JP3765243B2 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油井管ねじ継手といった鋼管用ねじ継手に関し、より具体的には、従来は締結ごとに焼付き防止のため実施されてきた、重金属粉を含むコンパウンドグリスの塗布が不要となる、耐焼付き性、気密性、防錆性に優れた鋼管用ねじ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
油井掘削に用いられる鋼管である油井管は、鋼管用ねじ継手で締結される。このねじ継手は、雄ねじを備えたピンと、雌ねじを備えたボックスとから構成される。
【0003】
図1に模式的に示すように、通常は鋼管Aの両端の外面に雄ねじ3Aを形成してピン1とし、別部材のスリーブ型の継手部材Bの内面に両側から雌ねじ3Bを形成してボックス2とする。図1に示す通り、鋼管Aは、その一方の端部に予め継手部材Bを締め付けた状態で出荷されるのが普通である。
【0004】
鋼管用ねじ継手には、鋼管と継手の重量に起因する軸方向引張力や地中での内外面圧力などの複合した圧力に加え、地中での熱が作用するので、このような環境下でも破損せずに気密性 (シール性) を保持することが要求される。また、油井管の降下作業時には、一度締め込んだ継手を緩め、再度締め直して締結することがある。そのため、API (米国石油協会) では、チュービング継手においては10回の、ケーシング継手においては3回の締付け (メイクアップ) 、緩め (ブレークアウト) を行っても、ゴーリングと呼ばれる焼付きの発生が無く、気密性が保持されることを求めている。
【0005】
近年では、気密性向上の観点から、金属対金属接触によるメタルシールが可能な特殊ねじ継手が一般に使用されるようになっている。この種のねじ継手では、ピンとボックスのいずれも、雄ねじまたは雌ねじからなるねじ部に加えて、ねじ無し金属接触部を有しており、このねじ部とねじ無し金属接触部の両方が接触表面となる。ピンとボックスのねじ無し金属接触部同士が当接して、金属−金属間接触によるメタルシール部が形成され、気密性が向上する。
【0006】
このようなねじ継手では、接触表面、特にねじ無し金属接触部の焼付きを防止するため、コンパウンドグリスと呼ばれる高潤滑の液状潤滑剤が使用されてきた。このグリスを、締付け前にピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面に塗布する。しかし、このグリスには有害な重金属が多量に含まれており、締付けに伴って周囲にはみ出たグリスを洗浄液で洗浄するが、この作業でコンパウンドグリスやその洗浄液が海洋や土壌に流出して環境汚染を引き起こすことが問題視されるようになった。また、締付けを繰り返すたびに必要となる洗浄とグリス塗布が、リグ現場での作業効率を低下させるという問題もあった。
【0007】
そこで、コンパウンドグリスの塗布が不要な鋼管用ねじ継手として、特開平8−103724号、特開平8−233163号、特開平8−233164号、特開平9−72467 号各公報には、ピンとボックスの少なくとも一方のねじ部とねじ無し金属接触部 (即ち、接触表面) に、結合剤の樹脂と固体潤滑剤の二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンとからなる固体潤滑被膜を形成したねじ継手が開示されている。
【0008】
また、これらの公報には、固体潤滑被膜と基材との密着性を高めるため、固体潤滑被膜の下地処理層として、燐酸マンガン系化成処理被膜層や、窒化層と燐酸マンガン系化成処理被膜層を形成するか、あるいは接触表面にRmax 5〜40μmの凹凸を設けることも開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように接触表面に固体潤滑被膜を形成した鋼管用ねじ継手の開発により、コンパウンドグリスの塗布が不要となり、前述した環境問題や作業効率の問題は解決できる。
【0010】
しかし、上記公報に開示されている従来の固体潤滑被膜では、鋼管用ねじ継手に要求される耐焼付き性や気密性を十分に確保することができないでいた。特に、ねじ継手の工場出荷(即ち、固体潤滑被膜の形成)から実際にリグ現場での締付けに使用するまでのねじ継手の保管期間が長い場合に、耐焼付き性と気密性の劣化が顕著であった。
【0011】
本発明者は、その原因が、従来の固体潤滑被膜は、防錆能力がコンパウンドグリスに比べて著しく劣り、保管中にねじ継手の接触表面の発錆を完全に防止することができないことにあることを究明した。ねじ継手の保管中にピンまたはボックスの接触表面に錆が発生すると、固体潤滑被膜はその密着性が極度に低下し、被膜の膨れや剥離を生ずる上、接触表面には錆による凹凸ができる。その結果、継手の締結時の締付けが不安定になり、締付け・緩めの際に焼付きが発生したり、継手の気密性が低下するという問題を引き起こすのである。
【0012】
出荷時に接触表面にコンパウンドグリスが塗布されていると、コンパウンドグリスは防錆力も高いため、錆の発生が効果的に抑制される。しかし、コンパウンドグリスを塗布してしまうと、前述したように環境への悪影響がある。一方、固体潤滑被膜を接触表面に形成した、コンパウンドグリス塗布が不要の従来のねじ継手には、工場出荷時から搬送、現地使用までの期間における錆の発生を防止でき、繰り返しの締付け・緩めにおいて優れた耐焼付き性と気密性を発揮できる、防錆性にも優れたものが実現できていないのが現状である。
【0013】
本発明の目的は、コンパウンドグリスなどの重金属粉を含む液状潤滑剤を用いることなく、固体潤滑被膜の施工時から現地使用までの期間において錆発生を効果的に防止でき、繰り返しの締付け・緩めの際の焼付き発生や気密性低下を抑制することのできる、防錆性、耐焼付き性、気密性に優れた油井管用ねじ継手を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、結合剤(例、ポリアミドイミド樹脂)と潤滑性粉末(例、二硫化モリブデン)とからなる固体潤滑被膜を接触表面に形成したねじ継手において、潤滑性粉末に加えて、さらに適量のPTFE (ポリテトラフルオロエチレン) 粉末を添加した被膜が高い防錆性を示し、施工から実使用に至る期間を通じて接触表面の錆の発錆を防止でき、繰り返しの締付け/緩め時において優れた耐焼付き性と気密性を得ることができることを見出した。
