JP3765634B2 - タイヤトレッド用コンパウンド - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、高ビニル含量ポリブタジエンゴム、中ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムとを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物、並びにこの硫黄硬化ゴム組成物の空気入りゴムタイヤにおける使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤの取り換え費用はトラック運送業で遭遇する主要な出費の一つである。言うまでもなく、タイヤの取り換え費用と頻度は、乗用車および軽トラックの大半の所有者の関心事でもある。近年、タイヤの耐トレッド摩耗特性を改善するための多くの改変が実行されている。しかし、タイヤのト耐レッド摩耗特性の改善は、そのタイヤの静止摩擦特性および/またはころがり抵抗特性との妥協によって達成されることが多い。
【0003】
タイヤのころがり抵抗を減らすために、そのタイヤのトレッドを造るのに反発弾性の大きいゴムを使用することができる。このようなゴムで作られたタイヤでは、ころがり中のエネルギー損失が少なくなり、普通耐トレッド摩耗特性も改善される。この方法に関連する従来からの問題は、そのタイヤの湿静止摩擦特性と湿スキッド抵抗特性が低下することである。これは、エネルギー損失を少なくする良好なろがり抵抗特性と、エネルギー損失を大きくする良好な静止摩擦特性とが粘弾性的に相容れない性質であるからである。
【0004】
これらの粘弾性的に相容れない2つの性質を均衡させるために、普通様々なタイプの合成および天然ゴムの混合物がタイヤトレッドに使用される。例えば、乗用車のタイヤトレッド用ゴム材料としてスチレン‐ブタジエンゴムとポリブタジエンゴムの各種混合物が一般に用いられる。しかし、このようなブレンドは、全体的に見て、全ての目的にとっては満足なものでない。
【0005】
米国特許第4,843,120号明細書には、多重ガラス転移温度を有するゴム状重合体をトレッドゴムとして使用することにより、改善された実用性能特性を有するタイヤを製造できることが開示されている。これらの多重ガラス転移温度を有するゴム状重合体は約−110℃から−20℃の範囲内に第1のガラス転移温度を示し、そして約−50℃から0℃の範囲内に第2のガラス転移温度を示す。米国特許第4,843,120号明細書によれば、これらの重合体は、少くとも一種の共役ジオレフィン単量体を、第1反応ゾーンで、−110℃から−20℃の間にある第1のガラス転移温度を有する第1の高分子セグメントを生じさせるのに十分な温度と条件で重合させ、続いてその重合を、第2反応ゾーンで、−20℃から20℃の間にあるガラス転移温度を有する第2の高分子セグメントを生成させるのに十分な温度と条件で継続することにより製造される。このような重合は普通有機リチウム触媒の作用下で行われ、またその重合は通常不活性な有機溶媒中で行われる。
【0006】
米国特許第5,137,998号明細書には、スチレン、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンを、有機溶媒中で、(a)トリピペリジノホスフィンオキシドおよびアルカリ金属アルコキシドより成る群から選ばれる少くとも一種と、(b)有機リチウム化合物の存在下において約40℃を超えない温度で三元共重合することから成る、多重ガラス転移温度を有し、且つタイヤトレッドを作るのに使用するための性質の素晴らしい組み合せを有するスチレン、イソプレンおよびブタジエンのゴム状三元共重合体を製造する方法が開示されている。
【0007】
米国特許第5,047,483号明細書には、外周トレッドを有し、そのトレッドが、ゴム100重量部を基に(phr)、(A)約10から約90重量部のスチレン、イソプレン、ブタジエン三元共重合体ゴム(SIBR)と(B)約70から約30重量パーセントの、シス‐1,4‐ポリイソプレンゴムおよびシス‐1,4‐ポリブタジエンゴムの内の少くとも一種を含んでなる硫黄‐硬化ゴム組成物であり、ここで上記SIBRは(1)約10から約35重量パーセントの結合スチレン、(2)約30から約50重量パーセントの結合イソプレンおよび(3)約30から約45重量パーセントの結合ブタジエンからなり、そして約−10℃から−40℃の範囲内にある単一のガラス転移温度を有し、そしてさらに上記結合ブタジエン構造は約30から約40パーセントの1,2‐ビニル単位を含んでおり、上記結合イソプレン構造は約10から約30パーセントの3,4‐単位を含んでおり、そして結合ブタジエンの1,2‐ビニル単位のパーセントと結合イソプレンの3,4‐単位のパーセントとの和が約40から約70パーセントの範囲にあることを特徴とする、空気入りゴムタイヤが開示されている。
【0008】
米国特許第5,272,220号明細書には、改善されたころがり抵抗性と耐トレッド摩耗特性を示すトラックタイヤトレッドの製造に使用すると特に価値のあるスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムにして、約5重量パーセントから約20重量パーセントのスチレン、約7重量パーセントから約35重量パーセントのイソプレンおよび約55重量パーセントから約88重量パーセントの1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなり、ここでスチレン、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は本質的にランダム順列であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約25パーセントから約40パーセントはシス‐微細構造であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約40パーセントから約60パーセントはトランス‐微細構造であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約5パーセントから約25パーセントはビニル‐微細構造であり、そのイソプレンから誘導される繰返単位の約75パーセントから約90パーセントは1,4‐微細構造であり、そのイソプレンから誘導される繰返単位の約10パーセントから約25パーセントは3,4‐微細構造であり、そのゴムは約−90℃から約−70℃の範囲内にあるガラス転移温度を有し、そのゴムは約150,000から約400,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのゴムは約300,000から約800,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、そしてそのゴムは約0.5から約1.5の範囲内にある不均質度を有している、上記のスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムが開示されている。
【0009】
米国特許第5,239,009号明細書には、(a)共役ジエン単量体を、極性修飾剤が実質的に存在していないリチウム開始剤を用い、約5℃から約100℃の範囲の温度で重合させて約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有するリビング‐ポリジエン・セグメントを生成させ;そして(b)このリビング‐ポリジエン・セグメントを1,3‐ブタジエン、イソプレンおよびスチレンの三元共重合を開始させるために利用する工程を含んでなるゴム状重合体を製造する方法にして、その三元共重合が少くとも一種の極性修飾剤が存在する条件下で、1,3‐ブタジエン、イソプレンおよびスチレンから誘導される繰返単位を含んでなる最終セグメントを生成させるために約5℃から約70℃の範囲の温度で行われ、その最終セグメントは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有している、上記のゴム状重合体の製造方法が開示されている。この方法で造られたゴム状重合体は、耐トレッド摩耗性ところがり抵抗性を犠牲にしないで、その湿スキッド抵抗性と静止摩擦特性を改善するのに有用であると報告されている。
【0010】
米国特許第5,061,765号明細書には、改良された静止摩擦特性、ころがり抵抗性および摩耗耐久性を有するタイヤを造るのに使用できると言われる、ビニル含有量の大きいイソプレン‐ブタジエン共重合体が開示されている。これらの高ビニル含量イソプレン‐ブタジエンゴムは、1,3‐ブタジエン単量体とイソプレン単量体とを、有機溶媒中、約−10℃から約100℃の範囲の温度で、(a)有機鉄化合物、(b)有機アルミニウム化合物、(c)キレート性芳香族アミンおよび(d)プロトン化合物から成る触媒系の存在下において共重合させることにより合成され、その場合キレート性アミンと有機鉄化合物とのモル比は約0.1:1から約1:1の範囲にあり、有機アルミニウム化合物と有機鉄化合物とのモル比は約5:1から約200:1の範囲にあり、そしてプロトン化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比は約0.001:1から約0.2:1の範囲にある。
【0011】
米国特許第5,405,927号明細書には、トラックタイヤトレッドの製造に使用すると特に価値のあるイソプレン‐ブタジエンゴムが開示されており、ここでそのゴムは約20重量パーセントから約50重量パーセントのイソプレン、および約50重量パーセントから約80重量パーセントの1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなり、イソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導されるその繰返単位は本質的にランダム順列であり、そのゴム中の繰返単位の約3パーセントから約10パーセントは1,2‐ポリブタジエン単位であり、その繰返単位の約50パーセントから約70パーセントは1,4‐ポリブタジエン単位であり、その繰返単位の約1パーセントから約4パーセントは3,4‐ポリイソプレン単位であり、その繰返単位の約25パーセントから約40パーセントは1,4‐ポリイソプレン単位であり、そのゴムは約−90℃から−75℃の範囲内にあるガラス転移温度を有し、そしてそのゴムは約55から約140の範囲内にあるムーニー粘度を有している。
【0012】
米国特許出願第08/524,666号明細書(出願日:1995年9月8日)には、乗用車用タイヤトレッドを作るのに使用するための性質の素晴らしい組み合せを有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが開示されており、ここでそのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100℃から−70℃の範囲内にある一つのガラス転移温度を有し、場合によってはそのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50℃から0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を有していることができ、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中でのイソプレンおよびブタジエンから誘導される繰返単位は本質的にランダム順列である。この米国特許出願08/524,666号明細書には、さらに、(1)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと3,4‐ポリイソプレンゴムとのブレンド、(2)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとシス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンド、および(3)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと天然ゴムとのブレンドが開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤトレッド用コンパウンドにイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを使用することにより、静止摩擦特性ところがり抵抗性を犠牲にすること無しに耐トレッド摩耗性の改善されたタイヤトレッドを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明の概要
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体はスチレンを含んでいないから、原材料のコストを下げることもできる。これは、スチレンおよび他のビニル芳香族単量体は1,3‐ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン単量体に比べて高価であるからである。
【0015】
更に具体的に述べると、本発明は、ゴム100重量部当たり、(a)約30から約80部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約20から約70部の、高ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックゴムは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある本質的に一つのガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0016】
本発明は、さらに、ゴム100重量部当たり、(a)約30から約80部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約20から約70部の高ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックは約−100から約−70℃の範囲内にある第1ガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50から約0℃の範囲内にある第2ガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0017】
本発明は、また、ゴム100重量部当たり(a)約50から約75部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約25から約50部の、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムおよび溶液重合スチレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある本質的に一つのガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0018】
本発明は、さらにまた、ゴム100重量部当たり、(a)約50から約75部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約25から約50部の、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムおよび溶液重合スチレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある第1のガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50から約0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0019】
発明の詳しい説明
本発明のタイヤ・コンパウンドに用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム(IBR)は溶液重合により合成される。この溶液重合法の第1工程で、1,3‐ブタジエン単量体が約25,000から約350,000の範囲の分子量になるまで重合される。この重合は不活性有機媒体中でリチウム触媒を用いて行われる。この重合工程は極性修飾剤を使用しないで行われる。この重合工程を有意量の極性修飾剤を含まない条件で行うことは、希望の微細構造とガラス転移温度を得るために重要である。例えば、第1重合工程で造られる1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は、低ビニル微細構造(約6パーセントから約10パーセントのビニル基)を有する。この工程で造られるポリブタジエンブロックは、また、約−100から約−70℃の範囲内にある低いガラス転移温度を有する。
【0020】
溶媒として用いられる不活性有機媒体は、普通、一種またはそれ以上の芳香族系、パラフィン系若しくは環状パラフィン系化合物であることができる室温で液体の炭化水素である。これら溶媒は、普通、一分子当たり4から10個の炭素原子を有し、重合条件で液体である。言うまでもなく、選ばれる溶媒にとって重要なことは不活性であることである。本明細書で用いられる“不活性”という用語は、その溶媒が重合反応を妨害しないか、若しくは合成される重合体と反応しないことを意味する。適した有機溶媒の幾つかの代表的な例を挙げると、ペンタン、イソオクタン、シクロヘキサン、n‐ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびそれらに類するものの単独若しくは混合物である。最も望ましいものはシクロヘキサンおよびn‐ヘキサンのような飽和脂肪族系溶媒である。
【0021】
使用できるリチウム触媒は普通有機リチウム化合物である。推奨される有機リチウム化合物は一般式:R‐Liで表すことができ、ここで式中のRは1から約20個の炭素原子を含む炭化水素基である。一般的に言えば、このような一官能性有機リチウム化合物は1から約10個の炭素原子を含む。使用できる有機リチウム化合物の代表的な例に次のものがある:メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、n‐オクチルリチウム、tert‐オクチルリチウム、n‐デシルリチウム、フェニルリチウム、1‐ナフチルリチウム、4‐ブチルフェニルリチウム、p‐トリルリチウム、4‐フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4‐ブチルシクロヘキシルリチウムおよび4‐シクロヘキシルブチルリチウム。アルキルリチウム化合物およびアリールリチウム化合物のような有機モノリチウム化合物が通常用いられる。使用できる推奨される有機モノリチウム化合物の代表的な例は、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、n‐ヘキシルリチウム、tert‐オクチルリチウム、フェニルリチウム、2‐ナフチルリチウム、4‐ブチルフェニルリチウム、4‐フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウムおよびそれらに類するものである。n‐ブチルリチウムとsec‐ブチルリチウムが非常に推奨されるリチウム開始剤である。
【0022】
