JP3766944B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気抵抗効果素子に関し、特に、磁気抵抗効果を損なうことなく静磁気結合による磁界の影響を低減するための非磁性金属層、即ち、中間層の構成に特徴のあるデュアルスピンバルブ効果を利用した磁気抵抗効果素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のハードディスク装置の小型化,大容量化の需要の高まりに伴い、高密度磁気記録が可能なハードディスク装置の研究開発が急速に進められており、この様な磁気記録装置の読取ヘッドとして低磁界で大きな出力が得られる巨大磁気抵抗(GMR)効果を使用した磁気センサが開発されている。
【0003】
例えば、IBMにより「スピン・バルブ効果利用の磁気抵抗センサ(特開平4−358310号公報参照)」が提案されているが、この磁気センサは、非磁性金属層によって分離された2つの結合していない強磁性体層を備え、一方の強磁性体層にFeMnで代表される反強磁性体層を付着して強磁性体層の磁化Mが固定されているサンドイッチ構造となっている。
【0004】
この磁気センサにおいて、外部磁場が印加されると、磁化が固定されていない他方の強磁性体層、即ち、フリー(free)層の磁化方向が外部磁場に一致して自由に回転するため、磁化が固定された強磁性体層、即ち、ピンド(pinned)層の磁化方向と角度差を生ずることになる。
【0005】
この角度差に依存して伝導電子のスピンに依存した散乱が変化し、電気抵抗値が変化するので、この電気抵抗値の変化を定電流のセンス電流を流すことによって電圧値の変化として検出し、それによって、外部磁場の状況、即ち、磁気記録媒体からの信号磁場を取得するものであり、このスピンバルブ磁気抵抗センサの磁気抵抗変化率は約5%程度となる。
【0006】
この様なスピンバルブ磁気抵抗センサの効率を高めるために、同じくIBMにより「二重スピン・バルブ磁気抵抗センサ(特開平6−223336号公報参照)」が提案されており、このデュアル(二重)スピンバルブ磁気抵抗効果素子は、フリー層を中心に対称的にスピンバルブ構造を積層したものであり、この構成によって約2倍の磁気抵抗変化を得ているので、図4を参照してこの様なデュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子を説明する。
【0007】
図4参照
図4は反強磁性体層31乃至反強磁性体層37の各層を分離して示した斜視図であり、まず、基板(図示せず)上にスパッタリング法を用いて所定方向の第1の磁界を印加しながらTa層及びNiFe層を順次積層させて下地層(図示せず)を形成したのち、引き続いて反強磁性体層31、強磁性体層からなるピンド層32、非磁性金属であるCuからなるCu中間層33、強磁性体層からなるフリー層34、Cu中間層35、強磁性体層からなるピンド層36、及び、反強磁性体層37を順次積層させたのち、真空中で第1の磁界と直交する第2の磁界を印加した状態で熱処理を行うことによって反強磁性体層31,37の磁化方向を決定することによって、磁気抵抗効果素子の基本構造を形成する。
【0008】
図に示すように、ピンド層32,36の磁化方向M3 ,M4 は反強磁性体層31,37の磁化方向M1 ,M2 に固定され、一方、フリー層34の磁化方向M5 は、上下のピンド層32,36の静磁気結合による磁界38によって、図4において細い実線で示す面内で、破線で示す矢印の方向から実線で示す矢印の方向に、即ち、ピンド層32,36の磁化方向M3 ,M4 と反平行な方向に回転してしまうことになる。
【0009】
この様なフリー層34の磁化方向M5 の回転によって、外部印加磁場がないときの動作中心点、即ち、最大抵抗と最小抵抗の中心値を与える磁場強度が中心である零磁場からずれてしまい、動作中心点の変動にともなって、磁気抵抗センサのバイアス点が変動し、十分なダイナミックレンジが確保できなくなるという問題がある。
【0010】
なお、この様なフリー層34の磁化方向M5 の回転は、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子をヘッドとして組み込む際のプロセス中のレジスト硬化処理に代表される磁場中熱処理によっても、或いは、ヘッドとして動作させる際に、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子を上下から挟むシールド層から発生する漏れ磁界によっても生ずるものである。
【0011】
従来の単一構造のスピンバルブ磁気抵抗効果素子においては、この様な静磁気結合による磁界38の影響はセンス電流39の値を適当に選択することによって、センス電流による磁界によって相殺していたが、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子においては、低抵抗の2つのCu中間層33,35を中心に流れるセンス電流39によって、センス電流による磁界40,41が発生するが、このセンス電流による磁界40,41は互いに同等であり、フリー層34に対しては反対向きの誘導磁界が作用し、結果的にセンス電流による磁界40,41の与える影響は相殺されることになり、フリー層34の磁化方向M5 の制御を行うことができなかった。
