JP3765810B2 - バイス用締付力調節装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークを工作機械に固定(挟持)するためのバイスにおいて、可動ジョーから固定ジョーに向かう方向の締付力を増加させる増力装置の締付力を容易に調節することができる締付力調節装置に関する。
従来、液圧式増力装置を備えたバイスが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このバイスは、工作機械のテーブルに固設される基台フレームと、この基台フレームに固定される固定ジョーと、基台フレームに摺動自在に取り付けられる可動ジョーとを備えている。基台フレームには、可動ジョーに螺合して該可動ジョーを移動させるパイプ状のネジ軸が回転且つ摺動自在に装着されている。該ネジ軸の中心孔内には、クラッチ装置及び液圧式増力装置を介して該ネジ軸に連結される中心軸が回転且つ摺動自在に挿通されている。該中心軸の端部にはハンドルが連結されている。該ハンドルを操作したとき、ネジ軸に加わる締付抵抗が所定範囲内にあるときは、クラッチ装置が中心軸とネジ軸を結合して両者を一体に回転させ、ネジ軸に加わる締付抵抗が所定範囲を超えたときには、クラッチ装置が切れて中心軸とネジ軸の結合を解除すると共に中心軸の摺動動作で液圧式増力装置を作動させ、以て可動ジョーから固定ジョーに向かう方向の締付力をネジ軸に伝達している。
このような液圧式増力装置を備えたバイスにおいては、固定ジョーと可動ジョーとの間に挟持されているワークに対して、該ワークに大きな外力が加わった場合には、液圧式増力装置において瞬間的に締付力が弱められ、固定ジョーと可動ジョーとによるワークの挟持状態を維持できずにワークの位置ズレが生じ易く、ひいてはバイスからワークが脱落してしまうことがある。特に、ワークに精密加工を施しているような場合には、そのようなワークの位置ズレや脱落によって、ワークの傷つきや加工精度の悪化等が生じる不都合があった。
また、従来、機械式増力装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。該増力装置は、互いに離反自在に接する1対の第1可動ローラと、各第1可動ローラに接する1対の第2可動ローラとを備えている。各第1可動ローラは固定部材の当接面に当接しており、該固定部材には、先端がくさび形の第1可動部材が進退自在に保持されている。第1可動部材は、くさび形の先端を1対の第1可動ローラの間に介入自在に位置されている。第1可動部材は前進して両第1可動ローラの間に介入することにより両第1可動ローラを互いに離反する方向に移動させる。このとき、固定部材の当接面には、互いに離反する両第1可動ローラを第1可動部材の前進方向に沿って案内する傾斜面が形成されており、互いに離反しつつ前進する両第1可動ローラは、更に各第2可動ローラを前進させる。両第2可動ローラの第1可動ローラの反対側には第2可動部材が当接されており、両第2可動ローラの前進により第2可動部材が固定部材から離反する。
このような機械式増力装置をバイスに採用した場合には、ワークに大きな外力が加わっても締付力が弱まることなく可動ジョーと固定ジョーとによる強固な挟持状態を維持することができる。しかし、このような機械式増力装置によると、ワークを強固に挟持するためにハンドルを過度に回転操作した場合には、増力装置の増力作用によって可動ジョーから固定ジョーへの過剰な締付力が生じ、ワークの変形や傷つきが生じる不都合があった。
特公昭46−15400号公報 特公昭63−41711号公報 特公昭63−53413号公報
かかる不都合を解消して、本発明は、可動ジョーと固定ジョーとの間にワークを挟持する際の、可動ジョーから固定ジョーに向かう方向の締付力、特に増力装置による締付力を容易に調節することができるバイス用締付力調節装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、固定ジョー2と、ネジ軸5の回転によって進退移動する可動ジョー3との間にワークを締め付け挟持するバイスBに設けられ、該バイスBに備えられた増力装置Pによる固定ジョー2への可動ジョー3の締付力を調節するバイス用締付力調節装置Cにおいて、一端部110aが前記ネジ軸5に結合され、内周面に顎部111が形成された軸孔112を有する結合部110と、該結合部110の軸線方向に所定の空隙を形成する空間部121を介して配設され、該結合部110の軸線方向に貫通する軸孔123を有すると共に、該結合部110と反対側に位置する端部120bの外周縁に所定間隔を存して突設された複数の係合突起122を有する間隙維持部120と、前記結合部110の軸孔112に一端部130a側が、前記間隙維持部120の軸孔123に他端部130b側が各々回転自在且つ摺動自在に挿通され、前記結合部110の軸孔112の顎部111に係止された押圧部131を一端部130aに保持する中心軸130と、前記結合部110と前記間隙維持部120との間において一端170aが該結合部110に挿着され、他端170bが該間隙維持部120に挿着されたガイド軸170と、前記中心軸130の長手方向の略中間位置に固設され、前記結合部110に対向する一端面140a’から突出する第1ストッパー141を有する第1クラッチ140と、前記結合部110及び前記間隙維持部120に回転自在且つ軸線方向に摺動自在に外挿され、軸線方向に沿った摺動に応じて該間隙維持部120の係合突起122に係脱自在に係合する複数の係合凹部151を有すると共に、前記結合部110と間隙維持部120との間の空間部121に臨む内周面に形成された雌ネジ153を有する調節ノブ150と、該調節ノブ150を、前記係合凹部151が前記間隙維持部120の係合突起122に係合する方向に付勢する付勢手段152と、前記空間部121内において前記ガイド軸170に沿って移動自在に支持され、前記中心軸130が回転自在且つ摺動自在に挿通される軸孔163を有すると共に、前記ガイド軸170が摺動自在に挿通されるガイド孔164を有し、更に、外周面に前記調節ノブ150内周の雌ネジ153に螺合する雄ネジ162が形成され、且つ前記第1クラッチ140の第1ストッパー141に係脱自在に噛合する第2ストッパー161を有する第2クラッチ160とを備えることを特徴とする。
