(1) 情報記録部付写真フイルム
従来タイプの写真フイルム(いわゆる35mmフイルム)は12駒,24駒または36駒撮りのロール・フイルムである。この写真フイルムは現像後は6駒の長さに切断され,一般にシースに格納されて保存される。従来タイプの写真フイルムには撮影した被写体の画像およびその駒番号が記録されるだけである。被写体の画像に関する情報(たとえば画像を端的に表わす情報,撮影日,シャッタ・スピードなど)は駒番号を除いては記録されない。このため駒番号以外の,被写体の画像に関する情報はシースに書込むか,別の紙などにメモしておかなければならない。従来の写真フイルムには記録できない画像を端的に表わす情報,撮影日,シャッタ・スピード等の被写体の画像に関する情報を記録することのできる新しいタイプの写真フイルムが開発されている。この実施例による画像ファイル・プリント装置ではこの新しいタイプの写真フイルムが用いられる場合について説明する。もちろん従来のタイプの写真フイルム,写真などを用いることができるのはいうまでもない。
図1は新しいタイプの写真フイルム,すなわち情報記録部付写真フイルムを示している。
写真フイルム1は,パトローネ5内に回転自在に設けられたスプール(図示略)にその端末が固定されている。図1は写真フイルム1がパトローネ5から引出された状態を示している。
写真フイルム1の先端部にはカメラの写真フイルム巻取軸の一部に係合させるためのいくつかのパーフォレーション2aまたは1もしくは複数の切欠きが形成されている。
先端部および端末部の適当な長さの部分を除いて,写真フイルム1の全体には画像を記録する領域4がある(この領域は写真撮影によって形成されるもので,図1では説明の便宜のために鎖線で示されている)。また画像記録領域4の下側に細長い帯状の光学情報記録部6が設けられている(この領域6も露光と現象によって形成されるもので,図1では説明の便宜のために鎖線で示されている)。
画像記録領域4の両側に細長い帯状の磁気情報記録領域3b,3dが設けられている。一方の磁気情報記録領域3dは光学情報記録部6と重なっている。また,他方の磁気情報記録領域3bの間に,各画像記録領域4に対応して1つずつパーフォレーション2bが形成されている。このパーフォレーション2bは主に画像記録領域4をカメラにおける結像位置に位置決めするために用いられる。
写真フイルム1の先端部分にもまた磁気情報記録領域3a,3cがその両側に設けられている。
磁気情報記録領域3a,3b,3cおよび3dは一般には透明磁性体をフィルム上に塗布することにより形成される磁気記録層である。写真フイルム1の一側に設けられた磁気情報記録領域3aおよび3bは一般にラボラトリィにおいて使用される。写真フイルム1の他側に設けられた磁気情報記録領域3cおよび3dは一般にユーザの入力に応じてまたはカメラが自動的に情報(データ)を記録するために用いられる。光学情報記録領域6も情報を記録するために用いられる。
先端部分の磁気情報記録領域(リーダ情報記録領域)3aおよび3cは1本のフイルム1に関する情報(フイルム情報)の記録のために用いられる。各画像記録領域4に対応して設けられた磁気情報記録領域(フレーム情報記録領域)3bおよび3dは各領域4に記録された画像に関する情報(フレーム情報)の記録のために用いられる。光学情報記録領域6はメーカ・コード等の情報を記録するものである。
一例を挙げると,ユーザが利用するリーダ情報記録領域3cには,その写真フイルムを用いて撮影された画像全体が関係する包括的な情報が記録される。この情報をIX1と呼ぶ。
ユーザが利用するフレーム情報記録領域3dに記録される情報には,ユーザがカメラに入力するタイトル情報(タイトルとは,画像を端的に表わすものであり,たとえば「花の写真」,「動物の写真」,「子供達の写真」,「旅行」などである)と,カメラが自動的に記録する情報(たとえばその駒の画像を撮影するときに用いたシャッタ速度など)とが含まれる。これらの情報を情報IX2と呼ぶ。ユーザが入力する情報のみを情報IX2としてもよい。
図2は写真フイルムの磁気情報記録領域3a,3b,3cおよび3dにおけるデータ配置(フォーマット)を示している。このデータ・フォーマットは情報IX1およびIX2の両方に適用され,SS,VER,ID,LNG,DATA,LCRおよびESが含まれる。
SSはStart Sentinalの略で,データ列の開始を表わすコードである。VERは記録フォーマット(規格)のバージョンを示す。IDは記録される情報の種類(IX1,IX2など)を表わす。LNGは次に続くデータの長さを示す。DATAは記録したい,または記録すべき情報を表わすデータである。LCRはCRCチェック・コードである。ESはEnd Sentinalの略で,データ列の終了を表わすコードである。
このようなフォーマットのデータ列が一つの磁気情報記録領域3a,3b,3cまたは3dに1または複数個設けられる。たとえば,フレーム情報記録領域3dにはユーザが入力したデータを表わすデータ列と,カメラが書込むべきデータを表わすデータ列とが記録される。必要に応じて,信頼性を高めるために,磁気情報記録領域には同一のデータ列が並列に複数個記録される。
(2) 情報記録部付写真フイルム用カメラ
このような情報記録部付写真フイルムを取扱うことが可能なカメラの構成の一部が図3に示されている。この図では写真フイルムの磁気情報記録領域3a,3b,3cおよび3dへの記録に関する構成が主に示され,撮像光学系等の構成については図示が省略されている。
パトローネ5はカメラ内のフォークに回転自在に支持される。パトローネ5から引出された写真フイルム1の先端部は写真フイルム巻取軸16に巻付けれる。パーフォレーション2bを検出する光電センサ12が設けられており,この検出信号は制御装置10に与えられる。制御装置10はモータ14を駆動して巻取軸16を回転させて写真フイルム1を順次巻取らせるとともに,光電センサ12の検出信号に基づいて画像記録領域4が結像位置にくるように写真フイルム1を撮影ごとに位置決めする。
ユーザ用の磁気情報記録領域3c,3dに情報を記録するために磁気ヘッド11が磁気情報記録領域3c,3dの走行路上に設けられている。写真フイルム1が巻取られる(走行する)過程で,制御装置10の制御の下に,ヘッド駆動回路13を介して磁気ヘッド11によって,入力装置15から入力された情報または制御装置10が生成した情報が,磁気情報記録領域3c,3dに磁気記録されることになる。
入力装置15は数字や文字を入力するものである。たとえば,入力装置15は数値キー,アルファベット・キー等を含む。必要に応じて入力装置15は表示装置を含み,キー入力された情報が表示装置に表示される。キーの数を少なくするために,一つのキーを押すごとに表示される文字が変化し,ユーザが表示された文字を選択できる構成とすることもできる。
(3) フイルム・スキャナ
図4は情報記録部付写真フイルム1に記録された画像および情報を読取るフイルム・スキャナの概略構成を示している。
写真フイルム1はパトローネ5から引出され,写真フイルム巻取軸24に巻取られる。写真フイルム1はフイルム給送機構(図示略)によって所定速度で搬送される。