使用されるリチウム触媒の量は、個々の有機リチウム化合物毎に、また合成されるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムに対して希望される分子量により変わる。全てのアニオン重合での一般則として、生成する重合体の分子量(ムーニー粘度)は使用される触媒の量に逆比例する。有機リチウム開始剤の量は、約50から約140の範囲内にあるムーニー粘度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが生成するように選ばれる。一般に、約0.01phm(単量体100重量部当たりの部数)から1phmのリチウム触媒が使用される。大抵の場合、0.01phmから0.1phmのリチウム触媒が使用され、そして推奨されるのは0.025phmから0.07phmのリチウム触媒を使用することである。
【0023】
通常、重合媒体中に(有機溶媒および単量体を含めて重合媒体の総重量に対して)約5重量パーセントから約35重量パーセントの共役ジエン単量体が添入される。大抵の場合、重合媒体が約10重量パーセントから約30重量パーセントの単量体を含むことが好ましい。普通、重合媒体が約20重量パーセントから約25重量パーセントの単量体を含むことがより好ましい。
【0024】
1,3‐ブタジエンは約5℃から約100℃の範囲の温度で重合される。重合温度は、そのブロックセグメントに対して希望の微細構造を得るために約40℃から約90℃の範囲とするのが好ましい。約60℃から約80℃の範囲の温度が最も好ましい。合成されるポリブタジエンブロックセグメントの微細構造は、ある程度重合温度に依存する。
【0025】
本発明の方法の第1工程における重合は、1,3‐ブタジエン単量体が実質的に全て消費されるまで続けられる。言い換えると、この重合は完了まで進められる。この1,3‐ブタジエン単量体を重合するのにリチウム触媒が用いられているから、リビングポリブタジエンブロックセグメントが生成する。合成されたリビングポリブタジエンセグメントは約25,000から約350,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0026】
このリビングポリブタジエンブロックセグメントは約50,000から約200,000の範囲の分子量を有するのが好ましく、そして約70,000から約150,000の範囲の数平均分子量を有するのが更に好ましい。
【0027】
溶液重合の第2工程は、追加の1,3‐ブタジエン単量体とイソプレン単量体の共重合を開始させるのに、このリビングポリブタジエンブロックセグメントを利用することを含む。この共重合は少くとも一種の極性修飾剤の存在下で行われる。ルイス塩基として作用するエーテル類とアミン類が使用できる極性修飾剤の代表的な例である。典型的な極性修飾剤の具体的例をあげると、ジエチルエーテル、ジ‐n‐プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ‐n‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン、N‐メチルモルホリン、N‐エチルモルホリン、N‐フェニルモルホリンおよびそれらに類するものがある。
【0028】
この修飾剤は1,2,3‐トリアルコキシベンゼン若しくは1,2,4‐トリアルコキシベンゼンでも良い。使用できる1,2,3‐トリアルコキシベンゼンの代表的な例に、1,2,3‐トリメトキシベンゼン、1,2,3‐トリエトキシベンゼン、1,2,3‐トリブトキシベンゼン、1,2,3‐トリヘキソキシベンゼン、4,5,6‐トリメチル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼン、4,5,6‐トリ‐n‐ペンチル‐1,2,3‐トリエトキシベンゼン、5‐メチル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼンおよび5‐プロピル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼンがある。使用できる1,2,4‐トリアルコキシベンゼンの代表的な例に、1,2,4‐トリメトキシベンゼン、1,2,4‐トリエトキシベンゼン、1,2,4‐トリブトキシベンゼン、1,2,4‐トリペントキシベンゼン、3,5,6‐トリメチル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼン、5‐プロピル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼンおよび3,5‐ジメチル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼンがある。ジピペリジノエタン、ジピロリジノエタン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランが、特に推奨される修飾剤の代表的な例である。米国特許第4,022,959号明細書には、極性修飾剤としてのエーテル類と第3アミン類の使用が非常に詳しく説明されている。
【0029】
極性修飾剤としての1,2,3‐トリアルコキシベンゼンと1,2,4‐トリアルコキシベンゼンの使用は、米国特許第4,696,986号明細書に非常に詳しく説明されている。米国特許第4,022,959号および同第4,696,986号明細書の全体を本明細書で引用し、参照するものとする。共役ジエン単量体に由来する繰返単位の微細構造は、重合温度と存在する極性修飾剤の量との関数である。例えば、1,3‐ブタジエンの重合では、温度が高いほどビニル含有量が低くなる(1,2‐微細構造のレベルが低くなる)。従って、重合温度、修飾剤の量および選択される特定の修飾剤は、考えている、合成される重合体セグメントの最終の希望微細構造によって決まることになる。
【0030】
この溶液重合法の第2工程で、最終高分子セグメントが合成される。これは、普通、第1工程で造られたリビング・ポリジエンセグメントを含む媒体に極性修飾剤、追加の1,3‐ブタジエンおよびイソプレンを添加することにより行われる。これは、このリビング・ポリブタジエン・ブロックを含む媒体に先ず修飾剤を加え、次いでイソプレンと追加の1,3‐ブタジエンを添加することにより行われる。重合媒体内の単量体と重合体の総量を(単量体、重合体および溶媒を含む重合媒体の総重量に対して)約5から約35重量パーセントの範囲内に維持するために、若し必要なら追加の溶媒を加えてもよい。重合体と単量体の総量を反応媒体の総重量に対して約10から約30重量パーセント、好ましくは約20から約25重量パーセントの範囲に維持するのに十分な量の溶媒を添加するのが望ましい。
【0031】
最終セグメント中の繰返単位は勿論1,3‐ブタジエンとイソプレンから誘導される。このイソプレン‐ブタジエン・ブロックは、普通、約10から約60重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約40から約90重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から構成されている。普通、この最終セグメントは約20から約50重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約50から約80重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位を含むのが好ましい。この最終セグメントは約30から約45重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約55から約70重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位を含むのが最も好ましい。
【0032】
第2セグメント中で、イソプレンおよびブタジエンに由来する繰返単位の分布は本質的にランダムである。この明細書で用いられる“本質的にランダム”という用語は、一定のパターンに欠けていることを意味する。しかし、実際には、イソプレンおよびブタジエンに由来する繰返単位の濃度は、そのブロックの一端から他端に向かってある程度変化している。イソプレン或いは1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は、その重合反応で二重結合が消費されている点でそれら単位が由来する単量体とは異なっている。
【0033】
この方法の第2工程で行われるブタジエンとイソプレンとの共重合は、第1ブロック(ポリブタジエンブロック)の合成に用いられるのと同じ温度で行うことができる。大抵の場合、この第2重合工程は第1重合工程で用いられるのと大体同じ温度で行われる。しかし、そのイソプレン‐ブタジエンブロックについてより高いガラス転移温度およびビニル含有量に達することを望むなら、約5℃から約70℃の範囲のより低い温度で共重合を行うことができる。
【0034】
この第2重合工程は通常単量体が全部費消されるま続けられる。言い換えると、このこの1,3‐ブタジエンとイソプレンとの共重合は重合反応が完了するまで進められる。最終セグメントが約25,000から約350,000の範囲の数平均分子量に到達するのに十分な量の単量体が用いられる。通常、この第2セグメントは約50,000から約200,000の範囲の数平均分子量を有するのが好ましく、約70,000から約150,000の範囲の数平均分子量を有するのが最も好ましい。
【0035】
第1セグメントの数平均分子量と最終セグメントの数平均分子量との比は、普通約25/75から約75/25の範囲内である。この比はその重合体の形態構造の決定に一定の役割を果たし、その比は通常約35/65から約65/35の範囲である。このセグメント化ゴム状重合体の100℃でのムーニーML‐4粘度は、一般に約50より大きく、約140より小さい。このゴム状ジブロック重合体の100℃でのムーニーML‐4粘度は普通油展前の油展ゴムで80から135の範囲にあるのが好ましく、100から130の範囲であるのが最も好ましい。
【0036】
共重合反応が完了した後、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは有機溶媒から回収することができる。このジブロックゴムは、傾瀉法、ろ過法および遠心分離法などの任意の方法によってその有機溶媒と残留物から回収することができる。その重合体溶液に約1から約4個の炭素原子を含む低級アルコールを加えることによって、その有機溶媒からイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを沈殿させるのが望ましい場合が多い。このポリマーセメント(polymer cement)からジブロックゴムを沈殿させるのに適した低級アルコールに、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n‐プロピルアルコールおよびt‐ブチルアルコールがある。このポリマーセメントからイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを沈殿させるために低級アルコールを使用すると、リチウム末端基が不活性化されることによりリビング重合体が“殺される”ことも起こる。溶液からそのジブロックゴムを回収した後、スチーム・ストリッピングを用いてそのジブロックゴム中の揮発性有機化合物のレベルを下げることができる。
【0037】
タイヤトレッド・コンパウンドの調製に本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを利用することに関連して、非常に貴重な利点がある。これらのジブロックゴムを用いると、追加のゴムをブレンドする必要なしにタイヤトレッド・コンパウンドを調製することができるのである。しかし、多くの場合、そのタイヤトレッド・コンパウンドに望ましい実用性能特性を達成させるためには、一種またはそれ以上の追加のゴムをこのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムにブレンドするのが望ましい。
【0038】
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは常用の成分と標準の方法を用いて混練することができる。例えば、このイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、普通、カーボンブラックおよび/またはシリカ、硫黄、追加の充填材、硬化促進剤、オイル、ワックス、スコーチ禁止剤、カップリング剤および加工助剤とブレンドされる。大抵の場合、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、硫黄および/または硫黄含有化合物、少くとも一種の充填材、少くとも一種の硬化促進剤、少くとも一種の分解防止剤、少くとも一種のプロセスオイル、酸化亜鉛、場合により添加される粘着性樹脂、場合により添加される強化用樹脂、場合により添加される一種またはそれ以上の脂肪酸、場合により添加される素練り促進剤、および場合により添加されるスコーチ禁止剤と混練される。このブレンドは普通約0.5から5phr(ゴム100重量部当たりの部数)の硫黄および/または硫黄含有化合物を含むが、それらを1phrから2.5phr含にでいるのが好ましい。ブルーミングが問題になる場合には、不溶性の硫黄を使用するのが好ましい。
【0039】
普通、そのブレンド中で10から150phrの少くとも一種の充填材が用いられ、30から80phr用いられるのが好ましい。大抵の場合、その充填材の中で少くとも幾らかのカーボンブラックが用いられる。言うまでもなく、充填材は全部カーボンブラックで構成されていてもよい。引裂き抵抗性と蓄熱性を改善するために、充填材中にシリカを含めることもできる。コストを下げるために、充填材中に粘土および/またはタルクを含めることもできる。このブレンドは、普通、0.1から2.5phrの少くとも一種の硬化促進剤も含み、その含有量は0.2から1.5phrであるのが好ましい。酸化防止剤およびオゾンき裂防止剤のような分解防止剤が、普通、0.25から10phrの範囲の量でこのトレッドコンパウンドに含められ、それは1から5phrの量含まれるのが好ましい。プロセスオイルは普通2から100phrの範囲の量でこのブレンドに含められ、5から50phrの範囲の量含まれるのが好ましい。本発明のIBR含有ブレンドは通常0.5から10phrの酸化亜鉛も含み、1から5phr含むのが好ましい。これらのブレンドは、場合によっては、0から10phrの粘着性樹脂、0から10phrの強化用樹脂、1から10phrの脂肪酸、0から2.5phrの素練り促進剤および0から1phrのスコーチ禁止剤を含むことができる。
【0040】
本発明のブレンドの全体としての優位性を完全に実現するために、そのトレッドゴム調合物にシリカを充填することができる。このゴムブレンドの加工は、最大の利点を実現するために、普通硫黄含有有機ケイ素化合物の存在下で行われる。適した硫黄含有有機ケイ素化合物の例は次式:
Z‐Alk‐Sn‐Alk‐Z (I)
で表される化合物である。ただし、上記の式においてZは次式:
【化1】
(式中、R1 は炭素原子1から4個のアルキル基、シクロヘキシル基またはフェニル基であり;R2 は炭素原子1から8個のアルコキシ基または炭素原子5から8個のシクロアルコキシ基である。)
で表される基より成る群から選ばれ;Alkは炭素原子1から18個の二価の炭化水素基であり;そしてnは2から8の整数である。
【0041】
本発明により用いられる硫黄含有有機ケイ素化合物の特定の例に次のものがある:3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3'-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐2”‐エチルヘキソキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリイソオクトキシシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐t‐ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(メトキシジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリルエチル)ペンタスルフィド、3,3'-ビス(トリシクロヘキソキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリシクロペントキシシリルプロピル)トリスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐2”‐メチルシクロヘキソキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルメチル)テトラスルフィド、3‐メトキシエトキシプロポキシシリル‐3'-ジエトキシブトキシシリルプロピル・テトラスルフィド、2,2'-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメチル‐sec‐ブトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3'-ビス(メチルブチルエトキシシリプルピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジ‐t‐ブチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(フェニルメチルメトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3'-ビス(ジフェニルイソプロポキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメチルエチルメルカプトシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(メチルジメトキシシリルエチル)トリスルフィド、2,2'-ビス(メチルエトキシプロポキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジエチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(エチル‐ジ‐sec‐ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(プロリルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ブチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(フェニルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3‐フェニルエトキシブトキシシリル‐3'-トリメトキシシリルプロピル・テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、6,6'-ビス(トリエトキシシリルヘキシル)テトラスルフィド、12,12'-ビス(トリイソプロポキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)テトラスルフィド、18,18'-ビス(トリプロポキシシリルオクタデセニル)テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリル‐ブテン‐2‐イル)テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシレン)テトラスルフィド、5,5'-ビス(ジメトキシメチルシリルフェニル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルプロピル)テトラスルフィドおよび3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド。