本発明の締付力調節装置によって締付力の調節を行なうときには、例えば、第2クラッチ160と第1クラッチ140とが当接されているとき、第2クラッチ160の第2ストッパー161が第1クラッチ140の第1ストッパー141に噛合されている状態となる。この状態から、調節ノブ150を回転させる操作によって、調節ノブ150の係合突起122と間隙維持部120の係合凹部151との係合位置を変更すると、第2クラッチ160がガイド軸170に沿って前進移動することによって、第1クラッチ140との間の距離が開かれる。このように、第1クラッチ140と第2クラッチ160との間の距離を調節した状態で、中心軸130を回転させると、ネジ軸5の回転によって可動ジョー3が固定ジョー2に向かって前進移動する。これによって、可動ジョー3と固定ジョー2との間にワークが挟持され、ネジ軸5の回転が停止する。その後、更に中心軸130を回転させると、中心軸130が回転しながら第1クラッチ140が第2クラッチ160に当接するまで前進移動する。このとき、中心軸130が前進移動した距離に応じた増力装置の作動を得ることができ、調節ノブ150を適宜に回転操作することによって、可動ジョー3から固定ジョー2に向かう方向の締付力を容易に調節することができる。従って、固定ジョー2と可動ジョー3との間にワークを挟持させる際に、過度な締付力によってワークが変形されたり、傷ついたりすることを防止することができる。
また、本発明においては、前記付勢手段152として、前記結合部110の前記間隙維持部120に対向する端面110b’に形成されたスプリング挿着凹部152aと、該スプリング挿着凹部152aの内径より小さな外径を有して一端が該スプリング挿着凹部152aの底部に埋設され、他端が前記第2クラッチ160を挿通して前記間隙維持部120の前記結合部110に対向する端面120a’に埋設されたスプリング保持棒152bと、該スプリング保持棒152bにおける前記スプリング挿着凹部152aと前記第2クラッチ160との間に介装されたスプリング152cとを備えるものを採用することができる。
また、本発明において、前記中心軸130の前記間隙維持部120の内部に位置する外周面には、該中心軸130の径方向に形成された保持凹部133と、該保持凹部133に収納保持されたボールスプリング134と、該保持凹部133に突没自在に保持されて該ボールスプリング134によって保持凹部133の外方に付勢されるボール135とが設けられ、前記間隙維持部120の内周面には、前記ボール135の一部が係脱自在に係止される係止凹部124が形成されていることが好ましい。これにより、中心軸130の軸線方向の移動がボール135と係止凹部124との係合によって維持されると共に、所定の回転力が中心軸130に付与されたときにはボール135が係止凹部124から外れて円滑に中心軸130を回転させることができる。
また、本発明において、前記第1クラッチ140の第1ストッパー141の先端面には、前記中心軸130の正転方向に沿って傾斜する傾斜面141aが形成され、前記第2クラッチ160の第2ストッパー161の先端面には、前記第1ストッパー141の傾斜面141aに対応して傾斜する傾斜面161aが形成されていることが好ましい。これによって、第1クラッチ140と第2クラッチ160とが接近したとき傾斜面141aと傾斜面161aとが滑りながら当接して第1ストッパー141と第2ストッパー161とを円滑に歯合させることができる。
また、本発明において、前記間隙維持部120の前記結合部110の反対側の端面120b’には、前記第1クラッチ140と前記第2クラッチ160との間の距離を段階的に表す複数の表示文字125が刻字され、前記調節ノブ150の前記結合部110の反対側の端面150b’には、設定された前記表示文字125を指す指示溝154が形成されていることが好ましい。これにより、表示文字125の何れかを指示溝154に合わせるだけで、前記第1クラッチ140と前記第2クラッチ160との間の距離を設定することができ、締付力の調節作業を容易且つ精度良く行なうことができる。
また、本発明において、前記調節ノブ150の前記結合部110に対向する端面150a’には、該調節ノブ150の所定の調節範囲外への過回転を防止するための過回転防止バー155が突設され、前記結合部110には、該過回転防止バー155を係止する係止バー113aが突設されていることが好ましい。これにより、調節ノブ150を過回転させようとしても、過回転防止バー155が係止バー113aに係止するので、調節ノブ150の過回転を防止することができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態において採用するバイスの一部断面視した説明図、図2は本実施形態において採用する増力装置を示す斜視図、図3は図2のIII−III線断面説明図、図4は図2の増力装置の分解斜視図、図5は図2の増力装置の作動状態を示す断面図、図6は本実施形態において採用可能な他の増力装置を示す概略断面図、図7は本実施形態において採用可能な他の増力装置を示す概略断面図である。そして、図8は本実施形態の締付力調節装置の調節操作前の状態を示す説明的断面図、図9は本実施形態の締付力調節装置の調節操作中の状態を示す説明的断面図、図10は本実施形態の締付力調節装置の調節操作後の状態を示す説明的断面図、図11は本実施形態の締付力調節装置における調節ノブの要部を拡大して示す説明的斜視図、図12は本実施形態の締付力調節装置の右側端面を示す説明的側面図、図13は本実施形態の締付力調節装置の使用状態における調節操作前の状態を示す要部の拡大断面図、図14は本実施形態の締付力調節装置の使用状態における調節操作後の状態を示す要部の拡大断面図、図15は本実施形態の締付力調節装置の使用状態における増力装置の第1移動部材への加圧状態を示す要部の拡大断面図である。
