JP3765367B2 - 自動二輪車の組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法 - Google Patents

自動二輪車の組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車をフロアコンベアで搬送しながら部品の組み付けを行う組立ラインにおいて、自動二輪車の車体を傷付けることなく自立させるために、その後輪のタイヤを一対のクランプ板で左右からクランプするクランプ装置が、特許第2669776号公報、実公昭63−34821号公報により公知である。かかるクランプ装置は、固定クランプ板に対して可動クランプ板を接近させるように前進移動させて両クランプ板間に自動二輪車のタイヤの左右両側面をクランプした後に、前記可動クランプ板を後退不能にロックしてクランプ状態を維持するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連休等によって工場の操業が長時間に亘って停止する場合、上記クランプ装置で自動二輪車のタイヤをクランプしたまま放置すると、クリープ現象でタイヤが変形してしまう可能性があるため、タイヤのクランプを解除して自動二輪車を一時的に組立ラインの側方に退避させる必要がある。このような場合、工場の操業が再開されたときに自動二輪車を組立ライン上に戻してタイヤを再度クランプする必要があるが、そのクランプ装置をアクチュエータで作動させるクランプ用駆動装置は自動二輪車をフロアコンベアに移載する移載ステーションに設けられているため、組立ライン上の各所でクランプ装置を作動させるのに支障を来すことになる。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動二輪車のタイヤをクランプするクランプ装置を手動で簡単に操作能なクランプ治具を用いた、組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動二輪車をフロアコンベアで搬送しながら部品の組み付けを行う、自動二輪車の組立ラインであって、車体を自立させるためにフロアコンベアに設けられるクランプ装置が、タイヤの側面をクランプし得るクランプ板と、一端がクランプ板に連結されて他端に被押圧部を備えたクランプ板作動部材と、被押圧部を押圧されたクランプ板作動部材によってクランプ板が移動してタイヤをクランプしたときに、そのときのクランプ板作動部材の位置にクランプ板作動部材をロックし得るロック部材とを備えており、被押圧部を押圧することでクランプ装置を自動的にクランプ作動させるクランプ用駆動装置が、自動二輪車をフロアコンベアに移載させるための移載ステーションに設けられているものにおいて、組立ラインの操業停止に伴いクランプ装置のクランプ板によるタイヤのクランプを解除してフロアコンベア上の自動二輪車を一時的に組立ラインの側方に退避させ、その操業が再開されたときに自動二輪車をフロアコンベア上に戻して、クランプ装置を手動操作で再度クランプ作動させて該自動二輪車のタイヤをクランプ板に再クランプさせるようにし、その再クランプに際しては、クランプ装置を支持する支持部材に着脱自在かつ左右移動不能に装着される治具本体と、治具本体に設けた雌ねじ部材と、雌ねじ部材に螺合する雄ねじ部材とを備えるクランプ治具であって、支持部材に治具本体を装着した状態で雄ねじ部材を手動で回転させて雌ねじ部材に対して移動させることにより雄ねじ部材先端の押圧部でクランプ板作動部材の被押圧部を押圧可能なものを使用することを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、連休等で組立ラインの操業が長時間に亘り停止するような場合に、クランプ装置のクランプ板によるタイヤのクランプを解除してフロアコンベア上の自動二輪車を一時的に組立ラインの側方に退避させることにより、クランプしたまま放置した場合のようにクリープ現象でタイヤが変形してしまう可能性はなくなる。
【0007】
そして、その操業が再開されたときに自動二輪車をフロアコンベア上に戻して、クランプ装置を手動操作で再度クランプ作動させて該自動二輪車のタイヤをクランプ板に再クランプさせるようにするが、その再クランプに際しては、クランプ装置を支持する支持部材に治具本体を装着し、治具本体に設けた雌ねじ部材に螺合する雄ねじ部材を手動で回転させると、雌ねじ部材に対して移動する雄ねじ部材の先端に設けた押圧部がクランプ板作動部材の被押圧部を押圧し、クランプ板はタイヤをクランプする位置に駆動される。従って、クランプ装置のクランプ板作動部材をアクチュエータで作動させるクランプ用駆動装置が設けられていない場所であっても、本クランプ治具を用いてクランプ装置を簡便に操作することが可能になって利便性が向上する。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、支持部材はそのセンターラインの両側に左右一対のクランプ装置を備えており、前記クランプ治具は左右一対のクランプ装置のクランプ板作動部材を別個に駆動可能であることを特徴とする