【0042】
推奨される硫黄含有有機ケイ素化合物は3,3'-ビス(トリメトキシ‐またはトリエトキシ‐シリルプロピル)スルフィド類である。最も好ましい化合物は3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。それ故、式IでZは次式:
【化2】
(式中、R2 は炭素原子数2から4のアルコキシ基であって、2個の炭素原子の場合が特に好ましい。)
で表される基であり;Alkは炭素原子数2から4の二価の炭化水素基であって、3個の炭素原子の場合が特に好ましく;そしてnは3から5の整数であって、4が特に好ましい。
【0043】
ゴム組成物中の式Iの硫黄含有有機ケイ素化合物の量は使用されるシリカの水準に依存して変わる。一般的に言えば、式Iの化合物の量はシリカ1重量部当たり約0.01から約1.0重量部の範囲である。好ましくは、この量はシリカ1重量部当たり約0.02から約0.4重量部の範囲である。更に好ましくは、式Iの化合物の量はシリカ1重量部当たり約0.05から約0.25重量部の範囲である。
【0044】
硫黄含有有機ケイ素化合物に加えて、このゴム組成物は、合理的に大きいモジュラスと大きい引裂き抵抗性に寄与するのに十分な量のシリカと、若し使用するならカーボンブラックを含んでいるべきである。シリカ充填材は約10phrから約250phrの範囲の量で添加することができる。シリカは50phrから120phrの範囲の量で存在するのが好ましい。カーボンブラックも存在する場合、用いられるカーボンブラックの量は様々に変えることができる。一般的に言えば、カーボンブラックの量は約5phrから約80phrの範囲で変えられる。好ましくは、カーボンブラックの量は約10phrから約40phrの範囲である。シリカカップラーは、カーボンブラックと組み合せて、即ちゴム組成物に添加する前に、カーボンブラックと前混合して用いることができることを理解すべきであって、この場合そのカーボンブラックはこのゴム組成物の調合物のための上述のカーボンブラックの量の中に含まれるべきである。いずれにしても、シリカとカーボンブラックの総量は少なくとも約30phrである。シリカとカーボンブラックを合せた量は、上述のように約30phrのように少ないこともあるが、約45から約130phrであるのが好ましい。
【0045】
焼成および沈降ケイ酸塩系ピグメント(シリカ)を含めてゴム混練用途に一般に用いられるケイ酸塩系ピグメントが本発明においてシリカとして用いられるが、沈降シリカが好ましい。本発明で好ましく用いられるケイ酸塩系ピグメントは、例えば可溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムの酸処理で得られるもののような沈降シリカである。
【0046】
このようなシリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定するBET表面積で特徴付けることができ、その値は好ましくは約40から約600の範囲であり、そして更に普通には約50から約300m2/gの範囲である。表面積を測定するこのBET法は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)第60巻、304頁(1930年)に説明されている。
【0047】
シリカは、また、通常約100から約400、そしてより普通には約150から約300の範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することを特徴とする。シリカは電子顕微鏡で測定した平均最大粒径が、例えば0.01から0.05ミクロンの範囲であると予想されるが、シリカ粒子の大きさはそれより更に小さくてもよいし、またそれより大きい可能性もある。
【0048】
市場から入手できる各種のシリカが本発明で使用するために考慮され、ここでは単なる例として制限を付けずに示すと、PPGインダストリーズ社(PPG Industries)からハイ−シル(Hi‐Sil)という商標名で、210、243などの商品番号で市販されているシリカ;ローン・プーラン社(Rhone‐Poulenc)から、例えばZ1165MPという名称で市販されているシリカ;およびデグッサ社(Degussa AG)から、例えばVN2およびVN3の名称で市販されているシリカなどがある。
【0049】
シリカと有機ケイ素化合物を含むタイヤトレッド調合物は、トレッド・コンパウンドの実用性能特性、例えば静止摩擦特性、耐トレッド摩耗性およびころがり抵抗特性により良いバランスを達成するために、熱機械混合法を用いて混合することができる。一方、このタイヤトレッドゴム調合物の混合は、ゴム混合技術分野の習熟者に知られている通常の方法によって行うこともできる。例えば、各配合成分は、通常、少くとも二段階、即ち少なくとも一つの非硬化発現工程とそれに続く硬化発現混合工程で混合される。硫黄硬化剤を含めて最終硬化剤は、普通“硬化発現”混合工程と呼ばれる最終工程で通常混合され、この工程では、混合は、通常、それに先行する非硬化発現工程(一工程または複数工程)の混合温度(一つまたは複数)より低い温度若しくは最終温度で行われる。ゴム、シリカおよび硫黄含有有機ケイ素化合物、そして若し使用するならカーボンブラックが一工程または複数工程の非硬化発現混合工程で混合される。“非硬化発現”および“硬化発現”混合工程という用語は、ゴム混合技術分野の習熟者にはよく知られている。典型的な非硬化発現混合工程では、混合は僅か1から3分の総混合時間行われ、そのゴム混合物は160℃未満の温度で混合装置から排出される。シリカとカップリング剤が存在する場合、その混合工程からの最高排出温度は通常約145℃以下である。
【0050】
最良の結果を得るために、硫黄含有有機ケイ素化合物、硫黄硬化性ゴムおよび一般的にはシリカの少なくとも一部を含む硫黄硬化性ゴム組成物を熱機械的混合工程にかけるのがよい。この熱機械的混合工程は、普通、混合機、ミル若しくは押出成形機中で140℃と190℃の間のゴム温度を生じさせるのに適した時間機械的に処理することよりなる。この熱機械的処理に適した時間は、操業条件および成分の体積と性質の関数として変わる。例えば、この熱機械的処理は約1から20分の範囲内の時間行うことができる。普通、このゴムでは、約145℃から約180℃の範囲の温度に到達させ、そしてこの温度に約2分から約10分の範囲の時間保つのが好ましい。普通、このゴムでは、約155℃から約170℃の範囲の温度に到達させ、そしてこの温度に4分から約8分の範囲の時間保つのが更に好ましい。
【0051】
本発明の、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含むタイヤトレッド・コンパウンドは、通常のタイヤ製造技術と組み合せてタイヤトレッドに用いることができる。タイヤは、標準の方法を用い、トレッドゴムとして普通に用いられるているゴムコンパウンドをイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムで単に置き換えるだけで作られる。そのタイヤは、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム含有ブレンドで作られた後、標準のタイヤ硬化サイクルを用いて硬化させることができる。本発明により作られたタイヤは広い温度範囲に亘って硬化され得る。しかし、一般に、本発明のタイヤは約132℃(270 oF)から約175℃(347 oF)の範囲の温度で硬化されるのが好ましい。より普通には、本発明のタイヤは約143℃(290 oF)から約165℃(329 oF)の範囲の温度で硬化される。一般に、本発明のタイヤを硬化させるのに用いられる硬化サイクルは約8から約20分の時間であるのがよく、最も望ましい硬化サイクルは約10から約18分である。
【0052】
タイヤトレッド・コンパウンドに本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体を使用することにより、静止摩擦特性若しくはころがり抵抗性を犠牲にすることなしに耐トレッド摩耗特性を改善することができる。本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体はスチレンを含んでいないから、原材料のコストを下げることもできる。これは、スチレンおよび他のビニル芳香族単量体は、1,3‐ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン単量体に比べて高価であるからである。
【0053】
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、乗用車およびトラック用タイヤトレッドコンパウンドの両方に有利に使用できる。一般に、トラック用タイヤトレッド・コンパウンドに用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、約−100℃から約−70℃の範囲内にある単一のガラス転移温度を持っている。一方、乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドを調製する場合に用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、普通、約−100℃から約−70℃の範囲内にある第1のガラス転移温度と約−50℃から約0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を持っている。
【0054】
二つのガラス転移温度を有するこのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、これを天然ゴムとブレンドすると、際立ったころがり抵抗性、静止摩擦特性および耐トレッド摩耗特性を示す乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドが調製できるようになる。このようなブレンドに天然ゴムを利用すると、加工性が改善される。このようなブレンドは、普通、約5から約30重量パーセントの天然ゴムと約70から約95重量パーセントの、二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいる。このようなブレンドは、約20から約30重量パーセントの天然ゴムと約70から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいるのが好ましい。
【0055】
非常に卓越した静止摩擦特性を有するが、トレッド摩耗性が幾分低下している高性能タイヤが、少くとも二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)とをブレンドすることにより調製できる。このようなブレンドは、普通、約50重量パーセントから約75重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体と約25重量パーセントから約50重量パーセントの溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴム含んでいる。普通、このようなブレンドは、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体と約35重量パーセントから約45重量パーセントの溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムを含んでいるのが好ましい。
【0056】
静止摩擦特性よりトレッド摩耗特性の方が遥かに重要である場合には、約5から約30重量パーセントの高シス‐1,4‐ポリブタジエンを約70から約95重量パーセントの、二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることができる。このようなブレンドは、約20重量パーセントから約30重量パーセントの高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムと約70から約80重量パーセントの上記イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいるのが好ましい。
【0057】
もう一つのシナリオでは、本質的に一つのガラス転移温度を有する本発明のイソプレン‐ブタジエンゴムは、ブレンド中に3,4‐ポリイソプレンを混合させるることにより、そのブレンドから作られる乗用車用タイヤの静止摩擦特性、トレッド摩耗特性およびころがり抵抗性を改善するために利用できる。このようなブレンドは、普通、約5から約30重量パーセントの3,4‐ポリイソプレンと約70から約95重量パーセントの、本質的に一つの約−100℃から約−70℃の範囲内にあるガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエンゴムを含んでいる。このようなブレンドは、普通、約20から約30重量パーセントの3,4‐ポリイソプレンと約70から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいる。
【0058】
このようなブレンドに用いられる3,4‐ポリイソプレンは米国特許第5,239,023号明細書に開示されている方法で合成することができる。3,4‐ポリイソプレンを製造するこの方法は:(1)(a)有機溶媒に可溶の有機鉄化合物で、その中の鉄イオンが+3価の酸化状態にあるそのような有機鉄化合物、(b)水、アルコールおよびカルボン酸よりなる群から選ばれるプロトン性化合物を有機アルミニウム化合物に添加することにより調製される部分加水分解有機アルミニウム化合物、および(c)キレート性芳香族アミンからなり、キレート性アミンと有機鉄化合物とのモル比が約0.1:1から1:1の範囲にあり、有機アルミニウム化合物と有機鉄化合物とのモル比が約5:1から200:1の範囲にあり、そしてプロトン性化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比が約0.001:1から0.2:1の範囲にある触媒系を、イソプレン単量体と有機溶媒を含む重合媒体に添加する工程、および(2)そのイソプレン単量体を約−10℃から約100℃の範囲の温度で重合させる工程を含んでいる。本発明の乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドに用いることができる3,4‐ポリイソプレンゴムのもう一つの代表的な例が、ヒュルス社(Huels A.G.)からベストグリップ(VestogripR:登録商標)A6001の商標名で販売されている。
【0059】
トラックタイヤトレッド・コンパウンドは、普通、約5から約30重量パーセントの天然ゴムおよび/または高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムを約70から約95重量パーセントの、単一ガラス転移温度タイプのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることにより調製される。このようなブレンドに使用するのに適した高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは、カナダ特許第1,236,648号明細書に記載されている方法で造ることができる。このようなブレンドに使用するのに適した高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは、また、グッドイヤー タイヤ アンド ラバー社(Goodyear Tire &Rubber Company)からブデン(BudeneR:登録商標)1207ポリブタジエンゴムおよびブデン1208ポリブタジエンゴムとして販売さられている。
【0060】
高性能タイヤ用トレッドは、約30重量パーセントから約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約20重量パーセントから約70重量パーセントの、60から約90パーセントのビニル基を含む高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることによっても造ることができる。普通、そのブレンドに高添加水準で高ビニル含量ポリブタジエンゴムを配合することにより一層良好な静止摩擦特性が実現できる。従って、普通、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントの高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることが推奨される。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントの高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることがより好ましい。この高ビニル含量ポリブタジエンゴムは、普通、約60パーセントから約80パーセントの範囲のビニル基を含んでいる。
【0061】
より良好なころがり抵抗性が要求される場合、高性能タイヤ用トレッドは中ビニル含量ポリブタジエンゴムをイソプレン‐ブタジエンゴムとブレンドすることによっても造ることができる。そのような場合に使用される中ビニル含量ポリブタジエンゴムは約30パーセントから約59パーセントの範囲のビニル基を含んでいる。この中ビニル含量ポリブタジエンゴムは約40パーセントから約50パーセントの範囲のビニル基を含んでいることが好ましい。例えば、高性能タイヤ用のトレッドは、約30から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約20重量パーセントから約70重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることにより造ることができる。普通、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドするのが好ましい。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドするのが一層好ましい。
【0062】
高性能乗用車タイヤ用トレッドは、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム(SIBR)をイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることによっても造ることができる。このようなブレンドは、普通、30重量パーセントから約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと約20重量パーセントから約70重量パーセントのSIBRを含んでいる。通常、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントのSIBRとブレンドすることが好ましい。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントのSIBRとブレンドすることが一層好ましい。このようなタイヤトレッド・コンパウンドで用いられるSIBRは普通約−40℃から約−20℃の範囲内にあるガラス転移温度を有する。
【0063】