光源21からの光が搬送されるフイルム1に照射される。フイルム1の画像記録領域に表わされた画像を表わす光はレンズ系22によってCCDライン・センサ23上に結像する。CCDライン・センサ23は写真フイルム1の長手方向と直交する方向に配列された多数の(たとえば2048個)の光電変換素子を含む。フイルム1が送られる過程でCCDライン・センサ23から一ライン分ずつの映像信号が画像処理装置26に与えられる。フイルム1が一画像記録領域の長さ送られると,一駒分の画像データが得られることになる(たとえば最も細かいピッチで送られたときに画像記録領域4について2048×3072画素の解像度の画像データが得られる)。
画像処理装置26はCCDライン・センサ23から得られる映像信号(またはA/D変換後のディジタル画像データ)を処理する信号処理回路(ホワイト・バランス回路,ガンマ補正回路,ネガ/ポジ反転回路等のうちの必要なものを含む),A/D変換回路等から構成される。写真フイルム1が最も細かいピッチで送られたときに得られるディジタル画像データを原ディジタル画像データという。原画像データは後述の画像メモリ35に与えられる。
原画像データはプリント用のものである。この原画像データを縦 1/2 ,横 1/2 に縮小することによりいわゆるハイビジョン用の画像データが得られる。このハイビジョン用画像データをさらに縦 1/2 ,横 1/2 に縮小することにより標準画像データが得られる。この標準画像データをさらに縦 1/8 ,横 1/8 に縮小することにより縮小画像データが得られる。画像の縮小は間引き処理または複数の隣接画素ごとに平均化処理することにより行なわれる。この縮小処理は後述の拡大縮小回路44により行なわれる。(一行なし)フイルム・スキャナにおいてフイルム1の送りピッチを変えることにより解像度の異なる画像データを得ることもできる。
図4に示す読取装置において,写真フイルム1の搬送路にはその磁気情報記録領域3c,3dが通過する位置に磁気ヘッド25が設けられている。磁気ヘッド25はフイルム1が送られる過程で,磁気情報記録領域3c,3dに磁気記録されている情報を読取り,その読取信号を磁気読取回路27に送る。磁気読取回路27は読取信号に必要な処理(復調,エンコード等)を加えて後述のMPU30に与える。
(4) 画像ファイル・プリント装置
図5は画像ファイル・プリント装置の電気的構成を示している。
この画像ファイル・プリント装置は種々の場所に設置される。たとえば,フイルム現像所(店),写真店,デパート,コンビニエンス・ストア,その他の店舗等である。この画像ファイル・プリント装置は一般的には顧客(ユーザ)によって操作される。フイルム現像所等のオペレータが常駐している場所では画像ファイル・プリント装置をすべてオペレータが操作してもよい。
この画像ファイル・プリント装置が取扱う媒体には大別して2種類ある。その一は,写真フイルム,印画紙にプリントされた写真,印刷物(写真を含むポスター,カレンダ)などの画像を可視的に表わすものである。これらを可視画像媒体という。その二は光ディスク,光磁気ディスク,磁気ディスク,メモリ・カード等の画像を表わすディジタル・データを記録(また記憶)するものである。これらをディジタル媒体という。
この画像ファイル・プリント装置は大別して2つの機能をもつ。それはフォトジョイ・プリント・サービス(画像合成処理)とディジタル出力サービス(画像変換処理)である。
フォトジョイ・プリント・サービスでは,入力媒体として可視画像媒体およびディジタル媒体のいずれもが用いられる。出力媒体としてプリント,メモリ・カード,光磁気ディスクまたは磁気ディスクが用いられる。フォトジョイ・プリント・サービスでは,入力媒体に記憶されている画像を,拡大,縮小,回転,テンプレート画像への貼り付け,色変換処理などの画像加工処理が行なわれて出力される。
ディジタル出力サービスでは,入力媒体として可視画像媒体が用いられる。出力媒体としてディジタル媒体が用いられる。ディジタル出力サービスでは可視画像媒体に記録されている画像を読取り,読取った画像を表わすディジタル画像データに変換し,ディジタル媒体に記録する。
画像ファイル・プリント装置は,MPU30によって全体の動作が統括される。
画像ファイル・プリント装置には,合成した画像その他の情報を表示するための表示装置33,表示装置33のインタフェイス(ビデオ・インタフェイス)34,表示装置33の表示画面上に配置されユーザからの指令を受付けるタッチパネル32,タッチパネル・インタフェイス31,画像データを一旦記憶する画像メモリ35,SCSI(Small Computer System Interface )36,プリンタ37,磁気ディスクを駆動するフロッピー・ディスク・ドライバ39,ハード・ディスク・ドライバ40,光磁気ディスク・ドライバ46,メモリ・カード・リーダ47が含まれている。また画像ファイル・プリント装置には新写真フイルム,従来タイプの写真フイルムまたは写真に表わされた画像を読取るスキャナ42(新写真フイルムが入力媒体の場合にはスキャナ42は図4に示す構成のものとなろう。),スキャナ・インタフェイス43,画像データによって表わされる画像を拡大および縮小する拡大縮小回路44,およびデータを一時的に記憶するRAM45が含まれている。
さらに画像ファイル・プリント装置には,画像ファイル・プリント装置を用いて行なったサービスの内容(フォトジョイ・プリント・サービスか,ディジタル出力サービスか,画像加工処理の内容は何か,プリント枚数は何枚かなど)を表わすスリップを印刷するスリップ・プリンタ48およびそのサービスの内容を表わすデータを送信するモデム49が含まれている。
ユーザは表示装置33の表示にしたがってフォトジョイ・プリント・サービスおよびディジタル出力サービスの操作を行なう。すなわち,表示装置33の表示画面上にはタッチパネル32が形成されている。このタッチパネル32はインタフェイス31を介してMPU30と接続されている。表示装置33の表示面上に,操作を誘導するガイダンス(イラスト,文などよりなる)と,タッチすべき一または複数の区画とが表示される。各区画内にはキーの機能(数値を含む)が表示される。これにより,機能キーおよび数値キーが実現される。オペレータまたはユーザが指でタッチした区画の位置を表わす入力信号がMPU30に与えられる。このタッチパネルを利用してユーザは処理(サービス)の種類の選択(フォトジョイ・プリント・サービスかディジタル出力サービス),入力媒体の指定,出力媒体に記録すべきまたはプリントすべき駒の指定その他の入力を行う。
スキャナ42は,新写真フイルム,従来の写真フイルムまたは写真,印刷物などの反射原稿に表われている画像を読取り,その画像を表わす画像データを出力するものである。スキャナ42はスキャナ・インタフェイス43を介してMPU30と接続されている。従来の写真フイルムのスキャナであれば光源,撮像光学系,ライン・センサ(または二次元撮像素子),フイルムまたはライン・センサの移送機構,信号処理回路,A/D変換回路等を含むであろうし,反射原稿のスキャナであればフラット・ベッド・スキャナが用いられるであろう。フラット・ベッド・スキャナはフラット・ベッドを備え,このフラット・ベッド上に読取るべき反射原稿が置かれる。光源からの光が反射原稿に投射され,反射原稿からの反射光がライン・センサまたは二次元撮像素子に入力する。ライン・センサまたは撮像素子から出力される映像信号は所定の処理ののちディジタル画像データとして出力される。