【0015】
本発明は、ねじ部とねじなし金属接触部とを含む接触表面をそれぞれ有するピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面に、(A)二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛および窒化硼素から選ばれた1種または2種以上の粉末からなる潤滑性粉末と、(B)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末と、(C)結合剤、とからなる固体潤滑被膜が形成されており、該被膜中の各成分の含有量(質量%)が下記の関係を満足することを特徴とする耐焼付き性、気密性、防錆性に優れた油井管用ねじ継手である:
0.3≦潤滑性粉末の含有量/結合剤の含有量≦9.0、
0.01≦PTFE粉末の含有量/潤滑性粉末の含有量≦0.30。
【0016】
好適態様において、本発明の鋼管用ねじ継手はさらに下記の特徴を備える:
・前記固体潤滑被膜が形成されている接触表面は、該被膜の形成前に、Rmax 5〜40μmの表面粗さを有する。
・前記固体潤滑被膜が形成されている接触表面が、この被膜の下地処理層として多孔質被膜層を有する。
・前記多孔質被膜層がリン酸塩化成処理被膜または亜鉛もしくは亜鉛合金被膜である。
・前記固体潤滑被膜がピンとボックスの一方の部材の接触表面に形成されており、固体潤滑被膜が形成されていない他方の部材の接触表面が、Rmax 10μm以下の表面粗さを有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
図2は、代表的な鋼管用ねじ継手(以下、ねじ継手ともいう)の構成を模式的に示す概要図である。符号1はピン、2はボックス、3はねじ部、4はねじ無し金属接触部、5はショルダー部を示す。以下、ねじ無し金属接触部を単に金属接触部ともいう。
【0018】
図2に示したように、典型的なねじ継手は、鋼管端部の外面に形成された、ねじ部3(即ち、雄ねじ部)及びねじ無し金属接触部4を有するピン1と、ねじ継手部材の内面に形成された、ねじ部3(即ち、雌ねじ部)およびねじ無し金属接触部4を有するボックス2とで構成される。ただし、ピンとボックスは図示のものに制限されない。例えば、継手部材を使用せず、鋼管の一端をピン、他端をボックスとしたり、あるいは継手部材をピン (雄ねじ) として、鋼管の両端をボックスとすることも可能である。
【0019】
ピン1とボックス2のそれぞれに設けたねじ部3と (ねじ無し) 金属接触部4がねじ継手の接触表面である。この接触表面、中でも、より焼付きの起こりやすい金属接触部には、耐焼付き性が要求される。従来は、そのために、重金属粉を含有するコンパウンドグリスを接触表面に塗布していたが、前述したように、コンパウンドグリスの使用には環境面と作業効率の面で問題が多い。
【0020】
一方、潤滑性粉末と結合剤とからなる従来の固体潤滑被膜では、防錆力が低く、現場で使用するまでの保管期間中にねじ継手の接触表面に錆が発生して、耐焼付き性や気密性が不十分となる。
【0021】
本発明者は、各種の潤滑性粉末を含有する固体潤滑被膜の耐焼付き性を調べる際に、塩水噴霧試験による防錆性についても調査を行った。その結果、PTFE粉末は、潤滑性の改善、すなわち、耐焼付き性の改善よりは、むしろ防錆性の改善に大きな効果を発揮することを発見した。
【0022】
従来から、PTFE粉末は固体潤滑剤として使用されているが、本発明のように、固体潤滑被膜の防錆性の改善という効果を期待して使用されたことはなかった。本発明においては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛および窒化硼素から選ばれた無機質の潤滑性粉末に加えて、防錆効果を期待してPTFE粉末を結合剤中に共存させた固体潤滑被膜をねじ継手の接触表面に形成する。
【0023】
固体潤滑被膜にPTFE粉末だけを含有させても、被膜の潤滑性が低く、繰り返しの締付け・緩めの際の焼付きを十分に防止できない。従って、潤滑性と防錆性を兼ね備えた固体潤滑被膜とするには、前述した無機質の潤滑性粉末と、PTFE粉末の両者を適当な割合で含有させる必要がある。
【0024】
本発明に係る鋼管用ねじ継手では、ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触面に、
(A) 二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛および窒化硼素から選ばれた1種または2種以上の粉末からなる潤滑性粉末と、
(B) PTFE粉末と、
(C) 結合剤、
とからなる固体潤滑被膜を形成し、この被膜中の各成分の含有量 (質量%) は下記の関係を満足するようにする。
【0025】
0.3≦A/C≦9.0 、
0.01≦B/A≦0.30。
但し、A=潤滑性粉末の含有量、
B=PTFE粉末の含有量、
C=結合剤の含有量。
【0026】
ねじ継手の接触表面に形成された固体潤滑被膜は、ねじ継手の繰り返しの締付け・緩め時に高い摺動面圧を受けて、潤滑性粉末を含む摩耗粉を発生する。潤滑性粉末を含むこの摩耗粉が接触表面全体に拡がり、接触界面で金属間接触の防止と摩擦軽減に寄与し、焼付き防止効果を発揮するものと推定される。
【0027】
A/Cの質量比が0.3 未満では、上記摩耗粉中における潤滑性粉末の量が不足し、耐焼付き性が不足する。一方、A/Cの質量比が9.0 を超えると、結合剤が少なすぎて、固体潤滑被膜の強度が不足し、高い面圧に耐えられなくなる上、密着性も低下するため、耐焼付き性、気密性が劣化する。A/Cの質量比は、耐焼付き性の観点から好ましくは 0.5〜9.0 であり、密着性を考慮すると、より好ましくは 1.0〜8.5 である。
【0028】
本発明において最も重要な添加物質であるPTFE粉末は、前述した無機質の1種もしくは2種以上の潤滑性粉末と一緒に所定の割合で固体潤滑被膜中に含有させることにより、被膜に優れた防錆性と耐焼付き性を付与することができる。
【0029】
その作用に関しては、結合剤として使用する有機樹脂または無機高分子が本来持っている吸湿性を、PTFE粉末が抑制することにより、ねじ継手の接触表面における錆が防止されるものと推定される。即ち、PTFE粉末の撥水性により固体潤滑被膜の防錆性が改善される。撥水剤としてはPTFE以外にも多くの材料が知られているが、PTFE粉末に代えて他の撥水剤を使用すると、ねじ継手の潤滑性が低下し、必要な耐焼付き性が得られなくなる。