図1に示すように、バイスBは、基台フレーム1と、この基台フレーム1に固定される固定ジョー2と、基台フレーム1に摺動自在に取り付けられるスライダー4と、このスライダー4に固定される可動ジョー3とを備えている。基台フレーム1には、スライダー4に螺合して該スライダー4に固定された可動ジョー2を移動させるネジ軸5が回転且つ摺動自在に装着され、ネジ軸5の凹端部5a内にはディスクスプリング部材6が設けられている。更に、バイスBは、増力装置Pと、ネジ軸5の凹端部5aに装着される本発明の締付力調節装置Cとを備え、この締付力調節装置Cにはハンドル8が着脱自在に連結される。
先ず、本実施形態において採用する増力装置Pについて、図2乃至図4を参照して説明する。該増力装置Pは、図2乃至図4に示すように、第1移動部材10と、保持部材20と、第2移動部材30と、増力ユニット40と、連結手段50とで構成されている。
第1移動部材10は、略円柱状に形成されており、先端が鋭角に尖ったくさび形(この実施の形態では、円錐状)に形成されている。
保持部材20は、第1移動部材10より大径の略円柱状に形成されており、その中央に前記第1移動部材10が進退移動自在に挿通される軸孔21が形成されている。軸孔21に保持された第1移動部材10はその先端が保持部材20の一端面から突出する方向に進退可能となっている。保持部材20の一端面には、前記軸孔21を通る何れかの直径を中心線にして対称になり、かつ該直径に対して平行な第1及び第2ガイド溝23A、23Bが各々形成され、これら第1ガイド溝23Aと第2ガイド溝23Bとの間に、前記軸孔21から前記直径に沿う両半径方向に上向きの平坦な第1及び第2傾斜面24A、24Bが各々形成されている。即ち、第1及び第2ガイド溝23A、23Bは、第1移動部材10の進退方向に直行する方向に沿って該第1移動部材10を介して互いに平行に延びている。第1及び第2傾斜面24A、24Bは、第1移動部材10を介して該第1移動部材10の前進方向に沿って互いに次第に離反する方向に傾斜している。
第2移動部材30は、保持部材20と略同径の略円柱状に形成されており、保持部材20に対向する側面に、前記保持部材20の第1及び第2ガイド溝23A、23Bに各々対向する第3及び第4ガイド溝33A、33Bが形成されている。
増力ユニット40は、前記保持部材20と前記第2移動部材30との間に設けられており、第1摺動体41と、該第1摺動体41に対向する第2摺動体42とを備えている。第1摺動体41は、一側縁が保持部材20の第1ガイド溝23Aに摺動案内され、他側縁が第2移動部材30の第3ガイド溝33Aに摺動案内される。更に、第1摺動体41と第2摺動体42とは、第1ローラ群45と、第2ローラ群46とを回転自在に支持している。
前記第1摺動体41は、略正方形状の第1ガイド板41Aと、該第1ガイド板41Aと同形の第2ガイド板41Bとによって構成されている。第1ガイド板41Aは、上半部に併設された一対のU字状の切欠孔a、aと下半部に併設された一対の円形孔b、bとを備えている。第2ガイド板41Bは第1ガイド板41Aを上下反転させたものであり、下半部に併設された一対のU字状の切欠孔a、aと上半部に併設された一対の円形孔b、bとを備えている。そして、第1ガイド板41Aの各切欠孔b、bと第2ガイド板41Bの各円形孔b、bとは夫々同じ位置で連通されると共に、第1ガイド板41Aの各円形孔b、bと第2ガイド板41Bの各切欠孔a、aとは夫々同じ位置で連通される。ここで、第1ガイド板41Aと第2ガイド板41Bが重なることによって互い連通される円形孔bと切欠孔aまたは切欠孔aと円形孔bを、説明の便宜上、「第1摺動体41の4つの第1連通孔」ともいう。
前記第2摺動体42は、略正方形状の第3ガイド板42Aと、該第3ガイド板43Aと同形の第4ガイド板42Bとによって構成されている。第3ガイド板42Aは、上半部に併設された一対のU字状の切欠孔a、aと下半部に併設された一対の円形孔b、bとを備えている。第4ガイド板42Bは第3ガイド板42Aを上下反転させたものであり、下半部に併設された一対のU字状の切欠孔a、aと上半部に併設された一対の円形孔b、bとを備えている。そして、第3ガイド板42Aの各切欠孔b、bと第4ガイド板42Bの各円形孔b、bとは夫々同じ位置で連通されると共に、第3ガイド板42Aの各円形孔b、bと第4ガイド板42Bの各切欠孔a、aとは夫々同じ位置で連通される。なお、第3ガイド板42Aは第1ガイド板41Aと同一形状であり、第4ガイド板42Bは第2ガイド板41Bと同一形状である。ここで、第3ガイド板42Aと第4ガイド板42Bが重なることによって互い連通される円形孔bと切欠孔aまたは切欠孔aと円形孔bを、説明の便宜上、「第2摺動体42の4つの第2連通孔」ともいう。
前記第1ローラ群45は、両端に回転軸45aを有する前上ローラ45Aと両端に回転軸45bを有する後上ローラ45Bとからなり、第1摺動体41と第2摺動体42との間に回転且つ摺動自在に支持されている。具体的には、前上ローラ45Aは、一方の回転軸45aが、第2ガイド板41Bの前方の円形孔bに回転自在に挿通支持されていると同時に、第1ガイド板41Aの前方の切欠孔aに摺動自在に挿通されており、他方の回転軸45aが、第3ガイド板42Aの前方の円形孔bに回転自在に挿通支持されていると同時に、第4ガイド板42Bの前方の切欠孔aに摺動自在に挿通されている。また、後上ローラ45Bは、一方の回転軸45bが、第2ガイド板41Bの後方の円形孔bに回転自在に挿通支持されていると同時に、第1ガイド板41Aの後方の切欠孔aに摺動自在に挿通されており、他方の回転軸45bが、第3ガイド板42Aの後方の円形孔bに回転自在に挿通支持されていると同時に、第4ガイド板42Bの後方の切欠孔aに摺動自在に挿通されている。