RAM45はデータを一時に記憶する。画像メモリ35はスキャナ42,各ディスク・ドライバ39,40もしくは46またはメモリ・カード・リーダ47から読出された画像データを記憶する。拡大縮小回路44は画像データによって表わされる画像を拡大および縮小する回路である。この回路44は画像データの圧縮/伸長も行う。
ハード・ディスク・ドライバ40は,ハード・ディスクへのデータの書込み,ハード・ディスクに記録されているデータの読出しを行なうものである。
フロッピー・ディスク・ドライバ39,光磁気ディスク・ドライバ46またはメモリ・カード・リーダ47はそれぞれ入,出力媒体としての磁気ディスク,光磁気ディスクまたはメモリ・カードに画像データを含むデータの書込み,または磁気ディスク,光磁気ディスクまたはメモリ・カードからの読出し,データの書換え等を行なうものである。
プリンタ37は,与えられる画像データによって表わされる画像をプリントする。
(5) ハード・ディスクのファイル構造
図6から図8は,画像ファイル・プリント装置に含まれるハード・ディスクのファイル構造(データ構造)を示している。このファイル構造は論理的に示すものであり,物理的な構造を示しているものではない。図6から図8に示す各種データはひとかたまりの連続した状態になくとも,分散した状態にあってもよい。また画像合成装置に複数枚のハード・ディスクがある場合には1枚のハード・ディスク上に図6から図8に示すすべてのデータが存在しなくとも,複数枚のハード・ディスク上に分散して記録されていてもよい。
ハード・ディスクには,ハード・ディスクに記録されているすべてのデータを管理するディレクトリ管理領域,OS(Operating System)が記録されているOS記録領域,フォトジョイ・プリント・サービスおよびディジタル出力サービスのためのソフトウェアが記録されているアプリケーション・ソフトウェア記録領域,合成すべき被写体画像の背景画像となるテンプレート画像を表わすテンプレート画像データが記録されているテンプレート・データ記録領域,テンプレート画像上に合成すべき被写体画像の合成位置および合成エリアを規定するマスク画像を表わすマスク画像データが記録されているマスク・データ記録領域,画像合成に利用される合成情報を記憶している合成情報記録領域および未使用領域が含まれている。
図7にテンプレート・データ記録領域の詳細が示されている。
テンプレート画像データには,表示装置33の表示画面に表示される合成画像を生成するときに用いられる画面表示用テンプレート画像データと,プリンタ37を用いて合成画像を印刷するときに用いられ,画面表示用テンプレート画像データよりも高解像度の印刷用テンプレート画像データとがある。このためにテンプレート画像データ記録領域には画面表示用テンプレート画像データ記録領域と印刷用テンプレート画像データ記録領域とが含まれている。画面表示用テンプレート画像データ記録領域および印刷用テンプレート画像データ記録領域に画面表示用テンプレート画像データおよび印刷用テンプレート画像データが記録されている。
この実施例による画像ファイル・プリント装置では,複数種類のテンプレート画像のうち一種類のテンプレート画像を選択し,選択されたテンプレート画像に被写体画像を合成することができる。このために画面表示用テンプレート画像データ記録領域および印刷用テンプレート画像データ記録領域はさらにテンプレート画像の種類に応じた記録領域(たとえばデコレーション画面表示用テンプレート画像データ記録領域,フォトフレーム画面表示用テンプレート画像データ記録領域など)に分けられ,これらの各領域にテンプレートの種類に対応したテンプレート画像データが記録されている。
さらに,同一の種類の中であっても複数のタイプのテンプレートがある。たとえばデコレーションのテンプレートであっても異なる被写体画像の表示数および表示方向を縦にするか横にするかなどのタイプ(タイプ1,2など)があり,このタイプごとにテンプレート画像データが記憶されている。
さらにこの実施例による画像ファイル・プリント装置では同一のテンプレートのタイプの中であってもさらに複数の異なる装飾のタイプをもつテンプレートがある。たとえばデコレーションのテンプレートであって,かつ被写体画像を3駒横に配置する場合でも異なるタイプの装飾がある(たとえば結婚式用の装飾など)。この装飾のタイプごとにテンプレート画像データが記憶されている。
したがってテンプレートは種類,タイプおよび装飾のタイプのすべてが定まって初めて1つのものが規定される。
図8にマスク画像データ記録領域の詳細が示されている。
テンプレート画像データ記録領域およびマスク画像データ記録領域ではビット・マップ・データの形式でデータ圧縮されてテンプレート画像データおよびマスク画像データが記録されている。
再び図6を参照して,ディレクトリ管理領域には,各画面表示用テンプレート画像データへのパス(パスは各データが格納されている記憶場所をコンピュータがアクセスするのに必要な情報である),各印刷用テンプレート画像データへのパス,各画面表示用マスク・データへのパス,各印刷用マスク画像データへのパス,その他のデータが格納されている。ディレクトリ管理領域に格納されているこれらのパスを参照することにより,各画像データにアクセスすることが可能となる。
合成情報記録領域には,画像合成に利用される情報が格納されている。合成情報には,合成画像数,合成画像エリアの位置情報,タイトル数,タイトル合成位置,タイトル・フォントのタイプ・フェイス名,タイトル・フォント・サイズ,タイトル・フォント・カラー,タイトル・レイアウトがある。
合成画像数は,テンプレートに合成する被写体画像の数を表わす。合成画像エリアの位置情報は,テンプレート画像において合成する被写体画像に必要な大きさを規定する合成規定範囲の位置および大きさを表わす(詳しくは後述する)。タイトル数は後述のようにテンプレート画像にタイトルを付加する場合に,そのタイトルの数を表わす。タイトル合成位置は,タイトルをテンプレート画像上に付加する場合にタイトルの開始位置を示す(詳しくは後述する)。タイトル・フォントのタイプフェイス名は,タイトルがゴシック体か明朝体かを示す。タイトル・フォント・サイズはタイトルのフォント・サイズを表わす。タイトル・フォント・カラーはタイトル色を表わす。タイトル・レイアウトは,そのタイトルを左詰めにするか,センタリングするか,右詰めにするかを表わす。
このような合成情報は,種類,タイプおよび装飾タイプがすべて定まり最終的に規定されたテンプレート画像データに対応して合成情報記録領域に,コード・データとして記録されている。
図9(A) にテンプレート画像の一例が示されている。図9(B) にマスク画像の一例が示されている。図9(C) に合成情報の一例が示されている。このようなテンプレート画像を表わすテンプレート画像データがテンプレート・データ記録領域に記録され,マスク画像を表わすマスク画像データがマスク・データ記録領域に記録され,合成情報を表わすデータが合成情報記録領域に記録される。