【0030】
上記B/Cに質量比が0.01未満では、潤滑性粉末に対するPTFE粉末の割合が少なすぎ、被膜の防錆性が不足する。一方、B/Cの質量比が0.30を超えると、固体潤滑被膜中でのPTFE粉末の均一分散性が低下するほか、潤滑性粉末の耐焼付き性を阻害するようになる。B/Cの質量比は、防錆性の観点から好ましくは0.03〜0.25であり、さらに耐焼付き性も向上させるためより好ましくは0.05〜0.25である。
【0031】
本発明で用いる潤滑性粉末の平均粒径は、特に限定するものではないが、 0.5〜60μmの範囲内が好ましい。これらの粉末が0.5 μmより小さい平均粒径を有すると、粉末同士が凝集し易くなり、固体潤滑被膜中に均一に分散し難くなり、局所的に性能が不足することがある。一方、粉末の平均粒径が60μmを超えると、固体潤滑被膜の強度が低下するばかりではなく、下地との密着性も低下するため、焼付きの発生を抑制できないことがある。
【0032】
本発明で用いるPTFE粉末の平均粒径も、特に限定するものではないが、0.15〜40μmの範囲内が好ましい。平均粒径が0.15μmより小さいPTFE粉末は凝集し易く、固体潤滑被膜中に均一に分散し難くなり、局所的に防錆性が不足することがある。一方、PTFE粉末の平均粒径が40μmを超えると、固体潤滑被膜の強度が低下するばかりではなく、防錆性にムラが発生することがある。
【0033】
本発明に係るねじ継手の固体潤滑被膜は、結合剤の溶液 (分散液でもよい) に、前述した潤滑性粉末とPTFE粉末を添加して均一に分散させ、必要に応じて粘度を調整することにより調製した塗布液 (粉末分散液) を、ねじ継手のピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面に塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成することができる。塗布液の塗布方法は、刷毛塗り、浸漬処理、エアースプレー法等の公知の適当な方法でよい。
【0034】
結合剤としては、有機樹脂と無機高分子(無機樹脂と称することもある)のいずれも使用できる。
有機樹脂としては、耐熱性と適度な硬さと耐摩耗性とを有するものが好適である。そのような樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素(ウレア)樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、ならびにポリアミドイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂を例示できる。
【0035】
有機樹脂に対する溶媒は、炭化水素系(例、トルエン)、アルコール系(例、イソプロピルアルコール)をはじめとする、各種の低沸点溶媒を単独あるいは混合して用いることができる。
【0036】
有機樹脂の溶液に所定量の潤滑性粉末とPTFE粉末を添加し、均一に分散させて塗布液を調製する。固体潤滑被膜の密着性と耐摩耗性の観点から、ねじ継手の接触表面に塗布液を塗布した後、加熱して被膜を硬質化させることが好ましい。この加熱温度は、好ましくは120 ℃以上、より好ましくは 150〜380 ℃であり、加熱時間は、鋼管用ねじ継手のサイズにより設定されればよいが、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜60分である。
【0037】
本発明において結合剤として用いる無機高分子とは、Ti−O 、Si−O 、Zr−O 、Mn−O 、Ce−O 、Ba−O といった、金属−酸素結合が三次元架橋した構造からなる被膜形成材料であり、ゾルゲル法と呼ばれる造膜法により形成される。このような無機高分子は、金属アルコキシドの加水分解と縮合により形成することができる。金属アルコキシドとしては、アルコキシ基がメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、イソブトキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなどの低級アルコキシ基である化合物が使用できる。好ましい金属アルコキシドは、チタンまたはケイ素のアルコキシドであり、特にチタンアルコキシドが好ましい。中でも、チタンイソプロポキシドが造膜性に優れていて好ましい。金属アルコキシド以外に、四塩化チタンといった金属塩化物や金属カルボン酸塩も使用できる。
【0038】
この無機高分子を形成する金属アルコキシドは、シランカップリング剤のように、アルコキシ基の一部が官能基を有していてもよいアルキル基で置換されている化合物であってもよい。
【0039】
結合剤が無機高分子である場合、溶媒としては、アルコール(例、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール)やケトン等の極性溶剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等、各種の有機溶媒が使用できる。造膜を促進するため、溶液中の金属アルコキシドを塗布前に予め部分加水分解しておいてもよい。また、塗布後の加水分解を促進するため、金属アルコキシドの溶液に、水および/または加水分解触媒の酸を少量添加してもよい。
【0040】
このような金属アルコキシドまたは他の無機高分子形成材料の溶液に、潤滑性粉末とPTFE粉末を均一に分散させて塗布液を形成し、ピンおよび/またはボックスの接触表面に塗布し、塗膜を乾燥させる。塗布後の加水分解による被膜形成を促進させるため、塗布後に加湿処理してもよい。これは、大気中に所定時間放置することでも行うことができるが、湿度70%以上の大気中であるとより望ましい。好ましくは、加湿処理後に加熱を行う。加熱により加水分解および加水分解物の縮合と、加水分解の副産物であるアルコールの排出が促進され、短時間で造膜でき、形成される固体潤滑被膜の密着性が強固となり、耐焼付き性が向上する。この加熱は、溶媒が蒸発した後に行うことが好ましい。加熱温度は副生するアルコールの沸点に近い 100〜200 ℃の温度とするのがよく、熱風を当てるとより効果的である。
【0041】