この特許出願の目的に関して、重合体の微細構造は核磁気共鳴スペクトル法(NMR)で決定される。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定法により10℃/分の加熱速度で測定され、また分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(DPC)で測定される。
【0064】
【実施例】
本発明を以下の実施例により例示説明するが、これら実施例は単に例示の目的から与えられるものであって、本発明の範囲、または本発明を実施できる様式を限定するものと考えるべきではない。特に断らない限りは、部およびパーセントは全て重量で与えられる。
【0065】
実施例1〜3
本実施例の一連の実験では、低Tg/高Tgのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム状エラストマーが本発明の方法を用いて合成された。この一連の実験で合成されたゴムは、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から成る第1セグメントと、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から成る第2セグメントから構成されていた。
【0066】
この一連の実験で調製されたジブロック重合体は1‐ガロン(3.8リットル)のバッチ式重合反応器中で合成された。使用した方法では、ヘキサン中に19.6パーセントの1,3‐ブタジエン単量体を含む前混合溶液509グラムを上記重合反応器に装填した。重合は、n‐ブチルリチウムの1.02M溶液2.1mL(この2.1mLのn‐ブチルリチウムの内0.15mLは前混合溶液に含まれる不純物を捕捉するために使用された)を添加することにより開始された。この反応器は、本質的に完全な転化率が達成されるまで約65℃の温度に維持された。
【0067】
この時点で、ヘキサンに溶かしたエチルテトラヒドロフルフリルエーテル(ETE)の1.05M溶液7.4mLを反応器に加えた。次いで、イソプレンと1,3‐ブタジエンを19.95パーセントを含む、不純物を取り除いた前混合溶液1500グラムを加えた。この前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンを50:50の比で含んでいた。重合は、65℃で本質的に完全な転化が達成されるまで続けられた。重合を停止させるために、この反応器に1Mエタノール溶液(ヘキサン中)3mLを添加し、重合体を反応器から取り出し、1phmの酸化防止剤で安定化した。ヘキサンを蒸発させた後、得られた重合体を真空乾燥器中、50℃で乾燥した。この重合体中の二つのセグメントの比は25:75であった。他のセグメント比を有するジブロックゴムを同様に合成した。その結果を表1に示す。
【0068】
この一連の実験で合成した3種のジブロックゴムは、約−94℃から約−95℃および約−23℃から約−24℃の範囲にある二つのガラス転移温度を示した。このジブロックゴムの微細構造も表1に示される。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例4〜6
これらの実施例では、第2の単量体前混合溶液中のイソプレンと1,3‐ブタジエンとの比を50:50から30:70に変え、ジブロックゴムの第2セグメント用単量体の重合を完全に行うためにEFE修飾剤を使用しなかったことを除いて、実施例1〜3で説明した方法が用いられた。この一連の実験で合成された3種のジブロックゴムは−89℃から−94℃の中にある唯一つのガラス転移温度を示した。得られたジブロックゴムのTg、100℃でのムーニーML‐4粘度および微細構造を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
実施例7
本実施例の実験で調製されたジブロック50/50PBD‐(30/70)IBRは、二反応器(第1反応器は20リットル;第2反応器は40リットル)中で合成された。ヘキサン中に14パーセントの1,3‐ブタジエンを含んでいる前混合溶液を第1重合反応器に150グラム/分の速度で連続的に添入した。重合は、この第1反応器にn‐ブチルリチウムの0.207M溶液を0.32グラム/分の速度で添加することにより開始された。
【0073】
この重合媒体は連続的に第1反応器から第2反応器に押し出され、そこで第2前混合単量体溶液を150グラム/分の速度で添加した。この第2前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンを30:70の比で含んでおり、そしてヘキサン中の総単量体濃度は14パーセントであった。第2反応器の温度も90℃に保持された。両反応器での滞留時間は1.5時間に設定された。測定した平均単量体転化率は第1反応器で94パーセント、第2反応器で97パーセントであった。
【0074】
次いで、その重合媒体を連続的にイソプロパノール(反応停止剤として)と酸化防止剤を含む保存タンクに押し出した。得られたポリマーセメントをスチームストリッピングにかけ、回収されたジブロックゴムを真空乾燥器中で温度50℃において乾燥した。この重合体は89℃にガラス転移温度を有し、100℃でのムーニーML‐4粘度は73であると測定された。微細構造も測定し、その結果は10パーセントの1,2‐ポリブタジエン単位、73パーセントの1,4‐ポリブタジエン単位、15パーセントの1,4‐ポリイソプレン単位および2パーセントの1,2‐ポリイソプレン単位を含んでいることを示した。
【0075】
実施例8〜9
これら実施例の実験では、ジブロック重合体である低Tg/高Tg・IBR‐IBRsを合成するために、第1前混合溶液を1,3‐ブタジエンから、イソプレンと1,3‐ブタジエンとの混合物に変え、また混合修飾剤であるN.N,N´,N´‐テトラメチルエチレン(TMEDA)/ナトリウム‐t‐アミレート(STA)をTMEDA:STA:n‐ブチルリチウム=3:0.5:1のモル比で第2反応器に添加したことを除いて、実施例7で説明した方法が用いられた。この一連の実験で合成された2種のジブロックゴムは、約−77℃から約−83℃および約−15℃から約−23℃の範囲にある二つのガラス転移温度を示した。これらジブロックゴム中の各セグメントの組成およびガラス転移温度、100℃でのムーニーML‐4粘度および微細構造を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例10〜14
実施例1および6で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを、次いで、標準タイヤトレッド試験調合処方により混練し、溶液重合スチレン‐ブタジエンゴム、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム、および天然ゴムとスチレン‐ブタジエンゴムの50%/50%ブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は、試験されるゴム100部をカーボンブラック45部、プロセスオイル9部、ステアリン酸3部、酸化亜鉛3部、マイクロクリスタリンワックス1部、パラフィンワックス0.5部、混合アリール‐p‐フェニレンジアミン系酸化防止剤1部、N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N´‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン2部、N‐オキシジエチレン・ベンゾチアゾール‐2‐スルフェンアミド0.8部、ジフェニルグアニジン0.4部および硫黄1.6部と混合して調製された。実施例10では実施例1で合成したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムがその調合物に含められ、実施例11では実施例2で合成したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムがその調合物に含められた。実施例12〜14は比較例として行われたもので、スチレン‐ブタジエンゴム、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム、および天然ゴムとスチレン‐ブタジエンゴムとの50%/50%ブレンドをそれぞれゴム成分として含んでいた。
【0078】
これら混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
1立方センチで示した体積損失
【0081】
表4は、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが60℃でのタンデルタは小さいが、0℃でのタンデルタは非常に大きいことを示している。60℃での小さいタンデルタ値は、タイヤトレッドに混和された時にころがり抵抗性が良好であることを示し、そして0℃での大きいタンデルタ値は、静止摩擦特性が良好であること示している。従って、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを用いると、改善された静止摩擦特性ところがり抵抗性の両方を有するタイヤトレッドを作ることができる。実施例10は、際立った静止摩擦特性、トレッド耐久性およびころがり抵抗性を提供する乗用車用の素晴らしいタイヤトレッド・コンパウンドを示している。これは0℃でのタンデルタが0.35より大きく、同時に60℃でのタンデルタが0.070未満の値を示すからである。このようなコンパウンドが高性能タイヤで切望されていることは勿論であろう。
【0082】
0℃におけるタンデルタ値と60℃におけるタンデルタ値との差が大きいこのようなコンパウンドは、タイヤトレッド混練用途において一連の利点を提供する。例えば、一般に、0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差が0.150若しくはそれ以上であれば、良好であると考えられている。0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差が0.2若しくはそれ以上であれば素晴らしく、そしてタンデルタ値におけるこの差が0.25より大きいのは極めて異例のことである。実施例10で作られたコンパウンドの場合、0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差は0.30以上である。
【0083】
実施例11に説明されたタイヤトレッドコンパウンドは、静止摩擦特性が或る程度犠牲にされているが、卓越したころがり抵抗性とトレッド耐久性を提供するので、トラックタイヤに使用できる可能性がある。トラックタイヤの場合、車両の重量が非常に大きいので、静止摩擦特性は一般に大きな関心事でない。かくして、実施例11で作られたコンパウンドはトラックタイヤ用に良好な特性を有している。いずれにせよ、実施例11で説明したコンパウンドの60℃でのタンデルタは0.050未満であり、これは最高のころがり抵抗性と耐トレッド摩耗性であることを示している。明らかに分かるように、実施例11で60℃において達成されたタンデルタは、対照コンパウンドのどれかで実現されている値より小さい。実施例11で見られる摩耗耐久性は、DIN摩耗値が30cc未満で、際立っている。50cc未満のDIN摩耗性値は素晴らしい値であると考えられ、40cc未満のDIN摩耗性値はタイヤトレッド摩耗性にとって超最上級であると考えられる。
【0084】
実施例15〜19
実施例8および9で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを、次いで、タイヤトレッド試験調合処方を用いて混練し、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムと高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は、表5に示した諸成分を混合して調製された。実施例15は比較例として行われたもので、そのゴム成分として、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはいずれも含まれていない。
【0085】
【表5】
【0086】
1この96.3部の乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは70部のゴムと26.3部のプロセスオイルを含むものであった。その乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは23.5%の結合スチレンを含んでいた。
【0087】
2この37.5部の高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは30部のゴムと7.5部のプロセスオイルを含むものであった。
【0088】
これらの混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
実施例20〜22
実施例7で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを二つの異なるタイヤトレッド試験調合処方を用いて混練し、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムと高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は表7に示した諸成分を混合して調製された。実施例20は比較例として行われたもので、そのゴム成分として、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはいずれも含まれていなかった。
【0091】
【表7】
【0092】
1この96.25部の乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは70部のゴムと26.25部のプロセスオイルを含むものであった。その乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは23.5%の結合スチレンを含んでいた。
【0093】
2この37.5部の高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは30部のゴムと7.5部のプロセスオイルを含むものであった。その高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムはブデン1254ポリブタジエンゴムであった。
【0094】
これらの混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表8に示す。
【0095】
【表8】
【0096】
実施例23
本実施例の実験では、イソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなる第1ブロックと、同様にイソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなる第2ブロックを有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが合成された。この合成された重合体中の第1イソプレン‐ブタジエン・ブロックはビニル基含有量が低く、他方第2ブロックはビニル基含有量が高いものであった。
【0097】
この一連の実験では、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(ETE)が修飾剤として用いられた。用いた方法では、シリカ/分子篩/アルミナで乾燥された、ヘキサン中にイソプレンと1,3‐ブタジエンを含む前混合溶液830グラムを1‐ガロン(3.8リットル)の反応器に装填した。この前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンとを50:50の比で含んでおり、その総単量体濃度は18.2パーセントであった。この前混合単量体溶液は前以てn‐ブチルリチウムで不純物が除去されたものであった。重合は、n‐ブチルリチウムの1.04M溶液1.6mLを添加することにより開始された。
【0098】
この反応器は、本質的に完全な単量体転化率が達成されるまで約65℃の温度に保持されたが、それには約2.5時間を要した。次いで、ETEの1.0M溶液4.2mLをこの重合体媒体に添加し、次いで追加の、不純物が取り除かれた単量体前混合溶液(この前混合溶液はヘキサン中に50:50の比でイソプレンと1,3‐ブタジエンを18.2パーセントの濃度で含んでいた)1620グラムを添加した。この共重合は、全ての単量体が消費されるまで65℃で続けられ、それには約2時間を要した。この重合媒体にエタノールを添加して重合を停止させ、合成されたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを1phr(ゴム100重量部当たりの部数)の酸化防止剤で安定化した。ヘキサン溶媒を蒸発させた後、得られたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを真空乾燥器中で50℃の温度において乾燥した。
【0099】
合成されたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、−80℃と−31℃に二つのガラス転移温度を有すると測定された。このゴムの微細構造も測定され、24パーセントの1,2‐ポリブタジエン単位、27パーセントの1,4‐ポリブタジエン単位、24パーセントの3,4‐ポリイソプレン単位、24パーセントの1,4‐ポリイソプレン単位および1パーセントの1,2‐ポリイソプレン単位を含んでいることが示された。
【0100】
本明細書でなされた説明に照して、本発明における様々な変形法が可能であることは明らかであろう。本発明を例示説明する目的から、一定の代表的実施態様と細部を示したが、この技術分野の習熟者には、本発明にはその範囲から逸脱しない範囲で様々な変更と改良がなされ得ることは明らかであろう。それ故、前記の特許請求の範囲によって限定される本発明の十分に意図された範囲の中に入る、説明された特定の実施態様の中で変更がなされ得ることを理解すべきである。
【産業上の利用分野】
本発明は、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、高ビニル含量ポリブタジエンゴム、中ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムとを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物、並びにこの硫黄硬化ゴム組成物の空気入りゴムタイヤにおける使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤの取り換え費用はトラック運送業で遭遇する主要な出費の一つである。言うまでもなく、タイヤの取り換え費用と頻度は、乗用車および軽トラックの大半の所有者の関心事でもある。近年、タイヤの耐トレッド摩耗特性を改善するための多くの改変が実行されている。しかし、タイヤのト耐レッド摩耗特性の改善は、そのタイヤの静止摩擦特性および/またはころがり抵抗特性との妥協によって達成されることが多い。
【0003】