【0009】
上記構成によれば、治具本体を支持部材に左右移動不能に装着して左右一対のクランプ装置のクランプ板作動部材を別個に駆動することにより、自動二輪車のタイヤを支持部材のセンターライン上に正しく位置決めした状態でクランプすることができる。
【0010】
尚、実施例の後部支持板110は本発明の支持部材に対応し、実施例のロックバー125は本発明のクランプ板作動部材に対応し、実施例のガイドローラ126は本発明の被押圧部に対応し、実施例のロックアーム129は本発明のロック部材に対応する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図17は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動二輪車の全体側面図、図2は自動二輪車の組立ラインの平面図、図3は第3コンベアの平面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図4の要部拡大図、図7は図6の7−7線断面図、図8は図6の8−8線断面図、図9は図8に対応する作用説明図、図10は図8の10−10線断面図、図11は第2移載ステーションの側面図、図12は図11の12−12線拡大矢視図、図13は図12に対応する作用説明図、図14はクランプ治具の平面図、図15は図14の15方向矢視図、図16はクランプ治具の使用状態を示す平面図、図17は図16の17方向矢視図である。
【0012】
図1は本実施例の組立ラインで組み立てられた自動二輪車Vを示すもので、その自動二輪車Vは、エンジンEおよびトランスミッションTを一体化したパワーユニットPU、前輪Wfを一体に備えたフロントフォークユニットFUf、後輪Wrを一体に備えたリヤフォークユニットFUr、メインフレームF、ラジエータR、排気管EPおよびマフラーMを一体化した排気ユニットEU、シートレールユニットSU、燃料タンクFT、操向ハンドルSH、フロントカウルCf、メインカウルCm、リヤカウルCr等から構成される。
【0013】
図2に示すように、自動二輪車の組立ラインは、矩形の経路に沿ってパレットが循環する第1コンベアC1 と、長円形の経路に沿ってハンガーが循環する第2コンベアC2 と、直線状の経路に沿ってパレットが移動する第3コンベアC3 とから構成される。第3コンベアC3 はフロア上面に沿って延びる往路とフロア下面に収納された復路とが上下方向に重なっており、パレットは鉛直面内の矩形状経路を循環する。
【0014】
図示せぬサブラインで組み立てられたパワーユニットPUは、フロア下面を通って第1コンベアC1 のパワーユニット供給ステーションS1 に搬送され、そこで第1コンベアC1 のパレット上に供給される。パワーユニットPUを搭載したパレットは第1コンベアC1 上を時計方向に移動し、その移動経路に設けられた複数の組付ステーションS2 でメインフレームF、ラジエータRおよびダミーフレームが組み付けられる。
【0015】
フロアコンベアよりなる第1コンベアC1 と、オーバーヘッドコンベアよりなる第2コンベアC2 とが上下に重なりあう第1移載ステーションS3 において、パワーユニットPUにメインフレームFおよびダミーフレームを組み付けたサブアセンブリが、第1コンベアC1 のパレットから第2コンベアC2 のハンガーに移載される。前記サブアセンブリを第2コンベアC2 のハンガーに受け渡して空になったパレットは、第1コンベアC1 上を時計方向に移動して前記パワーユニット供給ステーションS1 に戻される。
【0016】
第2コンベアC2 のハンガーは、パワーユニットPUに予め装着したダミーフレームを介して前記サブアセンブリを吊り下げ支持し、長円形の経路に沿って反時計方向に移動する。ハンガーの移動経路には複数の組付ステーションS4 が設けられており、その組付ステーションS4 において、サブアセンブリにフロントフォークユニットFUf、リヤフォークユニットFUr、排気ユニットEU等が組み付けられて自動二輪車Vの車体が形作られる。
【0017】
オーバーヘッドコンベアよりなる第2コンベアC2 と、フロアコンベアよりなる第3コンベアC3 とが上下に重なりあう第2移載ステーションS5 において、既に前輪Wfおよび後輪Wrを備えた車体が、第2コンベアC2 のハンガーから第3コンベアC3 のパレットに移載される。車体を第3コンベアC3 のパレットに受け渡して空になったハンガーは第2コンベアC2 上を反時計方向に移動して前記第1移載ステーションS3 に戻される。