固体潤滑被膜の厚みは5μm以上、50μm以下とすることが望ましい。潤滑被膜の厚さが5μm未満では、締付け・緩めの繰り返しによる被膜の摩耗により被膜切れを起こして、焼付きを生ずることがある。固体潤滑被膜の膜厚が50μmより大きくなると、締付け量が不十分となり、気密性が低下したり、気密性を確保するために面圧を高めると、焼付きが発生し易くなったり、潤滑被膜が剥離し易くなると、いったことが起こりやすくなる。耐焼付き性の観点から、固体潤滑被膜の膜厚はより好ましくは15μm以上、40μm以下である。
【0042】
固体潤滑被膜には、防錆剤を始めとする各種添加剤を、耐焼付き性を損なわない範囲で添加することもできる。例えば、亜鉛粉、クロム顔料、シリカ、アルミナの1種もしくは2種以上の粉末を添加することができる。また、着色剤を含有させて、形成された固体潤滑被膜を着色してもよい。なお、塗布液には、分散剤、消泡剤、増粘剤等の1種または2種以上の添加剤を適宜含有させることもできる。
【0043】
本発明に従って固体潤滑被膜を形成するピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面は、固体潤滑被膜の密着性を確保するため、被膜形成前に、その表面粗さRmax が、機械切削後の鋼表面粗さ (3〜5μm)より大きな5〜40μmの範囲となるように予め粗面化しておくことが望ましい。固体潤滑被膜を形成する接触表面の表面粗さ (Rmax)が5μmより小さいと、固体潤滑被膜の密着性が低下する傾向がある。一方、この表面粗さが40μmを超えると、摩擦が高くなり、固体潤滑被膜の摩耗を早め、繰り返しの締付け・緩めに耐えられないことがある。
【0044】
粗面化の方法としては、サンドまたはグリッドを投射する方法、硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸などの強酸液に浸漬して肌を荒らす方法といった、鋼表面それ自体を粗面化する方法に加え、鋼表面より粗面となる下地処理層を形成して、塗布面を粗面化する方法も可能である。
【0045】
このような下地処理の例としては、リン酸塩、蓚酸塩、硼酸塩等の化成処理被膜(生成する結晶の成長に伴い、結晶表面の粗さが増す)を形成する方法、銅めっきまたは鉄めっきのような金属の電気めっき (凸部が優先してめっきされるため、僅かであるが表面が粗くなる)を施す方法、鉄芯に亜鉛または亜鉛−鉄合金等を被覆した粒子を遠心力またはエアー圧を利用して投射し、亜鉛もしくは亜鉛−鉄合金を被膜を形成させる衝撃めっき法、窒化層を形成する軟窒化法(例えば、タフトライド)、金属中に固体微粒子を分散させた多孔質被膜を形成する複合金属被覆法などが挙げられる。
【0046】
固体潤滑被膜の密着性の観点からは、多孔質被膜、特にリン酸塩化成処理(リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸鉄マンガン、リン酸亜鉛カルシウム)や、衝撃めっきによる亜鉛または亜鉛−鉄合金の被膜が好ましい。密着性の観点からリン酸マンガン被膜が、防錆性の観点から亜鉛または亜鉛−鉄合金の被膜が、より好ましい。
【0047】
リン酸塩系化成処理被膜や、衝撃めっきによって形成された亜鉛もしくは亜鉛−鉄合金の被膜は、いずれも多孔質な被膜であるため、その上に固体潤滑被膜を形成すると、固体潤滑被膜の密着性が高まる。その結果、締付け・緩めを繰り返しても固体潤滑被膜の剥離が起こらず、金属間接触が効果的に防止され、耐焼付き性、気密性、防錆性が一層向上する。
【0048】
下地処理層が多孔質であっても、その上に本発明に従って固体潤滑被膜を形成することにより、下地の多孔質被膜の空隙が封鎖されるので、防錆性や気密性の低下は生じない。また、多孔質被膜層が衝撃めっきによって形成された亜鉛もしくは亜鉛−鉄合金被膜である場合、亜鉛は鉄より卑な金属であるため、鉄より優先的にイオン化して、鉄の腐食を防ぐ犠牲防食能を発揮し、一層優れた防錆性を実現することができる。
【0049】
多孔質の亜鉛または亜鉛−鉄合金層は、乾式の衝撃めっき法により形成することができる。衝撃めっき法としては、粒子と被めっき物を回転バレル内で衝突させるメカニカルプレーティングや、ブラスト装置を用いて粒子を被めっき物に衝突させる投射めっき法がある。
【0050】
ねじ継手の場合、接触表面にだけめっきを施せばよいので、局部的なめっきが可能な投射めっきが適している。投射めっきに使用する投射(ブラスティング)装置には、圧縮空気等の高圧流体を利用して粒子を吹き付ける高圧流体投射装置や、インペラ等の回転翼を利用する機械式投射装置があり、いずれを利用してもよい。
【0051】
投射めっき等の衝撃めっきに使用する粒子は、少なくとも表面に亜鉛または亜鉛−鉄合金を有する金属粒子である。全体が亜鉛または亜鉛−鉄合金からなる粒子でもよいが、好ましいのは、特公昭59−9312号公報に開示されている投射材料である。この投射材料は、鉄または鉄合金を核(コア)とし、その表面に、亜鉛−鉄合金層を介して、亜鉛または亜鉛−鉄合金層を被覆した粒子からなる。
【0052】
そのような粒子は、例えば、核の鉄または鉄合金粉末を、無電解および/または電解めっきにより亜鉛または亜鉛合金(例、Zn−Fe−Al)で被覆した後、熱処理してめっき界面に鉄−亜鉛合金層を形成する方法や、あるいはメカニカルアロイング法により製造することができる。このような粒子の市販品としては、同和鉄粉工業(株)製Zアイアンがあり、それを利用することもできる。粒子中の亜鉛または亜鉛合金の含有量は20〜60重量%の範囲であることが好ましく、粒子の粒径は0.2 〜1.5 μmの範囲が好ましい。
【0053】
この鉄系の核の周囲を亜鉛または亜鉛合金で被覆した粒子を基体に投射すると、粒子の被膜層である亜鉛または亜鉛合金のみが基体に付着し、亜鉛または亜鉛合金の被膜が基体上に形成される。この投射めっきは、鋼の材質に関係なく、鋼表面に密着性の良いめっき被膜を形成することができる。したがって、炭素鋼から高合金鋼まで、多様な材質のねじ継手の接触表面上に、密着性に優れた多孔質の亜鉛または亜鉛合金層を形成することができる。
【0054】
前述した各種の下地処理層を形成する場合、その厚みに特に制約はないが、防錆性と密着性の観点から5〜40μmであることが好ましい。5μm未満では、十分な防錆性が確保できないことがある。一方、40μmを超えると、固体潤滑被膜との密着性が低下することがある。
【0055】