前記第2ローラ群46は、両端に回転軸46aを有する前下ローラ46Aと両端に回転軸46bを有する後下ローラ46Bとからなり、第1摺動体41と第2摺動体42との間に回転且つ摺動可能に支持されている。具体的には、前下ローラ46Aは、一方の回転軸46aが、第2ガイド板41Bの前方の切欠孔aに摺動自在に挿通されていると同時に、第1ガイド板41Aの前方の円形孔bに回転自在に挿通支持されており、他方の回転軸46aが、第3ガイド板42Aの前方の切欠孔aに摺動自在に挿通されていると同時に、第4ガイド板42Bの前方の円形孔bに回転自在に挿通支持されている。また、後下ローラ46Bは、一方の回転軸46bが、第2ガイド板41Bの後方の切欠孔aに摺動自在に挿通されていると同時に、第1ガイド板41Aの後方の円形孔bに回転自在に挿通支持されており、他方の回転軸46bが、第3ガイド板42Aの後方の切欠孔aに摺動自在に挿通されていると同時に、第4ガイド板42Bの後方の円形孔bに回転自在に挿通支持されている。また、各ローラ45A、45B、46A、46Bは、その直径がすべて同径に形成されている。
連結手段50は、前記保持部材20の軸孔21の両側に形成された一対の貫通孔51と、各貫通孔51に摺動自在に挿通されたボルト52と、第2移動部材30の両側に形成されて各ボルト52の先端部を螺着する一対の凹部54とによって構成されている。各貫通孔51には、その内周面に顎部51aが形成されており、顎部51aとボルト52の頭部52aとの間にはスプリング部材53が介装されている。該スプリング部材53は、第2移動部材30が前記保持部材20に対して接近する方向に付勢している。
次に、図4を参照して増力装置Pの組み立て方法について説明する。先ず、第1ガイド板41Aと第2ガイド板41Bとを上下逆方向にして重ねることによって第1摺動体41とすると共に、第3ガイド板42Aと第4ガイド板42Bとを上下逆方向にして重ねることによって第2摺動体42とする。そして、これら第1摺動体41と第2摺動体42との間に、第1ローラ群45と第2ローラ群46を上下に保持させる。具体的には、第1摺動体41の4つの第1連通孔に、各ローラ45A、45B、46A、46Bの一方の回転軸45a、45b、46a、46bを各々挿通させると共に、第2摺動体42の4つの第2連通孔に、各ローラ45A、45B、46A、46Bの他方の回転軸45a、45b、46a、46bを各々挿通させることによって、図4に示すような増力ユニット40とする。
次いで、保持部材20と第2移動部材30との間に前記増力ユニット40を介入させる。具体的には、保持部材20の第1ガイド溝23Aと第2移動部材30の第3ガイド溝33Aとの間に第1摺動体41を摺動自在に取り付けると同時に、保持部材20の第2ガイド溝23Bと第2移動部材30の第4ガイド溝33Bとの間に第2摺動体42を摺動自在に取り付け、この状態で、保持部材20の貫通孔51にスプリング部材53を介して挿通させたボルト53を第2移動部材30の凹部54に螺着する(図2、図3参照)。これにより、図3に示すように、貫通孔51の顎部51aとボルト52の頭部52aとの間に介装されるスプリング部材53の弾性力によって、第2移動部材30が保持部材20に対して接近する方向に付勢された状態となる。
スプリング部材53の付勢に応じて、第1ローラ群45の前上ローラ45Aが保持部材20の第1傾斜面24Aに沿って下側に(第1移動部材10の軸線に接近する方向に)転がり移動し、この移動に伴って、前記前上ローラ45Aの両回転軸45a、45aに固定されている第2及び第3ガイド板41B、42Aは第1、第3ガイド溝23A、33A及び第2、第4ガイド溝23B、33Bに沿って摺動する。そして、前記第2及び第3ガイド板41B、42Aに両回転軸45b、45bによって固定されている後上ローラ45Bも同方向に転がり移動する。同様に、第2ローラ群46の前下ローラ46Aが保持部材20の第2傾斜面24Bに沿って上側に転がり移動するので、この移動に伴い、前記前下ローラ46Aの両回転軸46a、46aに固定されている第1及び第4ガイド板41A、42Bが第1、第3ガイド溝23A、33A及び第2、第4ガイド溝23B、33Bに沿って摺動し、前記第1及び第4ガイド板41A、42Bに両回転軸46b、46bによって固定されている後下ローラ46Bも同方向に転がり移動する。
そして、そのような前上ローラ45A及び後上ローラ45Bと前下ローラ46A及び後下ローラ46Bとの相互に接近する方向への転がり移動と、これに伴う第1ガイド板41Aと第2ガイド板41Bとの間の行き違う方向への摺動、及び第3ガイド板42Aと第4ガイド板42Bとの間の行き違う方向への摺動は、各ローラ45A、45B、46A、46Bの両回転軸45a、45a、46a、46aが対応する各ガイド板41A、41B、42A、42Bの切欠孔a、a、a、aの奥側の周面に当接するまで行われる(図3、図5a参照)。
その後、前記のように組み立てた状態で、図5aに示すように、保持部材20の軸孔21に第1移動部材10を挿通させて前上ローラ45Aと前下ローラ46Aとの間に円錐状の先端を臨ませることによって、増力装置Pの組み立てが完了する。
以上のように組み立てられた増力装置Pは、図1に示すように、バイスBのネジ軸5の凹端部5a内に挿着される。以下に、増力装置Pの作動について説明する。先ず、バイスBの基台フレーム1上に加工するワーク(図示しない)を載置してからハンドル8を回転させると、これに連動するネジ軸5の回転によってスライダー4を介して可動ジョー3が固定ジョー2に向かって前進移動する。これにより、可動ジョー3と固定ジョー2との間にワークが仮挟持される。
