JP3766800B2 - 車両用折り畳み式階段 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、特にワンボックスやミニバンタイプの自動車におけるサイドスライドドアに適した乗り降り補助用の階段に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、RV(レクレーショナルビークル)と呼ばれる大型の自動車が流行しているが、これらRVタイプの車は総じて車高が高く、子供や老人、身体障害者にとっては乗り降りに難がある。そこで、サイドドアの下方に最初からステップ板が設けてあったり、サイドドアを開けると床下からステップ板がせり出してきたりする、乗降補助ステップを設けたタイプの車種が登場してきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような現在の一般的補助ステップは、健常者にとっては十分役に立つものであるが、幼児や足腰の弱った老人、車椅子の利用者など障害者にとっては段の高さが十分に低いとは言えない、ステップ幅が狭い、というような改善点が残されている。すなわち、いずれの補助ステップも健常者しか意識されておらず、ハンディを背負った者のことが考慮されているとは言い難い。
【0004】
そこで本発明では、健常者以外にも目を向けた万人向けの乗降補助手段を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の乗降補助手段は、車両に軸支された基端部をもち、直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を回動可能な第1段踏板と、この第1段踏板よりも下方で車両に軸支された基端部をもち、直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を回動可能な第2段踏板と、中間部が第2段踏板の側面部にヒンジ接続されるとともに一方の端部が第1段踏板の側面部にヒンジ接続された第1の連結アームと、この第1の連結アームよりも先端寄りで第2段踏板の側面部にヒンジ接続された第2の連結アームと、第1の連結アームの他方の端部及び第2の連結アームがそれぞれ側面部にヒンジ接続され、第1段踏板及び第2段踏板の回動動作に従い直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を移動する第3段踏板と、を少なくとも備えた3段以上の折り畳み式階段であることを特徴とする。
【0006】
この折り畳み式階段によると、3段としたことで一段一段の高さが減少するうえ、マジックハンドの原理で3段目が地面近くまで張り出すので、幼児や老人、身体障害者であっても非常に乗降しやすいものとなる。また、2段目と3段目の踏板を連結している連結アーム構造を3段目以降にも適用することで段数を適宜増やすことが簡単である。
【0007】
さらに、本発明の折り畳み式階段によると、折り畳み時に各踏板が直立状態となるようにしたことから、踏板の幅を広くとってもコンパクトに収納することが可能である。したがって、従来に比べ十分に広い幅の踏板を採用することができる。
【0008】
このような折り畳み式階段では、乗降に際する荷重によりサスペンションの作用で車両が傾いたときに水平(すなわち地面と平行)となるように、張り出し位置の各踏板が車両床面に対し傾斜するようにしておくのがよい。もちろん、厳密に水平となる必要はなく、見た目が水平となって、乗降者に安心感を与える程度でよい。その傾斜角は5度(±1度程度の差はあってよい)が適している。すなわち、体重やサスペンションの硬さにより車両の傾きは左右されるが、5度程度しておけば平均的に水平感を得られるからである。
【0009】
また、踏板を折り畳み方向へ付勢する付勢手段を設けておくと、折り畳み時の操作力を軽減させられ、力の弱い老人などでも手軽に操作できるようになる。すなわち、階段を張り出すときには階段が自重で独りでに動くのでそれほど力を要さずに操作できるが、逆に折り畳むときには、その階段の自重に逆らって折り畳む必要があるので重い。そこで、その自重に逆らう方へ、つまり踏板の折り畳み方向へ付勢力を発生するガススプリングなどのダンパを取り付けておけば、操作力を軽減させられる。
【0010】
さらにまた、連結アームから上方へ延設した操作グリップを備えておくと、腰をかがめたりすることなく自然な姿勢で操作を行えるのでよい。また、各踏板を網状にしておくことで、靴底についた泥や雪が踏板上に残りにくくなり、スリップ転倒や汚れの防止に役立つ。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の具体例を説明する。