固体潤滑被膜をピンとボックスの一方の部材の接触表面だけに形成しても本発明の目的は十分に達成できるので、コスト面からはそのようにすることが好ましい。その場合、ボックス (即ち、短い継手部材) の接触表面に固体潤滑被膜を形成する方が、被膜の形成作業が容易である。固体潤滑被膜を形成しない他方の部材(ボックスに固体潤滑被膜を形成する場合は、ピン)の接触表面は、未被覆のままでもよい。特に、図1のように、組立て時にピンとボックスが仮に締付けられる場合には、他方の部材、例えば、ピンの接触表面が裸(切削加工まま)でも、組立て時にボックスの接触表面に形成された被膜と密着するので、ピンの接触表面の錆も防止できる。
【0056】
しかし、組立て時に鋼管の一方の端部のピンだけにボックスが取り付けられ、他端のピンは露出している。そのため、特にこのような露出するピンに対して、防錆性、あるいは防錆性と潤滑性を付与するために、適当な表面処理を施して被膜を形成することができる。この被膜は、本発明に従った固体潤滑被膜でもよく、または潤滑性粉末と結合剤とからなる、PTFE粉末を含有しない従来の固体潤滑被膜であってもよい。もちろん、他方の接触表面が露出しない場合でも、この表面に適当な被膜を形成することも可能である。露出する接触表面を、被膜形成の代わりに塗油して、防錆性を付与してもよい。
【0057】
ピンとボックスの一方の部材の接触表面だけに固体潤滑被膜を形成した場合、他方の部材の接触表面は、表面粗さRmax が10μm以下となるようにすることが望ましい。他方の部材の表面粗さが10μmを超えると、固体潤滑被膜との摩擦係数が高くなり、粗さの増大に伴って加速度的に固体潤滑被膜の摩耗が増加し、繰り返しの締付け・緩めにおいて固体潤滑被膜を早期に消耗し、耐焼付き性、防錆性、気密性を維持できないことがある。ピンとボックスの両方の接触表面に、本発明にかかる固体潤滑被膜を形成した場合、両方の部材の固体潤滑被膜の表面粗さ (被膜形成後の粗さ) が10μm以下であることが好ましい。
【0058】
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、コンパウンドグリスを塗布せずに締付けることができるが、所望により、固体潤滑被膜または相手部材の接触表面に油を塗布してもよい。その場合、塗布する油に特に制限はなく、鉱物油、合成エステル油、動植物油などのいずれも使用できる。この油には、防錆添加剤、極圧添加剤といった、潤滑油に慣用の各種添加剤を添加することができる。また、それらの添加剤が液体である場合、それらの添加剤を単独で油として使用し、塗布することもできる。
【0059】
防錆添加剤としては、塩基性金属スルホネート、塩基性金属フェネート、塩基性金属カルボキシレートなどが用いられる。極圧添加剤としては、硫黄系、リン系、塩素系、有機金属塩など公知のものが使用できる。その他、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤なども油に添加することができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明する。なお、以下、ピンの接触表面 (即ち、ねじ部と金属接触部) をピン表面、ボックスの接触表面をボックス表面という。
【0061】
表1に示す炭素鋼A、Cr−Mo鋼B、13%Cr鋼Cまたは高合金鋼D (Dが最も焼付きを起こし易く、C、B、Aの順に焼付きが起こりにくくなる) からなるねじ継手(外径:7インチ、肉厚:0.408 インチ)のピン表面とボックス表面に、それぞれ表2に示す表面処理 (下地処理と固体潤滑被膜の形成) を施した。処理の詳細は各実施例および比較例にも説明してある。
【0062】
表2には、下地処理の内容および表面粗さと、固体潤滑被膜の構成(結合剤の種類、被膜中の粉末の種類、潤滑性粉末/結合剤の質量比 (M)、PTFE粉末/潤滑性粉末の質量比 (P)、被膜の膜厚) を示す。
【0063】
使用した粉末の平均粒径は次の通りであった:
二硫化モリブデン粉末(MoS2):15μm
二硫化タングステン粉末 (WS2):4μm
黒鉛粉末:1μm
窒化硼素粉末(BN):2μm
PTFE粉末: 0.8μm。
【0064】
ピンとボックスにそれぞれ所定の表面処理を施したねじ継手を用い、ピンとボックスを締付け力を加えずに締結した状態で、JIS-Z2371 に規定されている塩水噴霧試験を336 時間実施した後、ピンとボックスを緩め、固体潤滑被膜を形成した部材の接触表面、特にねじ部の錆の発生状況を調査した。
【0065】
また、塩水噴霧試験を実施した後のねじ継手を用いて、常温にて最大20回の締付け・緩めの作業を行い、焼付き発生状況を調査した。この時の締付け速度は10 rpm、締付けトルクは10340 ft・lbs であった。表3に焼付き発生状況(6回目以降)ならびに錆発生状況を示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003765243
【0067】
【表2】
Figure 0003765243
【0068】
【表3】
Figure 0003765243
【0069】
【実施例1】
表1に示す組成Aの炭素鋼製ねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、#80番のサンドを吹き付け、表面粗さを15μmとした後、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ28μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対してPTFE粉末を0.01の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0070】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm) のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、19回目までは焼付きの発生は無く、20回目には軽度の焼付きが発生したものの20回までの締付け・緩めができた。
【0071】