この仮挟持状態で、ハンドル8を更に回転させると、後述する締付力調節装置Cの作動によって、該締付力調節装置Cの中心軸130が回転しながら前進移動する。そして、中心軸130により第1移動部材10が前進方向に押圧され、図5bに示すように、前上ローラ45Aと前下ローラ46Aとの間に第1移動部材10の円錐状の先端が差し込まれる。これによって、前上ローラ45Aと前下ローラ46Aとは相互に離間する方向に押し出される。これに伴い、前上ローラ45Aが保持部材20の第1傾斜面24Aに沿って外方に転がり移動し、これに応じて、前記前上ローラ45Aの両回転軸45a、45aに固定されている第2及び第3ガイド板41B、42Aが第1、第3ガイド溝23A、33A及び第2、第4ガイド溝23B、33Bに沿って摺動し、前記第2及び第3ガイド板41B、42Aに両回転軸45b、45bによって固定されている後上ローラ45Bも同方向に転がり移動する。同時に、前下ローラ46Aが保持部材20の第2傾斜面24Bに沿って外方に転がり移動し、これに伴って、前記前下ローラ46Aの両回転軸46a、46aに固定されている第1及び第4ガイド板41A、42Bが第1、第3ガイド溝23A、33A及び第2、第4ガイド溝23B、33Bに沿って摺動するので、前記第1及び第4ガイド板41A、42Bに両回転軸46b、46bによって固定されている後下ローラ46Bも同方向に転がり移動する。
このように、第2移動部材30が保持部材20に対して離間方向に移動することによって、第2移動部材30と保持部材20との間の距離が開かれ、その結果、増力装置Pの全長が長くなる。従って、増力装置Pの全長が長くなった分、可動ジョー3の固定ジョー2への締付力を増加させることができ、固定ジョー2と可動ジョー3との間に仮挟持されているワークはより強固に挟持される。
また、各ローラ45A、45B、46A、46Bは、互いに圧接することによって移動するのではなく、当該各ローラ45A、45B、46A、46Bを支持する第1及び第2摺動体41、42を介して所定方向に移動するようになっているので、各ローラ45A、45B、46A、46B間の摩擦力によるロスが少ない。従って、第1移動部材10の作用力を各ローラ45A、45B、46A、46Bの移動によって第2移動部材30に十分に伝えることができ、その結果、可動ジョー3の固定ジョー2への締付力を効率よく増加させることができる。
その後、ワークの加工が終了され、ハンドル8を逆回転させて可動ジョー3を後退移動させると、貫通孔51の顎部51aとボルト52の頭部52aとの間に介装されているスプリング部材53の弾性復元力によって、第2移動部材30が保持部材20に対して接近する方向に移動する。同時に、前上ローラ45A及び後上ローラ45Bと前下ローラ46A及び後下ローラ46Bとが相互に接近する方向に転がり移動し、第1移動部材10が押されて後退移動することによって、図5aに示す元の状態に戻される。
次に、図6を参照して、本実施形態において採用できる他の増力装置Pについて説明する。この増力装置Pは、前上ローラ45Aと前下ローラ46Aが接する保持部材20には傾斜面24A,24Bを形成せずに、後上ローラ45Bと後下ローラ46Bが接する第2移動部材30に傾斜面34A、34Bを形成しこれを第1及び第2傾斜面としたものである。それ以外の構成は、先に説明した増力装置Pと同様である。従って、先に説明した増力装置Pと同一の構成については、図中同一の符号を付してその説明を省略する。
この増力装置Pにおいて、図6に示すように、保持部材20は、略円柱状に形成されており、その中央に、第1移動部材10が進退移動自在に挿通される軸孔21が形成されている。保持部材20の一端面には、第1及び第2ガイド溝23A、23Bが各々形成されている。また、第2移動部材30は、略円柱状に形成されており、保持部材20に対向する端面に、前記保持部材20の第1及び第2ガイド溝23A、23Bに各々対向する第3及び第4ガイド溝33A、33Bが形成されている。これら第3ガイド溝33Aと第4ガイド溝33Bとに沿って、第1及び第2傾斜面34A、34Bが形成されている。本実施形態において採用する増力装置Pとしてはこのように構成することで、同様な作用効果が得られる。
また、本実施形態において採用できる他の増力装置Pとしては、図7を参照して、各ローラ45A、45B、46A、46Bが接する保持部材20と第2移動部材30の両方に傾斜面24A、24Bと傾斜面34A、34Bを形成したものが挙げられる。これ以外の構成は、先に説明した増力装置Pと同様である。従って、先に説明した増力装置Pと同一の構成については、図中同一の符号を付してその説明を省略する。
この増力装置Pにおいては、図7に示すように、保持部材20の中央に、第1移動部材10が進退移動自在に挿通される軸孔21が形成され、その一端面に、第1及び第2ガイド溝23A、23Bが形成されている。そして、第1ガイド溝23Aと第2ガイド溝23Bとに沿って、第1及び第2傾斜面24A、24Bが形成されている。また、第2移動部材30は、保持部材20に対向する端面に、前記保持部材20の第1及び第2ガイド溝23A、23Bと第1及び第2傾斜面24A、24Bに夫々対向する第3及び第4ガイド溝33A、33Bと第3及び第4傾斜面34A、34Bとが形成されている。
このような構成を備える増力装置Pによれば、先に説明した増力装置Pと同様な作用効果が得られることは勿論、前上ローラ45A及び前下ローラ46Aと後上ローラ45B及び後下ローラ46Bが外方に転がり移動する際に対称な同じ動きとなるので、極めて円滑な転がり移動が可能となる。
次に、図8乃至図15を参照して、本発明の実施形態における締付力調節装置Cについて説明する。締付力調節装置Cは、図8に示すように、結合部110と、間隙維持部120と、中心軸130と、第1クラッチ140と、調節ノブ150と、第2クラッチ160と、ガイド軸170とによって構成されている。