【0012】
なお、この様なデュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子の反強磁性体層31,37としてPd・Pt・Mnを用いた場合には、従来のFeMnとは異なり、下の層がどの様な結晶構造を有していても反強磁性体特性を失わないので、上下のどちらのピンド層32,36に対しても固定磁界を与えることができる(必要ならば、特願平8−257068号参照)。
【0013】
この様なフリー層34の磁化方向M5 の回転の問題点を解決するために、本発明者は、センス電流による磁界40,41をアンバランスにすることによって、静磁気結合による磁界38の影響を相殺することを提案している(必要ならば、特願平9−261641号参照)ので、図5を参照してこの改良型デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子を説明する。
図5参照
図5も反強磁性体層31乃至反強磁性体層37の各層を分離して示した斜視図であり、まず、Al2 3 −TiCセラミックからなる基板(図示せず)上にスパッタリング法を用いてNb層及びNiFe層を順次積層させて下地層(図示せず)を形成する。
【0014】
引き続いて、同じくスパッタリング法を用いて、Pd31Pt17Mn52からなる反強磁性体層31、Co90Fe10からなるピンド層32、Cu中間層33、Co90Fe10/Ni81Fe19/Co90Fe10からなる3層構造のフリー層34、Ag中間層42、Co90Fe10からなるピンド層36、及び、Pd31Pt17Mn52からなる反強磁性体層37を順次積層させる。
【0015】
次いで、ピンド層32,36の磁化方向を固定するために、100kA/mの直流磁場を印加しながら、真空中で230℃で1〜3時間の熱処理を行うことによって反強磁性体層31,37の磁化方向を印加した直流磁場の方向とすることによって、磁気抵抗効果素子の基本構造を形成する。
【0016】
この場合、図に示すように、ピンド層32,36の磁化方向M3 ,M4 は反強磁性体層31,37の磁化方向M1 ,M2 に固定され、一方、フリー層34の磁化方向M5 はピンド層32,36の磁化方向M3 ,M4 とほぼ直交した方向となり、電極間にセンス電流39(Isens)を流すことによって外部印加磁場を測定することができる。
【0017】
これは、Cu中間層33とAg中間層42の比抵抗が異なるため、Cu中間層33(比抵抗:1.55×10-6Ω・cm)に比べて比抵抗の小さなAg中間層42(比抵抗:1.47×10-6Ω・cm)の方に多くのセンス電流39が流がれ、Ag中間層42側のセンス電流による磁界40とCu中間層33側のセンス電流による磁界41とが非対称になり、相対的に大きな誘導磁界となるセンス電流による磁界40によって静磁気結合による磁界38の影響を相殺しているためである。
なお、比抵抗は0℃における比抵抗であり、以下同様である。
【0018】
なお、上記の出願においては、両方の中間層をCuで構成し、ビンド層36側の中間層の厚さを相対的に厚くすることによって静磁気結合による磁界38の影響を相殺すること、及び、ビンド層36側の中間層をCuで構成し、ピンド層32側の中間層をCuより比抵抗の大きなPt(比抵抗9.81×10-6Ω・cm)等で構成することにより静磁気結合による磁界38の影響を相殺することも提案している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この様な改良型デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子においては、中間層としてCu以外の非磁性金属を用いた場合、得られる磁気抵抗効果がCuを用いた場合に比べて小さくなってしまうことが知られており、フリー層34の磁化方向M5 は制御できるものの、素子として得られる出力が小さくなってしまうという問題がある。
【0020】
したがって、本発明は、磁気抵抗効果を損なうことなくセンス電流による磁界をアンバランスにして、フリー層の磁化方向を制御することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)本発明は、第1の非磁性金属層3及び第2の非磁性金属層5によりそれぞれ互いに分離された第1の強磁性体層2、第2の強磁性体層4、及び、第3の強磁性体層6を備え、第2の強磁性体層4が第1の非磁性金属層3と第2の非磁性金属層5との間に配置されるとともに、第1の強磁性体層2及び第3の強磁性体層6の磁化方向が互いに平行に固定され、且つ、第1の非磁性金属層3及び第2の非磁性金属層5の比抵抗が互いに異なるデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子において、相対的に比抵抗の大きな第1の非磁性金属層3を、TaまたはWを、CuまたはPdで挟んだサンドイッチ構造で構成することを特徴とする。