タイヤのころがり抵抗を減らすために、そのタイヤのトレッドを造るのに反発弾性の大きいゴムを使用することができる。このようなゴムで作られたタイヤでは、ころがり中のエネルギー損失が少なくなり、普通耐トレッド摩耗特性も改善される。この方法に関連する従来からの問題は、そのタイヤの湿静止摩擦特性と湿スキッド抵抗特性が低下することである。これは、エネルギー損失を少なくする良好なろがり抵抗特性と、エネルギー損失を大きくする良好な静止摩擦特性とが粘弾性的に相容れない性質であるからである。
【0004】
これらの粘弾性的に相容れない2つの性質を均衡させるために、普通様々なタイプの合成および天然ゴムの混合物がタイヤトレッドに使用される。例えば、乗用車のタイヤトレッド用ゴム材料としてスチレン‐ブタジエンゴムとポリブタジエンゴムの各種混合物が一般に用いられる。しかし、このようなブレンドは、全体的に見て、全ての目的にとっては満足なものでない。
【0005】
米国特許第4,843,120号明細書には、多重ガラス転移温度を有するゴム状重合体をトレッドゴムとして使用することにより、改善された実用性能特性を有するタイヤを製造できることが開示されている。これらの多重ガラス転移温度を有するゴム状重合体は約−110℃から−20℃の範囲内に第1のガラス転移温度を示し、そして約−50℃から0℃の範囲内に第2のガラス転移温度を示す。米国特許第4,843,120号明細書によれば、これらの重合体は、少くとも一種の共役ジオレフィン単量体を、第1反応ゾーンで、−110℃から−20℃の間にある第1のガラス転移温度を有する第1の高分子セグメントを生じさせるのに十分な温度と条件で重合させ、続いてその重合を、第2反応ゾーンで、−20℃から20℃の間にあるガラス転移温度を有する第2の高分子セグメントを生成させるのに十分な温度と条件で継続することにより製造される。このような重合は普通有機リチウム触媒の作用下で行われ、またその重合は通常不活性な有機溶媒中で行われる。
【0006】
米国特許第5,137,998号明細書には、スチレン、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンを、有機溶媒中で、(a)トリピペリジノホスフィンオキシドおよびアルカリ金属アルコキシドより成る群から選ばれる少くとも一種と、(b)有機リチウム化合物の存在下において約40℃を超えない温度で三元共重合することから成る、多重ガラス転移温度を有し、且つタイヤトレッドを作るのに使用するための性質の素晴らしい組み合せを有するスチレン、イソプレンおよびブタジエンのゴム状三元共重合体を製造する方法が開示されている。
【0007】
米国特許第5,047,483号明細書には、外周トレッドを有し、そのトレッドが、ゴム100重量部を基に(phr)、(A)約10から約90重量部のスチレン、イソプレン、ブタジエン三元共重合体ゴム(SIBR)と(B)約70から約30重量パーセントの、シス‐1,4‐ポリイソプレンゴムおよびシス‐1,4‐ポリブタジエンゴムの内の少くとも一種を含んでなる硫黄‐硬化ゴム組成物であり、ここで上記SIBRは(1)約10から約35重量パーセントの結合スチレン、(2)約30から約50重量パーセントの結合イソプレンおよび(3)約30から約45重量パーセントの結合ブタジエンからなり、そして約−10℃から−40℃の範囲内にある単一のガラス転移温度を有し、そしてさらに上記結合ブタジエン構造は約30から約40パーセントの1,2‐ビニル単位を含んでおり、上記結合イソプレン構造は約10から約30パーセントの3,4‐単位を含んでおり、そして結合ブタジエンの1,2‐ビニル単位のパーセントと結合イソプレンの3,4‐単位のパーセントとの和が約40から約70パーセントの範囲にあることを特徴とする、空気入りゴムタイヤが開示されている。
【0008】
米国特許第5,272,220号明細書には、改善されたころがり抵抗性と耐トレッド摩耗特性を示すトラックタイヤトレッドの製造に使用すると特に価値のあるスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムにして、約5重量パーセントから約20重量パーセントのスチレン、約7重量パーセントから約35重量パーセントのイソプレンおよび約55重量パーセントから約88重量パーセントの1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなり、ここでスチレン、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は本質的にランダム順列であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約25パーセントから約40パーセントはシス‐微細構造であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約40パーセントから約60パーセントはトランス‐微細構造であり、その1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位の約5パーセントから約25パーセントはビニル‐微細構造であり、そのイソプレンから誘導される繰返単位の約75パーセントから約90パーセントは1,4‐微細構造であり、そのイソプレンから誘導される繰返単位の約10パーセントから約25パーセントは3,4‐微細構造であり、そのゴムは約−90℃から約−70℃の範囲内にあるガラス転移温度を有し、そのゴムは約150,000から約400,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのゴムは約300,000から約800,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、そしてそのゴムは約0.5から約1.5の範囲内にある不均質度を有している、上記のスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムが開示されている。
【0009】
米国特許第5,239,009号明細書には、(a)共役ジエン単量体を、極性修飾剤が実質的に存在していないリチウム開始剤を用い、約5℃から約100℃の範囲の温度で重合させて約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有するリビング‐ポリジエン・セグメントを生成させ;そして(b)このリビング‐ポリジエン・セグメントを1,3‐ブタジエン、イソプレンおよびスチレンの三元共重合を開始させるために利用する工程を含んでなるゴム状重合体を製造する方法にして、その三元共重合が少くとも一種の極性修飾剤が存在する条件下で、1,3‐ブタジエン、イソプレンおよびスチレンから誘導される繰返単位を含んでなる最終セグメントを生成させるために約5℃から約70℃の範囲の温度で行われ、その最終セグメントは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有している、上記のゴム状重合体の製造方法が開示されている。この方法で造られたゴム状重合体は、耐トレッド摩耗性ところがり抵抗性を犠牲にしないで、その湿スキッド抵抗性と静止摩擦特性を改善するのに有用であると報告されている。
【0010】
米国特許第5,061,765号明細書には、改良された静止摩擦特性、ころがり抵抗性および摩耗耐久性を有するタイヤを造るのに使用できると言われる、ビニル含有量の大きいイソプレン‐ブタジエン共重合体が開示されている。これらの高ビニル含量イソプレン‐ブタジエンゴムは、1,3‐ブタジエン単量体とイソプレン単量体とを、有機溶媒中、約−10℃から約100℃の範囲の温度で、(a)有機鉄化合物、(b)有機アルミニウム化合物、(c)キレート性芳香族アミンおよび(d)プロトン化合物から成る触媒系の存在下において共重合させることにより合成され、その場合キレート性アミンと有機鉄化合物とのモル比は約0.1:1から約1:1の範囲にあり、有機アルミニウム化合物と有機鉄化合物とのモル比は約5:1から約200:1の範囲にあり、そしてプロトン化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比は約0.001:1から約0.2:1の範囲にある。
【0011】
米国特許第5,405,927号明細書には、トラックタイヤトレッドの製造に使用すると特に価値のあるイソプレン‐ブタジエンゴムが開示されており、ここでそのゴムは約20重量パーセントから約50重量パーセントのイソプレン、および約50重量パーセントから約80重量パーセントの1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなり、イソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導されるその繰返単位は本質的にランダム順列であり、そのゴム中の繰返単位の約3パーセントから約10パーセントは1,2‐ポリブタジエン単位であり、その繰返単位の約50パーセントから約70パーセントは1,4‐ポリブタジエン単位であり、その繰返単位の約1パーセントから約4パーセントは3,4‐ポリイソプレン単位であり、その繰返単位の約25パーセントから約40パーセントは1,4‐ポリイソプレン単位であり、そのゴムは約−90℃から−75℃の範囲内にあるガラス転移温度を有し、そしてそのゴムは約55から約140の範囲内にあるムーニー粘度を有している。
【0012】
米国特許出願第08/524,666号明細書(出願日:1995年9月8日)には、乗用車用タイヤトレッドを作るのに使用するための性質の素晴らしい組み合せを有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが開示されており、ここでそのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100℃から−70℃の範囲内にある一つのガラス転移温度を有し、場合によってはそのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50℃から0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を有していることができ、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中でのイソプレンおよびブタジエンから誘導される繰返単位は本質的にランダム順列である。この米国特許出願08/524,666号明細書には、さらに、(1)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと3,4‐ポリイソプレンゴムとのブレンド、(2)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとシス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンド、および(3)そのようなイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと天然ゴムとのブレンドが開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤトレッド用コンパウンドにイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを使用することにより、静止摩擦特性ところがり抵抗性を犠牲にすること無しに耐トレッド摩耗性の改善されたタイヤトレッドを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明の概要
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体はスチレンを含んでいないから、原材料のコストを下げることもできる。これは、スチレンおよび他のビニル芳香族単量体は1,3‐ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン単量体に比べて高価であるからである。
【0015】
更に具体的に述べると、本発明は、ゴム100重量部当たり、(a)約30から約80部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約20から約70部の、高ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックゴムは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある本質的に一つのガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0016】
本発明は、さらに、ゴム100重量部当たり、(a)約30から約80部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約20から約70部の高ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックは約−100から約−70℃の範囲内にある第1ガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50から約0℃の範囲内にある第2ガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0017】
本発明は、また、ゴム100重量部当たり(a)約50から約75部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約25から約50部の、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムおよび溶液重合スチレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある本質的に一つのガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0018】
本発明は、さらにまた、ゴム100重量部当たり、(a)約50から約75部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約25から約50部の、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムおよび溶液重合スチレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、そのブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内にある第1のガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−50から約0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を有し、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は100℃で約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4粘度を有し、そしてそのイソプレン‐ブタジエンブロック中のイソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている上記の硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤを開示するものである。
【0019】
発明の詳しい説明
本発明のタイヤ・コンパウンドに用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム(IBR)は溶液重合により合成される。この溶液重合法の第1工程で、1,3‐ブタジエン単量体が約25,000から約350,000の範囲の分子量になるまで重合される。この重合は不活性有機媒体中でリチウム触媒を用いて行われる。この重合工程は極性修飾剤を使用しないで行われる。この重合工程を有意量の極性修飾剤を含まない条件で行うことは、希望の微細構造とガラス転移温度を得るために重要である。例えば、第1重合工程で造られる1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は、低ビニル微細構造(約6パーセントから約10パーセントのビニル基)を有する。この工程で造られるポリブタジエンブロックは、また、約−100から約−70℃の範囲内にある低いガラス転移温度を有する。
【0020】
溶媒として用いられる不活性有機媒体は、普通、一種またはそれ以上の芳香族系、パラフィン系若しくは環状パラフィン系化合物であることができる室温で液体の炭化水素である。これら溶媒は、普通、一分子当たり4から10個の炭素原子を有し、重合条件で液体である。言うまでもなく、選ばれる溶媒にとって重要なことは不活性であることである。本明細書で用いられる“不活性”という用語は、その溶媒が重合反応を妨害しないか、若しくは合成される重合体と反応しないことを意味する。適した有機溶媒の幾つかの代表的な例を挙げると、ペンタン、イソオクタン、シクロヘキサン、n‐ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびそれらに類するものの単独若しくは混合物である。最も望ましいものはシクロヘキサンおよびn‐ヘキサンのような飽和脂肪族系溶媒である。
【0021】
使用できるリチウム触媒は普通有機リチウム化合物である。推奨される有機リチウム化合物は一般式:R‐Liで表すことができ、ここで式中のRは1から約20個の炭素原子を含む炭化水素基である。一般的に言えば、このような一官能性有機リチウム化合物は1から約10個の炭素原子を含む。使用できる有機リチウム化合物の代表的な例に次のものがある:メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、n‐オクチルリチウム、tert‐オクチルリチウム、n‐デシルリチウム、フェニルリチウム、1‐ナフチルリチウム、4‐ブチルフェニルリチウム、p‐トリルリチウム、4‐フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4‐ブチルシクロヘキシルリチウムおよび4‐シクロヘキシルブチルリチウム。アルキルリチウム化合物およびアリールリチウム化合物のような有機モノリチウム化合物が通常用いられる。使用できる推奨される有機モノリチウム化合物の代表的な例は、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、n‐ヘキシルリチウム、tert‐オクチルリチウム、フェニルリチウム、2‐ナフチルリチウム、4‐ブチルフェニルリチウム、4‐フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウムおよびそれらに類するものである。n‐ブチルリチウムとsec‐ブチルリチウムが非常に推奨されるリチウム開始剤である。
【0022】
使用されるリチウム触媒の量は、個々の有機リチウム化合物毎に、また合成されるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムに対して希望される分子量により変わる。全てのアニオン重合での一般則として、生成する重合体の分子量(ムーニー粘度)は使用される触媒の量に逆比例する。有機リチウム開始剤の量は、約50から約140の範囲内にあるムーニー粘度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが生成するように選ばれる。一般に、約0.01phm(単量体100重量部当たりの部数)から1phmのリチウム触媒が使用される。大抵の場合、0.01phmから0.1phmのリチウム触媒が使用され、そして推奨されるのは0.025phmから0.07phmのリチウム触媒を使用することである。