結合部110は、図1及び図8に示すように、一端部110aが前記ネジ軸5の凹端部5aに内挿結合され、内周面に顎部111を有する軸孔112が形成されている。この軸孔112には後述する中心軸130の一端部130a側が回転自在且つ摺動自在に挿通され、この中心軸130の一端部130aには前記顎部111に係止される押圧部131が挿着されている。
一方、前記結合部110の一端部110a側の軸孔112内には、図1及び図13に示すように、前記増力装置Pの第1移動部材10が挿入され、この第1移動部材10は前記押圧部131に接するように位置されている。
そして、図8に示すように、前記結合部110の他端面110b’にはガイド軸170の一端170aが挿着され、このガイド軸170の他端170bは後述する第2クラッチ160のガイド孔164に挿通されて後述する間隙維持部120の一端面120a’に挿着されている。これによって、前記結合部110と間隙維持部120との間に所定間隔の空間部121が形成される。
前記間隙維持部120には、前記中心軸130の他端部130b側が回転自在且つ摺動自在に挿通される軸孔123が形成され、前記中心軸130の他端面130b’には、前記ハンドル8の六角形状の突起が挿着される六角形状のハンドル挿着溝132が形成されている。
前記中心軸130は、該中心軸130の他端部130bに挿着されるハンドル8を回転させた場合、回転しながら進退移動するように、前記結合部110の軸孔112、後述する第2クラッチ160の軸孔163、及び前記間隙維持部120の軸孔123に回転自在且つ摺動自在に挿通されている。即ち、前記中心軸130のハンドル挿着溝132にハンドル8の突起を挿着した後、ハンドル8を正・逆回転させると、これに連動して中心軸130が回転しながら前後に進退移動し、この中心軸130の押圧部131に接している前記増力装置Pの第1移動部材10が加圧・解除される。
前記中心軸130の他端部130b側の外周面には、ボールスプリング134と該ボールスプリング134によって外方に付勢されるボール135を保持する保持凹部133が形成されている。更に、前記間隙維持部120の内周面には、前記ボール135の一部が係脱自在に係止される係止凹部124が形成されている。即ち、前記ボール135が前記間隙維持部120の係止凹部124に係止されているので、このボール135が前記ボールスプリング134に抗して係止凹部124から外れるだけの回転力が前記ハンドル8によって中心軸130に加えられた場合に、中心軸130は回転しながら前後に進退移動する。
また、前記間隙維持部120の他端部120bの外周縁には、図11(a)及び図11(b)に示すように、多数の係合突起122が等間隙で形成され、この間隙維持部120に他端部150b側が回動自在且つ摺動自在に外挿される後述する調節ノブ150の他端部150bの内周縁には、後述する付勢手段152によって前記間隙維持部120の多数の係合突起122に常に係合される多数の係合凹部151が形成されている。そして、図8に示すように、前記調節ノブ150の一端部150aは、前記結合部110の他端部110bに回動自在且つ摺動自在に外挿され、この調節ノブ150における前記結合部110と前記間隙維持部120との間に形成された空間部121に臨む内周面には雌ネジ153が形成され、付勢手段152によって前記係合突起122と前記係合凹部151とが常に係合されるように前記間隙維持部120方に付勢される。
また、前記調節ノブ150内には、前記雌ネジ153に螺合する雄ネジ162が外周面に形成され、後述する第1クラッチ140の第1ストッパー141に噛合する第2ストッパー161が他端面160b’に突設された第2クラッチ160が螺設されている。
なお、前記調節ノブ150の外周面には、作業者が容易に操作することができるように多数の把持溝150cを形成するのが望ましい。
前記第1クラッチ140は、図8に示すように、一端面140a’が前記間隙維持部120の一端面120a’に面一致されるように前記中心軸130の略中間にピン142によって外挿固定され、一端面140a’に前記第2クラッチ160の第2ストッパー161に噛合する第1ストッパー141が突設されている。
ここで、前記調節ノブ150の作動について説明すれば、図9及び図11(b)に示すように、作業者が調節ノブ150を把持し、該調節ノブ150を前記係合突起122と前記係合凹部151との係合状態を解除する方向に押し付けることで、調節ノブ150が回転可能な状態となる。この状態で、調節ノブ150を正・逆回転させると、図10に示すように、該調節ノブ150内に螺設されている前記第2クラッチ160が前記ガイド軸170に沿って空間部121内を前後に移動し、これによって、第1クラッチ140との間の間隔が調節される。
このように、第2クラッチ160と第1クラッチ140とが所望する間隔となるように前記調節ノブ150を回転操作した後、この調節ノブ150に対する把持力を解除すると、付勢手段152によって前記調節ノブ150の係合突起122と前記間隙維持部120の係合凹部151とが係合され、調節された第1クラッチ140と第2クラッチ160との間の間隔が確実に維持される。
また、前記付勢手段152は、前記結合部110の他端面110b’に形成されたスプリング挿着凹部152aと、一端が前記スプリング挿着凹部152aの底面に挿設され、他端が前記第2クラッチ160を挿通して前記間隙維持部120の一端面120a’に挿設されるスプリング保持棒152bと、このスプリング保持棒152bにおける前記スプリング挿着凹部152aと前記第2クラッチ160との間に介装されるスプリング152cとによって構成されている。即ち、前記第2クラッチ160が前記調節ノブ150内に螺設されているので、前記付勢手段152によって前記第2クラッチ160を付勢することで、前記調節ノブ150を常に付勢することができる。そして、図示しないが、前記付勢手段152は、長期間の使用による付勢力の低下を防止するために、複数設けておくのが望ましい。また、前記付勢手段152のスプリング保持棒152bは、前記したガイド軸170と同様に、前記第2クラッチ160の前後移動をガイドする機能も有する。