【0018】
第3コンベアC3 のパレットが車体を支持して直線状の往路に沿って移動する間に、先ずダミーフレーム分離ステーションS6 で不要になったダミーフレームを取り外した後に、それに続く複数の組付ステーションS7 において、シートレールユニットSU、燃料タンクFT、操向ハンドルSH、フロントカウルCf、メインカウルCm、リヤカウルCr等の部品が組み付けられて自動二輪車Vが完成する。
【0019】
完成した自動二輪車Vは第3コンベアC3 の末端に設けた第1完成検査ステーションS8 で外観等の完成検査を行った後に、第3コンベアC3 の末端に連なる降車ステーションS9 から第2完成検査ステーションS10に排出され、第2完成検査ステーションS10においてエンジン、ブレーキ、ヘッドライト等の完成検査が行われる。
【0020】
降車ステーションS9 は周囲のフロア面よりも一段高くなったプラットフォームPを備えており、その始端で作業者が乗車した自動二輪車Vは重力でプラットフォームPのスロープP1 を下って第2完成検査ステーションS10まで走行する。自動二輪車Vを排出して空になったパレットはフロアの下面に配置された第3コンベアC3 の復路を通って第2移載ステーションS5 に戻される。
【0021】
尚、降車ステーションS9 のプラットフォームPには、正面のスロープP1 以外に左右のスロープP2 ,P2 を備えており、第1完成検査ステーションS8 で異常が発見された場合等に、自動二輪車Vを前記左右のスロープP2 ,P2 を介して側方に排出し、左側あるいは右側の予備の完成検査ステーションS10′,S10′へと移動させることができる。
【0022】
図3〜図5に示すように、第3コンベアC3 は相互に独立した多数の矩形板状のパレット101…を備えており、各パレット101は、その下面に設けたブラケット102…に軸支した4個の車輪103…を介して、2本の走行用レール104,104上に走行可能に支持される。複数のパレット101…は前端および後端において相互に当接しており、駆動源に接続されて回転する図示せぬ摩擦ローラを後端のパレット101の左右両側面に当接させて推力を与えることにより、その推力を前方のパレット101…に順次伝達して一斉に前進走行する。走行するパレット101…はフロア105に形成した溝状の開口106に嵌合しており、この状態でパレット101…とフロア105とは面一になる。
【0023】
パレット101の上面には、自動二輪車Vの前輪Wfを載置する前部支持板107と、後輪Wrを支持するとともに該後輪Wrのタイヤ108をクランプして自動二輪車Vを自立させるためのクランプ装置109,109を備えた後部支持板110とを備える。四角筒状のガイド部材111,111がパレット101の下面の前後2カ所に固定されており、これらガイド部材111,111の上端および下端にそれぞれ4個のガイドローラ112…が設けられる。前部支持板107および後部支持板110の下面に固定したガイドロッド113,113が、前記ガイド部材111,111を貫通してガイドローラ112…に昇降自在に支持される。前後のガイドロッド113,113の下端にはそれそれガイドローラ114f,114rが設けられており、左右の走行用レール104,104の間に配置した2本のガイドレール115f,115rの上面に前記ガイドローラ114f,114rがそれぞれ支持される。
【0024】
ガイドレール115f,115rは長手方向に沿って個別に高さが変化しており、従ってパレット101…が走行するに伴って、ガイドレール115f,115rにガイドローラ114f,114rを案内されたガイドロッド113,113と共に前部支持板107および後部支持板110が昇降する。これにより、前部支持板107および後部支持板110に支持した自動二輪車Vのパレット101に対する高さを任意に変化させることが可能になり、各組付ステーションS7 において組み付ける部品の種類に応じて自動二輪車Vの高さや前後姿勢を変化させて作業性を向上させることができる。
【0025】
また前部支持板107および後部支持板110とパレット101の上面との間には作業者が足先を挿入し得るスペースが形成されているため、作業者の自動二輪車Vへの接近を容易にして作業性を一層高めることができる。
【0026】
次に、図6〜図10に基づいて、後部支持板110に設けた一対のクランプ装置109,109の構造を説明する。左右のクランプ装置109,109はパレット101のセンターラインLを挟んで対称な構造であるため、以下その一方について説明する。