【0012】
本例の折り畳み式階段1は、ワンボックスタイプのサイドスライドドア内に設置されるもので、図1に折り畳み位置、図2に張り出し位置の状態をそれぞれ斜視図で示している。また、図3には張り出し位置での側面図、図4には動作状態を示した。
【0013】
折り畳み式階段1は、第1段踏板2、第2段踏板3、第3段踏板4を備えた3段式で、それぞれを連結アーム5,6で連結したマジックハンド型の構造(平行リンク構造)をもっている。
【0014】
最上段となる第1段踏板2は、車室内床下部位へ固定した支持ブラケット10に側面部2aの基端部分を軸支点2bで軸支することで基端部としてあり、これを中心として直立状態の折り畳み位置(図1)と横臥状態の張り出し位置(図2)の間を回動できるように取り付けられている。また、その側面部2aの先端寄り(車室外側寄り)には、連結アーム5の一方の端部5aがヒンジ接続されている。
【0015】
中間段の第2段踏板3は、第1段踏板2との段差分下げた位置で且つ第1段踏板3の板厚分車室外側へずらした位置に支持ブラケット20で回動可能に取り付けられる。すなわち、側面部3aの基端部分を軸支点3bで支持ブラケット20に軸支して基端部とし、これを中心として直立状態の折り畳み位置(図1)と横臥状態の張り出し位置(図2)の間を回動できるように取り付けられている。この第2段踏板3の側面部3aの中間部分には、連結アーム5の中間部5bがヒンジ接続される。また、側面部3aのさらに先端寄りには、もう一つの連結アーム6の端部6aがヒンジ接続されている。この第2段踏板3は、本例では第1段踏板2の倍の板幅をもっている。もちろん、さらに幅広のものを採用することも可能である。
【0016】
最下段の第3段踏板4は、第2段踏板3と同じ板幅をもち、側面部4aの基端寄りに連結アーム5の他方の端部5cがヒンジ接続されるとともに、側面部4aの中間部分に連結アーム6の端部6bがヒンジ接続されている。
【0017】
これら両連結アーム5,6とも、折り畳んだときにぶつかり合わないで表面積を極力大きく採れる形状に工夫してあり(図1及び図4A参照)、強度を増してある。そして、これら連結アーム5,6の各端部間隔が一段一段の段差を決定する要素となっている。また、連結アーム6には、図1及び図2に示すように、上方へ延び出した操作グリップGが固定されている。この操作グリップGが上方へ延設されていることで、身をかがめることなく自然に立った姿勢で階段操作を行える。
【0018】
この操作性を向上させる補助としてさらに、図1及び図2に示すように、ガススプリングのダンパDを連結アーム5の一方の端部5aと支持ブラケット20との間に接続してある。このダンパDが付勢手段となって折り畳み方向への付勢力が常に働き、操作力を低減させることができる。また、階段1を張り出し位置へ引き倒したときの衝撃吸収作用も得ることができる。
【0019】
支持ブラケット10については、リブ部材30が接続されることで補強されており、さらに、図5に詳細を示すように第1段踏板2の軸支点2bよりも内側にストッパSが固定される。このストッパSは2つの固定孔S1,S2で固定するようにしてあるが、これら固定孔S1,S2は車室内床平面に対する高さを差dだけずらして設けてある。これにより、ストッパSの平板状突片Spは角度θほど傾いて固定されることになる。その傾斜角θの最適角度は5度である。なお、固定孔S1,S2の一方を長孔としておくことで、角度調整を行えるようにしておくこともできる。
【0020】
第1段踏板2は、軸支点2bからさらに延長された延長部2cを有しており、折り畳み位置から張り出し位置へ回動したときにこの延長部2cがストッパSの突片Spへ当接する。これにより、それ以上の回動が止められ、車室内床平面に対し傾斜角θだけ傾斜した横臥状態で各踏板2,3,4が張り出し位置に停止することになる。このように傾斜させておくと、乗降に際し、踏板2〜4に荷重がかかってサスペンションの作用で車両が傾いたときに、踏板2〜4は地面に対し水平の状態となる。もし、従来技術のようにこの傾きがなかったとすると、車両が傾くのにともなって踏板も外側へ向けて傾斜してしまうので、健常者ならともかく、老人や身体障害者にとっては不安を感じる原因となる。つまり、車両の傾き分の傾斜を予め踏板につけておくことで、実際の乗降時に水平を保て、不安を払拭できる。
【0021】
もう一つ安全性を増す目的から、本例では各踏板2〜4を網状としている(図1及び図2)。これにより、靴底に付着した泥や雪は網目を抜け落ちるので、踏板2〜4の汚れ防止、汚れによる滑り防止に貢献する。
【0022】