【0023】
通常、重合媒体中に(有機溶媒および単量体を含めて重合媒体の総重量に対して)約5重量パーセントから約35重量パーセントの共役ジエン単量体が添入される。大抵の場合、重合媒体が約10重量パーセントから約30重量パーセントの単量体を含むことが好ましい。普通、重合媒体が約20重量パーセントから約25重量パーセントの単量体を含むことがより好ましい。
【0024】
1,3‐ブタジエンは約5℃から約100℃の範囲の温度で重合される。重合温度は、そのブロックセグメントに対して希望の微細構造を得るために約40℃から約90℃の範囲とするのが好ましい。約60℃から約80℃の範囲の温度が最も好ましい。合成されるポリブタジエンブロックセグメントの微細構造は、ある程度重合温度に依存する。
【0025】
本発明の方法の第1工程における重合は、1,3‐ブタジエン単量体が実質的に全て消費されるまで続けられる。言い換えると、この重合は完了まで進められる。この1,3‐ブタジエン単量体を重合するのにリチウム触媒が用いられているから、リビングポリブタジエンブロックセグメントが生成する。合成されたリビングポリブタジエンセグメントは約25,000から約350,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0026】
このリビングポリブタジエンブロックセグメントは約50,000から約200,000の範囲の分子量を有するのが好ましく、そして約70,000から約150,000の範囲の数平均分子量を有するのが更に好ましい。
【0027】
溶液重合の第2工程は、追加の1,3‐ブタジエン単量体とイソプレン単量体の共重合を開始させるのに、このリビングポリブタジエンブロックセグメントを利用することを含む。この共重合は少くとも一種の極性修飾剤の存在下で行われる。ルイス塩基として作用するエーテル類とアミン類が使用できる極性修飾剤の代表的な例である。典型的な極性修飾剤の具体的例をあげると、ジエチルエーテル、ジ‐n‐プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ‐n‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン、N‐メチルモルホリン、N‐エチルモルホリン、N‐フェニルモルホリンおよびそれらに類するものがある。
【0028】
この修飾剤は1,2,3‐トリアルコキシベンゼン若しくは1,2,4‐トリアルコキシベンゼンでも良い。使用できる1,2,3‐トリアルコキシベンゼンの代表的な例に、1,2,3‐トリメトキシベンゼン、1,2,3‐トリエトキシベンゼン、1,2,3‐トリブトキシベンゼン、1,2,3‐トリヘキソキシベンゼン、4,5,6‐トリメチル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼン、4,5,6‐トリ‐n‐ペンチル‐1,2,3‐トリエトキシベンゼン、5‐メチル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼンおよび5‐プロピル‐1,2,3‐トリメトキシベンゼンがある。使用できる1,2,4‐トリアルコキシベンゼンの代表的な例に、1,2,4‐トリメトキシベンゼン、1,2,4‐トリエトキシベンゼン、1,2,4‐トリブトキシベンゼン、1,2,4‐トリペントキシベンゼン、3,5,6‐トリメチル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼン、5‐プロピル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼンおよび3,5‐ジメチル‐1,2,4‐トリメトキシベンゼンがある。ジピペリジノエタン、ジピロリジノエタン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランが、特に推奨される修飾剤の代表的な例である。米国特許第4,022,959号明細書には、極性修飾剤としてのエーテル類と第3アミン類の使用が非常に詳しく説明されている。
【0029】
極性修飾剤としての1,2,3‐トリアルコキシベンゼンと1,2,4‐トリアルコキシベンゼンの使用は、米国特許第4,696,986号明細書に非常に詳しく説明されている。米国特許第4,022,959号および同第4,696,986号明細書の全体を本明細書で引用し、参照するものとする。共役ジエン単量体に由来する繰返単位の微細構造は、重合温度と存在する極性修飾剤の量との関数である。例えば、1,3‐ブタジエンの重合では、温度が高いほどビニル含有量が低くなる(1,2‐微細構造のレベルが低くなる)。従って、重合温度、修飾剤の量および選択される特定の修飾剤は、考えている、合成される重合体セグメントの最終の希望微細構造によって決まることになる。
【0030】
この溶液重合法の第2工程で、最終高分子セグメントが合成される。これは、普通、第1工程で造られたリビング・ポリジエンセグメントを含む媒体に極性修飾剤、追加の1,3‐ブタジエンおよびイソプレンを添加することにより行われる。これは、このリビング・ポリブタジエン・ブロックを含む媒体に先ず修飾剤を加え、次いでイソプレンと追加の1,3‐ブタジエンを添加することにより行われる。重合媒体内の単量体と重合体の総量を(単量体、重合体および溶媒を含む重合媒体の総重量に対して)約5から約35重量パーセントの範囲内に維持するために、若し必要なら追加の溶媒を加えてもよい。重合体と単量体の総量を反応媒体の総重量に対して約10から約30重量パーセント、好ましくは約20から約25重量パーセントの範囲に維持するのに十分な量の溶媒を添加するのが望ましい。
【0031】
最終セグメント中の繰返単位は勿論1,3‐ブタジエンとイソプレンから誘導される。このイソプレン‐ブタジエン・ブロックは、普通、約10から約60重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約40から約90重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から構成されている。普通、この最終セグメントは約20から約50重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約50から約80重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位を含むのが好ましい。この最終セグメントは約30から約45重量パーセントの、イソプレンに由来する繰返単位と、約55から約70重量パーセントの、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位を含むのが最も好ましい。
【0032】
第2セグメント中で、イソプレンおよびブタジエンに由来する繰返単位の分布は本質的にランダムである。この明細書で用いられる“本質的にランダム”という用語は、一定のパターンに欠けていることを意味する。しかし、実際には、イソプレンおよびブタジエンに由来する繰返単位の濃度は、そのブロックの一端から他端に向かってある程度変化している。イソプレン或いは1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位は、その重合反応で二重結合が消費されている点でそれら単位が由来する単量体とは異なっている。
【0033】
この方法の第2工程で行われるブタジエンとイソプレンとの共重合は、第1ブロック(ポリブタジエンブロック)の合成に用いられるのと同じ温度で行うことができる。大抵の場合、この第2重合工程は第1重合工程で用いられるのと大体同じ温度で行われる。しかし、そのイソプレン‐ブタジエンブロックについてより高いガラス転移温度およびビニル含有量に達することを望むなら、約5℃から約70℃の範囲のより低い温度で共重合を行うことができる。
【0034】
この第2重合工程は通常単量体が全部費消されるま続けられる。言い換えると、このこの1,3‐ブタジエンとイソプレンとの共重合は重合反応が完了するまで進められる。最終セグメントが約25,000から約350,000の範囲の数平均分子量に到達するのに十分な量の単量体が用いられる。通常、この第2セグメントは約50,000から約200,000の範囲の数平均分子量を有するのが好ましく、約70,000から約150,000の範囲の数平均分子量を有するのが最も好ましい。
【0035】
第1セグメントの数平均分子量と最終セグメントの数平均分子量との比は、普通約25/75から約75/25の範囲内である。この比はその重合体の形態構造の決定に一定の役割を果たし、その比は通常約35/65から約65/35の範囲である。このセグメント化ゴム状重合体の100℃でのムーニーML‐4粘度は、一般に約50より大きく、約140より小さい。このゴム状ジブロック重合体の100℃でのムーニーML‐4粘度は普通油展前の油展ゴムで80から135の範囲にあるのが好ましく、100から130の範囲であるのが最も好ましい。
【0036】
共重合反応が完了した後、そのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは有機溶媒から回収することができる。このジブロックゴムは、傾瀉法、ろ過法および遠心分離法などの任意の方法によってその有機溶媒と残留物から回収することができる。その重合体溶液に約1から約4個の炭素原子を含む低級アルコールを加えることによって、その有機溶媒からイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを沈殿させるのが望ましい場合が多い。このポリマーセメント(polymer cement)からジブロックゴムを沈殿させるのに適した低級アルコールに、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n‐プロピルアルコールおよびt‐ブチルアルコールがある。このポリマーセメントからイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを沈殿させるために低級アルコールを使用すると、リチウム末端基が不活性化されることによりリビング重合体が“殺される”ことも起こる。溶液からそのジブロックゴムを回収した後、スチーム・ストリッピングを用いてそのジブロックゴム中の揮発性有機化合物のレベルを下げることができる。
【0037】
タイヤトレッド・コンパウンドの調製に本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを利用することに関連して、非常に貴重な利点がある。これらのジブロックゴムを用いると、追加のゴムをブレンドする必要なしにタイヤトレッド・コンパウンドを調製することができるのである。しかし、多くの場合、そのタイヤトレッド・コンパウンドに望ましい実用性能特性を達成させるためには、一種またはそれ以上の追加のゴムをこのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムにブレンドするのが望ましい。
【0038】
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは常用の成分と標準の方法を用いて混練することができる。例えば、このイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、普通、カーボンブラックおよび/またはシリカ、硫黄、追加の充填材、硬化促進剤、オイル、ワックス、スコーチ禁止剤、カップリング剤および加工助剤とブレンドされる。大抵の場合、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、硫黄および/または硫黄含有化合物、少くとも一種の充填材、少くとも一種の硬化促進剤、少くとも一種の分解防止剤、少くとも一種のプロセスオイル、酸化亜鉛、場合により添加される粘着性樹脂、場合により添加される強化用樹脂、場合により添加される一種またはそれ以上の脂肪酸、場合により添加される素練り促進剤、および場合により添加されるスコーチ禁止剤と混練される。このブレンドは普通約0.5から5phr(ゴム100重量部当たりの部数)の硫黄および/または硫黄含有化合物を含むが、それらを1phrから2.5phr含にでいるのが好ましい。ブルーミングが問題になる場合には、不溶性の硫黄を使用するのが好ましい。
【0039】
普通、そのブレンド中で10から150phrの少くとも一種の充填材が用いられ、30から80phr用いられるのが好ましい。大抵の場合、その充填材の中で少くとも幾らかのカーボンブラックが用いられる。言うまでもなく、充填材は全部カーボンブラックで構成されていてもよい。引裂き抵抗性と蓄熱性を改善するために、充填材中にシリカを含めることもできる。コストを下げるために、充填材中に粘土および/またはタルクを含めることもできる。このブレンドは、普通、0.1から2.5phrの少くとも一種の硬化促進剤も含み、その含有量は0.2から1.5phrであるのが好ましい。酸化防止剤およびオゾンき裂防止剤のような分解防止剤が、普通、0.25から10phrの範囲の量でこのトレッドコンパウンドに含められ、それは1から5phrの量含まれるのが好ましい。プロセスオイルは普通2から100phrの範囲の量でこのブレンドに含められ、5から50phrの範囲の量含まれるのが好ましい。本発明のIBR含有ブレンドは通常0.5から10phrの酸化亜鉛も含み、1から5phr含むのが好ましい。これらのブレンドは、場合によっては、0から10phrの粘着性樹脂、0から10phrの強化用樹脂、1から10phrの脂肪酸、0から2.5phrの素練り促進剤および0から1phrのスコーチ禁止剤を含むことができる。
【0040】
本発明のブレンドの全体としての優位性を完全に実現するために、そのトレッドゴム調合物にシリカを充填することができる。このゴムブレンドの加工は、最大の利点を実現するために、普通硫黄含有有機ケイ素化合物の存在下で行われる。適した硫黄含有有機ケイ素化合物の例は次式:
Z‐Alk‐Sn‐Alk‐Z (I)
で表される化合物である。ただし、上記の式においてZは次式:
【化1】
(式中、R1 は炭素原子1から4個のアルキル基、シクロヘキシル基またはフェニル基であり;R2 は炭素原子1から8個のアルコキシ基または炭素原子5から8個のシクロアルコキシ基である。)
で表される基より成る群から選ばれ;Alkは炭素原子1から18個の二価の炭化水素基であり;そしてnは2から8の整数である。
【0041】
本発明により用いられる硫黄含有有機ケイ素化合物の特定の例に次のものがある:3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3'-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐2”‐エチルヘキソキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリイソオクトキシシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐t‐ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(メトキシジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリルエチル)ペンタスルフィド、3,3'-ビス(トリシクロヘキソキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(トリシクロペントキシシリルプロピル)トリスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐2”‐メチルシクロヘキソキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルメチル)テトラスルフィド、3‐メトキシエトキシプロポキシシリル‐3'-ジエトキシブトキシシリルプロピル・テトラスルフィド、2,2'-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメチル‐sec‐ブトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3'-ビス(メチルブチルエトキシシリプルピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジ‐t‐ブチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(フェニルメチルメトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3'-ビス(ジフェニルイソプロポキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメチルエチルメルカプトシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2'-ビス(メチルジメトキシシリルエチル)トリスルフィド、2,2'-ビス(メチルエトキシプロポキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(ジエチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3'-ビス(エチル‐ジ‐sec‐ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(プロリルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ブチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3'-ビス(フェニルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3‐フェニルエトキシブトキシシリル‐3'-トリメトキシシリルプロピル・テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、6,6'-ビス(トリエトキシシリルヘキシル)テトラスルフィド、12,12'-ビス(トリイソプロポキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)テトラスルフィド、18,18'-ビス(トリプロポキシシリルオクタデセニル)テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリル‐ブテン‐2‐イル)テトラスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシレン)テトラスルフィド、5,5'-ビス(ジメトキシメチルシリルフェニル)トリスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルプロピル)テトラスルフィドおよび3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド。
【0042】
推奨される硫黄含有有機ケイ素化合物は3,3'-ビス(トリメトキシ‐またはトリエトキシ‐シリルプロピル)スルフィド類である。最も好ましい化合物は3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。それ故、式IでZは次式:
【化2】
(式中、R2 は炭素原子数2から4のアルコキシ基であって、2個の炭素原子の場合が特に好ましい。)