【実施例2】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)した表面に、厚さ25μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ20μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ27μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを1.5 の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.05の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0072】
ピン表面は機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0073】
【実施例3】
表1に示す組成BのCr−Mo鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)した表面に、厚さ20μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ15μm)を形成し、その上に二硫化タングステン粉末とPTFE粉末を含有するエポキシ樹脂からなる、厚さ35μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、エポキシ樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化タングステンを9の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.13の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に230 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0074】
ピン表面は機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・締め戻し試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0075】
【実施例4】
表1に示す組成Cの13%Cr鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、乾式衝撃めっきにより厚さ6μmの亜鉛−鉄合金層(表面粗さ18μm)を形成し、その上に黒鉛粉末とPTFE粉末を含有するフェノール樹脂からなる、厚さ32μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、フェノール樹脂1に対し潤滑性粉末の黒鉛を3の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.25の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に230 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0076】
ピン表面は機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0077】
【実施例5】
表1に示す成分組成Dの高合金製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ2μm)した表面に、電気めっきにより厚さ5μmの銅めっき層(表面粗さ11μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ28μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.10の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0078】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ2μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0079】
【実施例6】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ5μm)した表面に、厚さ15μmのリン酸亜鉛化成処理被膜(表面粗さ20μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するTi−O を骨格とする無機高分子からなる、厚さ10μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、無機高分子1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを1の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.02の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に大気中で3時間放置し、最後に150 ℃の熱風を10分間吹き付けることにより形成した。
【0080】
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ピンに錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0081】
【実施例7】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)した表面に、下地処理なしに、二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ29μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.02の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施し、硬質化を図った
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ4μm)のみとした。
【0082】
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスに錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、17回目までは焼付きの発生は無かった。18回以降は軽度の焼付きが発生したが、手入れにより20回まで締付け・緩めができた。本例では、固体潤滑被膜の形成下地となる表面の表面粗さがRmax 4μmと小さいため、固体潤滑被膜の密着性が若干低下したものと考えられる。