【0027】
後部支持板110の上面に前記センターラインLと平行に側板121が固定されており、この側板121に前後2本のガイドロッド122,122が摺動自在に支持される。ガイドロッド122,122は側板121との間に縮設したスプリング123,123で外向き(センターラインLから離反する方向)に付勢されており、その内端に後輪Wrのタイヤ108をクランプするクランプ板124が固定される。
【0028】
側板121の中央部に円柱状のロックバー125が摺動自在に支持されており、その内端がクランプ板124に固定されるとともに外端にガイドローラ126が設けられる。後部支持板110の上面に固定したブラケット127に支点ピン128を介してロックアーム129が揺動自在に枢支されており、このロックアーム129の先端に形成したV溝1291 (図10参照)がロックバー125の周面に当接する。ロックバー125およびロックアーム129の成す角度α(図8および図9参照)は90°よりも僅かに小さい鋭角に設定されており、ロックアーム129は側板121との間に縮設したスプリング130で矢印a方向に付勢される。ロックアーム129には、後方斜め外側に延びるアンロックレバー131が一体に設けられる。上記構造のクランプ装置109は、作業者の脚部と接触しないようにカバー132およびガードバー133に囲まれて保護される。
【0029】
後部支持板110の後部上面には、左右一対のブラケット134,134に支軸135を介してタイヤ押圧ローラ136が回転自在に支持される。
【0030】
而して、第2移載ステーションS5 で第2コンベアC2 のハンガーから第3コンベアC3 のパレット101に自動二輪車Vを移載するとき、その前輪Wfおよび後輪Wrをそれぞれ前部支持板107および後部支持板110上に載置する。このとき、パレット101に設けた左右のクランプ装置109,109のクランプ板124,124は図9に示すアンプランプ位置にある。この状態から、図示せぬクランプ駆動装置で左右のクランプ装置109,109のガイドローラ126,126を矢印b方向に同距離ずつ押圧すると、ロックバー125,125と共に一対のクランプ板124,124が矢印b方向に移動し、図8に示すように自動二輪車Vの後輪Wrのタイヤ108の両側面をクランプする。ロックバー125,125が矢印b方向に移動するとき、ロックバー125,125およびロックアーム129,129のV溝1291 ,1291 間に作用する摩擦力で、ロックアーム129,129がスプリング130,130の弾発力に抗して支点ピン128,128回りに矢印a′方向に僅かに揺動するため、ロックバー125,125はロックアーム129,129のV溝1291 ,1291 に対してスリップし、矢印b方向に自由に移動することができる。
【0031】
クランプ駆動装置によるガイドローラ126,126の押圧を解除すると、スプリング123,123の弾発力でクランプ板124,124およびロックバー125,125は矢印b′方向に戻ろうとするが、スプリング130,130で矢印a方向入力付勢されたロックアーム129,129のV溝1291 ,1291 がロックバー125,125に噛み込むため、ロックバー125,125は矢印b′方向に移動できなくなり、図8に示すようにクランプ板124,124がクランプ位置にロックされる。
【0032】
次に、図11〜図13に基づいて第2移載ステーションS5 の構造を説明する。
【0033】
第2移載ステーションS5 には、第2コンベアC2 の自走可能なハンガーHと共に自動二輪車Vを下降させるドロップリフタDLが設けられる。ドロップリフタDLは、第2コンベアC2 の上部支持レール81および下部支持レール82の切れ目に嵌合し、その上部支持レール81および下部支持レール82の一部を構成する上部昇降支持レール81′および下部昇降支持レール82′を備えており、自動二輪車Vを支持したハンガーHが上部昇降支持レール81′および下部昇降支持レール82′に乗り移って停止すると、それら上部昇降支持レール81′および下部昇降支持レール82′をハンガーHと共にガイドポスト83に沿ってモータ84およびチェーン85で下降させる。
【0034】
第2移載ステーションS5 には、フロア105の下面に配置された第3コンベアC3 の復路を通って返送されたパレット101を、フロア105の上面に配置された往路に上昇させるテーブルリフタTLが設けられる。テーブルリフタTLは、空のパレット101を支持して図示せぬ駆動源で上昇するリフトテーブル86を備えており、このリフトテーブル86の上面にパレット101のクランプ装置109,109を作動させるためのクランプ用駆動装置87が設けられる。