更に、前記結合部110の外周面には、前記調節ノブ150の一端部150aが当接する突出部113が突設されている。これにより、作業者が係合突起122と係合凹部151との係合状態を解除するために前記調節ノブ150を押し付ける際に、この調節ノブ150が過度に移動することを防止している。
そして、図11(a)及び図12に示すように、前記間隙維持部120の他端面120b’には、前記第1クラッチ140と前記第2クラッチ160との間の距離を段階的に表す複数の表示文字125が刻字され、前記調節ノブ150の他端面150b’には、設定された表示文字125を指す指示溝154が形成されている。即ち、前記調節ノブ150の回転操作の際に、前記表示文字125と前記指示溝154に基づいて前記係合突起122と前記係合凹部151とを係合することによって、前記第1クラッチ140と前記第2クラッチ160との間の距離を所望の距離に調節することができる。
また、前記第1クラッチ140の第1ストッパー141の先端面には、前記中心軸130の正転方向に所定の角度で傾いた上向きの傾斜面141aが形成され、前記第2クラッチ160の第2ストッパー161の先端面には、前記第1ストッパー141の傾斜面141aに歯合する下向きの傾斜面161aが形成されている。これによれば、前記中心軸130の回転且つ前進移動によって前記第1クラッチ140が前記第2クラッチ160に突き当たる際に、前記傾斜面141aと前記傾斜面161aとのスライド接触によって前記第1ストッパー141が前記第2ストッパー161にスムーズに噛合される。従って、前記中心軸130がそれ以上回転しなくなり、その前進移動が停止される。
また、図8に示すように、前記調節ノブ150の一端面150a’には、該調節ノブ150の過回転を防止するための過回転防止バー155が突設され、前記結合部110の突出部113の他側面113b’には、前記過回転防止バー155が係止する係止バー113aが突設されている。これによれば、作業者が前記調節ノブ150を回転操作して前記第1クラッチ140と前記第2クラッチ160との間の距離を調節する際には、前記過回転防止バー155と前記係止バー113aとの係止によって当該調節ノブ150が所定の調節範囲内で段階的に回転するので、長期間の使用等によって表示文字125が消えた場合にも作業者が前記調節ノブ150の回転操作による的確な調節作業を行なうことができる。
次に、以上の構成による締付力調節装置Cの作動について説明する。例えば、前記調節ノブ150の指示溝154が前記間隙維持部120の多数の表示文字125の中の「0」を指している場合は、図13に示すように、第2クラッチ160と第1クラッチ140とが当接されている。これにより、第2クラッチ160の第2ストッパー161が第1クラッチ140の第1ストッパー141に噛合されている状態となっている。この状態で、上述したような調節ノブ150の回転操作によって、調節ノブ150の指示溝154が間隙維持部120の「1」〜「4」の表示文字125の中の何れかを指すように、調節ノブ150の係合突起122と間隙維持部120の係合凹部151とを係合すると、図14に示すように、第2クラッチ160がガイド軸170に沿って前進移動することによって、第1クラッチ140との間の距離が開き、この距離は調節ノブ150の回転量に従って段階的に増大される。
このように、第1クラッチ140と第2クラッチ160との間の距離を調節した状態で、バイスBの基台フレーム1上に加工するワークを載置してからハンドル8を回転させると、これに連動するネジ軸5の回転によってスライダー4を介して可動ジョー3が固定ジョー2に向かって前進移動する。これによって、可動ジョー3と固定ジョー2との間にワークが仮挟持される。
この仮挟持状態で、ハンドル8を更に回転させると、図15に示すように、間隙維持部120の係止凹部124に係止されていたボール135がボールスプリング134に抗して係止溝124から外れ、中心軸130が回転しながら第1クラッチ140が第2クラッチ160に当接するまで前進移動する。
従って、中心軸130が前進移動した距離だけ、この中心軸130の押圧部131に接している前記増力装置Pの第1移動部材10を押圧して前進移動させることができ、この増力装置Pの上述したような作動によって締付力が増加され、固定ジョー2と可動ジョー3との間に仮挟持されているワークは強固に挟持される。
そして、前記増力装置Pによる締付力の増加は、第1クラッチ140と第2クラッチ160との間の距離に比例するので、可動ジョー3と固定ジョー2との間に挟持されるワークに応じて調節ノブ150を適宜に回転操作することによって、可動ジョー3から固定ジョー2に向かう方向の締付力を容易に調節することができる。
従って、固定ジョー2と可動ジョー3との間にワークを挟持させる際に、過度な締付力によってワークが変形されたり、傷ついたりすることを防止することができるとともに、前記増力装置Pによってワークをより強固に挟持することができる。