【0083】
【実施例8】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に以下の表面処理を施した。
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ5μm)した表面に、厚さ15μmのリン酸亜鉛化成処理被膜(表面粗さ15μm)を形成した。
【0084】
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、厚さ20μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ25μm)を形成し、その上に窒化硼素粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ31μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の窒化硼素を4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.05の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0085】
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ピンとボックスの双方とも錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、16回目までは焼付きの発生は無かった。17回以降は軽度の焼付きが発生したが、手入れにより20回まで締付け・緩めができた。本例では、固体潤滑被膜を形成しない部材であるピンの接触表面の粗さが15μmと比較的大きかったため、ボックスの接触表面に形成した固体潤滑被膜の摩耗が早かったもの考えられる。
【0086】
【実施例9】
表1に示す組成Cの13%Cr鋼製のねじ継手に以下の表面処理を施した。
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ5μm)した表面に、乾式衝撃めっきにより厚さ6μmの亜鉛−鉄合金層(表面粗さ33μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末を含有するTi−O を骨格とする無機高分子からなる、厚さ10μmの固体潤滑被膜(表面粗さ6μm)を形成した。この固体潤滑被膜は、無機高分子1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを2の質量比で含有するが、PTFE粉末は含有していない。この被膜は、塗布後に大気中で3時間放置後した後、150 ℃の熱風を10分間吹き付けることにより形成した。
【0087】
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、乾式衝撃めっきにより厚さ10μmの亜鉛−鉄合金層(表面粗さ33μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ32μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.05の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に230 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0088】
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ピンに錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、20回の締付け・緩めにおいて、焼付きの発生は無く、極めて良好であった。
【0089】
【比較例1】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、厚さ18μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ15μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ27μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、PTFE粉末を含有しない、従来技術の固体潤滑被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0090】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ5μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部の全面に錆が発生していた。締付け・緩め試験では、8回目までは焼付きの発生は無かった。しかし、9〜12回目には軽度の焼付きが発生したので、手入れをしながら試験を続けたが、13回目に激しい焼付きを発生したため、試験を終了した。
【0091】
本例は、粉末が潤滑性粉末だけで、PTFE粉末を含有しない、従来の固体潤滑被膜では、ねじ継手に十分な防錆性を付与できず、錆が発生し、それにより、下地と固体潤滑被膜の間に膨れを生じて、固体潤滑被膜の密着性が低下し、比較的早期に焼付きが発生するようになることを示している。
【0092】
【比較例2】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、厚さ20μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ18μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ32μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを4の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.4 の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0093】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、6回目までは焼付きの発生は無かった。しかし、11〜12回目には軽度の焼付きが発生したので、手入れを続けたが、13回目で激しい焼付きを生じたため、試験を終了した。