図10および図11は,合成情報に含まれる合成画像エリアの位置情報およびタイトル合成位置情報を説明するためのものである。合成画像エリアの位置情報およびタイトル合成位置情報にはそれぞれ合成規定範囲Syn(nは合成規定範囲の番号で図10および図11に示す場合では,1〜3である)の開始位置および大きさが含まれる。この開始位置はテンプレート画像の左上隅を原点とした場合の合成規定範囲Synの左上隅の座標(xsf,ysf)(fも合成規定範囲の番号で図10および図11に示す場合では1〜3である)で示される。また合成規定範囲の大きさは,水平方向の大きさをxnfで,垂直方向の大きさをynf(fは合成規定範囲の番号)を表わしている。
テンプレート画像に合成すべき被写体画像が,合成規定範囲の大きさよりも小さいと合成された画像に白枠または黒枠などができてしまう。このため,上記被写体画像が上記合成規定範囲の大きさよりも小さい場合にはその旨が報知される。これによりテンプレート画像に合成すべき被写体画像が,上記マスク画像によって規定される合成規定範囲の大きさよりも小さい場合に,合成された画像に白枠または黒枠などができるのを防止できる。
(6) 画像合成
図12は,画像合成処理を説明するためにテンプレート画像,マスク画像,合成すべき被写体画像および合成画像の関係を斜視的に示している。
画像合成においては,テンプレート画像が選択され,ハード・ディスクから選択されたテンプレート画像を表わすテンプレート画像データが読出される。また選択されたテンプレート画像データに対応するマスク画像データがハード・ディスクから読出される。つづいて合成すべき被写体画像データがユーザが持参した可視画像媒体またはディジタル媒体から読出される。
合成すべき被写体画像と,マスク画像とを重ね合わせたときに,ハッチングで示すマスク部分AM に該当する部分の被写体画像についてはテンプレート画像上に合成されない。これに対して,合成エリア部分AW (マスク部分AM 以外)に該当する部分の被写体画像についてはテンプレート画像上に合成され,合成画像が生成される。マスク画像の合成画像エリア部分AW と合成すべき被写体画像との位置関係は,画像ファイル・プリント装置を操作するユーザによって調整される。
(7) 画像ファイル・プリント装置の配置
図13は画像ファイル・プリント装置が配置されているコンビニエンス・ストアの平面図を示している。
コンビニエンス・ストアなどでは店の大きさの制限などから,画像ファイル・プリント装置が店員の目の届く場所に置かれるとは限らない。一般的には,多くの場所を必要とする食料品,飲料水,文具,雑貨,雑誌の置き場所が決められ,余った場所に画像ファイル・プリント装置が置かれることとなろう。
図13に示す例では,コンビニエンス・ストアの入口近くに画像ファイル・プリント装置200 が置かれている(画像ファイル・プリント装置200 とキャッシュ・レジスタ210 とは接続されていない。但し後述のように(図35),画像ファイル・プリント装置200 とキャッシュ・レジスタ210 とをオンライン接続してもよい)。コンビニエンス・ストアの店員は売上をレジスタに登録する。店員は顧客が画像ファイル・プリント装置200 を使っている様子を見ている訳ではないので,内容はわからない。このためこの実施例による画像ファイル・プリント装置200 では,顧客が画像ファイル・プリント装置200 を用いてサービスを受けた内容がスリップとして印刷される。顧客がこのスリップを店員に見せることにより店員は画像ファイル・プリント装置200 が行なったサービスの内容を知ることができ,料金を請求し,代金をもらいレジスタへの売上の登録を行うことができる。
(8) 画像ファイル・プリント装置における各種処理
図14から図18は画像ファイル・プリント装置200 におけるフォトジョイ・プリント・サービスおよびディジタル出力サービス等を含む各種処理の処理手順を示すフローチャートである。図19から図33は画像ファイル・プリント装置200 の表示装置33に表示される画面の一例を示している。表示装置33に表示される画面を生成するデータはとくに断わらない限りアプリケーション・ソフトウェア記録領域に記録されている。図34(A) 〜(E) はレシート・プリンタ48から出力されるレシートの一例を示している。
(i)初期設定およびサービス選択
初期状態においては,図19に示すようなスタート画面が表示装置33に表示される(ステップ122 )。スタート画面には区画AS1〜AS5が含まれている。メンテナンス・マンの指が区画AS1にタッチすると,後述する各種サービス処理(フォトジョイ・プリント・サービス,ディジタル出力サービスなど)に移行する。メンテナンス・マンの指が区画AS2にタッチすると,表示装置33に表示される画像の色の調整などの各種メンテナンス処理に移行する。メンテナンス・マンの指が区画AS3にタッチすると,暗証番号設定処理に移行する。メンテナンス・マンの指が区画AS4にタッチすると,OSメニュー表示画面に移行する。メンテナンス・マンの指が区画AS5にタッチすると,サービスの累計表示などのサービス管理処理に移行する。
メンテナンス・マンの指が区画AS1にタッチすると(ステップ123,124でYES ),表示装置33には図20に示す一般サービス画面が表示される(ステップ125 )。
一般サービス画面には,処理を開始させるときにメンテナンス・マン(またはオペレータ)の指によってタッチされる区画A08と処理を終了させるときにメンテナンス・マン(またはオペレータもしくは店員)の指によってタッチされる区画A09とが含まれている。メンテナンス・マン(またはオペレータもしくは店員)の指によって区画A08がタッチされることにより図21に示すようなサービス選択画面が表示される(ステップ126 でYES ,128 )。メンテナンス・マンの指によって区画A09がタッチされることによりサービスは終了する(ステップ126 でNO,127 でYES )。
サービス選択画面には枠で囲まれた3つの区画A10,A11およびA12が表示される。これらの区画A10,A11およびA12のうち区画A11上をユーザがタッチすることによりフォトジョイ・プリント・サービスが開始され,表示装置33の画面は図22に示すように入力媒体選択画面に切換わる(ステップ129 ,図15ステップ51)。フォトジョイ・プリント・サービスが選択されたことはRAM45に記憶される(ステップ130 )。
図21において区画A12は図5に示す画像ファイル・プリント装置においてディジタル出力サービスを実行する場合にユーザによってタッチされる。区画A10は前画面に戻す場合にユーザによってタッチされる。区画A12がタッチされることによりディジタル出力サービスに適した画面に切換わる。この場合にも図22の入力媒体選択画面が表示される(図17,ステップ87)。ディジタル出力サービスが選択されたことはRAM45に一旦記憶される(ステップ131 )。
(ii)フォトジョイ・プリント・サービス
図21に示すサービス選択画面において,区画A11がタッチされることによりフォトジョイ・プリント・サービスが開始する。