【0035】
クランプ用駆動装置87は、リフトテーブル86に左右方向に固定したガイドレール88,88と、これらガイドレール88,88にスライダ89…を介して摺動自在に支持された一対の駆動アーム90L ,90R と、両駆動アーム90L ,90R に相対向するように形成したラック901 ,901 に同時に噛合するピニオン91と、一方の駆動アーム90L を進退駆動するシリンダ92とから構成される。駆動アーム90L ,90R の先端の押圧部902 ,902 は、パレット101に設けた一対のクランプ装置109,109のガイドローラ126,126に当接可能に対向する。
【0036】
而して、テーブルリフタTLのリフトテーブル86が空のパレット101を支持して上昇位置で待機している状態で、ドロップリフターDLはハンガーHに支持した自動二輪車Vを下降させ、その前輪Wfをパレット101の前部支持板107上に載置するとともに、後輪Wrをパレット101の後部支持板110上の左右のクランプ装置109,109間に載置する。
【0037】
自動二輪車Vがパレット101上に移載されると、クランプ用駆動装置87のシリンダ92が図13の状態から図12の状態に伸長し、一方の駆動アーム90L をパレット101のセンターラインLに向けて移動させると、ラック901 ,901 およびピニオン91を介して他方の駆動アーム90R がパレット101のセンターラインLに向けて逆方向に移動し、両駆動アーム90L ,90R は相互に接近するように駆動される。その過程で、両駆動アーム90L ,90R は一対のクランプ装置109,109のガイドローラ126,126を押圧し、クランプ板124,124を自動二輪車Vの後輪Wrのタイヤ108の両側面に当接する位置に駆動する。その結果、前述したようにクランプ装置109,109のロックバー125,125がロックアーム129,129によってロックされ、タイヤ108をクランプされた自動二輪車VはパレットP上に自立する。
【0038】
このように、一対の駆動アーム90L ,90R のラック901 ,901 を共通のピニオン91に噛合させたので、一方の駆動アーム90L を駆動するだけで両方の駆動アーム90L ,90R を等距離ずつ移動させ、それらの押圧部902 ,902 で一対のクランプ装置109,109のガイドローラ126,126を等距離ずつ押圧することができる。その結果、自動二輪車Vの機種によってタイヤ108の厚さが異なっていても、そのタイヤ108を左右方向に位置ずれすることなく常にセンターラインL上にクランプすることが可能になり(図12参照)、第3コンベアC3 の左右両側から作業を行う作業者と自動二輪車Vとの距離を均一にして作業性を高めることができる。しかも共通のシリンダ92で一対のクランプ装置109,109を駆動することができるので、部品点数の削減に寄与することができる。
【0039】
尚、第3コンベアC3 の末端において、クランプ装置109,109のアンロックレバー131,131が図示せぬロック解除部材に当接して図8の矢印a′方向に揺動すると、アンロックレバー131,131と一体のロックアーム129,129が矢印a′方向に揺動し、ロックアーム129,129のV溝1291 ,1291 (図10参照)とロックバー125,125との噛み合いが解除されるため、スプリング123…の弾発力でロックバー125,125と共にクランプ板124,124が矢印b′方向に移動し,自動二輪車Vの後輪Wrのタイヤ108のクランプが解除される。
【0040】
ところで、連休等によって工場の操業が長時間に亘って停止する場合、パレット101のクランプ装置109,109で自動二輪車Vのタイヤ108をクランプしたまま放置すると、クリープ現象でタイヤ108が変形してしまう可能性があるため、クランプ装置109,109によるタイヤ108のクランプを解除して自動二輪車Vを一時的に第3コンベアC3 の側方に退避させる必要がある。このような場合、工場の操業が再開されたときに自動二輪車Vを第3コンベアC3 のパレット101上に戻してタイヤ108を再度クランプする必要があるが、そのクランプ装置109,109を自動的に作動させるクランプ用駆動装置87は第2移載ステーションS5 に設けられているため(図11参照)、第3コンベアC3 の各組付ステーションS7 に停止した各パレット101のクランプ装置109,109を作動させるのに支障を来すことになる。
【0041】
そこで本実施例では、図14〜図17に示すクランプ治具Jを用いて各パレット101のクランプ装置109,109を作動させるようになっている。
【0042】