【0094】
本例は、PTFE粉末の添加量が過剰になると、防錆性は問題はないものの、潤滑性粉末である二硫化モリブデン粉末の耐焼付き性を阻害したり、固体潤滑被膜の密着性が極端に低下し、耐焼付き性が不足することを示している。
【0095】
【比較例3】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、厚さ18μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ15μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ27μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを0.2 の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.05の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0096】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ5μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、6回目までは焼付きの発生は無かった。しかし、7回目には軽度の焼付きが発生したので、手入れを続けたが、8回目で激しい焼付きを生じたため、試験を終了した。
【0097】
本例は、潤滑性粉末とPTFE粉末とを共存させた固体潤滑被膜を形成しても、潤滑性粉末の含有量が低すぎると、十分な耐焼付き性が得られないことを示している。
【0098】
【比較例4】
表1に示す組成Aの炭素鋼製のねじ継手に下記の表面処理を施した。
ボックス表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)した表面に、厚さ22μmのリン酸マンガン化成処理被膜(表面粗さ25μm)を形成し、その上に二硫化モリブデン粉末とPTFE粉末を含有するポリアミドイミド樹脂からなる、厚さ30 μmの固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミド樹脂1に対し潤滑性粉末の二硫化モリブデンを9.5 の質量比で含有し、かつ潤滑性粉末1に対しPTFE粉末を0.05の質量比で含有する被膜である。この被膜は、塗布後に260 ℃で30分の加熱処理を実施して硬質化を図った。
【0099】
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)のみとした。
表3に示したように、塩水噴霧試験では、ボックスのねじ部に錆の発生は認められなかった。締付け・緩め試験では、10回目までは焼付きの発生は無かった。しかし、11〜13回目には軽度の焼付きが発生したので、手入れを続けたが、14回目で激しい焼付きを生じたため、試験を終了した。
【0100】
本例では、適切なPTFE粉末の添加により防錆性は確保できたものの、被膜中の潤滑性粉末の含有量が高すぎたため、固体潤滑被膜の強度と密着性が低下し、十分な耐焼付き性を発揮できなかったものと考えられる。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、コンパウンドグリスなどの重金属粉を含む液体潤滑剤を用いることなく、優れた防錆性、耐焼付き性および気密性を実現することができる。そのため、固体潤滑被膜の形成からリグ現場での使用までの間に、ねじ継手が戸外に長期間放置されても、ねじ継手の接触表面での錆の発生が効果的に防止され、この錆による耐焼付き性や気密性の低下が防止され、締付けと緩めを繰り返すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼管出荷時の鋼管とねじ継手部材の組立構成を模式的に示す概要図である。
【図2】本発明の鋼管用ねじ継手の締付け部を模式的に示す概要図である。
【符号の説明】
A:鋼管、B:ねじ継手部材
1:ピン、2:ボックス
3:ねじ部、4:ねじ無し金属接触部
5:ショルダー部

Claims (5)

  1. ねじ部とねじなし金属接触部とを含む接触表面をそれぞれ有するピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、
    ピンとボックスの少なくとも一方の部材の接触表面に、(A)二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、および窒化硼素から選ばれた1種または2種以上の粉末からなる潤滑性粉末と、(B)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末と、(C)結合剤、とからなる固体潤滑被膜が形成されており、該被膜中の各成分の含有量(質量%)が下記の関係を満足することを特徴とする耐焼付き性、気密性、防錆性に優れた油井管用ねじ継手。
    0.3≦潤滑性粉末の含有量/結合剤の含有量≦9.0
    0.01≦PTFE粉末の含有量/潤滑性粉末の含有量≦0.30
  2. 前記固体潤滑被膜が形成されている接触表面が、該被膜の形成前に、Rmax5〜40μmの表面粗さを有する、請求項1記載の油井管用ねじ継手。
  3. 前記固体潤滑被膜が形成されている接触表面が、この被膜の下地処理層として多孔質被膜層を有する、請求項1または2記載の油井管用ねじ継手。
  4. 前記多孔質被膜層がリン酸塩化成処理被膜または亜鉛もしくは亜鉛合金被膜である請求項3記載の油井管用ねじ継手。
  5. 前記固体潤滑被膜がピンとボックスの一方の部材の接触表面に形成されており、固体潤滑被膜が形成されていない他方の部材の接触表面が、Rmax10μm以下の表面粗さを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の油井管用ねじ継手。
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