図22を参照して入力媒体選択画面には枠で囲まれた区画A21,A22,A23,A24,A25およびA26が表示される。区画A21は入力媒体が新写真フイルムのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A22は入力媒体が従来タイプの写真フイルムのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A23は入力媒体が反射原稿のときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A24は入力媒体が光磁気ディスクのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A25は入力媒体が磁気ディスクのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A26は入力媒体がメモリ・カードのときにユーザによってタッチされる区画である。
区画A21〜A26のうち入力媒体に合った区画がユーザによってタッチされる(ステップ52)。スキャナ42,フロッピー・ディスク・ドライバ39,光磁気ディスク・ドライバ46またはメモリ・カード・リーダ47のうち入力媒体に適したものが装着される。選択された入力媒体の種類を表わすデータもRAM45に記憶される(ステップ53)。
ここではユーザによって区画A21がタッチされ,入力媒体として新写真フイルムが選ばれたものとする(ステップ54でYES )。新写真フイルムが入力媒体として選ばれると,新写真フイルムを画像ファイル・プリント装置に装着するためのガイドが表示装置33上に表示され,新写真フイルムを装着するためにスキャナ42のドアが開く(ステップ56)。ユーザはスキャナ42に新写真フイルムを装着したのち,スキャナ42のドアを閉じる。
フィルム・スキャナ42に装着された新写真フイルムに記録されたすべての画像が読取られる。読取られた画像を表わす画像データは拡大縮小回路44において画像データの間引きが行なわれ縮小画像を表わす画像データが得られる。この縮小画像データがハードディスク(ハードディスク・ドライブ40)に記憶される。
画像ファイル・プリント装置への新写真フイルムの装着が終ると,図23に示すテンプレート種類選択画面に切換わる(ステップ58)。テンプレート種類選択画面では区画A30,A31,A32,A33,A34,A35,A36,A37,A38およびA39が表示される。区画A30はラージ・インデックス(ラージ・インデックスとは入力媒体に記録されている複数の画像を一覧表示するものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A31はフォトフレーム(フォトフレームは,写真立てに飾られる写真のように入力媒体に記録される画像を表わすものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A32は表紙ポスター(表紙ポスターは,雑誌やポスターなどのようにして入力媒体に記録される画像を表わすものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A33はカレンダー(カレンダーは,入力媒体に記録される画像をカレンダーの一部に表わすものである)でプリントする場合にユーザよってタッチされる区画である。区画A34はデコレーション(デコレーションは入力媒体に記録される画像の一部または全部を抽出し,抽出した画像を飾り付けした画像を表わすものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A35は大伸し(大伸しは入力媒体に記録されている画像を拡大するものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A36は,アート(アートは入力媒体に記録されている画像を芸術的に装飾するものである)でプリントする場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A37はマルチ・サイズ(マルチ・サイズは大きさが異なる複数の同一の被写体画像を表わす)でプリントするときにユーザによってタッチされる区画である。区画A38はディジタル・ダイレクト(ディジタル・ダイレクトは入力媒体がディジタル媒体であるときにディジタル媒体から読出した画像データによって表わされる画像を表わす)でプリントするときにユーザによってタッチされる区画である。区画A39はテンプレートの種類の説明が必要なときにユーザによってタッチされる区画である。
この実施例では,ユーザによって区画A34がタッチされ,デコレーションが選択されたものとする(ステップ59でYES )。区画A34以外の区画がユーザによってタッチされたときにはタッチされた区画に応じて表示装置33の表示が切換わり,それに応じた処理に進む。
区画A34がユーザによってタッチされると,表示装置33の表示画面は図24に示すメニュー説明画面に切換わる(ステップ60)。メニュー説明画面には,領域A41,区画A42,A43およびA44が表示される。領域A41に,ユーザが選択したテンプレートがどのようなものかどのような被写体画像を合成するのに適しているかを示す説明文が表示される。説明文が多いときには,選択したテンプレートのすべての説明文を領域A41に表示することができない。このために画面をスクロールさせて説明文を読むためにタッチされるのが区画A43またはA44である。また区画A42をユーザがタッチすることにより図23に示すテンプレート種類画面に戻る。メニュー説明文の最後のページになると新たな区画(図示略)が表示される。この新たな区画をユーザがタッチすることにより表示装置33の表示画面には図25に示すテンプレート・タイプ選択画面に切換わる(ステップ61)。
テンプレートには,デコレーション,カレンダー,表紙ポスターなどの多くの種類があるが,そのうちの1種類のテンプレートの中にさらにテンプレートのタイプがある。このテンプレートのタイプを選択するときに表示装置33に表示されるのが図25に示すテンプレート・タイプ選択画面である。
テンプレート・タイプ選択画面には区画A51,A52,A53,A54,A55およびA56ならびにA42が表示される。区画A51は,3駒の画像をテンプレートに縦に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A52は5駒の画像をテンプレートに縦に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A53は8駒の画像をテンプレートに縦に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A54は3駒の画像をテンプレートに横に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A55は5駒の画像をテンプレートに横に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A56は8駒の画像をテンプレートに横に配置して画像合成するときにユーザによってタッチされる区画である。区画A51〜A56のうちいずれかの区画がユーザによってタッチされると(ステップ62),表示装置33の表示画面は図26に示すテンプレート装飾タイプ選択画面に切換わる(ステップ63)。
選択されたテンプレートのタイプ(テンプレートに合成する画像の駒数および配置方向)には多くのタイプがあるがそのうちの1つのタイプの中にさらにテンプレートの装飾のタイプがある。この装飾のタイプを選択するときに表示装置33に表示されるのが図26に示す装飾選択画面である(ステップ63)。