クランプ治具Jは、平面視がコ字状に形成された板体よりなる治具本体71と、治具本体71の左右両端部に固定した一対のブラケット72,72と、それぞれのブラケット72,72にボルト73…で固定した一対の雌ねじ部材74,74と、それぞれの雌ねじ部材74,74に螺合する一対の雄ねじ部材75,75と、治具本体71の左右上面に固定した一対の把手76,76とを備える。
【0043】
一対の雄ねじ部材75,75は同軸上に配置されており、それらの相対向する内端には押圧部751 ,751 が形成されるとともに、それらの外端にはレンチ77,77を係合させるレンチ係合部752 ,752 が形成される。また治具本体71の左右隅部には三角形の位置決め部材78,78が一体に設けられるとともに、治具本体71の中央部には切欠711 と、この切欠711 の下方に位置する断面L字状の係止板79とが設けられる。
【0044】
而して、操業の停止中に第3コンベアC3 の側方に退避させた自動二輪車Vを、操業の再開に伴ってパレット101上に戻すには、先ず自動二輪車Vの前輪Wfおよび後輪Wrを前部支持板107および後部支持板110上に載置し、後部支持板110に設けた一対のクランプ装置109,109のガイドローラ126,126を例えば作業者が足で押すことにより、一対のクランプ板124,124をタイヤ108の両側面に沿う位置まで前進させる。しかしながら、クランプ板124,124でタイヤ108を完全にクランプするには大きな力が必要であり、作業者の足の力だけではクランプ板124,124を最終的なクランプ位置まで前進させることは不可能なため、クランプ治具Jを用いてクランプを完了させる。
【0045】
即ち、クランプ治具Jを後部支持板110の後部上面に載置して係止板79を後部支持板110に下面に係合させることにより、クランプ治具Jを後部支持板110に装着する。このとき、治具本体71の一対の位置決め部材78,78が後部支持板110の左右後部の面取り部に係合して該治具本体71が後部支持板110に対して左右移動不能に位置決めされ、また治具本体71の切欠711 によって後部支持板110にタイヤ押圧ローラ136を支持するブラケット134,134との干渉が回避される。
【0046】
このようにして後部支持板110にクランプ治具Jを装着したとき、一対の雄ねじ部材75,75の押圧部751 ,751 はクランプ装置109,109のガイドローラ126,126の外端に当接可能に対向している。この状態から雄ねじ部材75,75のレンチ係合部752 ,752 にレンチ77,77を係合させて手動で回転させると、雌ねじ74,74から受ける反力で雄ねじ75,75が相互に接近する方向に前進し、その押圧部751 ,751 でガイドローラ126,126を押圧することにより、クランプ板124,124を更に前進させてタイヤ108を強固にクランプする。
【0047】
レンチ77,77で左右の雄ねじ75,75を回転させるとき、タイヤ108の位置を確認しながら回転量を調整することにより、タイヤ108をセンターラインL上に正しくクランプすることができる。また雌ねじ74,74および雄ねじ75,75の相対回転により発生する推力でクランプ板124,124を駆動するので、僅かな力でレンチ77,77を操作するだけでタイヤ108を強固にクランプすることができる。しかもクランプ治具Jは構造が簡単で小型軽量であるため、その取り扱いや保管が容易である。
【0048】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0049】
例えば、実施例では左右一対のクランプ板124,124を相互に接近する方向に駆動してタイヤ108をクランプしているが、本発明のクランプ治具は、固定クランプ板に対して可動クランプ板を接近する方向に駆動してタイヤをクランプするクランプ装置に対しても適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように発明によれば、連休等で組立ラインの操業が長時間に亘り停止するような場合に、クランプ装置のクランプ板によるタイヤのクランプを解除してフロアコンベア上の自動二輪車を一時的に組立ラインの側方に退避させることにより、クランプしたまま放置した場合のようにクリープ現象でタイヤが変形してしまう可能性はなくなる。
【0051】
そして、その操業が再開されたときに自動二輪車をフロアコンベア上に戻して、クランプ装置を手動操作で再度クランプ作動させて該自動二輪車のタイヤをクランプ板に再クランプさせるようにするが、その再クランプに際しては、クランプ装置を支持する支持部材に治具本体を装着し、治具本体に設けた雌ねじ部材に螺合する雄ねじ部材を手動で回転させると、雌ねじ部材に対して移動する雄ねじ部材の先端に設けた押圧部がクランプ板作動部材の被押圧部を押圧し、クランプ板はタイヤをクランプする位置に駆動される。従って、クランプ装置のクランプ板作動部材をアクチュエータで作動させるクランプ用駆動装置が設けられていない場所であっても、本クランプ治具を用いてクランプ装置を簡便に操作することが可能になって利便性が向上する。
