構成を採用している。一方、直流電源部1aのコンデンサCcの両端電圧を検出するための抵抗R14,R15に代えて、図16に示す回路を用いている。
【0049】
すなわち、実施形態1における抵抗R14,R15はコンデンサCcの両端電圧を所定電圧に保つように出力電圧が設定されているから、この出力電圧よりも高い電圧を発生させればコンデンサCcの両端電圧が上昇したとみなされてコンデンサCcの両端電圧が引き下げられることになる。コンデンサCcの両端電圧が低下すれば、高周波電源部への入力電圧が低下するから、結果的に放電灯2への供給電力も低減されることになる。このような知見に基づいて、本実施形態では直流電源部1aの出力電圧を制御する。
【0050】
図16に示す回路では、コンデンサCcの両端電圧を分圧する3個の抵抗R71〜R73を設け、抵抗R73にはトランジスタQ71のコレクタ−エミッタを接続し、さらに、トランジスタQ71のベース−エミッタ間にトランジスタQ72のコレクタ−エミッタを接続してある。トランジスタQ71のベースには抵抗R74,R75によりバイアスが与えられる。また、トランジスタQ72は切換信号生成部4の出力により制御される。つまり、切換信号生成部4の出力をトランジスタQ72のベースに与えることにより、正常時にはトランジスタQ72はオフになっている。このとき、トランジスタQ71はオンであり抵抗R71,R72により分圧された比較的低い電圧が制御回路CNcに与えられる。
【0051】
一方、ランプ寿命検出部3が寿命末期を検出するとトランジスタQ72がオンオフを繰り返すようになり、トランジスタQ71もオンオフを繰り返す。その結果、トランジスタQ71のオン期間には抵抗R72と抵抗R73との直列回路と抵抗R71との接続点の電圧が制御回路CNcに入力される。つまり、制御回路CNcには正常時よりも高い電圧が印加されるから、コンデンサCcの両端電圧を下げる方向にスイッチング素子Scのオンデューティが制御されるのである。このようにして、コンデンサCcの両端電圧はトランジスタQ72のオンオフに対応して周期的に低下するから、高周波電源部の出力も周期的に低下することになる。つまり、本実施形態においては、直流電源部1aの出力電圧を制御することにより、寿命末期の放電灯2のフィラメントに流れる電流を低減することができ、管壁温度の上昇を抑制することができる。しかも、正常な放電灯2は点灯維持することが可能である。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明は、並列的に接続された複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、各放電灯の両端電圧のうちもっとも高い電圧の平均電圧を出力するランプ寿命検出手段と、ランプ寿命検出手段の出力電圧が基準電圧を超えるといずれかの放電灯がエミレス状態であることを検出し放電灯の両端電圧が比較的低い第1の電圧と比較的高い第2の電圧とを交互に周期的に繰り返す状態に移行させる出力制御手段とを備え、第1の電圧をエミレス状態の放電灯が消灯するように設定し、第2の電圧をエミレス状態の放電灯は再点灯しないが正常な放電灯は点灯維持するように設定したものであり、放電灯がエミレス状態になったときに放電灯の両端電圧の平均値を従来構成よりも引き下げることができるから、従来構成に比較して放電灯のフィラメントに流れる電流の平均値を低減することができ、正常な放電灯は点灯させて照明を確保しながらもエミレス状態で消灯している放電灯のフィラメントの管壁温度の異常上昇を抑制することができるという利点がある。
【0053】
請求項3の発明のように、調光点灯時に定常点灯時の周波数よりも高い周波数とする放電灯点灯装置であって、出力制御手段はインバータの動作周波数を、調光点灯の周波数と、それよりも高い周波数とが交互に繰り返すように変化させるものでは、エミレス状態になったときには放電灯に印加される電圧が平均的には調光点灯時以下になるから、エミレス状態で消灯している放電灯のフィラメントに流れる電流を大幅に低減することができ、結果的にエミレス状態の放電灯の管壁温度の異常上昇を抑制することができるという利点がある。
請求項4の発明のように、出力制御手段が第1の電圧と第2の電圧との間の移行期間に電圧を連続的に変化させるものでは、放電灯への供給電力が急激に変化しないから、電圧の急激な変化によるノイズの発生を低減することができるという利点がある。
【0054】
請求項6の発明のように、出力制御手段が第1の電圧の期間を第2の電圧の期間よりも長く設定しているものでは、正常な放電灯を点灯させることが可能であるにもかかわらず、エミレス状態の放電灯のフィラメントに流れる電流の平均値を大幅に低減することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上に用いる直流電源部を示す回路図である。
【図3】同上に用いる高周波電源部を示す回路図である。
【図4】同上に用いるランプ寿命検出部を示す回路図である。
【図5】同上に用いる切換信号生成部を示す回路図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】同上に用いる制御部を示す回路図である。
【図8】同上に用いる電源投入検出回路を示す回路図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】実施形態2に用いる切換信号生成部を示す回路図である。
【図12】同上に用いる制御部を示す回路図である。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】実施形態3に用いる切換信号生成部を示す回路図である。
【図16】同上の要部回路図である。
【図17】従来例を示すブロック図である。
【図18】同上の要部ブロック図である。
【図19】同上の動作説明図である。
【図20】同上の具体回路図である。
【図21】同上の動作説明図である。
【図22】同上の動作説明図である。
【図23】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
1 点灯装置
1a 直流電源部
1b 高周波電源部
2 放電灯
3 ランプ寿命検出部
4 切換信号生成部
5 制御部
11 インバータ
Claims (7)
- 並列的に接続された複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、各放電灯の両端電圧のうちもっとも高い電圧の平均電圧を出力するランプ寿命検出手段と、ランプ寿命検出手段の出力電圧が基準電圧を超えるといずれかの放電灯がエミレス状態であることを検出し放電灯の両端電圧が比較的低い第1の電圧と比較的高い第2の電圧とを交互に周期的に繰り返す状態に移行させる出力制御手段とを備え、第1の電圧をエミレス状態の放電灯が消灯するように設定し、第2の電圧をエミレス状態の放電灯は再点灯しないが正常な放電灯は点灯維持するように設定したことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 直流電源から高周波電力を生成して放電灯に供給するインバータを備え、出力制御手段はインバータの動作周波数を変化させることにより放電灯の両端電圧を第1の電圧と第2の電圧とに設定することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 調光点灯時に定常点灯時の周波数よりも高い周波数とする放電灯点灯装置であって、出力制御手段はインバータの動作周波数を、調光点灯の周波数と、それよりも高い周波数とが交互に繰り返すように変化させることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 出力制御手段は第1の電圧と第2の電圧との間の移行期間に電圧を連続的に変化させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
- 出力制御手段は第1の電圧と第2の電圧との繰り返し周期を商用電源の周期に同期させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
- 出力制御手段は第1の電圧の期間を第2の電圧の期間よりも長く設定していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
- 交流電源から直流電源を得るとともに出力電圧が可変である直流電源部を備え、出力制御手段は直流電源部の出力電圧を周期的に変化させることにより第1の電圧と第2の電圧とを放電灯に交互に印加することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
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