で表される基であり;Alkは炭素原子数2から4の二価の炭化水素基であって、3個の炭素原子の場合が特に好ましく;そしてnは3から5の整数であって、4が特に好ましい。
【0043】
ゴム組成物中の式Iの硫黄含有有機ケイ素化合物の量は使用されるシリカの水準に依存して変わる。一般的に言えば、式Iの化合物の量はシリカ1重量部当たり約0.01から約1.0重量部の範囲である。好ましくは、この量はシリカ1重量部当たり約0.02から約0.4重量部の範囲である。更に好ましくは、式Iの化合物の量はシリカ1重量部当たり約0.05から約0.25重量部の範囲である。
【0044】
硫黄含有有機ケイ素化合物に加えて、このゴム組成物は、合理的に大きいモジュラスと大きい引裂き抵抗性に寄与するのに十分な量のシリカと、若し使用するならカーボンブラックを含んでいるべきである。シリカ充填材は約10phrから約250phrの範囲の量で添加することができる。シリカは50phrから120phrの範囲の量で存在するのが好ましい。カーボンブラックも存在する場合、用いられるカーボンブラックの量は様々に変えることができる。一般的に言えば、カーボンブラックの量は約5phrから約80phrの範囲で変えられる。好ましくは、カーボンブラックの量は約10phrから約40phrの範囲である。シリカカップラーは、カーボンブラックと組み合せて、即ちゴム組成物に添加する前に、カーボンブラックと前混合して用いることができることを理解すべきであって、この場合そのカーボンブラックはこのゴム組成物の調合物のための上述のカーボンブラックの量の中に含まれるべきである。いずれにしても、シリカとカーボンブラックの総量は少なくとも約30phrである。シリカとカーボンブラックを合せた量は、上述のように約30phrのように少ないこともあるが、約45から約130phrであるのが好ましい。
【0045】
焼成および沈降ケイ酸塩系ピグメント(シリカ)を含めてゴム混練用途に一般に用いられるケイ酸塩系ピグメントが本発明においてシリカとして用いられるが、沈降シリカが好ましい。本発明で好ましく用いられるケイ酸塩系ピグメントは、例えば可溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムの酸処理で得られるもののような沈降シリカである。
【0046】
このようなシリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定するBET表面積で特徴付けることができ、その値は好ましくは約40から約600の範囲であり、そして更に普通には約50から約300m2/gの範囲である。表面積を測定するこのBET法は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)第60巻、304頁(1930年)に説明されている。
【0047】
シリカは、また、通常約100から約400、そしてより普通には約150から約300の範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することを特徴とする。シリカは電子顕微鏡で測定した平均最大粒径が、例えば0.01から0.05ミクロンの範囲であると予想されるが、シリカ粒子の大きさはそれより更に小さくてもよいし、またそれより大きい可能性もある。
【0048】
市場から入手できる各種のシリカが本発明で使用するために考慮され、ここでは単なる例として制限を付けずに示すと、PPGインダストリーズ社(PPG Industries)からハイ−シル(Hi‐Sil)という商標名で、210、243などの商品番号で市販されているシリカ;ローン・プーラン社(Rhone‐Poulenc)から、例えばZ1165MPという名称で市販されているシリカ;およびデグッサ社(Degussa AG)から、例えばVN2およびVN3の名称で市販されているシリカなどがある。
【0049】
シリカと有機ケイ素化合物を含むタイヤトレッド調合物は、トレッド・コンパウンドの実用性能特性、例えば静止摩擦特性、耐トレッド摩耗性およびころがり抵抗特性により良いバランスを達成するために、熱機械混合法を用いて混合することができる。一方、このタイヤトレッドゴム調合物の混合は、ゴム混合技術分野の習熟者に知られている通常の方法によって行うこともできる。例えば、各配合成分は、通常、少くとも二段階、即ち少なくとも一つの非硬化発現工程とそれに続く硬化発現混合工程で混合される。硫黄硬化剤を含めて最終硬化剤は、普通“硬化発現”混合工程と呼ばれる最終工程で通常混合され、この工程では、混合は、通常、それに先行する非硬化発現工程(一工程または複数工程)の混合温度(一つまたは複数)より低い温度若しくは最終温度で行われる。ゴム、シリカおよび硫黄含有有機ケイ素化合物、そして若し使用するならカーボンブラックが一工程または複数工程の非硬化発現混合工程で混合される。“非硬化発現”および“硬化発現”混合工程という用語は、ゴム混合技術分野の習熟者にはよく知られている。典型的な非硬化発現混合工程では、混合は僅か1から3分の総混合時間行われ、そのゴム混合物は160℃未満の温度で混合装置から排出される。シリカとカップリング剤が存在する場合、その混合工程からの最高排出温度は通常約145℃以下である。
【0050】
最良の結果を得るために、硫黄含有有機ケイ素化合物、硫黄硬化性ゴムおよび一般的にはシリカの少なくとも一部を含む硫黄硬化性ゴム組成物を熱機械的混合工程にかけるのがよい。この熱機械的混合工程は、普通、混合機、ミル若しくは押出成形機中で140℃と190℃の間のゴム温度を生じさせるのに適した時間機械的に処理することよりなる。この熱機械的処理に適した時間は、操業条件および成分の体積と性質の関数として変わる。例えば、この熱機械的処理は約1から20分の範囲内の時間行うことができる。普通、このゴムでは、約145℃から約180℃の範囲の温度に到達させ、そしてこの温度に約2分から約10分の範囲の時間保つのが好ましい。普通、このゴムでは、約155℃から約170℃の範囲の温度に到達させ、そしてこの温度に4分から約8分の範囲の時間保つのが更に好ましい。
【0051】
本発明の、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含むタイヤトレッド・コンパウンドは、通常のタイヤ製造技術と組み合せてタイヤトレッドに用いることができる。タイヤは、標準の方法を用い、トレッドゴムとして普通に用いられるているゴムコンパウンドをイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムで単に置き換えるだけで作られる。そのタイヤは、イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム含有ブレンドで作られた後、標準のタイヤ硬化サイクルを用いて硬化させることができる。本発明により作られたタイヤは広い温度範囲に亘って硬化され得る。しかし、一般に、本発明のタイヤは約132℃(270 oF)から約175℃(347 oF)の範囲の温度で硬化されるのが好ましい。より普通には、本発明のタイヤは約143℃(290 oF)から約165℃(329 oF)の範囲の温度で硬化される。一般に、本発明のタイヤを硬化させるのに用いられる硬化サイクルは約8から約20分の時間であるのがよく、最も望ましい硬化サイクルは約10から約18分である。
【0052】
タイヤトレッド・コンパウンドに本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体を使用することにより、静止摩擦特性若しくはころがり抵抗性を犠牲にすることなしに耐トレッド摩耗特性を改善することができる。本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体はスチレンを含んでいないから、原材料のコストを下げることもできる。これは、スチレンおよび他のビニル芳香族単量体は、1,3‐ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン単量体に比べて高価であるからである。
【0053】
本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、乗用車およびトラック用タイヤトレッドコンパウンドの両方に有利に使用できる。一般に、トラック用タイヤトレッド・コンパウンドに用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、約−100℃から約−70℃の範囲内にある単一のガラス転移温度を持っている。一方、乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドを調製する場合に用いられるイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、普通、約−100℃から約−70℃の範囲内にある第1のガラス転移温度と約−50℃から約0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を持っている。
【0054】
二つのガラス転移温度を有するこのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、これを天然ゴムとブレンドすると、際立ったころがり抵抗性、静止摩擦特性および耐トレッド摩耗特性を示す乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドが調製できるようになる。このようなブレンドに天然ゴムを利用すると、加工性が改善される。このようなブレンドは、普通、約5から約30重量パーセントの天然ゴムと約70から約95重量パーセントの、二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいる。このようなブレンドは、約20から約30重量パーセントの天然ゴムと約70から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいるのが好ましい。
【0055】
非常に卓越した静止摩擦特性を有するが、トレッド摩耗性が幾分低下している高性能タイヤが、少くとも二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)とをブレンドすることにより調製できる。このようなブレンドは、普通、約50重量パーセントから約75重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体と約25重量パーセントから約50重量パーセントの溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴム含んでいる。普通、このようなブレンドは、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体と約35重量パーセントから約45重量パーセントの溶液重合若しくは乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムを含んでいるのが好ましい。
【0056】
静止摩擦特性よりトレッド摩耗特性の方が遥かに重要である場合には、約5から約30重量パーセントの高シス‐1,4‐ポリブタジエンを約70から約95重量パーセントの、二つのガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることができる。このようなブレンドは、約20重量パーセントから約30重量パーセントの高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムと約70から約80重量パーセントの上記イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいるのが好ましい。
【0057】
もう一つのシナリオでは、本質的に一つのガラス転移温度を有する本発明のイソプレン‐ブタジエンゴムは、ブレンド中に3,4‐ポリイソプレンを混合させるることにより、そのブレンドから作られる乗用車用タイヤの静止摩擦特性、トレッド摩耗特性およびころがり抵抗性を改善するために利用できる。このようなブレンドは、普通、約5から約30重量パーセントの3,4‐ポリイソプレンと約70から約95重量パーセントの、本質的に一つの約−100℃から約−70℃の範囲内にあるガラス転移温度を有するイソプレン‐ブタジエンゴムを含んでいる。このようなブレンドは、普通、約20から約30重量パーセントの3,4‐ポリイソプレンと約70から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを含んでいる。
【0058】
このようなブレンドに用いられる3,4‐ポリイソプレンは米国特許第5,239,023号明細書に開示されている方法で合成することができる。3,4‐ポリイソプレンを製造するこの方法は:(1)(a)有機溶媒に可溶の有機鉄化合物で、その中の鉄イオンが+3価の酸化状態にあるそのような有機鉄化合物、(b)水、アルコールおよびカルボン酸よりなる群から選ばれるプロトン性化合物を有機アルミニウム化合物に添加することにより調製される部分加水分解有機アルミニウム化合物、および(c)キレート性芳香族アミンからなり、キレート性アミンと有機鉄化合物とのモル比が約0.1:1から1:1の範囲にあり、有機アルミニウム化合物と有機鉄化合物とのモル比が約5:1から200:1の範囲にあり、そしてプロトン性化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比が約0.001:1から0.2:1の範囲にある触媒系を、イソプレン単量体と有機溶媒を含む重合媒体に添加する工程、および(2)そのイソプレン単量体を約−10℃から約100℃の範囲の温度で重合させる工程を含んでいる。本発明の乗用車用タイヤトレッド・コンパウンドに用いることができる3,4‐ポリイソプレンゴムのもう一つの代表的な例が、ヒュルス社(Huels A.G.)からベストグリップ(VestogripR:登録商標)A6001の商標名で販売されている。
【0059】
トラックタイヤトレッド・コンパウンドは、普通、約5から約30重量パーセントの天然ゴムおよび/または高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムを約70から約95重量パーセントの、単一ガラス転移温度タイプのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることにより調製される。このようなブレンドに使用するのに適した高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは、カナダ特許第1,236,648号明細書に記載されている方法で造ることができる。このようなブレンドに使用するのに適した高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは、また、グッドイヤー タイヤ アンド ラバー社(Goodyear Tire &Rubber Company)からブデン(BudeneR:登録商標)1207ポリブタジエンゴムおよびブデン1208ポリブタジエンゴムとして販売さられている。
【0060】
高性能タイヤ用トレッドは、約30重量パーセントから約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約20重量パーセントから約70重量パーセントの、60から約90パーセントのビニル基を含む高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることによっても造ることができる。普通、そのブレンドに高添加水準で高ビニル含量ポリブタジエンゴムを配合することにより一層良好な静止摩擦特性が実現できる。従って、普通、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントの高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることが推奨される。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントの高ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることがより好ましい。この高ビニル含量ポリブタジエンゴムは、普通、約60パーセントから約80パーセントの範囲のビニル基を含んでいる。
【0061】
より良好なころがり抵抗性が要求される場合、高性能タイヤ用トレッドは中ビニル含量ポリブタジエンゴムをイソプレン‐ブタジエンゴムとブレンドすることによっても造ることができる。そのような場合に使用される中ビニル含量ポリブタジエンゴムは約30パーセントから約59パーセントの範囲のビニル基を含んでいる。この中ビニル含量ポリブタジエンゴムは約40パーセントから約50パーセントの範囲のビニル基を含んでいることが好ましい。例えば、高性能タイヤ用のトレッドは、約30から約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約20重量パーセントから約70重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドすることにより造ることができる。普通、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドするのが好ましい。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントの中ビニル含量ポリブタジエンゴムとブレンドするのが一層好ましい。
【0062】
高性能乗用車タイヤ用トレッドは、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム(SIBR)をイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムとブレンドすることによっても造ることができる。このようなブレンドは、普通、30重量パーセントから約80重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと約20重量パーセントから約70重量パーセントのSIBRを含んでいる。通常、約50重量パーセントから約70重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約30重量パーセントから約50重量パーセントのSIBRとブレンドすることが好ましい。一般に、約55重量パーセントから約65重量パーセントのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを約35重量パーセントから約45重量パーセントのSIBRとブレンドすることが一層好ましい。このようなタイヤトレッド・コンパウンドで用いられるSIBRは普通約−40℃から約−20℃の範囲内にあるガラス転移温度を有する。
【0063】
この特許出願の目的に関して、重合体の微細構造は核磁気共鳴スペクトル法(NMR)で決定される。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定法により10℃/分の加熱速度で測定され、また分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(DPC)で測定される。
【0064】
【実施例】