装飾選択画面には領域A60ならびに区画A10およびA13が表示される。領域A60にはテンプレートの装飾を選択するための区画が複数ある。ユーザは,領域A60内にある区画のうち所望の装飾を表わす区画をタッチする(ステップ64)。
このようにテンプレートの種類,タイプおよび装飾タイプすべてを選択することにより,画像合成に用いられるテンプレートが特定される。選択された,テンプレートの種類,タイプおよび装飾タイプを表わすデータもRAM45に記憶される(ステップ65)。
使用すべきテンプレートが特定されると,テンプレート画像データのデータ伸長,テンプレートに合成すべき被写体画像の選択,テンプレート画像への被写体画像の合成,印刷用合成画像データの生成処理が行なわれる(ステップ66)。
まず,特定されたテンプレート画像を表わす画面表示用テンプレート画像データおよびこの画面表示用テンプレート画像データに対応する印刷用テンプレート画像データがハード・ディスクからそれぞれ読出される。読み出された画面表示用テンプレート画像データおよび印刷用テンプレート画像データは画像メモリ35に与えられ一旦記憶される。印刷用テンプレート画像データは画像メモリ35から読出され拡大/縮小回路44に与えられる。ハード・ディスクに記憶されている印刷用テンプレート画像データはデータ圧縮されているので,拡大/縮小回路44においてデータ伸長が行なわれる。データ伸長された印刷用テンプレート画像データは再び画像メモリ35に与えられ記憶される。
ハード・ディスクから読出された画面表示用テンプレート画像データおよび印刷用テンプレート画像データに対応した,画面表示用マスク画像データおよび印刷用マスク画像データがハード・ディスクから読出される。印刷用マスク画像データもデータ圧縮されているので拡大/縮小回路44においてデータ伸長される。データ伸長された印刷用マスク画像データも画像メモリ35に与えられ一旦記憶される。
さらにユーザによって特定されたテンプレート画像に対応する合成情報もハード・ディスクから読出され,RAM45に一旦記憶される。
つづいて表示装置33の表示画面には画像選択画面が表示される(たとえば,図32参照)。この画面にはユーザが持参した新写真フイルムから読出された画像の縮小画像データ(上述のようにすでにハード・ディスクに記憶されている)によって表わされる縮小画像が一覧表示される。所望の縮小画像上をユーザがタッチすることによりテンプレート画像上に合成すべき画像の選択が行なわれる。テンプレート画像に合成できる対象画像数はテンプレートのタイプにより定まっているので,このタイプに対応した数だけユーザは対象画像を選択できる。
ユーザによる画像の選択が終了すると,表示装置33の表示画面ははめ込み画面に切換わる。はめ込み画面には,ユーザが選択したテンプレートの画像とユーザが選択した対象画像が表示される。この画面上において,ユーザは画像とそれを合成すべきテンプレート画像上の合成エリアの位置とを指定する。すると,ユーザによって選択された対象画像が,テンプレート画像の所望の合成エリアに表示される。ユーザは画像の大きさ,上,下,左,右位置,傾きを調整する。位置指定,大きさの調整,角度(回転)調整および位置合わせの情報は選択された画像に対応してRAM45に記憶される。合成すべき画像が複数個あれば同様の処理が繰返される。以上のようにして表示装置33の表示画面上における画像合成が終了する。
つづいて印刷のための画像合成に移る。
印刷のための画像合成においてはユーザが持参した新写真フイルムに記録されている画像のうち,表示装置33の表示画面の画像合成において選択された対象画像がスキャナ42によって新写真フイルムから読取られ,その画像表わす画像データ画像メモリ35に記憶される。どの画像を読取ればよいかは新写真フイルムに記録されているIX情報が用いられる。
画像メモリ35に記憶された画像データによって表わされる対象画像の大きさは,印刷用テンプレート画像データによって表わされるテンプレート画像の大きさと合わないのが普通である。このために対象画像の大きさが印刷用のテンプレート画像の大きさと合うように,表示装置33の表示画面上における画像合成において得られた大きさの調整および角度(回転)調整情報からリサイズされる。
つづいて,テンプレート画像に合成すべき画像の範囲が,表示装置33の表示画面上における画像合成において得られた大きさの調整および角度(回転)調整情報または合成規程範囲を参照して定められる。
対象画像の合成範囲(合成既定範囲)部分が抽出される。表示装置33の表示画面上における画像合成において得られた位置指定および位置情報にもとづいて画像合成処理が行われる。合成すべき対象画像が複数あるときには上記の処理が繰返される。これにより印刷用の合成画像データが得られ,画像メモリ35に記憶される。
表示装置33の表示画面上で画像合成が終了すると(ステップ66の処理が終了すると),合成画像に文字を入れるかどうかを確認する画面が表示装置33の表示画面に表示される(ステップ67)。文字を追加する場合には(ステップ68でYES ),ひらがな,カタカナ,アルファベット,記号などのキーが表示装置33の表示画面に表示される(ステップ69)。ユーザは表示装置33の表示画面に表示されたそれらのキーをタッチすることにより合成された画像に文字を追加することができる。
合成された画像への文字入力が終了または文字入力が不要であると,表示装置33の表示画面には図27に示す印刷確認画面が表示される(ステップ70)。ユーザによって確認されると区画A13がタッチされる。表示装置33の表示画面に表示された画像を印刷しない場合には,ユーザによって区画A10がタッチされ,表示装置33の表示画面が戻される。ユーザによって区画A13がタッチされると表示装置33の表示画面は図28に示す印刷枚数確認画面に切換わる(ステップ71)。
印刷枚数確認画面には,区画A10,A13,A61,A81および領域A80が表示される。領域A80には0〜9までの数値キーが表示される。ユーザによってこれらの数値キーがタッチされることにより,印刷枚数の入力が行なわれる。入力された印刷枚数は区画A81に表示される。ユーザが誤入力をした場合には区画A61がタッチされ再び印刷枚数の入力が行なわれる。入力された印刷枚数もRAM45に記憶される(ステップ72)。印刷枚数が確定すると区画A13がユーザによってタッチされる。区画A13がタッチされると表示装置33の表示画面は図29に示す印刷中表示画面に切換わる(ステップ73)。
印刷中表示画面には領域A86に加えて区画A83,A84およびA85が表示される。領域A86には,印刷の間簡単なアニメーションが表示される。印刷を中止するときには,ユーザによって区画A83がタッチされ,テンプレートを変えて別の印刷を行うときにはユーザによって区画A84がタッチされる。印刷が終了するとユーザによって区画A85がタッチされる。
図29に示す印刷中表示画面が表示されている間にプリンタ37により印刷が行なわれる(ステップ74)。印刷は上述した画像メモリ35に記録された印刷用合成画像データを用いて行なわれる。印刷時には,高解像度の印刷用のテンプレート画像データおよび印刷用マスク画像データを用いているので高品質の合成画像を印刷できる。合成画像を表わすデータは,ハード・ディスク,フロッピィ・ディスクなどに記録しておいてもよい。これにより合成画像を表わすデータを再び読出し,再び合成画像を比較的簡単に得ることができる。