本発明の実施形態において採用するバイスの一部断面視した説明図。 本実施形態において採用する増力装置を示す斜視図。 図2のIII−III線断面説明図。 図2の増力装置の分解斜視図。 図2の増力装置の作動状態を示す断面図。 本実施形態において採用可能な他の増力装置を示す概略断面図。 本実施形態において採用可能な他の増力装置を示す概略断面図。 本発明の一実施形態の締付力調節装置の調節操作前の状態を示す説明的断面図。 本実施形態の締付力調節装置の調節操作中の状態を示す説明的断面図。 本実施形態の締付力調節装置の調節操作後の状態を示す説明的断面図。 本実施形態の締付力調節装置における調節ノブの要部を拡大して示す説明的斜視図。 本実施形態の締付力調節装置の右側端面を示す説明的側面図。 本実施形態の締付力調節装置の使用状態における調節操作前の状態を示す要部の拡大断 面図。 本実施形態の締付力調節装置の使用状態における調節操作後の状態を示す要部の拡大断面図。 本実施形態の締付力調節装置の使用状態における増力装置の第1移動部材への加圧状態を示す要部の拡大断面図。
符号の説明
B…バイス、C…締付力調節装置、P…増力装置、2…固定ジョー、3…可動ジョー、5…ネジ軸、110…結合部、113a…係止バー、120…間隙維持部、121…空間部、122…係合突起、124…係止凹部、125…表示文字、130…中心軸、131…押圧部、133…保持凹部、134…ボールスプリング、135…ボール、140…第1クラッチ、141…第1ストッパー、141a,161a…傾斜面、150…調節ノブ、151…係合凹部、152…付勢手段、152a…スプリング挿着凹部、152b…スプリング保持棒、152c…スプリング、153…雌ネジ、154…指示溝、155…過回転防止バー、160…第2クラッチ、161…第2ストッパー、162…雄ネジ、170…ガイド軸。

Claims (6)

  1. 固定ジョーと、ネジ軸の回転によって進退移動する可動ジョーとの間にワークを締め付け挟持するバイスに設けられ、該バイスに備えられた増力装置による固定ジョーへの可動ジョーの締付力を調節するバイス用締付力調節装置において、
    一端部が前記ネジ軸に結合され、内周面に顎部が形成された軸孔を有する結合部と、
    該結合部の軸線方向に所定の空隙を形成する空間部を介して配設され、該結合部の軸線方向に貫通する軸孔を有すると共に、該結合部と反対側に位置する端部の外周縁に所定間隔を存して突設された複数の係合突起を有する間隙維持部と、
    前記結合部の軸孔に一端部側が、前記間隙維持部の軸孔に他端部側が各々回転自在且つ摺動自在に挿通され、前記結合部の軸孔の顎部に係止された押圧部を一端部に保持する中心軸と、
    前記結合部と前記間隙維持部との間において一端が該結合部に挿着され、他端が該間隙維持部に挿着されたガイド軸と、
    前記中心軸の長手方向の略中間位置に固設され、前記結合部に対向する一端面から突出する第1ストッパーを有する第1クラッチと、
    前記結合部及び前記間隙維持部に回転自在且つ軸線方向に摺動自在に外挿され、軸線方向に沿った摺動に応じて該間隙維持部の係合突起に係脱自在に係合する複数の係合凹部を有すると共に、前記結合部と間隙維持部との間の空間部に臨む内周面に形成された雌ネジを有する調節ノブと、
    該調節ノブを、前記係合凹部が前記間隙維持部の係合突起に係合する方向に付勢する付勢手段と、
    前記空間部内において前記ガイド軸に沿って移動自在に支持され、前記中心軸が回転自在且つ摺動自在に挿通される軸孔を有すると共に、前記ガイド軸が摺動自在に挿通されるガイド孔を有し、更に、外周面に前記調節ノブ内周の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、且つ前記第1クラッチの第1ストッパーに係脱自在に噛合する第2ストッパーを有する第2クラッチとを備えることを特徴とするバイス用締付力調節装置。
  2. 前記付勢手段は、前記結合部の前記間隙維持部に対向する端面に形成されたスプリング挿着凹部と、該スプリング挿着凹部の内径より小さな外径を有して一端が該スプリング挿着凹部の底部に埋設され、他端が前記第2クラッチを挿通して前記間隙維持部の前記結合部に対向する端面に埋設されたスプリング保持棒と、該スプリング保持棒における前記スプリング挿着凹部と前記第2クラッチとの間に介装されたスプリングとを備えることを特徴とする請求項1記載のバイス用締付力調節装置。
  3. 前記中心軸の前記間隙維持部の内部に位置する外周面には、該中心軸の径方向に形成された保持凹部と、該保持凹部に収納保持されたボールスプリングと、該保持凹部に突没自在に保持されて該ボールスプリングによって保持凹部の外方に付勢されるボールとが設けられ、
    前記間隙維持部の内周面には、前記ボールの一部が係脱自在に係止される係止凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のバイス用締付力調節装置。
  4. 前記第1クラッチの第1ストッパーの先端面には、前記中心軸の正転方向に沿って傾斜する傾斜面が形成され、
    前記第2クラッチの第2ストッパーの先端面には、前記第1ストッパーの傾斜面に対応して傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のバイス用締付力調節装置。
  5. 前記間隙維持部の前記結合部の反対側の端面には、前記第1クラッチと前記第2クラッチとの間の距離を段階的に表す複数の表示文字が刻字され、
    前記調節ノブの前記結合部の反対側の端面には、設定された前記表示文字を指す指示溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のバイス用締付力調節装置。
  6. 前記調節ノブの前記結合部に対向する端面には、該調節ノブの所定の調節範囲外への過回転を防止するための過回転防止バーが突設され、
    前記結合部には、該過回転防止バーを係止する係止バーが突設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載のバイス用締付力調節装置。

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