【0052】
また請求項2に記載された発明によれば、治具本体を支持部材に左右移動不能に装着して左右一対のクランプ装置のクランプ板作動部材を別個に駆動することにより、自動二輪車のタイヤを支持部材のセンターライン上に正しく位置決めした状態でクランプすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動二輪車の全体側面図
【図2】 自動二輪車の組立ラインの平面図
【図3】 第3コンベアの平面図
【図4】 図3の4−4線断面図
【図5】 図3の5−5線断面図
【図6】 図4の要部拡大図
【図7】 図6の7−7線断面図
【図8】 図6の8−8線断面図
【図9】 図8に対応する作用説明図
【図10】 図8の10−10線断面図
【図11】 第2移載ステーションの側面図
【図12】 図11の12−12線拡大矢視図
【図13】 図12に対応する作用説明図
【図14】 クランプ治具の平面図
【図15】 図14の15方向矢視図
【図16】 クランプ治具の使用状態を示す平面図
【図17】 図16の17方向矢視図
【符号の説明】
3 第3コンベア(フロアコンベア)
J クランプ治具
5 第2移載ステーション(移載ステーション)
V 自動二輪車
71 治具本体
74 雌ねじ部材
75 雄ねじ部材
751 押圧部
87 クランプ用駆動装置
108 タイヤ
109 クランプ装置
110 後部支持板(支持部材)
124 クランプ板
125 ロックバー(クランプ板作動部材)
126 ガイドローラ(被押圧部)
129 ロックアーム(ロック部材)

Claims (2)

  1. 自動二輪車(V)をフロアコンベア(C3 )で搬送しながら部品の組み付けを行う、自動二輪車の組立ラインであって、
    車体を自立させるためにフロアコンベア(C3 )に設けられるクランプ装置(109)が、タイヤ(108)の側面をクランプし得るクランプ板(124)と、一端がクランプ板(124)に連結されて他端に被押圧部(126)を備えたクランプ板作動部材(125)と、被押圧部(126)を押圧されたクランプ板作動部材(125)によってクランプ板(124)が移動してタイヤ(108)をクランプしたときに、そのときのクランプ板作動部材(125)の位置にクランプ板作動部材(125)をロックし得るロック部材(129)とを備えており、
    被押圧部(126)を押圧することでクランプ装置(109)を自動的にクランプ作動させるクランプ用駆動装置(87)が、自動二輪車(V)をフロアコンベア(C3 )に移載させるための移載ステーション(S5 )に設けられているものにおいて、
    組立ラインの操業停止に伴いクランプ装置(109)のクランプ板(108)によるタイヤ(108)のクランプを解除してフロアコンベア(C3 )上の自動二輪車(V)を一時的に組立ラインの側方に退避させ、
    その操業が再開されたときに自動二輪車(V)をフロアコンベア(C3 )上に戻して、クランプ装置(109)を手動操作で再度クランプ作動させて該自動二輪車(V)のタイヤ(108)をクランプ板(124)に再クランプさせるようにし、
    その再クランプに際しては、クランプ装置(109)を支持する支持部材(110)に着脱自在かつ左右移動不能に装着される治具本体(71)と、治具本体(71)に設けた雌ねじ部材(74)と、雌ねじ部材(74)に螺合する雄ねじ部材(75)とを備えるクランプ治具(J)であって、支持部材(110)に治具本体(71)を装着した状態で雄ねじ部材(75)を手動で回転させて雌ねじ部材(74)に対して移動させることにより雄ねじ部材(75)先端の押圧部(751 )でクランプ板作動部材(125)の被押圧部(126)を押圧可能なものを使用することを特徴とする、自動二輪車の組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法。
  2. 支持部材(110)はそのセンターライン(L)の両側に左右一対のクランプ装置(109)を備えており、前記クランプ治具(J)は左右一対のクランプ装置(109)のクランプ板作動部材(125)を別個に駆動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の自動二輪車の組立ラインにおける操業再開後のタイヤ再クランプ方法。
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