以上の構成をもつ本例の折り畳み式階段1の動作について、図4に示してある。図4Aが折り畳み位置、図4Bが途中位置、図4Cが張り出し位置での側面図である。
【0023】
図4Aの折り畳み位置では、各踏板2〜4とも直立状態にあり、横幅をとることなくコンパクトに収納されている。この状態で踏板2〜4は直立状態にあるので、板幅を広く採ったとしても上方へ伸びるだけで横幅には関係ない。つまり、収納スペースを増やすことなく踏板2〜4の幅を広くとることが可能である。また、この収納状態で車室内床面よりも上へ踏板2〜4が突出するようにしてあれば、車椅子の車輪止めや荷物止めとしての機能をもたせることもできる。
【0024】
図4Aの状態から操作グリップGを引き出すように操作すると、第1段踏板2及び第2段踏板3が軸支点2b,3bを支点に回動し、これにともなう連結アーム5,6の動作で第3段踏板4がせり出してくる。
【0025】
そして図4Cの張り出し位置まで操作すると、第1段踏板2の延長部2cがストッパSへ当接することで回動がストップし、各踏板2〜4が車室内床面に対し5度の傾斜をもった横臥状態で停止する。このときに、最下段の第3段踏板4は地面近くまでせり出し、しかも階段が3段あるので段差も小さく、非常に乗り降りしやすい乗降補助手段が提供されることとなる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、折り畳み位置で直立状態となるようにしたことで非常にコンパクトに収納可能でありながら踏板の幅を広くとれ、且つ、3段以上としたことで一段一段の段差が小さく抑えられることから、幼児や老人、身体障害者の乗降性を大きく向上させた車両用折り畳み式階段が提供される。
【0027】
また、張り出し位置で車両床面に対し踏板が傾斜するようにしたこと、及び踏板を網状にしたことで、乗降性をさらに向上せることができ、加えて、上方へ延設された操作グリップ及び折り畳み方向への付勢手段を設けたことで、非常に操作しやすいものが提供される。
【0028】
しかも、構造がシンプルなことから、各種車両への後付も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る折り畳み式階段の折り畳み位置における斜視図。
【図2】 本発明に係る折り畳み式階段の張り出し位置における斜視図。
【図3】 本発明に係る折り畳み式階段の張り出し位置における側面図。
【図4】本発明に係る折り畳み式階段の動作説明図。
【図5】第1段踏板に対するストッパ部分の拡大図。
【符号の説明】
1 折り畳み式階段
2 第1段踏板
3 第2段踏板
4 第3段踏板
5 第1の連結アーム
6 第2の連結アーム

Claims (6)

  1. 車両に軸支された基端部をもち、直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を回動可能な第1段踏板と、
    該第1段踏板よりも下方で車両に軸支された基端部をもち、直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を回動可能な第2段踏板と、
    中間部が前記第2段踏板の側面部中間部分にヒンジ接続されるとともに一方の端部が前記第1段踏板の側面部先端寄りにヒンジ接続された第1の連結アームと、
    該第1の連結アームよりも先端寄りで前記第2段踏板の側面部にヒンジ接続された第2の連結アームと、
    前記第1の連結アームの他方の端部が側面部基端寄りにヒンジ接続されるとともに前記第2の連結アームが側面部中間部分にヒンジ接続され、前記第1段踏板及び前記第2段踏板の回動動作に従い直立状態の折り畳み位置と横臥状態の張り出し位置との間を移動する第3段踏板と、
    を少なくとも備えたことを特徴とする車両用折り畳み式階段。
  2. 乗降に際する荷重で車両が傾いたときに水平となるように、張り出し位置の各踏板が車両床面に対し傾斜するようにしてある請求項1記載の車両用折り畳み式階段。
  3. 傾斜角を5度とした請求項2記載の車両用折り畳み式階段。
  4. 踏板を折り畳み方向へ付勢する付勢手段を設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用折り畳み式階段。
  5. 連結アームから上方へ延設した操作グリップを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用折り畳み式階段。
  6. 各踏板を網状にした請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用折り畳み式階段。
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