【0022】
この様に、第1の非磁性金属層3側に流れるセンス電流と第2の非磁性金属層5側に流れるセンス電流を非対称にすることによって、センス電流による磁界を非対称にする場合、相対的に比抵抗の大きな第1の非磁性金属層3を高比抵抗のTa(比抵抗:12.3×10 -6 Ω・cm)またはW(比抵抗:4.9×10 -6 Ω・cm)をCuまたはPdで挟んだサンドイッチ構造、例えばCu/Ta/Cu積層構造で構成することによって磁気抵抗効果の低減を防止することができ、それによって、磁気抵抗効果を損なうことなく第2の強磁性体層4、即ち、フリー層の磁化方向を任意に制御することができる。
この場合、強磁性体層と接する界面にはCu層或いはPd層が存在するため、磁気抵抗効果を損なうことがない。
【0031】
)また、本発明は、第1の非磁性金属層3及び第2の非磁性金属層5によりそれぞれ互いに分離された第1の強磁性体層2、第2の強磁性体層4、及び、第3の強磁性体層6を備え、第2の強磁性体層4が第1の非磁性金属層3と第2の非磁性金属層5との間に配置されるとともに、第1の強磁性体層2及び第3の強磁性体層6の磁化方向が互いに平行に固定され、且つ、第1の非磁性金属層3及び第2の非磁性金属層5の比抵抗が互いに異なるデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子において、相対的に比抵抗の大きな第1の非磁性金属層3を、TaまたはWの少なくとも一方と、CuまたはPdの少なくとも一方との合金層で構成することを特徴とする。
【0032】
この様に、相対的に比抵抗の大きな第1の非磁性金属層3は、高比抵抗のTaまたはWの少なくとも一方と、CuまたはPdの少なくとも一方との合金層、例えば、Ta−Cu合金層で構成しても良く、第1の非磁性金属層3にCu或いはPdが含有されるため、磁気抵抗効果の劣化が少なくなる。
【0033】
【発明の実施の形態】
ここで、図2を参照して、本発明の前提となる参考例の磁気抵抗効果素子を説明する。
図2参照
図2はデュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子を形成するための積層体の要部断面構造であり、まず、(100)面を主面とするシリコン基板11上に30Oe(≒2.4kA/m)の磁界を印加しながら、スパッタリング法を用いて厚さ5nmのNb層及び厚さ5nmNiFe層を順次積層させて下地層12を形成する。
【0034】
引き続いて、同じく30Oeの磁界を印加しながらスパッタリング法を用いて、厚さ10〜25nm、例えば、25nmのPd32Pt17Mn51からなる反強磁性体層13、厚さ1〜4nm、例えば、2nmのCo90Fe10からなるピンド層14、厚さ2.0〜8.0nm、例えば、2.5nmのPd中間層15、厚さ2nmのCo90Fe10/厚さ4nmのNi81Fe19/厚さ2nmCo90Fe10からなる3層構造のフリー層16、厚さ2.0〜8.0nm、例えば、2.5nmのCu中間層17、厚さ1〜4nm、例えば、2nmのCo90Fe10からなるピンド層18、及び、厚さ10〜25nm、例えば、25nmのPd32Pt17Mn51からなる反強磁性体層19を順次積層させる。
【0035】
次いで、ピンド層14,18の磁化方向を固定するために、成膜時に印加した磁界と直交する2000Oe(≒160kA/m)の磁界を印加しながら、真空中で230℃で1時間の熱処理を行うことによって反強磁性体層13,19の磁化方向を印加した磁界の方向とすることによって、磁気抵抗効果素子の基本構造を形成する。
【0036】
なお、この場合も、230℃の熱処理工程において、Pd中間層15及びCu中間層17を構成するPd及びCuとNi81Fe19との間の相互拡散が生じないように、フリー層16をバリアとなるCo90Fe10を用いて3層構造としている。
【0037】
次いで、図示しないものの、素子の長手方向がピンド層14,18の固定された磁化方向と垂直になるように、この積層構造体を長さが100μm、幅が1μmのストライプ状にパターニングしたのち、素子幅が5μmとなるように、厚さ200nmのCuパターンからなる4端子電極パターンを形成することによって、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子が完成する。
【0038】
この場合、Pd中間層15を構成するPd(比抵抗:10.0×10-6Ω・cm)の比抵抗がCu中間層17を構成するCu(比抵抗:1.55×10-6Ω・cm)の比抵抗より6倍以上大きいため、同じ厚さの対称構造を形成しても、大きなセンス電流による磁界を発生することができ、それによって、静磁気結合による磁界の影響を任意に相殺してフリー層16の磁化方向M5 を、ピンド層14,18の磁化方向M3 ,M4 とほぼ直交した方向とすることができ、電極間にセンス電流Isensを流すことによって外部印加磁場を精度良く測定することができる。