またユーザにより設定されたサービスの内容がレシートとしてレシート・プリンタ48により印刷される(ステップ77)。
図34(A) 〜(D) にサービスの内容を表わすレシートの一例が示されている。
図34(A) および(B) はフォトジョイ・プリント・サービスの場合に印刷されるレシートの一例であり,図34(C) および(D) はディジタル出力サービスの場合に印刷されるレシートの一例であり,図34(E) はサービスが中止される場合に印刷されるレシートの一例である。
レシートには,画像ファイル・プリント装置を利用した日時,サービス名,入力媒体,タイプ(必要に応じて)およびサービス数が印刷される。サービス名はフォトジョイ・プリント・サービス(「P」で示す)か,ディジタル出力サービス(「D」で示す)かを表わし,かつテンプレートの種類を示す。入力媒体は,どの入力媒体が画像ファイル・プリント装置に装着されたかを示す。タイプは,テンプレートの装飾タイプを示す。サービス数は,フォトジョイ・プリント・サービスであればプリントされた枚数を表わし,ディジタル出力サービスであれば読取られた入力媒体の駒数を示す。サービス番号は,1回のサービスごとにインクレメントされるサービス番号とレシートの再発行回数とから構成される。このサービス番号により,顧客が行なったサービスの内容を特定でき,レシートの再発行回数も店員が知ることができる。
区画A85がユーザによってタッチされると表示装置33の表示画面は図30に示す印刷終了画面になる(ステップ78)。
印刷終了画面には区画A76およびA77が表示される。区画A76は印刷を終了する場合にユーザによってタッチされる区画であり,区画A77は印刷を続行する場合にユーザによってタッチされる区画である。区画A76がタッチされることにより(ステップ79でNO),表示装置33の表示画面は画像ファイル・プリント装置に装着した新写真フイルムを取出す旨のガイド画面に切換わる(ステップ80)。画像ファイル・プリント装置から新写真フイルムを取出すと表示装置33の表示画面は図20に示す一般サービス画面に切換わる(図14ステップ125 )。区画A77がタッチされることにより(ステップ79でYES ),表示装置33の表示画面は図23に示すテンプレート種類選択画面に切換わる(図15ステップ58)。これによりユーザは再びテンプレートを選択し,印刷することができる。
図29に示す印刷中表示画面が表示されている間にユーザにより区画A83がタッチされると(ステップ75でYES ),RAM45に記憶されているデータが読出されることにより図34(E) に示すようなレシートがレシート・プリンタ48から印刷される(ステップ76)。このレシートには画像ファイル・プリント装置の使用日時とサービスがキャンセルされた旨が印刷される。
上述の実施例のフォトジョイ・プリント・サービスにおいて入力媒体として光磁気ディスク,磁気ディスクまたはメモリ・カードを選択してもよい(図15ステップ52,図22)。またテンプレート画像に対象画像を合成された画像を表わす画像データを光磁気ディスク,磁気ディスクまたはメモリ・カードのようなディジタル媒体に記録するようにしてもよい。また図23に示すテンプレート種類選択画面が表示されているときに(図15ステップ58)区画A38がタッチされることによりディジタル・ダイレクトの処理に移行する。ディジタル・ダイレクトでは入力媒体に光磁気ディスク,磁気ディスクまたはメモリ・カードのようなディジタル媒体が選ばれ,ディジタル媒体に記録されている画像データによって表わされる画像が印刷される。
このフォトジョイ・プリント・サービスの例では,テンプレートの種類としてデコレーションが選択されているが他のテンプレートが選択された場合も同様にして画像印刷またはディジタル媒体への記録が行なわれる。またテンプレート画像への画像合成だけでなく,カラー画像から白黒画像への色変換処理,画像の回転などを行なってもよい。これらの画像処理はMPU30の制御で行なわれることとなろう。画像の拡大または縮小を行なってもよい。画像の拡大または縮小は,拡大縮小回路44で行なわれる。
(iii)ディジタル出力サービス
図21に示すサービス選択画面において,区画A12がタッチされることによりディジタル出力サービスが開始する(図14ステップ129 でNO)。表示装置33には図22に示す入力媒体選択画面が表示される(図17ステップ81)。
入力媒体選択画面にしたがって入力媒体の種類が選択されると(ステップ82),選択された入力媒体の種類を表わすデータがRMA45に記憶され(ステップ83),表示装置33の表示画面は図31に示す出力媒体選択画面に切換わる(ステップ84)。出力媒体選択画面では枠で囲まれた5つの区画A91,A92,A93,A94およびA95が表示される。区画A91は出力媒体がフロッピー・ディスクのきにユーザによってタッチされる区画であり,区画A92は出力媒体が光磁気ディスクのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A93は出力媒体が光ディスクのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A94は出力媒体が高密度磁気ディスクのときにユーザによってタッチされる区画であり,区画A95はそのほかの出力媒体のときにユーザによってタッチされる区画である。区画A91〜A95のうちユーザが持参した出力媒体に合った区画がユーザによってタッチされる(ステップ85)。フロッピー・ディスク装置39または光ディスク装置46のうち出力媒体に適したものに出力媒体が装着される。出力媒体を表わすデータもRAM45に記憶される(ステップ86)。
出力媒体選択画面による選択が終ると,表示装置33の表示画面は図28に示すものと似た区画A80,A81,A60,A10,A13に相当する区画をもつ駒数入力画面に切換わる(ステップ87)。
区画A80に相当する区画に含まれている数値キーの画面上をユーザがタッチすることにより,出力媒体に記録すべき被写体画像データによって表わされる画像の駒数が入力される(ステップ88)。入力された駒数を表わすデータはRAM45に記憶される(ステップ89)。入力された駒数が区画A81に相当する区画に表示される。また画像ファイル・プリント装置にセットされた出力媒体の残容量が算出され,入力された駒数の画像を表わす被写体画像データに必要とするデータ量が残っているかどうか判断される(ステップ90)。駒数入力画面において入力された駒数の画像を表わす画像データを記憶できる容量が,画像ファイル・プリント装置にセットされた出力媒体に残っていなければユーザに駒数入力のやり直しを命じる指令が表示装置33に表示される(ステップ90でNO)。
出力媒体に充分な容量があると(ステップ90でYES ),入力媒体に表わされているすべての画像がスキャナ42によってプリ・スキャニングされその画像の縮小画像を表わす縮小画像データが得られる。縮小画像データが表示装置33に与えられ,図32に示すように縮小画像が一覧表示される(ステップ91)。