本発明を以下の実施例により例示説明するが、これら実施例は単に例示の目的から与えられるものであって、本発明の範囲、または本発明を実施できる様式を限定するものと考えるべきではない。特に断らない限りは、部およびパーセントは全て重量で与えられる。
【0065】
実施例1〜3
本実施例の一連の実験では、低Tg/高Tgのイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴム状エラストマーが本発明の方法を用いて合成された。この一連の実験で合成されたゴムは、1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から成る第1セグメントと、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位から成る第2セグメントから構成されていた。
【0066】
この一連の実験で調製されたジブロック重合体は1‐ガロン(3.8リットル)のバッチ式重合反応器中で合成された。使用した方法では、ヘキサン中に19.6パーセントの1,3‐ブタジエン単量体を含む前混合溶液509グラムを上記重合反応器に装填した。重合は、n‐ブチルリチウムの1.02M溶液2.1mL(この2.1mLのn‐ブチルリチウムの内0.15mLは前混合溶液に含まれる不純物を捕捉するために使用された)を添加することにより開始された。この反応器は、本質的に完全な転化率が達成されるまで約65℃の温度に維持された。
【0067】
この時点で、ヘキサンに溶かしたエチルテトラヒドロフルフリルエーテル(ETE)の1.05M溶液7.4mLを反応器に加えた。次いで、イソプレンと1,3‐ブタジエンを19.95パーセントを含む、不純物を取り除いた前混合溶液1500グラムを加えた。この前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンを50:50の比で含んでいた。重合は、65℃で本質的に完全な転化が達成されるまで続けられた。重合を停止させるために、この反応器に1Mエタノール溶液(ヘキサン中)3mLを添加し、重合体を反応器から取り出し、1phmの酸化防止剤で安定化した。ヘキサンを蒸発させた後、得られた重合体を真空乾燥器中、50℃で乾燥した。この重合体中の二つのセグメントの比は25:75であった。他のセグメント比を有するジブロックゴムを同様に合成した。その結果を表1に示す。
【0068】
この一連の実験で合成した3種のジブロックゴムは、約−94℃から約−95℃および約−23℃から約−24℃の範囲にある二つのガラス転移温度を示した。このジブロックゴムの微細構造も表1に示される。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例4〜6
これらの実施例では、第2の単量体前混合溶液中のイソプレンと1,3‐ブタジエンとの比を50:50から30:70に変え、ジブロックゴムの第2セグメント用単量体の重合を完全に行うためにEFE修飾剤を使用しなかったことを除いて、実施例1〜3で説明した方法が用いられた。この一連の実験で合成された3種のジブロックゴムは−89℃から−94℃の中にある唯一つのガラス転移温度を示した。得られたジブロックゴムのTg、100℃でのムーニーML‐4粘度および微細構造を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
実施例7
本実施例の実験で調製されたジブロック50/50PBD‐(30/70)IBRは、二反応器(第1反応器は20リットル;第2反応器は40リットル)中で合成された。ヘキサン中に14パーセントの1,3‐ブタジエンを含んでいる前混合溶液を第1重合反応器に150グラム/分の速度で連続的に添入した。重合は、この第1反応器にn‐ブチルリチウムの0.207M溶液を0.32グラム/分の速度で添加することにより開始された。
【0073】
この重合媒体は連続的に第1反応器から第2反応器に押し出され、そこで第2前混合単量体溶液を150グラム/分の速度で添加した。この第2前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンを30:70の比で含んでおり、そしてヘキサン中の総単量体濃度は14パーセントであった。第2反応器の温度も90℃に保持された。両反応器での滞留時間は1.5時間に設定された。測定した平均単量体転化率は第1反応器で94パーセント、第2反応器で97パーセントであった。
【0074】
次いで、その重合媒体を連続的にイソプロパノール(反応停止剤として)と酸化防止剤を含む保存タンクに押し出した。得られたポリマーセメントをスチームストリッピングにかけ、回収されたジブロックゴムを真空乾燥器中で温度50℃において乾燥した。この重合体は89℃にガラス転移温度を有し、100℃でのムーニーML‐4粘度は73であると測定された。微細構造も測定し、その結果は10パーセントの1,2‐ポリブタジエン単位、73パーセントの1,4‐ポリブタジエン単位、15パーセントの1,4‐ポリイソプレン単位および2パーセントの1,2‐ポリイソプレン単位を含んでいることを示した。
【0075】
実施例8〜9
これら実施例の実験では、ジブロック重合体である低Tg/高Tg・IBR‐IBRsを合成するために、第1前混合溶液を1,3‐ブタジエンから、イソプレンと1,3‐ブタジエンとの混合物に変え、また混合修飾剤であるN.N,N´,N´‐テトラメチルエチレン(TMEDA)/ナトリウム‐t‐アミレート(STA)をTMEDA:STA:n‐ブチルリチウム=3:0.5:1のモル比で第2反応器に添加したことを除いて、実施例7で説明した方法が用いられた。この一連の実験で合成された2種のジブロックゴムは、約−77℃から約−83℃および約−15℃から約−23℃の範囲にある二つのガラス転移温度を示した。これらジブロックゴム中の各セグメントの組成およびガラス転移温度、100℃でのムーニーML‐4粘度および微細構造を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例10〜14
実施例1および6で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを、次いで、標準タイヤトレッド試験調合処方により混練し、溶液重合スチレン‐ブタジエンゴム、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム、および天然ゴムとスチレン‐ブタジエンゴムの50%/50%ブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は、試験されるゴム100部をカーボンブラック45部、プロセスオイル9部、ステアリン酸3部、酸化亜鉛3部、マイクロクリスタリンワックス1部、パラフィンワックス0.5部、混合アリール‐p‐フェニレンジアミン系酸化防止剤1部、N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N´‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン2部、N‐オキシジエチレン・ベンゾチアゾール‐2‐スルフェンアミド0.8部、ジフェニルグアニジン0.4部および硫黄1.6部と混合して調製された。実施例10では実施例1で合成したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムがその調合物に含められ、実施例11では実施例2で合成したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムがその調合物に含められた。実施例12〜14は比較例として行われたもので、スチレン‐ブタジエンゴム、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム、および天然ゴムとスチレン‐ブタジエンゴムとの50%/50%ブレンドをそれぞれゴム成分として含んでいた。
【0078】
これら混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
1立方センチで示した体積損失
【0081】
表4は、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが60℃でのタンデルタは小さいが、0℃でのタンデルタは非常に大きいことを示している。60℃での小さいタンデルタ値は、タイヤトレッドに混和された時にころがり抵抗性が良好であることを示し、そして0℃での大きいタンデルタ値は、静止摩擦特性が良好であること示している。従って、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを用いると、改善された静止摩擦特性ところがり抵抗性の両方を有するタイヤトレッドを作ることができる。実施例10は、際立った静止摩擦特性、トレッド耐久性およびころがり抵抗性を提供する乗用車用の素晴らしいタイヤトレッド・コンパウンドを示している。これは0℃でのタンデルタが0.35より大きく、同時に60℃でのタンデルタが0.070未満の値を示すからである。このようなコンパウンドが高性能タイヤで切望されていることは勿論であろう。
【0082】
0℃におけるタンデルタ値と60℃におけるタンデルタ値との差が大きいこのようなコンパウンドは、タイヤトレッド混練用途において一連の利点を提供する。例えば、一般に、0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差が0.150若しくはそれ以上であれば、良好であると考えられている。0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差が0.2若しくはそれ以上であれば素晴らしく、そしてタンデルタ値におけるこの差が0.25より大きいのは極めて異例のことである。実施例10で作られたコンパウンドの場合、0℃でのタンデルタ値と60℃でのタンデルタ値との差は0.30以上である。
【0083】
実施例11に説明されたタイヤトレッドコンパウンドは、静止摩擦特性が或る程度犠牲にされているが、卓越したころがり抵抗性とトレッド耐久性を提供するので、トラックタイヤに使用できる可能性がある。トラックタイヤの場合、車両の重量が非常に大きいので、静止摩擦特性は一般に大きな関心事でない。かくして、実施例11で作られたコンパウンドはトラックタイヤ用に良好な特性を有している。いずれにせよ、実施例11で説明したコンパウンドの60℃でのタンデルタは0.050未満であり、これは最高のころがり抵抗性と耐トレッド摩耗性であることを示している。明らかに分かるように、実施例11で60℃において達成されたタンデルタは、対照コンパウンドのどれかで実現されている値より小さい。実施例11で見られる摩耗耐久性は、DIN摩耗値が30cc未満で、際立っている。50cc未満のDIN摩耗性値は素晴らしい値であると考えられ、40cc未満のDIN摩耗性値はタイヤトレッド摩耗性にとって超最上級であると考えられる。
【0084】
実施例15〜19
実施例8および9で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを、次いで、タイヤトレッド試験調合処方を用いて混練し、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムと高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は、表5に示した諸成分を混合して調製された。実施例15は比較例として行われたもので、そのゴム成分として、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはいずれも含まれていない。
【0085】
【表5】
【0086】
1この96.3部の乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは70部のゴムと26.3部のプロセスオイルを含むものであった。その乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは23.5%の結合スチレンを含んでいた。
【0087】
2この37.5部の高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは30部のゴムと7.5部のプロセスオイルを含むものであった。
【0088】
これらの混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
実施例20〜22
実施例7で製造したイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを二つの異なるタイヤトレッド試験調合処方を用いて混練し、乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムと高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムとのブレンドから作ったタイヤトレッド調合物と比較した。これらタイヤトレッド試験調合物は表7に示した諸成分を混合して調製された。実施例20は比較例として行われたもので、そのゴム成分として、本発明のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはいずれも含まれていなかった。
【0091】
【表7】
【0092】
1この96.25部の乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは70部のゴムと26.25部のプロセスオイルを含むものであった。その乳化重合スチレン‐ブタジエンゴムは23.5%の結合スチレンを含んでいた。
【0093】
2この37.5部の高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムは30部のゴムと7.5部のプロセスオイルを含むものであった。その高シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムはブデン1254ポリブタジエンゴムであった。
【0094】
これらの混練タイヤトレッド調合物の物理的性質を表8に示す。
【0095】
【表8】
【0096】
実施例23
本実施例の実験では、イソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなる第1ブロックと、同様にイソプレンと1,3‐ブタジエンから誘導される繰返単位からなる第2ブロックを有するイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが合成された。この合成された重合体中の第1イソプレン‐ブタジエン・ブロックはビニル基含有量が低く、他方第2ブロックはビニル基含有量が高いものであった。
【0097】
この一連の実験では、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(ETE)が修飾剤として用いられた。用いた方法では、シリカ/分子篩/アルミナで乾燥された、ヘキサン中にイソプレンと1,3‐ブタジエンを含む前混合溶液830グラムを1‐ガロン(3.8リットル)の反応器に装填した。この前混合単量体溶液はイソプレンと1,3‐ブタジエンとを50:50の比で含んでおり、その総単量体濃度は18.2パーセントであった。この前混合単量体溶液は前以てn‐ブチルリチウムで不純物が除去されたものであった。重合は、n‐ブチルリチウムの1.04M溶液1.6mLを添加することにより開始された。
【0098】
この反応器は、本質的に完全な単量体転化率が達成されるまで約65℃の温度に保持されたが、それには約2.5時間を要した。次いで、ETEの1.0M溶液4.2mLをこの重合体媒体に添加し、次いで追加の、不純物が取り除かれた単量体前混合溶液(この前混合溶液はヘキサン中に50:50の比でイソプレンと1,3‐ブタジエンを18.2パーセントの濃度で含んでいた)1620グラムを添加した。この共重合は、全ての単量体が消費されるまで65℃で続けられ、それには約2時間を要した。この重合媒体にエタノールを添加して重合を停止させ、合成されたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを1phr(ゴム100重量部当たりの部数)の酸化防止剤で安定化した。ヘキサン溶媒を蒸発させた後、得られたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムを真空乾燥器中で50℃の温度において乾燥した。
【0099】
合成されたイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは、−80℃と−31℃に二つのガラス転移温度を有すると測定された。このゴムの微細構造も測定され、24パーセントの1,2‐ポリブタジエン単位、27パーセントの1,4‐ポリブタジエン単位、24パーセントの3,4‐ポリイソプレン単位、24パーセントの1,4‐ポリイソプレン単位および1パーセントの1,2‐ポリイソプレン単位を含んでいることが示された。
【0100】
本明細書でなされた説明に照して、本発明における様々な変形法が可能であることは明らかであろう。本発明を例示説明する目的から、一定の代表的実施態様と細部を示したが、この技術分野の習熟者には、本発明にはその範囲から逸脱しない範囲で様々な変更と改良がなされ得ることは明らかであろう。それ故、前記の特許請求の範囲によって限定される本発明の十分に意図された範囲の中に入る、説明された特定の実施態様の中で変更がなされ得ることを理解すべきである。
Claims (3)
- ゴム100重量部当たり、(a)約30から約80部のイソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムと、(b)約20から約70部の、高ビニル含量ポリブタジエンゴム、中ビニル含量ポリブタジエンゴムおよびスチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴムより成る群から選ばれる第2のゴムを含んでなる硫黄硬化ゴム組成物にして、該イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムはブタジエンブロックとイソプレン‐ブタジエンブロックからなり、該ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該イソプレン‐ブタジエンブロックは約25,000から約350,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムは約−100から約−70℃の範囲内のガラス転移温度を有し、該イソプレン‐ブタジエン・ジブロック重合体は約50から約140の範囲内にあるムーニーML‐4(100℃)粘度を有し、そして該イソプレン‐ブタジエンブロックの中のイソプレンと1,3‐ブタジエンに由来する繰返単位は本質的にランダム順列となっている、上記硫黄硬化ゴム組成物からなる外周トレッドを有する空気入りゴムタイヤ。
- イソプレン‐ブタジエン・ジブロックゴムが約−50℃から約0℃の範囲内にある第2のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の空気入りゴムタイヤ。
- トレッドがシリカとシリカ・カップリング剤をさらに含んでいる硫黄硬化ゴム組成物であり、該シリカは10phrから250phrの範囲内の量で存在し、そして該シリカが熱機械的混合工程で添加されている、請求項1に記載の空気入りゴムタイヤ。
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