【0039】
また、シミュレーションにより、PdはCuと同程度以上の磁気抵抗効果が得られることが発表されており(例えば、甲斐、椎木,第21回日本応用磁気学会学術講演会概要集,4pc−5,1997参照)、Pd中間層15を用いることにより、磁気抵抗効果を損なうことなく、且つ、層厚の対称性を崩すことなく高抵抗の中間層を構成することができる。
【0040】
なお、Pd中間層15に代えて、Cu/Pd或いはCu/Pd/Cu等のPdと、Cu,Ag(比抵抗:1.47×10-6Ω・cm),Au(比抵抗:2.05×10-6Ω・cm),Pt(比抵抗:9.81×10-6Ω・cm)の内のいずれかの金属との積層構造で中間層を構成しても良く、Pdが存在することによって、磁気抵抗効果を損なうことなく、且つ、層厚の対称性を崩すことなく高抵抗の中間層を構成することができる。
【0041】
また、Pd中間層15に代えて、Pd−Cu等のPdと、Cu,Ag,Au,Ptの内のいずれかの金属との合金層で中間層を構成しても良く、Pdが存在することによって、磁気抵抗効果の劣化の少ない高抵抗の中間層を構成することができる。
【0042】
次に、図3を参照して本発明の第の実施の形態を説明するが、ピンド層14側の中間層の構成以外は上記の参考例と同様である。
なお、図3(a)はデュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子を形成するための積層体の要部断面構造であり、また、図3(b)は多層中間層の拡大図である。
図3(a)参照
まず、(100)面を主面とするシリコン基板11上に30Oe(≒2.4kA/m)の磁界を印加しながら、スパッタリング法を用いて厚さ5nmのNb層及び厚さ5nmNiFe層を順次積層させて下地層12を形成する。
【0043】
引き続いて、同じく30Oeの磁界を印加しながらスパッタリング法を用いて、厚さ10〜25nm、例えば、25nmのPd32Pt17Mn51からなる反強磁性体層13、厚さ1〜4nm、例えば、2nmのCo90Fe10からなるピンド層14、Cu/Ta/Cuからなる3層構造の多層中間層20、厚さ2nmのCo90Fe10/厚さ4nmのNi81Fe19/厚さ2nmCo90Fe10からなる3層構造のフリー層16、厚さ2.0〜8.0nm、例えば、2.5nmのCu中間層17、厚さ1〜4nm、例えば、2nmのCo90Fe10からなるピンド層18、及び、厚さ10〜25nm、例えば、25nmのPd32Pt17Mn51からなる反強磁性体層19を順次積層させる。
【0044】
図3(b)参照
この場合の多層中間層20は、例えば、厚さ0.7nmのCu層21、厚さ1.0nmのTa層22、厚さ0.7nmのCu層23を順次積層させた構造からなる。
【0045】
次いで、ピンド層14,18の磁化方向を固定するために、成膜時に印加した磁界と直交する2000Oe(≒160kA/m)の磁界を印加しながら、真空中で230℃で1時間の熱処理を行うことによって反強磁性体層13,19の磁化方向を印加した磁界の方向とすることによって、磁気抵抗効果素子の基本構造を形成する。
【0046】
なお、この場合も、230℃の熱処理工程において、多層中間層20及びCu中間層17を構成するCuとNi81Fe19との間の相互拡散が生じないように、フリー層16をバリアとなるCo90Fe10を用いて3層構造としている。
【0047】
次いで、図示しないものの、素子の長手方向がピンド層14,18の固定された磁化方向と垂直になるように、この積層構造体を長さが100μm、幅が1μmのストライプ状にパターニングしたのち、素子幅が5μmとなるように、厚さ200nmのCuパターンからなる4端子電極パターンを形成することによって、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子が完成する。
【0048】
この場合も、ピンド層14,18の磁化方向M3 ,M4 は反強磁性体層13,19の磁化方向M1 ,M2 に固定され、一方、フリー層16の磁化方向M5 はピンド層14,18の磁化方向M3 ,M4 とほぼ直交した方向となり、電極間にセンス電流Isensを流すことによって、上記の第1の実施の形態と同様に外部印加磁場を測定することができる。
【0049】
この第の実施の形態においては、ピンド層14側の中間層を高抵抗にするために、比抵抗の大きなTa(比抵抗:12.3×10-6Ω・cm)層22を磁気抵抗効果の大きなCu層21,23で挟んだサンドイッチ構造としており、強磁性体層、即ち、ピンド層14とフリー層16との界面がCu層21,23で接することになるので、磁気抵抗効果を損なうことなく中間層の抵抗を高くすることができる。
【0050】
なお、多層中間層20を構成する高比抵抗材料はTaに限られるものではなく、W(比抵抗:4.9×10-6Ω・cm)を用いても良いものであり、また、この様なTa,W等の高比抵抗層を挟み込むCu層21,23の代わりに、Cuと同程度の磁気抵抗効果を有するPdを用いても良いものである。