図32において縮小画像の一覧表示画面には,ユーザにタッチされることにより前ページに戻る区画A46および次ページに戻る区画A47が含まれている。これらの領域A46またはA47が押されることにより所望の縮小画像が探し出される。
つづいて入力媒体が新写真フイルムかどうかが判断される(ステップ92)。入力媒体が新写真フイルムであれば(ステップ92でYES ),新写真フイルムの情報記録部3a,3b,3cおよび3dに記録されているIX情報が読取られる(図18ステップ93)。IX情報の読取中にはその旨を表わす画面が表示装置33に表示される(ステップ94)。IX情報の読取中はユーザに待時間を与えることになるため,表示装置35の表示画面には簡単なアニメーションなどを表示してもよい。さらに,読取られたIX情報中にタイトル情報が含まれているかどうかが判断される(ステップ95)。読取られたIX情報中にタイトル情報が含まれていると(ステップ95でYES ),そのタイトル情報がRAM45に一旦記録される(ステップ96)。読取られたIX情報中にタイトル情報が含まれていないと(ステップ95でNO),ステップ96の処理はスキップされる。
つづいて,図32に示されている縮小画像の一覧表示を見ながら出力媒体に記録する被写体画像がユーザによって選択される(ステップ97)。この選択は表示装置33の表示画面に表示されている縮小画像上をユーザがタッチすることにより行なわれる。
ユーザによってタッチされた縮小画像に対応する入力媒体の画像がスキャナ42によって本スキャニングされ,その原画像データが得られる(ステップ98)。この画像の読取処理中においては,図33に示すように画像を取込中である旨が表示装置33の表示画面に表示される。もちろんこのときも簡単なアニメーション表示をしてもよい。
図33に示す画像取込中の旨を表わす画像が表示装置33に表示されている間に,ユーザにより設定されたサービスの内容がレシートとしてレシート・プリンタ48から印刷される(ステップ99)。ディジタル入出力サービスでは図34(C)または(D) に示すようにサービス名に「D」の符号が印刷されたレシートが印刷される。図34(C) に示すようにサービス名「光ディスク・ノーマル」は出力媒体が光ディスクであり,圧縮率が標準のものであることを示している。図34(D) に示すようにサービス名「FD・エコノミー」は出力媒体がフロッピー・ディスクであり,圧縮率が高いことを示している。
入力媒体に表わされている画像がスキャナ42によって本スキャンで読取られることによって得られる原画像データ(この原画像データはプリント用の原ディジタル画像データ)は画像メモリ35に一旦記憶される(ステップ100 )。被写体画像データは拡大/縮小回路44においてデータ圧縮が施される(ステップ101 )(またプリント用の原ディジタル画像データの縮小処理が行なわれ,ハイビジョン用画像データおよび標準画像データも生成される)。原画像データおよび生成されたこれらの画像データが出力媒体に記録される。原画像データのみを記録するようにしてもよい。出力媒体への被写体画像データの記録処理が終了すると,その旨が表示装置33の表示画面に表示される。終了を知らせる画面の画面上をユーザがタッチすると図20に示す一般サービス開始画面に戻る。
ディジタル出力サービスにおいてサービスの途中で,中止することもできる。図33に示す画像の取込み中を表わす画面において区画A99がタッチされると(ステップ103 でYES )画像データの取込みが中止される。またレシート・プリンタ48から図34(E) に示すような中止の旨を表わすレシートが印刷される(ステップ104 )。
上述したようにディジタル出力サービスにおいてもRAM45に記憶されたデータが読出されることによりサービスの内容を表わすレシートまたはサービスが中止されたことを表わすレシートがレシート・プリンタ48から印刷される。コンビニエンス・ストアの店員は,顧客から渡されるレシートを見ることにより顧客が行なったサービスの内容を知ることができ使用料を徴収できる。
(9) 変形例
図35は画像ファイル・プリント装置200 が配置されているコンビニエンス・ストアの平面図を示している。
この変形例では,コンビニエンス・ストアに置かれているキャッシュ・レジスタ210 と画像ファイル・プリント装置200 とがオンライン接続されている。キャッシュ・レジスタ210 にはCPU,表示装置,メモリ,プリンタおよびモデムが設けられており,画像ファイル・プリント装置200 からキャッシュ・レジスタ210 にデータの送信が可能である。
図36はフォトジョイ・プリント・サービスの処理手順の一部を示すフローチャートであり,図16に示す処理の一部を表わしている。図36において図16に示す処理と同一処理には同一符号を付して説明を省略する。
この変形例では,レシート・プリンタ48によりレシートが印刷されるとレシートに印刷される内容を表わすデータがRAM45から読出されモデム49からキャッシュ・レジスタ210 に送信される(ステップ76A,77A)。
図37はディジタル出力サービスの処理手順の一部を示すフローチャートであり,図18に示す処理の一部を表わしている。図37において図18に示す処理と同一物には同一符号を付して説明を省略する。
ディジタル出力サービスにおいてもレシート・プリンタ48によりレシートが印刷されるとレシートに印刷される内容を表わすデータがRAM45から読出されキャッシュ・レジスタ210 に送信される(ステップ99A,104 A)。
図38はキャッシュ・レジスタ210 の処理手順を示すフローチャートである。画像ファイル・プリント装置からのレシートの印刷内容を表わすデータが送信されると(ステップ105 でYES ),そのデータがキャッシュ・レジスタ210 のメモリに一旦記憶される(ステップ106 )。これに応答してキャッシュ・レジスタ210 の表示装置には図39(A) に示すようにサービス内容が転送されたことが表示される(ステップ107 )。このときには,サービス内容が表示されないのでキャッシュ・レジスタ210 に精算中の商品に関する表示がされていてもその商品の表示が消去されることがない。一定時間経過すると転送された旨の表示は表示画面から消去される(ステップ108 でYES ,ステップ109 )。
顧客がレシートを持参すると,店員が読出し指令をECRに入力すると,そのレシートに印字されているサービス番号が入力されプリント情報が読み出される(ステップ110 でYES )。これによりキャッシュ・レジスタ210 のメモリから,画像ファイル・プリント装置200 から送られたデータが読出され図39(B) に示すように表示される(ステップ111 )。この情報も一定時間経過すると表示画面上から消去される(ステップ112 でYES ,ステップ113 )。
コンビニエンス・ストアの店員は顧客が持参したレシートの内容とキャッシュ・レジスタの表示装置に表示されている内容とを照合できる。
上述の実施例においては画像ファイル・プリント装置はコンビニエンス・ストアに置かれているが,そのほかのどのような場所に置かれていても同じようにしてレシートを印刷できる。
画像ファイル・プリント装置から送信されるサービスの内容をISDN端末装置220 を用いて,コンビニエンス・ストアの本社にあるコンピュータに送信してもよい。これによりその本社において,複数の画像ファイル・プリント装置のサービスについて集中管理できる。