【0051】
また、中間層の比抵抗を制御するための手段は、多層中間層構造に限られるものではなく、Ta,W等の高比抵抗層とCu,Pd等の磁気抵抗効果の大きな非磁性金属との合金層を用いても良いものであり、Cu或いはPdを含有させることにより、磁気抵抗効果の劣化の少ない高抵抗の中間層を構成することができる。
【0052】
また、上記の実施の形態においては、単一の素子構造として説明しているが、この様な積層構造を複数段積層させて大きな出力を得るようにしても良く、その場合には、Cu等の非磁性層を介して積層させれば良く、或いは、最上層の反強磁性体層19を次段の最下層の反強磁性体層13の一部として兼用して、最上層の反強磁性体層19上に、直接、次段のピンド層14を積層させても良い。
【0053】
また、上記の実施の形態の説明においては、基板側の中間層の比抵抗を相対的に高くしているが、逆に、フリー層上の中間層の比抵抗を相対的に高くしても良いものであり、その場合には、センス電流を流す方向を逆にすれば良い。
【0054】
また、上記の本発明の実施の形態の説明においては、基板としてシリコン基板を用いているが、Al2 3 −TiC基板、表面にシリコンO2 膜を形成したシリコン基板、或いは、ガラス基板等の基板を用いても良いものであり、また、強磁性体及び反強磁性体としても、実施の形態に記載した以外の通常に用いられている強磁性体及び反強磁性体を用いても良いものである。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子の少なくとも一方の中間層の比抵抗を、高比抵抗層とCu或いはPdとのサンドイッチ構造或いはそれらの合金にすることにより高比抵抗にすることができ、それによって、磁気抵抗効果を損なうことなく静磁気結合による磁界を影響を相殺することができるので、ダイナミックレンジの大きな信頼性の高い磁気抵抗効果素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】 本発明の前提となる参考例の説明図である。
【図3】 本発明の第の実施の形態の説明図である。
【図4】従来のデュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子の説明図である。
【図5】従来の改良型デュアルスピンバルブ磁気抵抗効果素子の説明図である。
【符号の説明】
1 第1の反強磁性体層
2 第1の強磁性体層
3 第1の非磁性金属層
4 第2の強磁性体層
5 第2の非磁性金属層
6 第3の強磁性体層
7 第2の反強磁性体層
11 シリコン基板
12 下地層
13 反強磁性体層
14 ピンド層
15 Pd中間層
16 フリー層
17 Cu中間層
18 ピンド層
19 反強磁性体層
20 多層中間層
21 Cu層
22 Ta層
23 Cu層
31 反強磁性体層
32 ピンド層
33 Cu中間層
34 フリー層
35 Cu中間層
36 ピンド層
37 反強磁性体層
38 静磁気結合による磁界
39 センス電流
40 センス電流による磁界
41 センス電流による磁界
42 Ag中間層

Claims (2)

  1. 第1の非磁性金属層及び第2の非磁性金属層によりそれぞれ互いに分離された第1の強磁性体層、第2の強磁性体層、及び、第3の強磁性体層を備え、前記第2の強磁性体層が前記第1の非磁性金属層と前記第2の非磁性金属層との間に配置されるとともに、前記第1の強磁性体層及び第3の強磁性体層の磁化方向が互いに平行に固定され、且つ、前記第1の非磁性金属層及び第2の非磁性金属層の比抵抗が互いに異なるデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子において、相対的に比抵抗の大きな前記第1の非磁性金属層を、TaまたはWを、CuまたはPdで挟んだサンドイッチ構造で構成することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 第1の非磁性金属層及び第2の非磁性金属層によりそれぞれ互いに分離された第1の強磁性体層、第2の強磁性体層、及び、第3の強磁性体層を備え、前記第2の強磁性体層が前記第1の非磁性金属層と前記第2の非磁性金属層との間に配置されるとともに、前記第1の強磁性体層及び第3の強磁性体層の磁化方向が互いに平行に固定され、且つ、前記第1の非磁性金属層及び第2の非磁性金属層の比抵抗が互いに異なるデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子において、相対的に比抵抗の大きな前記第1の非磁性金属層を、TaまたはWの少なくとも一方と、CuまたはPdの少なくとも一方との合金層で構成することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
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